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三菱 デリカ D:5新車試乗記(第454回)

Mitsubishi Delica D:5

(2.4L・CVT・4WD・341万2500円)

「スペースギア」から「D:5」へ、
デリカが13年ぶりのモデルチェンジ。
5代目「ミニバンSUV」の
機動性と機能性はどう進化したのか?

2007年03月10日

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キャラクター&開発コンセプト

5代目「ミニバンSUV」はアウトランダーがベース

2007年1月31日に発売された新しいデリカは、「ミニバン」と「SUV」の融合を謳う、世界でも珍しいミニバンSUV。今回のフルモデルチェンジは何と13年ぶりだ。5代目ゆえに「D:5(ディーファイブ)」とサブネームが付いた。

初代デリカ(1968年)から続く車名と、2代目の乗用版「スターワゴン」の4WD(1982年)から続く「ワゴンの4WD」という性格を引き継ぐが、メカニズムは従来と100%別物。1~3代目はキャブオーバー、4代目はパジェロベースのパートタイム/フルタイム4WD(FRベース)だったが、今回はアウトランダーのFFシャシー(ホイールベースは延長)を使った電子制御4WDとなった。一方で、先代デリカ並みの最低地上高や電子制御系の助けを借り、悪路走破性は従来並みをアピールしている。

「リブボーンフレーム」を採用。

両側電動スライドドアや3列シートによる8人乗りなど、ミニバンとしての機能も押さえている。モノコックのピラー部分を縦方向に環状に結ぶ「リブボーンフレーム」(環状骨格構造)により、ボディ剛性や衝突安全性も確保。目標販売台数は月間2300台だが、発売後1ヶ月(1/31~2/28)でその3倍の7500台を受注するなど立ち上がりは順調だ。

なお車名の由来は「デリバリー・カー(delivery car:配達するクルマ)」からの造語。商用バンからスタートした時の名残りだが、三菱にとっては歴史のある車名だ。

三菱自動車>プレスリリース>デリカD:5発売(2007/01/31)
http://www.mitsubishi-motors.co.jp/pressrelease/j/products/detail1586.html

価格帯&グレード展開

2.4リッター4WDのみで、主力は300万円前後

アウトランダー同様2.4リッター直4+CVT+電子制御4WDのみで、価格は261万4500円~341万2500円。計6グレードだが、基本的には電動スライドドア、ナビ、高出力オーディオといった快適装備の有無が相違点だ。販売主力は300万円前後。もう少し価格を抑えたFFモデルは技術的にはもちろん可能だが、さて。

パッケージング&スタイル

劇的に安定感の増したスタイル

デイズスタッフの誰からも「カッコいい」と好評の新型デリカ。三菱が得意とするガンダムルックがツボにはまった感じだ。ボディサイズ(先代スペースギアの標準ルーフ比)は全長4730mm(+45)×全幅1795mm(+100)×全高1870mm(-100)。先代ハイルーフ車と比べれば、実に190mmも背が低い。全高2メートル前後のボディを強引に5ナンバー枠に収めていた先代からすると、新型は劇的に安定感が増している。

と同時に、月面車みたいな雰囲気もちゃんと残っているのは嬉しいところ。2005年の東京モーターショーで出てきたコンセプトカー(右写真)の面影も生きている。

樹脂製フェンダーを採用

2850mmのホイールベースはアウトランダー(2670mm)の+180mm。床下にトランスミッションが侵入する先代スペースギアと違って、新型のパッケージングがスペース効率で有利なのは言うまでもない。

フロントフェンダーはPSA(プジョー・シトロエン)がよく使う樹脂製。押した時にしなる感じもよく似ている。損傷しにくいだけでなく、これだけで約4kgの軽量化という。ちなみにアウトランダーは欧州で「プジョー4007」として販売されているが、それとこの樹脂フェンダーには何か関係があるのだろうか。

最低地上高210mmを確保

210mmの最低地上高はアウトランダーやVWトゥアレグ(非エアサス仕様)とまったく同じ。オーバーハングも短く、アプローチアングル24度、ランプブレークアングル18度、デパーチャーアングル21.5度という各数値もアウトランダーとほぼ並ぶ。部分補修しやすいバンパーも嬉しい配慮。三菱らしい2トーンカラーが選べるのは新型パジェロ同様だ。

右Aピラーが少々じゃま

ステップにいったん足を乗せて、ヨイショと少しよじ登る感じの運転席に腰掛けると、屋根からノーズへ対角線のように滑り降りてくるAピラー、3角窓、四角いダッシュボードという眺め。圧迫感は無く、前方見晴らしもとりあえず悪くないが、無視できないのが右側Aピラーによる死角だ。詳しくは後で触れる。

