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トヨタ ガイア新車試乗記(第30回)

Toyota Gaia

 

1998年06月26日

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カーデータ

●カテゴリー: 乗用車型ミニバン
●クラス(排気量):2184cc
●キャラクター : 競争の激しいミニバン市場に、トヨタ第2の乗用車型ミニバンとして投入されたのがガイアだ。すでにトヨタにはファミリービークルとして登場したイプサムがあるが、室内の広さや高級感という面ではホンダ・オデッセイ、ミツビシ・シャリオに今一つ及ばなかった。販売実績も若干の差ではあるが、この2車に抜かれている。そこでトヨタは、この2車と真っ向から勝負するためにニューモデルが必要となり、ガイアを開発。イプサムをベースに開発され、5ナンバーミニバンを守りながらも全高、全長を拡大することで室内空間を向上し、高級感溢れる演出が図られている。広さと高級感を備えた小型ミニバンだ。
●コンセプト:高級感溢れる上質なデザイン、広い室内空間を追求したパッケージ、高級ファミリービークルにふさわしい優れた基本性能、多面的な安全性と環境への配慮といった開発テーマを融合しながらも、経済性や取り回し性に優れる5ナンバーサイズにこだわった。意地悪くいえばエスティマを5ナンバーサイズにしたら売れたので、イプサムを5ナンバー枠一杯に大きくしたら売れるだろうということ。
●注目度: 「大地の女神」という意味を持つ大げさな車名だが、イプサムほどの話題性はない。はっきりいって名前負けしている。それでもイプサムの欠点を克服し3ナンバーミニバン市場を視野に入れているだけあって、5ナンバーミニバンと3ナンバーミニバンの購入層両方から注目されるだろう。
●特筆装備 : 4月にマイナーチェンジを受けたイプサムに搭載されたアクティブトルクコントロール4WDという画期的システムがガイアにも搭載される。
 これはスタンバイ式4WDの一種で、FFをベースに電子制御カップリングをリアデフに搭載。前後輪のトルク配分をほぼフロント100対0のFFに近い状態から50対50の直結4WDの間で連続的に可変でき、様々な走行条件において最適な駆動力配分を実現した。軽量&コンパクト設計なので燃費にも優れ、最小回転半径5.5mとFFと同じ回頭性を実現しているのも朗報だ。
 車輪速および操舵角を感知する各種センサーに加えて舵角センサーとGセンサーを採用しているので、滑りやすい雪道や坂道でもこれまでの4WD車よりも安定した発進、加速、コーナリングが可能となった。複雑で重量が重くなりがちなアテーサなどのトルクスプリット式や、トルク配分制御が遅れがちなデュアルポンプなどのスタンバイ式の欠点を克服した理想の4WDシステム(ハイパワー車には不向きだが)といえる。またスイッチ操作でFFモードと4WDオートモードの切り替えも可能。価格はFFの24万円高となる。
●燃費 : ガソリン車は10・15モードでFFが11.6km/リットル、4WDが11.4km/リットルと0.2しか違わない。ライバル比較してみてもオデッセイの10.6km/リットルを上回り、シャリオグランディスの11.6km/リットルと同数値。だがグランディスはハイオク仕様となっている。つまり燃料を満タン補給する度に600~900円ぐらい節約できるわけだ。無論、排気量やパワーに違いはあるが、ファミリーミニバンとして大切な経済面を考えるなら、ガイアのアドバンテージは大きい。2リットルいう排気量も、税制面で大きなメリットとなるはず。さらに経済性を求めるならディーゼルもある。
●価格・販売 : 価格帯は205万円~229万円で販売店はトヨタ店。エンジンと駆動方式の違いがあるだけでグレードは基本的に1グレードとなる。なお、ナビ、プライバシーガラス、ツインムーンルーフ、アルミホイールなどをセットオプションした3タイプのパッケージ(14万円~39万円)が用意されている。

