Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > スズキ エスクード 2.0XG/2.7XS

スズキ エスクード 2.0XG/2.7XS新車試乗記(第368回)

Suzuki Escudo 2.0XG/2.7XS

(2.0XG:220万5000円/2.7XS:252万円)

 
  
  
 

2005年06月04日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

本格コンパクトSUV

1988年登場の初代エスクードは、コンパクトSUVの先駆けとなったモデル。後にFFモノコックベースの街乗りSUVが続々と誕生したが、エスクードのように副変速機付き4輪駆動システムを持つ本格派はこのクラスではあまり例がない。海外にも初代の頃からスズキ・サイドキック、ヴィターラ(Vitara)などの名で輸出され、特に米国ではポピュラーな存在だ。累計販売台数は全世界で190万台にのぼるという。

2005年5月(2.7リッター車は6月)発売の3代目も、その本格志向は変わらない。カム式LSD付センターデフによるフルタイム4WD、ビルトインラダーフレーム構造のモノコックボディを採用するなどオンロード性能を高めつつも、クラス随一のオフロード走破性もしっかり確保。国内の目標販売台数は年間1万5000台。

価格帯&グレード展開

おおよそ200万~250万円

全車フルタイム4WDで、価格は2リッターモデル(5MTもしくは4AT)が194万2500円~220万5000円、2.7リッターモデル(5AT)が252万円。HDDナビシステムが21万円高で用意される。

パッケージング&スタイル

サイズアップしつつ、デザインは原点回帰

ボディサイズは全長4390mm×全幅1810mm×全高1695mm。5ナンバー幅を一気に110mmも飛び越えたのが目立つが、実際の取り回しに影響はほとんどない。そもそも全幅を気にするような人が、この手のクルマを求めることは少ないだろう。新型がサイズアップした理由は、生産終了となるグランドエスクードの後継車という意味合いもある(新型エスクードに、3列シートの設定はないが)。全長が4メートルを切っていた3ドアは、今回から廃止されている。

 

外観デザインは、北米では好評だった2代目の柔和なものから、初代風のシャープなものに立ち戻った。蓋(ふた)のように被さるボンネット形状も、初代のモチーフだ。あえて難を言えば、多くの街乗りクロカンと見た目の差別化がなされていないのは、もったいないところ。張り出したフェンダーをブラックアウトしたり、もっと先をゆくデザインという手もあったのではないかと思う。

 

インテリア&ラゲッジスペース

スイフト譲りのインテリア

先代から一気に質感を高めたインテリア。スイフトと共通と見受けられるパーツも多いが、最近のスズキ車らしい高品質なものとなっている。シートの座り心地が良いと思ったら、ベース部分はスイフトと同じという。同じくスイフトと同じゲート式ATシフトレバーは誤操作しにくいという点で、シーケンシャル式より好ましい。

上級グレードはキーを携帯するだけでエンジン始動まで可能なキーレススタートシステムを装備する。速度計はさりげなく200km/hまで。カーウィングス対応のナビもオプションで用意されていて、見やすい位置にセットできる。画期的な部分はないが、特に文句もない。SUVではあるが、シートは乗りこみやすい高さになっている。ドアはサイドシルをカバーするタイプで、乗り降り時の裾の汚れを防ぐ。

十分に広い後席と荷室

短い全長、エンジン縦置きといった不利な条件ながら、後席スペースは十分に広い。後席を折り畳む時はタンブル(背もたれを前に倒し、前方にタンブル=転がす)で行う。トノカバーも簡単に畳むことができる。これは使いやすい。荷室容量は通常時でも398Lを確保と広い。

基本性能&ドライブフィール

オールマイティな2.7

今回は富士山麓・朝霧高原での合同試乗会に参加。最初に乗ったのは2.7XS。スズキで唯一のV6エンジン搭載車となるトップ・オブ・スズキだ。その2.7リッターエンジンはグランドエスクードに搭載されたユニットのリファイン版で、184ps、25.5kgmのスペックは変わらない。

運転感覚には全然クロカンっぽさがなく自然だ。V6エンジンは1620kgのボディを望む通りに引っ張り、振動も小さくて快適。コーナリングも心なしか縦置きエンジン車らしくスムーズで、節度のあるロールが気持ちいい。ボディのねじり剛性は従来比の約2倍までアップしたという。タイヤは225/65R17という大径サイズだが、グリップも乗り心地もちょうどいい感じ。普通の乗用車から乗り換えて、失うものはないという印象だ。また、フルタイム4WD化のために採用したカム式LSD(スバル車でよく知られるシュアトラックLSDとのこと)付きセンターデフも威力を発揮しているはず。

頼れる「4Lロック」

続いて近所の「富士ヶ嶺オフロードコース」で走破性を試した。新型はフルタイム4WDだが、副変速機でローレンジ(1:1.970)およびセンターデフロック(前後直結)とするため、コンソールのダイアルを「4Lロック」に、シフトレバーを「L」にセット。これが最も走破性の高い走行モードだ。さっそく最初の難所、ヒルクライムに挑戦。オンディマンド式の4WDではとても挑戦する気にならない急坂だ。ここをエスクードは全く危なげなくグイグイ登り切った。タイヤはまったくのノーマル(ごく一般的なブリヂストンのDUELER H/T)だ。このタイヤで、この走破性なら、そうとう過酷な状況でも不足はないだろう。

 

