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スズキ エブリイプラス新車試乗記(第89回)

Suzuki Every Plus

 

1999年09月03日

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キャラクター&開発コンセプト

ベースは軽。スズキ初の7人乗りミニバン

「軽」規格では実現できない3列シート7人乗り(←軽自動車は、乗車定員の制限が4人のため)の1BOXワゴンを実現するべく、軽規格のエブリイワゴンをベースに1.3リッターエンジンを搭載し、小型乗用車枠サイズに仕上げたのがこのエブリイプラスだ。スバル・ドミンゴがなくなった現在、日本最小サイズ(ひょっとして世界最小かも? )の7人乗り1BOXミニバンだ。

エンジン配置は軽のエブリイワゴン同様、エンジンを前席床下に配置する「フロントミッドシップ」。衝突安全性を軽より向上させるため、ボンネットは専用パネルとなる。セカンドキャプテンシートなどシートアレンジも多彩で、限られた空間の中に7人が快適に、不便を感じることのないよう様々な工夫が込められている。スズキがコンパクトカーづくりのノウハウを結集した会心作といえるだろう。

価格帯&グレード展開

ベース車よりも安い? 価格は141万円と153万円

モノグレードで、選択肢としては2WDを選ぶか4WDを選ぶかだけだ。共に後席のためのツインエアコンとサンルーフのセットオプションを装着することもできる。4ATのみで、価格は2WDが141万円、4WDが153万円。ちょっと割高な印象だが、実は軽のエブリイワゴンのエアロ仕様よりも2万3000円安くなっている。

直接のライバルは同じ軽ベースの1BOXミニバンである三菱のタウンボックスワイド。スバルはサンバーベースのドミンゴというクルマを出していたが、今はラインナップから消滅している。

パッケージング&スタイル

エブリイワゴンをベースに、オーバーフェンダー装着とノーズを延ばして一丁上がり

ボディサイズは全長3,675mm×全幅1,505mm×全高1,915mm。+(プラス)のネーミングで気付くように、同じくスズキからはワゴンR+がでており、どちらも基本骨格は軽自動車がベースだ。ただ、ワゴンRプラスがパネル自体を変更して内外サイズを大幅に見直しているのに対して、エブリイプラスの改良点は少ない。変更内容は主にオーバーフェンダーの装着、いわゆる「被せ系」だ。ノーズを280mm延長した顔は、フェンダー、ボンネット、バンパーなど全て専用となり、重量増に対応して衝突安全性も向上している。また、ホイールが13インチから14インチとなったことで車高が45mm上がっている。結果、腰高な印象で、見た目のバランスは崩れてしまった気がする。

軽の室内空間で3列シートを実現

photo_3.jpg室内のサイズはエブリイワゴンと共通で、インパネはデュアルエアバッグが標準化された程度で同じものを使う。シート表皮が専用とはいえ、もう少し兄貴分らしい演出が欲しいところ。それでも室内空間は非常に広く、新規格サイズの恩恵を改めて強く感じさせてくれるもの。特に頭上高はハイルーフの採用で、バンザイできるほど余裕たっぷりだ。

最大の武器は2+2+3の3列シートにある。2列目から3列目シートのウォークスルーが可能で、全席リクライニング機構が採用される。2列目シートは160mmロングスライド機構付きで、これを上手く使いこなして、7人乗車に対応する。3列目の両脇シートも3点式シートベルトをちゃんと備えている。

なお、同じ3列シートを採用するタウンボックスワイドは、3列目がセパレートの2人乗りとなっている点が大きな違い。また、タウンボックスの3列目シートの格納が左右跳ね上げ式に対し、こちらは前方への一体可倒となっている。

基本性能&ドライブフィール

パワーの余裕は当たり前

エンジンはカルタス用の1.3リッター直4SOHCが前席の床下に配置され、専用チューンにより最高出力85ps/6000rpm、最大トルク11.3kg-m/3000rpm。基本的には後輪駆動で、4速ATが組み合わせられる。車両重量は990kg。これに対し、タウンボックスは980kgとほぼ同じ重量ながら、排気量は-200ccでパワー&トルクも小さい。足回りはエブリイワゴンと基本的に同じで、前がマクファーソン式ストラット、後ろがトレーリング式。タイヤは165/65R14サイズで1インチアップとなっている。

