Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > フォード フィエスタ

フォード フィエスタ新車試乗記(第721回)

Ford Fiesta

(1.0L 直3ターボ・6速DCT・229万円)

1リッター「エコブースト」搭載!
欧州Bセグの最前線を走る、
フォード最小モデルに試乗!

2014年03月07日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

欧州向けから、グローバルモデルへ変身


新型フォード フィエスタ
(photo:フォード・ジャパン)

フォード フィエスタは、もとは欧州フォードが中心となって開発したBセグメントのコンパクトカー。1976年のデビュー以来、欧州を中心に1500万台以上が販売されており、海外では極めてポピュラーなモデルだ。

2008年に欧州でデビューした今の6代目は、初めて北米にも投入。今や世界140ヶ国以上で販売されるなど、新しい世界戦略「One Ford」を推進するフォードにとっては、Cセグメントのフォーカス共々、主力モデルの一つになっている。2012年の世界販売台数は72万3130台で、車名別では世界で6位(1位はフォーカス)、Bセグメントでは1位だったという。

そんな新型フィエスタが、日本でも2014年2月1日に発売された。先代は2008年に販売を終了していたので、日本では約6年ぶりの復活になる。フォード・ジャパンにとっては、2013年に導入した新型フォーカスと、クロスオーバーSUVの新型クーガに続く新型車だ。

フォード最小1リッター3気筒ターボを搭載

日本に導入されたのは最新の2014年モデルで、話題の1リッター3気筒直噴ターボ「エコブースト(EcoBoost)」を搭載。トランスミッションにはゲトラグ・フォード製の6速DCT「パワーシフト」を採用し、JC08モード燃費17.7km/Lを達成している。

また、フォードが長年提唱してきた「キネティック・デザイン」に加えて、2013年モデルから採用された迫力あるフロントフェイスもセールスポイントになっている。

生産は世界6拠点(ドイツ、メキシコ、インド、中国、ブラジル、タイ)で行われているが、日本には欧州向けと同じドイツのケルン工場製が導入されているようだ。

■過去の新車試乗記 【フォード フィエスタ関連】
フォード フィエスタ Ghia (2004年9月)

 

価格帯&グレード展開

スマートキーまで標準装備し、価格は229万円


日本仕様には相対速度差30km/hまでで衝突を回避・衝突ダメージ軽減を行う自動ブレーキシステム「アクティブ・シティ・ストップ」を標準装備

海外には3ドアハッチや4ドアセダン、1.6リッター直4モデルなどがあるが、日本仕様はシンプルに5ドアのワンモデル設定。1リッター3気筒ターボ(100ps版)の6速DCT車のみで、価格は229万円。

装備は極めて充実。16インチアルミ&タイヤ、エアロパーツ一式、オートエアコン、オートライト、雨滴感知ワイパー、クルーズコントロール、リバースセンシングシステム(バックセンサー)、リアビューカメラ、果てはスマートキーまで標準装備する。ナビは販売店オプションでパイオニア製のPND(6万2895円)を用意している。

ライバルは、VW ポロ(1.2直4ターボ+7速DCTで219万円~)、ルノー ルーテシア(1.2直4ターボ+6速DCTで199万8000円~)、プジョー 208(1.2リッター直3・NAの5MTで202万円~、5速セミATで218万円~)など。また、日本車ではトヨタ アクア(170万円~)やホンダ フィット ハイブリッド(163万5000円~)も競合するはず。価格差があるように見えるが、装備を同等にすると、それほどでもない。

自動ブレーキや7エアバッグなど安全装備も充実


エアバッグはドライバーの脚部を保護するニーエアバッグなど計7個を標準装備

新型フィエスタは安全装備でも抜かりがない。7エアバッグや横滑り防止装置「アドバンス トラック(AdvanceTrack)」に加えて、前方車両への追突回避を行う「アクティブ・シティ・ストップ」も標準装備する。同システムは一般的な近赤外線レーザー方式で、30km/h以下で走行中、車両間の相対速度差が15km/h未満の場合に追突を回避し、15~30km/hでは衝突のダメージを軽減するというもの。

ボディカラーは、ブルーキャンディ Me、ホットマゼンタ Me、パンサーブラック Me、ムーンダストシルバー Me、レースレッド、フローズンホワイトの全6色。Me(メタリック塗装)は6万円高。

 

