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三菱 ランサー エボリューション X GSR新車試乗記(第492回)

Mitsubishi Lancer Evolution X GSR

(2.0Lターボ・5MT・349万5450円)

10代目エボリューションは
運動性能のレボリューションだった!

2007年12月22日

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キャラクター&開発コンセプト

第4世代、10代目にして本格的なワールドカーへ

2007年10月1日(5MT)、および12月20日(TC-SST)に発売された10代目、すなわち「ランサー エボリューションX(テン)」は三菱を代表する高性能4WDセダン。その名の通り初代「ランエボ」(1992年)からランサーがベースだが、新型は国内におけるギャランフォルティス(海外名ランサー)をベースとする完全ニューモデル。10代目を名乗るが、大きく捉えれば第4世代となる。世界に通用する高性能車として一から開発されたのが新型の特徴であり、その点では日産GT-Rと同じ道を歩んでいる。

メカニズム的にはまず第一に、市販車で最も高度な4WDシステムの一つであり、車両運動統合制御システムとも称する「S-AWC(Super All Wheel Control)」を進化・熟成させた点。第二に、ギャランVR-4から連綿と使われてきた2リッターターボ「4G63」に代えて新世代エンジン「4B11」を採用した点。第三に、機械式6AT「TC-SST( ツインクラッチ-スポーツ・シフト・トランスミッション)」を採用・設定した点だ。ボルグワーナー社のコア技術を元とするツインクラッチ式2ペダルMTの採用は、VW・アウディ系に続くもので、国内メーカーでは現時点でこのランエボ(変速機自体は独ゲトラグから供給を受ける)と日産GT-Rの2台だけとなる。販売目標台数は4000台(2007年度下期)だ。

ランエボとWRCの関係

ランサー「エボリューション」が生まれたのは、インプレッサ「WRX」同様、当時のWRC(世界ラリー選手権)が採択していたグループA規定(一定の生産台数を達成した市販車ベースで厳しい改造制限がある) をクリアするため製作された事実上の限定モデル。その高性能やラリーでの活躍から人気が定着してシリーズ化された。特にフィンランド人ドライバーのトミ・マキネンが96年、97年、98年、99年とWRCドライバ-ズタイトル4連覇を飾った頃が絶頂期で、03年から海外での販売も始まった。

一方、97年以後の「WRカー」規定がランエボにとって不利に働いたことや、折からの事業再生という課題もあり、2006年以降はWRCへのワークス参戦を休止している。

・三菱自動車、FIA世界ラリー選手権(WRC)のワークス活動を休止(2005/12/14)
http://www.mitsubishi-motors.co.jp/pressrelease/j/motorsports/detail1389.html

価格帯&グレード展開

5MTが349万5450円、SSTが375万600円

全車2リッターターボ(280ps)・フルタイム4WDで、ラインナップは以下の3種類。

■GSR(Twin Clutch SST) 375万0600円 ※12月20日発売
GSR(5MT)  349万5450円 ※今週の試乗車
■RS(5MT)   299万7750円

GSRにはディスチャージヘッドライト、レカロ製シート、エンケイ製18インチアルミ、「S-AWC」、ブレンボ製ブレーキ等を標準装備。さらにオプションとして「ハイパフォーマンスパッケージ」(ハイグリップタイヤ、ビルシュタイン製ダンパー、ブレンボ製軽量2ピースタイプ前ブレーキなど。21万円)、BBS製鍛造18インチホイール(21万円)、HDDナビ(27万3000円)、「スタイリッシュエクステリア」(各部同色塗装、メッキモールなど。5万2500円)、オーディオ(各種)等が用意される。

「RS」はモータースポーツ用

簡素な「RS」には、上記の装備がことごとくオプションか、選択不可となる。例えば標準タイヤは16インチなので、当然ブレンボのブレーキシステムもオプション(31万5000円)だし、「S-AWC」もアクティブヨーコントロール抜きとなる。GSR比で約100kg軽い車重は魅力だが、やはり基本的にはモータースポーツ用のベース車両と言える。カタログにも「遮音材などを大幅に削減。室内騒音・振動などはGSRに比べてかなり劣ります」と注意書きがある。「かなり」という大ざっぱな表現が面白い。

