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スバル フォレスター 2.0XS プラチナレザーセレクション新車試乗記(第495回)

Subaru Forester 2.0XS

(2.0L水平対向4気筒・4AT・260万9250円)

3代目「森の人」は
オンもオフもさらりとこなす
全方向に「いい人」だった!

2008年01月25日

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キャラクター&開発コンセプト

3代目インプレッサと共に、フォレスターも3代目へ

2007年12月25日に発売された新型スバル・フォレスターは、1997年発売の初代、2002年の2代目に次ぐ3代目。インプレッサがベースのクロスオーバーSUVという点は、今回の新型も同じだ。商品コンセプトが「ベスト・バランス・フォー・アクティブ・ライフ(Best Balance for Active Life)」とあるように、日常生活やレジャーでの使いやすさを重視している。

国内の販売目標はインプレッサ(月間2500台)に迫る月間2000台で、初期の受注状況も好調なようだ。北米でもフォレスターは販売台数を伸ばしており、新型への期待は大きい。

「Forester A Go!」

広告コピー「フォレスター・ア・ゴー(Forester A Go!」は、1965年に英国で放映されたSF人形劇「サンダーバード」のパロディ。元々の文句はオープンニングテーマ冒頭で「5、4、3、2、1・・・」のカウントダウン後に流れる名セリフ「サンダーバーズ・アー・ゴー!(Thunderbirds Are Go !)」。この場合のgoは「(発射)準備が出来ている=ready」の意味で、フォレスターの go は意味や用法が異なるが、ここでは語感が優先されたようだ。

テレビCMの特殊効果は米国のデジタルドメイン社 http://www.digitaldomain.com/ が担当したもの。同社が手がけた大作は「アポロ13」(1995年)、「タイタニック」(1997年)などで、最近ではティム・バートン監督の「チャーリーとチョコレート工場」(2005年)がある。

富士重工業>スバル・フォレスターの新広告キャンペーン展開について

価格帯&グレード展開

全車AWDで、エンジンは2リッターNAと同ターボ

全車AWD(4WD)で、エンジンは水平対向4気筒2リッターDOHCの自然吸気(148ps、19.5kgm)と同ターボ(230ps、32.5kgm)の2種類。グレードは以下の3種類で、4ATと5MTが選べる。

■「2.0X」 (148ps) 5MT:199万5000円/4AT:204万7500円
■「2.0XS」(148ps) 5MT:215万2500円/4AT:220万5000円 ※オーディオ、アルミホイール標準 
■「2.0XT」(230ps) 5MT:252万円/4AT:257万2500円

試乗車は「2.0XS」のライトグレー内装&電動レザーシート仕様となる「2.0XS プラチナレザーセレクション」(260万9250円)。HIDヘッドランプ(ロービーム)、17インチホイール、大型サンルーフも標準装備する。

パッケージング&スタイル

洗練されたデザイン。ちょっと個性は薄まった

見た目は先代までの無骨さがなくなり、今風の洗練されたものになった。デザインコンセプトは「スーツの似合うモダンなSUV」。発表会場でも、スバル関係者があくまでポジティブな意味で「スバルらしくない」と評していたのは、やはり「売れそうなデザイン」という意味でもあるだろう。ただしフロントがアウトランダーに似てしまった点など、全体に新鮮味や個性は薄く、前後フェンダーアーチの「彫り」もユニークだが、ちょっと唐突に見えてしまう。試乗車はオプションの前後アンダーガード付き。

一回り大きく、高くなったが、このクラスでは平均的なサイズ

ボディサイズ(先代比)は全長4560(+75)×全幅1780(+45)×全高1675(+85)mmと一回り大きく、特に背が高くなった。現行ライバル車と比較すると、全長は短い方から、

■クロスロード(4285) < RAV4(4335) < CR-V(4520) < フォレスター(4560) <アウトランダー(4640)

全幅はスリムな方から、
■クロスロード(1755) < フォレスター(1780) <アウトランダー(1800) < RAV4(1815) < CR-V(1820)
となり、フォレスターの外寸は平均的と言える。

全高に関しては、フォレスターがライバル車に追いついた格好で横並びとなり、上記5台がすべて1670~1690mmの間に収まっている。

視界ヨシ、広々感ヨシ

インパネ部分は基本的に現行インプレッサと共通だが、着座位置(先代比+30mm)、視点、天井が高くなり、それに合わせてインパネ位置も上がっている。広々感は圧倒的に増しており、視界もたいへんいい。各ピラーが細く、後方視界も良好。タイト感の強い(スポーティな)インプレッサ、開放感のあるフォレスターという感じだ。中でも、試乗したライトグレー基調の「プラチナレザーセレクション」の内装は一際明るい印象。ベージュよりグレー系は汚れは目立ちにくいので、いい選択かもしれない。