トルクの増加分の恩恵により、市街地で走らせる限り、パワー不足を感じることはまずない。ドライビングポジションも決して商用車っぽくなく、アイポイントの高さもあって、快適な走りが望める。アクセルの開度が少なくてすむので、軽自動車のように加減速の忙しさもあまりない。しかし、エンジン音がいかにも古くさいのが、乗用車ライクなフィーリングを妨げている。

安定しない走りは不満あり

コーナリング時のロールが大きい点も商用車的だ。路面や横風の影響を大きく受け、高速時の安定性は悪い。ATの4速化によってとりあえず100km/h時のエンジン回転数は3000回転強におさまっているものの、安心して走れるのはそのあたりまで。これ以上のスピードで急な車線変更をするのは、かなり危険だ。それでも余裕のある走りという点では軽1BOXよりはるかに優れているわけで、80km/hまでという法定速度も当てはまらない。それでいて最小回転半径はエブリイワゴンと同じだ。

当たり前であるが軽1BOXと比較する限り、走りの余裕という点では比較にならない。直進安定性の弱さもマナー良く走ればさして気にならないものだ。恐らくこれを購入するユーザーも、そのあたりは心得ているはず。しかし、燃費の悪さだけはちょっと残念なところ。スペック上では10・15モードで15.5km/Lと、エブリイとほぼ変わらない数値なのに、実際は8.5km/Lという成績だったのだから。これは我々の走り方が悪かった可能性もあるが。

ここがイイ

今後、チャイルドシートの装着が義務づけられることを考えると、このクルマの存在価値は十分にあると思う。小回りのきく軽自動車とほぼ同じサイズでありながら、チャイルドシートは5つも装着できます(そこまでするユーザーはあまりいないと思うけど)。両側スライドドアの窓が全開するのも気持ち良い。あまり大きく開くので、手動のレギュレータは途中で一回止まるようにしてあるほど。4速ATなので高速走行も法定速度なら快適。軽のエブリイにもぜひ欲しい。運転席のシート高も、これくらいなら乗り込むのに苦がない。

ここがダメ

軽ベースと思えばこのクルマ、全てが納得できるものだ。ただし、スタイルには少々難あり。腰高な印象はどうも落ち着かない。また小さな見栄かもしれないが、弟分のエブリイワゴンよりステイタス感があってもいいのではないかと思う。エブリイワゴンのエアロ仕様と比較すれば確かに2万3000円安いのだが、それでもちょっと割高な印象は否めない。

2列目シートの居心地はあまり良くない。座面高がちょっと低いようで、足が落ち着かないのだ。エンジンがあって前席とフロアの隙間が狭いので、そこへ足を潜り込ませることもできない。頭上空間がたっぷりとあるのだから、もう少し座面高を上げてみては? とメーカーの人に聞くと、「そうすると、フルフラットができないんです。」とのこと。3列目シートにヘッドレストさえ装備されていれば、そちらのほう快適そうだ。

総合評価

photo_2.jpgなんでこんな小さなクルマに7人で乗らなくてはならないのか、という疑問は消えないが、このサイズで7人がちゃんと乗れることは評価したい。広々してるとは言い難いが、父母、祖父祖母、子供2~3人がまあまあ乗れるという点では、それなりに需要はあるはず。なにより子供が4人以上いる家庭には、セーブマネーの面からも必需品のクルマになるだろう。何とかの子だくさんというムードはつらいものがあるが、背に腹は代えられない? というところか。それより世界にはまだまだこうしたクルマを必要としている地域が多い。世界市場を考えると存在自体に意義のあるクルマだ。

公式サイトhttp://www.suzuki.co.jp/dom4/index.html

 

 
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