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マツダ ファミリア Sワゴン スポルト20新車試乗記(第87回)

Mazda Familia S Wagon Sport 20

 

1999年08月20日

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キャラクター&開発コンセプト

スポルト復活、マツダ初のスポーツATを搭載したスポーツバージョン

昨年6月に「ファミリアスピリットを取り戻せ」を合い言葉に、ユーザーの若返り策を打ち出しフルチェンジとなった9代目ファミリア。その新機種として登場したS-ワゴンは、コンパクトでありながら高い運動性能と多用途性を持たせた1.5リッタークラスの新ジャンルワゴン(というより5ドアハッチ)だ。リアのオーバーハングを切り詰めたスタイルはヨーロッパテイストのお洒落感があり、異色のワゴンとして少しだけ話題にのぼったのだが、現在の月販は約2000台と、販売面では予定どおりとはいえないのが現状だ。そこで今回、S-ワゴンのスポーティイメージを一層鮮明にするため、1.5リッタークラス(4WDには1.8リッターがある)のボディに、2000ccエンジン搭載する「スポルト20」を投入したわけだ。

「スポルト」の名の復活は6代目以来、12年ぶり。7代目にはWRCベースとなる1.8リッターターボ4WD「GT-R」が登場している。今回のS-ワゴン・スポルト20はそれ以来のスポーツバージョンであり、専用の内外装パーツに加えて、マツダとしては初となるスポーツATを搭載したことが最大のポイントだ。

なお、スポルト20の追加設定と合わせてシリーズ全車に一部改良が施された。女性をターゲットとした「S-f」グレードも新設定し、ユーザーの選択肢が広がったこともセールスポイントだ。

価格帯&グレード展開

価格帯は193.3~211.6万円

スポルト20にはFF車の他、4WD車も用意される。FF車はアクティブマチックのみ、4WD車は4ATと5MTが設定される。価格はFF車が193.3万円、4WD車が204.1~211.6万円。これまで最もスポーティーな位置づけだった「R」よりも約30万円高となる。

なお、2リッターを搭載することになったスポルト20は、ウイングロード、リベロ、インプレッサスポーツワゴンの各スポーツグレードがライバルとなる。

パッケージング&スタイル

5ドアハッチバックを日本で売るにはワゴンと呼んだ方がいい

「これをホントにワゴンと呼んでいいのか」という意見もあるようだが、S-ワゴンのスタイルは決して悪くない。販売的にはワゴンというしかないが実際は5ドアハッチバックだ。いや、日本ではこのサイズの5ドアハッチバックこそ、最も使いやすいカタチだ。ワゴンの名で売れるなら結構なことだ。それにデザイン面においてもかなり凝っており、評価できるものだ。

スポルト20とノーマルの外観上の違いは、大型フロントバンパー、サイドスポイラー、大型フォグランプ、4灯ヘッドライト、スポーティグリル、リアアンダースポイラー、16インチアルミホイール、バッジの専用装備。ルーフスポイラーは従来からの流用だ。いずれも大胆なデザインではなく、オリジナルのグッドデザインは損なわれていない。スポーツマインドをくすぐるにはやや迫力不足の外観ではあるが、一応スポーツモデルのお約束カラー、黄色は用意されている。なお、ボディサイズは専用バンパーの装備の関係で全長がノーマル比+50mmとなる。

専用装備いっぱいの内装はスパルタンではなく華やかな印象

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内装は、ホワイトメーター、ナルディ製ステアリングホール、バケットタイプのシートが専用装備となる。センターパネル、ステアリング、シフトノブ、シートなどにチタン色があしらわれており、その演出は後席にまで及ぶ。メカニカルなムードで、ちょっぴりアルテッツァ似だ。メーター内には通常のシフトインジケーターに加え、シフトポジションが赤色でデジタル表示される。

装備に関してはスポーツモデルだからといって何も省かれておらず、むしろ最も豪華な仕様となっている。助手席スペースアップシートをはじめとする多彩なシートレンジもノーマルと同様だ。

