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シトロエン DS3 シック新車試乗記(第603回)

Citroen DS3 Chic

(1.6リッター直4・4AT・249万円)

現代のAMIか? AX GTか?
それともあの“DS”の再来か?
超個性派シトロエン、DS3に試乗!

2010年07月24日

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キャラクター&開発コンセプト

伝説の名称を受け継ぐ個性派モデル


新型シトロエン DS3
(photo:プジョー・シトロエン・ジャポン)

新型C3と同時に、日本では2010年5月6日に発売されたのがC3ベースの個性派モデル「DS3」だ。多くの部分をC3と共有するが、ボディタイプはC3の5ドアに対して3ドア。またC3の特徴である巨大なゼニスフロントウインドウを持たない代わりに、全7色のボディカラーと全4色のルーフカラーの組み合わせが可能な「ビークルパーソナリゼーション」システムを採用。内外装に専用の意匠も設けて、個性の強いデザインとなっている。またC3にはない1.6リッター直噴ターボ・6MT仕様がある点も、DS3ならではの特徴だ。

 

2代目シトロエン C3
(photo:プジョー・シトロエン・ジャポン)

「DS」という名は名車「シトロエン DS」(1955~1975年)を思わせるものだが、今回の場合は通常ラインナップの「C」シリーズとは一線を画す、より個性的なモデルに与えるシリーズ名称として復活している。今後は次期型C4ベースのDS4の登場が近いようだ。

■新車試乗記>シトロエン C3 (2010年5月)
■新車試乗記>シトロエン C3 1.4 (2002年11月)

価格帯&グレード展開

自然吸気・4ATは249万円、ターボ・6MTは269万円


エンジン本体はMINIやプジョー207と同じ自然吸気バルブトロニックないし直噴ターボとなる

日本仕様は、「DS3 シック」と「DS3 スポーツシック」(受注生産)の2グレード構成。エンジンはいずれも、PSA(プジョー・シトロエン・グループ)とBMWが共同開発した1.6リッター直4だが、前者は第2世代のBMW MINI クーパーと同じ通称“バルブトロニック”の自然吸気タイプ(120ps、16.3kgm)、後者はクーパー“S”用と基本設計を同じくする直噴ターボ(156ps、24.5kgm)となる。変速機は前者が4AT、後者は6MTだ。

C3のベースグレードとの価格差は40万円にも及ぶが、上級グレード(C3 エクスクルーシブ)との比較だと、差は10万円に縮まる。これは装備内容が近いからで、いずれもオートヘッドライト、オートワイパー、オートエアコン、バックソナー、自動防眩式ルームミラー、ESP等などを標準装備する。またDS3には、フロントバンパー部にLEDのデイライトが備わる。

■C3       1.6リッター直4(120ps、16.3kgm)+4AT 5ドア  209万円
  10・15モード燃費:12.3km/L

■C3 Exclusive  1.6リッター直4(120ps、16.3kgm)+4AT 5ドア  239万円
  10・15モード燃費:12.3km/L ※レザー仕様:+20万円

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今回試乗したDS3 シック
車両協力:シトロエン名古屋中央

■DS3 Chic    1.6リッター直4(120ps、16.3kgm)+4AT 3ドア  249万円
  10・15モード燃費:12.5km/L ※レザーパッケージ:+23万円
  ★今回の試乗車

■DS3 Sport Chic 1.6リッター直4 直噴ターボ(156ps、24.5kgm)+6MT 3ドア  269万円
  10・15モード燃費:13.7km/L ※レザーパッケージ:+18万円

パッケージング&スタイル

パーソナルカーらしい個性を放つ


ボディサイズは全長3965mm×全幅1715mm×全高1455mm。ホイールベースは2455mm

ゼニスフロントウインドウこそ斬新だが、全体としては一般的なコンパクトカー風の2代目C3に対して、シトロエンらしく?奇抜な個性を放つのがDS3だ。基本的な骨格はC3に近く、ヘッドライトユニット、ボンネット、フロントフェンダーなどのパーツは共通?と思われるのだが、全高はDS3の方が75mm低く、また3ドアということもあり、パーソナル感が強く漂う。つまりファミリカーっぽさは、ほぼ完璧に排除されている、と言える。

 

細かく見てゆくと、まずフロントバンパーの両側に、縦に6個、計12個並ぶLEDのデイライトが目立つ。これはその名の通り、日中に常時点灯しているもので、輝度が高く、真正面から見るとかなり目立つ。一方、ポジションランプやヘッドライトとの同時点灯はしない。

