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シトロエン DS4 シック新車試乗記(第646回)

Citroën DS4 Chic

(1.6L直4ターボ・6速セミAT・309万円)

シトロエンの異端派か?
はたまた新派か、正統派か?
DSシリーズの第二弾に試乗!
  

2011年11月05日

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キャラクター&開発コンセプト

クーペとSUVのクロスオーバー


シトロエン DS4 スポーツシック (パック ペルソ 装着車)
(photo:プジョー・シトロエン・ジャポン)

基本ラインナップの「C」シリーズとは別に、独自のコンセプトで始まった「DS」シリーズ。その第一弾がDS3で、今回の「DS4」が第二弾になる。市販バージョンは2010年9月のパリモーターショーで発表され、欧州では2011年5月に、日本では9月28日に発売された。

メカニズム的には7月に発売された2代目C4がベース。ボディタイプも同様に4ドアハッチバックだが、キャラクター的にはクーペとSUVのクロスオーバー、もしくはコンパクトサイズの4ドアクーペ風となっている。

 

なお、2010年に発売されたDS3は、言わばC3ベースの3ドアスペシャリティモデルで、こちらは早くも世界で10万台を販売したという。また9月のフランクフルトショーでは、DSシリーズの第三弾となる「DS5」の市販バージョンが発表されており、日本では2012年に導入される予定。こちらの目玉は「ハイブリッド4」と呼ばれるディーゼルハイブリッド仕様になる。ただしDS5もC4/DS4と同じ「プラットフォーム2」の延長版を使うため、サスペンションはハイドロではない。

価格帯&グレード展開

6速セミAT(156ps)の「シック」と6速MT(200ps)の「スポーツシック」


シトロエン DS4 シック (パックペルソ装着車)。外観でスポーツシックと違うのはタイヤサイズとホイールのわずかな意匠くらい
(photo:プジョー・シトロエン・ジャポン)

日本仕様は6速EGS(エレクトロニックギアボックスシステム)と呼ばれるセミATの「シック(Chic)」と6速MTの「スポーツシック(Sport Chic)」の2グレード。エンジンはいずれも1.6リッター直噴ツインスクロールターボだが、前者は最高出力が156ps、後者はプジョーRCZの6MTと同じ200psにチューンナップされる。

「シック」の価格は、同じ156psのターボエンジンと6速EGSを積むC4の上級グレード「エクスクルーシブ」(299万円)より10万円高い309万円。200ps・6MTの「スポーツシック」は345万円。

オプションで2トーンレザーを設定


「シック」にはレザー×ファブリックのコンビシートが標準
(photo:プジョー・シトロエン・ジャポン)

DS4は全車バケットタイプのシートが標準で、「シック」の表皮素材はレザーとファブリックのコンビ(黒×グレー)、「スポーツシック」がレザー(黒)になる。

DS3のように2トーンの外装を自由にアレンジできる注文システム「ヴィークル パーソナリゼーション」はないが、その代わりに専用エクステリアパーツとツートンのレザーシート(黒×ルージュと黒×ホワイトの2種類)をセットにしたオプションパッケージ「Pack Perso(パックペルソ)」が用意されている(ただし全6色あるボディカラーのうち、パールホワイトの「ブラン ナクレ」とブラックの「ノアール ペルラネラ」でのみ選択可能)。ペルソとはパーソナリゼーション、フランス語で言えばペルソナリザションのことだろう。

その他、舵角に応じて光軸を15度可変するバイキセノンディレクショナルヘッドライト、斜め後方の死角を監視して車両が接近した場合にドライバーに光で知らせるブラインドスポットモニターシステム、AM/FM/CDプレーヤーを標準装備。ナビは販売店オプションになる。

 

「パック ペルソ」のツートーンレザー。写真のルージュもしくはブラン(ホワイト)が選べる
(photo:プジョー・シトロエン・ジャポン)

■DS4 Chic  6速EGS(セミAT) 309万円 ※今回の試乗車
  156ps/6000rpm・24.5kgm/1400-3500rpm
  ※レザーパッケージ +25万円
  ※Pack Perso    +30万円

