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VW ゴルフ GTE新車試乗記(第776回)

Volkswagen Golf GTE

(1.4L 直4ターボ・6速DCT・プラグインハイブリッド・499万円~)

フォルクスワーゲン ゴルフ GTEの写真EV、ハイブリッド、GTIが、
オールインワンに!
ゴルフ初のハイブリッド車
そのお手並みを拝見!

2015年12月26日

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ゴルフGTE キャラクター&開発コンセプト

ゴルフ初のプラグハイブリッド車

フォルクスワーゲン ゴルフ GTEの画像
VW ゴルフ GTE

欧州では2014年、日本では2015年9月8日に発売された「ゴルフ GTE」は、現行7代目ゴルフ(ゴルフ7)がベースのプラグインハイブリッド車(PHEV)。ゴルフ初のハイブリッド車であり、VWにとって初の量産PHEVになる。

 
ゴルフGTEの内部メカニック透視図
TSIエンジン、モーター内蔵のDSGミッション、大容量リチウムイオン電池を搭載

パワートレインは、1.4L直噴ターボエンジン(150ps、250Nm)、電気モーター(109ps、330Nm)を内蔵した専用6速DCT、リチウムイオン電池(容量8.7kWh)を組み合わせたもので、電気のみでの航続距離53.1km(国土交通省審査値)、最高速130km/hを実現。ハイブリッドモードではJC08モード燃費23.8km/Lを達成している。

■参考試乗記

アウディ A3 e-tronは兄弟車

ゴルフGTEの兄弟車のアウディA3スポーツバックe-tronの写真
アウディ A3 スポーツバック e-tron

北米などのZEV(ゼロエミッションビークル)促進策に対応するため、他の大手メーカー同様に、クルマの電動化(e-mobility)を進めているVW。日本でもEV(電気自動車)のe-up!やe-ゴルフの導入が2015年内に予定されていたが、結果的にはそれより早く、PHEVのゴルフGTEが発売されることになった。

 
東京モーターショー2015で展示されたフォルクスワーゲンパサート GTEの写真
VW パサート GTE (東京モーターショー2015)

なお、11月には、ゴルフGTEと同じパワートレインを搭載する「アウディ A3 スポーツバック e-tron」も日本でデビュー。さらにVWでは、PHEV第2弾として「パサート GTE」も日本に導入する予定。

 

価格帯&グレード展開

GTIより110万円高く、499万円

フォルクスワーゲン ゴルフ GTEの画像
ボディカラーは全5色。写真は有償オプションのオリックスホワイト マザーオブパールエフェクト

GTEは基本的にワングレードで、価格は499万円。ゴルフの上級グレードである1.4 TSI ハイライン(324万2000円)より175万円高く、GTI(389万円~)より110万円高く、ゴルフR(539万円)に迫る、なかなかの高価格車。なお、アウディ A3 スポーツバック e-tronは564万円。

ただし、ゴルフGTEの場合、購入に際しては最大38万円のクリーンエネルギー自動車等導入促進対策費が適用されるという。

主なメーカーオプションは以下の通り。

  • DCC パッケージ 21万6000円 ※アダプティブシャシーコントロール“DCC”、225/40R18タイヤ+7.5J×18アルミホイールのセット
  • セーフティパッケージ 10万8000円 ※ブラインドスポットディテクション(後方死角検知機能)、リヤトラフィックアラート(後退時警告・衝突軽減ブレーキ機能)、パークディスタンスコントロール(フロント/リヤ)/オプティカルパーキングシステムのセット
  • レザーシートパッケージ 27万円 ※パワーシート(運転席、8ウェイ)、パワーランバーサポート(運転席)、シートヒーター(運転席/助手席)のセット
  • 電動パノラマスライディングルーフ (サンシェード、UVカット機能付) 12万9600円
 

パッケージング&スタイル

ブルーのアクセントカラーが目印

フォルクスワーゲン ゴルフ GTEの写真

横桟のフロントバンパー、標準車で225/45R17、オプションのアダプティブシャシーコントロール“DCC”装着車で225/40R18のタイヤサイズなど、外観はGTI を意識したもの。GTEというモデル名や204psというシステム最大出力からも、「エコなGTI」を目指したであろうことが伝わってくる。

