Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > マツダ デミオ 13-スカイアクティブ

マツダ デミオ 13-スカイアクティブ新車試乗記(第638回)

Mazda Demio 13-Skyactiv

(1.3リッター直4・CVT・140万円)

純ガソリン車の限界に挑む!
スカイアクティブ Gで
ハイブリッド車に走り勝て!

2011年07月23日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

純ガソリン車にして10・15モード燃費:30.0km/Lを達成


マイナーチェンジを機に登場したデミオ「13-スカイアクティブ」
(photo:Mazda)

2007年7月にデビューし、スポーティかつパーソナルなコンパクトカーとして人気を得てきた3代目デミオが、発売からちょうど4年経った2011年6月30日にマイナーチェンジした。

最大のニュースは何と言っても、新グレード「13-スカイアクティブ」で、10・15モード燃費30.0km/Lを達成したこと。圧縮比で世界一の14.0を達成した新開発1.3リッターエンジン「スカイアクティブ G 1.3」とマツダ自慢のアイドリングストップ機構「i-stop」をデミオで初めて搭載したモデルだ。

30.0km/Lというモード燃費は、ハイブリッド車以外のガソリンエンジン車では国内でダントツのトップ。これまでの純ガソリン車で最高だったのは軽自動車で、ダイハツ・ムーヴとスズキMRワゴンが27.0km/L。普通車の純ガソリン車ではトヨタ・ヴィッツ(1.3リッター)の26.5km/Lが最高で、同クラスのハイブリッド車ではフィットハイブリッドが30.0km/Lだ。

 

また今回のマイナーチェンジでは、ラインナップ全般で改良を実施。エクステリア(マツダ車共通のファミリーフェイスを採用)、インテリア(シート生地、クッション構造の変更など)、ボディの局部剛性強化、サスペンションの再チューニング、リア中央席の3点式シートベルト&ヘッドレスト新設定などが行われている。

販売目標は6000台に上方修正


2007年に発売された3代目デミオ (前期型)

新たに設定された国内の販売目標は月間6000台(年間7万2000台)。これは2007年発売時の5000台(年間6万台)より2割増えている。ちなみに過去4年間の実績は、以下の通り(自販連のデータ)。

・2007年:6万5507台(普通車で8位 ※上半期の2代目デミオを含む)
・2008年:6万4990台(同10位)
・2009年:5万5603台(同14位)
・2010年:6万5949台(同11位)
・2011年上半期:2万5694台(同9位)

デミオはマツダの最量販車種であり、その販売台数はアクセラやプレマシーの2~3倍。そのうち今回の「13-スカイアクティブ」は、約60%を占めるとマツダでは予想している。

ちなみにCMキャラクターは、現在セリエAのインテル・ミラノに所属する長友佑都。小柄なのに、よく走り、しかも最後までバテないプレースタイルは、まさにデミオ スカイアクティブのイメージにピッタリ。

■外部リンク
・マツダ公式HP>プレスリリース>新型「マツダ デミオ」を発売 (2011年6月30日)

価格帯&グレード展開

114万9000円からスタート。スカイアクティブは140万円


デミオは全車5ドアのみ

新グレードの「13-スカイアクティブ」が加わるなど、ラインナップには若干の入れ替えがあったが、それ以外は大きく変わらない。価格帯は装備が良くなったせいか、以前より少し高い114万9000円~162万1750円。なお、ベースグレードに設定のあるe-4WDは、約20km/h以下でのみモーターで一時的に後輪を駆動できる電動4WDで、日産車と同じものだ。

専用エンジン、i-stopなど、様々な専用装備がつく13-スカイアクティブだが、上位グレードに標準装備される運転席シートリフター、後席3人分のヘッドレストと3点式シートベルト、リアシート6:4分割可倒シートなどは標準装備ではなく、5万円のパッケージオプションに含まれる。この中には、オートライト、オートワイパー、LEDドアミラーウインカー、リア3面のティンテッドガラスといったものも含まれ、装備内容からするとメチャクチャにお買い得だ。

13-スカイアクティブにはさらに、本革巻ステアリング、アドバンストキー、イモビライザーも5万円のセットで装着できる。

 