なお、セダンも含めた従来モデルも装備・品質の向上が図られ、機種体系を充実させている。

基本性能&ドライブフィール

カペラ搭載エンジンを移植、2リッタースポーツモデルとしてのパワーは平凡

スポルト20に搭載されるエンジンはカペラにも搭載されるFS-ZE型2l直4DOHCだ。一応、スポルト20専用にチューンされていることになっているが、最高出力&最大トルクとその発生回転数は全く変わらず、170PS/6800rpm、18.4kgm/5000rpmとなっている。そういえばこのエンジン、「Dバーン」と名付けられた希釈燃焼方式ということを思い出した。排出ガスを再度燃焼室へ循環させることにより、高出力と低燃費を両立させ、かつCO2、NOxの低減も実現させたという優れモノだ。

ちなみにライバルであるアベニールVZは2リッターNAで190馬力を発生させている。

ギアボックスはマツダ初となるマニュアルモード付き4AT「アクティブマチック」。シフト部はP-R-N-Dゲート式で、Dレンジ左側の+/-がマニュアルモードとなる。ただし設定されるのはFF車のみ。4WD車は一般的な4ATもしくは5MTとなる。なお、アクティブマチック搭載により、ファイナルギアはローギアード化された。

もちろん足回りの剛性強化に怠りはない。ストラットタワーバーやトランスバースメンバーの追加、195/50R16サイズのタイヤの採用など、各部の強化が図られている。この他、安定した制動力が得られるEBD(電子制御制動配分システム)が全車標準化され、スポルト20のFF車のみTCS(トラクションコントロール)が標準装備される。

嫌味ではない太く鳴り響くエンジンサウンド、ガッチリと手応えのあるステアリング。乗り込んだ瞬間から、ノーマルとは全く違う剛性感や迫力が伝わり、ファミリアという軟弱な響きを一掃させてくれる。「お、いいじゃん」と感じたのはシビックのタイプR以来だ。エンジンはガンガン回るものではなく、パワースペック自体もたいしたことないが、1210kgという比較的軽いボディゆえに、十分に速いといえる。引き締められた足回りは段差をスパッと一発で吸収するもので、乗り心地もノーマルと比較しても遜色なく、スポーツモデルとしては快適といっていいだろう。

試乗は滝のような大雨だったため、シビアなドライブはできなかったが、それでもできる限りの範囲ではオンザレール感覚で回れ、十分ハンドリングの素直さは感じ取れるものだ。静粛性に関しても、エンジン音が雨で打ち消されてしまったせいか、うるさくはなかった。

楽しさ半減、なかなかシフトダウンできないアクティブマチック

次にアクティブマチックをマニュアルモードにして走らせてみた。+/-間が非常に短いので、シフトチェンジの手応え感は薄い。しかしシフトが全てのレンジでホールドになり、レッドゾーンまで回しても勝手にシフトアップしないのは○。逆になかなかシフトダウンしないことが×。例えばワインディングを走らせているとき、2速3000回転付近では物足りないからシフトダウンしようとしても、できないのである。2500回転付近でようやくダウンできたと思ったら、1速では針が振り切ってしまう。ワインディングを走らせる限りでは、このギア比は最適とはいえない。よって常に常時2速で走行することになり、楽しさ半減だった。

スポルト20の走りをいかすのなら、やはり5速MTがほしくなる。でもFFにはMTの設定はない(アクティブマチックでも5速が欲しい)。残念だ。

ここがイイ

エンジン良し、ハンドリング良し。ファミリーカーとして最適ながら、スポーツモデルとの素性も非常に高いレベルにある。スタイルに関してもっと評価されていいと思う。

ここがダメ

ファミリアという車名からくるインパクトの弱さ。過去、ファミリアという名前にはそれなりに価値があったが、今やダサイと思う。もしこのまま行くのなら、思い切ってWRCにでも出場して、イメージの一発逆転を狙ってみてはどうだろう。

総合評価

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スポルト20はファミリアの若返りを図るためのイメージリーダー的存在だが、やはりやや弱い。また2リッターという土壌ではなく、1.6リッターもしくは1.8リッターで勝負して欲しかったところ。あえてセダンに搭載しても面白い(間違いなく売れないとは思うが)。しかしシビックやインテグラのタイプRがそこそこ売れているのだから、ボーイズレーサー的な位置づけとすれば、それなりに販売面にもつながると思う。

導入されたアクティブマチックは、他のマツダ車に広がっていくだろう。特にロードスターでは、それを願うユーザーは多いはず。欲をいえば5速がいい。シフトパターンを変えて5速ならMTはいらない。

 

公式サイトhttp://www.familia-sw.mazda.co.jp/

 
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