キャラクター&開発コンセプト
日産独自の1モーター・2クラッチ方式FRハイブリッド
2010年11月2日に発売された「フーガハイブリッド」は、2代目フーガ(2009年11月発売)がベースのハイブリッド車。これまで日産のハイブリッド車には、2000年に100台限定で生産されたティーノハイブリッドのほか、トヨタから技術供与を受けて開発し、米国で販売しているアルティマハイブリッド(2006年-)があったのみで、国内向けとしては久々のハイブリッド車だ。
そのハイブリッドシステムは日産独自の1モーター・2クラッチ方式となる「インテリジェント デュアル クラッチ コントロール」と呼ばれるもの。駆動と発電を1つのモーターで行い、2基あるクラッチの一つでモーターとエンジンを切り離し、モーターのみで走行する。もう一つのクラッチは変速機の後方に置かれ、主に駆動ショックを緩和するようだ。
変速機は既存の7ATがベースだが、トルクコンバーターを廃して伝達効率を高めた新開発の「ハイブリッドトランスミッション」。またハイブリッド用バッテリーには、新型EV(電気自動車)のリーフに用いられたラミネート構造のリチウムイオンを採用。エアコンは電動インバーター式だ。
これらの結果、10・15モード燃費はコンパクトカー並みの19.0km/Lを達成。ライバルであるGS450hの14.2km/h、クラウンハイブリッドの15.8km/Lを大幅に上回っている。さらに、これまでのハイブリッド車では出来なかった高速域でのEV走行も可能だ。
シーマ/プレジデントの後継という役割も
販売目標は月間200台。受注台数は発売後約1週間で、5倍以上の1010台に達したという。ちなみに初期受注の内訳は50~59歳が30.6%、60歳以上が55.2%で、つまり50歳以上が85.8%以上を占めている。
なお、日産の旗艦セダンとして長年君臨してきたシーマ(4代目は2001-2010年)とプレジデント(3代目は2003-2010年)は2010年8月に生産を終えており、後継車もないことから、フーガが日産の新たな最高級セダンとなる。
またフーガは海外では「インフィニティ M」と名を変え、現在は3.7リッターV6の「M37」と5.6リッターV8の「M56」を販売中だが、北米では2011年春にフーガハイブリッドに相当する「M ハイブリッド(M35h)」を追加する予定だ。
※過去の新車試乗記 フーガ/シーマ関連】
■新車試乗記>日産 フーガ 350GT (2004年12月)
■新車試乗記>日産 シーマ (2001年3月)
※過去のニュース&新車試乗記 【FRハイブリッド関連】
■新車ニュース>メルセデス・ベンツ Sクラス ハイブリッド (2009年10月)
■新車試乗記>トヨタ クラウン ハイブリッド (2008年6月)
■新車試乗記>レクサス LS600hL (2007年6月)
■新車試乗記>レクサス GS450h (2006年4月)
価格帯&グレード展開
標準車は577万5000円。VIPパッケージは630万円
基本的にはモノグレードで、標準車の価格は577万5000円。注文時のオプションには、本革シートやエアコンディショニングシートをセットにした「本革パッケージ」のほか、セミアニリン本革シートや銀粉入り本木目パネル、スエード調ルーフ等を備えた「プレミアムインテリアパッケージ」(45万1500円)、BOSEサラウンドサウンドシステム(18万9000円)などがある。
また、豪華装備を最初からまとめて装備した「VIPパッケージ」仕様(630万円)も用意。これは前述の「プレミアムインテリアパッケージ」に加えて、後席パワーリクライニングシート(シートヒーター付)、リアセンターアームレスト内蔵コントロールスイッチ、リア電動サンシェード、コンフォートサスペンションなどを装備したもの。装備の充実ぶりを考えると、最初からVIPパッケージを選ぶのがお得だ。
もちろんハイブリッド車なので、新車購入時の自動車取得税と自動車重量税は100%免税される。
【3.5リッターV6(306ps・35.7kgm)+モーター(68ps・27.5kgm)・7AT】
10・15モード燃費:19.0km/L
JC08モード燃費:-km/L
■フーガ ハイブリッド(標準車) 577万5000円
■フーガ ハイブリッド VIPパッケージ 630万円 ★今回の試乗車
パッケージング&スタイル
外観はガソリン車とほぼ同じ
モーターデイズ試乗記では初出(しょしゅつ)の2代目フーガ。ざっと外観からパッケージングまで見てみると、ボディサイズは現行フーガの純ガソリン車と同じで、全長4945mm×全幅1845mm×全高1500mm、ホイールベースは2900mmだ。
