Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > VW ゴルフ GTI

VW ゴルフ GTI新車試乗記(第386回)

Volkswagen Golf GTI

(2.0Lターボ・6速DSG・341万2500円)

 

2005年10月08日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

30年間で158万台!


初代ゴルフGTI
(photo:VGJ)

初代ゴルフGTIは1976年に登場。初代ゴルフに専用エンジンや足回り、ブレーキを与えた高性能モデルは予想を越えて大ヒット。ホットハッチ(高性能ハッチバック車)の先駆けとなった。当時まだ馴染みの薄かったゴルフのイメージリーダーとなった点も見逃せない。インポーターの資料によると世界では30年間で158万台、日本では1985年からの20年間で約2万6千台が販売されたという。

GTI is back.

2005年6月に日本で発売された5代目GTIは、もちろんゴルフV(ファイブ)がベース。1~3代目のGTIは高性能NA(自然吸気)エンジンを積んでいたが、4代目ではGTI初のターボ(150ps)を搭載し、今回の5代目はさらにパワフルな2リッター直噴ターボ「T-FSI」(200ps)を得て「史上最強のGTI」を謳っている。またトランスミッションには6MTの他に、アウディやゴルフの上級グレード「GTX」などで先行採用されたデュアルクラッチ式の2ペダルMT「DSG(Direct Shift Gearbox)」が採用されている。

広告コピーはズバリ「GTI is back.」(GTIが帰ってきた)。販売は好調で、発売から4ヶ月で2600台の受注を受けたという。9月からは待望のパドルシフトも付いた。なお、今回の試乗車はパドル未装着だが、タイトルの車両価格(341万2500円)は9月からの新価格を掲載している。

価格帯&グレード展開

6MTが325万5000円、DSGが341万2500円

当初アナウンスがあった通り、発売から4ヵ月後の2005年9月に細かな仕様変更が行われた。最大のニュースはDSGへのパドルシフト追加で、それ以外は制動時の車両安定性を確保する「DSR(ドライバー・ステアリング・リコメンデーション)」の追加(全車)、シャークフィンアンテナの全車装着(従来はナビ装着車のみ)、坂道発進を助ける「ヒルホルダー機能」(DSG)など。新価格(カッコ内は仕様変更前との差)は6MTが325万5000円(±0)、6速DSGが341万2500円(5万2500円高)。DSG車のパドルレスオプションは5万2500円安だ。

オプションは、7.5Jx18アルミ(BBS製)+225/40R18タイヤ(10万5000円)、レザーシート、ブルーおよびグレーの受注生産色(標準色と合わせて計6色)、2DINスペースを利用したナビ&オーディオシステム(マルチメディアステーション)など。

パッケージング&スタイル

赤いストライプが復活

歴代GTIの外観は通常モデルと大差ないのが特徴だったが、今回のGTIはアグレッシブなデザインの専用ラジエイターグリルを採用。ハニカム(蜂の巣)グリルをU字型に囲む赤いストライプが、初代や2代目GTIの血統を訴える。見慣れるとなかなかカッコよく、誇らしい。

 

ボディサイズは全長4225mm×全幅1760mm×全高1495mm(アンテナ部含む)。もはやコンパクトカーと呼ぶには難しい大きさだが、乗ってしまえば相変わらずのゴルフワールド。取り回しは容易だ。GTIは専用サスペンションによって通常より25mmローダウンされる。

インテリア&ラゲッジスペース

チェック柄シートも復活

インテリアは基本的にゴルフと同じだが、GTIには専用のD型ステアリングホイール、DSGと銘打ったシフトレバー、専用メータークラスター等が備わる。また試乗車はオプションのレザー仕様だったが、標準のスポーツシートは初代GTIゆかりのチェック柄ファブリックになり、往年のファンならこれだけでクラッと来るはず。

 

標準のスポーツシート
(photo:VGJ)

2DINスペースを利用したオプションのナビ&オーディオシステム「MMS(マルチ・メディア・ステーション)」(オプション)は、狭いスペースでよく工夫されており、反応も速い・ただし国産車の最新ナビに比べると操作性や機能はそれなり。

使い勝手はいつものゴルフ

日本仕様は5ドアのみ(GTIカップカーは3ドア)。後席は足元が広く、1時間ほど試しても特に不満は感じなかった。足は固めだが、ドイツ車のスポーツモデルとしては意外に乗り心地はいい。ただしエンジンを回すと排気音が少々高まった。

3点式シートベルトとヘッドレストは3人分を装備。リアシートはシングルフォールディング(背もたれを倒すだけ)で、アームレスト部分だけトランクスルーも可能。

基本性能&ドライブフィール

電光石火のシフトアップ


(photo:VGJ)

