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日産 エルグランド 350 ハイウェイスター プレミアム新車試乗記(第609回)

Nissan Elgrand 350 Highway STAR Premium

(3.5リッターV6・CVT・435万7500円)

FFベースに大変身!
日産の旗艦ミニバンは
キングの座を取り戻したか?

2010年09月17日

 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

日産の最高級ミニバン。3代目はFFベース


新型エルグランド ハイウェイスター(E52型)
(photo:日産)

8年ぶりのフルモデルチェンジによって、新型エルグランドが2010年8月4日に発表、8月18日に発売された。1997年にデビューした初代(E50型)と2002年からの2代目(E51型)は、日産の最高級ミニバンとして堂々たるスタイルやパワフルな走りで人気を集めたが、E52型となる新型は2世代続いたFRベースではなく、国産ミニバンでは今や一般的なFFベースに変身。これによって、大幅な低重心化、低床化、軽量化を実現している。

エンジンはおなじみ3.5リッターV6「VQ35DE」の改良版のほか、2.5リッターの方は従来のV6ではなく直4の「QR25DE」を搭載。変速機を全車CVTとしてクラストップレベルの低燃費を達成している。

 

先代(2代目)エルグランド(E51型)
(photo:日産)

販売目標は月間1900台で、発表から約一ヶ月経った9月1日時点での受注は、1万0111台と「非常に好調な立ち上がり」(日産)となっている。もちろん最終目標は「打倒アルファード/ヴェルファイア」。8年前の2代目では、ほぼ同時にデビューした初代アルファードに販売台数で大きく水を空けられたため、新型では何としてでも王座を奪還したいところ。

■過去の新車試乗記>日産 エルグランド (2002年6月)

価格帯&グレード展開

307万6500円からスタート。7人乗りは全車トリプルオットマン付


ボディカラーは計5色と少なめ。試乗車はハイウェイスター専用色の「オーロラモーヴ」 。黒に見えるが、光が当たると紫色に変化する

ラインナップは3.5リッターV6(280ps、35.1kgm)が2グレード、レギュラーガソリン仕様の2.5リッター直4(170ps、25.0kgm)が2グレードの計4グレードで、そのうち上位3グレードが「ハイウェイスター」仕様になる。初期受注では2.5リッターと3.5リッターで、ほぼ半々のようだ。価格はFF車の場合、307万6500円(250XG)~435万7500円(350ハイウェイスター プレミアム)で、さらに4WDが28万3500円高となる。

乗車定員は最上級グレードの「350ハイウェイスター プレミアム」が7人乗りで、エントリーグレードの「250XG」が8人乗り。そして中核の「350/250ハイウェイスター」では7人乗りと8人乗りが選べる。7人乗りでは全車、助手席および2脚のキャプテンシートに足乗せ台が付く「トリプルオットマン付シート」になるのが新型の売りだ。ラインナップは以下の通り。


■350 Highway STAR Premium  435万7500円(FF)
/464万1000円(4WD) ★今回の試乗車

■350 Highway STAR      385万3500円(FF)/413万7000円(4WD)

 

こちらは「250XG」。価格は手頃だが、7人乗りは用意されていない
(photo:日産)


■250 Highway STAR      338万1000円(FF)/366万4500円(4WD)
■250 XG           307万6500円(FF)/336万円(4WD)

パッケージング&スタイル

精悍な顔つきは正常進化。スタイリングは一気にロング&ローへ

顔は紛れもなくエルグランドそのもの。ヴェルファイアにもすっかり真似されてしまった2段構えのヘッドランプや派手なメッキグリルだが、同じイメージで3代続いてきたエルグランドの方には、心なしか伝統みたいなものが感じられる。

 

ボディサイズ(先代ハイウェイスター比)は全長4915mm(+80)×全幅1850mm(+35)×全高1815mm(-95)。ホイールベースはついに3000mm(+50)の大台に乗ったが、それ以上に目立つのが全高の低さだ。特に実車は数値以上に低べったく、そして長く見える。ちなみに全高は現行アルファード/ヴェルファイアより75~85mm低い。

 

