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ダイハツ タント X “SA”新車試乗記(第735回)

Daihatsu Tanto X “SA”

(0.66L 直3・CVT・138万8571円)

爆発的にヒット中!
3代目タントは究極の軽、
いや、究極の生活ツールだった!

2014年07月11日

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キャラクター&開発コンセプト

3代目に進化したスーパートールワゴンの先駆者


新型ダイハツ タント

ダイハツの軽乗用車「タント」は、2003年にデビューしたスーパートールワゴン。それまで軽の主流だったトールワゴンの上を行く、スーパートールというジャンルを切り拓いたパイオニアだ。2007年に登場した2代目では助手席側のBピラーをなくした「ミラクルオープンドア」を採用し、子育て世代の女性を中心に人気を得た。

今回試乗したのは、2013年10月3日に発売された3代目タント。新型では基本性能や安全性能を高めたほか、ミラクルオープンドアの使い勝手、室内の広々感、開放感をさらに追求。また、NAエンジン車ではミラ イースで培った低燃費技術を使い、JC08モード燃費28.0km/L(先代は25.0km/L)を達成している。

2014年上半期の販売実績は1位


初代タント(2003年)

販売目標台数(タントエグゼを除く)は月間1万2000台。ちなみに初代デビュー時の目標は5000台で、2代目デビュー時は8000台だったから、モデルチェンジの度に約1.5倍ペースで増えている計算になる。

新型のこれまでの販売実績は、3月の3万0686台をピークに、毎月2万台前後をコンスタントに販売し、昨年12月から6月まで軽自動車で連続1位となっている。

また、2014年上半期(1~6月)の販売台数は13万5688台で、普通車を含む新車乗用車(通称名別)で1位となった。2位以下は、アクア(12万3637台)、フィット(12万1764台)、プリウス(10万3974台)、日産デイズ(9万8789台 ※デイズルークスを含む)となっている。

 

2代目タント(2007年)

■過去の新車試乗記
2代目ダイハツ タントカスタム (2008年3月)
初代ダイハツ タント (2003年12月)

■外部リンク
・ダイハツ>プレスリリース>「タント」フルモデルチェンジ(2013年10月3日)※PDF

 

価格帯&グレード展開

120万3429円からスタート。ターボは141万9429円から


遅れて追加された標準車のターボ(タント Xターボ)。専用メッキグリルやフォグランプを装備

従来通り、大人しいデザインの「タント」(120万3429円~)、精悍な印象の「タントカスタム」(151万2000円~)の2本立て。ミッションは全車CVT(無段変速機)で、アイドリングストップも全車標準になる。

エンジンは自然吸気(52ps、6.1kgm)と、今回DVVTの採用や圧縮比アップ(9.0→9.5)などの改良を受けたターボ(64ps、9.4kgm)の2種類。ターボ車は発売当初、タントカスタムだけだったが、すぐに普通のタントでも選べるようになった。タントのターボは141万9429円から、タントカスタムのターボ(グレード名は「カスタム RS」)は162万5143円から。

全グレードに「スマートアシスト」(5万1428円高)を設定


タントカスタムは大型グリル、LEDヘッドランプ、LEDリアコンビランプ、リアスポイラーを装備。RS(写真)は15インチタイヤ(165/55R15)を履く

CMでおなじみの“スマアシ”こと、低速域衝突回避支援ブレーキ、誤発進抑制制御機能、先行車発進お知らせ機能、VSC&TRCをセットにした「スマートアシスト(SA)」は、全グレードに5万1428円高で設定。あと、スライドドアは下位グレードが手動で、中間グレードが左側電動(オプションで両側電動も可)、上位グレードは両側電動が標準になる。4WDは12万4457円高。

ボディカラーは、タントが全10色、タントカスタムが全7色。

 

パッケージング&スタイル

フロント部のパネルやバックドア等を樹脂製に変更

デザインは基本的にキープコンセプト。ある程度見慣れないと、先代(2代目)と区別がつかないが、見比べるとボディパネルやライト類などの立体感が強まり、全体的に質感も上がっているのが分かる。

技術面で面白いのは、ボンネット、フロントフェンダー、バックドア、フューエルリッド、レールカバーが樹脂製になったこと。従来の鉄製パーツに比べて、約10kg軽くなったという。また、フロントの外板が全て樹脂になったことで、歩行者保護性能もアップ。バックドアの樹脂化により、開閉が楽になっている。