助手席前には、上下2段式の保冷・保温機能付きグローブボックス。天井など室内のいたるところに高輝度LEDが仕込んであり、夜間はほんのり白く光る。最上級グレードは三菱車でおなじみの「ロックフォードフォズゲート・プレミアムサウンドシステム」(12スピーカー・860W)を標準装備。さらに13万6500円のオプションで後席用9インチモニター(赤外線式ヘッドフォン2個付き)が追加できる。

上級グレードにパドルシフトを採用

上級グレードはマグネシウム製の6速マニュアルパドルシフトを装備。コラム固定式(つまり回転しない)だが、操作性は良好だ。パドルを引くと同時にマニュアルモードに移行する一般的なものだが、一定時間放っておいても通常の「D」へは自動復帰しない。走行中にDへ戻りたい時は、シフトアップ用の右側パドルを2秒以上長引きする。それさえ分かっていれば、特に不都合はない。

チップアップ&前後スライドのセカンドシート

前席と同じく、よじ登る感じが少しあるセカンドシート。乗降性を補うため、オプションで電動ないし固定ステップが追加できる。いちおう3人掛けだが、中央にヘッドレストや3点式シートベルトが無いので、実質は2人掛けだ。座り心地はとても良く、座面のチップアップの途中にノッチを設けて、角度調整機能も持たせてある。

全高は先代デリカのより100mm以上ダウンしているが、室内高は逆に+100mm。言うまでもなく広さはこれで十分だろう。

長距離ドライブにも耐えられるサード

サードシートはアルファードやエルグランドのような左右跳ね上げ式。床下収納と違って、この方法はシートの大きさやクッションの厚みが確保しやすく、実際のところ座り心地はいいし、見晴らしはいいし、足は伸ばせるし、この位置からだとリブボーンフレーム構造がよく見えて安心感もある。サード中央にもヘッドレストと3点式シートベルトは備わらないから、実質大人6人+子供2人乗りというところ。

シートの収納は跳ね上げ式

サードシートを跳ね上げる時は、まずシートを矢印の位置まで前後スライドさせること。これを忘れると先に進めない。次にレバーでロックを解除。するとスプリングの助けもあって軽い操作力で跳ね上がる・・・。とは言え、女性には気の重い作業だろう。デリカに限った話ではないが、跳ね上げたサードシートをフックで固定するのも面倒だ。しかし、モーターデイズとしてはシートの座り心地が良く、単純な仕組みのこの方法を支持する。

最上級グレードのテールゲートは電動だが、ワンボックス型ミニバン共通の問題として、開閉時の張り出しの大きさには注意が必要。

基本性能&ドライブフィール

アウトランダーと駆動系は一緒

試乗したのは最上級の「G-プレミアム」だが、基本的にはどのグレードもパワートレインは同じで、アウトランダーと同じ2.4リッター直4(170ps、23.0kg-m)とCVTになる。グレード間での違いは上級モデルに6速スポーツモードが付くことくらいだ。タイヤはベースグレード(16インチ)以外、全て225/55R18タイヤ(アウトランダーと同サイズ)が標準になる。

車重は、以前試乗したアウトランダー(7人乗り仕様)の1620kgに対して、D:5は180kgほど重い1800kg。おかげでアウトランダーのような軽快さは望めないが、むしろ2リッター+CVTのライバル車より、低速トルクには余裕がある。CVTのフィーリングもほとんど5速トルコンATに遜色ない。街乗りでは1500回転前後をキープするプログラムで、3000回転も回せば必要な加速が得られる。

重心の高さは隠せない

アウトランダーとの差を感じるのはむしろ操縦性で、街乗り程度なら問題なく、直進安定性も十分だが、ワインディング走行となると重心の高さやロールの大きさが気になってくる。ステアリングのギア比がスローなこともあり、飛ばすに従ってアンダーステア感が強まり、ペースが上がらない。三菱のプロモーションDVD(三菱の公式HPでも見ることができる)では、ラリードライバーの増岡浩が縁石を使いながらハンドリング路を軽快に駆け抜けているが、実際に試乗した印象では、素人ではとてもそんな風には走れない、と思える。ただ、そんな時でもフラフラした挙動はないし、ブレーキを掛けて前荷重にすれば、舵はそれなりに効いてくれる。このあたりは今どきのよく出来たFFベースのSUVだ。

2WDモードか、4WDオートモードか

D:5の電子制御4WDは、2WDモード(100:0)、4WDオートモード(可変配分)、4WDロックモード(前後ロック相当 ※悪路用)の3つをダイアル一つで選べる。

