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ホンダ フィット ハイブリッド スマートセレクション新車試乗記(第614回)

Honda Fit Hybrid Smart Selection

(1.3リッター直4+モーター・CVT・172万円)

フィット、ヒット、ハイブリッド!
サイズも価格もちょうどいい!
フィットハイブリッドに試乗!

2010年11月19日

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キャラクター&開発コンセプト

フィットのボディに、インサイトのハイブリッドシステムを搭載


新型フィット ハイブリッド
(photo:本田技研工業)

2007年10月に2代目となったホンダ・フィットが、2010年10月8日にマイナーチェンジを受けた。その主な変更内容は内外装デザイン、燃費の改善、ラインナップの再編、スポーティグレード「RS」のアップデート等、多岐にわたるが、何と言っても最大のトピックは「フィットハイブリッド」の追加だ。

フィットハイブリッドは、要するにフィットに現行インサイトのハイブリッドパワートレインを搭載したもの。1.3リッター直4・SOHCエンジン(88ps、12.3kgm)、薄型モーター(14ps、8.0kgm)、ニッケル水素バッテリーといった個々の要素もインサイトと共通だ。10・15モード燃費はインサイトと互角の30.0km/Lとなっている。

ホンダ製ハイブリッド車の主力


2010年10月8日、東京と同時に名古屋でも行われた新車発表会。手前は車体設計開発責任者の長峰 晋吾氏

今回あらためて掲げられたフィットシリーズ全体の国内販売目標は、2007年の発売当初より2000台多い月間1万4000台。ホンダではその約分をハイブリッドが占めると予想しているが、約2週間経過した時点での受注は約2万1000台で、ハイブリッドは71%(約1万5000台)を占めたという。なお、フィットハイブリッドの登場と共にマイナーチェンジしたインサイトの目標は、当初の月間5000台から4000台に下方修正。CR-Zの目標は月間1000台となっている。つまりホンダにとっては、少なくとも国内市場においては、フィットハイブリッドがハイブリッド車の主力となる。

 

フィットハイブリッドのパッケージング。システムの要であるIPUをトランク床下スペースに収めた
(photo:本田技研工業)

なお現在、日本を含めて8つの国・地域において、全10拠点で生産されるフィットだが(海外での車名は主にジャズとなる)、国内向けの生産はすべて鈴鹿工場で行う。またハイブリッド車用のパワートレインに関しては、鈴鹿工場から世界に供給されるようだ。

広告キャッチコピーは新たに「人にフィットする。」、「ヒトニFIT」で展開。テレビCMでは、バックに流れるミック・ジャガーの「Everybody Getting High」が印象的だ。

※過去の参考記事
■新車ニュース>新型フィットとフィット ハイブリッドを発売 (2010年10月)
■新車試乗記>ホンダ インサイト G (2009年3月)
■新車試乗記>ホンダ フィット G (2007年12月)

価格帯&グレード展開

159万円からで、ガソリン車より実質20万円ほど高く、インサイトより30万円安い


内外装を一新、MTもCR-Z譲りの6速になった「フィット RS」。初代シビックを彷彿とさせるソリッドの「サンセットオレンジ」はRS専用色

通常のフィットは123万円(13G)~169万8000円(RS)だが、フィット ハイブリッドの価格は、159万~210万円。オーディオは基本的にオプションだ。装備内容が異なるので比較は難しいが(例えばハイブリッドは全車フルオートエアコンとなる)、おおむねハイブリッドは同等装備のフィットより、20万円+α高いという感じ。ただしディスチャージドヘッドライトやスマートキーが不要なら、ガソリン車の上級グレードと同等の159万円で買えるのは事実であり、なら、いっそハイブリッドを、と思わせるプライシングとなっている。

なお、フィット ハイブリッド発表時の当サイトニュースに、「ハイブリッド史上最安」と書いたが、実際には2003年に発売されたスズキ・ツインのハイブリッドが129万~139万円だったので、これは誤り(すでに訂正済み)。

 

「スマートセレクション」以上に標準装備されるスマートキー。ドアノブを引けば解錠、リクエストスイッチ(黒いボタン)を押せば施錠する

一方、インサイトは189万~223万円なので、ベース車で言えばフィットハイブリッドの方が30万円ほど安い。となると「フィットハイブリッドの方がいいじゃん」となるが、インサイトはハイブリッド専用ボディとなる点が大きな差となる。