なおプラットフォームは、ティアナやムラーノ系がベース。FF車でホイールベースが3メートルもあると、小回りが心配になるが、最小回転半径は主力の18インチタイヤ仕様でも5.7メートル、16インチの「250XG」では5.4メートルに過ぎず、アルファード/ヴェルファイアの5.7~5.9メートルと比べてかなり小さい。

インテリア&ラゲッジスペース

高級セダンそのもののインパネ

インパネはミニバンの「キング」にふさわしく、ウッド調パネルを広範囲に採用したオーソドクスなデザインを採用。ハイウェイスター系では黒基調のダッシュボードやダークブラウン色のシートで落ち着いた雰囲気となっている。造形面で面白みはないが、高級感や質感は文句なしだ。

 

また試乗した「ハイウェイスター プレミアム」では、運転席と助手席に「クイックコンフォートシートヒーター」を採用。これは太ももの裏やでん部から温め始め、さらに太もも裏や腰などを重点的に温めるというもの。季節柄、今回は試していないが、生理学的に気持ちの良い暖め方をしてくれるそうだ。

劇的に低くなったフロアで、乗降性も問題なし


試乗した「350ハイウェイスター プレミアム」はキャプテンシートの7人乗りで、「ダークエスプレッソ」色の本革シート仕様になる

低くなったのはもちろん全高だけでなく、フロアも劇的に低くなった。特に前席フロア高は先代比で約13センチと、ほぼ「ワンステップ」分、ダウン。おかげで先代では「よいしょ」という感じで乗り降りしていたものが、新型ではほとんど抵抗なく、スッと乗り降りできるようになった。ただし同時に乗車時の視点も下がったので、周囲を見渡すようなドライビングポジションに魅力を感じていた人には、物足りなさがあるかもしれない。

新型は7人乗りが魅力


7人乗りのセカンドシートは、すべて「コンフォタブルキャプテンシート」となる。

初期受注で75%を占めたという7人乗り仕様のキャプテンシートは、シートバック中折れ機能を備えるほか、前席同様に3層構造のクッションを使うなど、かなり気合いの入った作り。3000mmものホイールベースのおかげで、足もとにもかなり余裕がある。またサードシートまでウォークスルーできるのも7人乗りならではの特典だ。

なお、電動スライドドアには、ドアハンドルを引かなくてもスイッチを押すだけで開いてくれる「ワンタッチオートスライドドア」が世界で初めて採用されている。実際に使ってみると、今まで無かったのが不思議なくらい便利。

サードシートをダイブダウン式に変更

サードシートの座り心地はとても良く、サードシートとしては極上のレベル。他のミニバンに多い5:5分割(サイド跳ね上げ式だと必然的にこれになる)ではなく、一般的なセダンやハッチバックの後席に多い6:4分割であるため、中央席の座り心地もよい。「真ん中に座ってもいいな」と思わせるサードシートだ。

 

「ハイウェイスター プレミアム」は電動でサードシートの自動格納&復帰が可能
(photo:日産)

先代はこの手のミニバンで一般的な左右跳ね上げ式だったが、新型は背もたれを倒すと座面も連動して沈み込むダイブダウン式(日産はフォールドダウン式と呼ぶ)に変更。前後スライド機能はなくなったが、収納操作の容易さと座り心地、荷室容量をうまく両立している。

床下にゴルフバッグを収納。拡大時の奥行きは最大1.5メートル

サードシート使用時のラゲッジ容量は最小限であり、またサードシートを床下に収納するため、絶対的なフロア高も高い。ただし床下のアンダートランクには9.5インチのゴルフバッグを寝かせて収納できるほか、フロアボードを外せば、ゴルフバッグを立てて4つ積むこともできる。なお、これによりスペアタイヤは廃止され、全車パンク修理キットを搭載。合わせて、タイヤ空気圧センサーも装備されている。

 

さらにサードシートを畳めば、ほぼフラットな床の奥行きは1140mmに拡大。さらにセカンドシートを一番前に寄せれば、奥行き自体は1500mmになる。また、この状態ならサードシートの足もとから天井まで、約1メートルほどの天地寸法があるので、多少背が高いもの(嵩張るもの)でも積むことができる。