パッケージング&スタイル

フェイスリフトでアストンマーティン顔に


マイナーチェンジで下部のラジエターグリルが上昇し、立派なメッキグリルになった

前述のように日本仕様はマイナーチェンジ後の、いわゆる後期型。目を引くのは、何と言ってもアストンマーティン顔のフロントデザインだろう。実際のところ、アストンマーティンのグリルは上部が少し小さい凸型なのだが、グリル面が逆反りである点やクロームバーが横桟なのは同じ。もともとアストンマーティンは2007年までフォード傘下のPAG(プレミアム・オートモーティブ・グループ)に属していたから、デザイン言語に共通性があってもおかしくない。ちなみにマイチェン前の顔は、マツダのデミオ似だった。

ボディサイズはBセグのド真ん中


後ろ上がりのキャラクターラインがビシッと入り、ルーフはクーペのように後方でスラントする

全体のスタイリングは、フォードが以前から提唱しているキネティック・デザインに沿ったものだが、目下「One Ford」を推進中のフォードでは、新世代モデルのデザインを「フォード・グローバル・ワン・デザイン・ランゲッジ」と呼んでいる。印象としては、少々エッジが効きすぎて個性的だった従来のキネティック・デザインを、もっと広く受け入れやすいものにした、という感じ。日本仕様は各種エアロパーツ(大型リアスポイラー、フロントスポイラー、サイドスカート)のおかげで、かなりスポーティに見える。

ボディサイズは下の表からも分かるように、Bセグメントのド真ん中。数値的にはポロに近く、新型ルーテシアより小さいが、実車を前にしての印象は背高系のポロより、スポーティなルーテシアに近い。

 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転半径(m)
ホンダ フィット ハイブリッド(2013~) 3955 1695 1525 2530 4.9~5.2
プジョー 208(2012~) 3960 1740 1470 2540 5.3
VW ポロ(2009~) 3995 1685 1460~1500 2470 4.9
トヨタ アクア (2011~) 3995 1695 1445 2550 4.8~5.7
フォード フィエスタ(2014~) 3995 1720 1475 2490 5.0
ルノー ルーテシア(2013~) 4095 1750 1445 2600
VW ゴルフ 7(2013~) 4265 1800 1460 2635 5.2
 

インテリア&ラゲッジスペース

クルマを着るような一体感あり


試乗車はオプションのポータブルナビ付。車載の情報ディスプレイが隠れないように設置されており、意外に見やすい

インテリアは造形的にも空間的にもスポーティ。前席から後席、荷室まで十分に広く、実用的だが、ポロに比べると着座姿勢は低めで、サイドウインドウの絞り込みも強く、「クルマを着る」ようなタイト感がある。このあたりは、全体に広々した上級モデルのフォーカスと明確に違うところ。運転席に座ると、ステアリングの位置からペダル配置までピタッと決まるのが気持ちいい。

SONY製オーディオは、フォード自慢の「SYNC」に対応

 

4.8インチのワンセグ付SDメモリーナビ(パイオニア製)はオプション。車載の4.2インチディスプレイはリアビューモニターにもなる

インパネの中央上部には、バックモニターにもなる4.2インチ・カラー液晶ディスプレイとオーディオ操作パネルを配置。日本仕様にはソニー製の8スピーカー・プレミアムオーディオが標準装備になる。見た目がちょっとラジカセっぽく、スイッチの配置が散漫なのが玉に瑕。

一方で、デジタルオーディオプレーヤーやBluetooth対応の携帯電話と接続した際、ステアリングスイッチや音声で、オーディオの操作や電話発信が可能なフォード独自のドライバーコネクトテクノロジー「SYNC」に対応しているのが、この純正オーディオの肝。今のところ音声操作は英語にしか対応していないが、ディスプレイに表示されるコマンドを言えば、ちゃんと英語で答えて反応してくれる。ちょっぴり「ナイト2000」風。

 

後席クッションは前席と違ってフカフカと柔らかい。空間はポロより少しタイトだが、背もたれの角度が寝ていてリラックスできる

ホールド性の高いシート、優れたペダル配置、ステアリングのチルト&テレスコ、シートリフターなどにより、ドライビングポジションはピタリと決まる

携帯するだけでドアの施解錠、エンジン始動が可能なスマートキーは標準装備
 

トランク容量は276Lで、ポロ(280L)と同等。後席の背もたれを倒すと、上げ底状態ならほぼフラットに

最大容量は960L。フロアボードを下段にして、天地を拡げることができる。ダブルフォールディングは不可

床下にはスペアタイヤを搭載。サイズは装着タイヤと異なるが、175/65R14のフルサイズ
 

基本性能&ドライブフィール

2リッターかと思うようなパンチ

日本仕様は前述の通り、フォード最小エンジンの1リッター(997cc)の直列3気筒・直噴ターボ「EcoBoost」。小径ターボ、直噴システム、吸・排気可変バルブタイミング機構など、最新技術が盛り込まれた新世代ユニットで、海外ではフォーカス等に2012年から搭載。エンジン分野で権威のある賞の一つ、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーを2012年から2年連続で受賞している。フィエスタへの搭載は2014年モデルから。

