Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > スマート フォーフォー

スマート フォーフォー新車試乗記(第778回)

smart forfour

(1.0L 直3ガソリン・6速DCT・209万円~)

小さきことは楽しきことかな。
メルセデス発のシティカー、
その第3世代に試乗!   

2016年01月22日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

新型フォーフォーもRRを採用


新型スマート フォーツー(右)とフォーフォー(2015 東京モーターショー)

ダイムラー社と言えば高級車ブランドのメルセデス・ベンツだが、そのコンパクトカーブランドが「スマート」だ。同社がスイスの時計メーカー「Swatch(スウォッチ)」と組んで開発し、1998年に発売した2人乗りマイクロコンパクトカー「スマート」は、当時大きな話題になった。

それから16年後の2014年10月、新型「スマート フォーツー」と「スマート フォーフォー」が欧州で発表された。第3世代のフォーツーは従来通り2人乗り。第2世代になるフォーフォーは、その名の通り4人乗りになる。日本では2015年10月に発表され、フォーツーは同月、フォーフォーは2016年1月に発売された。

仏ルノーとのジョイントベンチャー


新型スマート フォーフォー (2015 東京モーターショー)

スマートの開発・生産は、今回の新型からルノーとのジョイントベンチャーになった。フォーツーは従来同様、フランスにあるスマート専用のハンバッハ工場で生産されるが、フォーフォーは兄弟車の新型トゥインゴ(トゥインゴIII)と共に、ルノーのスロベニア工場で生産される。

 

新型ルノー トゥインゴ(2015 東京モーターショー、参考出品車)

なお、フォーツーはこれまでずっとRR(リアエンジン・後輪駆動)で、先代フォーフォー(生産期間は2004~2007年)はFF(前輪駆動)と、メカニズム面で共通点はなかったが、新型ではいずれも3気筒エンジンをリアに搭載するRR方式を採用。日本仕様のスマートには、ひとまず1.0Lの自然吸気エンジンが搭載される(海外には0.9Lターボもある)。

広告キャッチコピーは「メルセデス生まれの、シティ・コンパクト」。テレビCMに「嵐」の相葉雅紀を起用するなど、広告展開には力が入っている。

【スマート】1998年に登場。17年間で150万台以上を販売


初代スマート フォーツー

「スマート」は1998年に2人乗りシティカーとしてデビュー。日本では当初、並行輸入で販売され、2000年から正規輸入が始まった。「最小限のボディサイズで最大限の安全性、快適性、環境適合性を実現する」がコンセプト。全長は約2.5m、全幅は約1.5m。598cc(後に698ccに拡大)の直3ターボエンジンはリアに搭載された。2001年には軽自動車規格に収めた日本専用モデル「スマートK」も発売された。

 

2代目スマート フォーツー (2007~2015年)

2004年からは5人乗りの「フォーフォー(forfour)」が加わったため、2人乗りは「フォーツー(fortwo)」 と改名。フォーフォーは、プラットフォームを共有する三菱コルト(欧州向け)と共に、オランダのネッドカー工場で生産されたが、2007年には生産終了。一方でフォーツーは第2世代に進化し、北米でも正規販売された。

 

初代スマート フォーフォー(2004~2008年)

スマートの世界累計販売台数は、2015年10月までの約17年間で150万台以上。日本でも累計3万台以上が販売されたという。

なお、新型フォーフォーは新型トゥインゴと兄弟車になるが、ルノーと言えばかつてRR車を得意としたメーカーで、スマートより歴史が長い。ルノー4CV(日本では日野ルノーとしてノックダウン生産された)、ルノー8、アルピーヌのA110、A310、V6ターボ、A610といったモデルがRRだった。

 

価格帯&グレード展開

フォーツーは199万円~、フォーフォーは209万円~


スマート フォーフォー パッション

海外には0.9L 3気筒ターボ(90hp、135Nm)やカブリオもすでにあり、2人乗りスマートで初のMT(5速)もあるが、今回日本に導入されたフォーツー、フォーフォーは共に、自然吸気の1.0L 3気筒エンジンと6速DCTを搭載。全車右ハンドルで、オートエアコン、オートワイパー、オートライト、クルーズコントロールが標準装備になる。

また、今回からフォーツーは、限定車を年数回のペースで販売するという方法になった。第一弾として導入されたのは特別仕様車「エディション 1」で、ボディカラーはラバオレンジ、ミッドナイトブルーの2色。それぞれ限定220台。

