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スズキ グランドエスクード新車試乗記(第157回)

Suzuki Grand Escudo

 

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2001年01月27日

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キャラクター&開発コンセプト

ライトクロカンが7人乗りに。エスクードのストレッチバージョン

フレーム構造やパートタイム方式の4WDの採用など、モデルチェンジしても頑固なまでに本格四駆の構造を堅持したライトクロカンの元祖、スズキ・エスクード。その最上級車として新たに投入されたのがグランドエスクードだ。「クロスカントリーワゴン」をテーマにクロカンとしての悪路走破性と、ワゴンとしての快適な居住性や乗り心地を目標に開発された。

ポイントは2つ。サードシートの採用で7人乗りとしたこと。そして専用の2.7リッターV6エンジンの搭載だ。見た目にもクロカンというより「SUV」という趣となり(もっとも最近ではその境も曖昧になりつつあるが)、北米がメイン市場となる。なお、既存のエスクードについても、搭載エンジンが1.6リッターから2リッターに変更されるなど、一部改良が実施された。

価格帯&グレード展開

ライバルの低価格戦略で、急きょ値下げ

モノグレードで価格は229.8万円とかなり格安。スズキとしては開発当初250万円ぐらいを想定したらしい。しかし、一足先に登場した日産Xトレイルやマツダ・トリビュートが、予想以上に安い価格を打ち出してきたために、急きょ、この値段に決まったのだとか。また、229.8万円にしたことで、今度はエスクードの5ドアのほうが高くなってしまう。そこでエスクードも10~15万円の大幅な値下げが実施された。

パッケージング&スタイル

ホイールベースを320mm伸ばして、3列シート7人乗りを確保

ボディサイズは全長4575mm×全幅1780mm×全高1740mm、ホイールベース2800mm。エスクード5ドアよりもホイールベースで320mm、全長で485mmも長い。ラダーフレーム式シャシーのエスクードにとってストレッチ化はそれほど難しくなかったはず。ただ、あまりにもホイールベースが長いために、より念入りな剛性の確保が必要となったようで、車重が230kg重くなった。

リアドア以後は専用設計となっており、リアクオーターパネル&ガラスとリアドアが拡大されている。狙いはもちろん3列シートでもゆとりある空間を確保するため。全幅は同じ。全高はルーフレールの装着分で55mm高い。

大型バンパーと3本バーのグリルの採用で、力強く堂々としたフロントビューは、同時期に化粧直しされたエスクードと同様のもの。背面タイヤが装着されるリアビューも同じだ。一方、サイドビューちょっと印象が異なる。オーバーフェンダーが装着されているのはエスクードと同じなのだが、サイドプロテクションモールが、ドア下半部全体を覆うエスクードに対して、グランドエスクードは中央部のみの控えめなタイプ。このため、伸びやかなシルエットがより強調されている。とはいえ、スズキのフラッグシップ! というような華はない。

単に3列目シートを載せただけではない、ミニバンに匹敵する使い勝手

インパネは全くエスクードと同じだが、装備は充実している。運転席シートヒーター、後席用クーラー、アームレスト等が備わる。高級とは言えないが、質感は悪くない。

2人掛け可能のサードシートが設置され、居住空間の長さは2395mm。と、ホイールベースが異例に長い割には、マツダ・プレマシーとほぼ同じ。よってサードシートの足元空間はミニマムに止まる。しかし、床面が深く、つま先が奥まで入り、シート自体もシッカリとしているので、おまけ感覚で3列目シートを付けたミニバン系よりもずっとまともに座れる。マークⅡ以下のボディ全長ながらフル乗車しても何とか座れてしまう3列シートは評価できるところだ。

ところで、いくらサードシートがあろうとも、最低地上高の高いSUVだけに乗降性が悪くては魅力は半減してしまう。その点でもエスクードは改善策を図っている。リアの開口部は後方に200mm拡大されており、セカンドシートには前方向へ200mmスライドするオーバースライド機構を新たに採用している。さらに魅力を引き出そうとシートアレンジを充実させている。サードシートには5:5の分割可倒式機構、セカンドシートには6:4の前倒し機構など、荷物と乗員の数に合わせて多彩な荷室を作ることができる。

基本性能&ドライブフィール

スズキ史上最大の2.7リッターV6を搭載

新たに搭載されたグランドエスクード専用の2.7リッターV6は、既存の2.5・V6をベースとした新設計。前後のタイヤにかかる重量配分に優れた縦置きFRベースとしている。最高出力は177ps/6,000rpm、最大トルクは24.7kg・m/4,000rpmで、「優-低排出ガス(★2つ)」の認定を取得。オールアルミ製で、中・低速トルクと出力を高めながら、静かさと滑らかさを追求したという。ちなみに2.7という排気量は、スズキ史上最大だ。