まず2WDモードと4WDオートモードの違いだが、普通に走るだけなら大差はない。ただし、ウエット路やワインディングでは、2WDモードだといかにも前輪が空転気味になる様子が分かり、精神的に4WDモードを選びたくなる。実際、4WDオートだと定常走行時でも後輪に約14%のトルクが配分されるらしく、駆動力が4輪に分散され、タイヤがべったり路面を捉える感じが伝わってくる。

ただし繰り返しになるが、ドライにしてもウエットにしても、飛ばさない限りは2WDモードで別に支障はない。今回の試乗でもほとんど2WDモードで通した。

なお、シフトレバーの「D」の下には「DS」ポジションもあるが、これはオフロード走行用の「ローレンジ」。いわゆる副変速機のローに代わるもので、デリカの場合はCVTのプログラムがローギアードになる。ワインディングを「DS」で走ると、回転が上がりすぎ、エンジンブレーキも強過ぎてかえってギクシャクしてしまう。デリカの「スポーツ」とは、オフロード走行のことなのだ。

4WDロックモードの走破性は?


2007年のパリ・ダカールラリーをサポートカーとして走ったデリカ D:5

悪路走破用の4WDロックモードは、4WDオートよりも後輪へのトルク配分を1.5倍ほど高めた「擬似ロックモード」。つまり、本当にセンターデフロック(前後直結)しているわけでない。しかし先に触れたプロモーションDVDでは、新旧デリカの悪路走破性も比較しており、センターデフロック付きの先代スペースギアでさえ対角線スタックする場所でも(おそらくLSDの入っていない仕様だろう)、新型デリカはASC(アクティブ・スタビリティ・コントロール)のブレーキ制御を利用した左右LSD効果で、すんなり脱出していた。

 

なお、発売前のD:5は2007年1月のダカールラリーにサポートカー(スタッフと機材搬送用)として参加。砂漠や土漠を含む8000kmもの行程をノートラブルで走り切っている。市販車からの変更点はロールバーやフルバケットシートの追加、駆動系のセッティング(ハード部分はそのまま)、足回りアーム類の若干の補強、ラリー用ダンパー/バネ/タイヤへの変更、燃料タンクの増量などだ。

街乗りで8km/L台キープは可能

100km/h巡航は2000回転ほどで、これもアウトランダーと同じ。出そうと思えば、150km/h超巡航も可能だが、飛ばしたくなるクルマではない。今回の試乗は200kmほどだったが、強い印象は残らずとも、ノイズや乗り心地といった面でストレスはなかった。

今回は悪天候と重なって撮影に手間取り、参考燃費は6.5km/Lだが、空いた一般道なら8km/L台キープは現実的という感触だった。油断してアクセルを踏み込むと7km/L台、急な加減速やエンジンのオン/オフが多いと6km/L台というところ。10・15モードは10.4km/Lなのでまあ妥当なところだろう。

ここがイイ

ハイリフトされたスタイリングは素晴らしい。未来っぽい。他にない。

古典的ともいえるシートアレンジ。車中泊しやすそうな(もちろんエアマットが欲しいところだが)フルフラットモード、チップアップ&前後スライドの2列目、跳ね上げ式の3列目など、必要最低限の機能ながら、それゆえ使いやすい。床下に4WDのパワートレーンがある(テンパーのスペアタイヤも積んでいる)以上、3列目の床下収納など不可能という事情があるが、跳ね上げ式は慣れれば結構使いやすいものだ。

ちょっとしたセカンドバッグなら入ってしまうグローブボックスは驚きの広さ。なんと2リッターペットボトル2本が入る。エアコンで保冷もできるからファミリードライブにはうれしい。その上、ティッシュの入るグローブボックスは別にある。

速度計と回転計の間に、平均燃費と瞬間燃費を同時に表示できる。平均と瞬間が切り換え式のものが多いが、これは絶対に同時に見れたほうがいい。また、ナビ用のモニターでは、過去3時間までの平均燃費をグラフで見ることもできる。方位や標高情報も昔は大きなメーターがあったが、今はナビに収まっている。

ウインカー操作とハンドル舵角に連動して点灯するコーナリングランプ(ACL:アクティブ・コーナリング・ライト、全車標準)は、たいへん便利。下の「ここがバツ」で触れるコーナリングの死角の問題を何とか補おう、という努力は評価したい。

ここがダメ

絶対的なパワーがないだけに、CVTはややうなり気味。発進加速はもちろん、中間加速でもうちょっとトルクがあって、CVTにダイレクト感があると走りに余裕がでるだろう。燃費は悪化するが3リッターV6+5ATは設定して欲しいところだ。