パッケージング&スタイル

多少洗練されたが、やっぱり武闘派

ボディサイズ(先代ランエボIX比)は、全長4495(-5)×全幅1810(+40)×全高1480(+40)mm。ホイールベースは2650(+25)mm。フォルテス比だとそれぞれ-75mm、+50mm、-10mm、ホイールベースは+25mmとなる(リアサス構造が完全に別物であるため)。当然、前後のバンパー、フェンダー等はエボリューション専用パーツで、やっぱりボディの拡幅分が目立つ。

空力パーツ、冷却用エアインテーク/アウトレットを備える点はWRX STIと同じでも、新型になって洗練されたスバルに対して、ランエボはいかにも武闘派らしく無骨。この大口を開けたラジエイターグリルに高速道路で後ろから迫られたら思わず道を譲ってしまいそうだ。

なお試乗車(GSR)は、オプションの「スタイリッシュエクステリア」(5万2500円)付き。ボディ同色エアアウトレット、窓枠下のメッキモールなどが備わる。ホイールは標準のエンケイ製18インチ鋳造(ちゅうぞう)タイプだ。「GSR」のボディカラーは、試乗車の赤(レッドメタリック)など計5色。「RS」は同じ赤と、ソリッドの白の2色となる。

フォルティスと基本は同じインパネ

基本的にはフォルティス同様のインパネ。変更点は光沢を抑えた加飾パネル、レカロ製シートなど。フォルティスではボテッとした形状だったステアリングも、エボリューションでは「S-AWC」モード切換ボタン付きの小径品へ変更されている。速度計の目盛りはWRX STIの260km/hに対して300km/hまで刻まれる。言うまでもなく、どちらも180km/h超でリミッターが作動するが。

なおオプションのキーレスオペレーション(オートライト等とセットで3万1500円)付きなら、キーを携帯するだけでエンジン始動が可能。ドアの開錠はドアノブに手をかけると反応するセンサー式、つまりトヨタ/レクサス車と同じ方法だ。たいていは黒いゴム製のリクエストスイッチを押して(あるいはセンサー検知範囲への出入りで)施・開錠するものが多い。センサー式は少数派だが、慣れると便利だ。

レカロ標準装備(GSR)。高さ調整は不可

GSRにはホールド性や振動吸収性に優れたレカロシートを標準装備。基本構造はWRX STIと同じらしいが、クッション形状はまったく異なる。包まれ感、ホールド性、シート地の質感は、エボリューションの方が若干低い、と感じられた。またWRX STIのようにサイドエアバッグの内蔵もない(サイド&カーテンエアバッグは全車オプション)。ただし、オプションのレザーコンビネーションインテリア(10万5000円)を選ぶと、シート地は本革/人工スエード(セーレン株式会社のグランリュクス)にアップグレードされ、同時に遮音材も追加される。

残念なのはWRX STIにはあった座面高の調整機能が、エボリューションにはないこと。レカロのSP-Gのようなフルバケットシートに慣れているドライバーなら問題ないが、一般ユーザー、特に小柄な人の場合は、低く埋もれたようなドライビングポジションにストレスを感じるだろう。

リアシートに関しては空間から、見晴らし、乗降性まで特に不満はない。サイドウインドウは一番下まで降りる。後席の静的な快適性は、フォルティスと同レベルだ。

走りのためならトランクスルーも省略

明らかに割り切ったのは積載性だ。トランクスルー機能は一切省かれ、アームレスト部の貫通さえしない。これは背もたれ裏にV字型に補強用バーを通したことに加えて、進行方向に向かって右側にバッテリー(密閉小型式)、左側にウォッシャータンクを配置したから。これは当然、少しでも重量配分を後ろに寄せるため。奥行きが減った分、トランク容量もフォルティス(400L)より減っている。逆に遮音・吸音性は上がっていそうで、おかげでリアシート静粛性が高いとなれば、実用面ではプラマイゼロ、かもしれない。

基本性能&ドライブフィール

今回試乗したのは「GSR」の5MT

今回試乗したのは「GSR」(5MT)のハイパフォーマンスパッケージ付。「ククククク」と長めのクランキング後に火が入るエンジンは、冒頭で触れた通り、新開発の後方排気2リッター直4ターボ。ギャランフォルティスとは形式名「4B11」も2リッターという排気量も同じなれど、チタンアルミ合金製タービンのツインスクロール式シングルターボにより、最大出力280ps、最大トルク43kgmを発揮する。WRX STI比で28ps減だが、トルクは同値で、車重はランエボGSRの方が40kg重い1520kgだ。少しでも軽くし、重心を下げるため、エンジンフード、フロントフェンダー、リヤスポイラー(骨格部)、前後バンパービームはアルミ製。もちろん三菱お得意のアルミ製ルーフも採用している。