 

全高(全車共通)は全高1750mmで、スペーシア(1735~1740mm)より少し高く、デイズルークス/eKスペース(1775mm)やN-BOX(1780~1800mm)より少し低いが、大差はない。

ホイールベースは、先代(2代目)タントや先代(4代目)ムーヴでは2490mmまで伸びたが、現行ムーヴ(2010年12月発売)や新型タントでは少し戻って2455mm。ちなみにスペーシアはもっと短かく、2425mm。現在、軽のFF車で最長のホンダ Nシリーズが2520mmだ。

 

水色が樹脂化されたパーツ。指で押すとボヨンと凹むので、それと分かる

側突対策で、助手席側ドア内には通常鋼板の3倍以上の強度を持つ超高張力ハイテン材製のピラーが内蔵される

真横からだと新旧の区別が難しい。新型はリアコンビランプが縦型になった
 

インテリア&ラゲッジスペース

視界良好、乗り降り良好

先代のインパネも立派だったが、新型ではさらに質感が上がった印象。また、センターメーターが継続採用されているのも嬉しいところ。センターメーターはドライバーから離れる分、見にくくなる場合もあるが、タントの場合は文字を大きくすることで視認性を確保している。

 

ミラクルオープンドアのインパクトは大。室内高は小学4年生の平均身長と同程度

そして相変わらず見晴らしも抜群。ダイハツによれば、普通に運転姿勢をとったまま、車体の周囲30センチ圏内に立つ高さ1メートルのポール(6歳児の身長に相当)を直視できるとのこと。助手席側のサイドミラーには、左後方の死角を映すサイドアンダーミラーも付属している。

室内の広さも圧倒的で、ドライバー頭部からフロントガラスまでのヘッダ距離は、先代より12cm増えて87cmとなり軽で1位。ヘッドクリアランスも先代比2cm増しの23cmで1位、カップルディスタンスも112cmで1位とのこと。

 

助手席シートのショルダー部には後席への出入りで便利な乗降グリップ付

助手席の前後スライド幅は先代より10cmも増えて38cmになった

後席は前後に24cmスライドする。格納式ドアサンシェードも装備
 

後席を格納すれば、普通自転車も積載可能とのこと(けっこうギリだが)

後席はスライド位置を後端にし、座面下のストラップを引っ張ると、ダイブダウン格納できる

全車スペアタイヤレスで、床下にパンク修理キットを搭載する
 

基本性能&ドライブフィール

パワーはギリギリだが、女子ならちょうどいい?


ボンネットは樹脂製(量産実用車ではかなり珍しい)。フロントフェンダーも樹脂製になる

試乗したのは自然吸気エンジンの「X」の“スマアシ”付き(X “SA”)。売れ筋グレードの一つで、車両本体価格は約140万円。

道路に出て、さっそくアクセルを踏み込めば、低・中回転域を使って、やんわりと加速。CVTにありがちなスリップ感はあまりなく、エンジン音やCVTのベルトノイズもよく抑えられている。ただ、動力性能はギリギリという感じ。自然吸気エンジンの場合、最高出力は52ps/6800rpm、最大トルクは6.1kgm/5200rpmで、車重はムーヴより100kg以上重930kg。パワーウエイトレシオは17.9kg/psとけっこう厳しい数値になる。

 

とはいえ、多くの女性、特に子育て中の女性目線で言えば、これくらいがちょうどいい、かも。実際、通の流れに乗れないようなことはないし、アクセルをべた踏みにしてもスピードが出過ぎる心配はない。

ただ、上り坂では明らかに駆動力不足を感じる。新採用の登坂変速制御により、登坂路ではエンジン回転を高めに維持するらしいが、実際のところ、絶対的なパワー不足をカバーするには至らない。東京都心などにある勾配10%以上の急坂(名古屋にもけっこうある)では、アクセル全開で登っていくことになる。もちろん、そこが車道であれば、登れない坂はないが。

それでも、エンジンを高回転までワンワン回す感じではないので、遅さに慣れれば、ある意味、平和。確かに子供と一緒なら、これくらいがちょうどいいのかも。

クランキング音が静かに。スマアシの効果も実感

アイドリングストップは全車標準。新型タントの場合は、走行中でも9km/hから停止する制御で、確かに止まる直前でエンジン音がすっと静かになる。嬉しいのは、ダイハツ車の弱点でもあったエンジン始動時のクランキング音が、ぐっと静かになったこと(ダイハツによればクラストップレベルになったという)。再始動も素早いので、アイドリングストップしていることはほとんど意識に上らない。

