キャラクター&開発コンセプト
日産の最高級ミニバン。3代目はFFベース
8年ぶりのフルモデルチェンジによって、新型エルグランドが2010年8月4日に発表、8月18日に発売された。1997年にデビューした初代(E50型)と2002年からの2代目(E51型)は、日産の最高級ミニバンとして堂々たるスタイルやパワフルな走りで人気を集めたが、E52型となる新型は2世代続いたFRベースではなく、国産ミニバンでは今や一般的なFFベースに変身。これによって、大幅な低重心化、低床化、軽量化を実現している。
エンジンはおなじみ3.5リッターV6「VQ35DE」の改良版のほか、2.5リッターの方は従来のV6ではなく直4の「QR25DE」を搭載。変速機を全車CVTとしてクラストップレベルの低燃費を達成している。
販売目標は月間1900台で、発表から約一ヶ月経った9月1日時点での受注は、1万0111台と「非常に好調な立ち上がり」(日産)となっている。もちろん最終目標は「打倒アルファード/ヴェルファイア」。8年前の2代目では、ほぼ同時にデビューした初代アルファードに販売台数で大きく水を空けられたため、新型では何としてでも王座を奪還したいところ。
価格帯&グレード展開
307万6500円からスタート。7人乗りは全車トリプルオットマン付
ラインナップは3.5リッターV6(280ps、35.1kgm)が2グレード、レギュラーガソリン仕様の2.5リッター直4(170ps、25.0kgm)が2グレードの計4グレードで、そのうち上位3グレードが「ハイウェイスター」仕様になる。初期受注では2.5リッターと3.5リッターで、ほぼ半々のようだ。価格はFF車の場合、307万6500円(250XG)~435万7500円(350ハイウェイスター プレミアム)で、さらに4WDが28万3500円高となる。
乗車定員は最上級グレードの「350ハイウェイスター プレミアム」が7人乗りで、エントリーグレードの「250XG」が8人乗り。そして中核の「350/250ハイウェイスター」では7人乗りと8人乗りが選べる。7人乗りでは全車、助手席および2脚のキャプテンシートに足乗せ台が付く「トリプルオットマン付シート」になるのが新型の売りだ。ラインナップは以下の通り。
■350 Highway STAR Premium 435万7500円(FF)/464万1000円(4WD) ★今回の試乗車
■350 Highway STAR 385万3500円(FF)/413万7000円(4WD)
■250 Highway STAR 338万1000円(FF)/366万4500円(4WD)
■250 XG 307万6500円(FF)/336万円(4WD)
パッケージング&スタイル
精悍な顔つきは正常進化。スタイリングは一気にロング&ローへ
顔は紛れもなくエルグランドそのもの。ヴェルファイアにもすっかり真似されてしまった2段構えのヘッドランプや派手なメッキグリルだが、同じイメージで3代続いてきたエルグランドの方には、心なしか伝統みたいなものが感じられる。
ボディサイズ(先代ハイウェイスター比)は全長4915mm(+80)×全幅1850mm(+35)×全高1815mm(-95)。ホイールベースはついに3000mm(+50)の大台に乗ったが、それ以上に目立つのが全高の低さだ。特に実車は数値以上に低べったく、そして長く見える。ちなみに全高は現行アルファード/ヴェルファイアより75~85mm低い。
なおプラットフォームは、ティアナやムラーノ系がベース。FF車でホイールベースが3メートルもあると、小回りが心配になるが、最小回転半径は主力の18インチタイヤ仕様でも5.7メートル、16インチの「250XG」では5.4メートルに過ぎず、アルファード/ヴェルファイアの5.7~5.9メートルと比べてかなり小さい。
インテリア&ラゲッジスペース
高級セダンそのもののインパネ
インパネはミニバンの「キング」にふさわしく、ウッド調パネルを広範囲に採用したオーソドクスなデザインを採用。ハイウェイスター系では黒基調のダッシュボードやダークブラウン色のシートで落ち着いた雰囲気となっている。造形面で面白みはないが、高級感や質感は文句なしだ。
また試乗した「ハイウェイスター プレミアム」では、運転席と助手席に「クイックコンフォートシートヒーター」を採用。これは太ももの裏やでん部から温め始め、さらに太もも裏や腰などを重点的に温めるというもの。季節柄、今回は試していないが、生理学的に気持ちの良い暖め方をしてくれるそうだ。
劇的に低くなったフロアで、乗降性も問題なし
低くなったのはもちろん全高だけでなく、フロアも劇的に低くなった。特に前席フロア高は先代比で約13センチと、ほぼ「ワンステップ」分、ダウン。おかげで先代では「よいしょ」という感じで乗り降りしていたものが、新型ではほとんど抵抗なく、スッと乗り降りできるようになった。ただし同時に乗車時の視点も下がったので、周囲を見渡すようなドライビングポジションに魅力を感じていた人には、物足りなさがあるかもしれない。
新型は7人乗りが魅力
初期受注で75%を占めたという7人乗り仕様のキャプテンシートは、シートバック中折れ機能を備えるほか、前席同様に3層構造のクッションを使うなど、かなり気合いの入った作り。3000mmものホイールベースのおかげで、足もとにもかなり余裕がある。またサードシートまでウォークスルーできるのも7人乗りならではの特典だ。
なお、電動スライドドアには、ドアハンドルを引かなくてもスイッチを押すだけで開いてくれる「ワンタッチオートスライドドア」が世界で初めて採用されている。実際に使ってみると、今まで無かったのが不思議なくらい便利。
サードシートをダイブダウン式に変更
サードシートの座り心地はとても良く、サードシートとしては極上のレベル。他のミニバンに多い5:5分割(サイド跳ね上げ式だと必然的にこれになる)ではなく、一般的なセダンやハッチバックの後席に多い6:4分割であるため、中央席の座り心地もよい。「真ん中に座ってもいいな」と思わせるサードシートだ。
先代はこの手のミニバンで一般的な左右跳ね上げ式だったが、新型は背もたれを倒すと座面も連動して沈み込むダイブダウン式(日産はフォールドダウン式と呼ぶ)に変更。前後スライド機能はなくなったが、収納操作の容易さと座り心地、荷室容量をうまく両立している。
床下にゴルフバッグを収納。拡大時の奥行きは最大1.5メートル
サードシート使用時のラゲッジ容量は最小限であり、またサードシートを床下に収納するため、絶対的なフロア高も高い。ただし床下のアンダートランクには9.5インチのゴルフバッグを寝かせて収納できるほか、フロアボードを外せば、ゴルフバッグを立てて4つ積むこともできる。なお、これによりスペアタイヤは廃止され、全車パンク修理キットを搭載。合わせて、タイヤ空気圧センサーも装備されている。
さらにサードシートを畳めば、ほぼフラットな床の奥行きは1140mmに拡大。さらにセカンドシートを一番前に寄せれば、奥行き自体は1500mmになる。また、この状態ならサードシートの足もとから天井まで、約1メートルほどの天地寸法があるので、多少背が高いもの(嵩張るもの)でも積むことができる。