Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > スズキ エブリイ ワゴン PZ ターボ スペシャル

スズキ エブリイ ワゴン PZ ターボ スペシャル新車試乗記(第390回)

Suzuki Every Wagon

(0.66リッターターボ・4AT・153万3000円)


2005年11月05日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

ファーストカーとしての軽ミニバン

スズキのキャブオーバータイプの軽自動車は、スズライト・キャリイバン(1964年)からスタート。そこから軽ワンボックスとして進化を遂げたのが「エブリイ」だ。1999年には軽の新規格に対応してセミキャブオーバー型となり、現在では商用の「エブリイ」と乗用の「エブリイワゴン」の二本立てとなっている。

今回の新型エブリイ&エブリイワゴンは2005年8月に登場。6年ぶりのフルモデルチェンジということで、その進化は著しい。特にエブリイワゴンは「ファーストカーとして選んで満足できる軽ミニバン」をコンセプトに、ワゴン専用の外観やファミリカーに相応しい快適性を追求。両側電動スライドドアや電動オートステップまで用意した。目指したのは「軽のミニバン」だ。

CMソングはミュージカル映画「チキチキバンバン」(1968年)のテーマ曲を替え歌にした♪軽ミニバン軽ミニバンバン。販売目標はエブリイとエブリイワゴンを合わせて月間7500台。今回のモデルチェンジで先代エブリイベースの普通車「エブリイランディ」は販売終了した。

価格帯&グレード展開

116万250円~153万3000円までバリエーション豊富

グレードは大きく分けて4種類。標準車の「JP」(116万250円~)、「JPターボ」(134万4000円~)、電動スライドドア(左側のみ)等の装備を持つ「PZターボ」(145万9000円)、さらに電動スライドドア(両側)と電動オートステップ、14インチタイヤが付く最上級の「PZターボ・スペシャル」(153万3000円)となる。

変速機は自然吸気モデルなら5MTか3AT、ターボ車では4ATのみ。12万6000円高でパートタイムもしくはフルタイム4WDが選択できる。JP/JPターボでは標準ルーフとハイルーフ(+85mm)も選択可能。アトレーワゴンに比べると選択範囲は広い。

パッケージング&スタイル

箱型ボディで、ピラーをブラックアウト

ボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1795mm(ハイルーフは1880mm)。ホイールベースは先代より50mm伸びて 2400mm。角丸のボディに窓枠がボディカラー同色だった先代から一転、新型はワゴンR似のスクエアなエクステリアとブラックアウトされたB/Cピラーを採用。ボンネットもしっかり水平近くまで起こされた。スズキの一部販売店でも扱うシボレーアストロ風をおそらく狙ったと思うが、確かに例の「ボウタイ」マークも違和感なく収まりそうだ。

細かいところでは、ホイールハウスを強調するプレスライン、スライドドアのレールと一直線につながるキャラクターライン、ワゴンRのような縦型リアコンビランプ、前後で形状がお揃いのドア・アウターハンドルなど丁寧にデザインされている。エアロパーツなど妙な小細工が無いのも良い。

居心地、機能性ともに良好のインテリア

明るいベージュ色で暖かな雰囲気のインパネ。ガングリップタイプのインパネシフト(5MTのシフトレバーもインパネから「く」の字型に突き出る)や水平基調のダッシュボードは機能的でもある。結果として男女どちらでもOKな雰囲気となっている。乗降性もよく、シートの作りもまずまず。AT車には2名分のドリンクホルダーやCDを入れる場所があるセンターコンソールトレーが備わる。

年配者にも子供にも優しい

リアシートに座った時のゆったり感はなかなかのもの。前席下にエンジンはあるものの、床面が微妙に傾斜していて足元の狭い感じがない。リアシートの前後スライド(150mm)が最後端なら広さは十分だ。

特に優れているのが乗降性だ。ターボ車には軽自動車初の電動スライドドア(左側のみ)が、最上級グレードでは電動スライドドア(両側)と電動オートステップが付く。贅沢な装備ではあるが、これはなかなか便利だ。さらに乗降用のグリップがしかるべき場所に付くので、特に年配者には喜ばれるはず。スライドドアのウインドウは半分ほどしか開かないが、これは幼児がシートの上に立って乗り出したときの転落を防ぐためとのこと。