直接比較したわけでないが、クラッチ踏力はWRX STIと似たような重さ。発進も同じくらい容易で、特に気を使うことはない。同じ直4ターボ車では、両車よりマツダスピード・アクセラの方が発進にコツが要る。という話はさておき、このクラスで今や珍しい5速マニュアルギアボックスは、格段の剛性感こそないものの、慣れ親しんだ操作感があるため、安心して確実に操作できる。

ワインディングで生きるエンジン、安心のフットワーク

ターボラグはほとんどなく、パンチの効いた中回転域の加速が実戦的だ。言ってみれば「すごくパワフルな低圧ターボ」という感じで速やかに加速体制に入る。ストレートで普通に加速すると物足りなさを感じやすいが、コーナリングとコーナリングの間の刹那(せつな)に味わうダッシュはまさにパンチを繰り出すが如し。最大出力は6500回転で発生、レッドゾーンは7000回転からだが、実際には7500回転までスムーズに伸びるため、パワーバンドのキープも容易だ、WRX STIが高回転型・ハイスピード向きとすれば、ランエボの方はツイスティなワインディングで生きる特性と言える。これは多少スポーツ心のあるドライバーなら、誰でも体感できると思う。とにかく狙ったラインから外れる感じがないため、いつもの狭いワインディングでも安心して攻められる。電子制御フルタイム4WDとしてはホンダの「SH-AWD」と並んで最も先進的と言える「S-AWC」の存在や、車重1500kgの重さとかは、ほとんど意識されない。運転感覚はとても自然だ。

フロント対向4ポッド、リア対向2ポッドのブレンボ製ブレーキの効きも頼もしい。試乗車のブレーキシステムは同じブレンボ製でも、「ハイパフォーマンスパッケージ」仕様のアルミ製ハブ付き軽量・フローティング構造(1個あたり1.3kg軽い)。同時にタイヤはGSR標準のアドバン「A13C」ではなく、アウト側のトレッド剛性をより高めた「A13A」で、ダンパーはビルシュタイン製、バネはアイバッハ製となる。限界が高いのは当然だが、「いざとなれば振り回せる」感が、たとえ幻想にしても、あるのが嬉しい。なお「S-AWC」のモードは、「ターマック(舗装路)」「グラベル(未舗装路)」「スノー」と指先一つで選べるが、今回は主に(当然ながら)「ターマック」で走った。また、「ASC」(アクティブ・スタビリティ・コントロール、車両安定化装置)オフのほか、左右後輪の駆動力配分を変更して旋回性をコントロールする「AYC」(アクティブ・ヨー・コントロール、Active Yaw Control)オフも可能なようだが、今回は基本的にすべてオンの状態で走った。

快適性はそこそこだが

そんな話を聞くとさぞやハードな足かと思ってしまうが、そうでもない。WRX STIよりは路面の凹凸は拾いやすいし微振動も多いが、先代ランエボIV比で曲げ剛性が約60%、ねじり剛性で約40%増というボディが震えることは当然ないし、レカロシートの振動吸収性もなかなか。少なくとも助手席なら、同乗者がよほど繊細か、路面が穴や段差だらけでもない限り、大きな不満は出ないだろう。

直4ターボ独特のザラザラしたエンジン音ははっきりと大きめで、率直に言えば静粛性は高くないが、あえてランエボを選ぶ人にはちょうどいいレベルのように思える。メーカーの開発スタッフとしては、ここはあえてサービスした部分だろう。インプレッサは全体に静かなため、キュイイイイインというタービンノイズが明瞭だったが、ランエボだとエンジン音にかすみがち。ここは好みの部分か。

それから街乗りの低速走行では、ワンダリング(わだちにステアリングをとられる現象)が今時の市販車としては珍しく強めだった。タイヤサイズ(245/40R18)が同じWRX STIと比べても明らかに強く、ステアリングが勝手にヒョコヒョコ動く。しかしこの程度のワンダリングもランエボらしさの一つとも言えるし、個人的には気にならなかった。小回りが効かないのも(最小回転半径5.9メートル)、覚悟の範囲内だろう。