大きいことは大きいが、最高級セダンとして考えると、これはむしろコンパクトな方で、サイズ的にはレクサスLSとGSの中間、あるいはクラウンマジェスタと同等。また最小回転半径は5.6メートルとまずまず小さく、ボンネット上にはポルシェ911風の峰が見えるので、意外と車両感覚はつかみやすい。さらには日産お得意のサイドブラインドモニターもあるので、大きいクルマに不慣れな人でも割とすんなり運転できると思う。
外観でハイブリッド車と分かる部分は、ごくわずか。左右フロントフェンダーとリアの「HYBRID」バッジを除くと、18インチアルミホイールに施された「クロームカラーコート」や外装色にチタン・メタリック塗装の「エターナルスノーホワイト」があることくらいだ。実際に街で出会った時は、見た目よりも独特の走行音でハイブリッドと気付くことが多いだろう。というのもフーガハイブリッドはリーフ同様、低速走行中にモーター風の走行音をスピーカーで発生させるからだ。ヒュィ~ンという音で、車内ではほとんど聞こえない。
インテリア&ラゲッジスペース
豪華・ハイテク装備はもちろん、「タコメーター」も装備
装備は非常に豪華だが、インテリアもガソリン車と大差なし。変わらない点で最たるものがタコメーターの存在だ。というのも、モーターのみで発進・走行が可能なハイブリッド車でタコメーターを装備する例は、今までほとんど例がなかったからだ。
これが便利なのは、走行中にエンジンが止まっているかどうかを一目で確認できること。またこれによってフーガハイブリッドでは、タコメーターが「0」を差した状態でも、発進、加速、巡航するという、新鮮な体験ができる。
またメーター中央の液晶パネルには、平均燃費、エネルギーの流れを示す「エネルギーモニター」、EV走行時間などを表示する多機能液晶モニターを配置。トヨタのハイブリッド車でおなじみの「アシスト/チャージゲージ」も小さめだが付いている。
ナビモニターに地図、エネルギーモニター、燃費を同時表示できる
もちろんHDDカーウイングスナビは全車標準で、こちらの画面にもエネルギーモニターや平均燃費などを表示できる。中でも画期的なのが、今までありそうで無かった「三画面同時表示」。よく使う地図画面、エネルギーモニター、平均/瞬間燃費を同時に表示できる機能だ。ただ、他の画面、例えばテレビ画面などと組み合わせることは出来ない。
ちなみに今回、取材中に困ったのは、どこをどう押せば「三画面同時表示」モードになるのか、取扱説明書を読んでも分からなかったこと。ほとんど挫折しかけたが、最後に何とか探り当てた方法は、以下の通りだ。
・1、モニター左下の「設定」ボタンを押す。
・2、画面上の「ナビゲーション」をコマンダーで選択。
・3、画面上の「地図ビューの設定」をコマンダーで選択。
・4、画面上の「常時表示設定」をコマンダーで選択。
・5、画面上の「常時燃費表示」をコマンダーで選択。
後席は絶対的な広さこそないが、快適豪華
全長4.9メートル超、ホイールベースが2.9メートルもあるクルマだが、後席はシーマやプレジデント、あるいはレクサスLSやLSロングなどと比べてしまうと、少々タイト。あくまでフーガはオーナードライバー向けのミディアムクラス車で、しかもルーフやサイドウインドウを上方で絞っているからだ。
また乗降性についても、ヒップポイントが高い割に、ルーフがやや低いため、乗り込むときに頭がつかえやすいほか、サイドシルが高いため(フットウエルが深い)、足運びに気を付ける必要がある。
ただ、いったん座ってしまえば、高めのヒップポイントによって自然な着座姿勢になるし、見晴らしも良好。ドイツ製高級セダンの場合、ヘッドルームを稼ぐためにヒップポイントが低く、小柄な日本人では閉塞感を覚えるものが多いが、その点ではフーガが優れる。またVIPパッケージ車には、アームレストにオーディオや空調のコントロールスイッチが備わるほか、左右席それぞれが電動でリクライニングするなど(背もたれと座面が同時に動く)、最高級車並みの装備が一通り揃わる。
トランクはGS450hより広く、クラウンHVやLS600hと同等か?
トランク容量は手元の資料では不明だが、後席背もたれの後方にハイブリッド用バッテリーを搭載するため、奥行きはない。ただしリチウムイオンの強みでバッテリーを小型化したせいか、9インチのゴルフバックが最大で4個、何とか入るようだ。荷室には積み方を指示するイラストが貼ってある。
一方、ライバル車となるGS450hのトランク容量はこれより小さい292リッターで、ゴルフバッグは2つまで。米国のインフィニティ公式サイトには、「GS450hよりトランクが広い」と名指しで記述があった。ただしクラウンハイブリッドのトランクは、もともとクラウンのそれがGSより大きいため、376リッターとなり、ゴルフバッグも4個積める。ちなみにLS600hもマイナーチェンジでゴルフバッグが4個積めるようになったようだ。