DSGとは、2組のギアセット(1-3-5速と2-4-6速)と、それぞれを受け持つ2組のクラッチ(同軸上の内側と外側)を用意し、変速する度にその2組を交互に使用する、というもの。変速の際はすでに上ないし下のギア(コンピューターが予測して選び、ドライバーの操作がそれと違えば瞬時に選び直す)がスタンバイしているので、駆動力の伝達が途切れず変速する。同種の変速機としては、かつてポルシェがレーシングカーや実験車両で採用したPDKが有名だが、市販車では今のところフォルクスワーゲンとアウディの独壇場。現状の許容伝達トルクは最大350Nm(35.7kgm)という。

実際、その変速操作は素晴らしいの一言。特にシフトアップの速さは、オンボードカメラで疑似体験できるF1並み!?の電光石火。間髪を入れず、瞬時に(100分の3~4秒という)シフトアップを完了する。マニュアルモードでも自動シフトアップするので、アップはDSGに任せた方が速い。

またブリッピング機能付きのシフトダウンもやはり速いが、2速と1速のギア比が離れており、オーバーレブ防止で操作を受け付けないことが多かった。こういうときはSモードを選び、すべてDSG任せでも悪くない。

ESPオンでもホイールスピン

一方、普通に流す時は、トルコンATのように従順。電子制御の半クラッチによる弱い擬似クリープが付けてあり、クルマに詳しくない人は通常のトルコンATと思うかも。Dモードならポンポンとシフトアップし、粘り強い低回転でスムーズに走る。

面白いのはそこで油断してアクセルを雑に踏み込むと、発進でキュキューンと派手にホイールスピンを演じること。ESPオンでもだ。交差点での右左折からの発進でもキュキューン。アクセルを丁寧に踏めば起きないが、これはこれで(メーカーは狙っていないだろうが)GTIらしい、やんちゃなキャラクターとして楽しめるし、トルクステアやジャダーがほぼ皆無なのもいい。本気で全開発進すれば、当然ホイールスピンは必至だが、トラクションコントロールを介入させつつ、これくらいタイヤを滑らせた方が発進加速タイムもいいのだろう。ちなみにウエットでESPをオフにすると、空転が収まず、クルマが本当に前に進まない。

ターボラグ知らずの直噴ターボ

GTIのもう一つの魅力は2リッター直噴ターボエンジン「2.0 T-FSI」(200ps)にある。スペックは先に発売されたGTX(DSG仕様のみ)と同じで新鮮味はないが、先代の4代目GTI(150ps)からのパワーアップ度は著しい。加給圧は最大0.8bar。リッターあたり100馬力の高性能だが、実はこのユニット、低速トルクの力強さやレスポンスの良さが一番の長所だ。最大トルクの28.6kgmを1800~5000回転で発揮するというスペックの通り、2000回転でもゆったり流せる上、そこから踏み込んでもターボラグがない。直噴ゆえに圧縮比をNAエンジン並みの10.3と高くできたことがこのフィーリングにつながっている。直噴はターボと相性がいいのだ。

車重は1460kgと重く(初代GTIはたった820kgだった)、パワーウェイトレシオは7.3kg/ps。速いことは速いが、ランエボやインプレッサWRXのような怒涛の速さはない。だがそこが逆に、息の長い、落ち着いた加速感を生んでいる。

もちろんワインディングでも速いが、ハンドリングは基本的に安定志向。2速でカバーする速度域ではタックインがほとんど効かず、弱アンダーステアをキープ。コンチネンタルのスポーツコンタクト2が非ハイグリップ系でフロントが逃げてしまうほか、200psをコーナーの立ち上がりで叩きつけると、キュゥゥゥと気持ちよくホイールスピンする。それでもトルクステアがほぼ皆無なのは今時のクルマらしい。微妙なサジ加減が「大人になったGTI」という感じ。

200km/hオーバーの巡航が可能

高速巡航はとても快適。2000~3000回転あたりのエンジン音はマイルドで、しかもちゃんとレスポンスするので、不必要にアクセルを踏む衝動に駆られない。ちゃんと計測はしなかったが、高速燃費も良さそうだ。10・15モード燃費は12.6km/L(DSG)と、通常の2リッターNA車(6AT)の12.2km/Lを上回る。

場所が場所なら、GTIのエンブレムに相応しい走りが味わえる。最高速度(発表値)はDSGが233km/h、6MTが235km/h。200km/hオーバーの巡航はまったくもって現実的で、その際の直進安定性も申し分ない。速度計は300km/hまで目盛ってある。そしてガチガチの足ではなく、超高速域でもちゃんと路面をつかんで走るところがいい。峠よりもアウトバーンみたいなところで真価を発揮しそう。

ここがイイ

シフトアップの速さ、トルコンAT並みに洗練された変速制御。DSGは素晴らしい。またホイールスピンを許す、画期的な?ESPもよい。

ターボラグが無く、低速からパワー感のある直噴ターボエンジンも素晴らしい。ちょっと乗った限り、ターボであることすら気づかせない。
これだけのスポーツ性を持ちながら、良い乗り心地を確保した絶妙なサスペンション設定。オートライト、オートワイパー、オートエアコン、6エアバッグなどの充実装備もあって街乗りでも快適性は高い。D字型の太いステアリングも雰囲気良し。

