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日産 フーガ 350GT スポーツパッケージ新車試乗記(第345回)

Nissan Fuga 350GT Sport Package

(3.5リッター・5AT・441万円)

  

2004年12月11日

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キャラクター&開発コンセプト

セド/グロの後継


2003年の東京モーターショーで発表されたフーガのコンセプトカー

2004年10月14日に発売された日産のフーガは、実質的にセドリック/グロリアの後継車であり、シーマとスカイラインの間を埋める高級セダンだ。メカニズム的には現行スカイラインに近く、FR-Lプラットフォームのホイールベースを2900mmに延長して、VQ35DEもしくはVQ25DEエンジンを搭載したもの。高級に仕立てたスカイラインとも言えるが、部品の60%以上は新設で、シャシーも大幅に強化されている。

旧セド/グロは北米で「インフィニティM45」と名前を変えて販売されてきたが、このフーガも北米では新型M45を名乗る。前作が日本市場メインだったのに対して、今回は北米メインだ。北米の方が市場規模がずっと大きい。

RJCカー・オブ・ザ・イヤーを受賞

「高級車のパフォーマンスをシフトする(SHIFT_performance)」の謳い文句通り、フーガが狙ったのは高い走行性能だ。国産車初の19インチタイヤを見れば、志の高さは分かるというもの。ベンチマークは国内メーカーが揃って目指すBMWの5シリーズといった輸入車セダン。実際の販売では、セド/グロ時代からの宿敵トヨタ・クラウンがライバルになる。

車名はバッハが好んだ音楽形式「フーガ」から、と説明されているが、日本語の「風雅」も掛けているはずだ。販売目標は月間2000台で、実際の売れ行きも好調。日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞のレジェンドに対して、こちらはもう一つの賞であるRJC(日本自動車研究者・ジャーナリスト会議)カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。

余談だが、40年以上の歴史を持つセドリック/グロリアもこれで消滅。1960年デビューの日産セドリックと1959年に旧中島飛行機系のプリンス自動車が生んだグロリアは、1966年に二社の吸収合併で兄弟車となった。名門プリンスで生まれた車名は、これでスカイラインだけになった。

価格帯&グレード展開

2.5が350万円前後、3.5が400万円台

価格は2.5リッター(2WDのみ)が341万2500円と367万5000円、3.5リッター(4WD含む)が393万7500円~493万5000円。大ざっぱに言えば、2.5リッター車が350万円前後、3.5リッター車が400万円台だ。価格帯はゼロクラウンとほぼオーバーラップする。今回試乗したのは、ほぼトップグレードに相当する350GT スポーツパッケージ(441万円、オプション込みで約530万円)だ。

北米向けの新型インフィニティM45はその名の通り4.5リッターV8だが、国内のV8搭載車は来年登場する。こちらはクラウンマジェスタ、メルセデスE500、BMWの545iに相当する。

パッケージング&スタイル

大きく見えるが、取り回しはいい

ボディサイズは全長4840×全幅1795×全高1510mm(GT・2WD)で、目立つのは背の高さだ。V35スカイラインと共通の猫背スタイルだが、ボリューム感はフーガが上。全長・全幅ともにレジェンドより小さく、クラウンとほぼ同じ。なのにフーガが一番大きく見える。フェンダーの膨らみがないのが目新しい。フェンダーの峰が見えるし、サイドブラインドモニターもあるしで、取り回しは問題なし。

ドアは4枚ともアルミ製

デザイン・キーワードは「駿馬」。外見でそれを表すのは国産車初の19インチタイヤ(245/40R19)で、フェンダーのツメも最初から折ってある。それを除くと引き締まった感じは弱く、上屋が大きいので19インチが18インチに見える。旧セド/グロの面影はかすかに残るが、良くも悪くもスリークなスタイリングは途絶えた。軽量化のためボンネット、トランクリッド、ドア4枚がアルミ製。試乗車のボディカラーは新色のグレイッシュブロンズ。前後左右にスポイラーが付く、このエアロバージョン(販売店オプション)のCd値は0.1向上して0.27。

コーディネイトが巧みなインテリア

センターコンソールがせり出すダッシュボードは迫力十分。試乗車はつや消し木目調パネルにレザーパッケージ。イグニッションONでブゥーンとメーター指針が振り切れる儀式は、今やスポーティカーの必需品。

 

ただし質感的には、クラウンのようなベタな高級感も、あるいはドイツ車のような精密さもなく、マーチ/キューブクラスの仕上げが混じってしまった感じ。しかし、試乗車のフォーブという内装色はさすが日産、センスがいい。さらに和を意識したシルキーエクリュにピアノ調フィニッシャー仕様もイキだ。

やっぱりドライバーズカー

後席は2900mmのホイールバースが期待させるほど広くない。立派な後席をドーンと据えて、空間を贅沢に使う。アーチ状の天井のおかげで圧迫感はない。大人2人なら快適だが、収納式サンシェイドがないのは残念。後席にいると何となく、「ドライバーズカーだな」と思わされてしまう。

