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ホンダ フィット シャトル ハイブリッド スマートセレクション新車試乗記(第640回)

Honda Fit Shuttle Hybrid Smart Selection

(1.3リッター直4+モーター・CVT・193万5000円)

フィット ハイブリッドのワゴン?
いや、復活した「シャトル」は
最良のIMAハイブリッドだった!

2011年08月26日

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キャラクター&開発コンセプト

フィットを越える積載スペースと質感


新型フィット シャトル ハイブリッドとフィット ハイブリッド
(photo:Honda)

新型「フィット シャトル」と「フィット シャトル ハイブリッド」は、2代目フィット/フィット ハイブリッドがベースの小型ステーションワゴン。ホンダ流に言えば、「ワゴンスタイルのコンパクトカー」だ。実質的には初代フィットがベースだったエアウェイブの後継にあたる。当初は2011年3月17日に発売される予定だったが、震災の影響で延期となり、6月16日に発売された。

注目が集まるのは、やはりハイブリッドモデル。その売りはフィット譲りの優れたパッケージング性能、特に荷室スペースだ。テレビCM等の宣伝コピーは、

 

ホンダ エアウェイブ (2005-2010年)
(photo:Honda)

「ハイブリッドカーが、ハイブリッドで満足している時代は終わった。」
「ハイブリッドカーにビッグ・ラゲッジスペースを。」
「ハイブリッドカーには、もっと選ばれる理由が必要だ。」

などで、ハイブリッド+αの魅力を訴えている。ハイブリッド車としては安い181万円からの価格、フィットより高められた質感、フィットと同等の燃費性能などもポイント。

生産は狭山から鈴鹿に変更

生産は当初、埼玉製作所(埼玉県狭山市)で実際に始まったが、震災の影響により急遽フィットやインサイトなどと同じ鈴鹿製作所(三重県)に移管されている。

目標販売台数は月間4000台。発売後2週間での累計受注台数は、その3倍の約1万2000台に達したという。ちなみに初期受注の内訳は、純ガソリン車が14%、ハイブリッドが86%で、ハイブリッドが圧倒的に多い。

■ホンダ>プレスリリース>受注状況について (2011年6月28日)
■ホンダ>プレスリリース>フィット シャトル/フィット シャトル ハイブリッドを発売 (2011年6月16日)

■朝日新聞社広告局>インタビュー>ホンダ「これからも、夢を量産しようと思う。」 (2011年8月10日)

15年ぶりに「シャトル」が復活


ホンダ シビック シャトル 5ドア (1983~87年)
(photo:Honda)

「シャトル」という車名は、かつての3代目「ワンダー」シビック(1983-87年)および4代目「グランド」シビック(1987-91年)から派生した5ドアワゴン「シビック シャトル」(1983-87-96年)で使われたもの。今回のフィット シャトルは、いわば15年ぶりのシャトル復活になる。元々は言うまでもなく1981年に初めて打ち上げられた米国NASAの宇宙船スペースシャトルに因んだもの。本家シャトルが退役した年に、ホンダのシャトルが復活したことになる。

 

ホンダ シビック シャトル 5ドア(1987~96年)
(photo:Honda)

シビックの背を高くして、グラスエリアだけを大きくしたようなシビック シャトルのスタイルには独特の愛嬌があり、パッケージングにも優れていた。また当時のホンダでは数少ない4WDモデルも設定され、当時のホンダにとっては貴重なRV的ファミリカーでもあった。

なおシビック シャトルの前身は、2代目「スーパー」シビックベースの「シビック カントリー」、後継は6代目「ミラクル」シビック(EK型)ベースの「オルティア」と言うことができる。

価格帯&グレード展開

純ガソリンは161万円~、ハイブリッドは181万円~。実質11万~12万円でシャトルになる


ボディカラーは全9色。ハイブリッド専用色のグリーンオパールメタリック(写真)は10月から鈴鹿で本格生産が始まる

パワートレインは1.5リッター直4(120ps・14.8kgm)の純ガソリン車と1.3リッター直4(120ps・14.8kgm)+モーター(14ps・8.0kgm)】 のハイブリッド車の2種類。純ガソリンの1.3リッターのフィットは123万円から買えるが、1.5リッターのシャトルはそれより38万円高い161万円からスタートする。

