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ランドローバー レンジローバー イヴォーク クーペ ダイナミック新車試乗記(第657回)

Land Rover Range Rover Evoque Coupe Dynamic

(2.0リッター直4ターボ・6AT・598万円)

これぞダウンサイジング!
史上最小・最軽量の
新型レンジに試乗!

2012年03月30日

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キャラクター&開発コンセプト

レンジローバー初のコンパクトSUV


レンジローバー イヴォーク(東京モーターショー 2011)

イヴォークは、「レンジローバー史上、最小、最軽量、そして最も燃費が良い」(プレスリリース)とうたわれる、レンジローバー初のコンパクトSUV。もともとは2008年1月のデトロイトショーで、コンセプトモデル「LRX」として登場。時ならぬリーマンショック、そしてフォードによるジャガー・ランドローバーのタタへの売却などを乗り越え、2011年夏に英国リバブール近郊のヘイルウッド工場で生産をスタート。日本では東京モーターショーが開幕した同年11月30日に発表され、2012年3月3日に発売された。

プラットフォームの基本部分はランドローバーのフリーランダー2(2007年発売)がベースだが、実質的にはほぼ新設計。見どころはコンセプトカーのイメージを巧みに再現したデザイン、レンジローバー伝統の高級感ある作り、全天候型の走破性能、環境性能の向上など。すでに世界中からオーダーが殺到しており、日本への年内割り当て分はすでに埋まっている模様。

価格帯&グレード展開

5ドアと3ドアクーペの2本立てで、450万円からスタート


こちらは5ドア。一見、クーペと区別がつかない

ボディタイプは5ドアと3ドア(クーペ)の2種類。欧州には2.2リッター直4ターボディーゼル(150psと190psの2種類)、6速MT、さらにFF仕様が存在するようだが、日本仕様は全車2リッター直4ターボ(240ps)、アイシンAW製6AT、電子制御フルタイム4WD(フリーランダー2と同じアクティブ・オン・ディマンド・カップリング式)の組み合わせ。

価格は5ドアの標準グレード「ピュア」が450万円。その豪華版「プレステージ」が578万円で、DVDナビ、Meridian製高級オーディオシステム、キセノンヘッドランプ、19インチタイヤ&ホイール等が備わる。

一方、クーペの標準グレード「ピュア」は5ドアより20万円高い470万円。その上級グレードで、スポーツ性を強めた「ダイナミック」は598万円。こちらにもナビ、高級オーディオが装備され、タイヤ&ホイールは20インチになる。

なお、ダンパーオイルに磁性体を混ぜてダンピング特性を瞬時に可変する「マグネライド」を備えた「アダプティブ・ダイナミクス」システムは、5ドアおよびクーペ双方の上級グレードに13万円で用意。

 

イヴォーク クーペ。写真は19インチホイール装着車

【レンジローバー イヴォーク】
・ピュア(Pure)        450万円
・プレステージ(Prestige)  578万円

【レンジローバー イヴォーク クーペ】
・ピュア(Pure)        470万円
・ダイナミック(Dynamic)   598万円  ※今回の試乗車

パッケージング&スタイル

ランドではなくレンジ


カタログに記載されるボディカラーは計14色。ルーフカラーもボディ同色のほか、3色から選べる。試乗車はフィレンツェレッド(メタリック)/ブラック

写真で見てもカッコいいが、実車はさらにカッコいい、というのが第一印象。そして路上にあるのが場違いに思えるほど未来的に見える。しかもこれまでのレンジローバー(特にヴォーグ)にあった「重厚長大」なイメージとは打って変わって、小さく、低く、スポーティであることが何より新しい。

「LRX コンセプト」で提案された、ランドローバー言うところの「クロスクーペ・デザイン」がイヴォーク最大の見どころ。後ろにゆくほど低くなるルーフと天地が薄くなるサイドウインドウは、5ドアよりルーフラインが30mm低いクーペで特に目立つ。

 

