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マツダ デミオ コージー新車試乗記(第233回)

Mazda Demio Cozy

 

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2002年08月30日

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キャラクター&開発コンセプト

6年ぶりのモデルチェンジ

初代デミオは'96年8月にデビュー。小型で機能的なボディに合理的なパッケージングを詰め込んで、マツダの窮地を救うヒット作となった。

2002年8月7日、6年ぶりに一新されて登場の新型デミオは、アテンザに続く新生マツダの第2弾。初代から引き継ぐ高効率パッケージングに加えて、「心地よいインテリア」と「走る楽しさ」がもたらす「解放感」がウリのコンパクトカーだ。オプションの白地のキャンバストップが新しい。エンジンも新設計となる。

欧州フォードのフィエスタとシャーシを共有

今回のデミオはヨーロッパ・フォードの4代目フィエスタ(今年からヨーロッパで発売中)と同じプラットフォームを使用。ただし輸出も視野に入ったグローバルカーであるのは先代同様。アテンザは輸出こそ多いが国内販売は控えめなだけに、デミオの国内販売には期待がかかる。日本国内の目標販売台数は7,000台/月。ライバルはホンダ・フィット(7月の登録台数はなんと23,000台!)、トヨタ・イスト(同18,500台)、日産マーチ(17,500台)。いずれも驚異的な販売台数でベスト3を占める強豪揃いだ!

価格帯&グレード展開

性格違いの3タイプで展開。5速MTもちゃんと用意

ラインナップは「3カー・フロム・1」。つまり5ドアボディ1種類を使って3タイプを設定。

「Cozy(コージー)」は快適性やファンション性重視のユーザーを想定した看板モデル。内装はパステル調。注目は電動ホワイトキャンバストップ(10.6万円)。閉めた時は太陽の光が透けて見える。本革/布コンビシートやウッド調トリム付きの豪華版「Super Cozy」も用意。4速ATのみ。123.5~203.3万円(メーカーオプション含む。以下同じ)。

「SPORT(スポルト)」はその名の通りスポーツ系。1.5リッターエンジンに特別なチューンは施されないが、「SPORT」のみに設定のシーケンシャルモード付き4速AT(アクティブマチック)もしくは5速MT、185/55R15タイヤ&15インチアルミ、各種エアロパーツを装備。室内はダークブルー&グレー基調。145~200.7万円。

「Casual(カジュアル)」は自然体のベーシック仕様。エアコンがマニュアルになる他、細かい装備は省かれるが、キーレスやオーディオなど必要な装備はちゃんと押さえる。室内は明るいグレーで男女どちらもOK。4速ATと5速MTあり。107~153.1万円。

いずれもエンジン性能、サスペンション設定など基本的に共通(タイヤサイズは除く)。あくまでもデザインや装備の違いと考えていいだろう。

パッケージング&スタイル

ライバルの中で最大のボディ

全長3,925×全幅1,680×全高1,530~1,545mm。ホイールベースは2,490mm。先代に比べホイールベースが100mm伸び、全長も125mm伸びた。幅と高さに変化はほとんどなく、そういう意味では先代の取り回しの良さは受け継がれた。立体駐車場もOK。

ちなみにフォード・フィエスタのサイズは全高を除けば、ほとんど一緒。写真を見た限り、全体の形も似ており、ほとんど兄弟車といった感じがしないでもない。

デザインはミニアテンザ?

そのデザインは、先代のボクシーなデザインから、ややスタイリッシュ路線にシフト。フロントには5角形グリル。リアにはなぜかアルファ・ロメオ風ライト。個性派が群雄割拠するこのクラスにあって、良くも悪くも「普通」と言う印象。

魅力的なホワイトキャンバストップ

そんな中で目を引くのは、名車フェスティバの再来を思わせるキャンバストップ。3層構造の白地のキャンバス素材は東京ドームで使うものと同じという。「オープンカフェの白いテントの下」とマツダは説明するが、障子のように太陽光が透ける様子はなかなかイイ雰囲気。和めます。紫外線も透過せず、夏の室内温度上昇や静粛性も通常ルーフと同等という。開口部は長さ727×幅636mm。10秒ほどで開閉可能。