■DS4 Sport Chic  6速MT     345万円
  200ps/5800rpm・28.0kgm/1700rpm
  ※Pack Perso    +5万円

パッケージング&スタイル

クーペ風でもあり、クロスオーバーSUV風でもある


試乗車は「シック」の「パック ペルソ」

ボディサイズ(新型C4比)は全長4275mm(-55)×全幅1810mm(+20)×全高1535mm(+45)、ホイールベースは2610mm(同)。つまりスペシャリティモデルにしては珍しく、全長が短く、背は高いスタイリングになっている。最低地上高はC4より25mm高く、VWのティグアンと同じ170mm。車止めや段差でアゴを擦る心配をしなくて済むのが嬉しい。

 

タイヤは写真の「シック」が17インチ、「スポーツシック」は18インチになる

サイドビューは、複雑なキャラクターラインや面構成もさることながら、リアドアのアウターハンドルをサイドウインドウにビルトインして、2ドア風に見せているのがポイント。これはイタリア車では定番の手法だが、フランス車では割りと珍しい。また天地の浅いサイドウインドウや大径タイヤも、クーペっぽく見せるのに役立っている。

 

ボディカラーは全6色で、これはブラン ナクレ(パールホワイト)         

ルーフは後方でかなりスラントし、サイドウインドウも寝ているため、結果的にリアウインドウは極端に小さくなっている(おかげで後方視界は今ひとつ)。そこにディフューザー風のワイドバンパーが加わって、後ろ姿もかなりクーペルック。ちょっとアウディTTみたい、と言ったら怒られるかもしれないが、それくらい4ドアハッチバック離れしている。

インテリア&ラゲッジスペース

インパネは新型C4と共通


「パック ペルソ」の2トーンレザー内装。シックの場合は+30万円のオプション

インパネの基本デザインはC4と同じ。ソフトでコシのある独特の触感の「スラッシュスキン」を使ったダッシュボード、透過照明の色をホワイト~薄いブルー~濃いブルーまで変更できるメーター、スイッチやジョグダイアルを多数備えたステアリングなど全体の質感は高く、同クラスの日本車はもちろん、ドイツ車よりも艶のあるインテリアになっている。ウインカーや各種警告音を4パターンから選べるところも新型C4と同じだ。このサウンド、一番スタンダードな「クラシック」以外、心が落ち着かない音ばかりなので、あまり選択の余地はないのだが。

ピカソに続いてパノラミックフロントウインドウを採用


スライディングバイザーを閉めた状態(手前の運転席側)と開けた状態(助手席側)

C4と大きく違うのは、ルーフの前端部分(スライディングサンバイザーと呼ばれる)が後方に13センチほどスライドする「パノラミックフロントウィンドウ」を採用していること。これはC4ピカソと同種のものだ。頭上までガラスが伸びるC3の「ゼニスフロントウインドウ」ほどではないが、通常のフロントウインドウより広々とした空を眺めることができる。ただし晴天の日中は日差しが眩しいため、ついつい運転席側のスライディングバイザーを降ろしがち。でもフランス人ならそうせず、サングラスをかけるのかも。

シート骨格はC4譲りだが、ホールド性は抜群


C4と同じそら豆型ヘッドレストのほか、電動のアクティブランバーサポートも装備。前後スライドは手動で、リクライニングはダイアル式

試乗車のシートは「パック ペルソ」の2トーンレザー。レザーのせいか、座った瞬間の当たりはフランス車のフワッ、ヌメッではなく、カチッとした感じだったが、ドイツ車のシートとはやはり座り心地は異なる。ホールド性は抜群で、巨大なセンターコンソールもコーナリング中に太ももを押し当てるのに好都合だった。ポジションも自由に選べるし、シートヒーターは当然として電動ランバーサポートも備えるなど機能も立派。