 

トランク容量は495Lで、目標(500Lあたり)をほぼ達成。開口部は小さいが、容量は十分だ。9インチのゴルフバッグとスポーツバッグを各4セット積載可能とのこと。アームレスト部分がトランクスルーになる。

基本性能&ドライブフィール

快適より豪快

試乗したのは看板グレード、350GTのスポーツパッケージ。19インチのポテンザRE050Aと専用スポーツサス、ハイキャス改めリヤアクティブステアを装備するのはこのグレードだ。エンジンはおなじみVQ35DE(280ps、37.0kgm)。低回転から高回転までパワフルなユニットだが、試乗車の車重はスカイライン・セダンより150kg~200kgほど重い1710kg。街中ではスロットルやキックダウン制御が過敏なせいか、慣れないうちは少しギクシャクする。

ノイズの侵入は大きめで、アイドリング時のウーという唸り声はスポーツカーみたいだ。乗り心地は19インチだけあって少し固め。低速のチョイ乗り試乗では固すぎると感じるはず。しかし、ここで即断せず、もう少しスピードを上げると世界が変わる。

高い速度域で息が合う

最初の印象はともかく、高速道路やワインディングへ行って考えを改めた。2速ないし3速全開でコーナーに入ると、ボディが引き締まったみたいにステアリングのレスポンスが鋭くなる。高回転を維持するとVQエンジンは文句なしのパワーとレスポンスで、ドゥワーンというチューンドV8のようなサウンドと共に、重かったはずのボディを軽々走らせる。めくるめくスピードの世界では街中のぎこちなさも消えて、エンジンや変速機、足まわりの応答性がバッチリ揃う。VDCを切ってもリアが妙に安定しているのは、ハイキャスあらため「リヤアクティブステア」の効果だろう。

世間ではすでに6速がスタンダードだが、フーガのATは5速。トルクがあるので回転が落ちても実害はない(6ATに越したことはないが)。マニュアルシフトダウンでは「シンクロレブコントロール」がブリッピングして素速くギアをつなぐ。変速時間を最大40%短縮したと謳うように、ハイスピードでの3速→2速のような変速は本当に素速い。自動シフトアップはないので、何度もリミッターのお世話になる。

一般道でクルーズコントロール。自動運転はそこまで来た

素晴らしい走りのフーガだが、実は一番スゴイと思ったのは新しいインテリジェントクルーズコントロールの低速追従機能だった。渋滞でも使えるレーダークルーズはトヨタ・マジェスタが先だが、フーガのものはさらに進化。マジェスタで手動切り替えだった高速モード(45km/h~115km/h)と低速モード(0km/h~35km/h)を、フーガはシームレスでつなげて自動車専用道路以外でも使用可能とした。操作もステアリング上のボタンで簡単に行える。

実際に使った感じだが、これが想像以上の完成度で「ついにここまで来たか」と衝撃を受けた。10km/h以上出ていれば、40km/h~110km/hの範囲でセット出来るから、ほとんどの一般道で使える。一度セットすれば、ドライバーがブレーキを踏むまで、アクセルもブレーキも半自動だ。例えば50km/hにセットすると、前走車がいれば50km/h以下の範囲でそのクルマの速度に合わせる。前走車が減速すればフーガもアクセルオフ→自動ブレーキ(ブレーキペダルが独りで動く!)の順で徐行レベルまで速度を落とす。停止まで行うマジェスタと違い、フーガの場合は停止寸前で警告音とともにブレーキを解除してしまうが、再セットは簡単だ。

最後に燃費だが、オドメーターが1000kmを越えていた試乗車の生涯燃費(車載コンピューター上)は4.4km/L。今回の試乗ではおよそ250km走って4.8km/Lだった。燃料タンクは80Lなので、400km走って1万円払うという感じ。ただしクルーズコントロールを多用して高速道路や郊外の国道を穏やかに走れば、10・15モード燃費(9.2km/L)は現実的だろう。

ここがイイ

低速追従機能付きインテリジェントクルーズコントロールは、街中を低速追従で走ると、流れの中を走る限りアクセル操作不要。一種の自動運転を実現。これを待っていた!

元々セド/グロはクラウンより走りがいいのがウリ。ライバルのクラウンが走りをウリにしてしまった今、後継のフーガが負けていてはいけないとばかりに、見事にスポーティ路線へ。結果、回頭性がよく、スカイラインより上級なのにフェアレディZのような身軽さを持った。また見切りがよくてフロントの車両感覚がつかみやすく、サイドやリアのモニターカメラも貢献して、ボディサイズに似ない取り回しの良さがある。また値段も安めで、ボディラインは(セドグロのイメージを引き継ぐ)日産らしい(ちょっとやんちゃな)カッコ良さがある。

