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スバル フォレスター 2.0XS新車試乗記(第364回)

Subaru Forester 2.0XS

(2.0リッター・4AT・217万3500円)

  

2005年05月07日

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キャラクター&開発コンセプト

2代目がマイナーチェンジ。デザイン変更など細々と改良

乗用車とSUVの中間を行く「クロスオーバーSUV」がフォレスターだ。インプレッサの車高を上げ、角張ったワゴンボディを載せるという成り立ちは、1997年登場の初代から2002年の2代目まで変わらない。05年1月に発売された今回のモデルは、その2代目をマイナーチェンジしたものだ。

目立つ変更点はガラリと雰囲気が変わったフロントフェイス。インテリアの質感や使い勝手も向上し、ホンダCR-Vや日産エクストレイルといったライバル車を牽制する。メカニズム面では自然吸気エンジンに等長等爆エキゾーストシステムを採用したのがニュースだ。

世界で毎月1万人がオーナーに

レガシィ、インプレッサに続く第3のスバル中核車であるフォレスターの世界累計販売台数はこの7年間でおよそ90万台。つまり月間1万台ペースで売れているわけで、広告のコピーには「世界70ヶ国で毎月10,000人のフォレスター・オーナーが生まれている。次はあなたが。」とある。フォレスターの半数以上は北米で売れており、特にAWDがモノを言う降雪地帯の米国北部一帯がスバルの支持基盤だ。日本国内の販売目標はシリーズ全体で月間2000台と多くはない。

価格帯&グレード展開

主力は200~240万円台

基本的には4グレードで、標準モデルの「2.0X」(197万4000円~)、主力の「2.0XS」(210万円~)、人気モデルの「L.L.Bean EDITION」(226万8000円~)、以上は自然吸気の2リッターモデル。これにターボの「2.0XT」(235万2000円~)が加わる。全車に5MTを用意するのがスバルらしい。

さらにこの4月には最強モデル「STI Version」(311万8500円)も新デザインで登場した。こちらは登場から間もないこともあり、2.5リッターターボ(265ps、38.5kgm)+6MTのスペックに大幅な変更はない。

パッケージング&スタイル

ヘッドランプでイメチェン

ボディサイズは全長4485mm×全幅1735mm×全高1590mm。新バンパーで少し長くなったが、それでもまだまだコンパクトだ。今回のマイチェンでヘッドランプは新デザインの4灯型に変更され、ライトの上縁には最近流行の?白い眉が付いてイメージをガラリと変更。さらにドアハンドルをメッキ処理したり、リアには従来の「SUBARU」の文字に代えて六連星のバッジを付けるなど細かく手が入っている。

質感と工夫が備わるインテリア

もともと質感の高かったインテリアに大きな変更はない。センターコンソールのメタル調メッキもイイ感じで、ベージュ内装に合っている。

ユーティリティ関係の装備もツボを押さえたもの。大げさに回転しながら飛び出してくるセンターコンソール内蔵のドリンクホルダーが面白いし、サングラスホルダーがダブルで付くなど、いたるところに工夫がある。生活の供として使いやすそう。

ちゃんと座れる後席。使いやすい荷室

2525mmとホイールベースは短いが、後席は高いヒップポイントと天井でちゃんと座れる。シートも立派で、ここに座る人の満足度は高いだろう(もちろん2人までだが)。従来からあるスライド式のリアシートリクライニング機構(リクライニングに連動して、座面と背もたれの腰部分が連動して動く)が備わる。全体に作り込みがていねいだ。

荷室は冷静に見るとストラットの張り出しは大きいし、床も高いし(結果的に天地は狭くなる)そう広くはない。しかし、樹脂で覆われた床やスクエアな空間は使いやすそうだし、タオルを掛けられるハンガーや荷物固定用のフック、シガーソケットや床下収納もある。何でもいいから荷物がたくさん載ればいい、という商用的な荷室ではなく、趣味や遊びの道具がきっちり積めればいい、という空間だ。

基本性能&ドライブフィール

スムーズで軽快なシングルカム

試乗したのは2リッター自然吸気エンジンを積む2.0XS。NA車のエンジンは1種類で、SOHCの16バルブでパワーは140psと19.0kg-mという、スペック的には地味なユニットだ。

ところがこのエンジンがなかなかいい。ドドドドとボクサーサウンドを響かせながらトルキーに加速する、ということはないし、等長等爆になってからのレガシィやインプレッサのターボのようにジャーンというサウンドで爆発的に加速もしないが、水平対向らしくスムーズに回るし、変速もCVTのように滑らか。シュワーンと爽快かつ軽快に加速する。このあたりはNAエンジンにも導入された等長等爆エキゾーストシステムのおかげだろう。車重が1390kgもあるので速くはないが、ゆっくり走っても飛ばしても気持ちいい。

コーナーでも軽快

ストロークの長いサスペンションは路面の凹凸を飲み込むように吸収するし、フラット感も高いので乗り心地はとてもいい。基本的な成り立ちが「車高の高いインプレッサ」だけに、ワインディングでも軽快だ。昨年乗った改良前のSTIバージョンのコーナリングスピードはすごかったが、今回のように限界の低い普及モデルだと逆に振り回せて楽しい。STIバージョンより明らかにスローなステアリングをエイヤッと切り込みながら、アンダーステアの強弱を自在に調整できる。パワーが少ないせいか、電子制御AWDの効果ははっきり体感できないが、唐突な挙動は出ないので安心して走りが楽しめる。

一般的な用途にはNAで十分

スキーやロングドライブなど高速走行も多そうなフォレスターだが、100km/h巡航は2300~2400回転くらいで速度を上げていくとAピラー周辺で起こるヒューという風切り音が気になった。エンジンの振動が小さい分だけ静粛性はこのクラスでは高い方だと思うが、ロードノイズはそれなりに高まる。