続いてモーグルにも挑戦。このコースでは、サスペンションのストロークより、4L時のために専用プログラムを持つ新しいESPの効果が実感できた。前後の各デフにLSDのないエスクードでも、ブレーキ制御によるLSD効果で対角線スタックを防ぐことができるからだ。

よりスポーティな2.0

続いて2.0XGに、舗装路のみで試乗した。こちらは2.7に増してハンドリングがシャープ。鼻先が軽いのでスイフト張りにコーナーを攻めることができる。ただ、軽い車重のせいかセッティングのせいか、2.7より乗り心地は固く感じられた。また、可変吸気システムを採用するなど大幅に改良されたJ20Aエンジン(145ps、19.7kgm)でも、1550kgの車重はやや荷が重い。街乗りなら不満ないと思うが、山岳路や高速道路の走行が多い人には、価格差が少なく装備の良い2.7XSがいいと思う。ただし2リッター車なら5MTが選択可能だ。

ここがイイ

ヘビーデューティクロカンなのに気持ちいいオンロードでのハンドリング、ヘビーデューティクロカンらしい素晴らしいオフロード走破性、初代の精神に戻ったスタイリングのシャープさ、このあたりは好印象だ。

セキュリティアラーム(専用のキーレスエントリーでないとハザードとホーンが作動)、イモビライザー、キーが合わないと空転するキーシリンダー、板をつっこんでも開錠できないフルカバードドアラッチといった防犯装置に力が注がれているのもいいところ。パッシブセーフティ装備の充実が一息ついた今、防犯装備の充実が今後のトレンド。先取りしている。

ここがダメ

2.0リッターではもう少しパワー感が欲しいし、もう少し快適性も欲しい。ESPが選べないのも残念。とはいえ、2.0にはマニュアルがあるから、よりマニアックには楽しめるが。

デザインは悪くないが、今後長く売られることを考えると、進化した四駆のあるべきスタイルといった提案型のデザインを示して、存在感をもうちょっと強調して欲しかった。

フロントフェンダーのミラーは見にくく、ほとんど意味がない。スタイリングも崩している。建前だけのこのミラー、そろそろお役ご免では。サイドカメラのオプション設定もない(フロントサイドビューとバックアイの二つのモニタカメラはあって、セットで81,690円)

総合評価

日本では初代エスクードが切り開いたライトクロカンの世界は、シティクロカン(FFの2WDで、カッコだけクロカン)が主流を占めるようになり、性能より雰囲気が勝負となっている。2代目エスクードが登場したときにはすでにそういう状況になっており、その中でエスクードは17年間、本格クロカンを旗印に一人戦い続けてきたわけだ。先代は確かに好き者からの支持はあったが、車幅の狭さからくる室内の狭さ、騒音、乗り心地、ハンドリングなどはさすがに厳しい状況となっていた。今回はそれらの問題を一掃し、現代の快適なSUV性能を持ちつつ、クロカン性能をきちんと維持するという大幅な性能の底上げに成功している。

特に2.7の方は、ほぼ理想的な使い勝手のいいコンパクトなクロカン四駆を実現しており、価格も輸入4WD車ほど高くない。「道具としての四駆」を求める人にはこれ以上のクルマはないと思う。モノコックだが、ラダーフレームを内蔵するというのはランドローバーディスカバリー3と同様で、なんちゃってクロカンとの差別化を明確にしている。オンロードだけ走るなら他にもいろいろあるが、ローギアを持っていることこそ、このクルマの強み。インパネのモード切替スイッチも使いやすい。牽引されるための「N」ポジションもちゃんと用意されている。

 

ライトクロカンブームが去った昨今、本格四駆でライトなエスクードは、独自のいいポジションを確保できる。先代がでた8年前はブームの真っ只中だっただけに苦戦したが、今回は大丈夫。ライトクロカンこそ今や存在感は薄い。新型でもヘビーデューティクロカンであり続けるエスクード(オンロードはより快適&スポーティーになったし)は、ブームに左右されずに存在を誇示し続けられる。そしてそれはユーザーにとっての誇りでもあるわけだ。

スズキ エスクード 2.0XG
(2.0リッター直4・4AT・220万5000円)

●形式:CBA-TD54W
●全長4390mm×全幅1810mm×全高1695mm
●ホイールベース:2640mm
●車重(車検証記載値):1550kg (F:810+R:740)
●乗車定員:5名
●エンジン型式:J20A
●1995cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・縦置
●145ps(107kW)/6000rpm、19.7kgm (193Nm)/4000rpm
●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/66L
●10・15モード燃費:11.6km/L
●駆動方式:フルタイム4WD
●タイヤ:225/65R17(BRIDGESTONE DUELER H/T 687)
●価格 220万5000円(試乗車 222万6000円 ※オプション:パールホワイト塗装 2万1000円)

スズキ エスクード 2.7XS
(2.7リッターV6・5AT・252万円)

●形式:CBA-TD94W
●車重(車検証記載値):1620kg (F:-+R:-)
●エンジン型式:H27A
●2736cc・V型6気筒DOHC・4バルブ・縦置
●184ps(135kW)/6000rpm、25.5kgm (250Nm)/4500rpm
●10・15モード燃費:10.2km/L
●価格 252万円(試乗車 273万円 ※オプション:HDDナビゲーションシステム 21万円)

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

スズキ 最新の試乗記10件

最近の試乗記一覧

関連コンテンツ一覧