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ランドローバー フリーランダー新車試乗記(第166回)

Landrover Freelander



2001年03月31日

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キャラクター&開発コンセプト

敷居を低くした名門ブランドのライトクロカン

「四駆界のロールスロイス」とも言われる最高級クロスカントリー4WDが、レンジローバー。で、そのレンジローバーよりもカジュアルな性格、手頃な価格を与えたのがディスカバリー。今回のフリーランダーはディスカバリーをよりカジュアル路線に振った、エントリーモデル、あるいは量販モデルとして開発されたクルマだ。言い換えれば老舗メーカーが初めて手がけたライトクロカンというわけだ。

今、この類の市場は世界的にもり上がっており、1997年に本国デビューを果たしたフリーランダーもまた、欧州市場ですでに高い人気を博している。それなのに日本導入に3年以上も要したのは、ひとつは日本向けに相応しいパワートレーンがなかったとこと。そして何よりもローバー社の買収問題が最大の理由だろう。昨年、ローバー社はそれまでの母体だったBMWによってバラ売りされ、ランドローバーブランドはフォード傘下にようやく落ち着いた。安定した体制が整うと同時に大幅な改良を受けて、先頃、晴れて日本導入となったわけだ。

日本導入モデルは5ドアボディと後部にソフトトップを備えた3ドアボディの2タイプ。どちらも背面タイヤ付きで、リアバックドアは横開き。エンジンは2.5リッターV6+5ATのみで、乗車定員は5名となる。

価格帯&グレード展開

憧れの老舗ブランドが、ディスカバリーより150万円ほど安く手に入る

グレードは計3タイプ。3ドアモデルが「GS(315万円)」、5ドアモデルが「S(295万円)」と「ES(335万円」。このなかで装備が一番劣るのが「S」で次に「GS」、そして最も充実するのが「ES」で本革シートを唯一標準装備する。おそらくこの「ES」が売れ筋グレードになるはずで、大きなネームバリューを持つクルマが比較的身近な価格で手に入れられるということでも注目に値する。

ライバルは国産だと、トヨタRAV4、マツダ・トリビュート、日産エクストレイル、ホンダ・CR-Vといった、いわゆる小型SUV。サイズ、排気量、価格も含めればトヨタ・ハリアーあたりもライバルとして十分考えられる。輸入車ではジープ・ラングラーもしくはチェロキーあたり(こうやってみると海外メーカーって、手頃なSUVが結構少ない。日本車のつけいる隙がおおいにあったわけだ)。

国産のライバル勢と比べるとフリーランダーの価格が高いのは否めないが、それでもトップブランドによる本格的クロカンを、気軽に味わえるクルマとしては非常に価値ある1台といえるだろう。

パッケージング&スタイル

モノコックボディで、最新型ライトクロカンの手法を踏襲

ボディ骨格はランドローバー伝統のフレーム構造とは違い、モノコック構造+横置きFFベースのパワートレーンという、RAV4同様のライトクロカン新文法を採用する。ベースは定かではないが、ホイールベースから考えればローバーの200シリーズあたりか。

5ドアモデルのボディサイズはマツダ・トリビュートに近く、全長4390×全幅1810mm×全高1770mm。ホイールベース2550mm。3ドアモデルのほうも5ドアモデルと同寸で、リアドアが無いのと、後席の頭上以降に手動の開閉機構を持つソフトトップを備えたのが違いとなる部分だ。

デザイン的には、無骨さを感じさせる兄貴分のディフェンダーとは対照的に、やや丸みを帯びた輪郭、傾斜角の強いフロントガラスなど、新しめの処理が施される。その一方でランドローバー伝統の特徴もしっかりと継承。例えば低いウエストライン、凹状の断面を持つボンネット、途中一段高くなったルーフラインなどがそれ。さらに試乗車にはスタイリングキットなるものが装着されており、ビス丸出しのオーバーフェンダー、サイドボディ部には樹脂プロテクターが3本と「いかにもヨンク」的なドレスアップだ。未塗装の大型バンパーの迫力といい、「スタイルだけで買ってもいい」というぐらいのカッコよさはあると思う。ただ、いかにも後付というプロテクター類は、オフロード走行中にポロッととれたりしなければいいのだが…。