パワー的には、人と荷物を満載して急勾配を上るならターボだろうが、一般的にはこのNAエンジンで十分だろう。10・15モード燃費では、NAの4AT(13.0km/L)とターボの4AT(13.0km/L)で全く同じだが、実際にはアクセルの踏み方でかなりの差が出るはず。参考までに書くと今回の試乗では一般道を240kmほど乗って30リッターを消費し、約8km/Lだった。

ここがイイ

無理矢理つけたような先代の台形グリル(3年前に指摘した)はなくなり、顔付きはプレスラインに沿ったグリルの自然な造形となった。日本では先代の無骨さ(初代から続くもの)がいいというファンが多いため、しばらくはこのルックスに抵抗があると思うが、圧倒的に良くなったと言える。スバルはマイナーチェンジで混乱することもままあるが、今回は正解だろう。ミラー内蔵のウインカー、リアの造形のシンプルさ、フェンダーラインの薄さなど明らかに都会派志向に変化した。最大市場である北米の嗜好に合わせたものとも言える。

サイズとパッケージングは相変わらず機能的でいい。SUVを日本で使うなら、あるいは北米でもお買い物カーとして使うなら、このサイズはベストだろう。インテリアの丁寧な作り込みも一段と良くなっている。安っぽさもない。サンバイザー裏のペンホルダーも健在で、カードなどの小物置き場には細やかな配慮がある。

NAのパワー感は自然で力強く、ほとんど不足を感じない(絶対的にはローパワーだが、それを感じさせないアクセルペダルとの連動感がお見事)。M+Sタイヤなのにハンドリングは楽しく、軽くワインディングで遊べるのもいい。スバルAWDは軽快感をロスすることなく四輪を制御する安全のデバイスとして機能している。VDCは上級グレードのみのオプションだが、ひとまずなくてもいい、とすら思わせる。

ここがダメ

シートは撥水加工がなされ、リフターもあって高さの調整もきくのだが、小柄だとどうもしっくりこないのは残念。大柄なアメリカ人向け?なのかもしれないが、肝心な所だ。残念。

ターボと同じダイレクト制御式ATが採用されてはいるが、フォレスターにもそろそろ5ATが欲しい。特にスポーツシフトが新採用された以上、4速では意味なし。エンジンは下の方では力強さが感じられるが、上の方は軽快とは言えない。そういう意味では4速でもいいのかもしれないが。

総合評価

初代フォレスターが登場して早8年。初代の月販目標が3500台で、今が2000台。当時はRAV4とCR-V、今はエクストレイルとCR-Vを主なライバルとするわけだが、これらのクルマが所属する市場は結局拡大することなく推移している。しかし、その中でフォレスターが確固たる地位を築いているのは間違いない。ニッチな市場ゆえ、ニッチなメーカー(失礼)が健闘するというのはポルシェにも当てはまるが、共に水平対向エンジンにこだわるゆえに熱狂的なファンを維持し続けているわけだ。

日本でフォレスターを欲しがる人は、おそらくフォレスターが欲しいのでなく、スバルが欲しい人、スバリストだろう。スバル車(もちろん水平対向エンジン搭載車)の中で、インプレッサでは小さい(グレード感が低い)、レガシィでは大きい(数も多すぎる)という選択の結果がフォレスターに落ち着くような気がする。SUVだからというより、スバルの中級車を買うという意識だ。マイチェンしたフォレスターもオンロード指向がさらに強まっているし、昨年から投入されて先頃マイナーチェンジ版も登場したSTIなどはまさにオンロード車。もちろん雪の降る地方にとってはオンロードでもAWDは必需品だ。

そんな意味で、今回のNAが不満ない性能を持ったこと、都会的なルックスを身につけたことは、商品性の大幅な向上と言える。登場から8年たったフォレスターは、日本において、もはやSUVというより、少し背の高い5ドアハッチバックだ。まもなくローダウン版も登場するはずで、ますますその傾向は高まっていくはず。さらにマイチェン後のこのルックスならスバリスト以外の人気を呼ぶ可能性も高い。レガシィほどではないが普通の人がディーラーへ足を運ぶだけの力を今回のマイチェンでは持ったと思うし、価格的にも競争力が十分にある。

フォレスターには若者向けというレッテルは幸いにも貼られていないし、SUVルックゆえ、初心者から女性、年配者までが乗れるというのも強いところ。直接のライバル車ばかりでなくエアトレック、HR-Vなど小型SUVが皆苦戦する中で、フォレスターはこのクラスを独走する予感がする。

試乗車スペック
スバル フォレスター 2.0XS
(2.0リッター・4AT・217万3500円)

●形式:CBA-SG5●全長4485mm×全幅1735mm×全高1590mm●ホイールベース:2525mm●車重(車検証記載値):1390kg (F:810+R:580)●乗車定員:5名 ●エンジン型式:EJ20●1994cc・水平対向4気筒SOHC・縦置●140ps(103kW)/5600rpm、19.0kgm (186Nm)/4400rpm●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/50L●10・15モード燃費:13.0km/L●駆動方式:電子制御4WD●タイヤ:215/55R17(YOKOHAMA GEOLANDER G900 M+S)●価格:217万3500円(試乗車:229万9500円 ※オプション:HIDロービームランプ<光軸調整スイッチ付>、スポーティパッケージ 、クリアビューパック<フロントワイパーデアイサー、ヒーテッドミラー、リアフォグランプ> 計12万5500円)●試乗距離:約240km ●車両協力:名古屋スバル自動車株式会社

公式サイトhttp://www.subaru.co.jp/forester/index.html

 
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