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スバル エクシーガ 2.0GT新車試乗記(第517回)

Subaru Exiga 2.0GT

(2.0L 水平対向ターボ・5AT・278万2500円)

エクサイティングな、
ガシ
エクシーガに試乗!

2008年07月05日

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キャラクター&開発コンセプト

スバル待望、久々の3列シート車

2008年6月17日に発売されたスバル・エクシーガは、3列シート・7人乗り乗用車。サイズ的にはホンダのストリームより大きく、オデッセイに近いMクラスミニバンだが、スバル自身はミニバンではなく「7シーター パノラマ ツーリング」と呼ぶ。

いずれにしても、現時点で米国生産・海外販売のみの大型SUV「トライベッカ」(2005年~)を除くと、スバルにとって久々の3列シート車。かつてはオペル・ザフィーラのOEM供給車である「トラヴィック」(2001~05年)があったが、同社オリジナル車としては1.0~1.2リッター直3エンジンのワンボックスRR車「ドミンゴ」(1983~99年)以来の7人乗りとなる。

エンジンはおなじみ水平対向4気筒だが、駆動方式はフルタイム4WDに加えて、FFを用意。プラットフォーム前半と前後サスペンションは現行インプレッサ(2007年6月)/フォレスター(2007年12月発売)系だが、プラットフォーム後半は次期型レガシィ用の先行採用という。

販売目標は月間2300台。広告コピーは「スバルから本気の7シーター、エクシーガ解禁」。

価格帯&グレード展開

FFがある分、レガシィよりも割安感あり

車種体系はパワートレインによって、2リッターDOHC自然吸気エンジン・4AT車(148ps、19.5kgm)と2リッターDOHCターボ・5AT車(225ps、33.2kgm)の「2.0GT」に大別できる。自然吸気エンジン車はFFと4WDの選択が可能(4WD車は15万7500高)、ターボ車は4WDのみとなる。FFの設定がある分、レガシィよりスタート価格は安い。

■「2.0i」  199万5000円(FF)/215万2500円(4WD)
■「2.0i-L」  220万5000円(FF)/236万2500円(4WD)
■「2.0i-S」  233万1000円(FF)/248万8500円(4WD)
「2.0GT」  278万2500円(4WD) ※今週の試乗車

大型パノラミックガラスルーフは、ベースグレードの「2.0i」を除く全車で選択可能。グレードやセットオプションの絡みで一概には言えないが、おおよそ9万円相当と思われる。オーディオヘッドユニットも全車オプション。

パッケージング&スタイル

レガシィ比+190mmの全高がパッケージングの要

エクシーガ(2.0GT)のボディサイズ(現行レガシィ・ツーリングワゴン2.0GT比)は、全長4740(+60)×全幅1775(+45)×全高1660(+190)mm、ホイールベースは2750(+80)mm。前後方向の拡大以上に、全高のアップこそが、エクシーガにおけるパッケージングの要だ。全高1660mmは、現行(3代目)オデッセイより110mmも高い。

一方、そんなに背が高いように見えないのがスタイリング上のポイント。「次期型レガシィです」 と言っても通用してしまいそうなステーションワゴンスタイルだが、もちろんそこは確信犯だろう。世の中的には、いかにも室内が広そうに見えるミニバンルックが主流だが、生活感を敬遠する向きには抵抗がないはずだ。

ヘッドランプ中央に配されたブルーのアイシャドウもチャームポイント。ボディカラーは全8色で、試乗車はWRブルーマイカ、ではなくエクシーガ専用色の「サファイアブルー・パール」。写真からも分かるように輝度が高く、鮮やかな色だ。

インパネはインプレッサ/フォレスター系を踏襲

インパネは骨格および部品単位でインプレッサ/フォレスターと共通する部分は多いが、助手席正面のダッシュボードには横穴形状の小物入れを設置するなど、エクシーガ独自の意匠も随所に見られる。パーキングブレーキもスバル車では珍しい足踏み式だ。

「2.0i」や「2.0i-L」のアイボリー内装は爽やかで明るいムードだが、試乗車のブラック内装は、レガシィのGT系に近いスポーティさ。ターボモデルには、走行モードを「i」(燃費重視)、「S」(スポーツ)、「S♯」(さらにスポーツ)の3段階に切替可能な「SI-Drive」が備わる。

前席を見下ろすような2列目シート

2列目シートは見るからに立派。床に対する座面位置も高く、身長180cmクラスが乗っても、しっかり太ももを支える。180mmの前後スライドも可能だが、中間位置でもフットルームは十分。他のミニバンに比べても特異な点は、1列目フロントシートに比べて70mmも着座位置が高く、前の乗員をほとんど見下ろすような(というと大げさだが)感覚があること。つまり見晴らしもいい。