畳、自転車、サーフボード

簡単な操作で写真のような荷室最大モードが可能。助手席の背もたれを前倒しにすれば、サーフボードなどの長尺物(商用エブリイの数値では、床面で最大 2580mm)が積める。2名乗車時なら1860mmで、ホイールを付けた状態の自転車が2台積めるようだ(高さはギリギリだが)。フラットになる荷室は畳に換算すると1.4畳分くらいの面積があり、「起きて半畳、寝て一畳」などという昔のことわざもあるくらいで、日本人なら生活だってできるかも。この荷室の積載性については商用エブリイのカタログに詳しいから、ついでに貰っておくと良い。

荷室の両サイド壁についている穴(片側で10個)はラゲッジバーを固定するためのもの。多趣味の人はこれだけでもいろいろ夢が膨らむだろう。前席ヘッドレストを外せばフルフラットも可能だが、最近のミニバンはこれができないので、けっこううれしいところだ。

基本性能&ドライブフィール

ターボラグ小さく、動力性能は十分

試乗したのは最上級の PZターボスペシャル。前席下に3気筒DOHCターボ(64ps、10.5kg-m)を縦に置き、4速ATを通して後輪を駆動するところはダイハツ・アトレーワゴンと同じだ。990kgの車重にエンジンパワーは十分。過給器の音こそはっきり聞こえるもののターボラグは小さくて乗りやすい。エンジン自体のノイズは十分に抑えられており、気になる振動もない。パワートレインは完成の域に達している。

グラッとこない自然な走り

シャシーの進歩も期待以上だ。街乗りでの挙動はワゴンRあたりのFFモノコック車かと錯覚するほど自然で、車線変更や交差点の右左折が特に気遣いなくできる。目線が高いので飛ばす気にはならないが、ステアリングを切ってもグラッとこない。軽ワンボックスだからといって意識してスピードを抑える必要がないのだ。開口部は小さくないボディだが、しっかり感は十分にある。ただ、試乗車のタイヤが165/60R14(ダンロップのSPスポーツ230)と立派なサイズだったのは考慮する必要があるかも。他のグレードは全て155/70R13サイズだ。

ターボ+4ATで高速も大丈夫

100km/h 時のエンジン回転数は約3800回転ほど。時間は掛かるが最高速はメーター読みで130km/hを確認した。ターボ車なのでノイズはそれほど高まらず、直進安定性もけっこうある。法定速度程度で淡々と流せば、無理のない高速走行が可能だ。これなら行動範囲は大きく広がる。ここは先代から大きく改善された部分で、ファーストカーになり得る最大のメリットだろう。

ここがイイ

まさにミニバンというスタイルは、まったくもってカッコいい。スクエアなボディパネルだが、フェンダーラインはくっきりと、さも膨らんだように見えるし、サイドウインドウはB、Cピラーがブラックアウトされ、CピラーがJラインを描いて小粋な感じ。特にウインドウがスモーク仕様だとボディが実際より長く見えるのだ。リアスタイルもテールライトをあざとく強調してないことに好感が持てる。またバンパーへリアゲートが食い込みすぎず、そのハッチ下方に段を付けられたことがアクセントになっているのもいい。全体の印象は最近のスズキらしい見事なデザインと誉められる。反面、古くさいという意見もあるかと思うが、ミニミニバンというのであれば、やはりこのスタイルがふさわしいだろう。

ついに軽にまで装備された両側電動スライドドアがいい。やはり便利だ。ミニバンをうたう以上、アルファードに負けない装備であっていい。その点、電動サイドステップはアルファードにも勝っている装備だ。インパネは基本的に商用車と同じだからさすがに機能的。また、左右ウォークスルーができて便利なインパネシフトなど、ミニバンのトレンドをおさえている。

ターボはそれを感じさせないほど低回転から自然に効き、トルクフルな走りが可能。定速巡航に入れば騒音もよく遮断されている。コーナリングの安定感もこのクラスではおそらくトップ。つまりパワートレインにもシャシーにも特に不満がない。ホンダステップバン以来、最も理想的な軽ワンボックスになったと思う。ヒットして欲しいものだ。