組み合わせられるギアボックスは4速ATのみ。2.5リッターエンジンとはギア比が同じで、ファイナル比が変更される。5.125とかなりローギアードなセッティングだ。駆動方式はエスクードと同一のパートタイム4WD。路面状況に応じてドライバーが任意にレバーで、2H(2WD高速)/4H(4WD高速)/4L(4WD低速)の切り替えができるトランスファー機構を搭載。また、100km/h以下の走行中に2WDと4WD(4H)の切り替えができる機構「ドライブセレクト4×4」も採用する。

ローギアードのおかげで、車重の重さを感じさせない力強い加速

2.5リッターに比べて、パワー&トルクは当然上回るものの、最高出力で17ps、最大トルクで2.7kgmの差でしかない。それでいて車重はボディの強化で230kgも重い。が、実際の出だしは、かなり力強い。恐らくファイナル比のローギアード化が利いているのだろう。フル乗車をしたわけでないので定かなことはいえないが、5人乗車程度なら、不満のない加速が期待できそうだ。

一方、ローギアード化によって、高速走行時のエンジン回転数は高めになる。排気量が2.7リッターもあるのに100km/h巡航時は3000回転。これは先日試乗した同社のワゴンRソリオ(1.3リッターエンジン)と同じだ。なお、カタログの燃費は10・15モードで8.8km/L、今回試乗した際の実燃費は6~7km/Lだった。メーカー広報担当者も、燃費に関してはあまり自信なさげだった。

コーナーでの安定感、高速巡航での快適性はイマイチ

ロングホイールベース化は居住性の向上だけでなく、乗り心地をも向上させている。段差によるショックは気にならず、十分快適なレベルに仕上げられている。逆に懸念されるのが取り回し性だ。ホイールベースはトヨタ・プラドや三菱パジェロよりも長く、最小回転半径はトヨタ・ランクル100と同じ5.9mと記載されている。しかし、全長は中堅セダン並の4575mmだけに、駐車する以外は街中でも不満なく扱える。

8時20分にセットされる2本スポークのステアリングは、アメ車によく見られるデザインで、のんびりクルージングには丁度具合がいい。パワステには適度な重みがあり、剛性感の高さも感じられる。コーナーではクロカン四駆的不安定感が残念ながら出てくる。最近の乗用車にも負けないコーナリング性能を持つ新世代ライトSUVと比べれば、かなり古いタイプの四駆という走りだ。

また気になったのは高速安定性がイマイチということ。120km/hあたりまではむろん何ということもないが、それ以上ではユラユラとした微妙な揺れがある。また、街中では重みが感じられたパワステも、高速になると頼りなくなる。車高が高いので、レーンチェンジも不安感があり、風切り音も大きい。このあたりはフレーム付きの四駆という出自から考えると致し方ないか。反面、四駆らしいオフロード性能は高いレベルをキープしている(はず。オフロード試乗はしていない)。基本設計が本格四駆のエスクードゆえスズキとしては難しいところだ。

ここがイイ

実用になるサードシート。キレイにまとまったボディデザイン。通常速度域での快適な乗り心地。

ここがダメ

どこといって特徴が見受けられないコンセプト。エスクードファン以外には、なかなか必要性が見いだせない。

総合評価

次々に登場する新世代ライトSUVに負けじと、フレーム付きの本格四駆でライトクロカンの元祖であったエスクードも、バリエーションを増やす策に出た。使いやすいサイズ、実用になるサードシート、広い荷室、過不足ない走りなど、結果として便利で走りもいい硬派ライトクロカンとなったが、日本の消費者の欲求とは、微妙なズレが生じているのも残念ながら事実。

つまりライトSUVに「四駆らしさ」より、「四駆ぽさ」を求める多くのニーズに対しては、グランドエスクードは本格四駆だけにお勧めしにくい部分もある。例えばボタン一つで四駆二駆が切り替えられる時代に、トランスファーレバーを操作する旧来からの四駆方式は、やはりハードルが高いだろう。走りの面でも街乗りや高速巡航では不満がないものの、ちょっとハードに攻め込むと新世代ライトSUVに及ぶべくもない。

とはいえ、逆にそれがグランドエスクードの魅力といえなくもない。このサイズで七人乗れて、本格的な四駆性能を持っていて、走りや乗り心地に過不足ない四駆はグランドエスクードしかないわけで、その部分の隙間的ニーズは必ず存在している。しかも最近登場したライバルも驚く低価格を実現しており、スタイリング、ハードウェアが気に入れば、雪の多い地方などでは高いニーズがあるだろう。

新世代ライトSUVの超高速域やワインディングなどの走りの性能がどうにも良すぎるので、ついグランドエスクードでも気にしてしまうが、毎日乗る分にはそんな性能はあまり重要ではない。常識的な速度域で、使い勝手がよく快適な四駆と考えれば、グランドエスクードも新世代ライトSUVと競合できる。硬派な四駆が好まれる北米市場で主に売り、日本市場へはその一部を供給するわけで、いわばアメリカ仕様の日本発売ともいえ、日本のクルマの多様化に寄与している、とも評価できるだろ

 

公式サイトhttp://www.suzuki.co.jp/dom4/index.html

 
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