エッジのあるデザイン、大径ホイールがキャッチー。試乗車(ダイナミック)は20インチが標準

それでいてレンジローバー伝統のモチーフもそこかしこに散りばめられ、一つ一つのパーツにある高品質感もレンジローバーに相応しいレベル。ランドではなく、あくまでレンジ。少なくともデザイン面でそのあたりを突っ込まれそうなスキはない。総じて、よくもまあ市販化できたものだ、というのが多くの人の印象では。

全長はコンパクトカー並み。対地クリアランスも確保


ボンネットやルーフはアルミ製。またフロントフェンダーやリアゲートは樹脂製になる。フリーランダー2より小さく、エンジンも6気筒から4気筒になることもあり、車重は150kgほど軽い

ボディサイズは全幅を除けばフリーランダー2より一回り小さく(ホイールベースは同一)、全長は意外にも日産デュアリス並みに短かい。最小回転半径も5.5メートルと常識的で、取り回しは実際のところ悪くない。

なお、オンロード性能を重視しているイヴォークだが、そこはやはりレンジローバーの一員。対地クリアランスはフリーランダー2並みにしっかり確保。最低地上高は210mmで、アプローチアングルは25度(「ダイナミック」は19度)、ディパーチャーアングルは33度(「ダイナミック」は30度)と優秀。渡河性能もいちおう水深500mmまでOK、とのこと。

 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転半径(m)
日産 デュアリス 4315 1780 1615 2630 5.3
レンジローバー
イヴォーク
4355 1900 1605/1635 2660 5.5
BMW X1 4470 1800 1545 2760 5.5
ランドローバー
フリーランダー2
4515 1910 1740 2660 5.5
ボルボ XC60 4625 1890 1715 2775 5.8
アウディ Q5 4635 1900 1660 2810 5.4
レクサス RX450h 4770 1885 1690 2740 5.7

インテリア&ラゲッジスペース

デザインの巧さに脱帽


インパネのマテリアルやカラーは豊富なオプションから好みでチョイスできる

インテリアも伝統的なモチーフと新しさを融合したもの。さすがに高級感に関してはヴォーグあたりに及ばないが、斬新なデザインがそれを補なう。例えばメーターのレタリングに使われるLED照明が氷のように濃淡を伴って光るあたりなど。こうした芸の細かさ、コーディネイトの巧さ、ナチュラルな素材感、見せ方の新しさは、北欧デザインに若干通じるものがあるが、やはり英国独特。ドイツ車のような野暮ったさはなく(失礼)、まして日本車はまだまだ敵わないと痛感させられる。

操作系も斬新


イグニッションオンの状態。右上はパーキングブレーキのスイッチだが、操作する必要はほとんどない

センターコンソールにはダイアル型シフトセレクターを配置。現行のジャガー同様、イグニションオンで自動的にせり上がってくるもので、ランドローバーでは初採用。セレクターの操作感がカチカチではなく、カチャカチャしているのは玉に瑕だが、操作性はとても良い。特にP(パーキング)へのシフトはダイアルを左に回すだけで、電動パーキングブレーキも自動的に掛かってくれる。

 

夜間、キーを持って近づくと、イヴォークのシルエットが地面に浮かぶ。カタログ言うところのキーレスエントリー機能はオプション(10万円)

イヴォークは全車に「サラウンド・カメラシステム」を標準装備。フロント2基、左右に1基ずつ、リアに1基の計5基のカメラで周囲360度を8インチタッチスクリーンに映し出す
 

乗降性、居住性は、「クーペ」としては最上レベル


試乗車の内装はオーソドクスな黒だが、オプションで様々なカラーコーディネイトが可能

試乗したクーペの場合、後席の乗降性はそれなり。ただし前席はスイッチ一つで前に電動で動くし、背もたれをワンタッチで倒すことも出来る。ルーフが高めのせいもあり、いわゆる2ドアクーペというジャンルで言えば、乗降性は最上の部類。

 

