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VW ゴルフ(IV) GLi新車試乗記(第37回)

Volkswagen Golf(IV) GLi

 

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1998年08月21日

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キャラクター&開発コンセプト

“クラス最高の品質”と“適正な価格”

ゴルフは世界の小型車に多大な影響を及ぼした横置きエンジン・FF・2ボックスの先駆者。新型となった4代目ゴルフ(ゴルフIV)は、プラットフォーム(フロアパン、サイドメンバー、前後アクスル、エンジン、ステアリング系、シートフレーム、燃料タンク等)を先行したアウディA3と共有する。

「クラス最高の品質」を「適正な価格」で提供し、新しいカテゴリーを開いていく、というのが4代目ゴルフに与えられたテーマ。ゴルフIVは品質の高さや室内空間の確保はもとより、優れた衝突安全性を手に入れるためにボディが拡大され、ついに3ナンバー幅となった。大人2人と子供3人のためのクルマというコンセプトは変わっていないが、初代ゴルフとは別の車格のクルマと思った方がいいだろう。

価格帯&グレード展開

1.8のNAとターボで、250~335万円

今回、日本に導入されたのは、4ドアボディのみ。グレードは4種類で、CLi(250万円)、GLi(270万円)には125psの1.8リッターNAエンジン+4ATを搭載。後者にはマルチファンクションディスプレイ、フォグランプ、スポーツシートなどが標準装備される。GTi(285万円)は150psの1.8リッターターボで5MTのみ。遅れて99年初頭に、GTiのAT(295万円)とその豪華仕様のGTX(335万円)の発売が予定されている。ちなみにワゴンとカブリオレは本国でもまだデビューしておらず、当分は現行型が継続販売される。

パッケージング&スタイル

スタイルは正常進化、ボディは遂に3ナンバーとなる

ボディサイズは全長4155mm、全幅1735mm、全高1455mmで3ナンバーとなってしまったが、先頃新型となったオペル・アストラをはじめ、一連のライバル車が3ナンバー化しているし、今さら1700mm以下にこだわることはないだろう。なお、ゴルフIIIと比べると、全長で135mm、全幅で25~40mm、全高で20mmも大きくなっている。

スタイリングのデザインは先代 ゴルフIIIからのキープコンセプトのため、遠くから見るとあまり変わっていないように見えるが、近くで見るとボリューム感が全然違うことに気付く。ウインカーやフォグランプを組み込んだアーモンド型のヘッドライトは、一目でゴルフだと分かるデザインだ。歴代モデルとの違いが最もよく表れているのはリア回りだろう。「く」の字になった極太のCピラー、ボディと一体感を持たせた厚みのあるリアバンパー、大きく張り出した前後フェンダーがカッコイイ。

フルジンク・ボディの保証は12年

ボディ耐久性に関してもボディパネルからネジ固定部に至るまで、総亜鉛メッキ(フルジンク)加工を実施し、腐食や錆の発生を最大限に制御し、メーカー保証をこれまでの6年間から12年間に大幅延長している。こんなところにも車格の向上が伺える。なお、この12年保証のフルジンク・ボディはオペル・アストラにも採用されている。いよいよライフサイクルは10年以上となるだろう。

確かに高級になった。でも質実剛健なドイツ臭さは希薄になった

開発コンセプトで示した「品質の高さ」は、インテリアを見ればすぐに理解できる。A3とそっくりなラウンド感を持たせインパネといい、シフトレバー根本のクロームメッキプレートといい、高級感の演出は十分だ。プラスチック素材にもソフト塗装が施されており、先代より明らかに高級感がある。

ただ、ダッシュボード中央部にはドリンクホルダーが配置され、オーディオ/エアコンの操作パネルは一段低くなってしまった。これまでメーターから真横につながるところに配置され、視線移動が少なくて済んだゴルフの長所がなくなってしまったのは寂しいところ。カーナビも2DINにするとずいぶん低い位置になってしまう。

室内スペースのアップは実感できないレベル

ボディの拡大分のほとんどが衝突安全性(特に側突)の向上に当てられたため、室内はわずかに大きくなっただけ。ゴルフIIIでも十分な広さだったから、大きな不満はないだろう。ただ最近のRVに慣れた目で見るとちょっと狭くも感じられる。前席は50mmの無段階高さ調整機構付きのスポーツシート(CLiはベーシックな形状のシートとなる)、ステアリングはチルト&テレスコ機構が奢られるために、ドライビングポジションはピタリと決まる。座り心地も文句なし。サイドの張り出しが大きいスポーツシートは乗り降りがしにくいものだが、ことこのゴルフIVに関してはさほど苦にならなかった。

