Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > トヨタ グランドハイエース

トヨタ グランドハイエース新車試乗記(第105回)

Toyota Grand Hiace

 

2000年01月07日

 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

好調エルグランドに対抗! 車名は新しくても実はグランビアの兄弟車

ミニバンが定着し、ミニバンの買い替え需要とともに上級指向が高まるなか、トヨタのワンボックス型ミニバン最大級にして、最上級モデルの地位についたのがグランドハイエースだ。グランドハイエースと名乗るこのニューカー、ネッツ店扱いであるグランビアをマイチェンするにあたって、トヨペット店(一部地域ではトヨタ店)向けに用意されたクルマ。つまりグランビアの兄弟車で、拡販戦略車ということになる。大柄なサイズを活かした広々とした室内と高速長距離移動を苦としない余裕ある走りがセールスポイントだ。

ベースのグランビアはもともと欧州の商用ユースを見据えて開発されたクルマで、マイチェン前のグランビアにもそんなムードが感じられたが、グランドハイエースはそれを払拭し、「ミニバンのクラウン」といったムードのトヨタ最高級ミニバンとなった。メッキの巨大グリルがその証だ。

価格帯&グレード展開

価格帯はグランビアと同様の276.5~413.0万円

基本的にはグランビアと同等のバリエーションとなる。両側スライドドアを持つ5ドアと、片側スライドドアの4ドアに大別され、前者は2-3-3の8人乗りと2列目を独立シートとした7人乗りの2つの仕様を用意。後者は8人乗りのみとなる。他にウェルキャブ仕様やキャンパー仕様といった特装車もカタログに載る。

エンジンはガソリン仕様車が3.4リッターV6、ディーゼル仕様車が3.0リッターインタークーラー付ターボ。基本となる駆動方式はFRで、4WDも全グレードに設定し、プレステージエディションが27.5万円高になる以外は32.5万円高となる。

グレードは5ドア 7/8人乗りが「リミテッド」、4ドアは「G」のみの展開で、それぞれにパッケージオプションが設定されている。リミテッド・プレステージセレクション(FR)は395万円。「一番いいやつ」と注文するとこれが選択されるだろう。一番安い3.4GガソリンJエディションでも276万円のプライスで、100万円以上の価格差は様々な贅沢装備品のため。

ライバル車としては、日産・エルグランド、ホンダ・ラグレイト、VW・シャラン、メルセデス・ベンツ・Vクラス、クライスラー・ボイジャーあたり。現実的には打倒エルグランドである。

パッケージング&スタイル

立派なグリルを付けただけで販売台数は6倍! なんだかなぁ

全長4790mm、全幅1800mm、前高1965mm(2WD)、車重は4WDともなると2トンを超えるというからヘビー級だ。その堂々としたボディに、エルグランドを徹底研究した?「これでもか」といわんばかりのギラギラとしたグリルやデカいヘッドライトを装着。ただ、いかにもアメリカンルックスのエルグランドに対し、どことなくクラウンにも似た和風な味わいがあるあたり、ジャパンオリジナルな印象を受ける。

ある意味ではクルマの本質とは関係がない簡単なルックスの変更によって、マイチェン前のグランビアが月販500台そこそこしか売れてなかったのに、グランドハイエースはその4倍の約2000台を売ってのけている。グランドハイエースよりやや控えめな、それでもかなり大きなメッキバンパーをつけたマイチェン後のグランビアも、3倍近い売れ行きとなっており、11月には2台あわせて3000台以上を売った。

実に6倍以上の売れ行きなわけで、マーケティングというか、販売力というか、トヨタの凄さが伺える。いやはや。そうはいってもエルグランドはコンスタンスに4000台以上売れており、このあたりの戦いはなんだかなぁ、という感じだ。

国産最大級のボディが作り出す居住空間は圧倒的! でも運転席は狭い

photo_3.jpg

長さ2890mm×幅1645mm×高さ1375mmという室内はとにかく広い。床は完全なフラットで低床。グランビアで指摘されているとおり、運転席の狭さは相変わらずだが、二列目シート以降に乗り込むと、「鉄道列車の豪華個室にお邪魔した」といった印象。これだけ広ければ下手な小細工は無用とばかり、パーキングブレーキレバーはフロア式で、フロアコンソールまであるが、余裕でウォークスルーができる。

インパネをはじめとするインテリアは、基本的にマイナーチェンジを実施したグランビアと同じだ。その変更内容は、ナビとオーディオのスペースが上下変換、インパネ下部の形状変更などで、使い勝手を向上させている。特にナビは決定的に良くなった。

試乗した最上級グレードのリミテッドプレステージエディションでは本革内装、パワーシート(運転席のみ)、シートヒーター(運転席と助手席)、電動カーテン、左右の電動スライドドア、オットマン(足掛け)など、欲しいと思うものは(人によっては欲しくないかもしれないが)全て標準(ただし価格は395万円!)。オプションとしているのはDVDナビ(26.9万円)と後席TV(21万円)くらいだ。