ただし1.5リッター同士で比べれば11万2000円高いだけで、ハイブリッドの方も12万円高いだけの181万円からだ。積載性、質感、装備の差を考えると、値段差はあってないようなもので、購入する場合は「コンパクトさを取るか、大容量の積載スペースを取るか」で選ぶことになる。とはいえ、お買い得感があるのは、やはりシャトルの方だ。

 

今回の試乗車。ボディカラーは一番人気のプレミアムホワイト・パール(3万1500円高)。

■15C  161万円(CVT・FF)/178万5600円(5AT・4WD)
■15X  165万円(CVT・FF)/182万5600円(5AT・4WD)

■ハイブリッド-C  181万円 ※クルーズコントロールやテレスコを省略
■ハイブリッド   185万円
■ハイブリッド スマートセレクション 193万5000円  ※今回の試乗車
 ※ディスチャージヘッドライト、スマートキー等を標準装備
■ハイブリッド ナビプレミアムセレクション  233万円(CVT・FF)
 ※HDDインターナビ+リンクアップフリー、アルミホイール等を標準装備

パッケージング&スタイル

主にリアオーバーハングを延長。フロント部は北米フィット譲り


ハイブリッドにはフィット同様、青味がかったライトレンズ類が使われる

ボディサイズは純ガソリン車もハイブリッド車も共通で、全長4410mm×全幅1695mm×全高1540mm(ガソリン車の4WDは25mm高い)。フィットより全長は510mm長いが、ホイールベースは2500mmのままで、フロントオーバーハングが180mm、リアオーバーハングが330mm伸びている。フロントが延長されたのは、伸びたリアとの見た目のバランスを取るため。フロントノーズは、北米向けフィットのバンパー形状、ボンネット、フロントフェンダー、ヘッドライトユニットが流用されている。つまり外板でフィットと同じパーツは前後ドアパネルのみだ。

 

全高はフィット+15mmほどで、FF車は一般的な立体駐車場に入る1550mm未満にかろうじて抑まっている

昨年まで販売されていたエアウェイブとの比較では、全長で60mm、全高で35mm増しているだけで似たようなサイズ。またデザイン的には3角形のCピラーが特徴的だが、ここも意図的なのか、たまたまなのか、ウェイブ(波)形状だったエアウェイブを思い出させる。スタイリング自体はよくまとまっており、スペースシャトル的というか、サンダーバード2号的というか、独特のカッコ良さがある。

 

インテリア&ラゲッジスペース

基本骨格はフィットだが、上質感は大幅にアップ


内装カラーはブラック×ブラウン(試乗車)、ベージュの2種類

インパネ骨格や乗員空間はフィット/フィット ハイブリッドとほぼ同じだが、シャトルの方が上級モデルになるため、インパネの表面仕上げを変えたり、メッキパーツを奢ったりして、上質感は価格差以上に高まっている。このあたりは現行フィットユーザーが見ると一目瞭然だろう。

 

ソフトバンクの3Gを新採用したHonda HDDインターナビシステム+リンクアップフリー
(photo:Honda)

なお今回のシャトルから、HDDインターナビの無料データ通信サービス「リンクアップフリー」がハイブリッド車だけでなく純ガソリン車にも適用されることになった。データ通信用の端末も今回からソフトバンクの3G回線方式に変更され、より高速かつ広いエリアでのデータ通信が可能になったという。

シートは質感も安全性もグレードアップ


フィットベースゆえ、燃料タンクが前席の下にある「センタータンクレイアウト」を踏襲

シートも一見して質感が高い。エントリーグレード(15CおよびハイブリッドC)はスウェード調ファブリックだが、それ以外の主力グレードには、シートセンター部にスウェード調素材を使い、サイド部にセーレン株式会社と共同開発した合成皮革「グランスムース」を採用。フィットよりワンクラス上の作りになっている。

またシート骨格もフィット自体がすでにアコードクラス並みのしっかりしたものになっているが、シャトルではむち打ち防止用の新タイプにバージョンアップされている。

 