カーウィングス対応カーナビの操作性は秀逸。現在最も使いやすいメーカー標準装着ナビといってもいい。ちなみに当社(デイズ)の位置も移転後の住所になっていた。が、残念ながら、他社のナビでは表示した道路(最近開通した道路)が表示されず、地図は最新とはいえなかった。

12月だというのにワインディングを走るとちょっと汗ばむこの冬だが、そんな時にシートヒーターと同時装着されたシートクーラーの効果を実感。背もたれの腰のあたりに冷気があたるが、膝裏あたりにもう少し風が欲しいところ。こういった快適装備はどんどん標準化すべきだ。

ここがダメ

エンジンがいつものVQ35なので、高級車としてはトルク感にゆとりがない。V8の登場が待ち遠しいところ。それゆえ、エンジンを回したハイスピード域じゃないとクルマとしての良さが分かりにくい。またプラットフォームからエンジンまで、他車からの「使い回し」という先入観がでてしまい、どうも新鮮みに欠けるあたりも残念。

内装は日産らしいデザイン力で、質感、高級感をカバーしようというもの。シートの縫い目などを見ると、少し仕上げに不足感がある。レジェンドと比べると一見した高級感は上だが、じっくり見た場合の素材感は下。

インテリジェントキーはドアノブのボタンを押してロックするタイプ。それよりレジェンドのような「離れれば自動ロック」が望ましい。

総合評価

走りの面ではクラウンシリーズ(マークXを含む)同様、いやそれ以上のスポーティーさがあり、SH-AWDのレジェンドに匹敵する走りの一台だろう。SH-AWDとリアアクティブステアは、曲げるために後輪を積極的に動かすという点では近いもの。4輪制御の時代に入ったことを実感する。

しかし何といっても、低速追従機能が自動運転を現実のものにしていることが素晴らしいところ。交通量の多い市街地走行でも、スイッチを入れて置けばピピピピという警告音の後、ピーと鳴ったところでブレーキ踏めば大丈夫。ただし、結構慣れは必要で、心理的には、ついクルマの減速より早くブレーキを踏んでしまうのだが。これに慣れればほぼアクセル操作なしで混んだ街中を走れる。混んだ道を前のクルマにイライラしながらついていくより、このモードにしておいた方が心理的に気楽だ。

ただ、それから遊ばしている右足の置き場がない。すかさずブレーキを踏めるよう、「右足フットレスト」も用意して欲しいところだ。おまけに言えば、低速追従まで出来なくてもいいので、前車との接近警告音を出す装備だけでも全てのクルマに付けて欲しいもの。追突事故はかなり減るはずだ。

低速追従機能の課題は、従来のレーダークルーズ同様、前走車を見失った時に、設定速度までどんどん加速してしまう点。高速道路以上に一般道では、前走車を見失う頻度が高い。仮に100km/hに設定したとすれば、放っておけば100km/hまで加速しようとする(設定するドライバーの責任だが)。また、当然ながら赤信号でも前走車がいないと、自分でブレーキを踏む必要がある。当たり前のことだが、こんな当たり前のことが気になる完成度だった。

多くの人はクルマはいつまでも自分で運転するもの、と考えているが、近い未来には必ず本当の意味で「自動車」になる。そのときには、勝手に自動で走ってくれる時と、ドライバーがコントロールする時と、二つの性能が必要になるだろう。フーガはかなり自動運転で走る。そしてドライバーが意識的に走ろうとすれば、今度は豪快に速い。早くも2つの性能を持ったフーガを、RJCだけでなくモーターデイズでもイヤーカーとしたい(と締めたいところだが、今年はレジェンド、ポルテ、スイフトといったエポックなクルマが目白押しで未だ決定できず)。

試乗車スペック
日産 フーガ 350GT スポーツパッケージ
(3.5リッター・5AT・441万円)

●形式:CBA-PY50●全長4840mm×全幅1795mm×全高1510mm●ホイールベース:2900mm●車重(車検証記載値):1710kg (F:920+R:790)●乗車定員:5名●エンジン型式:VQ35DE●3498cc・DOHC・4バルブ・V型6気筒・縦置●280ps(206kW)/6200rpm、37.0kgm (363Nm)/4800rpm●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/80L●10・15モード燃費:9.2km/L●駆動方式:後輪駆動(FR)●タイヤ:245/40R19(BRIDGESTONE POTENZA RE050A)●価格:441万円(試乗車:528万5490円 ※オプション:助手席パワーオットマン+本革シート+前席エアコンディショニングシートなど 36万7500円、インテリジェントクルーズコントロール(低速追従機能付)+前席緊急ブレーキ感応型プリクラッシュシートベルト+インテリジェントブレーキアシスト 17万8500円、ETC+プラズマクラスターイオンフルオートエアコン 4万7250円、プライバシーガラス 3万1500円、ウインカー付ドアミラーカバー 4万1370円、エアロバージョン<販売店オプション> 20万9370円)●試乗距離:約200km

公式サイトhttp://www2.nissan.co.jp/FUGA/Y50/0508/CONCEPT/main1.html

 
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