 

C3のボディカラーは全7色。試乗車はC3でも選べる「ブルーボッティチェリ」

印象的なのが、シャークフィン状に塗装面が残され、残りをブラックアウトしたCピラーだ。普通は全部ボディ同色か、ブラックアウトか、メッキか、ぐらいで、こういうのは珍しいパターン。この半ブラックアウトのCピラーによって、ボディカラー(全7色)とは異なる色のルーフ(全4色、その他ステッカーもあり)が、フローティングしているようにも見える。

 

シトロエン DS

このルーフカラーは、「MINIみたいな」とつい言いたくなるが、シトロエン側に立てば、「かつてのDSみたいに」と言うべきか。そうやって意識して見ると、後ろ下がりで後部が庇(ひさし)のようになったルーフ形状やラップラウンドしたリアウインドウ面はDS風、と言えなくもない。

インテリア&ラゲッジスペース

インパネ形状はC3と共通だが、スペシャリティカーらしさを強調

「ゼニスフロントウィンドウ」がない代わりに、スペシャリティカーらしい囲まれ感が強まったインテリア。試乗車の場合は、ピアノブラック調(ノアール)のダッシュパネルと黒(ミストラル)のレザーシート(23万円のオプション)で精悍な印象だ。実際には例のビークルパーソナリゼーションによって、ダッシュパネルは空色、ワインレッド、白、カーボン調が選べるし、レザーも「ラマ」と呼ばれるライトグレーの2トーンカラーなどが選べる。

 

メーターにはイグニッションをオンにすると針がいったん振り切れるスィープ機能が付く

Dシェイプのステアリングやメーター類など、パーツ形状そのものはC3と共通なのだが、表面の質感を微妙に変えることで、それぞれの車両キャラクターに合わせて雰囲気を変えているのが分かる。少なくとも試乗車の場合、VWはもとより、MINIやアウディのコンパクトカーあたりにも対抗できる高級感が感じられる。

 

「DS3 シック」の場合、標準シートはファブリックだが、試乗車のようなレザーパッケージ車では、「DS3 スポーツシック」と同じ形状の「ダイナミックシート」になる。好みや体格次第ではあるが、やや大柄であり、見た目ほどサポート性は高くない。レザーにこだわらなければ、シックに標準のファブリックや、スポーツシックに標準のアルカンタラ&ファブリックでもいいかな、と思える。

 

センターコンソールには12V電源とオーディオ用USB端子が備わる

ドライビングポジションの調整自由度は十分にあるが、気になったのは右ハンドル化のせいか、足もと左側のフットレストが妙に近いこと。一般的な体格だと、少々左足の置き場に困ることになる。一方、助手席でも座面の高さが調整できるのは、同乗者に喜ばれる部分だろう。

実用的な後席とクラス最高レベルの衝突安全性

3ドアということで乗降性はそれなりだが、後席には大人2名が余裕で座れる。MINIなどと違って、座り心地もいいし、閉塞感もそんなにないし、いざとなれば3人掛けも可能だ。またCピラーにある大きなグラブバーは着座した状態でも握りやすく、ちょっと嬉しい配慮。ルーフはC3に比べて低く、ドリンクホルダーが見あたらないのも残念だが、3ドアの小型ハッチバックとしては十分に実用的な後席だと言える。

 

DS3には太いCピラーを利用して、使いやすいグラブバーが備わる

なお、衝突安全装備は5人分の3点式シートベルト(4人分はフォースリミッター付)、6エアバックなど。ユーロNCAPの総合評価では、全部門で最高評価の5つ星となっている。

トランク容量はクラブマンやポロ並み

トランク容量はMINI(160リッター)の2倍近くあり、MINI クラブマン(260リッター)や新型ポロ(280リッター)と同等の285リッター。C3同様、トランクを拡大する場合は、背もたれを倒すだけのシングルフォールディングだが、3ドアの場合は、座面をいちいち跳ね上げるのが面倒だから、これで十分だろう。

 

床下にはやはりC3同様、分厚い制震・遮音材の下に、テンパースペアタイヤおよび車載工具が収まっている。このヌメッとした遮音材、他車ではあまり見かけないが、静粛性にけっこう効きそう。

 

基本性能&ドライブフィール

基本的にはC3と同じだが・・・・・・

試乗したのはC3と同じ1.6リッター直4(120ps、16.3kgm)の「DS3 シック」(標準仕様で249万円)。変速機はおなじみの4AT(AL4型)だ。ちなみに直噴ターボ・6MTの「DS3 スポーツシック」の方は、すでに初期導入分が完売になったとのこと。