 
フォルクスワーゲン ゴルフ GTEの写真

アクセントカラーは、GTIのレッドに対して、GTEはブルー。フロントグリルの水平ライン、「GTE」バッジ、前後ブレーキキャリパーなどが鮮やかなブルーでペイントされる。また、e-up!やe-ゴルフに共通するC字型のLEDポジションランプが備わるほか、フロントバンパー、リアバンパー、リアスポイラーがGTE専用品になる。

 
フォルクスワーゲン ゴルフ GTEの充電ソケットの写真
充電ソケットはフロントのエンブレム裏にあり、e-up!のようにボンネットを開ける必要はない
側面から撮影されたフォルクスワーゲン ゴルフ GTEの写真
全高は普通のゴルフ7と実質的に同じ1480mmで(最低地上高140mm)で、GTIよりそれぞれ10mm高い
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転
半径(m)
VW ゴルフ 7(2013~) 4265 1800 1450~1480 2635 5.2
VW ゴルフ GTE(2015~) 4265 1800 1480 2635 5.2
アウディ A3 スポーツバック e-tron(2015~) 4330 1785 1465 2635 5.1
レクサス CT200h(2011~) 4320~4350 1765 1450~1460 2600 5.0~5.2
ボルボ V40(2013~) 4370 1800 1440 2645 5.2~5.7
3代目トヨタ プリウス (2009~2015) 4460 1745 1490 2700 5.3
マツダ アクセラ スポーツ(2013~) 4460 1795 1470 2700 5.3
4代目トヨタ プリウス(2015~) 4540 1760 1470~1475 2700 5.1~5.4
 

インテリア&ラゲッジスペース

タータンチェックもブルーに

フォルクスワーゲン ゴルフ GTEの前部座席の写真
パワーメーターやブルーのアクセントカラーがGTEの証

シート地はGTI風のタータンチェック柄だが、ここもアクセントカラーはブルー。内装クオリティはベース車譲りで、Cセグメント車としてはトップレベルだが、車両価格499万円を正当化するほどではない。手動ファブリックシートが標準だが、オプションでブラックの電動レザーシート(27万円)に変更できる。

GTE専用装備は、回転計の代わりに装備されたパワーメーター(その中に小さな回転計が収まる)、走行モードの変更ボタン(EVモード、ハイブリッドモード)、パワー重視とする「GTE」モードボタン、メインディスプレイのエネルギーフロー画面、ブルーのLEDイルミネーションなど。ステアリング等の形状はGTIと同じだが、ステッチカラーは赤でなく、やはりブルーになる。

 
フォルクスワーゲン ゴルフ GTEの後部座席の写真
後席クッションの下には燃料タンクではなく、リチウムイオン電池が収まる
側面から撮影されたフォルクスワーゲン ゴルフ GTEの運転席の写真
試乗車は標準の手動ファブリックシート仕様。電動レザーはオプション
 
フォルクスワーゲン ゴルフ GTEの荷室の写真
荷室には充電ケーブル、パンク修理キット、車載工具などが収まる
フォルクスワーゲン ゴルフ GTEの荷室の写真
床上の眺めは普通のゴルフと変わらないが、床下収納がなくなった分、容量は約3割減って272L(拡大時1162L)
 
フォルクスワーゲン ゴルフ GTEの荷室の床下の燃料タンクの写真
荷室の床下にはリチウムイオン電池ではなく、移設された燃料タンクが収まる
フォルクスワーゲン ゴルフ GTEのリチウムイオン電池の画像
容量8.7kWhのリチウムイオン電池(パナソニック製)は、後席の下に配置
 

基本性能&ドライブフィール

スタート後しばらくは、EV走行がデフォルト

フォルクスワーゲン ゴルフ GTEの走行中の写真

試乗したのはDCCパッケージ装着車で、車両価格はオプション込みで約530万円。車両を受け取った時は、ほぼフル充電で、メーターにはEVモードで42km走行可と表示されていた。