13-スカイアクティブはヘッドライトのブルーアクセントが目印

■13-スカイアクティブ  140万円(CVT) 
 ※10・15モード燃費:30.0km/L
  ※今回の試乗車
■13C   114万9000円(5MT/4AT)/137万2250円(4AT・e-4WD)
 ※10・15モード燃費:21.0km/L(FF)、17.8km/L(e-4WD)
■13C-V  129万円(CVT)
 ※10・15モード燃費:23.0km/L
■15C   133万5000円(5MT/CVT)
 ※10・15モード燃費:19.4km/L(5MT)、20.0km/L(CVT)
■SPORT     162万1750円(5MT/CVT)
 ※10・15モード燃費:19.4km/L(5MT)、19.2km/L(CVT)

パッケージング&スタイル

「5ポイントグリル」のフロントバンパーに変更


試乗車は看板グレードの「13-スカイアクティブ」

ボディサイズは全車同じで、全長3900mm×全幅1695mm×全高1475mm。フロントバンパーのデザインがマツダ共通の5ポイントグリルになったのが、マイナーチェンジ版の特徴。これによって全長は15mmほど長くなったが、それ以外は大して変わりなし。要はそれだけデザインが好評だったということだ。

 

ボディカラーは全11色。写真はスカイアクティブ専用色の「アクアティックブルーマイカ」

とはいえ看板グレードのスカイアクティブには、ちょこまかと専用外装パーツが奢られている。具体的には、ヘッドランプ内のブルーリング、リアの「SKYACTIV i-STOP」バッジ、LEDのリアコンビランプ、大型ルーフスポイラー、専用14インチアルミホイールなど。なお、ヘッドランプが専用デザインとなるせいか、スカイアクティブではディスチャージ・ヘッドランプをオプションでも装着できない。

 

また、目立たないところでは、4輪全ての前面に大型のディフレクターが付いているし、ボディ下部もアンダーパネルで徹底的にフラット化されている。これらはもちろん、30km/Lのための空力パーツだ。後で触れるが、エンジンにもブルーメタリック塗装の専用樹脂カバーが付いてくる。

インテリア&ラゲッジスペース

スカイアクティブの専用メーターは秀逸


オーディオやナビは全車オプション

インテリアも基本的には変更なし。違うのは樹脂パーツの塗装部位や表面仕上げ、メーター文字盤のブラック化、シート地くらいだ。ただしスカイアクティブには、文字盤の一部にブルーをあしらった専用メーターを採用。メーターのど真ん中には、アイドリングストップ機能の状態を示す「i-stop」の文字が表示される。

 

これは「i-DM」でアイドリングストップ時間を表示したところ。上が1回のドライブ中(エンジン始動→イグニッションオフまで)、下が工場出荷時からの積算

また通常モデルでは単にバックライト付のモノクロ液晶になっている情報パネル(全車トリップコンピューター付になった)も、このスカイアクティブではカラー液晶の「i-DM(インテリジェント・ドライブ・マスター=Intelligent Drive Master)」と呼ばれる多機能情報パネルになっている。

i-DMの表示内容は、外気温やシフトポジションに始まり、エコ運転の度合いをリアルタイムで示すインジケーター、エコ運転のスキルを判定するスコア、瞬間燃費、平均燃費、平均車速、アイドリングストップ時間、燃料計、ODO/トリップメーターなどなど。小さいながらも、数多くの機能が詰め込まれ、なおかつ見やすく、使いやすい。この手のものでは珍しいくらいよく出来ている。

コンパクトカーらしく、クーペ的でもある乗車感


チルトステアリングは全車標準だが、テレスコは未設定。シートリフターはスカイアクティブだけ、セットオプションになる

運転席に座ると、クルマ全体がとてもコンパクトに感じられ、まるで小型のクーペみたいな感覚すらあるデミオ。広々感が売りの最近の軽自動車やフィットあたりとはまったく違うが、これぞコンパクトカーの本流という風にも思える。シートは生地のほか、スカイアクティブ用のみ軽量化等のため、背もたれクッションの構造が変わったようだ(スプリング→ネット)。

 

インテリアカラーはブラックと写真のライトグレーの2色から選択可能

前述の通り、上位グレードの後席には、3人分のヘッドレストと3点式シートベルトが標準装備になるが、スカイアクティブの場合は、他の装備と一緒に5万円のパッケージオプションになる。フロントサイド&カーテンエアバッグは全車6万8250円のオプション。