上でも少し触れた右側Aピラーによる死角。右折時やタイトコーナーでは、ちょうど進行方向を遮る形となり、少し前のめりになって覗き込む必要がある。デザインとのせめぎ合いとなったに違いない部分だが、最終的にはデザインを選んだ、ということだろう。また、例の左コーナーを見る小さなミラーもやっぱり意味がない。サイドカメラがあるのだから、これで何とかフォローできなかったのだろうか。またカメラ画像が走行中に表示できないのも残念。

座面角度が調整できない運転席シート。高さは調整できるのだが、角度は不変で腿のサポートを優先した前上がりとなっている。小柄な人だとペダルやフットレストにしっかりと足が下ろしにくい。かと言ってシートを下げると、視点も下がってしまう。と思いつつ、以前書いたアウトランダーの試乗記を見たら、まったく同じことを書いていた。ということはつまり、これはアウトランダー系シャシーとシートに共通することのようだ。

最も使用頻度の高いオーディオ音量用のステアリングスイッチがとても使いにくい。結局、最後までブラインド操作が出来なかった。国産・輸入限らず、初めてでもすぐに使いこなせるものがある以上、ここはもう少し配慮が欲しい。シフトノブの形状もかなり太く、人によっては握りにくいと感じるかもしれない。ここももうちょっと一般的な形でいいと思う。前席の間のコンソールボックスは固定式だが、当然室内のウォークスルーにはじゃま。よくある可倒式のプレートタイプの方がいい。

リモコンキーで電動スライドドアの開閉もできるのだが、その操作範囲がドアからたったの70cm以内。手を伸ばせばドアに手が届く距離だ。しかもセンサーの感度が悪いせいか、何度もボタンを押すことになるが、もちろんそんな暇があるならさっさと手で開けた方がいい。とにかく、これはもっと離れたところから操作できないと意味がないし、他車はそうなっていたと思う。これが安全か何かへの配慮なら、いっそ遠隔操作を無しとすべきだ。

総合評価

2代目デリカを所有したことがあるが、その時の決め手はやはりスタイリングで、真四角の商用バンをハイリフトしたその姿は、まさに軍用車だった。これがマニアックにカッコよかった。3代目も四駆の大ブームに乗り、特にディーゼルターボ車が爆発的に売れたものだ。

4代目は四駆ブームの終焉と三菱不遇の時代という二重苦で苦しんだが、結局フォロワーがなかっただけに、ここまで生き延びられたのだろうと思う。結局、13年もの間モデルチェンジしなかったわけだ。それゆえ、始まって10年のモーターデイズでは過去に紹介したことがないので、先代デビュー4年目に他の媒体で書いたショートインプレを引っ張り出してみた。まずそれをご覧いただきたい。

■ミツビシ デリカ・スペースギア

ベースはパジェロ、つまり”パジェロのミニバン仕様”ともいえるのがこのスペースギア。その硬派な生い立ちは、今や時代錯誤の観もあるが、デビュー4年経過していても、「これ以外にない」ため一部で根強い人気を保っている。4WD車の全高はゆうに2mを越えるが、それでも全幅は5ナンバー枠をキッチリ厳守。使ってみるとわかるが、背の高さゆえタウンユースの使い勝手は悪くない。どうせどのミニバンもタワーパーキングには入らないので、特にデメリットではないだろう。全車に電動サイドステップがつくのもうれしい。8人乗れるのは下級グレードのXR。とはいえサンルーフまで標準で装備に不満はない。フロアは前席の足元から荷室まで完全フラット。セカンドシートは横向きでも固定できる。エンジンは3.0リッターV6ガソリンと2.8リッターディーゼルターボだが、燃費は我慢して迷わずガソリンを選ぼう。4WDこそデリカの価値だが、それが必要ないなら、2.4リッターの2WD、エアロもいい。ガンダムルックが超個性的。

●全長4665mm×全幅1695mm×全高2060mm●ホイールベース:2800mm●2.4リッター直4/3.0リッターV6/2.5リッターディーゼルターボ●2.8リッターディーゼルターボ●駆動方式:FR/4WD●乗車定員:7/8/10名●価格:209.1万円~459.0万円●デビュー年月:1994年5月●最新MC時期:1997年7月

この先代には2WDの他、ロングボディの10人乗りなんてのもあったし、2段ベッドやギャレーを積んだキャンパー仕様の「ネスト」という特装車もあった。これを読んで思い出したが、電動ステップや、横向き固定セカンドシートは確かにとても良かった。両側スライドドアの昨今、横向きシートなど誰も考えないと思うが、室内をリビング的に使うには、いいアイデアだったのだ。今回のデリカにはそうしたおもしろさはあまりない。あくまでスタンダードなインテリアとなっている。