さらにダメ押しで、天井には大型の固定式ガラスルーフ「パノラミックガラスルーフ」(長さ1160×幅851mm)が備わる。ガラス部分の面積(約0.99平方メートル)はホンダ・エアウェイブ(2005年)の約0.85平方メートルより大きく、プジョーの新型207SW(2008年)の約1.1平方メートルに迫るもの。もっと大面積のものもすでにあるが、いずれにしても開放感は十分だ。電動の2分割シェイドが備わり、それを閉めれば見た目は普通の屋根になる。

サードシートの居住性はクラス随一

最大の見どころは、居住性をそうとう重視して開発された3列目だ。このクラスでは最後発だけに、また同時にスバルに大型ミニバンがないだけに、実用となる居住性が開発の必須条件だったのは間違いない。

シートはもちろんヘッドレストを上げて使うタイプだが、座面や背もたれのサイズはかなり大きめで、2列目にも見劣りしないレベル。床に対する座面の高さ(いわゆるヒール段差)もしっかりあり、このクラスとしては例外的に違和感なく座ることができる。また2列目よりさらに70mm高い着座位置(1列目からなら+140mm)、そして2列目シートの中央を倒せることで見晴らしも良い。大柄な男性が座るとヘッドルームはギリかもしれないが、170cm程度なら大丈夫だろう。

なお、こうしたシアター風の階段状レイアウトをエクシーガでは「シアターシートレイアウト」と呼ぶが、これはホンダの初代オデッセイ(1994年)が最初だったと思う(「シアターフロア」と称した)。 その点では3代目オデッセイよりもエクシーガの方が初代オデッセイの空間コンセプトを忠実に受け継いでいるという印象だ。

乗降性もなかなか良い。軽いレバー操作で2列目シートが前にスライドする「ウォークイン機構」、広いドア開口部、敷居に設けた樹脂製のステップのおかげで、頭をちょっと屈めるだけで割と無理なく出入りできる。

荷室拡大は各シートの背もたれを倒すだけ

積載性もよく考えられている。2列目、3列目の折り畳みは背もたれをパタンと前に倒すだけで、たいへん簡単。完全にフラットにはならないが、シートクッションの厚みはしっかり確保されている。レガシィより天井はかなり高いから、無理して床面を下げる必要はない、という判断だろう。

荷室の床下には収納スペースと工具、そのまた下にテンパースペアタイヤを搭載する。燃料タンクは成型自由度の高い樹脂製の新開発品で、2列目シートの座面下から3列目乗員の足元フロアまで薄く延びる苦心作。AWD用のプロペラシャフトも避けながら、65リッターのタンク容量を確保している。

基本性能&ドライブフィール

過激ではないが、もちろん速い

試乗したのはターボの2.0GT。2リッター水平対向4気筒ターボ(225ps/5600rpm、33.2kgm/4400rpm)は、現行フォレスターの2.0XT(230ps/5600rpm、32.5kgm/2800rpm)とは仕様が異なり、出力特性の変更を若干受けている。変速機は2.0GTのみ5AT。車重はフォレスター2.0XT(1480kg)より110kg重い1590kgだが、試乗車の場合はパノラミックガラスルーフ(+30kg)などが加わり1640kgとなる。

スタートボタンをプッシュすれば、メーター指針がスバル車お得意のスイープ機能で振り切れる。SI-DRIVEはまず「S」モードにセット。水平対向4気筒ターボのサウンドはおなじみのもので、当たり前ながら「スバル車だなあ」と思う。

最高出力が225psに抑えられ(レガシィ2.0GTなら5AT車で260ps、インプレッサのS-GTでも250psを発揮する)、車重も重めであるため、レガシィ2.0GTのような怒涛の加速、というわけにはいかないが、もちろん「ミニバン」としては掟破りの速さ。なにしろトルクは33.2kgmも出ているのだから。 実際、車内ではスピード感が少なく、音自体もそうとう抑えられているため「意外と大人しい」と錯覚しがちだが、車外で全開加速するのを見ると、音も速度の乗り方も「エクシーガWRX」という感じだ。

なお5ATはブリッピング機能付きだが、パドルシフトはなし。マニュアルモードでも自動シフトアップを行う。

乗り心地重視。トラクション性能は相変わらず高い

エクシーガならでは、と言えるのが、乗り心地重視のサスペンションだ。215/50R17のアドバンA10というタイヤを履く2.0GTですら、現行インプレッサやフォレスターよりストローク感があり、ハーシュネスは皆無、フラット感も高い。乗り心地はこのクラスでトップレベルだろう。