 

スマート フォーフォー プライム

フォーフォーは、布シートの「パッション」と、本革シートやパノラミックルーフを標準装備した「プライム」の2グレード構成。ボディカラーは計7色(8通り)。

なお、2015年3月のジュネーブショーでは、高性能バージョンの「ブラバス」仕様が発表されている。市販はまだだが、こちらは0.9Lターボの高出力版(120ps)になる模様。

■smart fortwo edition 1
 199万円(ラバオレンジ)
 204万円(ミッドナイトブルー)

■smart forfour passion  209万円
※今回の試乗車

■smart forfour prime   229万円
※本革シート、パノラミックルーフを標準装備

 

パッケージング&スタイル

フォーフォーもRRを採用

超小型ボディでも、高強度スチール製の骨格「トリディオンセーフティセル」により、Sクラスと衝突しても乗員の生存空間を確保するという初代スマートの設計コンセプトが、今回も継承されたことをまずは喜びたい。

デザイン面で目立つ変化は、ボンネットの位置が高くなって、資料にあった表現を借りれば「先代のワンボックスから、1.5ボックスに変更」されたこと。フロントには立派なグリルが備わり、ヘッドライトも大きくなったが、未来感や異質感は薄れた印象。

全幅は125mmワイドに。最小回転半径は世界最小

ボディサイズはフォーツーの場合、全幅が125mm拡がり、これまでの軽自動車並みから、5ナンバーサイズに成長。フォーフォーについては、先代は三菱コルトとプラットフォームを共有していたため、パッケージング面でスマートらしさを打ち出せなかったが、新型はその鬱憤を晴らすように全長3.5mで4人乗りを成立させている。

 

特筆すべきは、最小回転半径がフォーツーで3.3m、フォーフォーで4.1mと、今どきの軽より圧倒的に小さいこと。特にフォーツーは先代(4.2m)と比べても0.9m小さく、スズキの2人乗り軽「ツイン」(2003~2005年)の3.6mより小さい。現在、市販されている乗用車では世界最小だという。

こんなことが可能になったのは、もともとフロントにエンジンがない上、今回はトレッドが増えたことで、スペースに余裕が生まれ、前輪の切れ角を増やせたから。RRのメリットを最大限引き出す設計になっている。

 

 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転
半径(m)
初代スマート (1998~2007) 2540~2550 1470(K)
1515
1575(ブラバス)
1550 1810 4.1~4.4
スズキ ツイン (2003~2005) 2735 1475 1450 1800 3.6
2代目スマート フォーツー (2007~2015) 2720~2750 1560
1580(ブラバス)
1540 1865 4.2
新型スマート フォーツー (2015~) 2755 1665 1545 1875 3.3
トヨタ iQ (2008~) 2985 1680 1500 2000 3.9
スズキ アルト (2014~) 3395 1475 1475~1500 2460 4.2~4.6
ダイハツ キャスト (2015~) 3395 1475 1600~1640 2455 4.7
新型スマート フォーフォー (2015~) 3495 1665 1544 2494 4.1
フィアット 500 (2008~) 3545 1625 1515 2300 4.7~5.6
初代スマート フォーフォー (2004~2007) 3790 1685 1460 2500 5.1
 

インテリア&ラゲッジスペース

内装デザインは常識的に。定員は4人


写真のオレンジ内装のほか、ブラックもある。メーターパネル内には情報表示用の3.5インチTFTカラーディスプレイを標準装備

インパネデザインは、フォーフォーとフォーツーで共通。従来モデルのオーナーが最初に気づくのは、室内幅の拡大もさることながら(助手席側のドアが遠くなった)、キーを差す位置がセンターコンソールから一般的なステアリング右へと移ったことだろう。ブレーキペダルも従来のオルガン式から、一般的な釣り下げ式に変更され、操作感もペダルレイアウトもすっかり自然になった。初代の内装デザインはかなり理想主義的でエキセントリックだったが、だんだん常識的になってきたなぁ、という印象。

なお、先代フォーフォーは5人乗りだったが、元になったコンセプトカーが4人乗りだったのと、ゴロの良さから、市販車もフォーフォーと称したが、新型は名実ともに4人乗りになった。5人グループの嵐やSMAPだと一人乗れなくなる。

