キャラクター&開発コンセプト
ホイールベースを100mm短縮。エンジン&変速機もアップデート
初代「S30」型(1969年)の登場から約40年。累計170万台を誇る「フェアレディZ」(海外ではシリーズを総称して「Z-car」)が2008年12月1日、6代目「Z34」型にフルモデルチェンジした。
コンセプトは先代Z33型(2002年)を受け継ぐが、プラットフォームはV36型スカイラインクーペをベースに一新。先代よりホイールベースを100mm(スカイラインクーペより300mm)短縮して、スポーツカーらしい運動性能とスタイルを追求している。
エンジンは従来の3.5リッターV6(VQ35DE、モデル末期は改良型のVQ35HR)から、現行V36型スカイラインクーペ譲りのVQ37VHRに変更。変速機はマニュアルで世界初となるシンクロレブコントロール付きの6速MT(愛知機械製)および7速AT(ジヤトコ製)を採用。7速ATは海外向けインフィニティFX50に続くもので、日産ブランド車では初となる。
国内目標は月間500台
「縮小傾向にあるスペシャリティカー市場」(日産リリース)を反映して、国内の販売目標は月間500台。広告キャッチフレーズは「クルマは、人がつくる。」。テレビCMは2003年に「現代の名工」に選ばれた日産・車両実験部のテストドライバー、加藤博義氏にスポットを当てたものだ。
北米では2009年1月に発売され、追って欧州など全世界で販売される。海外での車名はもちろん「Nissan 370Z」だ。世界同時不況の最中となり、新型Zにとっては逆風下での船出となった。
価格帯&グレード展開
362万2500円からスタート
ラインナップは従来同様、ベースグレード(6MTと7AT)、装備充実の「バージョンT」(7ATのみ)、スポーツ性重視の「バージョンS」(6MTのみ)、全部のせの「バージョンST」(6MTと7AT)の4グレード。
カーウイングスHDDナビは全車メーカーオプションとなる。また、「バージョンT」と「バージョンST」はBOSEサウンドシステムを標準装備するが、ベースグレードと「バージョンS」ではオーディオもオプション(販売店装着)となる。
■フェアレディZ 362万2500円(6MT) / 372万7500円(7AT)
■フェアレディZ Version T 399万円(7AT)
■フェアレディZ Version S 409万5000円(6MT)
■フェアレディZ Version ST 435万7500円(6MT) / 446万2500円(7AT)
★今週の試乗車
なお、先代には1年遅れで追加された「ロードスター」は、おそらく新型でも同じようなタイミングで追加されるはず。北米では先代ロードスターがしばらく併売されるようだ。
一番人気は「バージョンST」(7AT)の白、カーウイングス付
発売2週間後の12月15日に発表された受注累計は1051台。初期受注なのであくまで参考だが、グレードの一番人気は最上級の「バージョンST」(50%)。またボディカラー(全8色)はブリリアントホワイトパール(28%)、ダイヤモンドブラック(20%)、ブレードシルバー(20%)の順だ。ミッションはやはり7ATが68%と多数を占めるが、6MTも32%と頑張っている。HDDナビの装着率は8割以上とのことだ。今後は一般的なパターンとして、ベースグレードや7ATの比率がもっと上がってくるだろう。
購入年齢層は40~49歳が32%、50~59歳が26%、30~39歳が17%と、やはり40~50代が中心となっている。60歳以上も15%いる。
パッケージング&スタイル
ホイールベースを100mmカット!
ボディサイズ(先代Z33比)は、全長4250mm(-65)×全幅1845mm(+30)×全高1315mm(同)。ホイールベースは2550mm(-100)。一にも二にもボディが大きくなるこのご時世で、何はともあれホイールベースを100mm縮めたのがスゴイところ。社内外から「どうしてそこまで?」という声があったはずだが、それでも断行したのはやはり運動性能の向上が第一のようだ。
その結果として先代のGT的なスタイリングから、S30以来とも言える?正統FRスポーツらしい「ショートデッキ」が復活。横から見た時の乗員と後輪の近さに注目したい。
911ターボに迫る?ワイドフェンダー。ブーメラン型ライトが「踏み石」?