多少うるさいが、高速クルージングもOK

高速100km/h巡航は5速トップで約2800回転。やはり6速がないということで、静粛性の点では多少不利だが、不快な振動やノイズはない。シャシーの安心感に関してはもちろん磐石で、3.0~3.5リッター高級スポーツセダン並みの安心感で、「スピード域を問わず」追越車線を走り続けられる。そういう点ではGT的だ。なお、リアウイングが後方視界の真中を遮るが、そんなには気にならなかった。

今回はちょうど300km走行し、リッター160円のプレミアムガソリンをジャスト50リッター(8000円分)消費。アバウトだが撮影を含むトータル燃費は約6km/Lで、奇しくもWRX STI試乗時のトータル燃費とほぼ同じだった。車載燃費計の表示では、いつものパターンの試乗(高速・一般道混合)でやはり5.9km/L。一般道の通勤セミエコラン(30kmを1時間で走行)で8.0km/L。高速100~110km/k巡航を厳密に守った場合は11km/L台を確実に維持できた。ただしアクセルを踏み込んでしまえば、5km/L前後はやむを得ない。なお10・15モード燃費は9.9km/Lで、WRX STIの10・15モード燃費は10.4km/Lだが、この程度ならクルマの燃費性能より、ドライバーの心がけだろう。

ここがイイ

これまでより大人なムード、不満のない乗り心地、セダンとしての実用的な使い勝手を保ちつつ、誰が乗っても「面白い」と思える「マン・マシン一体感」のある走りを実現していること。こんなにコーナーで速いクルマにはおそらく誰も出会ったことはないはず。日本の「走り系ハイテクの頂点」といえる。しかもシャシー、エンジン、トランスミッション(TC-SST)、従来から受け継ぐS-AWCなど、すべて最新・最先端のもの。これが300万円台で買えるのは、どう考えても安い!

5速マニュアルではあったが、そのシフトフィールの素晴らしさは特筆もの。久々に心地いいシフト操作を堪能できた。またフォルティス同様、ステアリング操作に連動してヘッドライトユニット内の補助灯を点灯させる簡易型AFSが、夜間走行時に頼もしい。

ここがダメ

レカロシートの上下調節が出来ないことは、日本においては致命的な欠点だと思う。テレスコもなく、チルトだけでベストポジションをどうやって得ろというのか。小柄なドライバーの場合、ドアミラーが右コーナーの視界を妨げるので、危険ですらある。また意外と最後端の位置がつかみにくいため、バックモニターはぜひ欲しい。

何よりツインクラッチSSTの発売が遅れたこと。モータースポーツ用として5速に据え置かれたというMTは確かに走りにはよいツールだったが、100km/h巡航は2800回転も回ってしまい、燃費面ではやはり不利だろう。

総合評価

日本で最良の商品の一つ

真剣に作られたクルマだと思う。もちろんどんなクルマも真剣に作られていると思うが、そこは人間の、いや組織の作るものゆえ、様々な紆余曲折や妥協部分があるものだ。今年一年、様々なクルマに乗ってきたが、今回のランエボには、作る人の意思統一感、これにかけるという真剣みがものすごく感じられる。様々な逆境(経営面、モータースポーツ面、社会的印象面)に抗い、絶対に製品で見返してやるという気持ちが伝わってくるのだ。全社が一丸となって、日本で最良の商品の一つを生み出してやろう、と持てるすべてを注ぎ込んだクルマなのだろう。

性能的には本文にあるように素晴らしいとしか言いようがない。こと運動性能面ではほとんど不満はない。ターボを感じさせないフラットなトルク特性で、どこでも必要なだけのパワーが出る。400ps越えの凄まじいパワフル感はないものの、力強さがずっと続くだけに、乗っていてとても気持ちがいい。しかもワインディングでこんなに速いクルマを他には知らない。ステアリングで曲がる、駆動力で曲がる、荷重移動で曲がるといった古典的な曲がり方ではなく、ステアリングさえそちらへ向ければどんなコーナーもペタリと接地したまま曲がっていってしまう。さらに切り込めばさらに曲がるから、アンダーなど出ようがない。もう一度繰り返すが、ワインディングでこんなに速い、あるいは速いと感じさせるクルマは他にないと思う。

