Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > スバル レガシィ B4 2.5GT アイサイト

スバル レガシィ B4 2.5GT アイサイト新車試乗記(第597回)

Subaru Legacy B4 2.5GT EyeSight

(2.5L 水平対向4気筒ターボ・5AT・322万3500円)

来た、見た、止まった!
アイサイトは、アイパッドを越えたか?!

2010年06月05日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

自動ブレーキで止まる「新型アイサイト」を搭載


新型アイサイトのCCDステレオカメラ
(photo:富士重工業)

2009年5月の発売以来、ちょうど1年が経つ5代目レガシィシリーズ(ツーリングワゴン、B4、アウトバック)が2010年5月18日、マイナーチェンジした。最大のニュースは、ステレオカメラで得た3D画像情報で前方を監視し、衝突の危険性があれば自動ブレーキで車両を停止させる先進運転支援システム「新型アイサイト(EyeSight)」搭載車を各ボディタイプに設定したことだ。

その他、エコカー減税対象車(取得税と重量税を75%軽減)を計4グレードに拡大したほか、ツーリングワゴンとB4に、お買い得感のある特別仕様車「2.5i S-スタイル」を追加するなど、商品力をアップ。シリーズ全体の月間販売目標は発売当初の3000台より控えめに2200台とされた。

ADAおよびアイサイトの変遷

eyesight_01_ada_1999.jpg
スバル レガシィ ランカスター ADA(1999年)
(photo:富士重工業)

■第1、第2世代ADA(1999~2003年)
アイサイトの前身となる「ADA(アクティブ・ドライビング・アシスト)」は、1999年に3代目レガシィの「ランカスター ADA」で登場。ステレオカメラを使って前方を監視する点はすでに今と同じであり、機能としては車間警告や車線逸脱警告、クルーズコントロール時の車間制御等を行った。さらに操作系などを小改良した第2世代は6気筒の「ランカスター6 ADA」に搭載された。

 

■第3世代ADA(2003~2008年)


4代目レガシィ 3.0R ADA。バンパーにミリ波レーダーを配置
(photo:富士重工業)

4代目レガシィに搭載された第3世代では、ミリ波レーダーを併用して、ブレーキ制御を導入。ステレオカメラ方式を特徴とするADAの歴史の中では、言わば過渡的な世代とも言える。また2006年にはADAとは別に、レーザーレーダーで車間制御などを行う「SIレーダークルーズコントロール」搭載車もレガシィ等に並行して用意されていた。

 

■第4世代=初代アイサイト(2008年~)


歩行者検知まで行う第4世代以降の検知イメージ
(photo:富士重工業)

第4世代はモデル末期の4代目レガシィに搭載。この世代から新開発の3D画像処理エンジンを採用して、検知性能を大幅にアップ。ミリ波レーダーを廃止し、ステレオカメラに一本化することで、名称も「アイサイト」に変更した。また、検知対象を前走車のほか、歩行者、自転車、壁などの障害物まで拡大している。

 

■第5世代=新型アイサイト(2010年~)


(photo:富士重工業)

第5世代は、基本的に第4世代をベースとしたものだ。従来と異なるのは、30km/h以下で衝突を防ぐ、つまり停止を行うこと。従来のプリクラッシュブレーキは、速度は落ちても最終的にはドライバーがブレーキを踏まないと止まらないものだったが、新型ではあくまで条件付ながら「ぶつからないクルマ」となった。

これが可能になった背景には、市場投入が先行したボルボXC60の「シティセーフティ」の存在がある。ただしシティセーフティは前方監視に赤外線レーザーレーダーを使用し、検知対象は4輪車のみ(後部リフレクター等)。また衝突を回避できるのは15km/h以下で、15~30km/hでは衝突被害の軽減に留まる。また時速30km/h以上ではミリ波レーダー(オプション)によるACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を使って車間制御およびプリクラッシュブレーキ制御を行う。

■過去のニュース
スバル、先進運転支援システム「アイサイト」の新型を発表 (2010年4月)

