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ランドローバー フリーランダー 2新車試乗記(第464回)

Land Rover Freelander 2

(3.2L・6AT・460万円)

ローバーに生まれ、BMWで育ち、
フォードのもとで生まれ変わった
2代目フリーランダーに試乗!

2007年06月02日

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キャラクター&開発コンセプト

ランドの末っ子、「別物」の2代目

2006年に欧州で発表され、日本では2007年6月9日に発売される「フリーランダー2」こと2代目フリーランダー。4WD車の老舗であるランドローバー初の街乗りSUVとして登場したフリーランダー(1997年、日本発売は2001年)の、約10年振りの全面改良モデルだ。

ローバー時代に開発された初代に対して、新型はもちろんフォード傘下での開発。プラットフォームや駆動系はボルボの新型S80と共有し、エンジンは3.2リッター横置の直6、変速機はアイシンAW製6AT、駆動システムはハルデックス電子制御フルタイム4WDと、近代的なコンポーネンツで構成されている。さらに先代のカジュアルなキャラクターを廃し、よりランドローバーらしい高級感と性能を与えて、プレミアムクラスへのアップグレードを図っている。

なお米国での名称はディスカバリー3が「LR3」であるのにならい、フリーランダー2は「LR2」となる。ディスコ3は3代目だから3、フリーランダー2は2代目だから2なのだが、米国の呼び名では数字がクラスを意味しているわけだ。レンジローバーは、というと、こちらは従来通りレンジローバーと呼ばれている。

価格帯&グレード展開

390万~530万円。違いは装備のみ

海外にはディーゼルもあるが、日本仕様の駆動系は全車3.2リッター直6+6AT+4WDの1種類。主に快適装備によって3グレードに分かれ、大ざっぱに言えば標準の「S」、それに+70万円分(DVDナビ、革/布コンビ電動シート、キセノンヘッドライト等)を足した「SE」(今回の試乗車)、さらに+70万円分(フルレザー内装、電動サンルーフ、18インチホイール、AFS=ヘッドライト光軸可変機構等)の「HSE」となる。標準のSは、社外ナビ&非レザー派にうってつけだ。

S 3.2リッター直6・6AT・フルタイム4WD 390万円
SE 460万円
HSE 530万円

   ★今回の試乗車

パッケージング&スタイル

Tシャツからジャケットへ

ボディサイズ(先代比)は全長4515(+135)×全幅1910(+100)×全高1765mm(+55 ※非ナビ装着車は1740mm)。かなり幅広だが、最初は「1800mmくらいかな」と思ったくらいで、実際にはそんなに大きく見えない。カジュアル過ぎず、威圧感もなく、レンジと一緒にガレージに並べても引けをとらない品質感がある。先代のような樹脂剥き出しパーツはもちろん一掃された。Tシャツではなく、いい歳の大人がジャケットを着て乗れるクルマになった。

垂直基調の面やラインが強いレンジローバーに対して、フリーランダーはグリルにしろ、フロントウインドウにしろ、斜めが多いのが特徴だ。一方でヘッドライト、上から覆い被さる形状のクラムシェル・ボンネット、ステップト・ルーフ(Stepped Roof、ボディ後半で1段高くなる屋根)といったデザインがランドローバーのDNAを感じさせる。また、ボルボ譲りの直6はフロントに横置きされるが、オーバーハングは短く、FF車ベースを感じさせないため、スタイリング面でも上級のレンジやディスコ3と断絶せずに済んでいる。

インテリア&ラゲッジスペース

質感も空間もまったくの別物

室内の品質感も劇的に上がり、印象としてはレンジ、少なくともディスコ3に遜色ないのでは、と思うほど。モダンかつ暖かみのある工作は、メカニズム的に親戚関係のボルボを思わせる。全体に都会的な雰囲気だが、路面状況に応じて走行モードを変更できる「テレイン・レスポンス」用のダイアルや、少し高めの着座位置(「コマンドポジション」というほどではない)にSUVらしさが残っている。