サイドウインドウは何と「はめ殺し」

外から見ると、ちょっと狭そうな後席。実際に乗ろうとしてドアを開けると、ドアと一緒に尖ったリアクォーター部分(実は黒の樹脂パネル)がせり出してきて、ちょっと面食らう。またルーフが低いため、乗り込む時には頭を意識して屈める必要がある。

 

エアバッグは計6個を標準装備(前席用のフロントとサイド、そして前後席をカバーするカーテン)。「Euro NCAP」はもちろん最高評価の5つ星

いったん後席に座ってしまえば、着座姿勢は自然で、意外に快適。ヘッドルームはしっかりあるし、足もとも余裕。小さなサイドウインドウ、太めのCピラー、黒の内装地等のせいで開放感はないが、ロングドライブでも快適に過ごせそう。中央席の座り心地も意外に良かった。ただ3人座ると体は密着しそう。横方向の広さは二人掛けでちょうどいい。

 

リアサイドウインドウは4ドア車では異例の固定式

驚いたのはリアのサイドウインドウが固定式であること。いわゆる「はめ殺し」。これはやっぱりデザインのためだが、一般的なヒンジ式ドアでは相当珍しい。というか、他にあったっけ? 日本で販売されていないトヨタ・アイゴ/プジョー107/シトロエン C1の5ドア車でも、確かリアサイドウインドウはヒンジで少し開くはずだが・・・・・・そう言えば2CVは固定式か。

トランク容量はゴルフを上回る

トランク容量は370リッターで、このクーペ風スタイルからすれば十分に広い。新型C4(380リッター)より少ないが、VWゴルフ(350リッター)を上回る。開口部も広いので、大物も積みやすいはず。また最近プジョー・シトロエンの中型車でお約束になっている充電式懐中電灯や12Vのシガーソケットも備えている。

 

床下にはテンパースペアタイヤを搭載。スポーツシックの場合はパンク修理キットになる

後席を畳む場合は、C4と同じように背もたれをパタンと倒すだけ。荷室フロアとの間に段差は残るが、C4でも書いたように、実用的にはこの方がいい。積載性は総じてゴルフあたりと同等以上。

基本性能&ドライブフィール

1.6ターボ(156ps)と6速EGSの「シック」に試乗


プジョー車でもおなじみの1.6直噴ターボ。ボンレスハムみたいな?ターボの配管が特徴的

試乗したのは6速EGSの「シック」。エンジンは1.6リッターの直噴ターボで、最高出力は156ps、最大トルクは24.5kgm。エンジン+ミッションは現行C4の上級グレードやC4 ピカソと同じものだ。

シトロエンの6速EGSに試乗するのは、2007年にデビューしたC4 ピカソ以来で、4年ぶり。当時は2リッター直4の自然吸気エンジンとの組み合わせだったから、この1.6直噴ターボとの組み合わせ(2009年モデルのC4ピカソで初出)はモーターデイズでは初めてになる。

 

操作方法でレクチャーが必要なのはリバースの入れ方。レバーを引き上げながら奧に押す

C4ピカソのEGSはコラム式だったが、DS4のそれはフロア式。孫の手みたいに小さなシフトセレクターには「P」位置がなく、エンジンは「N」位置で始動。A(オート)をセレクトしてアクセルを踏むと、電子制御クラッチがスムーズにギアをつないで発進する。

1速で転がしてから、おもむろに2速へシフトアップ。この時、セミATに付きものの失速感が少し出るが、アルファのセレスピードなどで免疫が付いていれば気にならないレベル。最大トルクの24.5kgmは実に1400回転から発揮されるが、体感的には2000回転から上でターボの過給圧がグゥンと高まる。

 

2速以降の変速はとてもスムーズで、セミATであることを忘れそうになる。また直噴ターボエンジンも相変わらず良い。このエンジン、プジョーの308、3008、RCZ、そしてMINIではアイシンAW製6ATとセットになるが、それらと違って6速EGSにはアクセルペダルと出力軸がつながっているようなダイレクト感があり、当然ながらエネルギーロスはずっと少なく感じられる。