ここがダメ

前輪の位置の関係でペダル類がやや左にオフセットされているのは、残念なところ。またこれほどの装備がつけば致し方ないが、やはり軽としてはたいへん高価。商用エブリイ(87万9900円~138万3900円)を買ってカスタマイズという手もあるが、ターボ+4速AT車はやはり高い。ベーシックグレードにもターボ+4ATがあればおもしろいカスタムカーが作れそうなのだが。

後席は折りたたみのため背もたれの長さが短い。致し方ないとは思うが、これを解決する方法は今後検討すべきだろう。また、残念ながらサンルーフが用意されていない。これがあると遊びのベースカーとしての利用価値がずいぶん高まると思う。ぜひ欲しい。

総合評価

6年前の試乗記を読めばわかるが、先代の初期モデルは3速ATがまったくダメだし、コーナリングもメロメロ。100㎞ /h巡航では6000回転も回り、最高速は110㎞/h。旧態依然の軽バンに快適装備を載せたもの、という感じで、アトレーとの差もかなりあるというレポートになっている(この後、すぐに4ATが追加された)。しかし今回のエブリイはまったくその逆といえる。全ての面でミニミニバンとして不満がないものになっているわけだ。

動力性能的にはいまや軽乗用車と同等に近い。日帰り300㎞のドライブも楽勝だから、軽ミニバンの行動範囲は大きく広がるだろう。高速道路を含め、日本の公道をまったく不足なく走れる軽ミニバンだから、便利さはそのままに、確かにファーストカーになり得る。

ここまでよくなったのは、スズキにタントに相当するモデルがないことが功を奏している。ダイハツのアトレーは、ミニミニバンというより旧来のワンボックスファン向けで、乗用車的な乗り味でスペース効率を求めるならタントがある、というわけだ。しかしスズキはスペース効率を求める人にはエブリイを勧めるしかないわけで、広い層に訴える性能を備えたわけだ。

ミニミニバンとしての装備の充実という意味では、電動スライドドアのみならず、カーウィングス対応ナビもあるし、広角レンズのゆがみを電子処理した新開発のバックアイカメラも装着も可能となっている。オートエアコンもコーナーセンサーもある。価格は高くなってしまうが、今のミニバンに求められるほぼ全てのものが用意されている。ツイン(残念ながら生産終了)が究極のタウンカーなら、エブリイは究極のファミリーカーだろう。

軽ワンボックス(あるいは軽トラック)はシニア層に求められることが多い。リタイアしたあとは維持費が安くて、使い勝手のいい軽ワンボックス(トラック)で楽しむ人が実に多い。シニアといっても今後は、昔から高性能なクルマに乗ってきた人が増えてくるわけで、これまでの軽ワンボックスの動力性能では満足できないだろう。でもエブリイなら文句なし。おそらく軽トラも出るはずだが、これには期待大。ワゴンの性能でぜひトラックを作って欲しい。でもって昔のステップバントラックみたいなスタイルであったらかなりうれしい。

シニアだけじゃない。この低賃金のご時世で「安い維持費」で「マルチな性能」を求める人は多い。そういう人のベストな選択がエブリイといえる。

試乗車スペック
スズキ エブリイ ワゴン PZ ターボ スペシャル
(0.66リッターターボ・4AT・153万3000円)

●形式:ABA-DA64W●全長3395mm×全幅1475mm×全高1795mm●ホイールベース:2400mm● 車重(車検証記載値):990kg(F:510+R:480)●乗車定員:4名 ●エンジン型式:K6A●658cc・DOHC・4バルブ・直列3気筒ターボ・縦置●64ps(47kW)/6500rpm、10.5kgm (103Nm)/3500rpm●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/40L●10・15モード燃費:15.0km/L●駆動方式:後輪駆動●タイヤ: 165/60R14(DUNLOP SP SPORT 230)●試乗車価格:154万3080円(含むオプション:フロアマット 1万80円)●試乗距離:-km

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

スズキ 最新の試乗記10件

最近の試乗記一覧

関連コンテンツ一覧