【1.3リッター直4(100ps・13.0kgm ※CVT車:99ps・12.8kgm)】
 10・15モード燃費:21.0~24.5km/L ※4WD車:17.2km/L
 JC08モード燃費:19.2~20.6km/L ※4WD車:16.0km/L
 
■13G        FF(5MT/CVT):123万円 / 4WD(5AT):140万5000円
■13G スマート セレクション  FF(5MT/CVT):135万円 / 4WD(5AT):152万5600円
■13L        FF(CVT):149万円 / 4WD(5AT):166万5600円

 

フィットハイブリッドのボディカラーは全8色。試乗車は「プレミアムホワイトパール」(3万1500円高)
車両協力:株式会社ホンダカーズ東海

【1.5リッター直4(120ps・14.8kgm)】
 10・15モード燃費:17.4(RS・6MT)~20.0km/L ※15X・4WD車:16.4km/L
 JC08モード燃費:16.2(RS・6MT)~19.0km/L ※15X・4WD車:15.2km/L
 
■15X      FF(CVT):149万8000円 / 4WD(5AT):167万3600円
■RS      FF(6MT/CVT):169万8000円

【1.3リッター直4+モーター(98ps・17.0kgm)】+CVT
 10・15モード燃費:30.0km/L
 JC08モード燃費:26.0km/L
 
■ハイブリッド     159万円
■ハイブリッド スマート セレクション   172万円  ★今回の試乗車
■ハイブリッド ナビプレミアム セレクション   210万円

パッケージング&スタイル

外観は普通のフィットと大差なし。専用パーツで差別化


ホイールキャップはハイブリッド専用デザインだが、最上級グレード用のアルミはノーマルフィットと共有

バンパー形状が異なるRSを除き、新型フィットのボディサイズは全車ほぼ共通で、全長3900mm×全幅1695mm×全高1525mm、ホイールベースは2500mm。すでに街でよく見かける2代目フィットゆえ細々した解説は省くが、3年経っても見た目の好感度は相変わらず。今風のデザインでありながらオーソドクス、コンパクトだけど室内が広そう、といった相反する要素を兼ね備えている。

 

ハイブリッド版の目印は、青みがかった専用フロントグリル、同じく青みがかったヘッドライトレンズとリアコンビネーションランプ、リアゲートの「HYBRIDエンブレム」、そして専用15インチスチールホイール用ホイールキャップのほか、専用色のフレッシュライム・メタリックくらいだ。これ以外に7色あるボディカラーはノーマルフィットでも選べるため、その場合は一瞬での識別が難しくなる。なおフロントグリルは、メッキの上にクリアブルー塗装を施したリフレクターに、透明アクリルカバーをかぶせたものだ。

インテリア&ラゲッジスペース

主にメーター類がハイブリッド専用


メーター背景色がブルーになるハイブリッド。ステアリング右下に「ECON」ボタンが見える

インパネまわりでハイブリッド専用と分かるのは、背景色がブルーのメーター、速度計の手前に配置された液晶の「マルチインフォメーションディスプレイ」など。メーター文字盤は現行インサイトなどと同様、燃費運転することでブルーからブルーグリーンへ、そしてグリーンへと変化する「アンビエントメーター」となっている。また細かい点では、ダッシュボードのカラードパネルが通常のシルバーではなく、シャンパンメタリックとなる。もちろん例の「ECON」ボタンもダッシュボード右下に備わっている。

 

試乗車の内装色は黒だが、外装がライム、レッド、イエローの場合はベージュになる

それ以外は、おおむね普通のフィットと同じだ。久々にフィットに触れて思ったのは、いかにもグローバルカーらしく、シートのサイズが大きくて、座り心地もいいこと。ヒップポイントは座面の高さを最も下げた状態でもかなり高く(シート下には燃料タンクがあるゆえ)、身長160センチ以上なら一番下となる。もちろん、ラチェット式レバー(ほぼ全車に装備)でさらに座面を上げられるから、もっと小柄な人でも適切なアイポイントが得られるはずだ。さらに上級グレード(13L以上)やハイブリッド車には、ステアリングのテレスコピック機能も標準装備される。

ハイブリッドでも後席の広さやアレンジ機能は変わらず


後席は普通のフィットと同じ。背もたれ角度は若干調整できる

もちろん後席は広々。すでに日本だけでも150万人以上というフィットオーナーで、後席の広さに不満を感じている人はおそらく皆無だろう。ライバル車に比較しても圧倒的に広く、乗り降りもしやすい。なお、サイド&カーテンエアバッグは、フィットハイブリッドでも全車でオプションとなる。