アイポイントはC4より33mm高いが、ウインドウの天地が意外に狭いので、一般的なSUVほど見晴らしは良くない。まあ、例のパノラミックフロントウインドウを全開にすれば、空だけはバッチリ見えるが。最小回転半径は5.3メートル。ゴルフ(同5.0メートル)ほどではないが、とりあえずUターンや切り返しの時には慌てないで済む。

156psでも十分に速い


パドルシフトはコラム固定式。操舵中でも見失うことはなく、操作しやすい

エンジンを回した時のパワー感も十分。車重は1360kgで、パワーウエイトレシオはこの156psバージョンでも約8.7kg/ps。つまり、とびきり速くはないが、まったく遅くもない。カチッとしたクリック感のあるパドルシフトで6速ギアを駆使すれば、高速道路からワインディングまで、かなりのハイペースで気持ちよく走れる。

ちなみに200ps・6MTバージョンのパワーウエイトレシオは7kg/psジャスト。しかもギア比は1速こそEGSと同じだが、2速から6速までは低めで加速重視になっている。ちなみにMINIのクーパーSは184psで、パワーウエイトレシオは約6.6kg/ps(6MT)だから、加速だけならほぼ同等では。ただ156psバージョンに乗る限りは、これ以上速くなくてもいい、というのが、まあ一般的な感想ではなかろうか。

シャシー性能はドイツ車要らず

シャシー性能はそんなパワートレイン以上に頼りがいがある。サスペンションは新型C4と基本的に同じコイルスプリング式だが、セッティングは少しハードで、ダンピングの効いたキビキビしたハンドリングになっている。またC4と同じ電動油圧式パワステの操舵感もスッキリ自然。ブレーキは他のシトロエン車同様、ちょっとカックンブレーキだが、効き自体はとてもいい。

タイヤのグリップ感も高い。この「シック」の場合、このクラスの定番であるミシュラン プライマシーHPの215/55R17を履くが(スポーツシックは同パイロット スポーツ3の225/45R18)、公道ではよほどの無茶をしない限り、前輪も後輪も路面をピタリと捉えて離さない。ステアリングを切れば切っただけ曲がるし、コーナー立ち上がりでアクセルを踏み込めばグイグイと加速してゆく。感覚的にはVW ゴルフやアウディ A3にぜんぜん負けてない。

乗り心地は硬めと言えば硬めだが、そこはフランス車。尖った感じの硬さは一切ない。ただ「シトロエン」らしいかどうか、という情緒的なところは意見が分かれるかも。

100km/h巡航は約2000回転でこなす

高速巡航も快適だった。70km/hを超えた辺りで6速トップに入り、100km/h巡航時のエンジン回転数は約2000回転。この回転域で走る限り、エンジンはスヤスヤと呼吸するだけで、燃費も良さそう。夜間、ハイスピードコーナーが続く高速道路を走るのは緊張するが、DS4の場合は速度と舵角に応じて光軸を可変するディレクショナルヘッドライトがコーナーの奧を照らしてくれることもあって、まったく苦痛ではなかった。

また車線変更をする時に気付くのが、DS4全車に標準の「ブラインドスポットモニターシステム」。これはボルボが5年ほど前から採用している「BLIS」と同様のもので、サイドミラーに映らない死角(ちょうど車両の斜め後ろ)に後続車が入ってくると、サイドミラー部に仕込まれたオレンジの発光ダイオードが点灯するというもの。オレンジの光がもう少し目立ってもいい気はしたが、自分の「視点」が増えるような感じがあり、安全デバイスとしては有効だと思う。

試乗燃費は9.7km/L~12.5km/L

今回はトータルで約230kmを試乗。参考までに試乗燃費はいつものように一般道と高速道路を半々で走った区間(約90km)が9.7km/L。一般道を無駄な加速を控えて走った区間が1回目(約30km)は11.0km/L、2回目(同じく30km)は11.7km/L。さらに高速道路や信号の少ない郊外の一般道を走った区間(約40km)が12.5km/Lだった。全体の印象としては、都市部のゴーストップでは10km/Lに届かないが、郊外や高速道路では12~13km/L台をキープする、という感じ。