■過去の新車試乗記>スバル レガシィ シリーズ
・スバル レガシィ アウトバック 3.6R (2009年9月)
・スバル レガシィ ツーリングワゴン 2.5i Sパッケージ (2009年6月)
・スバル レガシィ ツーリングワゴン 2.0GT (2006年6月)
・スバル アウトバック 3.0R (2003年12月)
・スバル レガシィ ツーリングワゴン 2.0GT spec.B (2003年6月)
・スバル レガシィ B4 ブリッツェン 6 (2002年10月)
・スバル レガシィ ランカスター 6 (2000年6月)
・スバル レガシィ B4 (1999年4月)
・スバル レガシィ ツーリングワゴン (1998年7月)

価格帯&グレード展開

アイサイト搭載車と特別仕様車でラインナップを強化


今回試乗したレガシィ B4 2.5GT アイサイト

パワートレインは従来通り。ツーリングワゴンとB4に、2.5リッター4気筒SOHC(170ps、23.4kgm)+CVT(リニアトロニック)の「2.5i」と2.5リッター4気筒DOHC(285ps、35.7kgm)+5ATの「2.5GT」を用意。またアウトバックに「2.5i」と3.6リッター6気筒DOHC(260ps、34.2kgm)+5ATの「3.6R」を用意する。もちろん全車AWDだ。

そしてアイサイト搭載車は、各ボディタイプに2つずつ、計6グレードを用意。同時に特別仕様車「2.5i S-スタイル」をツーリングワゴンとB4を追加。これはベースグレードの「2.5i」をベースに、16インチアルミホイール、HIDヘッドランプ(ロービーム)、本革巻ステアリング等を装備し、ベースグレードと大差ない価格に抑えたものだ。

 

レガシィ ツーリングワゴン 2.5i アイサイト
(photo:富士重工業)

■ツーリングワゴン     236万2500円~348万6000円
【今回からの新グレード】
・特別仕様車 2.5i S-style(CVT)    243万6000円
・2.5i EyeSight(CVT)   289万8000円
・2.5GT EyeSight(5AT)   338万1000円

 

特別仕様車の「2.5i S-スタイル」
(photo:富士重工業)

■B4           220万5000円~332万8500円
【今回からの新グレード】
・特別仕様車 2.5i S-style(CVT)    226万8000円
・2.5i EyeSight(CVT)   274万0500円
・2.5GT EyeSight(5AT)   322万3500円   ★今週の試乗車

■アウトバック       267万7500円~372万7500円
【今回からの新グレード】
・2.5i EyeSight(CVT)   310万8000円
・3.6R EyeSight(5AT)   372万7500円

パッケージング&スタイル

全長と全幅はほぼマークXと同等。見た目の車格はクラウン並み?

試乗したB4のボディサイズは、全長4730mm×全幅1780mm×全高1505mm、ホイールベースは2750mm。背が高いせいでクラウン並みに大きく見えるが、全長は現行(2代目)マークXとまったく同じで、全幅は15mmスリムなほど。現行レガシィが登場した1年前は「従来ユーザーからすれば少々面食らう大きさか」と書いたが、世の中の基準に照らせば特に大きいわけではない。

インテリア&ラゲッジスペース

装備充実のアイサイト搭載車

文句なしに広々とした室内は、新型レガシィシリーズのセールスポイント。ベースグレードはアルミ調パネルだが、アイサイト搭載車(ワゴンやアウトバックを含む)は木目調パネルになるほか、運転席&助手席パワーシート、キーレスアクセス&プッシュスタート、サイド&カーテンエアバッグ、HIDヘッドランプ等も装備する。

 

それでもって試乗したB4の場合、ベースグレード(2.5GT)と「2.5GT アイサイト」との価格差は44万1000円。こうしてみると「アイサイト代は実質5万円~10万円そこそこ」という話も納得できる。

広々としたリアシートはタクシーにピッタリ

リアシートはツーリングワゴンやアウトバック同様、先代に比べて格段に広く、クラス随一の広さを誇る。いざとなれば5名乗車も割と快適なので、ぜひ雪国の個人タクシーの方に採用していただきたい。

