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VW ゴルフ ワゴン新車試乗記(第118回)

Volkswagen Golf Wagon

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2000年04月07日

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キャラクター&開発コンセプト

大衆車から脱皮し、高級車となったゴルフIVのステーションワゴン

初代ゴルフが名車ビートルの後継車としてデビューしたのは1974年のこと。その優れたパッケージングは世界の自動車メーカーに影響を与え、大衆車の定番たる地位を確立した。今日に至るまでゴルフは、ご承知のように3度のフルモデルチェンジを受けており、'97年にデビューした現行モデルのIVは、もはや大衆車呼ぶのがはばかられるほど高級なクルマに成長を遂げている。現実には下にポロ、ルポ、そしてパイクカーとしてのビートルもあってゴルフはアッパークラスに位置せざるを得ない。ここがIVの難しいところだ。

ゴルフIIで初めて設定されたゴルフワゴンも、基本である3/5ドアハッチバックが第4世代へと進化したのに伴いフルモデルチェンジを受け、昨年3月のジュネーブ・ショーでデビュー。欧州の発売から、約10ヶ月遅れて、日本へも2000年モデルとして投入されることになった。

ラインナップは1.6リッター仕様と2.0リッター仕様の2グレード構成。ギアボックスは4AT、駆動方式はFF、ハンドル位置は右のみとなる。幅が小型車枠を超え、3ナンバーだ。

価格帯&グレード展開

2.0リッターでは同グレードで5万円高に抑えたお得な価格設定

グレード名は1.6リッターが「E」、2.0リッターが「GLi」を名乗り、コンフォートラインといった従来型のグレード名は使われなくなった。

価格はEが245万円で、GLiが275万円。ハッチバックの同グレードと比較するとEで16万円高、GLiで5万円高となる。特に後者の5万円高はかなりそそる価格設定。5万円で広いラゲッジが手に入れば安いもの。多くの人がこちらを購入しそうだ。

両グレードの装備の違いは外観ではサイドモール(GLiがボディ同色で、Eがブラック)とホイール(GLiがアルミでEがフルキャップ)だけ。メカニカルな部分ではエンジンの他、EDS(エレクトロニック・デファレンシャルロック・システム)の有無ぐらいだ。内装の装備も両グレードの違いはほとんどなく、デュアルエアバッグ、サイドエアバッグ、ルーフレール、キーレスエントリー、MDデッキ+8スピーカー、トノカバー、パーテンションネットをともに標準装備する。

パッケージング&スタイル

ハッチバックの面影がないリアビュー、デザインバランスは先代ワゴンよりいい

ゴルフIVのハッチバックを基本に、リアドア以降のルーフとサイドパネルを延長してワゴン化されたボディサイズは全長4400mm×全幅1735mm×全高1490mm。全長はハッチバックより245mm長く、それはラゲッジスペースに充てられており、高くなった35mm分はルーフレールの装着によるもの。ホイールベースは共通の2515mmだ。

スタイリングはゴルフらしいシンプルかつクリーンなもの。EとGLiとの外観上の違いは最小限に抑えられており、グレードを表すエンブレムも装着されていないので、Eでも十分立派に見える。しかし、太いCピラーが特徴的なハッチバックの印象が強いためか、フロントとリアのバランスがどうもかみ合っていないような気がしてしまう。これは先代でもいえたこと。IVの象徴でもあった精悍なリアビューテイストが、全く消えていることで、いたって当たり前な、ビジネスライクなイメージとなっており、正直、つまらない。ゴルフはやっぱりハッチバックがかっこいいと思う。

品質はベンツ級か。質実剛健なラゲッジスペースは確かに使いやすい

室内はハッチバックのゴルフIVそのもので、居住空間も数値的には変わらない。つまり期待するほど広くない(特にリアシート)。一方で見た目の美しさ、完成度を重視する最近のVWの方針は、ラゲッジルームにもいかされており、細部のパーツに至るまでかなり精巧に仕上げられている。厚みのあるカーペットのクオリティの高さはいうにおよばず、6:4分割可倒のダブルフォールディング式リアシートを畳むときや、電磁式を採用したリアゲートを開閉するときなど、全ての動作がカッチリとした感触で気持ちいい。いかにも質実剛健のドイツ車らしい仕上がりだ。ワンタッチでチャイルドシートが装着できるISO FIX対応となっているのも見逃せない点だ。

ラゲッジ容量は通常が460リッターで、最大1460リッターと先代より45リッター上回る。計ってみたが、リアシートを立てると床は奥行き102cm、倒した場合は154cm、幅は実用的には100cm、最大では116cm、高さは85cmあった。先代ワゴンからのボディ拡大分を考えれば、それほど広くはなっていない。フロア下に、きれいに間仕切られ、有効スペースをたくさん作ったサブトランクを備えているのは便利。ホイールハウスの出っ張りはおさえられており、開口部とフロアの段差もなく使い勝手は良さそうだが、実際には何が入るかは微妙なところ。高さはあまりないので、自転車などは屋根の上に載せるしかなさそうだ(この方が見てくれはかっこいいが)。もとがハッチバックだからわざわざワゴンにしなくても、とも思ってしまう。

なお、室内でも「GLi」と「E」との違いはシートぐらいで、GLiはモケット、Eがファブリックの生地を採用。また前者のフロントシートにはアームレストとシートバックポケットが付く。座面はドイツ車の定石通り、硬めだ。