キャラクターをわきまえたほどほどの品質とカジュアルさ

インテリアはエントリーモデルらしくカジュアル仕立て。インパネはゴテっとした造形で、品質はあまり高くはない。操作レイアウトはごく平凡。上から空調の吹き出し口、1DINオーディオ、エアコン、灰皿という順に設置される。パワーウインドウスイッチは、右ハンドル仕様、左ハンドル仕様、どちらにもすぐ対応できるように、コンソール部分に設置される。英国車のお約束アイテムとして最上級グレード「ES」に本革内装が標準装備されるが、木目調パネルは一切使われておらず、「いかにも英国車」といった演出は希薄。ただ空調の吹き出し口にも深緑に塗装するなど、渋めの色調でまとめられ、独特の雰囲気を作りだしている。このクルマならではの個性は確かにあり、それはローバー車が持っていたものだ。いかにもローバーという雰囲気がまだこのクルマには残っている。

独特といえばシートポジションも挙げられる。レンジローバー、ランドローバーは昔から高い位置に座らせる傾向が強く、天地方向の空間を無駄なく活用している。フリーランダーもまた同様。やや違和感があるのも確かだが、車両感覚がつかみやすく、何より見晴らしの良さという点では随一の存在と言ってもいいだろう。また、後席の空間は標準クラスに止まるものの、座面がフロアに対して高く、前席下の空間も広いので、足を伸ばした安楽な姿勢をとることができる。膝元空間は決して広くないが、不満はない。

細かな装備としては、リモコン操作によって開閉できる電動式バックウインドウが挙げられる。駐車スペースが狭くバックドアを開けることができない場合でも容易に荷室にアクセスできる。しかし、取り出したい荷物が右側に寄っていると、背面タイヤとそこからニョキと出たストップランプが邪魔になる。

基本性能&ドライブフィール

デビューより3年、新たな贈り物は2.5リッターV6エンジン+5速AT

従来のフリーランダーに用意されていたエンジンはガソリン仕様の1.8リッター直4と、ディーゼル仕様の2.0リッターターボ直4のみ。ミッションも5速MTしか用意されていなかった。日本市場や北米市場の参入を図るに当たり、2001年モデルより、2.5リッターV6エンジンと5速AT(日本のJATCO製)が新たに開発されたわけだ。日本導入モデルはもちろんこの2.5リッターV6+5速ATだ。2.5リッターV6オールアルミ製エンジンはローバー75に搭載されていたものを、リアファインしたもの。最高出力177馬力、最大トルク24.5kgmを発生する。新開発の5速ATは、マニュアルモードで操作できる「ステップトロニック」システムが採用されている。これは同クラスとしては世界初の試みらしい。

4WDシステムは任意で2WDと4WDの切り替えはできないフルタイム方式を採用する。注目すべきはHDD(ヒル・ディセント・コントロール)というシステム。これは急な上り坂、下り走行するための自動速度制御装置で、ABSを制御して4輪すべてのブレーキに介入し、滑りやすい悪路でも時速8km/hを保ちながら安定した走りができるというもの(シフトレンジが1速及び後退の時のみ有効)。オフロードの下り坂はもっとも難しいセクションだけに、一般のドライバーには心強い装備といえるだろう。

悪路走破性はお墨付き、でも日常のオンロードでは何かと不慣れな点が目立つ

はじめに断っておくが、ほとんどオンロードしか走らなかったせいか、日本製ライトクロカンに比べると気になる部分が目立った。まず車重による加速について。フリーランダーは軽量化に有利なモノコックボディを採用するものの、それでもライバルと比較すると車重がオモイ。重いといわれているトリビュートと比べても70kg重く、RAV4比では200kg近くも重い。その分、排気量の大きさでカバーしているのだが、実際、走り出してみてもどうもパッとしない。恐らく5速ATのギア比に問題があるのだろう。絶対的パワー感が不足しているのだ。

またクロカン向けとして特にローギアード化されたようでもなく、ほとんど乗用車と同じギア比となっている。そのため普通に走らせる限りは不満はないが、ここぞというときの加速もあまり期待できない。これで燃費がいいものならまだ納得できるが、10・15モード燃費は7.7km/l(プレミアムガソリン)と同クラスでは最悪。トリビュートの3リッターモデルでさえ、8.4km/lはマークする。燃費の改善と低速域の余裕がもう少し欲しいところだ。