トランク容量はまずまず。拡大は不可

トランク容量は480リッターで、現行マークXと同じ。ただし、マークXの場合は、背もたれが倒れて完全にトランクスルーするが、B4はアームレスト部の貫通のみ。荷物を積むならワゴンもあるし、ということだろうか。

床下はおおむねワゴン系と同じ。発泡スチロール製の小物収納スペースがあり、その下にテンパースペアと工具がある。

基本性能&ドライブフィール

まずは直4ターボ車「2.5GT」の印象から

試乗車はB4の「2.5GT アイサイト」。レガシィで「GT」と言えば直4ターボのこと。その2.5リッター水平対向4気筒DOHCターボは最大出力285ps、最大トルク35.7kgmのハイパワーを誇る。

とはいえ、その走りは予想以上にまったり系で、思わず「間違えて2.5i(自然吸気エンジン+CVT)の方を借りて来ちゃったかな」と思ったほど。しかしこれは、例のSIドライブが燃費重視の「 i 」だったから(エンジンを始動後は必ず「 i 」になっている)。ダイアルをひねって「S♯」さえ選べば、なじみのある「ザザザザァーン」という等長等爆化以降のボクサーサウンドを響かせながら、それらしいパワー感を見せる。またATは5速だが、マニュアルモードでも自動シフトアップし、シフトダウン時にはブリッパーが働いて回転合わせを行うなど、なかなか使い勝手がいい。

運転のしやすさが印象的。小回りも意外に効く

スバルAWD車では毎回のことながら、やはり特筆すべきはワインディングでの速さ。特にコーナー旋回中でも、車体を前に前に押し出すトラクション感には、相変わらずホレボレする。ちなみにこの2.5GTの5AT車が使う4WDシステムは、遊星ギアによる前45:後55のメカニカル制御と多板クラッチによる電子制御とを併用する「VTD-AWD」だ。

アルミ鍛造製フロントロアアームやビルシュタイン製ダンパーを備えた「Sパッケージ」ほどシャープな動きはない分、乗り心地はまったく問題なし。また、印象的なのが運転がとてもしやいこと。視点が高く、死角も少ないため、とにかく周囲がよく見えるし、小回りもよく効く。最小回転半径はマークXの5.2メートル、クラウンの5.2~5.4メートルと比べて大きめの5.5メートルだが、ステアリングがよく切れるため、狭いところでも意外とすんなり曲がれる。

【アイサイト 試乗編1:確かに止まる!】


写真は車両に見立てた壁だが、歩行者や歩行者サイズの障害物も認識する
(photo:富士重工業)

今回の主役であるアイサイトだが、基本的には安全運転を「支援」する装置なので、ドライバーが安全運転する限り、その存在を意識することはほとんどない。

それでも先行車がいる時に、あえてブレーキ操作をかなり遅らせると「ピピピッ」と警告が鳴る。

さらにこの先が新型アイサイトの真骨頂。ここからは歩行者に見立てた柔らかい障害物を使って実験。30km/h未満でブレーキを踏まずに接近すると、衝突直前に自動ブレーキがかなりの減速Gを伴って「ギュギュギュギュウ」と作動。障害物の20~50センチくらい手前で停止する。人間技では無理と思える「寸止め」のブレーキだ。

ただしプリクラッシュブレーキが作動した後、場合によってはオレンジ色の警告灯がメーター内に点くことがあり、この状態だとプリクラッシュブレーキは作動しない。エンジンを再始動してリセットすれば、再びシステムオン状態に復帰する。

なお、同じようなことはスバル販売店でもデモキットを使って体験できるようだ。分かったつもりでいても、これを体験するか否かでは印象と理解度がまったく違ってくるので、ぜひ最寄りのスバルディーラーで体験していただきたい。

【アイサイト 試乗編2:驚きの全車速追従機能付クルーズコントロール】


(photo:富士重工業)