 

「Ti-VCT」と呼ばれる吸・排気可変バルブタイミング機構を採用。ブロックは鋳鉄で、カムシャフトの駆動はゴルフ7同様、ロスが少ないコグドベルトを使用する
(photo:フォード・ジャパン)

日本仕様の最高出力は100ps/6000rpmで、いわゆる「リッター100馬力」。最大トルクは1.6~1.8リッター並みの17.3kgm/1400-4000rpmを発揮する。

走りだして、ウワッと思うのが、低回転からグワッと来るトルク感。たった1リッターで、ウワッ、グワッはないだろうと思うだろうが、実際にその出足は1リッターとは思えないほど力強く、ポロの1.2ターボ(105ps)やルーテシアの1.2ターボ(120ps)を上回る。感覚的にはデミオクラスのボディに、2リッターエンジンを載せたみたい。アクセルペダルに軽く足を載せているだけで、ズンズン加速してしまう。

ノイズ・振動も気にならない


車両協力:フォード名古屋

3気筒と言えば、気になるのは音や振動の問題だが、これも全く気にならないレベル。V6エンジンに似た独特のサウンドは確かに3気筒っぽいが、いわゆる不快な成分が入っていない。ライバル車の4気筒ターボ、特にVWの1.2ターボはワンランク上の滑らかさを持つが、フィエスタの3気筒には活き活きとしたパンチがあり、面白さでは勝る。

また、アイドリング時の振動やノイズもほぼ問題なし。3気筒=ステアリングがブルブル震える、という現象は、最新欧州車では過去のものだと痛感させられる。アイドリングストップ機能が未装備なのは、最新エコカーとしては少し物足りないが、おかげで再始動のショック云々は気にせずに済む。

ターボラグは6速DCTでカバー

冷静に観察すると、2000回転を切るくらいの低回転域ではレスポンスが鈍く、いわゆるターボラグは明確にあるのだが、それがほとんど気にならないのは、ゲトラグ・フォード製の6速DCT、通称「パワーシフト」が優秀だから。3000回転手前くらいからグググッと盛り上がってくるトルクを、巧みな変速で拾ってくれる。

ただ、VWの通称「DSG」が間髪を入れず、電光石火でシフトアップ&ダウンするのに対して、このゲトラグ製DCTの変速動作は、ボルボなどと同様、少々おっとりしている。おそらくフォードとしては、トルコンATのようなスムーズさの再現を狙っているのだろう。

シャシー性能は、ミニフォーカス風


タイヤは195/45R16のハンコック Ventus S1 evo。正直に言って、グリップから乗り心地まで、全く不満を感じなかった

新型フィエスタでもう一つ驚くのは、スポーツモデルのようなシャシー性能。軽めの電動パワステには、切り始めに少し意図的な鈍さを感じるが、旋回し始めるとアンダーステア知らずで曲がってゆく。

また、ボディには全体が一丸になったような剛性感があり、硬めに思えた足回りも、荒れた路面をしなやかに捉え続ける。リアサスはBセグで一般的なトーションビームだが、リアの安定感は感動的で、オーバースピード気味でコーナーに入っても、まったく不安を感じない。その分、リアを流すような走り方は難しそうだが、この安心感には代えがたい。一言でいえば、ミニフォーカス。

日本仕様はスポーツサスペンションと195/45R16タイヤが標準だが、街乗りから、田舎の荒れた舗装路、そして高速道路まで、まったく不満なし。背高コンパクトカーにありがちな横揺れはほとんどなく、ピッチングもほぼ皆無。荒れた路面での乗り心地はポロより良く、比べるならルーテシアだと思った。

 