というわけで、パワートレインはプジョー207あたりを皮切りに、新型C3でも体験済みのもの。前に乗った新型C3同様、トルコンのトルク増大効果も手伝って、じんわりアクセルペダルを踏んだ時にはトルクフルだが、俊敏な加速を期待してせっかちに踏み込むとかったるさを感じやすい。C3よりも、その印象が強いのは、スポーティな内外装によって無意識に走りへの期待が高まったせいだろうか? 約1.2トンという車重は、C3とほとんど同じで、ギア比やタイヤ外径は全く同じだ。

 

エンジン自体は共通のMINI クーパーの場合、6ATでも「よく走るなあ」という印象を受けるのだが、DS3で印象が異なるのは、やはり4ATのせいだろう。3速から4速にシフトアップするのは60km/h前後と相変わらずだが、再加速の際は3速ないし2速にキックダウンし、多少のタイムラグやシフトショックが生じる。とはいえ、かつてのAL4を思えば変速はかなりスムーズで、国産4ATに近いのだが。100km/h巡航は、C3と同じ約3000回転弱(2900回転くらいか)でこなす。

評価が難しい乗り心地

静粛性は、ウォーーンといったギアノイズっぽい音こそ聞こえるが、エンジン音やロードノイズ、風切り音はよく抑えられている。乗り心地に関しては評価が難しい。タイヤはC3と同じ195/55R16のミシュラン エナジー・セイバーで、乗り味も同じようにシッカリと踏ん張るタイプ。ドイツ車的とも言えるが、最近はVWのポロやゴルフも乗り心地が良いので、そう単純にも言い切れない。リアサスはこのクラスで一般的なトーションビームで、路面によっては直接的なショックを伝えてくるが、それでもやはりシトロエンらしく、比較的スムーズな路面ではフワッとした当たりの良さが感じられる。

10・15モード燃費は12.5km/L、試乗燃費は9.8km/L

10・15モード燃費はC3(12.3km/L)と大差ない12.5km/L。若干DS3が優れるのは、足まわりのジオメトリー分を無視すれば(若干トレッド値などが違う)、全高が低い分、空気抵抗が少ないせいか、と思う。

そして参考までに今回の試乗燃費は、いつもの一般道・高速が混じった区間(約90km)で9.8km/L。さらに一般道を燃費に気づかって走った区間が約30kmごとに、1回目:10.1km/L、2回目:10.6km/L、3回目:10.8km/L、4回目:13.5km/L(最後だけ深夜で渋滞なし)だった。実際に街中で雑に乗ってしまうと10km/Lは割ってしまいそうだが、意外に実燃費は新型ポロの1.2 TSI(我々の試乗で約10~16km/L)と大差ないな、という印象。使用燃料はもちろんハイオクだ。

ここがイイ

「変」なデザイン、多彩なカラー組み合わせ、意外に高い実用性

往年のAMI (アミ)をも思わす、異様なデザインは素晴らしすぎる存在感を発揮する。街中で見てハッとするクルマはそうないが、これは誰が見ても一目で印象に残るだろう。モダンとクラシックの融合、などという当たり前のフレーズでは表現できない、ちょっと「変」なデザインは、これぞシトロエンというべきもの。特に試乗車のブルーはとてもポップでおしゃれだ。また7色のボディカラー、4色の屋根、ミラー、ホイール、5色のインパネなど様々なカラーコーディネイトを用意する「ビークルパーソナリゼーション」は、こういった少数販売のモデルにとっては、高い付加価値といえる。

試乗車のインテリアは豪華で、小さくても高級という感じは十分に味わえる。また実用性は意外に高い。後席にも出入りしてみたが、それほど苦にならなかった。

ここがダメ

4AT、硬めの乗り心地

自然吸気エンジンは現行MINI (クーパー)と同じだが、加速感やレスポンスは少なからず見劣りする。乗り比べなければ気にならないとも言えるが、4ATがハンディとなっているのは否めないところ。

乗り心地という点では、(同じプラットフォームの)プジョー207の方が、よりフランス車らしいかも。裏を返せば、C3/DS3の方が現代的(ドイツ車的で)とも言える。

細かいところだが、ドアサッシュをブラックアウトしている樹脂フィルムを折り返した部分の処理がいい加減なこと。ひょっとすると、これもデザイン?