リアフェンダーの張り出しはかなりアグレッシブで、ポルシェ911ターボもかくや、という感じ。開発者によると「ドアミラーを見たときにリアフェンダーがしっかり見えるようにしたかった」とのこと。サイド面の抑揚が激しくなったことで、先代よりもさらに凝縮感が出た。出るところが出て、引っ込むところが引っ込んだわけだ。
この中で唯一好みが分かれるのが、ブーメラン型のヘッドライトとリアコンビランプか。これはスタイリング全体を引き締めるべく、書道でいう「とめ、はね、はらい」でもあるらしい。とはいえ、2日間ほど実車に接しているうちに、最初の違和感はほとんどなくなった。真正面からだと、プロジェクターランプが初代S30の丸目風に見えてくる。
「質感が低い」なんてもう言わせない
インテリアの質感は大幅に向上。先代では大きな課題だった部分で、マイナーチェンジでもかなり改良されてはいたが、新型ではついに400万円前後のスポーツカーとして誰もが納得できるレベルとなった。適材適所で素材を使い分けて、上質感と「Zらしさ」のある硬派な雰囲気を実現している。このクラスで随一の質感を誇るアウディTTにも見劣りしないと思う。
素材面で特にアピールされるのが、Zで初めて採用される新開発の合成皮革「ソフィレス」。センタークラスター(シフトノブの周辺)を覆い、ダブルステッチで仕上げてあるが、施工はなんと手作業だという。
毛足が短かくフェルト状のスエード調クロス、その名も「フォルトスエード」をドアアームレストや本革シート表皮の一部に使用。また先代では本アルミを使用しながら、アルミっぽく見えずに損をしていたインナードアノブは、樹脂+塗装に変更。見た目も操作感も決して悪くない。
インテリジェントキー&プッシュスターターをZでは初めて採用。スターターはステアリング右側にあったスカイラインクーペとは異なり、レクサスと同じ左側だ。
ダッシュ中央の三連サブメーターは「Z」のお約束。左からデジタル時計、バッテリー電圧計(状況によってけっこう上下する)、油温計(従来は油圧計だった)。特に油温計は70~150度Cまで目盛りを細かく刻んだもので、かなり正確そう。試乗中(渋滞時など)は一時100度Cくらいに達した。スポーツカー好きには嬉しい装備だ。
2人乗りだが、実用性もよく考えられている
シート高は手動だが、ダイアルが前後に2つあり、角度の調整が可能。先代より着座位置は10mm下がっている。ステアリングにテレスコ(伸縮調整)はないが、チルト(上下調整)は可能。先代やスカイライン系と同様にメータークラスターごと動くものだ。これらの調整機構によってドライビングポジションはおおむね好み通りになるが、身長160センチ台以下ならもう少し視点を高くして見晴らしをよくしたいと思うだろう。良くも悪くも、少し埋もれる感じがある。
試乗した「バージョンST」(およびバージョンT)は、運転席・助手席ともに電動スライド&リクライニングが可能。先代同様、スイッチは座面のセンターコンソール側にあるため、運転席からでも助手席のシート位置が調整できる。これはなかなか便利だ。
また背もたれの後ろには手荷物が置ける棚がある。先代にあったフタ付きよりも使いやすい。純粋な2シーターの場合、助手席に人を乗せた時はここが貴重な手荷物スペースとなるため、日常性という点では割と重要な部分だ。
衝突安全装備も充実。2シーターにしてエアバッグはフロント2個、腰部や胸部を守るサイド2個、頭部を守るカーテンシールド2個と計6個。むち打ち対策用のアクティブヘッドレストも全車標準となるなど、高級車に遜色ない。
タワーバーを廃して、荷室も進化。
ラゲッジ容量は先代と同じ235Lだが、使いやすさは大幅に向上している。先代ではサスペンション頭頂部を結ぶ極太アーチ状のストラットタワーバーがラゲッジルームのド真ん中を走っていたが、これを廃止。これよって先代でも何とか積めたらしいゴルフバッグ2個を、新型では楽に収納できるようになった。1個は荷室手前に横倒しして積み、もう一つは対角線上に積むと、うまく収まるようだ。このあたりは同じFRスポーツでも実用的な積載スペースを持つシボレー・コルベットに対抗したものか。なおリアゲートはちゃんと後ろからでもリクエストスイッチで開けることができる。
一方、ボディ剛性はモノコック開口部周辺を補強することで確保したという。乗員の背もたれ背後にあるアルミ製バーは主に側面衝突対策用で、ボディ剛性にはあまり関係ないようだ。
ベースグレード以外はスペアタイヤレスとなり、床下にはパンク修理キットや工具が収まる(ジャッキはない)。また「バージョンST」と「バージョンT」は、BOSEサウンドシステムを標準装備するため、巨大なサブウーファーも収まる(写真)。先代の場合、このサブウーファーは運転席の背後にあった。