質感以上に進歩したのが室内の広さだ。先代は低い全高と着座位置の高いコマンドポジションのおかげでヘッドルームが不足し、背が高いとルーフに頭が当たるほどだったが、新型ではもはや何の不満もない。ここだけ見ても新旧フリーランダーはまったくの別物。クラスにして、2階級は違うと実感する。

空間の広さも、座り心地も何の不足もない後席。ドリンクホルダーも使いやすいし、足もとのセンターコンソールには2人分のイヤホンジャックが備わる。乗降性も悪くないから、セダン代わりに使っても悪くない。走行中は若干、荷室からノイズが侵入するが、荷物を積めば収まりそうな?レベルだ。

荷室容量は755リッター

荷室容量は755リッターと大きめ。後席の折り畳みはダブルフォールディング式だが、ヘッドレストを抜かずに軽い力で操作できる。床面が高いので重いものの積み降ろしこそしにくいが、全体にソツのない作りだ。

先代の背面スペアタイヤを床下に移動したため、リアゲートは横開きから跳ね上げ式となった。それと合わせて、先代の電動リアウインドウ(ハイラックスサーフと同様のもの)は廃止されたが、開閉時の張り出しが少ないので不便はないはずだ。

基本性能&ドライブフィール

ボルボ譲りのストレートシックス

3.2リッター横置き直6エンジン(232ps、32.3kgm)は、その特異なエンジン形式から分かるように、新型ボルボS80譲りの最新ユニット。これとアイシンAW製6ATとのマッチングはまさに完璧で、走り出した瞬間から「素晴らしい」と思ってしまう。まず出足が軽快で、そこからアクセルを踏み込んだ時の加速がまたいい。車重は1900kgだが、感覚的には1600~1700kgくらいかと思うほど。エンジン回転の上昇と共に、ストレートシックスならではのクォーンという快音が高まる。この独特の回転バランスの良さはV6では得がたいものだ。

6ATの変速マナーもパーフェクトで、キックダウンはごくスムーズ。巡航に移れば低回転を維持して燃費を稼ぎ、状況に応じて絶妙にシフトダウンして適正な回転を維持する。100km/h巡航は1800回転+で、この時の燃費も良さそう。UK仕様の最高速は200km/hだが、確かに力感的にはそれくらい出そう。エンジンとミッションの相性という点では、クラスベストの1つと言っていいだろう。

クラス随一の剛性感

シャシー性能もまったく申し分ない。ボディの剛性感は、多くの街乗りSUVがひ弱に感じられるほどがっしりしていて、いい意味で車重1900kgの重厚感がある。乗り心地もよく「これならエアサスじゃなくてもいいや」と思える。その一方で、重量級SUVにありがちなユサユサした曖昧な動きがなく、シャキッと普通のオンロード派SUVのように走る。ホンダCR-Vほどのハンドリングマシンではないが、舵角一定で曲がる高速コーナーみたいなところはハイスピードでこなす。ブレーキング時の姿勢が安定しているし、タイトコーナーを攻め込んだ時にブレーキ制御が積極的に入ることからも、電子制御デバイスがかなり貢献しているはずだ。

老舗のプライドをかけた悪路走破性

4WDシステムは、アウディやボルボでおなじみのハルデックス製電子制御クラッチを使ったもので、いま主流の電子制御4WDの1種だ。基本的にはオンデマンド式で(駆動輪が空転してから4WDになる)、上級のレンジローバーなどの4WDとはまったく異なるが、エンジン/ブレーキ制御との協調で駆動力の強化を図っている。ダイアル1つで「オンロード」、「草/砂利/雪」、「泥/轍」「砂地」の4つの走行パターンが選べる「テレイン・レスポンス(Terrain Response」システムや、悪路の急な下りをブレーキ制御でゆっくり安全に下れる「ヒル・ディセント・コントロール(Hill Descent Control)」もセールスポイントだ。