座り心地は表皮によってけっこう印象が変わってくるものだが、少なくともこの電動レザーシートは申し分ない。座面には低反発クッションを採用。シート高は膝側とヒップ側で分けて調整できるし、上級グレードはステアリングにテレスコ(伸縮調整)付き。降雪地域に強いスバル車ゆえか、布シート車でもシートヒーターが選択できるのも嬉しい(HIDヘッドランプ等とセットオプション)。なお、ドアは従来のサッシュレスから、サッシュ付きとなっている。

光りモノや収納スペースも充実

試乗車にはドア足もとを高輝度LEDで照らす「パドルランプキット」(4万4100円)が付いていた。夜間、キーレス操作やドアの開閉に連動して光ってくれるのが、何となく未来的(サンダーバード風?)で楽しい。いわゆるスポコン系の光りモノと違って、走行中はもちろん点灯しない。室内も、ブルーのLED照明で要所要所が照らされるなど、なかなか芸が細かい。

フロントシート間のアームレスト兼センターコンソールは、ハンドバッグやノートパソコン、あるいはCD17枚分が入るという大容量。なお、トヨタ車でおなじみのキーレスアクセス&プッシュスタートはオプションで、試乗車は未装備。例の「SI-Drive(エスアイ・ドライブ)」もターボの「2.0XT」のみで、自然吸気エンジン車にはない。

後席にはリクライニング機構や反転式テーブル

全幅とホイールベース拡大(+90mm)の恩恵を受けた後席は、先代に比べて確実に広くなった。空間やシートの作りなど細々と理由は挙げられるが、とにかく居心地が良く、これで文句を言う人はまずいないだろう。多くのクルマではリクライニング操作用のレバーが体を捻らないと操作できない位置にあるが、フォレスターのそれは腰のあたりのクッションに埋め込まれたボタン状レバーで、とてもやりやすい。

リアシート中央の座面は、反転させることでリアテーブル&ドリンクホルダーになる。特にオペル車あたりが熱心に追求していたリムジン的な装備だが、こうしたシンプルな仕掛けのものはおそらく初めて。グローバルカーゆえ、中央席シートベルトはもちろん3点式。ただし前席サイドとカーテンエアバッグはオプションとなる。

ステーションワゴン以上の荷室

後席の折り畳みは6:4の分割可倒式で、今や珍しくないが荷室側からスイッチで倒せるようになっている。試乗車には、オプションのトレーマット、レール&フック、パーティション(セットで5万3550円)が付いていた。アルミ製のパーティション(仕切り)をレールに沿って前後にスライドさせ、レバー操作で固定出来る。

荷室高は863mmで、スポーツ自転車を「車輪を外さず、立てて」積むのは無理だが、容量や使い勝手がステーションワゴン以上なのは間違いない。サスペンションをダブルウイッシュボーンに換えたことで、ストラットの張り出しも格段に小さくなった。「荷物は積みたいが、いわゆるSUVやミニバンはボディが大き過ぎる」という人には、「ベストバランス」の荷室だろう。

基本性能&ドライブフィール

運転のしやすさはクラス随一か

試乗したのは2リッターNA(自然吸気)エンジン(148ps、19.5kgm)の「2.0XS」。水平対向らしいスムーズな出力特性もあって、新型だけに乗ると特別パワフルには感じられないだろうが、やや線の細かった先代フォレスター(140ps、19.0kgm)に比べれば、体感的には確実にパワーアップしている。先代の2リッターNAはSOHCだったが、新型のそれはレガシィが積む2リッターDOHC(AT:180ps/MT:190ps)をレギュラーガソリン仕様としたもので、スバルのDOHCでは初のレギュラー仕様。単なるデチューンではなく、ヘッドを新設計するなど大改変を受けているようだ。パワー感がどの回転域でも持続するため、4速ATのハンディを感じることはほとんどない。

とにかく視界が良く、ボディの四隅もつかみやすいので、このクラスとして随一と言っていいほど運転はしやすい。ボディが大きくなったにも関わらず、小回りもよく効く。タイヤ切れ角が増し、最小回転半径は先代比-0.1の5.3メートルだ。