基本性能&ドライブフィール

その気になればスムーズに速いが、基本はゆったり、穏やか

試乗したのは、最上級グレードの「350 ハイウェイスター プレミアム」(435万7500円)。おなじみの3.5リッターV6「VQ35DE」は専用チューニングで最大出力280ps、最大トルク35.1kgmに増強されているが、変速機が従来の5ATからCVTとなったせいか、出足はかなりマイルド。FFなので、先代のようにリアをグッと沈み込ませ、猛然と加速する、といった風では当然ない。「エルグランド=パワフル」といったイメージからすると拍子抜けするかもしれないが、ハイパワーFF車にありがちなホイールスピンやトルクステアはしっかり抑え込まれている。

もちろん、トルクフルなことでは定評のあるVQ35DE。新型でも中回転域のパワーバンドに入ると、VQ独特のV6サウンドが高まり、ふとメーターを見るとすでにびっくりするくらいの速度に達している。

ただし、新型ではそんな風に飛ばすより、低い回転数をキープしたまま高級車らしくゆったり、静かに走らせた方が自然だし、気分もいい。もちろんそうした方が、メーターに表示される燃費数値も良好なまま推移する。

なお、「エコモード」ボタンは、ステアリング右下という、かなり分かりにくい位置に隠されて?おり、これを押すと、出足は急にかったるくなる。ただしマニュアルモード操作時やアクセル全開時の加速感は、通常モードとそう大差ない感じ。このエコモードは基本的に、「アクセル操作の補正やCVTのレスポンス、CVTの変速スケジュールを統合制御することで、実用燃費を向上させる」(日産)ものとのこと。

ミニバンというより、高級セダンに近い


左が「アラウンドビューモニター」で、さらにスイッチ操作やシフト操作に連動して、前、左前、後ろのビューも表示できる
(photo:日産)

狭いところでは、相変わらずボディの大きさが気になるところだが、ハイウェイスター系の最小回転半径は5.7メートルとまずまず小さめで、小回りの効き具合は想定の範囲内。試乗車の場合は、日産自慢の「アラウンドビューモニター」、そしてフロント、左サイド、リアのカメラによって、死角はしっかり補われており、特に左サイドとリアのカメラは狭いところで重宝した。

その一方で、従来のエルグランドより視点が低くなった分、周囲を見下ろす感覚はなくなり、そこが従来モデルのオーナーにとっては気になるところかも。その点では、従来モデルやアルファードとは別ジャンルのクルマになった、という印象もないではない。

乗り心地は、先代よりも圧倒的に上下動が減り、徹底的にスムーズで、フラットになった。「多少ブワンブワンと揺れても仕方ない」と思われるミニバン的なそれではなく、高級大型セダンに近い。当然ながらFF化や低重心化、それにボディの高剛性化が効いているはずで、さらにアルミ製の前後サスペンション・リンク、リバウンドスプリング内蔵型ショックアブソーバー、リアマルチリンクサスペンションなども採用されている。このあたりは、いかにも「技術の日産」という感じだ。

 

(photo:日産)

静粛性も期待に背かず、ロードノイズ等が気になることはまったく無かった。なお、ハイウェイスターに採用されている18インチタイヤは、静粛性で定評のあるヨコハマの「dB(デジベル)」をエルグランド専用にチューニングして装着している。

FF化や低床化によって、ハンドリングは激変した。前後方向も横方向も、姿勢変化は圧倒的に少なくなり、トラクションのしっかり掛かった前輪を軸にして、ごく素直に曲がる。ステアリング操作に対する反応自体はかなりスローで、回頭性も高くないためオーバースピードは禁物だが、それさえ守れば自然と後席パッセンジャーに優しい運転になる。直進安定性もセダンレベルなので、長時間運転するドライバーの負担はかなり少なくなったはずだ。

なおパワステは日本車では少数派の電動油圧氏を採用。油圧のフィールを確保しつつ、電動化によって燃費を稼ぐもので、据え切りをすると、車外では電動ポンプのウィーンという作動音が聞こえる。