ボディが大きくなった分、相対的にリアドア開口部は小さく感じられる

後席の空間はおおむねフィット同様。ただ、シートの背もたれ角度はフィットでは23度と29度が選べたが、シャトルでは25度に固定され、基準位置でのゆったり感が少し増した感じはある。また中央席のヘッドレストと3点式シートベルトがシャトルでは全車標準になった(フィットの場合、中央席のヘッドレストはなく、シートベルトも2点式)。

 

フィット自慢のチップアップモード。小径・折り畳み自転車なら二つ折りするだけで入りそう

リアシートの座面を跳ね上げて、室内高1290mm(スカイルーフは1265mm)の積載スペースを生み出せる芸当は、まさにフィット譲りの部分。センタータンクレイアウトだからこそ出来ることだ。

荷室容量はフィットの1.4~1.5倍


後席使用時の荷室奥行きは1020mm。敷居が低く、ベンチのように自然に座れる

シャトル(ガソリン車)の荷室容量は、フィットの384リッターから496リッターへと1.3倍に増量。また床下収納スペースは、フィットの38リッターから94リッター(いずれもFF車の場合)に増え、床の上下を合わせたトータルでは約1.4倍(422→590リッター)となっている。

もっと差が付いたのがハイブリッドの方で、フィット ハイブリッドは341リッターだったが、シャトル ハイブリッドはガソリン車と同じ496リッターとなり、1.4倍以上に増量。さらに床下収納は3角表示板が入る程度の3リッターから21リッターに大幅アップし、トータルで約1.5倍(344→517リッター)に増量している。

 

後席を畳めば奥行きは1810mm以上になる

リアシートの背もたれを前に畳めば、奥行きが181センチ(助手席スライド最前端時は200センチ)までフラットに広がるため、大人が大の字になって寝ることが出来る。また荷室内で過ごす場合、体育座りだと落ち着かないものだが、シャトルには床下収納スペースがあるため、掘りごたつのように座れるのが嬉しい。

 

フィット同様スペアタイヤの代わりに、パンク修理キットを搭載。ジャッキはフィットと異なり、床下収納ボックスのバンパー側に収納

荷室高は奥の方で約1メートルあり、さらにガソリン車なら床下収納スペースの深さを加えて一部が1200mmになるので、車輪を付けたままのスポーツ自転車を立てて積むことも出来る。全高1540mm程度で、こんなことが出来るクルマは他にない。

基本性能&ドライブフィール

フィットハイブリッドより静かで、しっとり感も増した


パワートレインは、インサイトやフィット ハイブリッド等と基本的に同じ

試乗したのはハイブリッド車。パワートレインはインサイトやフィット ハイブリッドと基本的に同じで、すなわち1.3リッター直4・SOHC「i-VTEC」エンジン、薄型モーター、CVT(無段変速機)などから成る「IMAハイブリッド」になる。

車重はフィットより、ちょうど大人一人分の70kg増えて1200kg(試乗車はナビ付で1210kg)だが、走らせた感じは、フィット ハイブリッドと大差はない。むしろ、車格がフィットより上の分、静粛性については遮音・吸音材がルーフ、フロア、ピラー内、リアホイールハウス内側などに追加されており、フィット ハイブリッドより静かだ。「アコードクラスに匹敵する静粛性や乗り心地を達成」と広報資料にはあるが、特にハイブリッド車はエンジン音やロードノイズがガソリン車より気になりやすいので、念を入れたのだろう。また重量が増したせいか、リセッティングしたシャシーのせいか、走行中のしっとり感もフィット ハイブリッドより増したように思える。

 

また燃費優先モードとする「ECON」オンで走っても、トルク感は十分。この1.3リッターのIMAハイブリッドは、エンジンとモーターで計17.0kgmもの最大トルクをわずか1000-1500回転で生むから、さもありなん。ほとんどの場合、ECONオフにする必要を感じない。

なお、この「IMAハイブリッド」の場合、エンジンとモーターは常に一体で回っているため、例え巡航時や減速時に燃料噴射や点火・爆発を止めている時でも、ピストンやクランクは運動し続けている。つまりモーターによるアシストを除けば、ハイブリッド車というより「よくアイリングストップしてくれるガソリン車」だ。ただシャトルの場合は静粛性が高いため、メーターを注視していないとエンジンが始動しているかどうか分からないことの方が多い。その意味では、最近のホンダ製ハイブリッド車の中で、一番「ハイブリッド感」は強い。