先代にもやはりガンダムルックという印象があったが、それにしても今回、まさにSFチックなハイリフトスタイルがガンダムしてて魅力だ。未来的なデザインは、他のクルマを寄せ付けない独創性があり、売れている理由はとにもかくにも、まずこのデザインだと思う。VWクロスポロに代表される、オフロード車イメージのクロスオーバー車が昨今流行だが、その元祖ともいえるデリカは2代目以降、「ハイリフト」ミニバンとして唯一無二の存在だ。これは誇るべきことだと思う。つまりクロスオーバー車の時代がやってきたことで、新型デリカは時代にジャストフィットするクルマになってしまったのだ。

ミニバンは基本的にファミリーカーなわけで、初期受注の購入年齢層も30代、40代が過半数を超えている。子育てファミリーがミニバンでやりたいことは、やっぱりアウトドアライフ。特にお父さんはタフでワイルドなところを子供にみせたいわけで、となればやはり四駆は外せない。かつて2代目デリカで子育てをしていた頃は、砂浜へ、河原へ、そして林道へと分け入ったものだ。最近は自然保護の点からそういう行為はほとんどできないが、それでも残雪の残る林道を走って山奥のキャンプ場へ向かう、なんてシチュエーションに熱くなるお父さんは多いだろう。それに似合うミニバンはデリカしかなく、しかもかつての2代目デリカ(2リッターガソリン車は最高速度130㎞/h程度、とても重いクラッチの5速MTのみだった)の頃と比べれば、はるかに快適で高い走行性能を持っている。これは買いでしょう。

試乗中は横風が強かったが、その場合も走行中に4WDに切り替えれば直進安定性は不満のないものになる。ワインディングも最近のスポーツミニバンとは比べるべくもないが、四駆性能を考えれば納得できる。2代目、3代目と比べれば、夢のスーパーミニバンといえるだろう。こうなると、室内の質感が価格の割に高くないことも、ご愛敬の範囲。プレミアムカーではないのだから、これで十分だ。

ファミリーミニバンとして考えた場合、リアエンターテイメントシステムの充実は素晴らしい。もう15年も前のデリカにも、テレビはちゃんと積んでいたくらい(もちろんブラウン管型の小型テレビを車内に持ちこんだもの)で、必需品。ワイアレスのヘッドフォンも、うるさいお子様をビデオに釘付けにさせて黙らせるには便利だ。リアモニターもまずまず見やすいが、特にフロントのモニターは最上部にあり、大変見やすい。ここにテレビを表示した場合、走行中はもちろん映らないが、信号待ちで停車すると、パーキングブレーキを踏まなくても番組が映るのは、なかなかいい。日本車では初めての仕様だと思う。ただこの場合、走行中はナビ画面に自動で切り変わるともっといい。そして、地上波デジタルにも早々に対応すべきだろう。

ちょっと値は張るが、デリカは子育て世代には一番のおすすめミニバンだと思う。スライドドアを開けるとピラーに子供用のグリップがあるのも気がきいている。こうなると一番欲しいのは電動サイドステップだ。小さな子供やお年寄りにはやはりちょっと床が高い。オプションでは固定式でも片側7万5600円もするから標準化は難しいが、簡単なタイプでもいいから安価で用意してもらいたいと思う。

試乗車スペック
三菱デリカ D:5 G-Premium
(2.4L・CVT・4WD・341万2500円)

●形式:DBA-CV5W ●全長4730mm×全幅1795mm×全高1870mm ●ホイールベース:2850mm●車重(車検証記載値):1800kg(-+-)●乗車定員:8 名●エンジン型式:4B12 ● 2359cc・直列4気筒・DOHC・4バルブ・横置 ● 170ps(125kW)/6000rpm、23.0kg-m (226Nm)/ 4100rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/66 L ●10・15モード燃費:10.4 km/L ●駆動方式:電子制御フルタイム4WD ●タイヤ:225/55R18(Good Year Eagle LS2)●試乗車価格:375万7320円( 含むオプション:DVD内蔵後席9インチワイド液晶ディスプレイ<赤外線ヘッドフォン2個付> 13万6500円、ビルトインETC 1万8900円、フロアマット 6万4890円、ドアバイザー 2万4780円、スターシールド 6万8250円、ウォームホワイトパール<有料色> 3万1500円) ●試乗距離:約200km ●試乗日:2007年3月 ●車両協力:西尾張三菱自動車販売株式会社

 
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