とはいえ、充電レベルにあまり関係なく、最初は基本的にEVモードで始まるのがデフォルト。スタートボタンを押してもエンジンは掛からず、電気モーターのみで音もなく発進する。基本的には「自宅で充電して、電気がなくなるまではEVとして乗ってね」ということだ。

ちなみに、外部からの充電は200V普通充電で、約3時間でフル充電になる。当初は日本発の急速充電規格であるCHAdeMOに対応する予定だったが、同じCHAdeMOでも機器によっては使えないなど、なかなか対応が難しいらしい。

「電気で走ってます」とアピールしたくなる

フォルクスワーゲン ゴルフ GTEのエンジンルームの写真

走り始めの第一印象は、ゴルフなのにヒューンというモーター音だけで走るのが新鮮、ということ。EVの走行感覚は、ざっくり言えば、どれも似たようなものだが、ゴルフGTEの場合は、ゴルフなのに電気で走っている!というミスマッチ感が面白い。あと、普通のゴルフと比べると、エンジン音だけでなくロードノイズも抑え込まれていて、かなり静か。静粛性は確かに500万円クラスかも。

ただ、街を行く人も、周囲のクルマのドライバーも、これが先進の電動ゴルフだということには気づかないはずで、そこが何だか悔しく、「このクルマは今、電気で走ってるんですよ!」と周囲にアピールしたくなる。

 
フォルクスワーゲン ゴルフ GTEのパワートレインの画像
パワートレインは1.4L TSIエンジン、電気モーター(中央)、それを内蔵するPHEV専用6速DSGで構成される。ミッション部分が長くなったため、エンジン搭載位置は60mm右側(運転席側)に移動している

電気モーターの最高出力は109ps、最大トルクは330Nm(33.6kgm)で、アクセルを踏み込めば、素早くシュウィイイーンと加速する。車重は1580kgと、ゴルフ TSI ハイラインより260kg、GTIより190kgも重いのだが、こと加速する時には、そんな重さをほとんど感じさせない。

シフトレバーを手前に引くと、アクセルオフ時にエネルギー回生を積極的に行う「B」レンジに入る。BMWのi3ほどではないが、強めに回生ブレーキがかかるので、慣れればブレーキをほとんど使わずに減速できる。ブレーキパッドは減らないし、EV航続距離は伸びるしで、一石二鳥。

EVで走れるのは実質20~30kmくらい

Discover Proのレンジモニター機能の画像
「GTE」専用の純正ナビ“Discover Pro”には、その時の残存電気量でEV走行できる範囲(距離)を 360°で表示する「レンジモニター」が備わる

カタログには、EVモードでの航続距離が53.1km(国土交通省審査値)とあるが、フル充電時のメーター表示では前述のように40~42kmにとどまり、しかも実際に走り始めると、その数字は実際の走行距離以上に減ってしまう。

走り方、道路状況、エアコン・ヒーターの使用度合いにもよるだろうが、今回の試乗ではEVが苦手とする高速道路に入ってしまったせいもあり、出発から16kmで電池が尽き、自動的にハイブリッドモードに移行した。一般的なドライバーや条件では、せいぜい20kmか25kmが、現実的なところと感じた。

ちなみに、GTEに搭載されるリチウムイオン電池の容量は8.7kWhで、これは従来の日産リーフ(24kWh版)の36%、新しく追加された30kWh版の29%しかない。リーフの航続距離(JC08モード)は、24kWh版で228km、30kWh版で280kmだから、GTEのEV航続距離が53.1kmというのも、つじつまが合う。

また、e-up!の電池容量は18.7kWhで、航続可能距離(JC08モード)は185km。「e-ゴルフ」は従来型リーフとほぼ同じ24.2kWhで 215kmだ。目安として、どれも実際に走行可能な距離は公称値のだいたい半分以下と考えたほうがいいだろう。

もちろん、ゴルフGTEなら、電池切れで走行できなくなる心配はない。そこがPHEVのいいところ。

ハイブリッドモードなら合計で204ps、350Nm

フォルクスワーゲン ゴルフ GTEのメーターの写真
パワーメーター文字盤には、0から10まで刻まれており、10は100%という意味。減速時、針は反対のチャージ方向に振れて、充電度合いを示す