でもって、比較的リーズナブルな価格も魅力。奥さんだって乗れるからファミリーカーにもできるマルチな性能は、GTIにあこがれた「かつての若者」の心を揺さぶる。

ここがダメ

がさつなドアの閉まり音。これもゴルフの伝統か。また純正ナビは、使い勝手こそまあ悪くはないが、他のナビを知ってしまうと不満がでてくる。

マイチェン後のパドルシフトはやはり必須でしょう。同様にマイチェン後のヒルホルダーも必須。マイチェン前のモデルでは坂道を後ずさりする。

総合評価

今から30年前、初代に熱くなった人はすでに50才を超えているはず。その年齢の人でも当時は20才そこそこで、実際にGTIを買えた、いや、乗れた人は、かなり少ないだろう。当時のゴルフは、価格的には完全に高級車で、ましてGTIなど高嶺の花。ノーマルゴルフでも羨望の的だったくらいだ。それでもあこがれた人、中古で手に入れた人は多いから今だGTI伝説は生きているわけで、それがこのクルマの、現在の販売実績に結びついていると思う。

当時ゴルフに乗れなかった貧乏な若者も、今やそこそこお金を使えるようになった(実際には使えない人の方が多いとは思うが)。そこで「あこがれだったGTIでも買おうか」となるストーリーだが、実際にあたりを見渡してみると、新しいGTIのライバルは決して少なくない。そこそこのお金があればさらに選択肢があり、先週乗ったレクサスISだって、その中に入ってくる。いずれも走っておもしろいクルマだが、性格は正反対。プリミティブな印象のGTIに対して、ハイテク感たっぷりのIS。また、記号性でも、いまや大衆車的印象の強いゴルフに対し、高級ブランド品を志向するレクサスはまったくの正反対だ。

今ゴルフGTIを買うということは、伝統とエンスーチックなこだわりを買うということになる。GTIという記号性と、あくまで機械式のDSG、リッターあたり100馬力というエンジン、30年前から変わらないネーミングとその名前に負けない走りの楽しさは、クルマ本来の楽しさの延長線上にあり、レクサスのような新しいクルマの世界とは対極に位置する。

わずか200馬力ながら、そのパワフルな走りはとても楽しいし、DSGも素晴らしい。ノーマルゴルフVに試乗してピンとこなかったゴルフファンも、このGTIなら納得できるはず。ガッチリした高剛性ボディはこのためにあったといえるし、グリルにある赤いピンストライプが表す歴史と伝統は、新参ブランド車にはまねのできないもの。2ペダルだから日常的に乗れるし、今ゴルフを買うならGTIが一番だろう。

といっていたら、ワーゲン株の買収によってなんとポルシェがワーゲンの筆頭株主になるというニュースが入ってきた。敵対的買収からドイツの企業を守るためとの理由だが、本当のところはよくわからない。経営を巡る対立があるような気もするが、いずれにしてもフォルクスワーゲンという企業は苦しいようだ。実際、ノーマルのゴルフVはドイツ車とフランス車の中間的な性格で、いかにもマーケティング優先で作られたようにも思え、それゆえクルマ好きのゴルフ離れを引き起こしているように思う。個性を薄めて数を売ることと個性を残すことの狭間で、もだえているようにも見えた。

 

そんなノーマルゴルフに比べ、ゴリゴリのスポーツモデルであるGTIには、本来のワーゲン車らしさを感じずにいられない。クルマ好きが愛する欧州車としての味がGTIの魅力で、この路線こそ、今後ワーゲン車のすすむべき道のように思える。よく見ればかなりのハイテク車なのだが、よりプリミティブな味を前面に押出してあるという点で、クルマ好きからの好感度という点ではレクサスISなどまるで対抗できない。歴史と伝統という点でも同様。期せずして両極端のクルマに同時期に乗ってみることになったデイズとしては、どっちをとるか悩む。両極端の2台を共にガレージへ納めることができる、「そこそこ」でなく「たくさん」お金を使える人、になりたいものだ。

試乗車スペック
フォルクスワーゲン ゴルフ GTI
(2.0リッターターボ・6速DSG・341万2500円)

●形式:GH-1KAXX●全長4225mm×全幅1760mm×全高1495mm(1460mm:アンテナ部除く)●ホイールベース:2575mm●車重(車検証記載値):1460kg (F:930+R:530)●乗車定員:5名 ●エンジン型式:AXX●1984cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴ターボ・横置●200ps(147kW)/5100-6000rpm、28.6kg-m (280Nm)/1800-5000rpm●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/55L●10・15モード燃費:12.6km/L●駆動方式:前輪駆動●タイヤ:225/45R17(Continental SportContact 2) ●試乗車価格:-円(含むオプション:VWマルチメディアステーション -円、レザーシート -円)●試乗距離:約800km

公式サイトhttp://www.volkswagen.co.jp/

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

フォルクスワーゲン 最新の試乗記10件

最近の試乗記一覧

関連コンテンツ一覧