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マツダ ファミリア S-ワゴン新車試乗記(第35回)

Mazda Familia S-Wagon

 

1998年07月31日

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キャラクター&開発コンセプト

ワゴンの魅力を5ドアハッチに凝縮した新ジャンルパッケージ

Sporty・Stylish・Shortという3つのキーワードのSをとって命名された「S-ワゴン」は、5ドアハッチの持つ高い運動性能と、ステーションワゴンの持つ他用途性とを1台のクルマに兼ねそなえた新ジャンルワゴン。セダンよりも短い全長でありながら多彩なシートアレンジ機構を採用することにより、乗る人全てに快適な乗車環境を提供するだけでなく、用途に応じてフレキシブルな室内空間を実現した。また、エクステリアデザインにおいてもマツダの新時代を告げるものとなっている。

価格帯&グレード展開

エンジンは1.5リットルと1.8リットル、価格帯は139.4万円~186.4万円

SワゴンはFFと4WDが用意される。FFは普及版1.5リットルエンジンを搭載したSグレード(4AT:146.9万円、5MT:139.4万円)と、可変バルタイS-VTを採用した1.5リットルエンジンを搭載したRグレード(166.0万円、158.5万円)の2タイプ。4WDはSグレードと同じエンジンを搭載したS-4(166.0万円、158.5万円)と、4WD専用ユニット1.8リットルエンジンを搭載したR-4(186.4万円、178.9万円)をラインナップする。安全装備は全車同じ充実ぶりで、サイドエアバッグもオプション設定される。R、R-4には背もたれがテーブルになる運転席&助手席スペースアップシート、ルーフレール、リアスモークガラス、14インチタイヤなどを標準装備する。

セダンは1.3リットル、1.5リットルの他に2.0リットルディーゼルも用意され、価格帯は99.1万円~162.9万円。なお、メーカーは国内月販目標台数をセダン、Sワゴンともに各2500台と挙げているが、主力はやはりSワゴンだろう。

パッケージング&スタイル

カペラのプラットフォームを流用した高効率パッケージ

全長を短くしたコンパクトボディでありながら、カペラのプラットフォーム(2610mm)で快適性を移植した高効率パッケージは、後席に乗る人にも開放感と良好な乗降性を提供するために、後席のヒップポイントを高くしたり、160mmロングスライド機構などで、1クラス上のセダンと同等の居住空間を得ている、というのがメーカーの言い分。実際、後席のヒップポイントは高い。というより不自然なほどの高さで、頭上空間の余裕も小さい。前席のヒップポイントは逆に低く、決してベストパッケージとは言い難いもの。

マツダの新しいデザインテーマである「コントラスト・イン・ハーモニー」は、光と影、静と動など相反するデザイン要素で力強さや存在感を強くアピールするというもの。Sワゴンのリアビューはなかなか秀逸でアウディA4(セフィーロワゴン?)を思わせる。イエローなどのビビッドカラーが似合いそうだが、今のところボディカラーがベーシックな6色のみというのが惜しい。セダンのリアビューはちょっと…。

ヨーロッパで流行っているルーフアンテナもいい。立体駐車場などでは一旦降りて、取り外す手間を要するが、いさぎよくファッション性を優先したという心意気は好感が持てる。

photo_3.jpgインテリアはセンターパネル両サイドにディンプル素材を採用し、若々しいイメージを狙っているようだが、いかせん品質感は乏しく、グレーという内装色が一層それを強調してしまい、まるで色気が感じられない。セダンとの共用化が前提というは承知だが、それでもエクステリアデザインのようなファッショナブルなセンスが欲しいところ。

スペースアップシートを助手席と運転席に採用、シートはちょっとペラペラ

Sワゴンの後席は160mmロングスライド機構、リクライニング機構、左右分割可倒機構を採用する。もちろん本格的なステーションワゴンとして受け取るなら、ラゲッジはあまりにもコンパクトすぎるが、ターゲットとなる若いカップルが使うのならこれで十分だろう。

最大のセールスポイントとなるのは、カペラで話題となったスペースアップシート(ジートバックを水平に前倒するというもの。R、R-4のみ専用装備される)を助手席に加えて運転席にも採用したことだろう。後席の開放感が高まる、ドライバーと後席乗員の会話が円滑化する、前席に座ったまま後席フロアの荷物がとれる、シートバック背面がトレイ状なのでテーブルにもなる、後席で足を伸ばしたりして小部屋のようにくつろげる、約2.4mの長尺物の積載が可能などいろいろな利点があり、結果的に大きなステーションワゴンよりも多目的に活躍しそうだ。しかし、シート自体は薄い感じで、フルフラットシートにもならない。