基本性能&ドライブフィール

2.0リッターと1.6リッターの2本立て。やっぱり(?)1.8リッターNAはカタログ落ち

日本仕様に搭載されるエンジンは1.6リッターと2.0リッターの直列4気筒SOHCの2種類で、組み合わせられるギアボックスは4速ATだ。それぞれの最高出力/最大トルクは1.6リッターが101PS/5600rpm、14.8kgm/3800rpm。2.0リッターが116PS/5200rpm、17.3kgm/2400rpm。この2.0リッターというのはニュービートルにも搭載されているもの。ということはII時代のユニットが完全復活したわけだ(もちろん改良は施されている。)。でもって、ハッチバックにもデビュー当初あった1.8リッターに代わってこれが搭載されている。よほどこの2.0lの出来が良かったのか? でなければよっぽど1.8lの出来が悪かったのだろう。

足回りはハッチバックと同じで、走りに影響を与えるハッチバックとの差は60~80kg重くなった車重だけと思っていいだろう。

試乗したのは2リッターモデルの「GLi」。ファイナルが高めに設定されているのに、スタート直後からのダッシュは力強く感じる。フル加速ではホイールスピンするほど。ところが走らせていると、これが、力強さはあまり感じられない。軽快感もないのだ。そこでマニュアルポジションを積極的に使ってエンジンを回してやると、今度は非力なクルマを目一杯走らせる楽しさが出てくる。エンジンは最後まで力強さや軽快感がないのだが、意外に楽しさが感じられるようになるのだ。これはやっぱりマニュアルの国のクルマなのだろう。Dレンジ走行では本来の姿が見えないように感じた。

エンジン音は1.8リッター時代のゴルフIVまでとはいかないまでも、かなり明確な騒音が耳に入ってくる。加速時の騒音は我慢もできるが、気になったのは高速走行中の低周波音。エンジン音はないがボーといったこもり音が120km/hあたりからかなり耳につく。ボーラの5気筒エンジンでは気にならなかったので、これはおそらく4気筒特有の物だろう。ここまで内外装のクオリティをアップさせ、ワングレード地位も引き上げているのだから、静粛性もそれに相応しいものが欲しいところだ。やかましささえ気にしなければ、高速巡航にはむろん不満はない。

ボディ剛性の高さはさすがVWだ。ハンドルを切りながら大きな段差を超えたときでも、リアがきしみやすいワゴンということを全く感じさせない。さらにいいのは、ワゴン化によって硬くされた足回りが、乗り心地に全く影響していないこと。確かに乗り心地は国産車に比べれば硬い部類に入る。しかし、不快感はなく、コーナーを駆け抜ける楽しさがあり、しなやかで奥深いキャパシティがあるのには驚かされた。また先代ほどパワステは重くなく、ブレーキのタッチに関しては軽すぎるほどで、最初は戸惑ってしまった。

ここがイイ

トノカバーはしっかりした作り。引き出す取っ手部分にバネ付きの蓋があるなど、かつての日本車並のオーバークォリティといえるほど。エンジンフードにはダンパーもついている。サンバイザーはバックミラー上に小さなすき間つぶしの物があるし、室内のドアグリップはかつてのトヨタのようなしっとりした素材が使われている。バニティミラーを開ければ自動的に照明がつくなど、とにかく至れり尽くせりの豪華装備。荷室とのパーテーションネットも使いやすい。ワーゲン車はかなりトヨタの影響が強いと思う。したがってトヨタ並の仕立て上がりが満喫できる。

ここがダメ

意外や、シートの座り心地がいまいち。レバーで高さが調節できるのだが、フロントだけ下げることができず、足の短い日本人にはポジションが悪い(筆者だけの問題かも)。カーナビの設定位置が決めにくいダッシュボードも今風ではない。リアシートの足下はやはり狭い。また見た目がずいぶん立派な割には、エンジンフィールが雑なのはかなり残念。

総合評価

最初の印象は、力もなく、乗り心地もいまいちで、あまりいいものではなかった。騒音も大きめで、誉めるところがなくちょっと困ってしまったほど。ところが乗り込んでいくうちに、ゴルフ本来の良さがジワジワと体に浸みてきた。シフトは自分ですればいい、エンジンはうるさいが、回せば力をもてあますことなく使い切ることができる、足回りはちょっととばし気味にワインディングを走らせてみると、そのしなやかさというか、粘っこいしぶとさに感銘を受けた。

結局、ゴルフは「何でもないクルマ」を今も昔も目一杯まじめに追求して作ってあるのだと思う。それにIVでは少し上質感というエッセンスを加えてあるので、乗用車としてはやはり昔からのポジショニング通り「現在のクルマのスタンダード」であり、その意味ではエンスーが乗るにも値するクルマだ。新しく2タイプのエンジンが乗ったことで、更にその印象が強くなった。

しかしこうなると特にワゴンである必要はないだろう。ワゴンとしてなら選択肢は他にもでてきてしまう。使い勝手は確かにいいし、買い得感が高いからワゴンを選びそうになるが、ハッチバックとワゴンを見比べると、ハッチバックの個性的なスタイルがより魅力的なものに見えてくる。スタンダードなクルマとしてゴルフを選ぶなら、やはりワゴンよりハッチバックの方だろう。

 
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