荷室の眺めは変わらず

荷室容量も従来通り250リッター。ヴィッツなどと同等で、日常的な買い物なら、これでほとんど用が足りると思う。

荷室の拡大は、背もたれをシングルフォールディングで畳むだけの簡単なもの。床下に収納スペースはなく、単にテンパータイヤが収まる。e-4WD仕様のみスペアレスのパンク修理キットだ。

 

基本性能&ドライブフィール

世界一の圧縮比「14.0」


気合いの入ったエンジンなので、樹脂製カバーもスペシャル。補器用バッテリーはアクセラ i-stopのような2個ではなく1個とした分、大型になっている

新型エンジン「スカイアクティブ G 1.3」は1.3リッターと言っても、従来の「13C」や「13C-V」のものとはまったくの別物。排気量は1348ccに対して1298ccと少し小さく、ボア×ストロークは74.0×78.4mmに対して、71.0×82.0mmのロングストローク。圧縮比は13Cが10.0、ミラーサイクルの13C-Vが11.0のところ、スカイアクティブは「誤植じゃないの?」と思わせる14.0だ。「(量産ガソリン車で)世界一の圧縮比」とマツダが豪語するのも頷ける。しかも燃料はレギュラーガソリンのまま。

このエンジンはシリンダー内に直接燃料を噴射する「直噴」。一般的に直噴はシリンダー内の冷却効果によって高い圧縮比が可能になるが、それでもだいたい自然吸気なら12.0くらいまで。ちなみにフェラーリ 458イタリア(直噴V8)の圧縮比もかなり高い方だが、それでも12.5。あんまり関係ないが、市販されている二輪車で、かなり圧縮比が高い方に入るBMWの高性能スポーツバイク、S1000RRでも13.0だ。14.0となるとレース用車両でも珍しいと思う。

 

「スカイアクティブ G 1.3」のキャビティ付ピストン
(photo:Mazda)

そんなわけで、巷では10・15モード燃費:30.0km/Lという数字に注目が集まるが、クルマ業界的にはこの14.0の方が衝撃的かも。ちなみに「G」とはガソリンのことで、マツダが開発する新世代ディーゼルは「スカイアクティブ D」になる。

とりあえず、この「スカイアクティブ G 1.3」には新技術が盛りだくさんで、以下にプレスリリースにあった箇条書きを抜粋しておく。吸気バルブの電動化(それによって遅閉じミラーサイクルを行う)やら、相当いろんなことを行っていることが分かる。

 

クールドEGR
(photo:Mazda)

■排出ガスの一部を冷やして燃焼室に戻し、混合気の自己着火(ノッキング)を抑制するクールドEGRシステムの採用
■気化潜熱による筒内冷却効果を高めて、ノッキングを抑制する6つの噴射口を設定した新開発マルチホールインジェクターの採用
■ピストン頭頂部と火炎の接触を抑え、燃焼期間を短縮し、冷却損失を抑制するキャビティ付ピストンの採用
■マツダ初の「デュアル S-VT(可変バルブタイミング機構:吸気側電動S-VT)」の採用
■ピストンやコンロッドなどの軽量化、ピストンリングの張力低減などエンジンの機械抵抗を低減など
■アイドリングストップの頻度が向上した改良型「i-stop」の搭載

“エコカー”っぽくない力強さ。i-stopも優秀

こまかい話は置いといて、さっそく走り始めると、高圧縮比の恩恵か、ロングストロークのせいか、それともデミオというクルマが元々そうなのか、低回転からかなり力強い。排気量相応の力強さとも言えるが、少なくとも“30.0km/Lを達成したエコカー”にありそうな、いかにも燃費最優先という感じは全然ない。低回転でツキのいいエンジンと滑りを抑えたCVTによって、かったるさのない走りが可能だ。

このスカイアクティブ用のCVT、他メーカーの最新モデル同様、減速時でも止まる寸前までエンブレを掛ける。これは燃料噴射をなるべく長くカットしたいからだが、おかげで止まる寸前に、ちょっとだけギクシャクする。これはスカイアクティブだけではなく、最近の純ガソリンエコカーにはありがちなもの。ギリギリまで燃料消費を省くためと知れば、無視できると思う。

 

i-stop作動中。取扱説明書には「外気温が高いと作動しない」とあったが、よく見ると外気温計は34度。条件が合えば作動するようだ

それから、街中を走り始めて、すぐに感心するのがデミオ初搭載のi-stop。アイドリングストップする頻度や再始動性を高めたという改良版で、確かに他社のアイドリングストップ車(ハイブリッドを除く)の中では最も優秀。とにかく再始動が早く、スターターノイズもほとんど聞こえないくらい瞬間的に掛かる。