マニュアルシフトする時はシフトノブ横の「セレクトシフト」スイッチを押す。長い下り坂などでエンジンブレーキを掛ける時には便利

ワインディングで気になったのは、マニュアルシフトがしにくいこと。パドルシフトはなく、フォーカス同様、シフトノブの横にサムスイッチがあって親指で変速する方式だが、これがワインディング走行中だと、素早く操作できない。ステアリングから手を離し、一度ノブを握って、そこで初めて親指で押すことになるからだ。むしろスポーツモードのまま走った方が、ストレスなく、速く走れる。

なお、トルクステアは皆無ではないが、そこは最新モデルらしく最小限。電動パワステには、横風や路面のうねりなどに対する修正舵を減らす「ドリフト補正機能」や、ステアリングの微小なブレや震動を打ち消す「アクティブ ニブル コントロール」が備わるらしいが、システム単体でどれほど効果を発揮しているのか不明(オン・オフスイッチはないので)。しかし、ステアリングの座りの良さは気持ちよさを感じるほどで、特筆できる。

 

100km/h巡航は2300回転くらい。直進安定性は抜群で、静粛性もBセグメントでは最上レベルだと思った。高速走行時にも突出してうるさい音がなく、エンジン音をはじめ、ロードノイズや風切り音も気にならない。このあたりも、さすが欧州生まれと思える。

標準装備のクルーズコントロールを使えば、まるで2リッタークラスのように悠々と走る。100ps版の最高速(メーカー発表値)は発見できなかったが、180km/h台は確実だろう。

試乗燃費は10.9~14.5km/L。JC08モード燃費は17.7km/L


給油口は、キャップレスの「イージー・フューエルシステム」。ノズルを差し込むと自動でシールドが開く

今回はトータルで約200kmを試乗。試乗燃費(車載燃費計)は、いつもの一般道、高速道路、ワインディングを走った区間(約90km)で10.9km/L。また、一般道を大人しく走った区間(約30km×2回)が14.1km/L、14.5km/Lだった。JC08モード燃費は17.7km/L。

総じて、ゴー・ストップが多い街乗りではつい元気に走りがちで、感覚的には10km/L台といった印象(車載燃費計で9L/100km台)。指定燃料はプレミアムになる。

 

ここがイイ

4気筒要らずのエンジン。超充実した装備。ドラポジなど

まず第一にエンジン。この3気筒ターボには、4気筒よりこっちの方がパワフルで面白いから、という理由で積極的に選びたくなる魅力がある。軽自動車的な広さはないが、少家族ならファミリカーになりえるし、高速ロングドライブでの余裕は、普通車というか、ほとんど2リッタークラス並み。それでいて燃費もいいし、カッコもいい。

オートエアコン、スマートキー、オートライト、オートワイパー、クルーズコントロール、自動ブレーキなどなど、標準装備がやたら充実していること。パワーウインドウが全席オートなのは、日本車でもこのクラスでは珍しい。こんなところも One Ford の成果なのだろう。

そしてピタッと決まるドライビングポジション。これがちゃんとしているクルマは、乗っていて気持ちいいことを再認識した。

リアドアを閉じた時のガチンという音。ドイツ車のドアは、総じてドアの閉まり音が重厚だが、この硬質な音はあまり聞いたことのないもの。日本車の品質基準ではNG?かもしれないが、フィエスタの場合はいかにも欧州車っぽいということで「ここがイイ」に。

ここがダメ

6速DCTの変速レスポンス

VWのDSGの比べて、もう少し、と思えたのは、新型ルーテシア同様、6速DCTの変速レスポンス。ただ、これは本文でも触れたように、トルコンAT的なヌルっとした滑らかさを出すという狙いもあるのだろう。フィエスタがポロに勝っている部分は多いが、いちおうこの点は参考までに記しておく。

日本仕様には4.2インチの液晶カラーディスプレイが装備されているが、北米仕様には6.2インチディスプレイにナビやSYNCを組み込んだものが用意されている。日本仕様(欧州仕様?)の4.2インチディスプレイ+オプションのPNDも悪くないが、できればこのあたりも One Ford でグローバル標準化して欲しいところ。

総合評価

とてもリッターカーとは思えない

あまりの出来の良さに、言葉を失ってしまった。いや、あまりの楽しさに、思わず走りこんで我を忘れてしまったのだ。3気筒ターボと聞けば、それは日本車というか、軽自動車のお家芸だったはず。最新軽の660ccターボエンジンはすでにリッターカーを上回る性能を発揮しているが、その排気量を1.5倍の1リッターにして、直噴ターボ化すれば無敵の走りになる、とはさすがに思っていなかった。今回それをフォードにやられてしまった。そう、フィエスタには、まさにやられてしまった感が強い。