VSAが標準装備になって安心感が増した


タイヤは専用開発のミシュラン・エナジー。アルミホイールは最上級グレードのみ標準で、試乗車は鉄ホイール+キャップ

車検証数値による重量配分は、フィット ハイブリッドが前710kg+後420kg(63:37)だが、シャトル ハイブリッド(試乗車)では前720kg+後490kg(59:41)と荷重が一気にリアに移動。FF車の場合、駆動・操舵を行う前輪への荷重が減るのはメリットばかりではないが、実際に走らせた感じはというと、これが別に悪くない。前輪、後輪ともにフィット ハイブリッドよりも接地感がしっかりあり、それでいてステアリングを切ればホンダ車らしく、スゥーとノーズがインに入ってくれる。

しかもシャトルでいいのは、ガソリン車も含めて、いわゆる横滑り防止装置のVSAが標準装備されたこと。昨年末に試乗したフィット ハイブリッドはVSAが未装着(最上級グレード以外はオプション)だったため、ステアリング操作(+ブレーキ操作)によってはリアが覚束ない動きを見せたが、VSA標準のシャトルなら最後の最後でギィィィィとブレーキ制御が入ってくれるし、そこまで行かない領域でも安心感がぜんぜん違う。

 

ちなみにシャトル ハイブリッドのタイヤは専用開発品で、フィット ハイブリッドの175/65R15(以前試乗したものはダンロップのエナセーブ)よりワイドな185/60R15(ミシュラン エナジー・セイバー)。指定空気圧は一般的な前230kPa(2.3kg)、後210kPa(2.1kg)だ。このタイヤ、フィット ハイブリッドに転用してもいいのでは。

試乗燃費はフィットHVと同等の16.2~23.2km/L


IMAハイブリッドでも、低速巡航中ならモーターだけで走行する場合がある。写真はその状態で、瞬間燃費計(中央液晶バーグラフ)が振り切れているのに(燃料噴射が止まっている)、モーターのアシストは効いている(右端メーター)。この状態でもエンジンはモーターと一体で回っているので、エンジン回転計が0を指すことはない

今回は約190kmをほぼECONをオンで試乗。参考までに試乗燃費はいつもの一般道と高速道路を走った区間(約90km)が16.2km/L。通勤時間帯の一般道(昼間)を普通に走った区間(約30km)が22.5km/L、同じく一般道(夜間)を無駄な加速を控えて走った区間(約40km)が23.2km/Lだった。

10・15モード燃費は、フィット ハイブリッドと同じ30km/Lで、JC08モード燃費も同じ26.0km/L(試乗車を含む主力グレードは25.0km/L)。また、昨年フィット ハイブリッドに試乗した時の実燃費は、同じ90km区間が15.3km/L、加速を控えて走った30km区間が約22km/Lで、やはり今回のシャトルと似たような結果だった。

車重が70kgも増えたのに、モード燃費が落ちないということはあり得ない話で、実のところシャトル ハイブリッドでは、フィット ハイブリッドと同等の燃費を達成するべく、新たに燃費向上策が実施されている。具体的にはエンジンのフリクションロス低減、フロントブレーキの回転抵抗の低減(ディスクパッドにリターンスプリングを追加して引きずりを防止)、モーター走行時の燃料ポンプと点火システムの作動停止によるエネルギーロスの低減などだ。フィット ハイブリッドもそのうち改良されるかも。

ここがイイ

お買い得感、VSAなど安全装備の充実、リンクアップフリー

フィットがちょっと心配になるほど、お買い得感があること。ハイブリッド同士だと12万円しか変わらないのに、荷室は1.5倍になるし、ボディの前後が伸びて車格は上がるし、内装の質感は上がるし、安全装備は充実するし(むち打ち防止フロントシート、後席中央席ヘッドレスト&3点式シートベルト、VSAの標準装備化など)、ハイブリッドシステムの制御は改良されるしと、かなりのてんこ盛り。さらに走りや燃費なども、フィット ハイブリッドと比べてすべてが良くなっている。つまりモデルライフの後半に入ったフィット(ハッチバック)をバックアップする形でフィットとしての台数を稼ぎつつ、低価格でプリウスαに対抗するというのがこのクルマに与えられたミッションだろう。サイズが日本ではちょうどいいので、うまくいきそうだ。