とはいえ、取扱説明書によると、i-stopは外気温が高すぎると作動しないらしい。折りしも試乗した2日間は最高気温が35度まで上がった猛暑日で、確かに炎天下では室温が十分下がった状態でも、アイドリングストップはしなかった。ただし夕方や夜になると、外気温がかなり高い状況でもエアコンやヘッドライトオンのまま、確実にアイドリングストップする。ハイブリッド車ほどではないが、その頻度は十分多い方だと思う。

街乗りでは不満なしだが

パッケージングの項でも触れたように、運転席に座った瞬間からクルマと一体感があるデミオ。ステアリングを切った時の反応も自然で、しかも軽快。「いいコンパクトカーだなあ」と率直に思える。街中ではまったく不満がない。

特にステアリング操作に応じて、鼻先がスッと向きを変える様子は、アクセラ、プレマシー、アテンザ、それにロードスターあたりに通じるもの。今回のマイナーチェンジでは、支持剛性のアップなどサスペンションをかなり入念に改良したようで、マツダの資料にも「連続性」「なめらか」「リニア」「統一感」といった言葉が並ぶ。言われてみれば、確かにマイチェン前の唐突なクイック感は減ったかも。

とはいえ、試乗したスカイアクティブの場合、ワインディングでの身のこなしには、説明が要る。まずタイヤは、スカイアクティブ専用のヨコハマ・アスペク「ブルーアース」(175/65R14)。転がり抵抗を抑えたエコタイヤだが、とりあえず単純にブレーキを踏んだ時にはしっかり止まるし、安定感もある。

 

一方、ステアリングを切った時、もしくはステアリングを切りながらブレーキを踏む、といった操作を行うと、それに応じてリニアにスリップアングルが後輪に付くのはいいとして、実際にはそれがあっけないくらい低い速度域で発生する。スカイアクティブにはDSCが標準装備なので(他グレードには設定すらない)、そこからどうこうなるわけではないが、正直なところもうちょっと、いやもっとグリップして欲しいと思ってしまった。

最初はタイヤのグリップ不足かと思ったが、実際にはこのハンドリング自体がコーナリング時の転がり抵抗を抑えるものでもあるようだ。そういえば、エコ運転の度合いを判定する例の「i-DM」は、横Gのスムーズさも判定材料にするし、それはリニアで連続性にこだわったというサスペンションチューニングともつじつまが合う。要するに、走行抵抗が増すような急ハンドルは行うな、ということのようだ。

高速安定性は空力パーツのおかげ?


スカイアクティブではアンダーフロアの空力パーツが大きな効果を発揮。Cd値は従来モデルの0.32から0.29に低減
(photo:Mazda)

100km/h巡航時のエンジンは約2000回転。10年前の1.3リッタークラスではあり得ない低回転。そんなわけで、エンジン音は小さく、ロードノイズも静かで、風切り音もうるさくない。

高速直進安定性も予想以上にいい。高速コーナーや車線変更こそ慎重になるが(なにぶんワインディングでは上に書いたような印象なので)、まっすぐだけなら、とても安定感がある。

後から気付いたのが、これには床下のアンダーパネルと4つのタイヤディフレクターがそうとう効いているのではないか。スカイアクティブのCd値(空気抵抗係数)は0.29と、このクラスでは抜群に低いが、同時にダウンフォースが多少なりとも発生して揚力を相殺している感じが、そこはかとなくある。

と、書きながらプレスリリースを見ると、「ボディ上下の気流を整えることで、中高速域で伸び感のある『上質な走り』を実現しています。」とあった。いや確かにそんな感じ。

試乗燃費は14.8~20.2km/L。実用燃費はフィットHVと同等か

気になる試乗燃費は、あくまで参考ながら、いつもの一般道と高速道路の交じった区間(約90km)で14.8km/L。帰宅途中で混み合った一般幹線道路を走った区間(約30km)で17.8km/L。同じルートをもう一度走った区間(同じく30km)で18.0km/L。深夜の空いた一般道をエコランした区間(約30km)が20.2km/Lだった。