 

座面を跳ね上げた状態。この時の天地高は1280mm

もちろんハイブリッドでも、フィットお得意のチップアップ機能(座面を跳ね上げる)が可能だ。そして相変わらず感心するのが、シートアレンジの操作性が非常に良いこと。力に自信のない女性でも気軽に操作できる。

こういったフィット独自のパッケージングを可能にしたのが、ご存じ「センタータンクレイアウト」。燃料タンクを前席下に配置したもので、よく見るとそこの部分はフロアが盛り上がっているが、弊害はほとんどない。

ハイブリッド化の犠牲は最小限


フロアボードは固定で、IPUへのアクセスは不可。三角表示板が入る小物入れ(3リッター)はある

ハイブリッド車と言えど、荷室の眺めは普通のフィットとほとんど同じ。ここがある意味、フィットハイブリッドのすごいところだ。荷室フロアが少し高くなったため、トランク容量はガソリン車の422リッター(グレードや駆動方式によって多少差がある)から、344リッターに減っているが、それでも依然VWゴルフ並み(350リッター)だから十分だ。全長4メートル未満のコンパクトカーとしては頭抜けた広さで、ハイブリッド化に伴う犠牲は、ほとんど感じられない。

 

背もたれを倒すのも肩のあたりのレバーでワンタッチ。座面が連動して沈み込み、荷室フロアと水平になる

さらに後席の背もたれを畳めば、奥行きは1475mmとなり、さらに助手席を畳めば(前屈はせず、前端に寄せて背もたれを後ろに倒す方法になる)、最大2.4メートルの長物が積める。この場合、ほぼ床面はフラットなので、大人が横になることも可能だ。

床下収納はもともとIPUが収まるサイズで設計


荷室床下におさまるIPU。下にバッテリー、上にPCUという2段構造
(photo:本田技研工業)

肝心のハイブリッド用バッテリーやPCU(パワー・コントロール・ユニット)、合わせて「IPU」は、ノーマルフィットの床下収納スペース(FF車で64リッター)に配置。うまく収めたなあと発表会の時には感心していたが、実は2代目フィット開発時からIPUの搭載は織り込み済みだったようだ。

現行インサイトではIPUの上に、冷却用の吸気ダクトや吸気ファンを配置していたが、それだとフィットが誇る荷室の広さを損なってしまうため、冷却系レイアウトを抜本的に変更。インテークを右クォーターウインドウ下に配置し、吸気ダクトを荷室の右サイドパネル裏から床下に通して、冷却ファンを床下に配置している。

 

右リアクォーターガラス下のIPU冷却用インテークに注目。左上に埋まっているのはパンク修理キット

スペアタイヤレスはフィット全車で共通。ハイブリッドの場合、床下にスペースがないため、パンク修理キットやジャッキは荷室の右サイドパネルに収納されている。いわゆるニッチスペースの有効活用というやつだ。

基本性能&ドライブフィール

システム全体での最高出力は98ps、最大トルクは17.0kgm

試乗したのはハイブリッドの中間グレード「スマートセレクション」。ハイブリッド標準車(159万円)にディスチャージヘッドライトやスマートキーを追加装備したもので、車両本体は172万円となる。

走り始めてすぐに感じるのが、ノーマルのフィットより静かで、上質なクルマということだ。インサイトよりも街乗りでの力強さや燃費性能を重視してセッティングしたとのことだが、少なくとも街中では、マイナーチェンジ前のインサイトと同等か、それ以上のしっとり感がある。

パワートレインは基本的にインサイトと共通で、1.3リッター直4エンジンは88psと12.3kgm、モーターは14psと8.0kgmを発揮する。エンジンとモーターの両方で発揮されるシステム出力は、98ps/5800rpm、最大トルクは17.0kgm/1000-1500rpmだ。つまり馬力の点ではノーマルフィットの1.3リッター(CVT車で99ps)と大差ないわけだが、トルクの方は1.8リッター車並みと、かなりのトルク持ちとなる。

 

インサイトと同じ「1.3リッター i-VTECエンジン+薄型DCブラシレスモーター
(photo:本田技研工業)

実際、フィットハイブリッドでは、エンジンをほとんど2000回転以上回さなくても、街中では何ら不足ない。燃費重視の「ECON(イーコン)」モード選択時には、ノーマルモードに比べて確かにレスポンスは鈍くなるが、最初からECONモードであれば、ほとんど気にならないレベルだ。