質感の高さと明るいカラーが好印象の内装

メタル調パネルはアテンザに似たものだが、何となくデミオの方が落ち着いた仕上げでイイ感じ。水平基調のダッシュ上部はディンプル処理の(今となっては)珍しくないものだが、エアコン吹き出し口のチリ合わせはピシッとしている。何よりも室内色がとても明るく、晴れやかな気持ちにさせる。試乗車はベージュ&イエローの組み合わせだった。

先代デミオのウリだった室内スペースはさらに進化。広さだけでなく実質的な居心地も高いレベル。空間自体はフィットと甲乙つけがたいが、デミオは前後席ともにシートの座り心地や風合いが良い。

後席シートは5:5の分割。ヘッドレストを外さず、3アクションで倒せるのはとても便利。絶対的容量でフィットには敵わないが、使い勝手は状況次第だろう。「マウンテンバイクがタイヤを付けたまま2台積める」とカタログで謳うが、確かに写真ではちゃんと縦に2台収まる(ハンドル周りが苦しそうだが)。多少無理はあるにしても、こんな芸当はミニバンでもないと難しい。大抵の場合、開口部で引っかかる。

基本性能&ドライブフィール

重厚な乗り味。不満のない動力性能

試乗車は「Cozy」の1.3リッター。ホワイトキャンバストップ仕様のDVDナビ付き(165.3万円)。同じ仕様のDVDナビ無し(134.1~140.1万円)なら、価格も手頃で新型デミオの売れ筋かつオススメ車の一つだ。

走り出してオッと思うのは重厚な乗り味。1クラス上のような安心感かつ滑らかな乗り心地。ソフトでありながらシッカリ感もあり、完成度の高さが伝わってくる。

先代の1.3リッターエンジンは回すとかなり騒々しかったが、可変バルタイ付き、後方排気!の新型1.3リッター(91ps/6,000rpm、12.6kgm/3,500rpm)は、遮音性向上を考慮したとしても格段に静かで滑らかになった。車重が1,100kg(試乗車)もあるせいか、せっかちにアクセルを踏むとキックダウンは増えるが、遅いとか、唐突といった印象は受けない。

ワインディングの走りに驚く!

市街地では「よく出来てるなあ」と冷静に感心していたが、ワインディングのデミオはそんな程度では済まない。すぐに分かるのがアンダーステアの小ささ。キャンバストップ仕様の4速AT仕様車と言えばアンダーステア一辺倒と想像してしまうが、デミオの回頭性はなかなか鋭い。まるでFF版ユーノス・ロードスター!? ステアリングを切った方向にグイグイ曲がり、リアの流れ方も穏やか。コーナー途中の横っ飛び必至の段差も冷や汗をかかずにクリアする。パワステも軽過ぎない。タイヤは175/65R14(「SPORT」を除く全車。試乗車はTOYO製J45)。速度域こそ低いが、アテンザの走りを彷彿とさせる。すばらしいフィーリングだ。

また、常用域で使いやすい(3500回転で最大トルクを発生)エンジンが、5,500rpmから上の高回転では、まるでスポーツカーのように軽く吹けるのも印象的だった。ちなみにこのエンジン(あるいは新型デミオ)のウィークポイントはおそらく燃費。1.3リッターのATで10・15モードが16.2km/L。実用レベルではライバルと遜色ないとマツダは説明するし、実際そういう傾向はあると思うが、燃費にシビアなのがこのクラスのユーザー。フィットの23.0km/Lは無理としても、イストやマーチ並のカタログ値にはしたかったところ。

高速での直進性もすばらしく、また室内の静かなことも特筆もの。130km/hあたりからはさすがにじわじわとしか加速しないものの、そのまま160km/hを越えるあたりまで問題なく速度は上がっていく。1.3リッターでも150km/h巡航は無理なく可能だ。日本の高速道路事情を考えれば、高速性能はすでにこのクラスで十分と言うところまで来ている。シートの出来がよく、長距離ドライブもまったく苦にならないだろう。

