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スマート フォーフォー 1.3新車試乗記(第346回)

smart forfour

(1.3リッター・6速セミAT・184万8000円)

  

2004年12月18日

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キャラクター&開発コンセプト

ほんとはフォーファイブ?

「フォーフォー(forfour)」はダイムラー・クライスラーが開発したスマートブランドの新しい5ドアコンパクトカー。日本では2004年9月6日に発売された。その名の通り4人乗り、と思ったら、実際には5人乗り。ならforfiveじゃん、と思うが、そうしなかったのはゴロが良くないからか? これに伴って従来のスマートは「フォーツー(fortwo)」と名を変えた。右の写真は2003年10月の東京モーターショーに参考出展された欧州仕様車。

コンポーネントは三菱コルトと共有

ボディはフォーツーと同じく「トリディオンセーフティセル」と呼ばれるモノコックシャシーと樹脂製ボディパネルで構成される。モノコック骨格は三菱コルトと共有され、生産も欧州向けコルトと同じオランダ・ボルン市のネッドカー(NedCar)工場で行われる。

また、エンジンもダイムラークライスラーと三菱が共同出資してドイツ・ケレダ市に設立した合弁会社MDCパワー社(MDC=Mitsubishi/Daimler- chrysler)が開発・生産したもの。この欧州製エンジンは欧州向けコルトだけでなく、2004年10月にマイナーチェンジした日本向けコルトにも搭載されている。

価格帯&グレード展開

1.3と1.5の2グレード構成

日本仕様は「フォーフォー1.3」(184万8000円 ※今回の試乗車)と「フォーフォー1.5」(228万9000円)の2種類。いずれも直列4気筒エンジンとクロール機能(弱い簡易クリープ)付きの6速セミAT「ソフタッチ・プラス」を搭載し、1.3リッターが95ps、1.5リッターが109psを発揮する。

44万1000円の価格差が含む装備は、天井ガラス張りのパノラミックグラスルーフ、アルミホイール、革巻きステアリング、スピーカー(2個から7個へ)、後席パワーウインドウなど。オプションでレザーシート(1.5のみ)や電動サンルーフ、DVDナビを用意する。

海外では1.1リッター3気筒モデルやディーゼルも


こちらは2003年の東京モーターショーに展示された欧州仕様車。ハンドル位置の他、ステアリングの意匠が異なる

なお、欧州仕様には1124ccの直列3気筒(75ps)と1.5リッター3気筒ディーゼルターボが2種類(68psと 95ps)加わり、全部でエンジンは5種類。これらは全て欧州向けコルトも搭載する。日本仕様のコルトはCVT(無段変速)だが、あちらではフォーフォーと同じ5MTもしくは6速セミATとなる。

パッケージング&スタイル

土台は三菱コルトと共有

ボディサイズは全長3790mm×全幅1685mm×全高1460mmとBセグメント(VWポロクラス)の平均で、5ドアハッチバックのFF車という常識的なパッケージングを持つ。ホイールベースの2500mmはコルトと同じ。プラットフォームは同じでも、外から見るとコルトの面影はない。スマートブランドに恥じないよう、精一杯個性を発揮している。

外板はほとんどポリカーボネイト

試乗車はブラックで目立たなかったが、ボディ外板のほとんどは樹脂(ポリカーボネイト)製。かなり柔軟性があって傷も付きにくい。スチール部分(トリディオンセーフティセル)で外から見えるのは、Aピラーやルーフの枠、サイドシルのあたりだけ。FF車で最小と思える小さなボンネットフードも樹脂製だ。1.3は屋根も樹脂で、軽量化に貢献しているとメーカーは説明する。モノコック自体も高張力鋼板を多用して220kgに抑えているという。

ボディカラーは計10色。トリディオンセーフティセルは標準仕様のブラック(1.3)、シルバー(1.5)、オプションのチタングレーと3色。つまり10×3の30通りで、お好みの2トーンが選べる。購入後も外板の色だけ簡単に交換できる。