安全装備ではシート組み込み式チャイルドシートや、危険回避性能に優れるVSC(ビークル・スタビリティ・コントロール)を一部グレードにオプション装備する。

基本性能&ドライブフィール

搭載されるエンジンは3.4リッターV6のガソリンと3.0リッター直4ディーゼルターボの2本立て。スペックはV6ガソリンが最高出力180ps/4800rpm、最大トルク30.5kgm/3600rpm、ディーゼルが最高出力140ps/3600rpm、最大トルク35.0kgm/2000rpm。ギアボックスは全車4AT。基本となる駆動方式はFRで、フルタイム4WDも用意される。足回りは前がダブルウィッシュボーン、後ろが独立懸架のセミトレーリングアーム式。もちろんグランビアと同一だ。

試乗車は3.4リッター仕様のリミテッド プレステージエディション。最大トルクが3600回転で発生され、驚くほどパワフル。信号スタートでも不満を感じることはない。常用域でもとても扱いやすく、必要な力を必要なだけ得られるという感じだ。スペックよりずっと力強く感じられた。

ハンドリングは徹底的にアンダーのセッティング。2トンプラス8人乗車でのコーナリングなんて、考えただけでもゾッとするから当然のことだろう。ロールの速度も穏やで、乗員に恐怖感を与えないようにしているのがわかる。ただ、オデッセイのようにきちんと踏ん張るミニバンが登場してくる現在では、かなりバスっぽい走りだ。かわりにVSCで安全マージンを確保している。

乗り心地はクラウンみたいにフワフワしていて、それでいて路面段差による突き上げの鋭さが商用バン出身ということを物語っている。これは運転席で顕著。しかしセカンド、サードシートではさほど気にならず、特にセカンドシートは快適。シートの肉厚は十分でサイズも不満がなく、視界も開放感があるこのセカンドシートが特等席だ。

遮音性に優れているのもこのクルマを選ぶ上での有利な材料となるだろう。高速道路を走っていてもうるさくない。150km/hあたりまでそうなのだから驚きだ。最高速はさらに伸びるので、この巨体で150km/hクルージングが楽勝、快適。一般的な120km/hくらいの速度ならフル乗車でも楽しく余裕を持って走れるはず。やっぱり大型ミニバンはいい、と再認識。

ここがイイ

余裕のエンジンパワーに高級車に相応しい充実した装備、トヨタならではの作りこみの良さなど、7~8人乗れるファミリーカーとしてまったく文句ない(価格が価格だから文句があっては困るが)。お金があって、ガソリン代の気にならない人なら、5ナンバーに載ることはないからこれを買うべき。同じような成り立ちでほぼ同じ価格のベンツV230を買うより圧倒的にバリューは高い。

ここがダメ

日産エルグランドと比較すると、ディーゼルで負けているのが辛いところ。エルグランドには3リッター直噴ディーゼルエンジンを搭載した車種があり、パワーは30馬力も大きい。このクラスのユーザーはスペックを気にするから、グランドハイエースの直噴タイプではないディーゼルはかなり不利だ。このあたりがエルグランドを超えられない理由の一つだろう。もちろんルックス的にもやっぱりエルグランドの方がまとまっているし、運転席も広い。

総合評価

photo_2.jpg

乗り心地は今一つだし、運転席の商用車くささも気になるが、一番デカイということにグランドハイエースの存在価値がある。ミディアムクラスのミニバンでは、どの席も平等とはいかず、3列目に座っていただくには少々気を使ってしまう。その点グランドハイエースはミニバンならぬ「ミニバス」に近いから、誰からも文句はでないだろう。これはハイエース、ワンボックス時代からの伝統だ。ハイエースを名のるにふさわしいクルマである。

大型とはいえ、全長は5m以下なので、とりまわしは悪くないし、日本の駐車場事情でもさほど困らない(もちろんタワーには入らないが)。クラウンにシートが増えたクルマだと思えば安い買い物だと思ってしまうだろう。四月からはチャイルドシート分の席も確保しなくてはいけないので、今後ますます需要が増えるはずだ。

しかし、このルックスがとてもいいとは思えないが、それでも売れてしまったということは、いまだ日本人のメンタリティーはここにあるのか、とちょっと愕然としてしまう。大きいクルマには大きなメッキグリルというのは、もう10年以上前の話でしょ、と思うのだが、どうやら現実は違うらしい。ホンダの高級車が売れないわけである。

メルセデスVクラスは外観も中身も路線バスのように素っ気ないが、グランドハイエースはいわば観光バスだ。運転する人が運転手さんであるのも観光バス的。そう考えるとグリルの光りものもちょっと納得できた。

 

公式サイトhttp://toyota.jp/

 
 
 
 
 

トヨタ 最新の試乗記10件

最近の試乗記一覧