燃費は先代の2割アップ(VQ35DE)

参考までに今回の試乗燃費は、いつもの一般道と高速道路の混じった区間(約90km)が7.1km/L。無駄な加速を控えて一般道を走った区間(約60km)が8.3km/Lだった。

かつてのVQ35DE車は5km/L、6km/Lが当たり前だったので、それから思えば燃費性能の向上は著しい、というのが正直な印象。なお、「エコモード」で走れば、自然とエコ運転にはなるが、通常モードでも丁寧に走れば、けっこう良い燃費がキープできる。

ちなみに10・15モード燃費は3.5リッター車の場合、先代比で約2割アップの9.4~9.8km/L(4WDの場合は9.3km/L)で指定燃料はプレミアム。2.5リッター車の場合は11.6km/L(4WDは11.4km/L)で、レギュラー仕様となる。タンク容量はいずれも73リッターなので足は長そうだが、経済性で言えば、2.5リッターの方だろう。

ここがイイ

燃費の良さ、快適性の高さ。瞬間・平均燃費の表示。3列目の座り心地

豪華装備を持った約2トンのボディを、素晴らしい動力性能で走らせながら、素晴らしい燃費をたたき出すこと。エコモードとマニュアルモードを使って、いつものコースを楽しく走った結果、7km/Lを割らなかったのは立派。快適な乗り心地、高い静粛性はさすがフラッグシップ。

センターコンソールの張り出しが少ないインパネ形状は、運転席から後席へのウォークスルーがしやすい。スライドや跳ね上げをやめたことで、サードシートの掛け心地は素晴らしく良くなったと思う。小柄な人にはセカンドシートより快適なほどだ。フル乗車時でも荷室が広く使えるラゲッジアンダーボックスは、FF化による恩恵の一つか。USBスロット、AC100V電源も、昨今はあるとさすがに便利。

 

メーター内の情報ディスプレイで、バーグラフ式の瞬間燃費計を選ぶと、その上に数字で平均燃費が表示される。一度に瞬間と平均がチェックできるのは便利だ。さらに瞬間燃費バーグラフの中に、平均燃費が◆で表示されるので、エコ運転の目安にもなる。その他、さまざまなハイテク装備(総合評価を参照)が用意されていること。

ここがダメ

強いて言えば、大柄なセカンドキャプテンシート

ダメではないが、どうにも合わない感じだったのは、売り物の豪華なセカンドシート。アルファードもそうなのだが、身長170センチ以上の人を想定して作られているのでは、と思わざるをえない。日本専用車なのだから、多くの日本人女性が喜ぶだろう、もうちょっと小ぶりなものにしたほうが、ウケはいいように思うのだが。助手席のオットマンも足の長い人向けと感じた。

総合評価

初代エルグランドのこと


初代エルグランド (E50型)
(photo:日産)

モーターデイズには初代エルグランドの記事がないので、当時、別の媒体で書いた軽い試乗記をまず以下に転載してみよう。待望の国産ビッグミニバンであったことがよくわかる。

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「日産にフロントエンジンのミニバンがなかったこと、ご存知? 人気のラルゴもエンジンはシートの下。運転席から後部座席へ歩いて移動(ウォークスルー)できないし、ちょっとうるさい。しかしついに本格的なフロントエンジンのミニバンがデビュー。その名もエルグランドだ。

縦目4灯でグリルの横幅が広く見えるフロントデザイン、リアも縦のテールライトが流行る中、このクルマは横基調。背の高い印象の国産ミニバンが多いが、エルグランドは視覚的にはどっしりと横長だ。シボレーの「アストロ」にどことなく似ており、日本的なトヨタ・グランビアよりかっこいいと感じる人は多いだろう。


なかなかのコワモテかつ角張ったボディゆえ、やけにでっかく見えるエルグランドだが、実際のサイズは日産セフィーロと比べて53センチ高いものの、全長では逆に20mm短く、全幅では5mm広いだけ。縦横はまあ普通の3ナンバーセダンと大差ないから、そんなにビビることはない。ちなみにグランビアと比べると25mm長く、5mm狭く、20mm低い。