なお、試乗した日は気温が30度Cを超えるような蒸し暑い日だったが、タントではエンジン始動時に、エアコンが自動的に内気循環に切り替わるせいか、アイドリングストップ中でもあまり暑さを感じなかった。

また、スマートアシストの低速域衝突回避支援ブレーキ機能は、他社のものより積極的に作動するタイプ。試すつもりはなかったが、何度かピピッと警告音が鳴り、自動ブレーキが作動しかけるところまでいった(アクチュエーターが作動するのが分かる)。また、同じくレーザーレーダーを利用した先行車発進お知らせ機能も積極的に作動。前のクルマが発進していなくなると、ピピッと警告音を鳴らすもので、基本的にはアテにするものではないが、これはこれで便利。

操縦安定性は意外に良好


タイヤは155/65R14で、ダンロップのエナセーブ EC300(イーシーサンマルマル)

感心したのが、運転感覚や視界がかなり自然なこと。初代タントでは無闇に天井が高く、窓も無闇に大きくて、金魚鉢の中にいるような不自然さがあったし、走行中にグラグラ揺れる感じも気になったが、そのあたりは2代目でずいぶん改善され、この3代目でほぼ解消されている。もちろん、後発のライバル車もその辺はしっかり押さえているのだが。

ワインディングでの操縦安定性も、見た目から想像できないほどちゃんとしている。ステアリングを意図的に速く切り込んでもグラっとならず、自然に旋回。さらにプッシュすれば、スアマシ装着車にセットで付いてくるVSC&TRCがいい感じで介入し、過大なアンダーステアや唐突な挙動を防いでくれる。

こういった操安の良さは、エントリーグレードを除いて全車標準になったフロントスタイビライザーや、全てのFF車に標準装備になったリアスタビライザー、それにボディ剛性のアップなどで、いわゆる「ロール剛性」が高まったおかげ。ダイハツによれば、操安性や乗り心地はムーヴやミラ イース並みとのこと。確かに日常的な速度域での走りは、とてもバランスよくまとまっている。

高速道路は80km/hで走るのがベスト

一方、高速道路では、速度域で大きく印象が変わってくる。走行車線を80km/h巡航する分には、エンジン音も静かで、乗り心地も悪くない。燃費もかなり良さそう。

ただ、それ以上の速度域になると、速度に比例して深いアクセル開度が必要になり、結果としてエンジン回転が高まり、同時に風切り音も高まり、足回りのバタつきも増えてくる。いろんな面で100km/hまでの公道ベストならぬ法定速度ベストで考えてある感じ。性能的には120km/h巡航も可能だし、最高速も130km/hくらいは出ると思うが。

ちなみにCVTの変速比は3.327~0.628(5.298倍)で、ホンダ N-BOXの5.46倍とは大差ないが、スズキや日産/三菱が使うジヤトコ製副変速機付CVTの約7.28倍とは大きな差がある。このレシオカバレッジの狭さがタント(自然吸気モデル)の場合、パワー感や高速域での静粛性・燃費性能でハンディとなっている感じはある。

試乗燃費は13.5~17.3km/L。JC08モード燃費は28.0km/L

今回はトータルで約160kmを試乗。試乗燃費(車載燃費計)は、いつもの一般道、高速道路、ワインディングを走った区間(約90km)が13.5km/Lで、奇しくも前回のトヨタ パッソ(ダイハツ ブーン)とまったく同じだった。また、主に一般道と高速道路(80~100km/h)をエコ運転で走った区間(約40km)は17.3km/Lだった。

印象としては60~80km/h程度で穏やかに走れば、好燃費が期待できるが、高速域は伸びなくなってくる。と言っても、やはりパワーが絶対的に少ない分、燃料消費も絶対的には少ないのだが。

なお、自然吸気モデルのJC08モード燃費は28.0km/L(ちなみにパッソ 1.0は27.6km/L)。タンク容量は30リッターだ。

 

ここがイイ

日常域に的を絞った製品作り。スマートアシストの全車設定

小さな子供、あるいは高齢者のいる家庭の、日常の足として徹底的に作りこまれたパッケージングやユーティリティ、そしてファミリーカーらしい穏やかな内外装デザイン。走る、止まる、曲がるといったクルマの基本性能も、毎日の行動半径が十数km以内に収まるような使い方なら全く問題ないレベルにまとめられている。これまでも日常ユースに的を絞ったクルマはあったが、新型タントは完全に日常、そして近所での移動に焦点を定めており、しかもその範囲において、完成度が恐ろしく高い。まさに目標直撃型の製品。売れているのもよく分かる。