基本性能&ドライブフィール

可変バルタイのスポーティーグレードも用意

エンジンバリエーションで最もスポーティーなものが連続位相可変バルブタイミング機構「S-VT」を新採用した1.5リットルZL-VE型(130PS/14.4kgm)。これはカムシャフトとクランク角の位相を連続的に変化させるモノで、基本的な考え方はトヨタのVVT-iと同じ。低中速回転域での豊かなトルク特性だけでなく、高回転域ではクラストップレベルの高出力を発揮する。このエンジンは14インチタイヤを装着したR、R-4に搭載され、活発なフットワークをウリとしたモデルだが、試乗できたのは残念ながら110PS/kgmの1.5リットルエンジンを搭載したSグレード。

・剛性感のある走り、でもコンパクトカーといえどもあまりにも頼りない走りに不満

最近の車は1.5リットルモデルといえども高いボディ剛性が確保され、乗るたびに感心させられるが、この新型ファミリアもレベル高いしっかりとしたボディ剛性が確保されている。アイドリング時の微振動、高回転域でのエンジン騒音、リアから聞こえるロードノイズ、いずれも静粛性に関してはこのクラスとして平均レベル。しかし、加速面だけはどうも納得がいかない。スペック上は110馬力と十分なパワーを得ているようだが、実際、走らせてみると、予想外にパワー不足を感じる。市街地ではそれほどの不満は感じなかったが、長い坂道や高速道などではトルクの薄さが如実に表れ、助手席に乗っていてもストレスがたまるほど。キビキビとした走りならパワーがなくても不可解ではないが、スロットル全開でももっさりとした加速しかせず、交通の流れにのるのがやっとといった感すらある。

キャラクターに似合わない重い操舵感、タイヤが全くの許容不足

ロック・トゥ・ロック3回転弱とクイックなステアリングは重めの操舵感でで、このクルマのキャラクターには決してベストなセッティングとは言い難いもの。ステアリングが軽ければ、軽快で取り回しの良さを感じるが、このような重い手応えだと、せっかくコンパクトなSワゴンの魅力を相殺してしまっている。このSグレードに装着される13インチタイヤもいただけない。ちょっとしたコーナーの追い込みでもタイヤが鳴ってしまい、いささか不安が残る。

以上、Sグレードのレポートだが、Rグレードならもっと評価は高くなるかも知れない。

ここがイイ

ワゴンではなく日本では売れたためしがない5ドアハッチバックだが、Sワゴンという巧みなネーミングで上手くごまかすのは、S-RVと同じ手法。この名前で5ドアが売れるようになるならそれは悪いことではない。。マツダはホントにエクステリアデザインワ-クがいいのだが、どうも時代とズレがあるのが残念。このクルマはそうならないといいが。ヨーロッパでウケそうなインテリアデザインもグッド。特に多彩なシートアレンジはインプレッサやS-RVなどのライバルと比較したとき、かなりポイントの高い購入動機になりそうだ。

ここがダメ

全てのシートポジション。従来型セダンよりもヒップポイントを高くしたらしいが、それでも前席のヒップポイントは妙に低く、後席は異様に高く、まともなシートポジションがとれない。「後席の座面が取り外せてポケットができますよ」といっている場合じゃないのでは。

かつて若者に大ヒットしたファミリアだが、Sワゴンを若者向けの商品とするのなら、いまさらファミリアという車名はキツイ。アスティナとかNEOとか、かつてネーミングで失敗しているマツダのことゆえ致し方ないのかもしれないが、さてさて。

総合評価

photo_2.jpg世界的な傾向をみると無駄の少ない乗り物としてコンパクトなクルマが注目されている。このSワゴンもそのコンセプトで悪くない。ただ日本で5ドアハッチは売れない、かといってステーションワゴンというにはラゲッジが小さすぎる。そこで自ら「新ジャンルワゴン」としたわけだが、これはちょっと安直な展開では。新ジャンルではなくリネーム。それより「日本で初めてまじめに5ドアを作りました。なかなかかっこいいでしょ。これからは小さめの5ドアの時代です」というキャッチフレーズならファミリアという名前も生きると思うし、若者にもすんなりと溶け込めそう。

5ドアハッチバックというのは確かにいろいろな面で使いやすく、Sワゴンはデザインもいいし、キャビンも自由自在。カップルやヤングファミリーのファーストカーにはピッタリだと思う。しかしライバルとなるインプレッサやS-RVの他、同じ価格帯にはラウム、カローラワゴン/スパシオ、ラシーンなどなど、魅力的なクルマがごった返している。この激戦区の中でSワゴンを選ぶキーになるには、やはり大幅な値引きということになってしまうのだろうか。今のところSワゴンは日本専用モデルということだが、早い内にヨーロッパで売り出すのが賢明かもしれない。

 

公式サイトhttp://www.familia-sw.mazda.co.jp/

 
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