フィエスタの走りはとにかく力強く、まるで排気量が倍のクルマのようだ。直噴ターボながら、その味付けは昔のドッカンターボっぽくもあり、その点でも走らせる面白さは十分。ワインディングでのパワー感、自在な身のこなし、高速巡航の安定感や快適性などは、とてもリッターカーとは思えない。現時点では、同クラスの日本車に勝ち目はない、と言えるだろう。

Fun to Drive の価値

それは小排気量エンジン+直噴ターボ+DCTという日本車にないゴールデントリオがもたらしたもの。こういったクルマは総じて運転が楽しい。まさにFun to Driveなのだ。トヨタが「Fun to Drive」をスローガンにしていたのは1984年~1987年で、30年近い年月を経て2011年10月からも「Fun to Drive, Again.」を打ち出しているが、この30年で失われたものは、そうとう大きいと言わざるをえない。国産車においても、この30年で進化を遂げたものはたくさんあるが、トヨタ車の場合、こと走りに関しては、特にバブル崩壊以降、結局脇に置かれたままだったように思う。クルマがクルマでない何か新しいものに進化していれば、走りなどどうでもいいのかもしれないが、クルマが未だクルマであって、今後も新興国へクルマとして売られていく以上、「走りのよさ」は結局大きな価値を持ったままだ。結局、クルマが大きく進化、というか、「クルマとは異なる何か」に変化しなかった今となっては、こうした「クルマらしいクルマ」に乗るにつけ、複雑な思いとなってしまう。

 

2004年に発売された先代フィエスタの試乗記では「乗って気持ちいいフィエスタか、異常に便利なポルテか」と比較して書いたが、フォードは気持ちいい乗り味を着実に進化させて、こんな素晴らしいクルマを作った。異常に便利なポルテはいまだに価値を失ってはいないが、その進化はそれほど大きくない。そして10年を経て、世界でトップクラスのセールスを誇るフィエスタと、日本だけでそこそこ売れるガラパゴスなポルテという対照的な存在となっている。日本で便利に使うにはポルテがいいとは思うが、グローバルな世界では、それは通用しないということだろう。日本がグローバリズムに背を向け、いっそ鎖国でもすればいいのだが、そうもゆくまい。

昨年の名古屋モーターショーでは、その直前に行われた東京モーターショーと違って、ディーラー主導の出展ながら米国メーカーを含めて数多くの輸入車が展示された。その中には実質的にジャパン・プレミアの新型車が何台かあり、フィエスタもその一台だった。だったのだが、多くの人に知られていなかったせいか、大きな注目を浴びていたとは言いがたかった。近くにはアストンマーティンも展示され、そちらはかなり人目を引いていたのだが。このクルマの良さを、もうちょっと多くの人に伝える方法は、本当に何かないものかと思う。販売店を増やせばいいというものでもないだろう。フィエスタに関しては、そこだけが唯一、本当に惜しいところだ。

 

試乗車スペック
フォード フィエスタ
(1.0L 直3ターボ・6速DCT・229万円)

●初年度登録:2014年1月●形式:ABA-WF0SFJ ●全長3995mm×全幅1720mm×全高1475mm ●ホイールベース:2490mm ●最小回転半径:5.0m ●車重(車検証記載値):1160kg(730+430) ●乗車定員:5名

●エンジン型式:SFJ ●排気量・エンジン種類:997cc・直列3気筒DOHC・4バルブ・直噴・ターボ・横置 ●ボア×ストローク:71.9×81.9mm ●圧縮比:10.0 ●最高出力:74kW(100ps)/6000rpm ●最大トルク:170Nm (17.3kgm)/1400-4000rpm ●カム駆動:タイミングベルト ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/42L ●JC08モード燃費:17.7km/L

●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット+コイルスプリング/後 ツイストビーム&トレーリングアーム+コイルスプリング ●タイヤ:195/45R16(Hankook Ventus S1 evo)

●試乗車価格(概算):243万9145円 ※オプション: SDメモリーナビ(販売店オプション) 6万2895円、フロアマット 2万6250円、メタリック塗装 6万円 ●ボディカラー:ホットマゼンタ Me ●試乗距離:約200km

●試乗日:2014年2月 ●車両協力:フォード名古屋株式会社

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 
 

フォード 最新の試乗記10件

最近の試乗記一覧