パノラミック・グラス・ルーフはぜひ欲しいオプションの一つ。電動シェードを閉めれば100%遮光できる

いったん後席に座ってしまえば、居心地は悪くない。サイドウインドウは天地が狭く、またクーペの場合はドアがないことによる閉塞感もあるが、それを巨大なパノラミック・グラスルーフ(9万円のオプション)がカバーしてくれる。居住性の点でも「クーペ」としては最上の部類。

荷室容量も(意外に)たっぷり


荷室容量は大型ワゴン並み。横幅や天地にも余裕がある。

荷室容量はオーバーハングの長いフリーランダー2(755リッター)には負けるが、イヴォークでも575リッター(5ドア)/550リッター(クーペ)の大容量を確保。後席の背もたれを畳めば、1445/1350リッターまで拡大できる。一見、カッコ重視だが、中身は意外に真面目じゃん、というのが、イヴォークの隠れた一面。

 

床下には巨大なテンパースペアを搭載

リアゲートは「ヴォーグ」のような上下二分割式ではなく、「スポーツ」と同じ一般的なハッチゲート式。試乗車はオプションのパワーテールゲート(7万円)付で、ワンタッチで開閉できる。バタン!とやらなくていいのが嬉しい。

 

基本性能&ドライブフィール

2リッター直噴ターボは240psのパワー志向


2リッター直噴ターボの、フォード言うところの「エコブースト」エンジン

試乗したのはクーペのダイナミック。パワートレインは基本的に5ドアと同じだが、試乗車はオプションで「アダプティブ・ダイナミクス」と20インチタイヤ(245/45R20タイヤ)等が装着されたもの。

エンジン始動ボタンを押せば、例のシフトセレクターがスゥーと上昇。これをカチカチと回してDを選択。ブレーキを離せば、車重1730kg(試乗車はグラスルーフ付で1750kg)のボディはユルリと動き出し、アクセルを踏めば分厚いトルクでグォっと鋭く加速する。

新開発の2リッター直噴ターボエンジンは、現行のゴルフGTIやアウディTTの2リッター直噴ターボ(211ps)を上回る240psを発揮。最大トルクは1750回転で340Nm(34.7kgm)に達するなど、なかなかハイチューン、ハイプレッシャー(過給圧が高い)。スペック的には、フリーランダー2の横置3.2リッター直6(232ps、32.3kgm)を上回る。実はこのエンジン、昨年FFベースのモノコックボディへと劇的なモデルチェンジを遂げた新型フォード エクスプローラーの新グレード「XLT エコブースト」と基本的に同じもの。

軽快な走りは、まさに「クーペ」並み

そんなエクスプローラーに対して、イヴォークはボディサイズが二回り以上小さく、車重は300kg近く軽い。おかげで加減速するにしろ、曲がるにしろ、動きはまさにクーペみたいに軽快。また最新の直噴ターボだけに、低回転からでもしっかりレスポンス。加えて瞬間燃費計を見るかぎりは、巡航時の燃費も良い。またFFなら大ホイールスピン大会になりそうなパワーでも、そこはやはりフルタイム4WDゆえ、タイヤが暴れる気配は一切ない。

とはいえアクセル操作に対するレスポンスは正直なところ、もうちょっと穏やかでもいいんじゃない? と思えるほど鋭い。例えば交差点からの立ち上がりでは、思った以上にグワッと反応してしまい、けっこう気を使う。思わず「エコモード」なるものも探してしまうのが日本人の悲しいところ?だが、そんなものはイヴォークにはない。

「ダイナミック」モードでハンドリングは激変


イヴォークではボタン式になった「テレイン・レスポンス」。左右のボタンで選択モードを移動させるもので、操作性はいまいち

イヴォークも他のレンジローバー同様、エンジン、トランスミッション、ブレーキなどの制御モードを選べる「テレイン・レスポンス」を装備する。標準仕様の場合、選択肢は、

・「オンロード」モード
・「草/砂利/雪」モード
・「泥/轍」モード
・「砂地」モード

以上の4種類。通常は「オンロード」モードでOKだ。

ただし山道を元気に走ってみると、期待したほど車体の動きに切れがない。コーナーの立ち上がりではボディに揺れが残りがちだし、20インチタイヤのグリップ感も薄く、割とあっけなくスキッド音が上がる。うーん、こんなものか、というのがそこまでの印象。