そのためコーナリング時の鋭さは失われており、ステアリングを切るとすかさずフロントがスッと並行移動するようなスバル車独特の動きは控えめになっている。アンダーステアが出ないよう、スピードを抑えてコーナーに侵入し、あとはターボパワーと抜群のトラクションにモノを言わせて立ち上がる、という走り方になる。この時、ボディがグイグイ前に加速してゆく感覚は、パワーのある2.0GTだけで味わえる特権。

試乗燃費は6.6km/L

今回はトータルで230kmを試乗。あくまで参考ながら車載平均燃費計は、いつもの試乗区間(約100km)で6.6km/Lを表示。さらにもう一度、一般道の別区間(約30km)でも再び6.6km/Lを表示。いずれも「i」および「S」モードを使用し、一般的な交通の流れに乗りつつ、多少の全開加速を行ったパターンである。

さらに「i」モードで一般道のやや渋滞した道を燃費に気づかって走った時(約10km)が8.2km/L。同じく「i」モードで高速道路を80~120km/kで巡航に徹した区間(約30km)が13.5km/L(なお100km/h巡航はメーター読み2100回転ほどで可能)。5km/L台まで落ち込んだ撮影時の移動区間も含めると、トータルでもやはり6.6km/L(満タン法でも同じ)となった。10・15モード燃費は12.0km/L。なお自然吸気エンジン・FF車の10・15モード燃費は14.0km/L、4WD車が13.0km/Lである。

ここがイイ

3列シート、戦略的な価格、快適性

スバル待望の3列シート車であること。スバルブランドに愛着がありながら多人数乗車モデルが必要な人には待望。先代オペル・ザフィーラのOEMであったトラヴィックは、スバル販売店からも評価が高くなかったゆえ、販売店にとっても待望。これで息を吹き返せる、という関係者は多いはず。

パワートレインやプラットフォームなどリソースが限られる中で、ライバル車を各ポイントで越えるクルマを開発したこと。国内営業サイドの意見が入って開発され、コンセプト、デザイン、価格に反映されている。特に価格面はフォレスター同様、FFで199万5000円から、というかなり戦略的な安値をつけてきている。

試乗車のGTでは、ものすごく静かというわけでないが、乗り心地がよく、安心感やしなやかな走行感覚があること。長距離は試せなかったが、おそらくサードシートでも快適と思われる。

細かな部分では、足踏み式パーキングブレーキとなり、センターコンソールにハンドバッグなどの手荷物が置けるのは便利。トヨタグループ入りしたことで、G-Book対応ナビも付けられ、IT面での遅れは取り戻せている。インプレッサやフォレスターとほぼ同形状のダッシュには、センターの高い位置(メーターと同じ高さ)にナビ画面があって見やすい。オプションでトヨタ車のようなリアエンターテイメントシステムもある。

ここがダメ

走りに関する性能はかなり控えめ。外観はかなりレガシィルックだけに、レガシィやインプレッサの高性能グレードばりのシャープな操縦性を期待して乗ると、ちょっと違うな、となる。逆に言えば、外観からこの快適性の高さが想像しづらい。

運転席シートはパノラマレイアウトを考えたためか、かなり低い位置にセットされる。背の低い人にとってはやや埋もれる感覚があり、もう少し座面を高めたくなる。またガソリン代高騰のおり、試乗車の場合はもうちょっと実燃費の良さが欲しいところ。

総合評価

7人乗れる、背の高いステーションワゴン

多人数乗車モデルとしては後発な分、よく研究されているし、価格も安め。どの席に座っても見晴らしは良く、巨大なガラスルーフもやっぱり楽しい。そこで思ったのは、エクシーガって、スバルのお得意であるステーションワゴンの7人乗りバージョンで、これこそが本当の意味でのステーションワゴンではないか、ということ。昔のアメ車ステーションワゴンは、荷室に後ろ向きや横向きのシートがついて、7人乗りになっているものが多かった。日本でもその昔、クラウンやセド・グロのワゴンは7人乗れた。今のカテゴリー分けだと、この手のクルマはミニバンというジャンルに入れて売るしか手がないが、スバルとしては、お得意のステーションワゴンをもう一台新たに作った、という意識がたぶんあると思う。「7シーター パノラマ ツーリング“ワゴン”」と、本当は最後にワゴンを付けたかったはず。