爽快なキャンバストップ

ワインディングを走り回った後、キャンバストップが開いたままなことにハタと気付いた。最新のオープンカーに比べても、風の巻き込みや風切り音は非常に小さい。何より、路面の荒れたワインディングをあれだけガンガン走ってボディがミシリとも言わなかったことがスゴイ。Aピラーが割と寝ており、前席に座って走っている限り開放感はあまりないが、クルマを停めてリクライニングした時、青空が天井に広がる気持ち良さはキャンバストップでしか味わえないだろう。

ここがイイ

マツダ入魂の一作、といってよく、すばらしくよくできた小型車だ。フロントフードを開けるとストラットタワーバーが見えることに象徴されるとおり、ボディ剛性はきわめて高い。その結果、しなやかな足回りが生き、カジュアルなグレードでもスポーティーカー並みの走りを獲得することができた。エンジンパワーもほどほどゆえ、逆にぶん回して走ることができ、「低速でも楽しい」走りが堪能できる。

内装の質感の高さ、雰囲気の明るさもすばらしい。収納では小さめながらゴミ箱がグローブボックス横にあるし、グローブボックスにはティッシュ箱が縦に入ると言う工夫は高評価。リアシートは一段高めの着座位置になり、広さも十分なので快適だ。何よりキャンバストップを開いたときは前席より後席の方がその恩恵にあずかれる。リアヒーターダクトが全車標準というのもすごい。

ここがダメ

キャンバストップは洗車機に入れられない。仕方ないことではあるが、結構切実な問題だ。手洗いでしか洗車ができないとなると、退いてしまう女性は多いのでは(クルマを手洗いしている女性をあまり見たことがないので‥‥)。

カーナビのコントローラがステアリングの下に隠れており、大変使いにくい位置だ。もちろんリモコンはあるのでそれで操作すればいいのだが、ぴったり合った置き場がない(助手席前に置き場はあるが運転席からはちょっと遠い)。

総合評価

誰が乗っても、おそらくすぐにこのクルマのタダものではない完成度に気がつくはずだ。内装はコンパクトカークラスとしては出色の高品質感。一瞬1.5と勘違いするほど、1.3でも力強い(1.3とはいえ1348ccもあるので当然かもしれないが)。低回転のトルクがフラットだからトロトロ走るのが得意で、低速トルクがあるゆえアクセルオンに対するキックダウンも少なく、実にスムーズに市街地を走れる。それでいて前述のように、カジュアルなグレードでもロードスターを髣髴とさせる走りをみせるし、パッケージングもほとんど完璧。コンパクトカーとしてのトータルな完成度では、このクルマを上回るクルマは見当たらない。

ただ、スタイルは先代のイメージを引き継いだためかやや凡庸で、ライバルらの個性的な風貌と比べると弱さを感じざるを得ない。バカ売れ中のイストあたりと比べると、どう考えてもデミオの方が出来がいいが、カッコよさではイストが上。ドアの音にこだわった高級感がイストのウリだが、デミオはそういうギミックがなく(ドアの音はクラス相応)あくまでまじめ一本で作られている。つまりマーチの異様なまでのエクステリアデザイン、フィットの驚異的な室内空間といった一芸に秀でた部分がデミオにはなく、総合力で勝負ということになるわけだ。あえて言えばスポーティな走りが一芸に秀でたところだが、このクラスの主なユーザーである女性には、強く訴求できる部分ではないだろう。

アテンザ、デミオといった最近のマツダ車の高品質感、走りに対するこだわりは凄いものがある。両車ともにクルマ好きをうならせる完成度には脱帽だ。自信を持ってお勧めできるハードといえるだろう。とはいえ一般消費者のクルマ選びもうちょっとイージーで、スタイルやイメージ、販売力といったソフトの部分が大きな力を持っている。タレントが乗っていると言うだけで売れてしまうご時世なのだ。そんな部分でこのよくできたクルマが売れないとなったら大変残念なこと。マツダにはうまいマスコミ戦略をとってもらいたいし、我々としてはできるだけいろいろなところでこのクルマの良さをアナウンスしていきたいと思う。いいぞ、デミオ。がんばれデミオ。

  ●車両協力:東海マツダ販売株式会社

公式サイトhttp://www.demio.mazda.co.jp/

 
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