 

特にVSAの標準装備化(FF車)は大きい。フィットでは基本的にオプションだったものを、シャトルでほぼ標準化したのは、車重や重量配分が変化した結果、少なくともFF車にはVSAが必須という判断になったのだろう。ではあるが、フィット ハイブリッドとの価格差が小さいことを考えると、シャトルにはVSAがほとんどタダで付くような感じだ。逆に言えば、フィット ハイブリッドにも標準装備しておけば良かったのに、とも思える。

リンクアップフリーは、まさにフリーで通信料無料。今後ホンダでは、すべてのモデルに用意されるらしい。VSAも来年から全車装着だろうし、ハイブリッド、VSA、無料データ通信と、この一連の動きは確かにクルマが進化していると実感させられる。

ここがダメ

高価なインターナビ。細かいところで、座面角度調整の不備、安っぽいホイールキャップ、坂道発進で少し落ちる


ソフトバンクの3Gを新採用したHonda HDDインターナビシステム
(photo:Honda)

震災時にGoogleマップに生きた道路情報を提供するなど、その名を知らしめたホンダのインターナビだが、200万円クラスのクルマでオプション価格の27万9300円は高い。メモリーナビの価格下落が底付きし、Googleマップが使えるスマートフォンが急激に普及する今、この手のメーカー純正ナビの有り難みは急速に薄れているので、何か画期的な対策が必要。せっかく通信費はタダなのだから。

ちなみにインターナビだが、以前はソフトバンク系のウィルコムを使っていたわけで、今回ソフトバンクになったのは自然の流れ。であればウィルコムの「誰とでも0円」の電話サービスとかを標準搭載したりできなかっただろうか。ハイブリッド車で、しかも通話も通信もタダのクルマって、あったらこれは画期的。

シートのスライド幅は大きいし、ステアリングにはチルト&テレスコも付くので、ポジションはぴたりと決まる、はずなのだが、座面角度調整が欲しいと試乗中ずっと思っていた。好みの問題はあると思うが、一考いただきたい。それからホイールの樹脂カバーが妙に安っぽく感じたのだが、いかがだろう。ついアルミホイールか何かに交換したくなる。初代シビック シャトルの鉄ホイール+キャップは一見アルミに見えるデザインで、換えようとは思わせないものだったが。

坂道発進では一瞬落ちることがあった。IMAハイブリッドにはトルコンがなく、電子制御クラッチとモーターで発進するはずだが、そのあたりの制御の問題か。

総合評価

「シャトル」の感動がある


初代ホンダ シビック シャトル(1983年)
(photo:Honda)

日本市場では今やフィットがかつてのシビックの地位を占めているので、シビック シャトルならぬフィット シャトル、これはありでしょう。シビック シャトル同様の、大衆車でマルチパーパスというコンセプトは、一台で全部を済ませたい人にはジャストフィット。なんといっても日本の交通事情にあったボディサイズがうれしい。今や貴重な5ナンバー幅で、全高も一般的なタワーパーキングに入る。でありながら、この室内の広さ。こういう合理的なクルマこそが、いわゆる日本車らしい日本車というもの。プリウスαが北米を強く意識して作られているのに比べて、とにかく日本チャチャチャな作りであることには好感が持てる。その昔、初代シビック シャトルを友人が持っていたが、そのパッケージングの素晴らしさには当時感嘆したもの。今回のフィット シャトルにも同様の感動がある。なんだかんだ言って、ホンダはたいしたものだ。

 

とはいえ、このくらいのサイズでパッケージングの素晴らしいクルマとしてはフリードもあるわけで、全高を気にしなければ、より広いフリードの方が、やはり最高にちょうどいい。その上でこのクルマを論じるなら、まずはステーションワゴンであることをどう考えるか、だろう。セダンベースのワゴンではなくハッチバックベースのワゴンということでは、ゴルフワゴン同様の成り立ちだが、確かに走りはミニバン的なフリードとは比較にならないほどしっかりしている(これはタイヤなどもかなり効いていると思うが)。