ただし、エンジンとモーターが一体のホンダ式ハイブリッド「IMA」ゆえ、当然ながら発進時には必ずエンジンが掛かり、走行中でも常にエンジンは「回って」いる。もちろん、巡航時や減速時には燃料噴射を停止するわけだが、モーターだけで走る領域や条件はかなり限定的で、またその証としてメーター内に「EV」マークが点灯することも滅多にない(表示も小さくて、よく見えない)。当然、走行中はタコメーターも常に回っている。つまり感覚的にはハイブリッド車というより、「とても静かで、超トルクフルな、フィットの上級モデル」という感じだ。乗り心地も重厚で、その点に関して言えば、例えばVWの新型ポロあたりと比べたくなる。

アイドリングストップはかなり頻繁


EVモード(モーターのみで駆動)で走行中。走行速度、アクセル開度、バッテリーの充電状態といった条件が揃った時に可能

ただし一般的なガソリン車と明らかに異なるのは、とにかく頻繁にアイドリングストップしてくれる、ということ。停止すれば必ずエンジンが止まる、と言ってもいいほどで、その後にブレーキをちょっと緩めてエンジンを掛けてしまった場合でも、停止すれば再びアイドリングストップしてくれる。この点では「すごくよくエンジンを止めてくれるアイドリングストップ車」だ。さらに、マツダのi-stopや日産マーチのような純ガソリン車のそれと異なり、エンジン直結の薄型モーターがスターター役にもなるIMAの場合は、再始動がクルマが動き出すのと同時に行われる。

 

模範的な「エコドライブ」中。ただし右の「モーターアシスト/チャージ」表示からも分かるように、この状況でもエンジンは(多分)止まっていない

ただ、それゆえ気になったのは、アイドリングストップした場所が上り坂というか、ちょっとした傾斜だと、ブレーキを離した直後に一瞬だけ下がってしまうことがあること。この現象は新型マーチのアイドリングストップ車にもあったもので、すぐにエンジンが掛かってクリープが発生するから実害はないし、後ずさりしたとしても数センチのことなのだが、最初は少々ドキッとする。そうなる前にエンジンが掛かることが多いが、事前に知っておいた方がいいのは確かだろう。

 

アイドリングストップ時。メーター色がグリーンになり、「AUTO STOP」と表示が出る

ちなみに、こういった坂道発進での後ずさりを防ぐ装備としては、ESPのブレーキ制御機構を利用したヒルホルダーシステムが一般的だが、フィットハイブリッドの場合は、そのESPに相当するVSAがトップグレード(210万円)以外ではオプションとなる。またこのVSAの説明でも、ヒルホルダー機能の有無については特に触れられていない。VSA付のオーナーの方は、ちょっと試していただきたい。

操縦性はCR-Z>インサイト>フィットハイブリッドの順

ハンドリングに関しては、ベースとなったフィットの場合、最後までアンダー傾向で安定しつつ、ちょっぴりスポーティなところもあって、スペースユーティリティ重視のコンパクトカーとしては十分以上のハンドリングを備えているが、ハイブリッドの方はというと、ある程度までは似たような印象ながら、アンダーが強まる限界域になると、何となく接地感のはっきりしない気配が出てくる。

こんな風に印象が違う理由としては、まずは車重だろうか。3年前に乗ったフィット(1.3リッターの「G」グレード)と車検証数値で比べてみると、ハイブリッドの方は前軸で+50kg、後軸で+70kg(計120kg)も増えている。足まわりはもちろんハイブリッド専用チューニングで、リアにはスタビライザーも追加されているが、もともと軽量車なのでこの差は大きい。またハイブリッドの方が専用設計の低燃費タイヤ(175/65R15のダンロップ エナセーブ)を履くことも、要素としては大きそうだ。

いずれにしても、法定速度域やエコ運転時にはまったく問題ないレベルだが、ペースを上げた時は「VSAが付いていたらなあ」と思えた。ちなみにこれに比べると、CR-Zは言うに及ばず、以前乗った2代目インサイトは足まわりが明らかにハードで、ハンドリングもスポーティだ。

いつもの試乗燃費は15.3km/L。燃費は初代プリウスと互角?