スムーズ、安心、バランス良し

穏やかなエンジンに加えて、シャシーも和み系。現行(3代目)インプレッサ譲りのシャシー(前サスはマクファーソンストラット、後ろがサブフレーム付のダブルウイッシュボーン)は、インプレッサがそうだったように、基本的にはかなり余力があるもの。まず、SUVにありがちな小刻みな揺れがなく、乗り心地がたいへん良い。インプレッサよりサスストロークが増やされた一方、重心は上がり、タイヤは(上級車の225/55R17でも)マッド&スノーのオールシーズンタイプ。単純に限界は低くなったはずだが、そこは水平対向エンジン+AWDらしい重量バランスの良さとシャシーの余力が加わり、結果としては視点の高さを除いて、素のインプレッサと同じような感覚で走ることができる。

具体的にはコーナーでもグラッとくる感じがなく、ブレーキングでも姿勢変化がとても小さい。タイヤが流れ出せば全車標準のVDCが介入するが、仮にそうなっても唐突ではないので安心感がある。こうしたバランスの良さはスバルのAWDに共通するもので、雪道などを走る時には一般のドライバーでもはっきり体感できるはずだ。4WDシステムは、AT車がおなじみの電子制御多板クラッチ式(「アクティブ トルク スプリットAWD」)。MT車はビスカスLSD付センターデフを使った非電子制御式となる。

最低地上高は先代(200mm)より増えて215mm(ターボの「2.0XT」は225mm)と、本格SUVにも引けをとらない。現行の200系ランクルでさえ225mmだ。雪道や荒れた林道では、駆動方式よりはむしろ最低地上高の方が役に立つもの。大径タイヤによって自然に上がってしまったという事情もあるようだが、北米ではいざという時の走破性で評価されており、むしろ好まれるはずだ。

高速はひたすら穏やか。燃費も悪くない

高速道路ではひたすら穏やかに走り、直進安定性も高い。静粛性も高く、特にロードノイズが静かだ。アクセルを踏み込んでもパワーは湧き上がらないので、追越加速こそ苦手だが、シャシー的にはハイペースも可能だ。100km/h巡航は約2100~2200回転。4ATの割にハイギアードだが、ことさらパワー不足やキックダウン(とてもスムーズ)が気になることはなかった。非合法な速度で先を急がなければ、疲れ知らずで長距離ドライブできそう。

参考までに180km走っての試乗燃費は約8km/L前後というところ。高速巡航や街乗りセミエコランで9km/L前後のキープも可能だが、油断するとやっぱり8km/Lあたりまで下がってしまう。逆にアクセルを踏み込んでもパワフルに豹変する(それだけ燃料を噴射・消費する)タイプではないので、大きく落ち込むことはないと思われる。CVTを採用するライバル車を敵に回しながら、NAエンジン・AT車の10・15モード燃費は、同クラスの4WD車としては良好な13.8km/Lで、先に書いたようにレギュラーガソリン仕様。ターボの4ATはそれぞれ13.0km/L、プレミアムガソリン仕様となる。初代レガシィの印象から「燃費が良くない」という風評が残るスバル車だが、そろそろそれは過去の話とすべきだろう。

ここがイイ

スタイル良し、乗り味快適。運転しやすい、使いやすい。Aピラーが細く、左右手前に寄っているため得られた素晴らしいパノラマビュー。サンルーフも大型でよい(もうちょっと前に位置して欲しいが)。運転席からフードも見えるし、全幅が広くなっても運転しやすい。室内広く、バッグの入るコンソール、見やすい位置のナビ(G-BOOK対応)など使い勝手上々。VDCも全車標準装備だ。突出して悪いところは見あたらなく、すべてが平均点よりちょっと上という感じ。しかしその平均点が集まった結果、限りなく100点満点に近い仕上がりとなっている。いいクルマだ。

「外気温、平均燃費、デジタル時計」の3つをインパネ中央に常時表示するインフォメーションメーターは便利。特に平均燃費は、航続距離や瞬間燃費などと切り換えるタイプのものより、かえって使いやすいと思う。

ここがダメ

コストとの兼ね合いだと思うが、走りにせよ、燃費にせよ、さすがにこれ以上の良さを求めるとなると4ATではきつくなるだろう。現状ではあまり不満はないのだが。

例のフェンダーミラーは、かっこ悪いが意外によく見える。とはいえ、何とか無くして欲しいもの。無くすための装備をつけると車両価格に反映するはずで、それを避けたと思われるが、本当に悩ましい。