試乗したのは最上級グレード「X」の3.3リッターV6ガソリンエンジン+オールモード4WD。キーをひねるとメーターが明るく浮かび上がる。ウッドパネルや革のハンドル、上品なシートと、高級感は十分。足踏み式パーキングブレーキでウォークスルーも楽だ。

乗り心地は意外に柔らかい。「X」グレードに標準装備のアクティブダンパーサスの効用だ。ミニバンは多人数乗車に備えて硬めの乗り心地なのだが、これなら少人数で乗ってもいい感じ。硬めが好みならスポーツモードに切り替えることもできる。

リアサスは一般的な5リンクのコイルスプリングだが、FF車のリアサスで定評のあるマルチリンクビーム式のノウハウが投入され、コーナリング時の車体の浮き上がり現象を解決し、後席の揺れを減少させている。かなりのハイスピードでコーナーに侵入してみたが、ビシッと安定して軽くクリアした。

エンジンもライバルを圧倒している。グランビアのガソリンエンジンは4気筒で145ps。対してエルグランドはV6で170ps。約2トンのボディをスポーツセダン並みに走らせるのは立派。高速では風切り音がちょっと気になったが、何より存在感は抜群で、ミニバンながら結構進路を譲ってもらえた(コワモテ?)。

試乗車は2・2・3の7人乗り。前席は固定式、セカンドシートは回転式、サードシートは跳ね上げ式で、ともに490mmもスライドするが、取り外したりはできない。
「日本で取り外したシートを置いておけるほどのガレージを持つ家庭が、どれだけあります?」と日産担当者。なるほど。シートはそうちょくちょく外したりつけたりできるほど軽くはないし、跳ね上げ式シートの方が確かに合理的かも。

跳ね上げ式サードシートが大きくスライドするのは、これまでにない仕掛けだ。一番後ろに下げると荷室スペースは減るけれど、サードシートの足元は広々。6人乗ってちょっとしたドライブに出かけるなら、広告のように「飛行機並みの快適さ」となる。

強気のルックスと、強気のパワーでエルグランドは大型ミニバンのトップを目指す。元来この手の大きなクルマを好む人たちは、こうした強そうなクルマが好き。そこがエルグランドのセールスポイントだ。

ラインナップは8人乗りの「J」「V」、7人乗りの「X」の3タイプで、エンジンは3.3リッターV6ガソリンと3.2リッター直4ディーゼルターボ(150ps)のどちらか。駆動方式はFRと前後駆動トルクを自動的に配分するオールモード4×4があり、都合12種類となる。デュアルエアバッグはもちろん、日産車で初めて衝撃を和らげるロードリミッター付シートベルトを装備。また、エアコンフィルターの装備、抗菌ハンドル採用など室内のクリーン化にも力が注がれている。試乗車は379万8000円。10・15モード燃費は6.8km/L。

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ゴーン社長には理解できなかった?


2代目エルグランド (E51型)
(photo:日産)

初代エルグランドが登場したのは、13年前の1997年5月。株式会社デイズは1997年4月に実質的に立ち上がったので、なんとエルグランドとほぼ同じ年月を重ねてきたことになる。勢いよくデビューしたエルグランドもデイズも、途中から失速して現在に至っていることには苦笑するしかないのだが・・・・・・。この間、エルグランドは初代から5年目に一度モデルチェンジして2代目になったが、以後8年間はモデルチェンジなしという、国産車にしては珍しい展開となった。初代エルグランドを倒すべくFFで投入されたアルファードの後塵を拝する中でも、モデルチェンジされなかったのは、日産のお家事情も大きく関係しているだろう。もしかするとゴーン社長には、この実に日本的な乗り物が理解できなかったのかもしれない。

 

2005年の東京モーターショーに出展された日産のコンセプトカー「アメニオ」。当時はこれが次期エルグランドと呼ばれた

実際のところ、アルファードとヴェルファイアが売れている(今年1月から8月までは2台合わせると月平均8500台ほどで、ランキング10位以内に入る)という状況に、合理的な理由はみつけにくい。高額だし、燃費は良くないし、小型車全盛の昨今に、なぜこんなに大きなクルマが売れるのか。ひとつだけ思い当たることは、高級セダンのユーザーの一部がこちらに移行してきたということだ。見晴らしがいい分、高級セダンよりリッチな気分になれるし、取り回しも意外にいい、というのがその理由だ。あとは1、2世代前のミニバンに乗るユーザーの乗り換え需要もあるだろう。