EVモードでもアクセルを床まで踏み込めば、パワーメーターの針は100%を通り過ぎて「ブースト」、すなわち1.4L直噴ターボエンジン(150ps、250Nm)が加勢するモードに入る。ただし、遮音が入念なせいか、エンジンが掛かった感はそれほどない。

ハイブリッドモード時でも、発進は主に電気モーターで行う。また、100km/h以上の速度域でも、巡行中にはEV走行もしくは惰性走行(コースティング)モードに入る。ハイブリッドモードと言っても、走行感覚はかなりEVに近い。

 
フォルクスワーゲン ゴルフ GTEのシフトレバーの写真
シフトレバーの左側に「GTE」ボタン、そして走行モード切替ボタンがある。シフトレバーの影で見にくいほか、ブラインド操作もしにくい

さらに、センターコンソールの「GTE」ボタンを押せば、エンジンとモーターが同時に稼働してフルパワーモードへ。システム最高出力204ps、最大トルク350Nm(35.7kgm)と、ゴルフGTI(220ps、350Nm)に迫るパワーを発揮する。この時、スカーン!とやけにいいエンジン音が響くが、どうやらこれは人工的に作られたサウンドのようだ。

ちなみに0-60km/h加速の発表値は、GTEが4.9秒、GTIが5.0秒と、僅差でGTEの勝ち。これは言うまでもなく、モーターの発進トルクが強力だから。

ただし、それ以上の速度域ではモーターのメリットが薄れると同時に、ウエイトがハンディとなり、0-100km/h加速はGTEが7.6秒、GTIは6.5秒と逆転される(フルタイム4WDのRは4.9秒)。さらに最高速は、GTEが222km/hに留まるのに対して、GTIは246km/h、Rは250km/h(リミッター作動)。まあ、日本では関係ない領域の話だが。

 
フォルクスワーゲン ゴルフ GTEのタイヤの写真

ベース車より車重が200~300kg近く増えているにもかかわらず、ワインディングで盤石の安定感を誇るのは、ゴルフ7の並外れたシャシー性能ゆえ。コーナーの立ち上がりで全開にしても、電子制御の助けもあって、前輪でアスファルトをグリグリ蹴りながら、きれいに脱出加速してくれる。車重の重さを感じないと言えばウソになるが、アンダーステアは、少なくとも一般道レベルではまず感じないし、リアヘビーな感じもない。これには、リチウムイオン電池をバラストのように車体中央の底に積んでいるのが大きいはず。

チャージモードは邪道だが

ハイブリッドモード走行時のイメージ透視図
ハイブリッドモード走行時のイメージ

100km/h巡行時のエンジン回転数は約2000rpm。前述の通り、ハイブリッドモードでも、負荷が少なければエンジンが止まり、モーターもしくは惰性で走行する。

全車速追従機能付ACC(アダプティブ クルーズ コントロール)などの運転支援装備は、もちろん標準装備。また、レーンキープアシストの操舵トルクはかなり強力で、時にグイグイと車線に沿うようにステアリングを切ってくる。

ただしハイブリッドモードだと、バッテリー残量はほとんど増えない。プリウスのような普通のハイブリッド車よりはるかに電池容量が大きいせいもあるが、もうちょっと増えてもいいのに、と思う。

そこで、もし外部充電に頼らず、再び充電レベルを上げたい時には、タッチパネルを操作して、「バッテリーチャージ」モードにする手がある。その場合は、40分程度の走行で、ほぼフル充電まで持っていける。今回の試乗では、それを2回ほどやってしまった。ただし、燃費はハイブリッドモードよりかなり悪化するため、基本的には本末転倒な使い方だ。

試乗燃費は15.7~18.3km/L。JC08モードは23.8km/L

フォルクスワーゲン ゴルフ GTEの給油中の写真

今回はトータルで約250kmを試乗。参考ながら試乗燃費は、フル充電状態からいつものように一般道と高速道路を走った区間(約80km)が18.3km/L(うち最初の16kmほどはゼロエミッション=電気モーターで走行)。また、一般道をハイブリッドモードで大人しく走った区間(約30km×2回)は15.7km/L、17.5km/Lだった。この中にチャージモードは含んでいない。

