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メルセデス・ベンツ E350 アバンギャルド新車試乗記(第566回)

Mercedes-Benz E 350 Avantgarde

(3.5リッターV6・7AT・850万円)

伝統と革新によって
すべてを進化!
考えている人は、いま、
メルセデスなのか?

2009年07月25日

 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

デザイン、先進性、安全性、環境適合性の4項目で進化


東京国際フォーラムで行われた新車発表会にて、新型Eクラス(W212)とメルセデス・ベンツ日本のハンス・テンペル社長

7年ぶりにフルモデルチェンジし、2009年5月26日に日本で発売された新型Eクラス。「W212」と呼ばれる新型の特徴は多岐に及ぶが、今回特に強調されるのはデザイン、先進性、安全性、環境適合性の4項目。あえて動力性能を含まないのが今時のクルマらしい。

デザインについては異形4灯ヘッドライトやリアフェンダーアーチの意匠が新しいところ。安全性に関する装備ではドライバーの注意力低下を警告する「アテンションアシスト」、ハイビームの上下照射範囲を自動調整する「アダプティブハイビームアシスト」、歩行者保護用の「アクティブボンネット」などが新機軸だ。操作系にはSクラス譲りの「ダイレクトセレクト」が採用されている。また述べ3600万kmにも及ぶ路上テストを実施するなど、信頼性確保のための並々ならぬ努力も大きくアピールされている。

Eクラスの歴史を簡単におさらい

今でこそフルラインナップブランドのメルセデス・ベンツだが、元々は高級車が専門。第二次大戦の終結後も主力モデルは大型および小型セダンの2種類であり、後に前者がSクラスへ発展、後者がミディアムクラス=Eクラスに発展してゆく。

小型セダンは1968年に「コンパクトクラス」と呼ばれる“タテ目”ヘッドライトの新型200シリーズ(W114/115)に発展。1976年には横長ヘッドライトの「W123」に進化した。1984年には今でも路上でよく見かけるミディアムクラス(W124)が登場し、これが1993年から「Eクラス」と名乗り始める。そして1995年に丸目4灯ヘッドライトの2代目Eクラス(W210)となり、2002年には3代目(W211)、2009年には4代目(W212)となる。

■参考(過去のメルセデス・ベンツ Eクラス試乗記)
メルセデス・ベンツ E500 (2002年9月)

価格帯&グレード展開

ひとまずは「E300」(730万円)から「E550」(1080万円)まで

日本仕様はひとまず以下の4グレードでスタート。変速機は全車7速AT「7Gトロニック」となる。

■「E300」  3リッターV6(231ps、30.6kgm)  730万円
■「E300 アバンギャルド」    ↑        780万円
■「E350 アバンギャルド」  3.5リッターV6(272ps、35.7kgm)  850万円 ★今週の試乗車
■「E550 アバンギャルド」  5.5リッターV8(387ps、54.0kgm)  1080万円

上記モデルに加えて、今年末には4WDの「4MATIC」や4気筒直噴ターボエンジンが導入される予定。また来年以降にはステーションワゴンの投入が予定されている。

充実した標準装備。オプションでナイトビューも用意

装備関係は、キーを携帯するだけで施解錠やエンジン始動が可能な「キーレスゴー」、駐車時に便利な「パークトロニック」、リアビューカメラ、そして新採用の「アテンションアシスト」や「アダプティブハイビームアシスト」を全車に標準化。レザーシートは「E300」のみオプション(31万5000円)で、他は標準装備だ。オプション装備には、前席シートベンチレーター等を備えた「コンフォートパッケージ」(31万5000円)、「ナイトビュー アシスト プラス」(25万円)、電動サンルーフ(19万5000円)などがある。

パッケージング&スタイル

見覚えのある顔。過去のモチーフを再現したフェンダーアーチ

異形角形4灯ヘッドライトが目を引く新型Eクラス。グローバル的には「斬新」なのだろうが、日本人にとってはかつてのトヨタ・マークII ブリット(2002年)が脳裏にちらつくところ。これでステーションワゴンが出たら、まさにブリットの再来という感じだが・・・・・・。

特徴的なリアホイールアーチの膨らみは、1950年代の180シリーズ、通称ポントン メルセデス(W120)をモチーフにしたという。Sクラスのように全体を膨らませるのではなく、少し変化を付けてEクラスの独自性を出している。ただ率直に言って、なぜ今ここで50年以上前のポントン メルセデスなのか(そう知名度の高いモデルではないと思う)、今ひとつ意図がはっきりしないし、デザイン的な必然性も感じられない。エッジを強調したモダンなスタイリングの中で、ここだけが古風に見える。