280psに抑えた理由

そして何よりの見識は280psにとどめたことだろう(もっとも、肝心のトルクは43kgmとムチャクチャあるのだが)。たぶんもっとパワーを出すことは可能だと思うが、このクラスであれば280psでも十分であり、それより中低速重視のパワー特性でそのパワーとトルクを自在に使いこなせる感覚を持たせたことこそ、ランエボの最もよい点だ。そこそこのパワーを軽量・小回りのきくボディで自在に振り回す。「ゼロ戦」にもつながるこの考え方こそ、日本の工業製品の美しき伝統だろう。残念ながらまだ乗っていないだけに比較してどうとは言えないが、GT-Rとランエボは、非常に近いクルマながら実はまったく違うクルマなのではないか。GT-Rが世界のスーパーカーなら、ランエボはまさに日本のスーパーカーだ(むろん世界で戦える力も持っている)。そしてたぶんデビュー当時のゼロ戦同様に、局地戦では「世界最強」のはず。

280psに抑えたことの理由はまだありそうな気がする。それは例えば世間体ではないか。これまで許されてきたパワーに抑えることで、来るべき大パワー車批判をかわそうとしているようにも思えるのだ。さんざん叩かれてきた三菱としては、さすがにもうこれ以上のダメージは避けたい、という気持ちがこの数値に表れているのではないか。その結果、今やスーパースポーツとして決して大きいとはいえない280psを「使い切って走る」プロダクションの完成を見たことは、結果オーライ。いつも書くことだが、使い切れない大パワーより、フルに回せる小パワーが気持ちいいのだから。280馬力で十分だと思う。

ツインクラッチSSTにも期待

WRCに参戦していないこともまた、ランエボには幸いしたのかもしれない。今回のランエボはグラベルではなく、限りなくターマックに振ったクルマ作りだと思う。その点はグラベルが楽しそうなライバルのインプレッサとの違い。基本的にターマックしかない日本ではランエボの楽しさが勝っている。ただ、本当に残念なのはグリルまわりの造形があまりにGT-Rと共通してしまったことだ。台形に広がる黒いグリル枠は、それがかなり特異な印象である分、両者に妙な類似性を感じさせている。日本車がこれまで独自のグリルデザインを持とうとしてこなかったことのツケが、ここに来て頂点となるクルマに現れてしまったことは皮肉であり、今後の課題だろう。

いずれにしてもツインクラッチSSTが載って、初めて新しいランエボは完結するはず。発売が12月20日にずれ込んだため試乗できていないのが、かえすがえす残念だ。まあ日本の誇りとしながら、それがドイツのゲトラグ製であることはちょと興ざめではあるのだが・・・。先代までは、速いのは分かっていても食指の動かなかったランエボだが、かなり欲しいクルマのリストに入ってしまった。フル装備しても400万円台の価格はさすが日本車、大バーゲンだと思う。

試乗車スペック
三菱 ランサー エボリューション X GSR
(2.0Lターボ・5MT・349万5450円)

●初年度登録:2007年10月●形式:CBA-CZ4A ●全長4495mm×全幅1810mm×全高1480mm ●ホイールベース:2650mm ●最小回転半径:5.9m ●車重(車検証記載値):1520kg( 890+630 ) ●乗車定員:5名 ●エンジン型式:4B11 ● 1998cc・直列4気筒ターボ・DOHC・4バルブ・横置 ● 280ps(206kW)/6500rpm、43.0kgm (422Nm)/3500rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/55L ●10・15モード燃費:9.9km/L ●駆動方式:電子制御フルタイム4WD ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット式/後 マルチリンク式 ●タイヤ:245/40R18( Yokohama Advan A13A )●試乗車価格:382万4100円( 含むオプション:ハイパフォーマンスパッケージ < Advan A13A ハイパフォーマンスタイヤ+Bilstein製単筒式ショックアブソーバー+Eibach社製コイルスプリング+brembo社製2ピースタイプ フロント18インチベンチレーテッドディスクブレーキ> 21万円● スタイリッシュエクステリア<フード&フロントフェンダーエアアウトレット(カラード)+フロントグリル&ベルトラインメッキモール+グリルラスシルバー塗装+バンパー中央部グレー塗装+フォグランプ> 5万2500円●キーレスオペレーションシステム+オートライト+雨天感応オートワイパー 3万1500円、フロアカーペット 2万4150円 )●スペアタイヤ 1万0500円 )●試乗距離:約300km ●試乗日:2007年12月 ●車両協力:中部三菱自動車販売株式会社

三菱自動車>ランサーエボリューション X http://www.mitsubishi-motors.co.jp/evo/index.html

 
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