根本的な部分でライバル車に差を付けるのは、足回りの構造だろう。コイルバネを使ったサスペンションはストロークを長めにとった4輪独立式で(前:マクファーソンストラット、後:マルチリンクストラット)、アーム類やビームの張り出しは小さく、デフケースは上の方に付いている。走破アングル(カッコ内はレンジローバー車高リフト時)は、侵入時のアプローチ・アングルが31度(34度)、乗り越え時のランプブレークオーバー・アングルが23度(30度)、マフラー等が干渉しやすいデパーチャー・アングルは34度(26.6度)となかなかのもの。最低地上高は非エアサス仕様のトゥアレグと同じ210mm(レンジは225mm)、最大渡河深度も同じ500mm(レンジは700mm)だ。こうしたメカニカル面での「基礎体力」を確保したところに、開発スタッフのプライドが感じられる。

SUVの走破性能を測るテストの1つが右の写真だ。45cmの段差を使った交互に置いたこのテストでは、特殊な車両を除き市販SUVのほぼ全てで、対角線上のタイヤが浮いてしまう。これはエアサスのレンジローバーでも、本格SUVのディフェンダーでも変わらない。ここで対角線スタックを免れるには、接地する2輪に十分な駆動力を伝えることが必要だが、それを可能とするのが古典的なデフロックやLSD(リミテッド・スリップ・デフ)、もしくはESPのような電子制御となる。フリーランダー2はここを難なく走り切るが、もし電子制御デバイスが無ければ(それを持たない他の4WD車同様に)スタックしてしまうはずだ。

ちなみにこの後で試したレンジローバーでは、長いサスペンションをエアで伸び縮みさせるため、写真と同じ条件でも姿勢変化がほとんどなく、2輪接地状態から3輪接地状態に戻る時のショックが小さい。おかげで精神的な安心感が格段に違う。また、タイヤが地面に対して垂直にまっすぐ接地することも、実際の悪路では威力を発揮するはずだ。もちろん強力なV8エンジンとセンターデフロックにより、絶対的な駆動力もはるかに大きい。多くのユーザーは自分のクルマでそれを試す気にはならないだろうが。

実燃費は6km/L台をキープ

今回は3日間で280kmを走行。参考燃費(車載燃費計の表示)は、一般道を交通の流れに乗るだけなら約7km/Lをキープしつつ、撮影と試乗でやや数値を落とし、トータルで6.2km/Lに落ち着いた。10・15モードは8.1km/Lなので、割と現実的な数字と思われる。車重1900kgの3リッタークラスだと5km/Lもあり得るから、なかなか優秀だ。

ここがイイ

シート高があまり高くなく乗り降りしやすい。そして四駆としては当たり前なのだが、ドアがサイドシル部分をフルカバーし、ズボンの裾が汚れることはない仕組みだ。空間も先代以上の広さ。リアシートの空間にも不満はない。インパネに外連味(けれんみ)がなく、ディスプレイ位置も高くて全体に使いやすい。

車重の割にパワー感があり、燃費もほどほど。オンロードでは静粛性が高く、路面の凹凸をあまり伝えない乗り心地は絶妙だ。テストコース走行でわかるとおり十分な走破性能を持ちながら、オンロードではちょっとしたスポーティカー並に軽快。コーナリングも軽やかで、楽しい。

見事なまでにスクエアで、リアにタイヤを背負わないスマートなスタイリング。個性こそ薄いが、その威圧感のなさはやはり好ましく感じられる。それゆえロングライフで生活の友となりうるだろう。さらにランドローバーというブランドを奥ゆかしく誇っており、嫌みのないプレミアム感が心地よい。見て良し、運転して良し、乗せられて良し。3拍子揃ったSUVだ。

ここがダメ

上級グレードが標準するナビがいまどきDVD式で、地デジどころかテレビチューナーもないこと(タッチパネル式で使いやすいが)。これは標準グレードの「S」を選んで、社外ナビにすれば問題ないが、そうするとキセノンライト、電動シート、シートヒーター等もなくなってしまう。

バックソナーはあるが、バックモニターはなく、左サイド死角を映すモニターカメラもない(おかげで例の補助ミラーが付いてしまう)。バックモニターは社外品でも何とかなるが、サイドカメラの後付けは難しいところで、ここはメーカーで何とかしてもらいたかったところだ。5月に発売された英国日産製の輸入車であるデュアリスや、今度日本に導入されるダッジの中型SUV「ナイトロ」の日本仕様にも、左サイドの死角を映すモニターが付く(デュアリスはナビとのセットオプション)。オフロード走行時に路面状況を把握するのにも便利なので、ランドローバーにもぜひ採用してもらいたい装備だ。