 

ボディサイズ(先代比)は、全長4870mm(+20)×全幅1855mm(+35)×全高1455mm(-10)、ホイールベースは2875mm(+20)。若干大きくはなったが、新型Cクラスと同じようにサイズアップはかなり抑制されている。最小回転半径も5.3メートルと小さく、狭い道でもまず困ることはない。

なお、新型Eクラスは歩行者保護対策としてアクティブボンネットをメルセデス・ベンツとして初めて採用している。歩行者の衝突を感知すると、瞬時にボンネットをバネ仕掛けで50mmほど跳ね上げてエンジンとの間隔をあける。バネ式なので作動後も元に戻すことが可能。

 

アクティブボンネット展開時

1953年に発売されたメルセデス・ベンツ 180 (W120)

Cd値は世界トップクラスの0.25で、新型プリウスや初代インサイトに並ぶ
 

インテリア&ラゲッジスペース

Sクラス譲りの「ダイレクトセレクト」を採用


試乗車は左ハンドルだったが、全グレードで右ハンドルを選択できる。

インパネ関係のトピックは、Sクラス譲りの電子制御シフトレバー「ダイレクトセレクト」の採用だろう。レバー先端をプッシュすれば「P」(パーキング)、上げれば「R」(リバース)、下げると「D」(ドライブ)となる。

ダイレクトセレクトの採用によってセンターコンソール付近はすっきり。大型モニターをインパネ中央の最上段に配置し、HDDナビなどをセンターコンソールのコマンドコントローラーで操作するあたりもSクラスと同じだ。TVは12セグ対応で、停止すればDレンジのままでも映像が表示される。

少し残念なのはパーキングブレーキが電動ではなく、相変わらずメカ式の足踏み&手戻し式であること。ただしダイレクトセレクトのPボタンがとても使いやすいので、「ま、これでもいいか」とも思える。

リアシート、トランクはとりあえずそつなく


エアバッグは運転席ニーエアバッグを含む計9個を装備

後席の広さはもちろん十分。プライバシーガラスの代わりに、試乗車は左・右・リアの日除けをセットにした「サンプロテクションパッケージ」(10万5000円)を装備していた。あえて気になった点を言えば、ウエストラインが高くて囲まれ感が強いことくらいか。

 

トランクは531リッターの大容量で、日本仕様では形状を工夫してゴルフバッグを4セット積めるようにしたという。さらに荷室側のレバーを引いて後席の背もたれを倒し、トランクスルーも可能。床下には薄めの収納スペースがあり、その下にテンパースペアタイヤが備わる。

基本性能&ドライブフィール

試乗したのは定番パワートレインのE350

試乗したのは「E350 アバンギャルド」。エンジンはメルセデス・ベンツで定番の3.5リッターV6(272ps、35.7kgm)で、変速機も定評ある7速ATだ。このパワートレインは車重が1.9トン超の現行Sクラスでも楽々引っ張るくらいで、それより200kgほど軽い新型Eクラスには十分。アクセルを深く踏み込め速やかに加速し、浅く踏めば高いギアでゆったり走る。これと言って強烈な印象こそないパワートレインだが、完成度は高い。

ダイレクトセレクトは慣れると使いやすく、正直言って新型プリウスの「エレクトロシフトマチック」より断然使いやすい。特にP(パーキング)やR(リバース)へのシフトが容易で、誤操作も生じにくいと思う。

前後左右にフラットな姿勢を保つ

パワートレインの印象は想定内だったが、シャシーのレベルアップは想定以上。姿勢が終始フラットなのが印象的で、もっと大型で重量級の(つまりちょうどSクラスくらいの)クルマのように、ピッチング(上下動)がほとんど感じられない。コーナリング時のロールも少なく、感覚的には車体がほとんど水平のまま曲がって行くように感じられる。AIRマティックサスペンションは最上級グレードの「E550 アバンギャルド」に標準装備されるだけだが、これなら確かにE350にエアサスは不要だろう。

その他、先で触れたように小回りは効くし、前後に備わるパークトロニックは便利だし、バックモニターは標準だしと、日常的な乗りやすさは申し分ない。走行状況に応じてパワーアシスト量を調整する「パラメーターステアリング」やステアリング舵角に応じてギア比を変える「ダイレクトステアリング」にも違和感はない。