最後に肝心の燃費性能だが、あくまで参考ながら、試乗燃費はいつもの一般道と高速の混じった区間(約90km)で15.3km/Lだった。さらに念のため、空いた一般道を無駄な加速を控えて走った区間(約30km)では約22km/Lとなった。なおフィットハイブリッドの10・15モード燃費は全車30.0km/L、JC08モード燃費は26.0km/Lだ。

ちなみに蛇足かもしれないが、フィットハイブリッドの実用燃費を、普段デイズの各部署で営業車として愛用されている初代プリウス後期型(すでに1台はお役ご免となり、現在2台目と3台目を保有)と比較すると、街中でエコランした時の燃費は、両者互角か、フィットハイブリッドの方が若干良いかな、という感じ。ただし燃費を意識せずに走ると、初代プリウス後期型がアベレージで17km/L台を維持するのに対して、フィットは自然と15km/L台で推移する、という印象を受けた。

 

また最高速(どちらも170km/h台まで伸びる)や加速性能は、ほぼ同等という印象。一方、低速で力強いのは明らかに初代プリウスで(モーターのトルクが37.7kgmと超強力)、ロードノイズの少なさなど静粛性でも明らかに初代プリウスが優れる。ついでに初代プリウスの10・15モード燃費を挙げておくと、前期型(1997~2000年)は28.0km/L、大幅に改良された後期型(2000~2002年)は29.0km/L、最終モデル(2002~2003年)は31.0km/Lとなり、数値上はフィットハイブリッドとほぼ互角だ。

ここがイイ

手頃なボディサイズ、十分な性能、手を伸ばせば届く価格

3年前の2代目フィットデビュー時の試乗記で、「新型フィットは流行のコンパクトカーというより、実は日本人にとって最も理想的なサイズのファミリーカーだ」としたが、それは今も揺るがない事実だろう。「いわゆるかつての大衆車(の大きさ)なのだから。4人以下の平均的な家庭であれば、もうこれ一台ですべてまかなえる」とも。

そんなクルマがハイブリッドになったのだから、もう何も言うことはない。必要十分な性能、そしてちょっと手を伸ばせば届く価格。ハイブリッドのお代は、いろいろ検討すると22~23万円くらいとなりそうだが、10年乗るつもりなら、まあ大した差額ではない。燃費に関しては、モーターデイズの過酷な?試乗でも、1.3リッターのガソリン車で12.7km/L、ハイブリッドは15.3km/Lで2割ほどいいのだし。

ここがダメ

お金の損得だけならガソリン車との差は少ない。VSAが全車標準ではないこと

10年10万kmを走ったとして、モーターデイズの試乗燃費でリッター125円のレギュラーガソリンを入れたとすると、燃料代はガソリン車で98万5000円ほど、ハイブリッドでは81万5000円ほどで、22~23万円の車両価格差を取り戻すに至らない。これをどう考えるか。また新車保証が切れた後、電池が万一ヘタった場合、その交換には多分かなりの出費が予想される。ちなみにデイズにあった10年14万kmの初代プリウスの場合、20万円以上の見積もりが来た。ということで、お金だけを考えたら、お得かどうか微妙。C02を出さないことやトルクフルな走りを誇るしかない。

また、インサイトのような、あるいはCR-Zのような専用車ではなく、既存のガソリン車をハイブリッド化して、なおかつ低燃費を追求し、さらに低価格を志向したがゆえに、元気に走った時の安定感では本文に書いたようにちょっと不満もある。安全を考えてもVSAは必需品に思えるが、これを全車標準とすると価格も上がるし、何よりインサイトでも最上級グレード以外はオプションなので、クラスヒエラルキーを壊しかねない。そのあたり、頑張って商品バランスをとろうとしているのは、努力の賜物とも妥協の産物ともいえそう。

総合評価

今やフィットこそシビック

ミドルクラスセダンとなったシビック・セダン(現状はハイブリッドのみ)が在庫終了次第、日本国内の販売から撤退という報道に、さもありなんと思った矢先、ホンダはそんなことはないと否定しているようだ・・・・・・。でもフィットハイブリッドが出たことで、シビックハイブリッドが存在意義をなくしているのは確か。いや、こうなるとインサイトだってやばいのかも。フィットハイブリッドは価格も安いし、後席も広い。これはもうフィットハイブリッドが売れまくる、としか想像できない。

 

初代シビック。写真は1978年モデル
(photo:本田技研工業)

なんと言ってもベースのフィットは、この日本において一家に一台の所有とするには、申し分のないサイズ感と性能を持っている。大人4人が楽に乗れる居住空間、快適なロングドライブも十分にできる性能、その気になれば巨大な荷室にできるユーティリティなどなど、コンパクトカーと呼ぶにはちょっとだけ大きめのサイズは、まさに日本でのマルチパーパスカーにベスト。これ一台あれば何でもできる。

