キャラクター&開発コンセプト
フィアット最新の直噴ガソリンターボを搭載
WRCのメイクスタイトル6連覇が今でも語り継がれる初代(1979~95年)、日本では正規販売されなかった2代目(1993~2000年)に続いて、2008年3月にジュネーブショーで登場した3代目デルタ。新型は従来のモデルとは若干路線が異なり、大人のための高級コンパクトカーという位置付けだ。
今回試乗したのは、その新型デルタのトップグレード「1.8 ターボジェット」。新型デルタに後から追加されたもので、フィアット最新鋭の1.8リッター直噴ターボエンジン(最高出力200ps、最大トルク32.6kgm)を搭載したモデルだ。このエンジンは、性能的にはフィアット手持ちの3.2リッターV6に相当するもので、言わば流行りの“ダウンサイジング”タイプ。今後はアルファロメオなどグループ全体で拡大採用されてゆく予定の環境エンジンとなる。
なお、2009年に公開されたトム・ハンクス主演の映画「天使と悪魔」には、ランチア・デルタが登場。プロダクト・プレイスメントとしてフィアットが全面協力したもので、イタリア本国でのCMでは劇中のシーンを使って「1.8 ターボジェット」がアピールされた。広告キャッチコピーは、‘Un angelo, 200 demoni’per Lancia Delta.、「ランチア デルタに、一人の天使と200の悪魔」。200の悪魔とは、もちろん200馬力のこと。
■動画(YouTube>'Un angelo, 200 demoni' per Lancia Delta.
従来通り、日本市場には主にガレーヂ伊太利屋が供給
日本への正規輸入は1996年から途絶えているランチアだが、それ以降は1980年代にランチアの正規輸入販売を行なっていた株式会社ガレーヂ伊太利屋(東京都港区)が並行輸入という形で継続して扱い、全国に約30拠点あるランチア販売店に供給を行っている。
なお、2008年頃にはメーカー直系のフィアットオート(フィアット グループ オートモービルズジャパン)が正規輸入に乗り出すという動きもあったが、今のところ進展はないようだ。
■過去の新車試乗記>ランチア デルタ 1.6 マルチジェット (2009年4月)
価格帯&グレード展開
計3グレードで「1.8ターボジェット」は458万円
ガレーヂ伊太利屋が独自で設定している導入モデルは、2008年末から導入を始めた1.4リッター直4ガソリンターボの「1.4 ターボジェット」(6MT)と1.6リッター直4ディーゼルターボの「1.6 マルチジェット」(6速セミAT)、そして2009年秋に新しく加わった今回の1.8リッター直4ガソリンターボの「1.8 ターボジェット」(6AT)の計3グレード。
全車左ハンドルだが、変速機はそれぞれ6速MT、6速セミAT、トルコン式の6速AT(アイシンAW製)と異なる。ちなみにトルコンATはイタリア車の場合、セミATと区別するため“フルオートマチック”と呼ばれることが多い。
■1.4 Turbojet 1.4L直4ガソリンターボ(150ps、21.0kgm)+6MT 398万円
■1.6 Multijet 1.6L直4ディーゼルターボ(120ps、31.0kgm)+6速セミAT 428万円
■1.8 Turbojet 1.8L直4ガソリンターボ(200ps、32.6kgm)+6AT 458万円 ★今回の試乗車
オプションは全グレードほぼ共通で、ポルトローナ・フラウ社製フルレザーシート(21万円)、ダブルサンルーフの「グランルーチェ」(12万6000円)、アダプティブ・キセノンヘッドライト(15万7500円)、BOSEサウンドシステム(10万5000円)、ルーフ色を塗り分ける「Bカラー」ペイント(15万7500円)など。
パッケージング&スタイル
相変わらず異彩を放つスタイリング
新型デルタを取り上げるのは2度目だが、相変わらずそのデザインには度肝を抜かれる。ここ最近のモデルで、最も個性的なデザインのCセグメントカーを挙げるとすれば、それは間違いなくデルタだろう。個性的などという言葉は手ぬるく、むしろ奇怪と言うべきか。
普通は生産化する段階で、毒が抜かれてしまうものだが、コンセプトカーのまんま世に出してくるあたりがイタリア車の、そしてランチアのすごいところ。今回も撮影中には、多くの人から好奇の?視線を浴びた。
ボディサイズは全車共通で、全長4520mm×全幅1797mm×全高1499mm。サイズ感としてはマツダ・アクセラ スポーツが近いが、デルタの方が圧倒的に大人っぽく、シブくて、アクが強い。単にハッチバック車と呼ぶのが憚れる存在感がある。
インテリア&ラゲッジスペース
斬新さではフィアットグループ随一
室内にはメタル調塗装、レザー、クロームメッキがイタリア的な繊細なセンスで随所に散りばめられ、夜になるとプラネタリウムのようにLED照明が白く輝き始める。自動車の内装デザインを手がける人間なら、いろんな意味で思わずため息が出てしまうのでは。
知っている人が見れば、フィアットやアルファロメオとの共有パーツがそこかしこに発見できるが、個性や斬新さではフィアットグループの中でランチアが目下、随一だろう。
標準はレザー/アルカンタラ内装だが、試乗車は高級家具をはじめ、フェラーリやアルファロメオ等の内装でも有名なポルトローナ・フラウ社製のフルレザー仕様。さらにオプションで、ダッシュボードをレザー張りにすることも出来る。
リムジン的なリアシート
1年前に紹介済みなので、簡単に行こう。後席はいちおう3人掛けだが、基本的には最近のランチアがテーマにしている「リムジン」のようなゆとりと豪華さ狙ったもの。ソファのような形状で、座り心地は抜群によく、左右別々にリクライニングすることも可能だ。
またオプションとなるが、前側が電動スライディング、後ろ側が固定のダブルサンルーフ「グランルーチェ」(ルーチェ:イタリア語で「光」「輝き」を意味する)を装備すると、さらに豪華さがアップする。プジョー等のようなガラスルーフに比べて空が見える範囲は狭いが、適度な薄暗さがランチアには似合っている。
荷室は十分に広いが、拡大は苦手。床下にはパンク修理キット
フル乗車時の荷室容量は380リッターと大きめ。一方で、リアシートをコンパクトに折り畳む、などということはスッパリ諦めており、背もたれを倒しても、床の上には巨大な断層のように段差が残る。そこで積載性を少しでも補うべく、後席は左右別々にスライドさせて前に寄せることが出来る。
今回試乗した車両では、床下にスペアタイヤはなく、パンク修理キットとBOSEサウンドシステム(オプション)のアンプが収まる。今後はBOSE非装着車でもスペアタイヤレスが標準になるようだ。