 

タイヤはコンチネンタルのクロスコンタクト。初めて見る銘柄

ところがオプションの「アダプティブ・ダイナミクス」装着車に備わる「ダイナミック」モードを選ぶと、印象が激変する。電動パワーステアリングはグッと重さを増し、反応も鋭くなる。また、このシステムの要と言える、磁性体を使って瞬時にダンピング特性を変える「マグネライド」のおかげで、サスペンションの節度感が一気に増し、ボディの無駄な動きもほとんどなくなる。特にタイトコーナーでクルッと回る感じには正直驚いた。基本的にはひたすらベタッと安定して走ってしまうタイプなので、特に面白いわけでないが、ハンドリングはちょっとした4WDスポーツ並み。

ただ「ダイナミック」モードでは、やはり街中ではハードすぎて落ち着きがない。つまりワインディング等を飛ばさなければ、「ダイナミック」モードは不要かも。とはいえ「オンロード」モードとの差は鮮烈であるし、同じ「オンロード」モードでもやはりマグネライド付の方が乗り心地は良いようだ。

 

100km/h巡航は6速トップで約1900回転。4気筒エンジンの音は、回すとそれなりに高まるが、ロードノイズや風切り音はまったく気にならなかった。静粛性はレンジローバーの名に相応しいのでは。ただ、フリーランダー2が搭載する直6ほどサウンドは良くないし、スムーズでもない。まあ当たり前と言えば、当たり前なのだけど。

もう一つ気になったのは、軽いと言っても車重は1750kg前後あるのに、レンジローバーらしいドッシリとした安定感が希薄なこと。直進安定性に不満はないが、ステアリングに軽く手を乗せているだけでヒタヒタ走ってゆく、みたいな安心感はない。オプションの20インチタイヤの影響か、あるいはそこが上級モデルとの差別化なのかも。

試乗燃費は7.2~9.3km/L


タンク容量は70リッター(フリーランダー2と同じ)で、指定燃料はもちろんプレミアム。昨今の価格(165~170円)だと、満タンで1万円が飛ぶ

今回はトータルで約260kmを試乗。参考までに試乗燃費はいつものパターンで一般道と高速道路を走った区間(約90km)が7.2km/L。無駄な加速を控えて、やや渋滞した一般道を大人しく走った区間(約30km)が8.3km/L、空いた郊外の一般道を大人しく走った区間(約30km)が9.3km/Lだった。

総じてアクセルを気兼ねなく踏むと6km/L台。逆に1500~2000回転くらいで淡々と巡航すると9~10km/L台という感じで、走り方によって差が激しいタイプ。要はターボの過給圧を掛けるか、掛けないか。いわゆるエコモードの類がないため、ドライバーの「エコドライブ能力」が問われる。

 

なおモード燃費は10・15とJC08、共に9.0km/L。ちなみに3.2リッター直6で、車重が150kgほど重いフリーランダー2のモード燃費はそれぞれ共に8.0km/Lで、5年前にとった試乗燃費(280kmを走行)は6.2km/Lだった。イヴォークとの1km/Lの差が、時代の差ということか。

ここがイイ

スタイリング。先進的な装備など

スタイリングに尽きる。やっぱりクルマはルックスこそが第一義と再認識してしまう。その割にお買い得感もあるし、実用的でもあるので、世界中で売れているのはよく分かる。絶対的なスピードやハンドリングに興味のない人が選ぶ、新しい「スポーツカー」。

ダイアル式のシフトセレクター、周囲360度を映し出すカメラ、ワインディングからオフロードまで対応する「テレイン・レスポンス」の装備など、現代的な装備も満載。ジャガー・ランドローバーが積極的にシフトレバーをなくそうとしていることは、大変素晴らしいと思う。