総合評価

今回はライバルと真っ向勝負

かつてのシトロエンAXには、3ドアの「GT」というグレードがあったが、DS3はその再来のようなものだろうか? 3ドアのコンパクトカーを作る場合、たとえシトロエンでもスポーティに振ってしまうのか、とこの点はちょっと複雑な気持ちだ。5ドアのC3に乗ると、かつてほどではないにしろ、シトロエンらしさがかなりある。しかしDS3の場合は、内装こそ豪華だが、全体的にはスポーティさが演出されているだけに、シトロエン的なマッタリ感があまり感じられない。それはすなわち、「割にふつうのクルマっぽい」ということで、さすがシトロエンという外観デザインや「小さな高級車」的なインテリアと比べると、「昔からのシトロエン好き」にはやや物足りなさが残る。

 

何しろ「DS」という車名からインスパイアされるイメージは、ハイドロのもたらすゆったりとした高級な乗り心地。その意味で、このしっかりした足のDS3ではかなりイメージがズレてしまう。むろん、いつものシトロエン同様、多分1万kmも走りこむと、おそらく乗り心地はずいぶん変わってくると思うが、こと新車の状態ではコーナリング一つにしても、水平を保って路面をナメるように曲がっていくというより、ドイツ製コンパクトカーのそれに近かった。つまりDS3の場合は、並み居るライバルたちと真っ向勝負、というのが今回シトロエンが選んだ方針だったのだろう。

「スポーティ」ではなく、「スペシャリティ」で

かようにDS3がコンパクト・スペシャリティ・スポーツモデルということであれば、やはり本命はターボ+6MTということになる。まったり走るなら4ATでもいいが、キビキビ走るとなるとやはり役不足は否めない。2速、3速がどうにも決まらないワインディング、3速、4速を行ったり来たりする60km/h界隈など、さすがに4ATではちと辛い。といっても、それは走りこんだ場合の話。トルク感は十分あるので、普通に走るだけなら、これでも十分とは思う。とにかくノンターボ・AT車の場合は、スポーティに走ろうと思ったりしないことが肝心。いつものシトロエンのつもりで乗れば、不満は出ないだろう。

 

DS3はそんな感じだが、DSはシリーズ名ということなので、DS4、DS5、もしかしてDS6あたりまで登場したらと想像すると、期待は大きく膨らむ。まずはまもなく登場が噂されるDS4がどうなるか。願わくば、より大きなDSシリーズはスポーティ路線ではなく、あくまでスペシャリティ路線であって欲しい。DSとは、DシリーズのS(スポーティ)ではなくS(スペシャリティ)であるという定義だったら、シトロエン好きとしてはこの上ない幸せがやってくるはず。ちなみにメーカーによると、DSとは「Different Spirit」のことらしい(英語なのが引っかかるけど・・・・・・)。であれば、さすがシトロエンだと思う。

 

さて、国産メーカーは今後、国内販売車種の整理(廃止)をさらにすすめるようだ。日本車の選択肢がどんどん少なくなるわけだが、一方で個性的なクルマなら輸入車、となって、輸入車の需給バランスが取れてくれば、シトロエンのような個性的なモデルでも一定の販売台数を確保できるはず。さすれば今後も日本で販売し続けることが可能だろう。DS3は今年の販売目標が600台。これでインポーターやディーラーが成り立つのであれば素晴らしいことだ。国産大手メーカーが600台しか売れないクルマを作ることなど、まずないのだから。


試乗車スペック
シトロエン DS3 シック
(1.6リッター直4・4AT・249万円)

●初年度登録:2010年5月●形式:ABA-A5C5F01
●全長3965mm×全幅1715mm×全高1455mm
●ホイールベース:2455mm ●最小回転半径:5.4m
●車重(車検証記載値):1190kg( 750+440 ) ●乗車定員:5名
●エンジン型式:5F01 ● 1598cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・横置
●ボア×ストローク:77.0×85.8mm ●圧縮比:10.5
●120ps(88kW)/6000rpm、16.3kgm (160Nm)/4250rpm
●カム駆動:チェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/50L
● 10・15モード燃費:12.5km/L ●JC08モード燃費:-km/L
●駆動方式:前輪駆動(FF)
●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット/後 トーションビーム
●タイヤ:195/55R16( Michelin Energy Saver )
●試乗車価格:272万円 ( 含むオプション:レザーパッケージ:23万円 )
●試乗距離:220km ●試乗日:2010年7月
●車両協力:シトロエン名古屋中央(株式会社 渡辺自動車)

 
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シトロエン名古屋中央

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