なお、ハイブリッド燃料消費率(JC08モード)は23.8km/L。燃料タンク容量は40Lで、もちろんプレミアム指定だ。

 

ここがイイ

航続距離の心配をすることなく、手軽にEV体験できる。走る、止まる、曲がるに文句つけようがない走り

正面から撮影されたフォルクスワーゲン ゴルフ GTEの写真

手軽に、実用的にEV走行が味わえること。充電設備のある場所から、少なくとも15~20km以下の短距離なら、ほぼガソリン要らずで走れるはず。

これだけのパワー、トルク、車重を受け止めながら、走る、止まる、曲がるに文句つけようがない走りはさすがゴルフ7。並みのCセグメントカーではこうはいかないだろう。インテリアの質感、居住性、実用性なども、このクラス・サイズのクルマとしては文句なし。ゴルフ 7のTSI ハイラインと比べても、価格差なりに静粛性が高く、重厚感もある。

ここがダメ

楽しいEV走行はそんなに長く続かない。価格

背面から撮影されたフォルクスワーゲン ゴルフ GTEの写真

基本的には自宅で外部充電し、出発してしばらくはEV走行し、電気が尽きるとハイブリッド走行、という使い方が想定されているが、EVとして考えると実質15~20km程度(走り方による)という航続距離は物足りない。もっとEV走行したい、と思ってしまう。

また、いったんバッテリーが空になってしまうと、ハイブリッドモード走行ではほとんど充電レベルは増えない。それだと、ほぼ普通のハイブリッド車になるわけで、しかも重いリチウムイオン電池をほぼ運んでいるだけになってしまう。ならば、もっと小型のリチウムイオン電池にして普通のハイブリッド車にして、400万円くらいで売るのもありではないか、と思えてくる。そしてやはり500万円という価格は、ちょっとハードルが高いなというのが正直なところ。

そして、チャージモードで走れば40分くらいで、ほぼフル充電までもっていけるが、その時の燃費はいまいちだし、走りも何となく重々しい。これならいっそ、アウトランダーPHEVやアコード ハイブリッドのようなシリーズハイブリッド的なシステムもありでは、と思ったりもする。プラグインハイブリッド車の悩ましいところ。

標準シートは手動だが、VWのシートは背もたれがダイアル式で、仮眠する時とか本当に不便。なのでオプションの電動シートにしたいと考える人は少なくないと思うが、その場合は黒のレザーシートになってしまう。タータンチェックの電動も欲しいところ。

総合評価

いいもの=売れるもの、ではない

フォルクスワーゲン ゴルフ GTEの写真

自動車業界で今年最大のトピックといえば、やはりフォルクスワーゲンの不正問題だろう。いまだ全貌は明らかではないが、不正が行われていたことは間違いない事実のようだ。ここ10年ほど、VWのクルマを誉めるしかなかった我々としては、この問題をどう捉えたらいいか、いまだ整理できないでいる。VWのクルマは本当によく出来ている。ふだん乗っているザ・ビートル カブリオレも本当に何一つ不満がない。1.2Lダウンサイジングターボと7速DCTという組み合わせは、オープン化で重くなったボディをも過不足なく走らせてくれる。静粛性もまずまず高い。客観的に見ても、いいクルマだと思う。今回のゴルフ GTEに乗ってみても、やはりVW車の「いいクルマ感」に間違いはないと確認した。

こんないいクルマを作れるVWが、なにゆえ不正に手を染めたのか。一つ思うのは、いいものを作ったとしても、それが売れるとは限らないということだ。これは洋の東西を問わず、残念ながら真実だと思う。売れる商品とは、いいものではなく、時代に合ったものだ。特に大衆向けの商品はそうだろう。いいもの=売れるもの、ではないという点で、VWのクルマは開発時点からジレンマを抱えているのかもしれない。