ここがダメ

エコモードの不備。落ち着きのない乗り味。「テレイン・レスポンス」の操作性、視界の狭さ

これまでのレンジローバーからすれば飛躍的に良くなったものの、驚くほどではない燃費性能。ターボエンジンはパワーやレスポンスがやや過剰で、トゥーマッチ感があり、エコに興味がない人でもエコモードが欲しくなるのでは。

重厚感やしっとり感に欠ける乗り心地。試乗車は20インチ仕様ということで、多少割り引いて考える必要があるかもしれないが、「レンジローバー」という名前から、もう少し鷹揚な乗り味を期待する人は多いのでは。イヴォークに乗って「やっぱりヴォーグがいい」という人もいそう。

「テレイン・レスポンス」はこれまでのランドローバーだとダイアル式だったが、イヴォークのそれはボタン式で、ブラインド操作が難しい。特に「ダイナミック」と「オンロード」モードの行き来は走行中に行いたいが、現状では難しい。シフトレバーをなくしたのは評価したいが、これからはもう少し操作性を研究する必要が有りそうだ。

デザイン重視のクルマであり、慣れの問題もあるが、視界は決していいクルマではない。巨大なドアミラーは大きな死角を生み出しているし、ルームミラーからの後方視界はスポーツカー並みに狭い。もちろん、それを補うべくカメラが5個も付いているわけだが。

 

総合評価

嫌われる要素が極めて少ない

これカッコイイなあ、と誰もが思うそのスタイリングは、いわば車高を上げたチョップトップ。ボディの厚みに対してウインドウ面積が極めて小さく、低く構えたセオリーどおりのカッコ良さ。いわゆるホットロッドというものは大昔からあるが、その頃からグラスエリアを小さくすればカッコ良くなるのは分かっていた。さらにそのカッコいいボディを持ち上げてSUVルックとしてある。その昔、ホンダ HR-Vが登場した時、ハッチバック車をSUV風にするとカッコよくなると気づいたものだが、その手法どおり。そんなわけで、チョップトップとSUV、その二つの要素でカッコ良さが倍増しているわけだ。また前後のアンダーガードは昨今流行りの定番アクセントで、これがまたカッコ良さを増強している。

 

というわけでイヴォークを見ていると、なんだかちょっぴり懐かしい気もして、過去にあったクルマをリスペクトしたクルマのようにも見えてくるのが不思議。コンセプトモデルそっくりという点で、トヨタのFJクルーザーあたりにも通じるし、最新のデザインなのに何だか古典的なカッコ良さが現代に蘇った感じもする。皆さんはいかがお思いだろう。

そんなチョップトップスタイルなのに、室内高は決して低くない。クーペの場合はさすがに後席の頭上がギリギリだが、それでも実用には十分耐える。また、オフロードでのクリアランスを確保しながら、乗降性も悪くないあたり、設計はお見事。小柄な人でもドライビングポジションが決まる点は、SUVを好む女性が多いという傾向からも、大きなメリットになる。インパネデザインは奇を衒わないシンプルなデザインで、むろん上質感は十分。嫌われる要素が極めて少ないデザインワークが、大人気の理由だろう。

ワンビークル・マルチユース

2リッターターボと言えば、アウディTTと同じで、実際のところ力強さに不足なし。レンジローバーなのに4気筒というのは納得いかないという声もあるかもしれないが、1.4とか1.6リッターの小排気量ターボが主流になってきた昨今、2リッターのターボなら、もう高級車用のエンジンだと言ってもいいだろう。パワー感に全く不満はないし、振動騒音も不満なし。燃費にも効いている。コンパクトで都市部でも楽に乗り回せるというコンセプトには、これくらいのエンジンがお似合いだ。

