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三菱 ミラージュ ディンゴ新車試乗記(第59回)

Mitsubishi Mirage Dingo



1999年01月29日

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キャラクター&開発コンセプト

「SUW」コンセプトから生まれたコンパクトワゴン

ディンゴは三菱が提案する新しいコンパクトファミリーカー。超個性的トールスタイルは5ナンバーボディ。搭載する環境エンジンGDIは新開発の1.5リッター。プラットフォームも新開発で、ワンルーム間隔溢れる広い室内を実現している。

「スマート・デザイン」「エコロジー・コンシャス」という基本思想にもとづいてつくる、ユーティリティに優れた新しいカタチのクルマを「SUW(スマート・ユーティリティ・ワゴン)」と名付けており、今後三菱の小型ラインナップの中心をなすカテゴリーとしての期待が込められている。

なお、ネーミングの「Dingo」には深い意味はなく、ビンゴゲームの「当たり」と三菱ダイアモンドの「D」を組み合わせた造語。

価格帯&グレード展開

価格帯は137.8~173.8万円、廉価グレードでも十分満足できる装備

ミラージュは搭載エンジンだけでも5種類以上あり、グレードは営業マンでも把握できないほどたくさん存在しているが、ディンゴに搭載されるエンジンは1.5リッターGDI1本のみ。駆動方式もFFだけで、ミッションも4速ATのみ。つまり4つ用意されるグレードは装備の違いによるもの。全グレードに同じ安全装備を施し、最も安いBスタイルでさえエアコン、リアワイパー、電動ドアミラー、ボディ同色バンパーなど、普通廉価版では省かれそうなものまで標準装備されている。ボディカラーもどれもハッキリと異なる全8カラーというのが嬉しい。

今回の試乗は主力グレードのMタイプに「アメリカンバージョン」というエアロパーツを装備したものだ。

パッケージング&スタイル

超個性的スタイル

「ミラージュ・ディンゴ」、ミラージュと冠しているものの、ベースは'95年に登場した現行の5代目ミラージュではない。プラットフォームは'98年10月に発効した側面衝突規制を含む新保安基準に適合すべく、新開発したもの。今秋、モデルチェンジ予定のミラージュを視野にいれた設計だ。

全長3885mm×全幅1695mmというボディサイズは、現行ミラージュの3ドアよりもわずかに15mmほど長い程度。しかし、ホイールベースは25mmプラスの2440mm。コンパクトなボディに、広い室内、そして1635mmという高い全高、今が旬の典型的なコンパクトミニバンルックスだ。

ラウム、キャパ、ちょっと下のクラスにはキューブやデミオなどの強豪ばかりが揃っているカテゴリーに参入したディンゴは、まず、外観デザインで存在を強く主張している。ベタッとした縦目2灯の5角形ヘッドライト、同じモチーフのテールライト、そして三菱お得意の大胆なフェンダー処理など、重心を極端に下半身に集中させている。一般的なカッコ良さをわざと崩した感じのスタイルだ。あまりに大胆すぎる顔つきには拒絶反応を見せる人もいるだろうが、飽和状態に近いといわれているこのクラスの中では十分買うに値するものではないだろうか。

上質感溢れるインテリア。順手タイプのコラムシフトには欠点もある

室内は外観スタイルのようなインパクトはない。壁のように平面的な構成は最新三菱流といったところ。インパネ、ドアトリムは濃いグリーンと淡いベージュの2トーン仕上げで、開放感と上質感に溢れたもの。特に上級車種に匹敵する高い質感に関しては評価に値する。

タコメーターはなく、その分、スピードメーターが異様にでかく、視認性は良い。それ以上に親切だと感じたのは、燃料残量警告灯の左に△印を設けて、フューエルリッドが左にあることを示しているということ。ささやかではあるが、非常に心打たれた。

コラムシフトはフロアシフトと同じように親指でロック解除できる順手で握るタイプ。O/D解除ボタンのない7ポジション式だ。操作性は自然で良好だが、節度感があまりにもソフトなために、4レンジを超えて3レンジに入ってしまうこともしばしば。また、オーディオ&エアコンを操作するときに、かなりシフトレバーがじゃま。室内が暗い夜間時は特に問題だ。

ウォークスルーのしやすさはクラストップ

ディンゴのウリは「Hウォーク」と名付けられた、トンネルのない完全フロアにコラムシフトと足踏み式パーキングブレーキの採用で前後左右にウォークスルーを可能とした居住空間だ。前席は両側にやや追いやられ、2座の間隔は非常に広く後席移動は楽々。前席2座の間隔幅は、同クラスではナンバーワンといえそうだ。車内をそんなに歩き回るのか? という人のためには、オプションでしっかりとベンチシート風にアレンジできる「スライド式マルチボックス」が用意されている。