スタイル

イプサムベースといえどもボディ外板はすべてガイア専用設計となる。並べると素人には区別が付かないほどオデッセイに似ている。フロントビューではヘッドライトが明確に違うのでやっと見分けがつく!? これはトヨタのオデッセイ・コンプレックスの表れなのだろうか。ベースとなったイプサムはミニバンの中でも独創的なグッドデザインといえるが、ガイアはパッケージングを優先したばかりにリアピラーのデザインなどが平凡になってしまい個性が薄れてしまった。それでも彫刻的なキャラクターラインやメッキパーツなどでファミリー色の強かったイプサムよりもグッとフォーマルな高級志向に仕上げられている。テールランプが若者の間で流行っている違法スレスレの? クリアレンズを採用しているのが面白い。

パッケージング

扱いやすさと快適性の両立を図り、ボディは5ナンバーサイズとしながらも2735mmのロングホイールベースに、イプサムよりも90mm長い・4620mmの全長と、20mm高い1640mm(4WDは1665mm)の全高とし、イプサムのウィークポイントであったサードシートの居住性を高めている。なお、90mm延長された全長のうち70mmがサードシートより後ろのラゲッジスペースの拡大に当てられている。また、イプサムにはないキャプテンシートの6人乗りを設定し、高級ファミリービークルとしての位置づけを明確にしている。足踏みパーキングブレーキは採用していないが前後左右のウォークスルーも可能。
 セカンドシートのスライド量は6人乗りが285mm、7人乗りが345mmで、シートバックを倒すと便利なテーブルに早変わりする。こうしたシートアレンジについてはマイチェン後のイプサムのユーティリティをそのまま踏襲している。ガイアオリジナルアイテムとしては運転席と助手席の間に装備された格納式センターテーブルがある。ここには2名分のドリンクホルダーも装備されており、車内には計10名分もあって、まさにドリンクホルダーの嵐。

内装(質感)

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インパネはマイチェン後のイプサムと同じだが、チャコール系の内装カラーは、グレーの内装カラーを持つイプサムよりも落ち着いた雰囲気を作りだしており、視覚的な開放感を与えている。ドアトリムにも小さな子供が汚したらどうしよう、と不安にさせるくらいの立派な生地が使われており、このあたりも「大人のためのミニバン」といった演出が図られている。やはり小さな子供がいるヤングファミリーにはイプサムがピッタリだろうと思わせられた。

シート・ステアリング・シフト感触

基本的にイプサムと同じ。誰もが扱いやすい好感の持てるものとしている。もちろんセカンドキャプテンシートが特等席。

動力性能(加速・高速巡航)

試乗したのは2.2リットルディーゼルターボ搭載車。最高出力94馬力と控えめながら、アイドリング直後の回転数からターボの助けによって太いトルクを発生し、4000回転くらいまでフラットなトルク特性を維持している。アクセルのオン、オフによる挙動変化が少なく、多人数乗車や大きな荷物を載せる機会が多くなるミニバンにあったセッティングといえる。ディーゼルにありがちなもっさり感はなく、意外なほどに軽快な走りをみせてくれた。実用性能は高いといえるだろう。

高速巡航の直進安定性も優れており、レーンチェンジでもスパッとまではいかないまでも、乗用車的なロール感で落ち着きのあるもので安心できる。

とはいえ、エンジンをフルに回してほぼ思うように走るという感じで、余裕がないのは確か。高速も150km/hあたりが最高速といった感じで(実際はもう少しでそうだが)、100km/hからの加速も非常にとろい。

ハンドリング・フットワーク

特に何も感じなかったハンドリングは、ミニバンというキャラクターを考えた時、高いレベルにあることを意味するのだろう。初めてミニバンに乗る人でも違和感を感じさせない穏やかなステアフィール。ギクシャクとした1BOXミニバンと比にならない素直な応答性と安定した走りは、ガイアの大きな魅力のひとつでもある。

サスペンションはフロントにストラット、リアにトーションビームを採用。リアはスプリングとダンパーを別配置し、スプリング位置を低く抑えることで低くフラットな床を実現している。

乗り心地

ゆったりとしたもの。しかし柔らかすぎないのは当然。1人で試乗していてはダメで、もう少し大人数で試してみたかった。

騒音

アイドリング時はわずかにガラガラとした音が耳に付くが、いったん走りだしてしまえばガソリンエンジンと遜色のない静粛性を保ち、トヨタの徹底した遮音対策には頭が下がるばかり。それでも経年劣化面ではおそらくガソリンに及ばないであろうから、長く乗られる高級ミニバンという性格を考えれば、2.0リットルガソリンエンジンの方を勧めたい。イプサムにはない遮音材を追加しており、セカンド、サードシートの静粛性がより強化されている。