ちなみに最後に20.2km/Lを出した時の「i-DM」のエコ運転判定は、間違いなく最高評価と思いきや、「その調子でがんばりましょう」だった(一瞬で消えてしまうので記憶)。どうやらこの上には「すばらしい運転です。常にこの運転ができるように挑戦し続けましょう」があるらしい。残念。なお、エアコンは基本的に常にオンで走った。

10・15モード燃費30.0km/L、JC08モード燃費25.0km/Lという数値は、フィットハイブリッド(それぞれ30.0km/Lと26.0km/L)とほぼ互角。実用燃費でも、おおむねフィットハイブリッドと互角か、ちょっと負けるかな、という印象。そう思って、昨年フィットハイブリッドに試乗した時の実燃費を見たら、15.3~22km/Lだった。ちなみにフィットハイブリッドの数値は、デイズが営業車として複数台を愛用する初代プリウス後期型と同等だ。

なお燃料タンク容量は、なぜか13-スカイアクティブだけが他グレードより6リッター少ない35リッター。これもひょっとして燃費に効いているのだろうか? と冗談で思ったら、どうやらマジで軽量化のためにタンクも作り直したらしい・・・・・・。ちなみにフィットハイブリッドは40リッターなので、デミオに航続距離での勝ち目はない。

ここがイイ

HVに負けてないこと。HVより安いこと

チャレンジする姿勢の勝利。ガソリンエンジンでもここまでやれるという事実は、今後まだまだ改善は進むということ。原発事故によって電気万能ではなくなりつつある昨今、化石燃料をいかに効率よく使うかは、もっと考えられていいことだろう。その意味では、HVを含めた電気自動車一辺倒になりがちな世論に警鐘を鳴らすものだ。

原発は廃棄にかかるコストを考えると、決して安い電力ではないらしい、ということが分かってきた。HVやEVも同様に考えないといけないのかもしれない。その点、ガソリン車なら廃棄にはすでに実績がある。そして何よりHVより安い価格が魅力だ。実用燃費が若干フィットハイブリッドを下回っても、価格差は20万円ほどあるから、デミオの方がユーザーには安上がりだ。

ここがダメ

30km/Lのため、多少ムリしてる感じもある

動力性能は十分だし、乗り心地もいいし、高速安定性も高いなど、走りの良さが目立つデミオにあって、ワインディングでのコーナリング性能には正直、10・15モード燃費30.0km/Lのシワ寄せが感じられた。30.0km/Lという数値に意味があるのは分かるが、何か不毛な感じがしてしまう。それからシートリフターがスカイアクティブだけオプションなのはいただけない(5万円高で他の装備と一緒に付いてくるが)。

総合評価

価格差を考えたら勝ち

しばらく前のことだが、マイナーチェンジ前のデミオをレンタカーで借りて、一日乗り回したことがある。これが乗り心地から静粛性、動力性能に至るまで、何一つまったく不満がなかった。レンタカーに乗るというのは、まさに日常使いをするということであり、そのシーンにおいてデミオは空気のような存在の、素晴らしい生活道具だった。最近はカーシェアリングでもデミオがずいぶん使われている。タイムズは旧マツダレンタカーだから当然だが、オリックスでもデミオが多い。もちろん車両価格が安め、ということもあるのだが、乗って不満ないという点ではカーシェアリングキャリアにとってもベストな選択なのだろう。

そのデミオにスカイアクティブコンセプトが投入された今回のモデルでは、その良さがさらに向上した。燃費スペシャルな走り方をまったくしない試乗でも、ハイブリッド車に匹敵する燃費をたたき出した。さすがにフィットハイブリッドには及ばなかったが、JC08モード燃費での差(フィットハイブリッドの26.0km/Lに対して25.0km/L)に比例するその燃費の良さは、価格差から考えたら勝ちと言ってもいいのではないか。

フルモデルチェンジではないデミオの場合、車体から全てを見直すスカイアクティブコンセプトとしては完璧なものではないとのことだが、ガソリン車でこの燃費が出せるのなら、ひとまず「HVにあらずんばエコカーにあらず」という昨今の風潮に対してカウンターとなりえる。10・15モード燃費を数字で競い合って、大衆受けを狙うというのはどうかとも思うが、その戦いにガソリン車で挑んで、この成果を出したマツダには敬意を表したい。常識にとらわれず圧縮比14.0を打ち出し、血のにじむような、爪に火をともすような努力によってこの燃費が達成されているわけで、NHKあたりで特番を作って、その技術力を広く世に知らしめてもらいたいものだ。日本の物作りのすばらしさが結晶となっているわけで、新興国にはまだ追いつけない部分だと思う。