 

「アメニオ」のインテリア

以上、すべて「かもしれない」だが、現実にこんなにニーズがある以上、日産としては満を持しての新型投入ということになるわけだ。室内の広さや豪華さを競うのは当然として、かなり走りに注力したクルマとなったのは差別化として当然のことと思う。エルグランドの、この巨大なボディをスポーティに走らせる走行性能には驚くほかない。さらにエコモードにしておけば不満のない走りで、素晴らしい燃費を稼ぎ出す。13年前の初代と比べると、当然ながら全てにおいて、ものすごい進化だ。過去10年、セダン系では分かりづらいクルマの進化が、ミニバンというジャンルでは実に分かりやすい。

トレンドがどちらに向かうのか

となると、あとは見てくれの問題だろう。初代はFRでフロアが高い分、背が高くてワイドと、より大きく見えるスタイルになっていたし、FFベースのアルファードもそれを踏襲したデザインワークになっている。対して新型エルグランドは横に広く、低く、長く見える。走りを重視すれば当然のことだが、この日産の選択をユーザーがどう見るか、また今後トレンドがどちらに向かうのか、ということだ。これが初代で時代を切り開いたエルグランドならではのチャレンジ精神というものなのだろう。

進化という点では、ハイテク系も忘れてはならないところ。路上の光ビーコンと通信して危険警告を行うDSSS (Driving Safety Support Systems)、充填完了ガイド機構付き空気圧警報システム、アラウンドビューモニターや前後のワイドビュー、サイドブラインドビュー、時間帯や走行速度からスクールゾーン警告を出すナビ、ボタンを押すだけで開く電動スライドドア、11インチの巨大リアディスプレイと受信エリア1.5倍という地デジアンテナ、吸音ルーフライニングとカーペット、お得意のインテリジェントクルーズコントロールにAFSなどなど。この13年で進化したことは実に多い。高級車ゆえ、これらがオプションにしろ用意されていることは高く評価したいところだ。

 

オーダーで後席を2座にすることもできるVIP(FFなら577万5000円)も用意されているように、もはや日産はエルグランドをミニバンではなく、高級セダンのバリエーションとして考えているのかもしれない。確かにそれは今後ミニバンが進むべきひとつの方向性だろう。低床となったことで乗降性も4ドアセダンに迫るようになった。エルグランドを高級セダンとして考えれば、もはや走りや快適性は同等で、その広さ、乗車定員、エンターテイメント性などでは、どんな高級セダンをも凌ぐと言える。

試乗車スペック
日産 エルグランド 350 ハイウェイスター プレミアム
(3.5リッターV6・CVT・435万7500円)

●初年度登録:2010年8月●形式:DBA-PE52 ●全長4915mm×全幅1850mm×全高1815mm ●ホイールベース:3000mm ●最小回転半径:5.7m ●車重(車検証記載値):2040kg( 1110+930 ) ●乗車定員:7名 ●エンジン型式:VQ35DE ● 3498cc・V型6気筒DOHC・4バルブ・横置 ●ボア×ストローク:95.5×81.4mm ●圧縮比:10.3 ● 280ps(206kW)/6400rpm、35.1kgm (344Nm)/4400rpm ●カム駆動:チェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/73L ● 10・15モード燃費:9.4km/L ●JC08モード燃費:9.2km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット/後 マルチリンク ●タイヤ:225/55R18( Yokohama dB decibel E70A ) ●試乗車価格:-円 ( 含むオプション:HDDカーウイングスナビゲーションシステム、11インチ大型ワイドモニター後席エンターテイメントシステム、アラウンドビューモニターなど -円 )●試乗距離:220km ●試乗日:2010年9月 ●車両協力:日産プリンス名古屋販売株式会社

 
 
 
 
 

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