 
フォルクスワーゲン ゴルフ GTEの写真

特に北米では、この騒動の前からVW車のシェアはそれほど高くなかった。高級車ではなく、質のよい小型車が中心のVW車は、北米では販売的に難しい類のクルマなのだろうか。その点、値ごろ感があり、北米市場に合ったラインナップをそろえている日本車がよく売れるのは分かる気がする。何にしろ北米市場というのはVWにとって今後の世界戦略上、とにかく売らなくてはならない場所だったが、いいものを作っても売れないという、その焦りが今回の不正を産んだとしたら、モノづくりは難しいものだなと思う。

相反する要素の、最も高いレベルの妥協点

フォルクスワーゲン ゴルフ GTEのセンターコンソールの写真

さて、今回のGTEだが、現時点では相当にいい物に仕上がっている。プラグインハイブリッド車(PHEV)なのに走りで満足できるという、これまでにないクルマだ。今までさんざん書いてきたゴルフの良さ、すなわちクルマとしての出来の良さが、PHEVになってもちゃんと生きている。いちおうGTと名がつくだけあって、スポーティ感もそこそこある。もちろんGTIやRのような、いわゆるスポーツモデルではないので、そこを追求すれば不満が残るだろうが、それはしかたない。PHEVのEV部分はちょっと置いておき、ハイブリッド車として捉えた場合、先代プリウスよりもダントツでこちらに軍配を上げたい。

ではPHEVとしてはどうかというと、現状ではこのあたりが限界かなと思う。価格的にも車重的にも、これ以上、駆動用電池を積むわけにはいかないだろう。その範囲ではたいへんよく出来ているのだが、実際のところはと言えば、EV部分の利用価値はあまりないと思う。10kmくらいの通勤に使うのであればベストなクルマかもしれないが、用途が主に通勤なら、そしてどうせ毎日充電するのなら、いっそピュアEVでいいかもしれない。GTEは、電気だけでも走れて、走りはガソリン車に匹敵し、電気がなくなってもハイブリッドでどこまでも走れるという、ある意味では理想的なクルマだが、電気で走れる距離はどうにも短く、ハイブリッド車同様に走ろうとすれば、その電池の重さはいかんともしがたい。そのように相反する要素の、最も高いレベルの妥協点にあるのがゴルフ GTEというクルマだと思う。

それもこれも、環境性能を高めないと、メーカーとしては生き残れないという切迫感ゆえの展開なのだろう。ディーゼル車問題もそこに大きな原因があると思われる。メーカーとして環境問題と、いいクルマ作りを両立しなければならないわけで、VWだけでなく、まだまだ各社、その過渡期にあるのだなあ、と思えてしまう。ゴルフ GTEは、高い妥協点というあたり、他には類を見ない出来の良さだが、といって消費者としては率直なところ、なんだかちょっと中途半端にも見えてしまう。価格も高く思えるから、つまりは販売としてはなかなか難しいということになる。

クリーンカーへの過渡期

フォルクスワーゲン ゴルフ GTEの背部のGTEロゴマークの接写写真

それでは、ということで、10年12万km走ったとすると、GTEの維持費は純ガソリン車とどれくらい違うかシミュレーションしてみた。便宜的にガソリンのゴルフ GTIが実質10km/L、GTEは毎日20km電気で走り、ハイブリッドモードで実質15km/L、ハイオクガソリンは150円/Lで計算してみる。一ヶ月1000km走行だと、GTIのガソリン代は100Lで1万5000円だ。GTEは月あたり約600kmが電気で無料としよう(実際は電気代がかかるので無料ではないが)。残りの400km走るのにガソリンが27Lほど必要だが、約4000円ですむ。つまり一ヶ月1万円以上安く済み、年12万円、10年で120万円節約できる。GTIより110万円高いわけだから、10年乗るつもりならけして悪くない買い物だ。これに取得税や自動車税など税金面でのメリットも上乗せできる。ただ、10年の間にどんなエコカーが登場してくるか分からないから、このクルマに10年乗り続けるのはなかなか想像しにくいが。