つまりフィットはもはや、日本の国民車である。あ、そうか。つまりはこれが今やシビック(市民のクルマという意味で命名)。本家シビックの現行モデルは3ナンバー幅となり、言ってみれば海外の市民向きのクルマ。日本の市民には、5ナンバー枠までの幅が許容範囲でしょう。ということで、ホンダがなんと言おうとやはり今のシビックは、こと日本においてはその役割を終えたと思う次第。

 

8代目シビック。写真は2代目シビックハイブリッド (2005年~)

となれば、この見事に日本社会にフィットしたパッケージングのフィットで、あとは何が出来るか、ということになる。そして今回ハイブリッドが出て、さらにフィットRSはまるでかつてのシビックRSのようになったわけだ。特にフィットRSは、この素晴らしいパッケージングで、かつスポーツ走行も楽しめたらいい、というあたりを追求したモデル。それに対してハイブリッドは環境に配慮したクルマ、そして何よりハイブリッドという「トレンド」に乗ったクルマとして作られている。

売れるクルマが偏っちゃう

最近よく書いているように、このクラスの最新ガソリン車であれば、燃費はもう十分なところにあると思うのだが、今は分かりやすい進化の証として、燃費という数値だけが、クルマの性能を主張できる部分になってしまっている。もちろん環境や話題性のこともあって、とにかく燃費を競うしかないという現実があり、結果としてちょっと割高感のあるハイブリッド車が続々出てくる事になる。でも本文に書いたとおり、実燃費ではもう7、8年前のプリウスですら、これくらいは叩き出すわけで、特にすごいことではない。やはりここに至ってもフィットは、そのサイズ感や価格が絶妙、というあたりが売りになるのではないか。今買えるハイブリッド車では最も安いのだし。

 

2010年11月にLAショーで発表された「フィット EV コンセプト」
(photo:本田技研工業)

そしてハイブリッドの次には、この11月のロサンジェルスショーに登場した「フィットEV コンセプト」となっていくわけだ。優秀なパッケージを損なうことなく、EV化までできるフィットは、やはり基本設計が優秀ということだろう。これでまずはノーマルガソリン車、そしてRS、ハイブリッド、EVとバリエーションが広がっていく。どんなニーズにもフィットするフィット。

 

これに対して、スマートのEV、iQのEVは小さすぎるし、i-MiEVは今のところ軽サイズだし、リーフはなんだか大きくて豪華すぎ、なんて考えると、まだ出ぬフィットEVがすごくいいものに見えてくる。そう何台もクルマを所有できない時代、セカンドカーが買えない時代のベストチョイスは、フィットだろう。となると、心配すべきはこんないいクルマを作ってしまったホンダの行く末。売れるクルマが偏っちゃうのは将来的に幸なのか不幸なのか。もちろん売れないよりはいいけど。

試乗車スペック
ホンダ フィット ハイブリッド スマートセレクション
(1.3リッター直4+モーター・CVT・172万円)

●初年度登録:2010年10月●形式:DAA-GP1
●全長3900mm×全幅1695mm×全高1525mm
●ホイールベース:2500mm ●最小回転半径:4.9m
●車重(車検証記載値):1130kg( 710+420 ) ●乗車定員:5名

●エンジン型式:LDA
●1339cc・直列4気筒SOHC・2バルブ・横置
●ボア×ストローク:73.0×80.0mm ●圧縮比:10.8
●88ps(65kW)/5800rpm、12.3kgm (121Nm)/4500rpm
●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/40L

●モーター形式:MF6
● 交流同期電動機(薄型DCブラシレスモーター) ●定格電圧:100V
●14ps(10kW)/1500rpm、8.0kgm(78Nm)/1000rpm ※エンジン始動時:9.4kgm(92Nm)/500rpm
●バッテリー:ニッケル水素電池
●システム最大出力:98ps/5800rpm
●システム最大トルク:17.0kgm/1000-1500rpm

●10・15モード燃費:30.0km/L ●JC08モード燃費:26.0km/L

●駆動方式:前輪駆動(FF)
●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット/後 車軸式(トーションビーム)
●タイヤ:175/65R15( Dunlop Enasave 31 )
●試乗車価格:186万1330円( 含むオプション:Gathers デュアルサイズナビコンポ ベーシックワンセグモデル<VXM-118VS> 11万4450円、リアカメラシステム 1万500円、フロアマット 1万6380円 )
●試乗距離:220km ●試乗日:201011月
●車両協力:株式会社ホンダカーズ東海

 
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