憎めないセンス

ブラック内装もあるが、試乗車の内装は個性的な「ブリックレッド(レンガ色の赤)」。フォーツーに通じる、樹脂の素材感を活かした雑貨風デザインで、決して新鮮ではないが、憎めない。日本仕様の標準ステアリングはフォーツー似だが、わずかにデザインが違う。

 

前席の座り心地はフォーツーに似て、クッションが薄く固め。立派だが、フォーツーほどではない。フォーツー用は頑丈なスチールモノコック構造が背後にむき出しなので、後席があるフォーフォーには使えない。ただしフォーフォーのシートもリクライニングが45度で止まってしまい、仮眠を取るときにちょっと不便だ。

大人にはつらい後席

「前席はスポーツカー、後席はリビングルーム」の謳い文句を海外のメーカーサイトで見たが、実際の後席はクッションが薄く、座り心地は良くない。150mmの前後スライドが一番後ろでも足元が狭く、圧迫感がある。ベビーシートの子供にはいいかもしれないが、大人には適さない。これではfor 2+2だ。

 

座り心地が悪いのは、おそらくタンブル折り畳み機能のせいだろう。通常で268L、背もたれを倒して前にタンブルさせる(転がすようにひっくり返す)と910Lになる。軽い力で折り畳めるのはいいが、敷居が高いので重い物の積載には適さない。

基本性能&ドライブフィール

低速から力強いエンジン

試乗したのは1.3リッターモデル。95ps、12.8kgmで、1030kgのボディを引っ張る。6速のセミATだが、クロール機能(弱めのクリープ)が付いているので、発進時の感覚はトルコンATに近い。ステアリングを切ったままアクセルを踏み込むと、省燃費タイヤを威勢よくホイールスピンさせて加速する。1速→2速のシフトアップで大きな失速感があり、セミATだったことを思い出す。

MDCパワー社製エンジンは、良い意味でかなり三菱の技術が入っているはず。低速からトルクを発して、ネコが喉を鳴らすような音を発しながらボディをグーンと引っ張る。低回転での柔軟性は十分だが、回すと少々騒がしいのが欠点か。

ATモードだと2000回転以上をキープして変速。MTモードでも6500回転あたりで自動シフトアップする。回転合わせのブリッピングはスマートロードスターでは派手だったが、フォーフォーでは燃料消費を気にしてか最小限だ。

軽快感のある走り

乗り心地は固め。軽快感はあるが、電動パワステがスローなので低速コーナーは苦手だ。2速→3速の自動シフトアップも少し気になる。しかし、高速コーナーでは欧州車らしく、しっかり走る。何とブレーキは4輪ディスク。このクラスではほとんどないはずだ。

高速道路へ行くと、ボディ剛性の高さが際だってくる。固い殻に守られて高速移動するフィーリングはドイツ車っぽい。さすが6速だけあって、100km/h巡航は2500回転と低い。ATモードでスムーズに走らせるのがこのクルマの狙いだろう。そうすれば、燃費もけっこう伸びるはずだ。最高速度のメーカー発表値(欧州仕様)は1.3が180km/h、1.5が190km/hとある。

ここがイイ

ワインディングへ持ち込むと、これがなかなか。かなり速い部類のクルマで結構楽しい。高速巡航では6速ギアの恩恵で、 120km/hでも3000回転しか回っていないから、150km/hオーバーでの走りも楽。これは1.3リッターの小型車では他にないメリット。こういう速度域では足回りもしなやかになるし、安定感、直進性も悪くない。これは同クラス他社とは比較にならないくらい良いところ。

 

運転席のシートはしっかりした掛け心地がいい感じ。チルトステアリングなのでポジションはきちんと決まる。このあたりはさすがドイツ車。セミオートマはずいぶんよくなった(フォーツー初期より)。シフトチェンジごとにアクセルをゆるめる作法に慣れれば、ショックなく、違和感なく走れる。クリープがついたのも便利。

個性的なデザインが何よりの強み。傷・凹みに強く、リペア性の高い樹脂パネルもいい。そして全体を貫くチープさ。フォーツーほどではないが、道具感はうまく出ていると思う。