自然吸気モデルの場合、いわゆる「クルマ」として見ると、動力性能の低さは否めないが、子供を乗せて運転する女性が不満なく乗れるレベルの性能や快適性をキープしているのは、ある意味見事。また、ボディ剛性のアップ、外板樹脂化による軽量化、サスペンションの改良など、エンジニアリング的にも、見るべきところは多い。こんな風に開発費をつぎ込めるのも、売れているクルマゆえだろう。

今ではパレット、N-BOX、デイズルークス/eKスペースといったフォロアーが登場しているが、そこで俄然、武器となるのが先代から採用されたミラクルオープンドア。先代登場時にはそこまでやる必然性はないように思えたが、ここに来て、それは有無を言わせない差別化アイテムとなっている。必要かどうかはともかく、とりあえず「これがあったら便利かも」と買い手に思わせる装備は強力。

スマートアシストは、低速での自動ブレーキや先行車発進お知らせ機能、誤発進抑制制御機能、さらにVSC&TRCなどもセットで、5万1428円というバーゲンプライス。どれも普段から頼りにすべき装備ではないが、一回でも事故を防げれば、それで元がとれる。絶対に装着すべき。

ここがダメ

NAモデルの動力性能

自然吸気エンジン車の場合、動力性能は遠出にはちょっと厳しいレベル。山間部や高速道路を走る機会、あるいは毎日の走行距離が多い人には、ターボ車をお勧めしたい。

静粛性や乗り心地に関しても、60~80km/hくらいまでなら問題ないが、それ以上になると動的質感が物足りなくなってくる。確かに合法的な範囲では問題ないわけだが、これをよしとすると、これまでのクルマの進化は何だったんだということにもなり、心境としては複雑なところ。

試乗車に装着されていた6.2インチディスプレイのスマホ連携メモリーナビ(8万3160円のメーカーオプション)は、フリック操作やピンチ操作が可能な最新型だが、他のメーカーオプションナビ同様、それらの操作は走行中は不可。また、画面の反応もいまいちで、最新スマホやタブレット並みとはいかない。

総合評価

使い勝手において、まさに究極の軽

軽自動車は、基本的には日本国民のためのクルマとして生まれ、育ってきた。現在、新車販売の4割を占めていることは、その結果と言ってもよく、あまりお金のかからない生活の足として日本人のインフラそのものとなっている。特にトール系ワゴンは、その占有面積から考えると驚くべき室内空間を持つだけでなく、街乗りから高速走行までNAエンジンでもほぼ不満なく走れるようになっている。

そんな軽自動車の中で、現在一番売れているのが、この新型タントだ。いや、軽の中でどころか、2014年上半期の車名別新車販売台数では、堂々の一位。今や日本一売れているクルマである。同じ占有面積なのに、トール系よりさらに広い室内空間や、軽で唯一ミラクルオープンドアという秘密兵器を持つこのクルマは、その使い勝手において、まさに究極の軽と言ってもいいだろう。

実際、そのパッケージングは見事と言うしかないし、2代目で登場したミラクルオープンドアは3代目ではさすがに諦めるのでは、と言われていたが、装備したまま先代の様々な弱点を解消したことは、日本の(ダイハツの)技術の勝利だろう。世界のどこにもこんなクルマはないのだから。ジャパンオリジナルそのものだ(いまのところ日本でしか通用しないガラパゴス車でもあるが)。決められた枠の中で、究極を追求するのがうまいという、まさに日本の匠技を象徴するクルマでもある。

さらに今回はアイドリングストップ機能や自動ブレーキといった装備の、いわゆる「全部入り」も用意された。こうした環境・安全への取り組みは素晴らしいと絶賛しておきたい。乗った時の金魚鉢に入っている感覚もなくなったし、走りながらボディを振っても、ぐらりと揺れることもなくなった。インテリアの質感は高いし、センターメーターの視認性を含めて運転席での使い勝手は抜群にいい。広さだけでなく、こうした部分が3代目の良さだろう。