総合評価

不満点がことごとく潰された

乗っていてしみじみ「いいクルマだなあ」と思える日本車はそう多くはないが、新型フォレスターはその一台に入れていい。ほどほどの、しかし不足ないパワー、ガッシリしたボディ、乗り心地の良さ、視界の良さ、コーナーでの安定感。すべてがよくまとまっていて過不足がない。インプレッサにはまだGMの影が見え隠れしていたが、フォレスターにはもうそれは感じられない。系列を離れて心機一転、全社一丸で作った気合いが伝わってくるのだ。元々手ごろな価格を売りにしてきたフォレスターだが、VDC標準でこの価格は、なかなかにお買い得感もある。

2代目フォレスターのモーターデイズ試乗記を読み返してみると、視界がよく、リアの足下が広くなった、と新型と同じようなことが書いてある。ただ、燃費が悪い(ターボ)、走りがいまいち、スタイルが地味とも。3代目では視界よく、足下はさらに広がり、燃費改善、走り良し、スタイル良しとなったわけで、すべてが着実に、さらによくなっていることは間違いない。先代までで良かったサンバイザー裏のペンホルダーこそなくなっているが、センターコンソールの使い勝手の良さでカバーしているし。荷室もリアサスの変更によって張り出しが小さくなり、使いやすくなっている。不満点がことごとく潰されているのだ。

カッコはいい。残る課題は・・・

そのカッコよくなったスタイルは、都会的になった、垢抜けたと言い換えてもいい。人によっては個性が薄れた、ありがち、というネガティブな見方もできるだろう。しかし、フォレスターというクルマはモデルチェンジごとに都会的な、メジャーなクルマを目指してきた。先代マイナーチェンジ後の試乗記では「都会的なルックスを身につけた」とも書いている。元々は背の低いワゴン的なSUVゆえ、本質的には都会派なので、今回もその路線でいくことに無理はない。実際、ライバル車と比較しても低く構えたスタイリングは、確かに「スーツが似合うSUV」と言うにふさわしい。

スバルがこんなに洗練されてしまっていいのか、という一部スバリストの声もあるかもしれない。しかしトヨタグループの一員となった以上、スバルもそろそろもっと売れるようにならないと、その存在意義を失いかねない。その意味で、フォレスターは広く一般に売れるだけの仕上がりだ。先代以上の売れ行きは間違いないと思うし、ひょっとするとスバル久々のヒット車となるかも。しかし唯一惜しいと思うのが、グリルのデザイン。いい悪いというより、アイデンティティがまだグラグラしている。日本車も本気で独自グリルを作っていかないと、新興アジア諸国のクルマにいずれ抜かれてしまいかねない。スバルというメーカーがトヨタグループで地位を確立することと、日本車が世界で地位を確保することはかなり近いのでは。その意味でも、まずスバルこそが「誰もがスバルと分かるグリル」を確立して欲しいと思うのだ。

試乗車スペック
スバル フォレスター 2.0XS プラチナレザーセレクション
(2.0L水平対向4気筒・4AT・260万9250円)

●初年度登録:2008年1月●形式:DBA-SH5 ●全長4560mm×全幅1780mm×全高1675mm ●ホイールベース:2615mm ●最小回転半径:5.3m ●車重(車検証記載値):1490kg( 830+660 ) ※オプション装着車 ●乗車定員:5名 ●エンジン型式:EJ20 ● 1994cc・水平対向4気筒・DOHC・4バルブ・縦置 ● 148ps(109kW)/6000rpm、19.5kgm (191Nm)/3200rpm ●カム駆動:タイミングベルト ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/60L ●10・15モード燃費:13.8km/L ●駆動方式:電子制御フルタイム4WD ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット/後 ダブルウイッシュボーン ●タイヤ:225/55R17( Yokohama G95 M+S )●試乗車価格:285万4950円( 含むオプション:付属品セット<カーペットマット、サイドバイザー+トノカバーキット+スプラッシュボード等> 9万0300円、ユーティリティパッケージ<カーゴレール&フック+カーゴパーテーション+カーゴトレーマット> 5万3550円、アクティブパッケージ<フロントアンダーガード+パドルランプキット+リアアンダーガード> 10万1850円 )●試乗距離:約180km ●試乗日:2008年1月 ●車両協力:名古屋スバル自動車株式会社

スバル>フォレスター http://www.subaru.jp/forester/forester/index.html

 
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