気になったのは、ドライバーが主に感じるものだが、高速巡航時にステアリングやペダル、フロアにかけて微振動が生じること。エンジンというよりロードノイズ系のようだ。試乗車はAMG スポーツパッケージ(45万円)装着車で、前輪に245/40R18、後輪に265/35R18のコンチスポーツコンタクト3を履いており、これも多少は影響しているのかもしれない。

「アテンションアシスト」について

新型Eクラスの売り物の一つが、ドライバーの注意力低下を監視する「アテンションアシスト」だ。これはステアリング操作などからドライバーの運転特性を解析し、居眠りなどに特有の操作を読み取ると、警告表示およびピーという電子音で、ドライバーに休憩を促すというものだ。今回は効果を実感するほど長時間運転はしなかったが、なぜか休憩を促すコーヒーカップのマークがメーター内には表示されていた。

なお、トヨタがクラウンやレクサス等の高級車に採用している「ドライバーモニターカメラ」はドライバーの顔を赤外線カメラで捉え、その画像解析によって居眠りやよそ見を検知するもの。メルセデス・ベンツ側の主張によれば、アテンションアシストの方がカメラ式より早い段階で警告できる、というのが売りだ。検知精度を高めるために世界各地で述べ550人以上、80万km以上のテストを行ったという。

これに加えて車線逸脱をカメラで監視するレーンキーピングアシスト(7万5000円)もオプションで用意。こちらはステアリングホイールのスポーク部に組み込んだバイブレーターを振動させてドライバーに警告するもので、仕組みとしてはアウディやBMWが採用するものと同じだ。一部の日本車に装備されているLKAのように、ステアリング操作のアシストは行わない。

残念ながら、ミリ波レーダーによって車間を調整するクルーズコントロールおよび衝突直前に自動ブレーキ制御を行う「ディストロニック プラス」の導入は電波法の関係でしばらく遅れるようだが、これも近いうちに設定されるはず。

「アダプティブハイビームアシスト」について

今回は昼間の試乗で試せなかったが、面白いのがハイビームの上下照射範囲を自動で調整する新開発の「アダプティブハイビームアシスト」(全車標準装備)だ。

その仕組みはフロントウインドウ上部に配置したマルチファンクションカメラで対向車や先行車を検知し、それに応じてハイビーム側の照射範囲をシームレスに可変するというもの。対向車や先行車が近くにいなければ光軸を上げて遠くまで照らし、逆にそれらが接近してくる場合には相手がまぶしくないように徐々に光軸を下げる。照射範囲は65~300メートルとかなり遠方までカバーするのも特徴だ。

もちろんステアリング舵角や車速に応じて横方向に光軸を可変するAFS機能も装備。横方向はバルブ自体を動かし、縦方向はバルブの前方に置いたレンズを動かして行う。

なお光軸可変式ヘッドライトに加えて、一般的な電子制御式コーナリングライトも全車に装備される。これはステアリング操作やウインカーに連動して、低速時にコーナー内側を照らすもの。主に交差点などでの歩行者の早期発見を想定したものだ。

「ナイトビューアシストプラス」について

通常のライティングシステムに加えて、夜間視認装置である「ナイトビューアシストプラス」(25万円)もオプションで用意される。これはヘッドライトの光線を赤外線フィルターに通して前方約70~90メートルに照射し、その反射光を赤外線カメラで捉えて7インチディスプレイ内に表示するものだ。さらに歩行者を画像認識で検知し、モニター内に強調表示する。

歩行者の強調表示機能も含めて、ナイトビューアシストプラスの仕組みはトヨタが新型クラウンハイブリッドやクラウンマジェスタで採用する「ナイトビュー」の最新世代に近い。一方で、BMW、GM、ホンダなどが採用する「ナイトビジョン」は、遠赤外線カメラによる熱感知型であり、画像の映り方や感知範囲に少なからず違いがある。

ここがイイ

シャシー性能、コマンドセレクト等の採用、フィット感

抜群のフラット感など、ポテンシャルがすさまじく高そうなシャシー。それがもたらす走りは、メルセデス自身、良くて当たり前と思っているはずで、とにかく不満がない。それゆえ、クルマを選ぶ上で、走りはすでに対象ではなくなってしまったとも言える。そこが素晴らしい。