乗っていると、確かにこれはミニバンではないと思う。いや、今のミニバンはトールタイプであっても相当な操安性を持つから、これくらいの走りは当たり前ということになるが、昔の感覚でいえば、やはりこれはセダンから波及したステーションワゴンの走りだ。つまり背の低いミニバンではなく、背の高いステーションワゴン。そう考えるとこのクルマの存在意義が納得できるし、あくまで背が低くなったミニバンという印象の仮想ライバル、今のホンダ・オデッセイあたりとは、大きくテイストが異なっている。

ステーションワゴンの2本立て

プラットフォームというか、骨格は前部がインプレッサ/フォレスター、後部は何と次期レガシィだという。特にダブルウィッシュボーンや異形樹脂製燃料タンクを使って低床としたあたりは次期レガシィにも引き継がれるはず。つまり次のレガシィはエクシーガの背を低くし、よりスタイリッシュにして、5人乗りにしたもの(インパネの共用はさすがにないと思うが)ということになりそうだ。つまりスバルとしてはメーカーアイデンティティともいえるステーションワゴンを2タイプ持つことになるわけで、ちょっと乱暴な言い方をすれば「基本的には同じクルマなので、使い方でお好きにお選びください」ということになる。

これはトヨタとの棲み分け(というか、ラインナップ整理)という点では、たいへん順当な展開だろう。カルディナがレガシィに敗れて以降、すっかりステーションワゴンをあきらめたトヨタだが、そのレガシィを身内として取り込めてしまったのだから、今やステーションワゴンもグループ内のラインナップにできてしまった。さらにエクシーガが7人乗りステーションワゴンだとすれば、これはまさにトヨタには存在していない類の車種ということにもなる(マークXジオとはぶつかりそうではあるが、テイストや客層は大きく異なるから問題ないと思う)。

「ステーションワゴンのスバル」の新型ワゴン

正直なところこのエクシーガ、試乗車は2.0GTだったこともあって、走りを強く意識して乗った一方、最近流行の7人乗りミニバンとしても意識したため、試乗後の印象としては分かりにくいものがあった。しかし7人乗れる実用的なステーションワゴンだとすれば、その評価は変わってくる。ATしかないゆえ足踏み式パーキングブレーキにできたのも実用的だし、だいいちATしかないということ自体、ステーションワゴンらしいところだ。背が高くなった分、荷室が巨大で、5人乗車時のワゴンとしてはレガシイよりさらに使える。3列目シートは床下に納まるから、普段はそれがデフォルト状態なのだろう。さらにいざフル乗車というときに、昔の7人乗りステーションワゴンは3列目が悲惨だったが、今は快適なのが当然というわけだ。

実際、フル乗車はそうしょっちゅうするものでもないだろう。ゆえにミニバンではなくワゴンが欲しいと考えたとき、より広いワゴンのエクシーガはいい選択だ。そして7人乗りでも快適である。ステーションワゴン冬の時代ゆえ、エクシーガをワゴンと呼ぶわけにはいかないのだろうけど、「ステーションワゴンのスバル」がまた新たな、ちょっと広めのステーションワゴンを作った、それがエクシーガの本質ではないかと思う。

試乗車スペック
スバル エクシーガ 2.0GT
(2.0L 水平対向ターボ・5AT・278万2500円)

●初年度登録:2008年6月●形式:CBA-YA5 ●全長4740mm×全幅1775mm×全高1660mm ●ホイールベース:2750mm ●最小回転半径:5.5m ●車重(車検証記載値):1640kg( 910+730 ) ※オプション装着車。標準仕様は1590kg ●乗車定員:7名●エンジン型式:EJ20 ● 1994cc・水平対向4気筒・DOHC・4バルブ・縦置 ●ボア×ストローク:92.0×75.0mm ●圧縮比:9.0 ● 225ps(165kW)/ 5600rpm、33.2kgm (326Nm)/ 4400rpm ●カム駆動:タイミングベルト ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/65L ●10・15モード燃費:12.0km/L ●JC08モード燃費:-km/L ●駆動方式:フルタイム4WD ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット/後 ダブルウイッシュボーン ●タイヤ:215/50R17 (Yokohama Advan A10 ) ●試乗車価格:349万5450円( 含むオプション:スタイリッシュパッケージ<前後・左右アンダースカート>、ベースキット<コンソールボックス、ドアバイザー、フロアカーペット等>、パノラミックガラスサンルーフ、リアビューカメラ付きHDDナビゲーションシステム<G-Book Alpha対応>、クルーズパック、キーレスアクセス&プッシュスタート、UV&赤外線カットフロントガラス )●試乗距離:約230km ●試乗日:2008年6月 ●車両協力:名古屋スバル自動車株式会社

 
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