他に気になったのは、昼間時に速度/回転計の数字と目盛りが小さ過ぎて、視認性があまり良くないこと。あと、本来はインテリジェントキーだったのでは?と思うくらい、ステアリング左側のスロットにブロック型キーを出し入れするのがやりにくいことくらい。

総合評価

なんだかとてもいいクルマだ。ほとんどの人は乗ってすぐそう思うはず。「ボディ剛性の高さはすべてに効く」ということは、こういうことかと思い知らされる。これだけのオフロード性能で、この乗り心地。しかもエアサスではない。これはまいった。もう一つまいったといえば、この手の四角いクルマで150km/hあたりまで風切り音が気にならないのはたいしたもの。もちろん6速トップの恩恵で、エンジン回転も低めに押さえられるから、高速巡航はすこぶる付きで快適だ。

ワインディングはSUVを超えている。この楽しさで不満などいえば罰が当たるというもの。オフロード性能をスポイルしたならオンロード性能への評価は辛くなるが、オフロード性能をキープしているのだからたいしたものだ。快適で速いオン、本格的なオフを併せ持つまさにスーパーカー。オンからオフへ、オフからオンへシームレスに走れるあたり、フリーランダーという命名は、まさに言い得て妙というものだ。

全体としてお買い得感があり、ハードウエアの完成度はとても欲しくなるレベルにあるのだが、それに水を差すのがフェンダーに突き出たミラーだ。これで購入意欲が萎えてしまう。このミラー、スタイリングこそぶちこわしにしてはいるが、フロントおよびサイドを確認するには、この手のミラーの中では割と見やすい部類のもの。単なるお飾りではなく、実用に耐えるものだけにちょっと皮肉だ。

前述したように先日発表されたダッジ・ナイトロ用のサイドカメラはよくできていた。ダッジは現状で、車両価格や販売予定台数を明らかにしていないが、ダイムラー・クライスラー日本のエリス副社長は「日本で独自開発したものです」と自慢げに語っていた。フリーランダー2の場合は、廉価バージョンで400万円を切る価格を実現するためナビを標準としなかったことで、フェンダーミラー装着という次第になったのかもしれないが、せめてナビ付きの上級車種はカメラ付きサイドミラーにして欲しかった。真相は、標準装備のナビがカメラ切り替え機能を持っていないために結局全車フェンダーミラーとなってしまった、というあたりか。

かつてフェンダーミラーからドアミラーへ変わったとき、その大きな理由はスタイリングだった。昔と違って今はサイドビューカメラなどいい装備がある。それを使えばスタイリングと安全は両立できるし、そういうクルマこそユーザーは望んでいるはず。もしミラーをなくすのに30万円かかると言われても、400万円のクルマを買う層ならそれを許すと思う。そう思うのは若かりし頃フェンダーミラー車に強い嫌悪を持っていたトラウマのせいか。そういえばVWトゥアレグにもマイナーチェンジでフェンダーミラーがついたが、最近のユーザーはフェンダーミラーにそこまで嫌悪感を持たないのだろうか。あなたはどうだろう?

試乗車スペック
ランドローバー フリーランダー 2
(3.2L・6AT・460万円)

●形式:CBA-LF32 ●全長4515mm×全幅1910mm×全高1765mm ●ホイールベース:2660mm●車重(車検証記載値):1900kg(1120+780)●乗車定員:5 名●エンジン型式:B6324S● 3192cc・直列6気筒・DOHC・4バルブ・横置 ● 232ps(171kW)/ 6300rpm、32.3 kg-m (317Nm)/ 3200 rpm ●カム駆動:チェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/70 L ●10・15モード燃費:8.1 km/L ●駆動方式:4輪駆動(電子制御フルタイム4WD) ●タイヤ:235/65R17(Michelin Latitude Tour HP ) ●試乗車価格:460万円( 含むオプション:- ) ●試乗距離:280km ●試乗日:2007年5月 ●車両協力:ランドローバー一宮

 
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