このように軽快感に欠ける反面、4輪が地面にガッチリ食いついたようなトラクションの高さは「さすが老舗!」と評価できるところ。路面が荒れたところで右、左にステアリングを切ってもボディがねじれるような様子が一切無く、鼻歌まじりで安心して走らせることができる。ボディ剛性が極めて高いというか、タフというか、ズシッとした乗り心地は他のライトクロカンではあまり味わえないだけに、フリーランダーのパフォーマンスがより光る。コーナーでもロールは少なく、ライトクロカンらしからぬ安定感を持って走れる。ステップトロニックの制御も自然で、スムーズなシフトが可能。非力と思っても、これを駆使すれば不満も解消されるだろう。

ハンドリングはこのクラスとしてはクイックな部類に入る。ロック・トゥ・ロックは3.2回転。本来の性格を考えればもう少し穏やかな方向にしたほうがいいと思うが、ランドローバーとしては初めてオンロード志向のクルマというだけに、それを意識しすぎたのか、中立付近がやや過敏。またワインディングを走らせると、4WDならではの素直に曲がってくれない明確なアンダー傾向がでる。アップライトな運転姿勢なので、腰高感もより強く感じる。高速巡航時は時に修正舵が必要となり、やや神経を遣う。とはいえ普段乗るという範ちゅうの走りでは、以前試乗したディスカバリーよりもはるかに乗りやすいし、快適。何よりもこのクルマの本領が発揮されるのは、やはりオフロード。そこで試乗すれば、評価はもっと高まるに違いない。「オフロードも走れるライトクロカン」ではなく、「オンロードも走れるクロカン」というのがフリーランダーなのだと思う。

ここがイイ

スタイリッシュなボディとブランドイメージ。レンジローバーの末弟という生い立ちの印象の良さ、そこそこ高級な作り、V6エンジンのスムーズさなどは、ライトクロカンにプレミアム性を求める人には受けそう。カッコよさもかなりもので、国産四駆に飽き足らない人には手頃な選択肢だ。高速でも走りそのものは快適で、クルーズコントロール任せのイージークルージングが可能。日本車のような100km/hまでしか効かないものではないので、実用性が高い。

ここがダメ

ディスカバリーほどではないものの、座面が高い。結果、乗り降りしにくく、ヘッドクリアランスが少ない。乗り込む際には、下手をすると天井サイドシル部分で頭を打ちそう。フロントドアのカップホルダーは、ストラップで支えるタイプで、太缶では伸ばさねばならず、使いにくかった。

総合評価

ランドローバーらしく、本格オフロード性能を確保した上で、ライトクロカン的な気軽さを演出してある。このため、国産車に多い気軽さを演出した上で、オフロード性能も少しあるといったモデルより、よりヘビーデューティーな作りで、それを良しとするかがこのクルマの評価の分かれ道。特に日本仕様はV6とATを載せたため、より重量級のクルマになってしまい、本来の軽量なヘビーデューティモデルというキャラクターを不鮮明にしてしまっている。4気筒ディーゼルターボのMT車で、荒れた街中からより荒れた郊外までを縦横無尽に走り回れるというのがこのクルマ本来の姿だが、日本など整備されきった国土ではあまり意味をなさず、V6でゆったり乗れる小型四駆というキャラに変身させられているわけだ。そこにややムリがあるように思われる。

ただ、ニッチマーケットとして高級感のあるライトクロカンというニーズは確かにあり、フル装備335万円というのは価格的にも十分魅力的。同価格帯ではランクルプラド、サーフ、ハリア、クルーガーV、テラノ、パジェロといった選択肢があるがどれもデカイ。といってRAV4、エクストレイル、トリビュートなど小さくなると今度はお子さまっぽい。そこで小さくて大人なフリーランダーは独自のスタンスを確保できる。釣りなどが趣味の4、50代お父さんの愛車としてはいい選択になるだろう。

公式サイト http://www.landrover.com/content/freelander/index.html

 
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