 

フューエルキャップはC4 ピカソや2代目C4に続いてキャップレス式。便利

なおJC08モード燃費は11.7km/L。同モード燃費は冷間始動が入るなど10・15モードより条件が厳しいため測定値が低くなる傾向にあるが、それでも試乗燃費はモード燃費とほぼ同等という、レアなケースになった。ちなみに同じエンジンを積むプジョー308(車重もほぼ同じだが、トルコン6AT)は、10・15モード燃費で11.2km/Lに留まる。

ここがイイ

個性的なデザイン、シャシー性能など

細かいところから全体まで、他にない変わったデザイン。内装にも変なところがいっぱいあってオシャレ。パノラミックフロントウインドウは正直、昼間は眩しくて閉めっぱなしにすることが多そうだが、活躍する瞬間が年に一度か二度あれば、そんなデメリットも帳消しになると思う。

走りっぷりに加えて、燃費もいい直噴ターボエンジン。6速EGSの変速マナー自体はDCTのように完璧とは言えないが、これはこれで完成度は高く、クルマ好きなら個性として楽しめるレベル。パドルシフトも使いやすかった。

ドイツ車に負けない操縦安定性やハンドリング。フランス車らしい大船に乗ったような安心感と快適性もある。また先代C5の後期型から採用されているバイキセノン・ディレクショナルヘッドライトも相変わらずいい。ステアリング操作に合わせてブンブンと派手に左右への光軸可変を行ない、ナイトドライブをサポートしてくれる。

センターコンソールの小物入れは、クーラーの冷気で簡易冷蔵庫にもなり、なかなか便利。手も届きやすく、大型のペットボトルもすっぽり収まる。

ここがダメ

後方視界が良くない

走行中は気にならないが、困るのはバックの時。ドアミラーに映る範囲がサイズのせいか曲率のせいか狭く、距離感もつかみにくい。フロントおよぶバックソナーは標準装備だが、バックモニターは後付けでいいからぜひ欲しい。

標準装備のオーディオは、基本的にステアリングスイッチで操作することが前提のようだが、最後まで使いづらかった。音質もちょっと車格に負けているように思う。

総合評価

微妙な距離感

輸入車では多くの選択肢があるオープンモデルだが、運転中に広々とした視界が得られるモデルは意外に少ない。その点、C4ピカソやC3、そしてこのDS4のフロントガラスは、オープンモデルよりいいかも、と思うくらい開放感に溢れている。天気に関係なくパノラマビューを楽しめるし、風を巻き込まず、空調も効いた状態なのだから。その上でDS4はサイズ感もちょうどよく、5ドアハッチと実用性も十分で、かなり気になるモデルだ。

走りに強い個性はないが、セミATの違和感はずいぶんなくなっており、急坂での発進でもしない限り、まあ文句は出まい(ヒルホルダーも装備されている)。外周に針があるスピードメーターが独自だけれど、インパネのデザインはごくスタンダードだし、ステアリングもセンターパッドが一緒に回転する普通のタイプだ。シートだってしっかりしているし、大きなドリンク用スペースもある。いやもう何も不満ない。DS4いいかも。フロントガラスの個性だけでも、買う価値はある。

 

(photo:プジョー・シトロエン・ジャポン)

しかし、まあこういう最近のシトロエンに関して、古くからのシトロエン好きは微妙な距離感を抱いていることと思う。いやそんなことはないと思う人は、かつてビョーキとか、泥沼にはまっていると言われたシトロエン好きの中にはこんな声もあると思って読んでいただきたい。

まずDS4に関しては、そのスタイリングうんぬんより、何よりSUVっぽい出で立ちにどうしてもなじめない。車高をちょっと上げたようなSUVぽい雰囲気がいかにもマーケティング主導な感じに見えてしまうのだ。もう少し保守的な、低く構えたハッチバックスタイルであれば、と思う。同時に、ふっくらと分厚い印象のボディに関してもちょっと違和感がある。確かに元祖DSや2CVだって丸く厚ぼったいボディだったのだが、DS4はスタイリッシュでありながら、今ひとつカッコよいとは言いづらい。いやシトロエンなので一般的なカッコ良さはなくてもいいのだが、どうにも惚れ惚れしにくいのはなぜだろう。