「走る軽なんか別にいらないよ」というニーズ

ただ動力性能についてはずいぶん割り切ったなとも思う。というのも、本文の通り、あまりに走らないのだ。このパッケージングや装備だと、車重はこれ以上軽く出来ないが、かといって走りを追えば燃費は悪化する。となれば一番使われる速度域に特化させようという結論になったのだろう。このクルマの場合、日常のタウンユースが大半と思われるゆえ、低速域ではそれなりにトルクフルに感じられるが、高速側は本当に必要最低限の性能を残しただけ。ゆえに感覚的なギャップが大きい。高速道路では、まるで制限速度80km/h時代の軽に戻ったようで、長い上り坂では一人乗りでも100km/hを維持するのが難しい。この動力性能は、まさに割り切った、というしかなく、「もうNAで十分」とはとても言えない。エアコンも同様で、本来クルマとしては外気導入がデフォルトであるべきだろう。しかし、内気循環をデフォルトにしてアイドリングストップ時の室温変化を抑えている。ここもある種の割り切りだろう。

とはいえ、ここまで割り切った走りでも売れるということは、コモンセンスとしてはこれでいいということなのだろう。昨年、日産デイズのNAに乗った時もパワー不足を感じたが、デイズ/eKの場合は希望すれば制御プログラムの書き換えをディーラーが行ってくれるようだ(なお、すでに現行デイズは7月に、eKは6月にマイナーチェンジしている)。しかし、書き換えを求めるユーザーは多くないとのこと。周知が徹底していないだけかもしれないが、軽の走りはこんなものと思っている人、あるいはこれで文句ないという人が多いということなのだろう。これまでどんどん良くなってきた軽自動車を高く評価してきただけに、日本一売れているクルマだけど走りはこんなものだよ、と思われてしまうのは、なんかものすごく悔しい気がする。

 

とはいえ、走る軽なんか別にいらないよという人々がものすごくたくさんいるわけで、そうした世の中のニーズに適確に応じた、ダイハツのマーケティングの勝利だろう。これではちょっと、という人のためにはターボ車が用意されているわけだし。標準モデルでもターボ車が用意されているのは、そういうことなのだろう。つまり軽自動車として理想的な一台を求めるのではなく、ニーズに応じて様々な性能から選ぶ時代に、軽自動車も入ったということか。ダイハツは軽で最高燃費性能を更新したミライースとか、オープンスポーツのコペンとか、まったく異なる性格の軽も出して、まさに目的別に作り分けられた軽をラインナップしている。タントに関しては走りよりスペースという作りで結果的に大成功を収めた。こうした展開は今後、他のメーカーにも広がっていくのだろうか。

付け足しだが、このクルマで高速道路を走るときは、マナーを守ってほしいものだ。追い越し車線は追い越し時以外には走らないというマナーだ(というか法規。知り合いの女子はその昔、追い越し車線を法定速度内でずっと走るのが違反だと知らなかった)。それからきついと思った坂道では登板車線を走る、抜けないのに無理に追い越しをしないなどなど。サグ渋滞の原因にもなりかねないと思うので、そこはぜひ意識的に走ってほしいものだが、さて…。

 

試乗車スペック
ダイハツ タント X “SA”
(0.66L 直3・CVT・138万8571円)

●初年度登録:2013年10月 ●形式:DBA-LA600S ●全長3395mm×全幅1475mm×全高1750mm ●ホイールベース:2455mm ●最小回転半径:4.4m ●車重(車検証記載値):930kg(550+380) ●乗車定員:4名

●エンジン型式:KF ●排気量・エンジン種類:658cc・直列3気筒DOHC・4バルブ・横置 ●ボア×ストローク:63.0×70.4mm ●圧縮比:11.3 ●最高出力:38kW(52ps)/6800rpm ●最大トルク:60Nm (6.1kgm)/5200rpm ●カムシャフト駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/30L ●JC08モード燃費:28.0km/L

●駆動方式:FF(前輪駆動) ●サスペンション形式:前 マクファーソン ストラット+コイルスプリング/後 トーションビーム+コイルスプリング ●タイヤ:155/65R14(Dunlop Enasave EC300)

●試乗車価格(概算):151万4931円 ※オプション:両側スライドドアドア 4万3200円、 スマートフォン連携メモリーナビゲーションシステム 8万3160円 ●ボディカラー:コットンアイボリー ●試乗距離:約160km

●試乗日:2014年7月 ●車両協力:名古屋ダイハツ・三河ダイハツ

 
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