実はプリクラッシュブレーキと同じくらい衝撃的なのが、進化した「全車速追従機能付クルーズコントロール」。基本的には高速道路(自動車専用道路)を想定したものだが、一般道でもセット可能で、いわゆる自動ブレーキによる車間制御を行うほか、前走車が止まれば停止および停止状態の維持も行う。つまり、少なくとも加減速に関しては、一種の自動運転に近い状態になる。その名の通り全車速(0~100km/h)で追従を行うが、セット可能な速度は40km/hから114km/hまでだ。

 

アイサイトには、ペダルの踏み間違いによる急発進を防ぐ「AT誤発進抑制制御」もある。前方の障害物を認識してアクセル全開でもスロットル開度を抑制するため、クルマ止めを乗り越えない

これが従来のミリ波レーダーによる低速追従だと、停止する度にクルーズコントロールが解除されてしまい、発進後に再セットが必要だったが、アイサイトの場合は再発進時に一種の合図としてアクセルをちょんと踏んでやれば、再び設定速度でのクルーズコントロール状態に復帰する。また前車が発進しても、こちらがボォーとしている場合には、「前車発進モニター」が「ピポッ」と警告音を発してくれる。後ろからクラクションを鳴らされる寸前で警告するあたり、芸が細かい。

ただし、この全車速追従機能付クルーズコントロールで注意したいのは、あくまで渋滞した自動車専用道路を想定した機能であること。当然ながら前走車がいなければ赤信号では止まらないし、前走車が信号を無視すればやっぱり自車も止まらない。また一般道では、歩行者や自転車もあるし、前走車は右折したり、左折したり、脇道から他のクルマが入ってきたりする。

試乗燃費は約7.2~10.0km/L

試乗した2.5GTの10・15モード燃費は、「 i 」での計測数値で12.0km/L。参考までに、モーターデイズでの試乗燃費は、「S♯」や「 i 」で元気に走った区間(約90km)が7.2km/L。さらに一般道を無駄な加速を控えて走った区間(約60km)が約10.0km/Lだった。

なので例えば、東名を名古屋から東京まで全車速追従クルーズコントロールに任せて走れば、10km/L台は十分可能だと思う。ちなみに100km/h巡航時のエンジン回転数は、ちょうど2000回転。指定ガソリンはプレミアムだが、「レガシィのターボ」が二桁燃費で走るようになったというのは、スゴイことでは。

ここがイイ

アイサイトの搭載。クルマ全体としての独自性、そして安全性の高さ

もちろんアイサイトだ。実用化されたものでは現時点で、世界で最も完成度の高い安全装置ではないか。そして自動運転に最も近いクルマでもある(もちろんメーカーは自動運転などと言っていないが)。

まず安全面では、ついにぶつからないクルマ、自動ブレーキのクルマが世に出たわけで、その意義は大きい。クルマは人間の移動能力を拡張する役割を担ってきたが、その代わりに発生した負の遺産(事故など)をいよいよクルマ自身が解決し始めたわけだ。クルマはロボットへの第一歩を踏み出したと思う。

スバルの資料によるとすべてのクルマにアイサイトが搭載されれば、追突による年間死者が200人から40人に、ケガ人の数が35万人から7万人へ激減するとのこと(2008年のデータから計算)。たった10万円程度の装置でこれができるのであれば、国が全車装着を義務付けるといいのでは、とまで思う。大排気量車にまで広がって、こと環境面では意味がなくなりつつあるエコカー減税などやめて、その予算でこれを装着させれば、人の命が救える。これこそ血の通った税金の使い方では。

そして自動運転に近いという点では、すでにこのシステムをすべてのクルマが搭載した場合、高速道路での自動カルガモ走行が実現できるだろう。むろんその場合には第2東名のような道路インフラの整備が重要な課題になると思うが。とにかくこれで渋滞中でも、うっかり追突はほぼ防げるという状態にまできた。クルマのロボット化が確実に進んでいることに涙せずにはいられない。

レガシイ自体も過去の試乗記で書いたように、AWD、水平対向4気筒、SI-ドライブといった独自性が相変わらず素晴らしいし、平成21年度(2009-2010)の自動車アセスメントでグランプリを受賞した日本最高峰の衝突安全ボディでもある。これらをトータルで考えると、今の日本車の中では、最先端、最良の先進安全自動車と言い切っていいだろう。アイサイトの機能を説明している分かりやすいテレビCMも好感が持てる。