安全性

GOAボディを採用し、デュアルエアバッグ、ABSを全車に標準装備する。また、運転席に加えて助手席にも点灯式シートベルト非着用警告灯が設定されている。

障害物を表示灯とブザーで知らせるクリアランス&バックソナーはL、Gパッケージに標準装備される。また、シフトポジションをリバースに入れると自動的にカメラが作動し、カーナビモニターに車両後方映像が写し出され、車両後方を確認できるバックモニターは一度試してしまうとハマってしまうほど便利なアイテムで、ワイドマルチAVステーションⅡとセットで全車にオプション設定される。後ろの見にくいワンボックス系ではリアアンダーミラーが必需品だったが、見てくれが悪くなるのが欠点。このモニターがあればリアスタイルと視界が両立できる。とにかくギリギリまで下がれるので、車庫入れには便利極まりない。見切りの悪いフロントにもあるといいと思う。

環境対策

ディーゼルエンジンはEFIやEGRシステムの採用により、平成10年度の排出ガス規制に適合している。

ここがイイ

5ナンバーサイズという限られたパッケージの中に3ナンバーミニバンに匹敵するゆとりある室内空間と高級志向の演出が施されているところ。乗り降りが大型ミニバンより楽なので、お年寄りを含めた5人以上の家族には間違いなく喜ばれる。その点で、エミーナ・ルシーダの買い換え需要を喚起するだろう。またエミーナなどより乗用車的な分、いわゆるセダンから乗り換える人も増えそうだ。そういう意味では、低迷する市場への適切なカンフル剤といえるだろう。

ここがダメ

結局こういう個性の薄さがより多くの人に受けることになるのだが、イプサムのような思い入れの強いデザインワークや個性が感じられないことは残念だ。どうもトヨタはリキの入ったクルマを出した後、あまり売れないそのクルマをベースに売れる商品に作り変えるのが得意のようで、ガイアはまさにそれ。商品は良くできているが、志が低いという点では支持したくない。乗れば不満のないいいクルマなんだけど。

すぐ改善すべきと思ったところが1カ所ある。それはインパネ最上部のディスプレイ横にあるオーディオスイッチ。前屈みにならないと手が届かない。これはちょっとまずい。

総合評価

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ワンボックス時代から多人数乗車カーに乗っていた人は、だんだんダウンサイジングしたがっている。大きなミニバンの無駄に気付いてきているからだ。大衆車クラスに乗ってきた人は、もう少し大きくて便利なクルマを欲しがっている。小さいクルマの不便さを知っているからだ。そうすると必然的にこの手のクルマが売れる。オデッセイ、グランディス、先日出た日産のプレサージュといよいよ揃い踏みだ。中でも高級を売り物にしながら手頃な価格と5ナンバーサイズにこだわったというガイアのコンセプトは評価でき、販売面でも健闘するだろう。特にトヨタ店には今までエミーナしかなかったのだから、ガンガン売るはずだ。ただガイアは今一つ面白味に欠ける。プログレを始め、最近のトヨタはかなりアグレッシヴなのだが、ガイアは80点主義のトヨタの再来に見えてしまう。ベースのイプサムを含めて、あちこちのクルマのイイとこ取りの感じが鼻につく。ま、乗ってしまえば不満のないいいクルマなんだけど。

お勧め度(バリューフォーマネー)

幸せを絵に描いたような家族のためのミニバン。ハンドルを握るのは何もお父さんだけではないはず。お母さんが運転するケースも多いはずだ。お母さんに限らず、あまり普段運転しないドライバーにとっては、やはり5ナンバーサイズというのは取り扱い面で安心感が高い。というわけでいままでカムリやカリーナをファミリーカーにしていた家庭は、迷わず買いなさい。それまでの倍くらいは幸せ感が高まるはず。大型ミニバンと違ってフォーマルなシーンで似合うのも取り柄だ。
 経済性、回頭性に優れたアクティブトルクコントロールは24万円高になるが、安全性も高いので雪国に住んでいなくても、積極的に選んでも損はしないといえる。

 

公式サイトhttp://toyota.jp/

 
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