昨今、ついにレギュラーガソリンを100円で売るスタンドも出てきた。北米のシェールガソリンがさらに出てくれば、ますますガソリン価格は下がるという話もある。そうなると上記のシミュレーションも見直さないといけないかもしれない。日本の場合、電気は今後も原発で作られるわけで、となると電気はクリーンというわけではないイメージだ。こうなると当分ガソリン車でいいかとも思えてくるが、北京の酷い大気汚染状況を見るにつけ、やはりクリーンな工業製品を作ることは人類の命題だと思えてくる。とはいえ燃料電池車も、まだまだ多くの課題を抱えているようだし、クリーンカーへの過渡期にある今のメーカーは本当に大変だ。

今年のイヤーカーはミライに

フォルクスワーゲン ゴルフ GTEの写真

ディーゼル問題では味噌をつけてしまったVWだが、GTEはプリウスに真っ向勝負できるクルマだと思う。歴代のプリウスは内容に比して価格が安く、燃費のよさも魅力だったが、GTEはクルマとしての良さが魅力だ。このことから、今回は「いいクルマにした」という新型プリウス、そしてやがて出る新型プリウスのプラグインハイブリッド車には、果たしてGTE以上の「いいもの感」があるかが気になるところ。果たしてドイツ車に対抗できるのか。まだ乗れていない新型プリウスの試乗が楽しみだ。まあ、いいもの過ぎると売れないということは、むろんトヨタは分かっていると思うが。

話は変わって、年末の試乗記なので今年のイヤーカーを選ぼうと思ったが、なかなかこれというクルマが浮かんでこない。しかし1台だけあった。それはトヨタ ミライだ。ちょうど一年前の12月に発売されており、感覚的にはイヤーカーの対象車だろう。我々が実際に試乗したのは短時間で、評価のしようがないが、量産型として世界初のセダン型燃料電池自動車なのだから、イヤーカーにふさわしいのでは。いちおう誰でも買えるのが建前だし。クルマの進化という点ではこれくらい重要なモデルはないと思う。日本COTYのイヤーカーであるマツダ ロードスターとは、180度反対に位置するクルマだが。我々もミライかロードスターかと迫られたら悩んでしまう。その意味ではミライが年間販売台数の規定でノミネートされなかったのは、業界的には幸いだったのかもしれない。

 

試乗車スペック
フォルクスワーゲン ゴルフ GTE
(1.4L 直4ターボ・6速DCT・プラグインハイブリッド・499万円~)

●初年度登録:2015年9月 ●形式:DLA‐AUCUK
●全長4265mm×全幅1800mm×全高1480mm
●ホイールベース:2635mm
●最低地上高:140mm ●最小回転半径:5.2m
●車重(車検証記載値):1580kg(910+670)
●乗車定員:5名

●エンジン型式:CUK
●排気量:1394cc
●エンジン種類:直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴・ターボ・横置
●ボア×ストローク:74.5×80.0mm ●圧縮比:10.0
●最高出力:110kW(150ps)/5000-6000rpm
●最大トルク:250Nm (25.5kgm)/1500-3500rpm
●カムシャフト駆動:タイミングベルト
●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/40L

●モーター形式:EAH
●最高出力:80kW(109ps)
●最大トルク:330Nm(33.6kgm)

●駆動用バッテリー種類:リチウムイオン電池
●トランスミッション:6速DCT(DSG)

●システム最大出力:150kW(204ps)
●システム最大トルク:350Nm(35.7kgm)
●ハイブリッド燃料消費率(JC08モード):23.8km/L

●駆動方式:前輪駆動(FF)
●サスペンション形式(前):マクファーソンストラット+コイルスプリング
●サスペンション型式(後):4リンク+コイルスプリング
●タイヤ:225/40R18(Bridgestone Potenza S001 Made in Poland)
 ※DCCパッケージ装着車。標準車は225/45R17

●試乗車価格(概算):529万8240円
※オプション:DCCパッケージ(アダプティブシャシーコントロール“DCC”+225/40R18タイヤ&ホイール 21万6000円、フロアマット 1万3400円、その他付属品 7万8840円
●ボディカラー:ディープブラックパールエフェクト

●試乗距離:約260km ●試乗日:2015年12月
●車両協力:フォルクスワーゲン本山・小牧

 

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