ナビゲーションはスマホで代用


スマートフォン用の専用クレードルはオプション。裏にUSB端子も備わる。iPhoneの場合、6(写真)ならOKだが、6プラスはわずかに大きすぎて、固定できない

標準装備のオーディオは、Bluetooth/USBインターフェース付のAM/FMラジオと4スピーカー(フォーツーは2スピーカー)。つまりCDプレーヤーはない。

ナビについては、少なくとも日本仕様では「スマホで十分でしょ」という考え方で、純正アクセサリーとして専用スマートフォンクレードル(1万7600円)が用意されるほか、ナビゲーション機能やハンズフリー機能をセットにしたスマート専用アプリ(iPhone/Android対応)「スマート・クロス コネクト」も無料でダウンロードできるようになっている。ただし、いちおう純正アクセサリーとして、7インチディスプレイのポータブルナビも用意されている。

 

後席は座面が短く、背もたれのフィット感も薄いため、大人が長時間過ごすのはつらい。窓はヒンジ式

前席にはシート内蔵型のサイドエアバッグを、運転席にはニーバッグを標準装備
 

荷室容量は通常時185L、後席格納時730L(奥行1285mm)、助手席格納時975L。フォーツーは260~350L

リアドアがほぼ直角の約85°まで開くため、乗り降りやチャイルドシートの取付が容易
 

荷室フロアのカーペット(吸音材と一体)をめくると、エンジンリッドが6本のネジ(手で回せる)で止まっている

リッドを外すと、ルノー製3気筒エンジンが現れる
 

ボンネットをずらすと、バッテリー、冷却水、ウォッシャー液、ブレーキフルードのメンテナンスが可能

新開発の自然吸気1.0L 3気筒エンジン
 

基本性能&ドライブフィール

意外に大人しい

試乗したのはフォーフォー。エンジンは前述の通り、自然吸気の1.0L 直列3気筒。と聞くと、先代の三菱製エンジン(「i」用エンジンの排気量拡大版)をキャリーオーバーかと思ってしまうが、実際にはルノー製の新開発ユニット。先代とほぼ同じ最高出力71ps、最大トルク91Nmを発揮する。

なお、新型トゥインゴの日本仕様には、現行ルーテシアのエントリーグレード「ゼン」と同じ0.9L 3気筒ターボエンジンが搭載される模様。これはルーテシア等の1.2L 4気筒ターボから1気筒省いたもので、欧州仕様の新型スマートにもすでに用意されている。

 

6速DCTの変速プラグラムは、ボタンでECOとSPORTの切り替えが可能

エンジン以上に大きく変わったのがトランスミッション。初代フォーツーとフォーフォーは6速セミAT、2代目スマートは5速セミATだったが、今回はゲトラグ製の6速DCT、スマート言うところの「twinamic(ツイナミック)」を採用した。ツインクラッチ(デュアルクラッチ)だからツイナミック(たぶん)。もちろん、アイドリングストップも標準装備する。

第一印象は、先代フォーツーの元気いっぱいな走りとは真逆で、意外に大人しいなぁ、というもの。フォーフォーの車重は1005kgで、パワーウェイトレシオは約14kg/psと軽自動車並み。実際のパワー感もおおむね軽のターボ車くらいだ。ただし出力特性は軽のエンジンより明らかにフラットだし、6速もあるのでパワーバンドを外すこともなく、街中であれば遅くて困る、ということはない。

劇的に良くなった乗り心地

朗報は、セミATの宿命であり、歴代スマートの弱点でもあった変速時の息つぎ感や、それに起因する車体のピッチング(シーソーのような上下動)がなくなったこと。変速から乗り心地まで、従来モデルとは別次元でスムーズになった。

実際、ホイールベースが2500mm弱あるフォーフォーの乗り心地は、同じAセグメントのFF車よりフラットと思えるレベル。また、先代フォーツーはトレッドが狭かった分、横方向の小刻みな揺れも大きく、疲労の原因になっていたが、新型はトレッドが大幅に広がったため、その点でも乗り心地が大幅に良くなった。先代のピョコピョコ、ユサユサ感はもうない。

サスペンションは、フロントが新開発のマクファーソンストラット、リアは改良型のド・ディオン式。形式自体は過去のフォーツーと変わらないが、ストロークを大幅に拡大して快適性を高めたという。このあたりは乗り心地にこだわるフランスのメーカー主導で行われたのかも。