頭上空間、足元空間のゆとりも全く問題ない。フロアは低く乗降性に優れ、どこに何を入れたか忘れてしまうほど収納スペースも豊富。もちろんきちんと跳ね上げてたためるリアシートのアレンジも多彩。

このように後発モデルならではの研究成果が随所に見ることができるわけだが、不満箇所もないわけではない。後席の背もたれは短い全長でフルフラットを成立させたいがために、寸法足らずで、平ら。さらにタイヤハウスの張り出しが大きいために、リアは3人掛けだと窮屈。とはいえ、この限られたサイズでこれほど上手くまとまめあげているクルマも他にないことは確かだ。

基本性能&ドライブフィール

世界最小の1.5リッターGDIを初搭載

搭載されるエンジンは、三菱が自信を持って送り出す新開発の世界最小1.5リッター直4GDIエンジン。今まで三菱の直噴エンジンGDIはハイオク指定だったが、今回はレギュラーへの対応と同時に実用域のトルクを向上している。最高出力は105PS/6000kgm、最大出力は14.3kgm/3500rpm。そして気になる燃費は10・15モードで16.2km/リッターと、クラストップレベルはもちろんのことキューブとデミオの1.3リッターエンジンを上回る優れた数値を達成している。今、直噴エンジンはトヨタのD-4、日産のDIがリリースされているが、いずれも三菱GDI(3.5、2.4、1.8、1.5リッター)に匹敵する生産規模に達しておらず、ハードの開発技術はさすが三菱と感心させられるところ。

あまりにも軽いパワステが高速巡航時に恐怖心をあおる

強力な加速感はないが、キャラクターを考えれば実用上全く問題ないのも確か。市街地ではパワー不足に悩まされることはない。最大トルクが3500回転で発生することからも分かるとおり、一般道での再加速は、無理にシフトダウンしていなくても3速または4速のまま、トルクに任せれば十分事足りる。アクセルの踏み込む量が少なくてすむので、ECOランプ(低燃費走行を示すもの。100km/h巡航でも点灯していた)もパジェロイオよりよく点灯する。静粛性に関しても大きな不満はないが、ロードノイズの大きさがやや目立つ。

パワステは非常に軽く、乗り味はソフト。購入層の中心となるヤングファミリーや女性にとって好まれそうだ。でもあまりにも軽すぎ。高速巡航でちょっとでも気を許すと、手応えがないので車体がふらついてしまうほど。フットワークも乗り心地重視だからなのか、たよりないもの(と感じるだけ? )。ハンドリングに対しての応答がいまいち把握できないために、狙いどおりにトレースできない。ドライバーが思っている以上に限界性能は高いのかもしれないが、恐怖心をあおるセッティングはもう少し煮詰め直した方が良さそうだ。

ここがイイ

さすがに後発だけあって、このサイズでミニバンに必要な要件全てを見事に完成してある。クルマはしばらくこれでイイ、と確かに思える仕上がりだ。サードシートを必要としないファミリーなら、ほとんど何も不満なく使えるはず。ウォークスルーももちろんしやすいに越したことはない。室内の質感も高い。他社がコストダウン見え見えのクオリティにしている中、こんなに高めにキープしていて大丈夫か、と思わず心配してしまうほど。

ここがダメ

とにかくインフォメーションのないステアリングのフィーリングは何とかしないと。女性にはこれくらいの軽さの方がいい、ということかもしれないが、ちょっと甘やかしてます。またこのクラスにこれ以上求めるのは酷だとは思うが、130km/hを超えるような速度域での余裕のなさ(パワー的にも、直進性でも)はもう少し何とか、と思わずにいられない。

総合評価

リアの窓にはパワーウインドウがない。これは子供を乗せることが多い人にはとても便利。子供が自らの意志で広くも狭くも、開け閉めできるので、ちょっとした物を車外から渡すことができる。ただ、夏、駐車後の換気用にはリアにパワーウインドウがないととても辛い。そこで提案。リアの窓は運転席からはパワーで動かせ、リアシートからは手動のみで動かせるという仕掛けが作れないだろうか。ミニバン系にはこれが一番使いやすいと思えるのだが。

ちょっとエグめのルックスさえ気に入れば、競合他車の中ではベストの出来だと思う。ただクルマは当分これでイイと思う人が増えることは、メーカーにとっては複雑な思いがあるはずだが。

公式サイト http://www.mitsubishi-motors.co.jp/

 
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