ここがダメ

乗り心地が硬いのはシティカーとしてはちょっと辛い。特に後部座席は、平坦な道でも辛い。しかも狭く、足下スペースも天井スペース共にミニマム。ヘッドレストが3人分ちゃんとあるのはいいが、5人はとても座る気になれない。背もたれも立ち気味から、さらに立ち気味への3段調整しかできない。4人でも長距離は辛いだろう。

オートモードでは、トルコンATやCVTのようにアクセル踏みっぱなしだと変速ごとの失速感がかなり強く、違和感ありあり。このショックは他のセミAT車(オペルメリーバ、フィアットパンダ、アルファのセレスピード車など)に比べて大きめ。クリープがあるものの、坂道では後ずさりするので注意が必要。試乗車ではシフトのバックポジションが時々抜け、車庫入れが辛いことも。

細かい点で気になったのは、パワーウインドウにワンタッチモードがなく(1.3はオプション)、スイッチ位置が後ろすぎて(パーキングブレーキレバー近く)使いにくいこと。その他、ドリンクホルダーが小さい、オーディオの音質イマイチ、高速での風切り音がかなり大きい、といったあたり。

総合評価

三菱の迷走に伴って、ダイムラークライスラーも迷走? といえる展開をみせている。三菱から手を引いたのは周知の通りだが、本音ではクライスラーも切り離したいのでは、などという勝手な憶測も飛び交う始末。数年前、大メーカー数社が塗りつぶしていくと言われた世界の自動車メーカー地図は、未だまだらのまま。BMWやホンダのような唯我独尊のメーカーはかえって元気がいい。

スマートフォーフォーはそんな荒波で揺れる小舟のようだ。スマートブランド自体、独立体としてムリが生じていることは明白で、メルセデス・ミニクラスとした方が全てにおいて通りがいいだろう。となれば、スマートは素晴らしいコンセプトで一時代を築いたフォーツーに特化し、もっと大事に育てていくという選択肢もあるはず。クーペは2シーターでまだ楽しく許せたが、4シーターまで出すのはやりすぎでは。そんなわけで、フォーフォーはブランド、コンセプト、シャシー、エンジン、すべてが中途半端、あり合わせでできてしまった(ように見える)不幸なクルマ、という気もしてしまう。

しかし救いはそうした生い立ちのクルマであるがゆえの強い個性、奇妙なカッコ良さがあって、買えばきっと愛着が持てることだろう。流行の小さいクルマ(4人乗り)の中から、個性的であるということを一番大切に選択すれば、このクルマが一番。小さなクルマが欲しいが人と同じは嫌、というなら、多少のデメリットには目をつぶってフォーフォーを選ぶと、楽しいカーライフがおくれるはず。それは商品力としては結構重要なことだ。

 

軽快な走りはMINIを意識した跡があるが、残念ながら及ばず。それでも、小さいながらワインディングが楽しくて、高速巡航も同クラス他車より楽々こなすという点で、日本車とはひと味違う、いかにも欧州車らしいコンパクトカーだ。トリディオンセーフティセルの色とボディパネルのカラーコーディネーションによっては、見事に個性的なルックスが生み出せるのも楽しい。日本車の小型車にない味を求めるのであれば、セミオートマの特異性を含め、十分納得できる。万人向けゆえ没個性な感の強かったコルトとは大違い。クルマ好きなら多少の困難を乗り越える心構えでこっちを買おう。

試乗車スペック
スマート フォーフォー 1.3
(1.3リッター・6速セミAT・184万8000円)

●形式:GH-454031●全長3790mm×全幅1685mm×全高1460mm●ホイールベース:2500mm●車重(車検証記載値): 1030kg (F:630+R:400)●乗車定員:5名●エンジン型式:135●1332cc・DOHC・4バルブ・直列4気筒・横置●95ps(70kW) /6000rpm、12.7kgm (125Nm)/4000rpm●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/47L●10・15モード燃費:15.6km/L●駆動方式:前輪駆動(FF)● タイヤ:175/65R14(Continental ContiEcoContact 3)●価格:184万8000円(試乗車:186万600円 ※オプション:フロアマット 1万2600円)●試乗距離:約200km

公式サイトhttp://www.smart-j.com/

 
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