 

(photo:プジョー・シトロエン・ジャポン)

グリルにも違和感がある。シトロエンのグリルは伝統的に薄くて地味。しかしDS3やDS4のそれはメッキ部分こそ少ないものの、ちょっと前までフォルクスワーゲンが採用していたワッペングリルのように大きな口を開けて存在を主張している。しかしVWの方はすでに薄い控えめなグリルに戻っているように、グリルで存在感を示すのはもう古くさい手法ではないか。いや、シトロエンが取るべき手法ではないと思う。DS4もグリルまわりがすっきりしたら、ずいぶん全体の印象が変わるだろう。

新しい船には新しい水夫が似合う


シトロエン DS5
(photo:プジョー・シトロエン・ジャポン)

東京モーターショーではDS5が日本で初公開されるとのことだが、DS5はハイドロではないようだ。今さらハイドロなど必要ないということは百も承知だが、それでも丸くて平ぺったいボディにハイドロという組み合わせが、おそらくシトロエンマニアの好むシトロエンの姿だろう。シトロエンでは象徴的な名前であるDSを名乗るこれらのシリーズ車は、どうもそうではない。かつてのシトロエンにあったイメージとはちょっと違うのだ。

もちろん、そんなマニアでない人が見れば、DS4はかなりカッコいい「外車」だろう。シトロエンというブランドも、ビョーキの人のものではなく、オシャレなフレンチブランドと認知されてきている。そして今のシトロエンはメカでの独創性ではなく、スタイリングで独自の世界を目指している。その点では確かにディファレント・スピリット(DS)・オブ・シトロエンなのだが、それでもやはり革新的で独創的であることがシトロエンの真骨頂と思っている人には物足りなさが残る。

 

しかし胸に手を当ててよーく考えてみると、革新的で独創的なシトロエン好きという人も、初代DS誕生から50余年の時を経て、過去にこだわる保守的な人になっているのかもしれないと思えてきた。クルマに限らず、「過去の革新」にこだわる人は今や保守より始末が悪かったりする。シトロエンの革新を好んだ人も、昔の良さにこだわるばかりの頑固で保守的な人になってしまったのかもしれない。

むろんそんな人を相手にしていてはメーカーは生きていけない。それゆえこれら「レトロデザインにとらわれない」DSシリーズの登場ということになるのだろう。古いシトロエン乗りに新しい船は似合わない。新しい船には新しい水夫が乗り、新たな航海に出てもらおう。シトロエンという革新的な船のスピリットを未来に残すために。


試乗車スペック
シトロエン DS4 シック
(1.6L直4ターボ・6速セミAT・309万円)

●初年度登録:2011年10月●形式:ABA-B7C5F02S
●全長4275mm×全幅1810mm×全高1535mm
●ホイールベース:2610mm ●最小回転半径:5.3m
●車重(車検証記載値):1360kg(860+500) ●乗車定員:5名

●エンジン型式:5F02 ●排気量・エンジン種類:1598cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴・横置
●ボア×ストローク:77.0×85.8mm ●圧縮比:-
●最高出力:156ps(115kW)/6000rpm
●最大トルク:24.5kgm (240Nm)/1400-3500rpm
●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/60L
●10・15モード燃費:-km/L ●JC08モード燃費:11.7km/L

●駆動方式:前輪駆動(FF)
●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット+コイル/後 トーションビーム+コイル
●タイヤ:215/55R17 (Michelin Primacy HP)
●試乗車価格:339万円 ※オプション:パック ペルソ(外装カラードパーツ、2トーンレザーシートなど) 30万円 ●ボディカラー:ブラン ナクレ ●試乗距離:約230km
●試乗日:2011年10月
●車両協力:株式会社渡辺自動車 シトロエン名古屋中央

 
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