昔からオンロードとオフロードの両方を走れるクルマこそスーパーカーだと言ってきたが、イヴォークはその最も進んだ姿となっている。TTでもワインディングは同様に楽しいが、オフロードには入れない。しかしイヴォークは本文にある通り、ちょっとしたスポーツカー並みにワインディングが楽しめるし、本格的なオフロード性能も備える(らしい)。試してはいないが、レンジローバーの名を冠するだけに(またベースはフリーランダー2だけに)、その性能はかなりのものだろう。「テレイン・レスポンス」のモード切替だけで、オンロードもオフロードも、ある意味クルマ任せでガンガン行ける。良い悪いは別として、それが最新のクルマということだろう。

 

このご時世、こういうオールテレイン・ヴィークルは一台あると便利かも、とも思わせるが、同じくこのご時世、複数所有はなかなか難しい。しかしこういうクルマなら、一台でオンからオフまでマルチユースに対応できる。ワンコンテンツ・マルチユースならぬワンビークル・マルチユースだ。日常的には高級車というブランドとSUVゆえのカッコ良さがあって、これはもう、プチブル(死語)の多い都会で売れること間違いなし。可処分所得の高い人達には、実に費用対効果の高いマルチユースカーである。昨今、ガソリン代が高騰しているが、イヴォークの燃費は絶対的には良くないものの、この手としては悪くない。それがプチブルな人にはさらに気にならない数値として捉えられる。

しかしイヴォークを買ったとしても、ワインディングでがんばろうとする人は少ないだろうし、オフロードなどたぶん一度も走らないだろうし、高級すぎてラフにレジャー用品を放り込んだりもしないだろうから、実はほとんど意味のない性能を持つクルマでもある。

 

それより街乗りなら、もうちょっとゆったり感があったほうが楽だし、高速でもどっしり感がほしい。値段が高い割に安楽なクルマではないのだが、逆に言えば、それすらも別に不満というほどではないから、文句までは出まい。ここまで性能が高くなってくると「高性能車が素晴らしいクルマ」というのは、今やただの共同幻想と化している気もするが、ブランド力、快適性、スポーツ性を併せ持つ高級SUVというカテゴリーは、まだまだ日本車が苦手とするところだろう。まさに輸入車の独壇場だ。どうやら購入を今決めても、納車は来年になるらしい。まあ、欲しいのに手に入らないということも高級の証、プレミアムということか。

 

試乗車スペック
ランドローバー レンジローバー イヴォーク クーペ ダイナミック
(2.0リッター直4ターボ・6AT・598万円)

●初年度登録:2012年2月●形式:CBA-LV2A ●全長4355mm×全幅1900mm×全高1605mm ●ホイールベース:2660mm ●最小回転半径:5.5m ●車重(車検証記載値):1750kg(1050+700)※パノラミックグラスルーフ付。無しは1730kg ●乗車定員:5名

●エンジン型式:204PT ●排気量・エンジン種類:1998cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴・ターボ・横置 ●ボア×ストローク:87.5×83.1mm ●圧縮比:10 ±0.5 ●最高出力:177kW(240ps)/5500rpm ●最大トルク:340Nm (34.7kgm)/1750rpm ●カム駆動:- ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/70L ●10・15モード燃費:9.0km/L ●JC08モード燃費:9.0km/L

●駆動方式:フルタイム4WD(電子制御式) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット+コイル/後 リンクストラット+コイル ●タイヤ:245/45R20 (Continental Cross Contact)

●試乗車価格:640万円  ※オプション:アダプティブ・ダイナミクス 13万円、Prestige/Dynamic テクノロジーパック(パノラミック・グラスルーフ、キーレスエントリー、アダプティブ・キセノン・ヘッドランプ、パワーテールゲート、コールド・クライマト・パック、ステアリング・ホイール・ヒーター) 29万円 ●ボディカラー:フィレンツェ・レッド(メタリック) ●試乗距離:約260km ●試乗日:2012年3月 ●車両協力:ジャガー・ランドローバー 名古屋東(株式会社ホワイトハウス)

 
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