高速域の操縦安定性もまずまず

高速域でもピッチングはなく、車線変更でもRR特有の、舵が途中から妙に効くような不安感はない。このクラスのRR車として考えると、操縦安定性は過去に例がないほど高く、よく出来ているなぁとしみじみ思わせる。

ドライバーから遠く離れているせいか、エンジン音も静か。タコメーターがないのでエンジン回転数は不明だが、6速トップならかなりの低回転を維持できる。分厚いフロアを持つプラットフォームのなせる業か、ロードノイズもほとんど気にならない。

とはいえ、そこはやはりRR。前後重量配分は45:55と、フロントが軽くてリアが重いほか、おそらく空力(揚力)も影響してだろう、速度に比例して、そこはかとなく「地に足がつかない感」が高まってくる。車重やレイアウトを考えると、仕方ないところだが。

また、何かが突出してうるさいわけではないが、高速域ではノイズレベルも上がり、クラス相応にうるさくなってくる。高速道路では走行車線でのんびり走るくらいがちょうどいい気がした。

151km/hでリミッターが作動

フォーフォーの最高速はリミッターで制限され、UK仕様(71hp版)で151km/h、0.9Lターボ(90hp版)で164km/h。

同様にフォーツーは、71hp版が151km/h、90hp版は154km/h。90hp版のトップスピードがフォーフォーより低めに制限されるのは、操縦安定性に配慮したからだろう。

なお、クルーズコントロールは標準装備で、こういった非力なクルマでも速度維持に気を使わなくていいから便利。可変式の速度リミッターも付いている。

先進安全装備については、レーダーセンサーで先行車との車間距離を測り、衝突の可能性が生じた際に表示と音でドライバーに警告する「衝突警告音機能」が標準装備になっている。これはつまり自動ブレーキではなく、警告のみを行うもの。試乗中、2度ほど「ピー」とアラームが鳴ることがあった。

また、80km/h以上で直線か緩やかなカーブを走行中に、突然の横風で車両が不安定になった際に直進安定性を確保する「クロスウインドアシスト」なる装備も採用されている。横風の影響を受けやすいフォーツーでは特に恩恵が大きいだろう。

ハイオク仕様で、試乗燃費は13.5~16.3km/L

今回はトータルで約250kmを試乗。試乗燃費は、いつものように一般道と高速道路を走った区間(約80km)が14.1km/L。一般道を大人しく走った区間(約30km×3回)が13.5km/L、15.3km/L、16.3km/L。距離が短いので参考値ながら、高速区間(約30km)は19.2km/Lだった。また、250kmトータル(ゴー・ストップが多い撮影区間を含む)では13.4km/Lだった。

JC08モード燃費は、フォーツー(車重940kg)が先代マイルドハイブリッドの22.0km/Lと同等の21.9km/L。フォーフォー(車重1005kg)は今のところ未発表。

指定燃料はプレミアムガソリンで、燃料タンク容量はツー、フォー共に35L。先代フォーツーより2L増えた。

 

ここがイイ

RRのメリットを最大に活かしたパッケージング

RRというレイアウトを採用することで、全長3.5mという小さなボディ、小回り性能、大人4人が乗れるパッケージングを実現していること。これらの要件をFF車で満たそうと思うと、なにか特別な工夫をしないとボディサイズが4m近くなるし、こんな小回り性能も実現できない。先代フォーツーはボディが小さいわりに小回りがきかなかった。

一方で、RRは操縦安定性などの点で難しい面もあるが、新型スマートでは不満のない乗り心地、静粛性、このクラスのRR車としては稀に見る操縦安定性を確保している。また、RRならではの個性、メカニズム的な面白さ、電動化など将来の展開性も楽しみ。

カーナビではなく、スマホをインパネに置くことを想定していること。日本車メーカーではお役所の絡みもあり、なかなかやれないことなので、輸入車に期待したいところ。自動ブレーキで車両が完全停止するということも、輸入車のボルボから始まった。

ここがダメ

坂道発進でたまに落ちる。大画面スマホを固定できないクレードル

アイドリングストップからの再始動が若干遅い。半テンポほど遅れる感じ。緩やかな上り坂では傾斜センサーのせいかヒルホルダーが作動せず、そのため一瞬下がりそうになる。下がったとしてもわずかで、後続車とぶつかることはないと思うが、心情的にはちょっと慌てる。