昨今のクルマにとって旧来のシフトレバーなど存在意義はほぼないから、ダイレクトセレクトをこのEクラスにも採用したことは高く評価したい。使い勝手も大変良い。またディスプレイを上段に据えたインパネ形状も新しいし、オートライトとアダプティブハイビームアシストによって、ヘッドライトの切り替え操作からドライバーを解放しことも画期的。これら各種快適・安全装備の標準化は素晴らしい。

3世代前の初代Eクラス「W124」にくらべて、ボディは縦横共に100mmほど大きいのだが、運転席で妙に大きなクルマに感じられるW124より、W212にはコンパクトで運転しやすい感覚がある。つまり新型の方がフィット感があり、小柄な日本人でも違和感なく毎日乗れそうなのがいい。

ここがダメ

好みが分かれそうなデザインなど

W212で強調されるのは、デザイン、先進性、安全性、環境適合性の4項目だが、デザインに関しては、今ひとつよく分からない。丸目4灯の2代目Eクラス(W210)が登場した時ほどの戸惑いこそないが、日本人としては最新トレンドよりも威風堂々としたデザインこそ、このクラスに求めたいものだと思うのだが……。また初期ロットのクルマに試乗したからだと思うが、多分、NVH関係は今後もっと改良されそうだ。

先進性、安全性は文句ないところだが、環境適合性に関しては実質的にディーゼル車が排除されている日本ではちょっと厳しい。ガソリンエンジンや7ATは基本的に先代と同じもの。空力性能等で補ってはいるのだが。

総合評価

このデザインはオヤジの心をうまく射止めるか


メルセデス・ベンツ 200シリーズ(W114)

いわゆるミディアムクラスの系統でいえば、いわゆるタテ目ベンツのW114とか、それに続くW123あたりは、当時のSクラスの厳つい雰囲気に比べて上品でオシャレな雰囲気があり、バブルの頃にはカジュアルベンツなんて呼ばれ、輸入車好きの若者の間でも人気があったものだ。傑作と評されるW124はいまだに人気が高く、ポルシェが開発・生産を手がけた500Eなど今もデイズのスタッフが日々愛用しているほど。ただ、W124は大柄に見えて厳つさがあり、もはやカジュアルベンツとは呼べない。この時期に190やCクラスが登場したこともあり、カジュアルの座はそちらへ移行。代わりにEクラスが得たのは、中小企業のオヤジカーの座だ。Sクラスに乗るのは憚(はばか)れるがベンツは欲しい、という人のクルマとなったように思う(あくまで日本での話だが)。


メルセデス・ベンツ W123

同じEクラスでも、ワゴンの場合はオシャレさやカジュアルさを失ってはいないが、押しの強いセダンはオーナードライバーが毎日実用的に運転する、いわゆるオヤジベンツといっていいだろう。そういう購入層がこの新しいW212を買うとなると、このエクステリアデザインがとても気になる。複雑なプレスラインがタップリ織り込まれたボディパネルを見れば、デザイナーが最新トレンドでもって腕をふるったことはよくわかるが、オヤジの心をうまく射止めるのだろうか。もう少しシンプルでどっしりとした面構成の方が保守的なオヤジにはピンとくるように思われてならない。現行のCクラスでも、またトヨタの新型クラウンでもデザインは同様の傾向にあるようで、クラウンなど、ゼロクラウンの方がいいという人が今もけっこういる。

考えている人を悩ませる


メルセデス・ベンツ 初代Eクラス(W124)

ハイテク好きのモーターデイズとしては、諸手を挙げて歓迎してしまうセンターディスプレイ中心のインパネや操作性(特に電子制御シフトレバー「ダイレクトセレクト」)も、いざ買おうと思う人にとっては、かなりとまどう部分ではないか。ハイテクの塊である新型プリウスがセンターコンソールに「シフトレバー」を復活させたのは、一般売りをより強く意識したゆえと想像する。メルセデス・ベンツがオヤジセダンのSクラスやEクラスをダイレクトセレクトにしたことは大歓迎だが、同時にちょっと心配にもなってくる。ダイヤル型のシフトセレクターを採用したジャガーXFと違って、世界的には販売台数のそうとう多いクルマだけに、このあたりはかなり悩ましいことだろう。宣伝コピーは 「(クルマに関して)考えている人は、いま、メルセデス(を選ぶ)」ということだが、考えている人をけっこう悩ませるクルマだ。