後席も依然として高い位置に座らされ、天井はグッと後ろにまで伸びて閉所感が薄いというゴルフの美点が受け継がれている。しかしニースペースはとりあえず拳一個分が入るだけ。40mmロングホイール化した新型だけに、ここはもう少し頑張って欲しかった。

ブルーライトメーターを採用、オーディオはMDを標準装備

従来型になかった室内のフューエルリッドオープナー、標準装備のMD付きオーディオ(ソニー製)の設定なども新型の特徴であろう。メーターは透過式照明を採用し、ライトをオンにすると文字は青く、指針は赤く浮かび上がる。これはパサートと同じで、個人的にはこのような新鮮な演出は好きだし、疲れもしないが、賛否両論はあるだろう。ラゲッジは幅の拡大(1000mm)が新型の特徴。リアサスのダンパーとスプリングを分離(最近はこの手法も珍しくなくなったが)した結果、張り出しのない見事にスクエアな形状を確保している。また、12V電源ソケットを装備していることにも注目したい。

基本性能&ドライブフィール

決して速くはない、特筆すべきはズシッとした安心感ある走り

試乗したのは125ps/17.3kg-mの自然吸気1.8リッターDOHC・5バルブエンジンを搭載したGLi。数値を見る限りゴルフIIIの2リッターエンジンに比べて、10ps/0.7kg-mのパワーアップだが、150kg以上も増えた車重によって、その分は相殺されているようだ。発進からスピードがのるまでのトルク不足を、エンジンの吹け上がりがカバーしている。

低速時で適度に軽くなったステアリングのパワーアシストは歓迎したい部分。それでも同クラスと比較したときには、まだまだズッシリとした操舵感が残っている。踏むとウォーツと低くこもったエンジン音、衝撃をマイルドに吸収するサスペンション、これにズシッとした確かな直進性が加わるから、シャシー性能の高さが実感できる。コーナリングはファンとはいえないが悪くない。軽いアンダーステアを保ち、ピタリと狙ったラインを通過していく。ややアンダーパワーなので、無理なく高回転維持でワインディングを駆けられる。

もう少しハイギアードにして欲しい

先代はダンピングの効いた硬い乗り心地だったが、ゴルフIVではかなりソフトになった。ちょっと日本流の乗り心地なので、ゴルフファンは物足りないかもしれないが、快適性は明らかに向上している。ただし、高速走行でエンジン音が耳障りなのが難点。100km/h時で3000回転弱まで回ってしまうが、もう500回転ほど下げたいところ。3速で走っているのではないか? と何度も確認したぐらいだ。

ここがイイ

今回はニューゴルフと数日生活を共にしたが、自動車はこれで十分だという感を強くした。今までのカッチリ感に加え、アームレストやカップホルダーなどユーティリティ装備が増したので、まさに何の不満もない。安全性や耐久性、それなりのステイタス感など、例えば20代後半の真面目な新婚カップルなどには、まさに文句のないクルマといえるだろう。冠婚葬祭からレジャーまで、この1台でまかなえるし、このクルマに満足していれば、クルマに余分なお金を使う事もなく、子供が少し大きくなるまでは全てこれで事足りる。きっとヨーロッパの多くの家庭は皆、そんな感じでゴルフや同クラスのハッチバックを選んでいるのだろう。

ここがダメ

逆に不真面目な? 若者にはちょっとこの生真面目さが面白くないかもしれない。また大きな子供のいるファミリー層も、ミニバン等に関心が向いてしまうだろう。スタンダード中のスタンダードというゴルフのポジションを考えると無理からぬものの、21世紀のクルマとして何か斬新な提案も欲しかった。

細かな点では、かなり小型化されたドアミラーの後方視認性が少し気になった。

総合評価

ゴルフというアイデンティティは完全にキープされている。その上で、ルックス、安全性、対環境、品質、ユーティリティが大きく向上している。まさに正常進化。クルマとしての出来は確かにいい。ただ、多様化したクルマ社会の中で、コンサバな印象も否めないところ。しかし、地球環境を考えて、10年間同じクルマに乗ると心に決めた場合には、選択肢の筆頭にあがるのは間違いないだろう。

 

   

 
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