ただ正直、ゴルフワゴンもそうだが、ハッチバックベースのワゴンは中途半端な背の高さ、間延び感が生じやすく、その点ではむしろフリードの方がまとまっていて、かっこいいと思う。ステーションワゴンならセダンベースの低いスタイルに哀愁を感じるのは歳を取りすぎてしまったからか・・・・・・。これでシンプルな道具感でもあればまた違う感想を持つかもしれないが、残念ながらそれはあまりない。

最新のホンダハイブリッドが最良のホンダハイブリッド

以前、フィット ハイブリッドの試乗記では、「日本人にとって最も理想的なサイズのファミリーカーだ。いわゆるかつての大衆車(の大きさ)なのだから。4人以下の平均的な家庭であれば、もうこれ一台ですべてまかなえる」と書いたが、シャトルだったら平均的じゃない家庭、あるいは個人でも、これですべてまかなえるだろう。スタイリングはともかくとして、車中泊をしたい人、釣りやモータースポーツなどのアクティブなレジャーをする人たちにもきっと喜ばれるはず。そんなクルマがハイブリッドになっているわけで、これぞ日本車極まったり、というところ。来年の義務化に先駆けてVSAも標準装備となり、Sモードならワインディングも結構楽しく走れる。まさにマルチパーパス。

 

フィット ハイブリッドの時は、10年10万kmで考えるとハイブリッドのメリットは少ないと書いたが、多くの人は5年5万kmくらいまでには手放すだろうから、その場合ハイブリッド分の20万円は、人気車ということで、多分下取り価格に反映すると思う。その意味で実質的な価格差はないようなものだから、これはもう迷わずハイブリッドを買うべきだろう。フリードにはハイブリッドはないわけだし、このクルマのメリットはまさにそこにある。常にECONで走っても十分と思える力感があるのは、新しくなるたびに改良がどんどん進んでいる証だろう。最新のホンダハイブリッドが最良のホンダハイブリッドだ。

 

しかしそこが難しいところでもある。フィット ハイブリッドは昨年10月に出ているわけで、こうして短期間にどんどんよくなっちゃうのは、実に家電的。こうなると、ちょっと前のモデルは微妙な立ち位置になってしまう。世の中がどんどん消費する時代ならまだしも、いいモノをじっくり長く使いたいという傾向がある中では、ちょっと微妙な問題かも。フィットハイブリッドの時に「売れるクルマが偏っちゃう」と書いたが、またまた今度はシャトルにも同じことを書かねばならない。平均的に売れないより、突出して売れるクルマが出てくる方がメーカーにとってはいいに違いないとは思うのだが。

試乗車スペック
ホンダ フィット シャトル ハイブリッド スマートセレクション
(1.3リッター直4+モーター・CVT・193万5000円)

●初年度登録:2011年6月●形式:DAA-GP2
●全長4410mm×全幅1695mm×全高1540mm
●ホイールベース:2500mm ●最小回転半径:5.1m
●車重(車検証記載値):1210kg(720+490) ※HDDインターナビ装着により10kg増。標準仕様は1200kg
●乗車定員:5名

●エンジン型式:LDA
●1339cc・直列4気筒SOHC・2バルブ・横置
●ボア×ストローク:73.0×80.0mm ●圧縮比:10.8
●88ps(65kW)/5800rpm、12.3kgm (121Nm)/4500rpm
●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/40L

●モーター形式:MF6
●交流同期電動機(薄型DCブラシレスモーター)
●定格電圧:100V
●14ps(10kW)/1500rpm、8.0kgm(78Nm)/1000rpm ※エンジン始動時:9.4kgm(92Nm)/500rpm
●バッテリー:ニッケル水素電池

●システム最大出力:98ps/5800rpm
●システム最大トルク:17.0kgm/1000-1500rpm
●10・15モード燃費:30.0km/L ●JC08モード燃費:25.0km/L

●駆動方式:前輪駆動(FF)
●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット+コイル/後 トーションビーム+コイル
●タイヤ:185/60R15 (Michelin Energy Saver)
●試乗車価格:229万5780円 ※含むオプション:Honda HDDインターナビ+リンクアップフリー+ETC 27万9300円、コンフォートビューパッケージ 3万1500円、フロアカーペット 1万8480円、パール塗装 3万1500円
●ボディカラー:プレミアムホワイト・パール
●試乗距離:200km ●試乗日:2011年8月
●車両協力:株式会社ホンダカーズ東海

 
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