ここがダメ

ドライバーの学習は必要

素晴らしいアイサイトも、使い方を間違えては意味がない。例えば何も知らないまま曖昧なブレーキを踏んだとすると止まらない(ブレーキ制御が働かない)ことはありうる。つまりは、それなりに使い方を学習しておく必要はある。

同様に、この手のクルーズコントロール全般に言えることだが、学習していないとドライバーが思ったようには走らないことがある。例えば、前走車がいなくなったときに意図せず加速して焦ることも。むろんブレーキを踏めばいいだけだから危なくはないのだが、全くの初心者だとパニックになるかも。

最も車間距離を空ける設定でも、低速でクルーズコントロールを使っていると、思ったより強い加速をして追いつき、そこから一気に止まるので、ほんとに止まるのか、と感覚的にちょっと怖いと感じることもある。また前走車が急にいなくなると、その前のクルマを捕捉する前に、停止車両に追いついてしまうこともある。高速道路の渋滞では稀なケースだが、こういったことも学習というか、慣れが必要な部分だ。

デイズが「インテリジェントカー」というムックを編集してもう7年にもなるが、もうちょっと早くこの手のクルマが登場して欲しかった。クルマの進化は他のハイテクの進化に比べてかなり遅い方だと思う。

総合評価

同じアイでも……

このところ、世はアイパッド(iPad)の話題でもちきりだ。テクノロジーの進化は素晴らしい、電子書籍によってコンテンツビジネスは大きく変る、などなど賞賛しきり。ツイッターでちょくちょく書いている通り、実際に使ってみると、これはなかなかに素晴らしい端末だ。直感的にいろんなことができる。それゆえiPadはだれもが使える。老人や子供だって、これがあればネットの世界へデビューできる。だれでも使えるという意味では、いよいよIT端末が家電化してきた、と言うことができるだろう。

ただ、日頃からノートパソコンを使いこなしている人にとっては、あんまり意味が無いように思えてしまう。iPadで出来ることは、ノートパソコンでこれまで問題なく出来てきたことばかり。しかもiPadは、最初に設定すべき項目が結構あって、それはかなり知識がないと上手く対応出来ない類のことだ。そもそも、買ってきてもパソコンが無ければ立ち上げることすらできないのだから。

しかし一旦セットしてしまえば、それを使いこなすのに多くのスキルは必要としない。パソコンなど触ったこともない80歳の老人でも結構使えることを確認したから、誰もがインターネットで新しい世界を手にいれることができる。この点がiPadの大いなる意義だと思う。そして、パソコンを使いこなしている人も、だんだんiPadの方が便利だと思うようになってくるはず。ここまで簡単に物事がやれてしまうと、まあこれでいいか、と思えてくる。それこそがテクノロジーの進化ということなのだが。

同じアイがつくアイサイト(EyeSight)だが、ほとんどiPadと同じに思える。iPadがネットと人との関わりを劇的に変えるように、アイサイトも運転の世界を劇的に変えるだろう。なにしろ、これほど安全なクルマは今のところ他にないのだから。しかし長らくクルマを運転してきた人には、ほとんど必要がない機能とも言える。多くの人は自分で危険を回避して、これまで事故を起こさずに走ってきているのだから。アイサイトなどなくても、いいものかもしれない。

同じくらいインパクトのある商品なのに

しかし、スバルの調査では「安全に気を使って運転しているか」という問いに、「あまりそう思わない」と答えた人が7%も存在している、とのこと。大雑把に言えば10人に一人のドライバーはふだん「安全に気を使わずに運転している」のだ。こうした人々が起こす事故は、アイサイトで激減できるはず。80歳の老人がアクセルペダルを踏み間違えても、アイサイトならコンビニに飛び込んだりしないのだ(少なくとも前進では)。80歳の老人がiPadを使ってネットデビューできるように、アイサイトによって80歳の老人が免許を返上しなくてもよくなるかもしれないのだ。