純正アクセサリーのスマートフォンクレードルは、ディスプレイサイズが5インチ未満のスマホならたぶん固定できるが、5.5インチ以上だとほぼ無理。例えばiPhone 6(4.7インチ)なら大丈夫だが、6 Plus(5.5インチ)だと固定できない。両サイドから固定する爪が、あと1cmほど広がればOKなのだが。

 

ブレーキペダルは一般的な釣り下げ式になった。左足のフットレストが欲しくなる

ウインカー、ライトスイッチ、ワイパースイッチなどがステアリングリムの死角に入る。クラス的に無理かもしれないがテレスコピックも欲しくなる。左足のフットレストも欲しい。あと、スマホと連携するオーディオはもう少しいい音にしてもらいたい。日本製CDオーディオだった先代スマートの方がはるかによかった。

総合評価

「一家に一台」に極小カーはなじまない?


2代目スマート フォーツー

デイズで先代のスマート フォーツーを買ったのはリーマンショックの直前だったから、もうずいぶん前のことになる。初代の並行輸入車からずっと試乗し続けて、毎回毎回、高く評価し、ついに自ら買ったのが先代登場すぐのこと。スタイリングは初代よりやや「スマートさに欠けた」ものの、全体にブラッシュアップされ、シティコミューターとしてほぼ完璧なものになった、そんな判断で購入に至ったのだった。

しかし足まわりはかなり硬めで、お世辞にも乗り心地がいいとは言えなかったし、高速域での直進安定性は低く、微振動もあって、長距離移動では150kmあたりでイヤになったものだ。また、経年と共に、あちこちがガタピシ言い出したのもちょっと悲しかったところ。

先代のセミオートマも、慣れれば味があるとも言えるが、万人が納得するものとはとても言えなかった。購入したのはアイドリングストップのない初期のモデルだが、マイルドハイブリッドと称されたアイドリングストップ装着車は、当時試乗してもあまりいい印象がなかった。ただ、2代目も後期になると、足は比較的柔らかめに設定されたようで、乗り心地は幾分改善されたと聞く。

とまあ、ネガティブなことばかり書いてしまったが、先代フォーツーは愛すべきキャラクターを備えていた。2人ならゆったり乗れたし、その小ささゆえに目立つということだけ見ても、スマートというクルマの存在意義はあったと思う。現在、このクルマはそれまでバイクに乗っていた20代の若者が愛車としているが、「4輪の原付バイクとも言うべき気楽な雰囲気と個性が、今の自分には理想的」という評価を得ている。そんなキャラは日本の軽やコンパクトカーでは得られないもの。セミATをマニュアル操作して、ブイブイ走らせているようだ。

 

2代目スマート フォーツー

自家用車というものは一家に一台だと、どうしても大は小を兼ねるということで、軽自動車にすら、とにかく広さを求めてしまうことになる。全く2人しか乗れないフォーツーは、助手席に人が乗るとちょっとした荷物を運ぶことも難しく、2シータースポーツカー並の不便さを強いられる。スポーツカーには走る楽しみという別の価値があるが、フォーツーには残念ながらそこまでの楽しさはない。小さいことのメリットは、クルマはこれで十分だという「心意気」だけかもしれない。トヨタのiQも販売面ですっかり失敗作とされているのは、そういうわけだろう。やはり一家に一台のクルマに極小カーはなじまないということだ。

しかし必要に応じて大きなクルマを使える環境にあるなら、俄然フォーツーの魅力は出てくる。セカンドカー、あるいはサードカーとしてが理想だが、そうでなくても、例えば近所のカーシェアリングでミニバンを借りられるのなら、スマート一台の生活でも大丈夫だろう。多人数で乗ったり、荷物を運んだりするときはカーシェアリングを利用し、普段はスマートを利用する。それが街に住む人の理想的なカーライフに思える。所有とレンタル(シェア)を上手に利用して、環境に負荷をかけないスマートなカーライフ、それは理想的カーライフのあり方ではないか。新型フォーツーもその意味ではこれまでと同様だ。であれば、EVになってもいいだろう。つまり世界にはこうしたシティコミューターの巨大な市場があるから、フォーツーの存在意義もあるわけだ。

小さいクルマは、なぜだか楽しい

となると今回試乗したフォーフォーの存在意義とはどういうものだろう。最小の4シーターコミューターではあるが、フォーツーほどの潔さはない。などと考えてはみたが、まあそう難しく考えず、フォーツーより2人多く乗れるちっちゃいクルマとして考えればいいのかもしれない。ここでも大は小を兼ねるわけで、フォーフォーなら4人乗れるし、荷物もそれなりに積める。フォーツーを所有したときの不満は一気になくなるわけだ。