フル・スカイアクティブにも期待

ただ、30km/hという数値を実現することがまず前提にあったがため、無理をしたと思えるところも、なくはない。例えば、おそらく燃費スペシャルとして特注されたであろうタイヤは、マツダが主張するZoom-Zoomな感覚を削いでいると思う。ハンドリング自体はシャープなだけに、タイヤは役不足に思えた。ならばいっそ、走りの楽しさを求めるというマツダのDNAにそぐわなくても、このクルマをダルな燃費スペシャルにしてしまった方が違和感はなかったのではないか、とも思う。あるいは今後出てくるだろう、シャシーからすべて一新されたスカイアクティブモデルであれば、そのあたりのバランスがとれるのかもしれない。今回はフルモデルチェンジでないだけに、そこがちょっと苦しいところかも。

室内の広さは、さほどでもないが、デミオのスタイリングは発売4年を経ても、魅力を保っている。アジアンテイストのマーチ、何だかもうよく分からなくなってしまったヴィッツ、初代と似たような印象のフィットあたりと比べても、いまだに十分カッコいい。となると、このデザインならもうちょっとワイドで、大きなタイヤを履きたくなってしまうのだが、それはこのクルマの趣旨であるエコに反することになる。フル・スカイアクティブの新型が出る時には、エコカーらしい独自のカッコいいスタイリングとなることを期待したい。この素晴らしいエンジンを既存モデルに搭載したことは、販売面のインパクトとしても弱く、やはりちょっと残念に思える。

 

ともあれ、ガソリンエンジンでもここまで出来る、技術はまだまだ進化を続ける、それによって経済的で、エコな生活を享受することができる、という夢を見させてくれるのが、デミオ・スカイアクティブのすばらしさだ。マツダはハイブリッドで出遅れた分、ガソリンエンジンでここまでのクルマを作り上げた。他社と同じようなクルマを作るのではなく、競争に打ち勝つべくインディペンデントで新しい物作りを行った結果だ。そういう好循環は、公正な競争があるからだろう。原発事故を見ていると、独占がもたらす弊害を強く感じてしまう。やっぱりどんな分野でも、多くの企業が自由競争することで、健全性が担保されると思う。自動車業界をはじめ、合併しながらどんどん寡占化していく日本企業が多いが、デミオはそれってどうなの、と広島の地から警鐘を鳴らしているように思えるのだ。

試乗車スペック
マツダ デミオ 13-スカイアクティブ
(1.3リッター直4・直噴・CVT・140万円)

●初年度登録:2011年6月●形式:DBA-DEJFS
●全長3900mm×全幅1695mm×全高1475mm
●ホイールベース:2490mm ●最小回転半径:4.7m
●車重(車検証記載値):1010kg(670+340)
●乗車定員:5名

●エンジン型式:P3-VPS
●排気量・エンジン種類:1298cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴・横置
●ボア×ストローク:71.0×82.0mm ●圧縮比:14.0
●最高出力:84ps(62kW)/5400rpm
●最大トルク:11.4kgm (112Nm)/4000rpm
●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/35L
●10・15モード燃費:30.0km/L ●JC08モード燃費:25.0km/L

●駆動方式:前輪駆動(FF)
●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット+コイル/後 トーションビーム+コイル
●タイヤ:175/65R14 (Yokohama Aspec Blue Earth)
●試乗車価格:154万9000円 ※含むオプション:SKYACTIVパッケージ1(リア3点式シートベルト×3、リアヘッドレスト×3、オートライト、レインセンサー、撥水機能フロントガラス&サイドミラー、ダークティンテッドガラス(リアドア&リア)、LEDドアミラーウインカー、運転席シートリフター、リアシート6:4分割可倒式シートバック) 5万円、SKYACTIV パッケージ2(本革巻ステアリング、イモビライザー、アドバンストキーレスエントリー) 5万円、ナノイーディフューザー 2万7000円、フロアマット 2万2000円
●ボディカラー:アクアティック ブルーマイカ
●試乗距離:250km ●試乗日:2011年7月
●車両協力:東海マツダ販売株式会社

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

最近の試乗記一覧