以上、「ベンツに乗る人=保守的なお金持ち」という固定概念からいろいろ考えたが、最新のクルマとして捉えると、安全性や快適性をハイテクタップリで実現しているという点では、ものすごく評価したい。アテンションアシストやアダプティブ ハイビーム アシストは標準装備だし、レーンキーピングアシストもある。最近「アッパービームが灯火の標準です」というキャンペーンもあったくらいで、ロービームばかり使う昨今、アダプティブ ハイビーム アシストはいずれ全てのクルマに装備してもらいたいものの一つだ。自動車100年の歴史で、ついに実現した画期的な装置といっていいだろう。他にUSBオーディオもつなげられるし、ベンツとしてでなくハイテクカーとしてちょっと欲しくなるクルマだ。ただ、使用する電波の関係で、いわゆるレーダークルーズやプリクラッシュセーフティ(ディストロニックプラス)や、ボルボ等でおなじみの斜め後ろのクルマを感知するブラインドスポットアシストが導入されていないのはたいへん残念。

ブランドのメルセデスか、エコのレクサスか

先代Eクラスではモデル末期にディーゼル車が日本にも導入されたが、ユーザー受けはやはり今ひとつだったという。このクラスに乗る人はあまりガソリン代など気にしない層だから、ディーゼルを導入しても経済性でアピールすることは難しい。それよりエコを訴求することだが、このクラスに乗ってエコを叫ぶのもなんだか矛盾している。しかし今はどんなサイズのクルマでも免罪符的にエコの訴求が欲しいところだから、先代比の燃費向上がもう少し大きい値だと良かった。E350は10・15モード燃費で8.6km/Lが9.5km/Lに伸びているが、やはりハイブリッド勢には遠く及ばない。燃費は年内に登場するという1.8リッター4気筒直噴ターボに乞うご期待というところか。

新型Eクラスのテーマはデザイン、先進性、安全性、環境適合性だ。つまりクルマとしては今や何も不満がなくなったこのクラスの最新モデルに、新しい付加価値を持たせるには、簡単に言ってブランド、ハイテク、エコということになる。メルセデスはブランドがすでに立っているから、今回はエコよりもまずハイテクを強化しようとしているようだ。対抗するレクサスはブランドがまだ立ちきっていない分、ハイテクとエコ両面で先行しようとしているように見える(HS250h以前のレクサスのハイブリッド車は、エコというより走りを補うものだが)。しかしこれで両車はパワートレイン以外のハイテク部分では近いところにきた。

こうなるとブランドでメルセデスにするか、エコでレクサスにするかという選択肢となるだろう。とはいえ、このクラスはブランドの比重が高いから、当面メルセデスの優位は揺るがないと思う(デザインが気に入ればだが)。となると、あとはエコを強化すればメルセデスは万全なのだが、ディーゼルがメインであることが日本ではちょっと辛いところ。ハイブリッドの投入を急がないと、ブランドで優位な立場もだんだん苦しくなっていくのではないか。

試乗車スペック
メルセデス・ベンツ E350 アバンギャルド
(3.5リッターV6・7AT・850万円)

●初年度登録:2009年5月 ●形式:DBA-212056C ●全長4880mm(※AMGスポーツパッケージ装着車、標準仕様は4870mm)×全幅1855mm×全高1455mm ●ホイールベース:2875mm ●最小回転半径:5.3m ●車重(車検証記載値):1760kg( 930+830 )※AMGスポーツパッケージ+ガラススライディングルーフ装着車 ●乗車定員:5名●エンジン型式:272 ● 3497cc・V型6気筒・DOHC・4バルブ・縦置 ●ボア×ストローク:92.9×86.0mm ●圧縮比:10.7 ● 272ps(200kW)/ 6000rpm、35.7kgm (350Nm)/ 2400-5000rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/80L ●10・15モード燃費:9.5km/L ●JC08モード燃費:-km/L ●駆動方式:後輪駆動(FR) ●サスペンション形式:前 3リンク/後 マルチリンク ●タイヤ:前 245/40R18 /後 265/35R18( Continental ContiSportContact 3 ) ※AMGスポーツパッケージ装着車 ●試乗車価格:914万5000円( 含むオプション:AMG スポーツパッケージ 45万円、ガラススライディングルーフ 19万5000円 ) ●試乗距離:-km ●試乗日:2009年7月 ●車両協力:シュテルン浜松南 TEL:053-441-6661

 
 
 
 
 

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