また、先代フォーフォーはデザインこそユニークだったが、プラットフォームはFF車の三菱コルトと共通だった。それに対して新型はフォーツーと同じRRプラットフォームを採用しているが、今回はルノー トゥインゴと兄弟車という関係になった。それを知った上でフォーフォーに乗ると、乗り心地は確かにルノーっぽく、フランス車を思わせる重厚感もある。その意味でスマートはフォーツーだけ、4シーターはトゥインゴだけとすれば分かりやすかったかもしれない。

 

また、試乗してみると、手放しで褒めにくいところもある。特にゆるい坂道で、アイドリングストップからの始動・発進時に後ずさりするのは改善してほしい点。ヒルホルダーの問題というより、アイドリングストップからの再始動が遅く、発進のタイミングが遅いことが一番の問題だと思う。しかしまあ、こういうのも慣れてしまえば味になるというか、愛嬌として許せてしまうはず。やっぱりなぁとニヤリとする部分でもある。

一見すると、ちょっとリアが下がっているように見えるあたりも、RRだなあとしみじみしてしまう。大昔、初代スバルR2というRRの軽自動車に乗っていたが、あれもやはりリア下がりだった。そう言えばR2は楽しかった。わずか360ccの2気筒2ストロークエンジンを積んだ小さなクルマだったが、3、4人で乗ってあちこち遊びにでかけたもの。小さいクルマは、なぜだか楽しい。

フォーフォーも小さくて、それでも4人乗れて、RRだ。決まったワクの中で、とにかく広くせねばという義務感にかられて開発された日本の小さなクルマと違って、「自由に小さく作られた」小型車、それがフォーフォーであり、ルノー トゥインゴなのだろう。日本にはまだターボ車は入っていないが、ターボならもっとよく走るだろうから、より楽しさは増しそうだ。

 

ポップなデザインで、小回りがきいて、RRという独自性があって、狭いけどなんだか面白い。ということで、特に性能面ですごいと褒めるべきところはないのだけど、乗っていてなぜだかニンマリしてしまう。広いことだけが正義ではない。大は小を兼ねるのでなく、小は大より楽しい。クルマというものには、そんなこともけっこう重要だったよなあ、とフォーフォーで再認識させてもらった。もしルノー版のフォーツーがあったら、それこそがほんとの「TWINGO」(二人でゴー!)だ。フォーツーがないのはルノー的にはちょっと悔しいことかも。

 

試乗車スペック
スマート フォーフォー パッション
(1.0L 直3・6速DCT・209万円)

●初年度登録:2015年12月 ●形式:DBA-453042
●全長3495mm×全幅1665mm×全高1544mm
●ホイールベース:2494mm
●最低地上高:-(記載なし)mm ●最小回転半径:4.1m
●車重(車検証記載値):1005kg(450+560)
●乗車定員:4名

●エンジン型式:281
●排気量:999cc
●エンジン種類:直列3気筒DOHC・4バルブ・横置
●ボア×ストローク:72.2×81.3mm ●圧縮比:10.5
●最高出力:52kW(71ps)/6000rpm
●最大トルク:91Nm (9.3kgm)/2850rpm
●カムシャフト駆動:タイミングチェーン
●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/35L

●トランスミッション:6速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)
●JC08モード燃費:-(記載なし)km/L

●駆動方式:リアエンジン・後輪駆動(RR)
●サスペンション形式(前):マクファーソンストラット+コイル
●サスペンション型式(後):ド・ディオン+コイル
●タイヤ:前 165/65R15、後 185/60R15(Dunlop Sport blue Response ※Made in Poland)

●試乗車価格(概算):-円 ※オプション:ベーシックパッケージ(パークトロニック ※リア +プライバシーガラス ※後席左右・リアウインドウ + 前席シートヒーター + iPadホルダー取付用ソケット ※運転席・助手席後部) 9万円、スマートフォン クレードル 1万7600円、ETC車載器+フロアマット -円
●ボディカラー:ディープブラック×ブラック

●試乗距離:250km ●試乗日:2016年1月
●車両協力:メルセデス・ベンツ 名古屋南・名古屋北

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 
メルセデス・ベンツ 名古屋南・名古屋北

スマート 最新の試乗記10件

最近の試乗記一覧

関連コンテンツ一覧