そして最初は、こんなものはいらないと言っていたベテランドライバーも、あれば便利だ、となり、やがてなくてはならないものになるだろう。そして事故が減る。死ぬ人が少なくなる。新型アイサイト登場はアイパッド発売に並ぶほどすごい話だと思わずにいられない。

このようにアイサイトはiPadと同じくらいインパクトのある商品なのに、そしてさらに言えば、なんと同じくらいの価格の商品なのに、iPadのような話題にはなっていない。iPadに飛びついたガジェット好きの人にアイサイトの話をすると、だれもがiPadと同じ感覚で、すげーと言う。それ欲しいと言う。そんなハイテク大好きな人に、同じアイがつくのに、全く知られていないことこそ、クルマ業界衰退の象徴といえるのではないか(同時に広報ベタの象徴でもある)。

アイサイトは日本に富をもたらす

アイサイトはひとつ間違えると人の生死に関わるから、あまり派手に打ち出せないのかもしれないが、逆に言えばこれで人の命が相当助かるはず。インターネットに光と影があるように、クルマのハイテクにだってそれはある。それを恐れていては、前に進まないと思うのだ。世に多くあるプログラムのバグはアップグレードで解消できるが、クルマのプログラムのバグは絶対に出せないというのは、いかにも辛い。プリウスのブレーキ問題もアップグレードで片付く話だと思うのだが。なにしろ日本のクルマが生き残るためには、ハイテクへ進むしかないと思う。アイサイトはその象徴的なクルマなのだから、もっと人に知らしめていく努力が必要だ。

昔、ABSが普及するとき、その価格が5万円を割るかどうかが全車搭載へのブレイクスルーと言われたもの。アイサイトは10万円。こうなるともはや、すべてのスバル車に取り付けてもいいのでは、とも思う。水平対向エンジンを始めとする技術、衝突安全ボディ、そしてこのアイサイトで、スバルの独自性は頂点に達した。この点でスバルはもっと攻めるべきだろう。アップルのようにデザインコンシャスでないメーカーなのが辛いところではあるが。

 

アイサイトがさらに価格を下げ、普及するためには、同じグループのトヨタ車が採用すればいい。トヨタ、スバル、ダイハツのクルマすべてに、現在のABSのようにアイサイトが載れば、日本車の半分くらいが追突事故を起こさなくなるのだから、その社会的利益は計り知れない。これこそが日本車の進むべき道ではないか。iPadはアメリカのもので、アイサイトは日本のもの。iPadはアメリカに富をもたらし、アイサイトは日本に富をもたらすはず。国土交通省がこのアイサイトに認可を出したということは政権交代で役所も変わってきているということ。あとはジョブズのような、あるいは孫さんのような経営者が即断即決すればいい。豊田章男さんはツイッターデビューしないのだろうか。

試乗車スペック
スバル レガシィ B4 2.5GT アイサイト
(2.5L 水平対向4気筒ターボ・5AT・322万3500円)

●初年度登録:2010年4月●形式:DBA-BM9 ●全長4730mm×全幅1780mm×全高1505mm ●ホイールベース:2750mm ●最小回転半径:5.5m ●車重(車検証記載値):1510kg( -+- )●乗車定員:5名●エンジン型式:EJ25 ● 2457cc・水平対向4気筒・DOHC・4バルブ・ターボ・縦置 ●ボア×ストローク:99.5×79.0mm ●圧縮比:9.5 ● 285ps(210kW)/ 6000rpm、35.7kgm (350Nm)/ 2000-5600rpm ●カム駆動:タイミングベルト ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/65L ●10・15モード燃費:12.0km/L ●JC08モード燃費:-km/L ●駆動方式:電子制御式4WD ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット/後 ダブルウィッシュボーン ●タイヤ:225/50R17( Bridgestone Potenza RE050A ) ●試乗車価格:348万6000円( 含むオプション:レガシィ プレミアムサウンドシステム&HDDナビゲーション )●試乗距離:200km ●試乗日:2010年6月 ●車両協力:名古屋スバル自動車株式会社

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 
 
名古屋スバル自動車

最近の試乗記一覧