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ハマー H3新車試乗記(第494回)

Hummer H3

(3.7リッター直5・4AT・599万4000円)

右ハンドル追加&細々改良された
最新の「最小ハマー」に試乗した!

2008年01月19日

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キャラクター&開発コンセプト

08年から右ハンドルが登場

H3(エイチスリー)は2005年末から三井物産オートモーティブによって日本へ正規輸入・販売されているが、その08年モデルが2008年1月5日に国内で発売された。今回から輸入権がメーカー直系のゼネラルモーターズ・アジア・パシフィック(GMAP)ジャパンに移管され、右ハンドル仕様の設定など日本市場に対応した仕様変更を受けている。

ゼネラルモーターズ・アジア・パシフィック(GMAP)ジャパン http://www.gmjapan.co.jp/

ベースはGMのピックアップトラック

ハマー(Hummer)の起源は、AMゼネラル社が米軍用に開発・生産した高機動多目的装輪車両「HMMWV=High Mobility Multipurpose Wheeled Vehicle」、通称Humvee(ハンビー、1985年配備開始)に始まる。その民生版である「H1」(1992年)が最初のハマーだ。その後、ハマーブランドの使用権を買収したゼネラルモーターズが、シボレー・タホ/GMCユーコンをベースとした「H2」を2002年に発売し、一気にポピュラーな存在となった。

H2のさらなるコンパクト版が「ハマー最小」となるH3。シャシーは米国ではポピュラーな中型ピックアップトラックのシボレー・コロラド/GMCキャニオンがベースで、頑強なラダーフレームと4WDシステムを備える。米国市場向けの生産拠点はコロラド/キャニオンと同じルイジアナ州シュリーブポート(Shreveport)だが、右ハンドル車を含む欧州・アジア・オセアニア向けは、GMの南アフリカ工場が2006年から行なっている。

価格帯&グレード展開

主力グレードは599万4000円

全車3.7リッター直5のフルタイム4WDで、2008年モデルは以下の通り。左ハンドルのほか、右ハンドルが主力グレードに設定される。

■「H3」(標準車)(5MT:496万円/4AT:521万円)
「H3 Luxury」(4AT:599万4000円) ※今週の試乗車
■「H3 Adventure」(4AT:622万4000円) ※左ハンドルのみ

「アドベンチャー」は悪路走破性を高めた硬派モデルで、言わばジープラングラーの「ルビコン」に相当するものだ。

パッケージング&スタイル

まさにH2の90%縮小版

ボディは全長4705×全幅1995×全高1920mm。ほぼ2メートルの全幅と全高は間違いなくXXLサイズだが、実のところ全長(背面スペアタイヤを含む)はハリアーやハイラックスサーフよりも短く、全高はアルファードと同程度。最小回転半径も5.7メートルとけっこう小さい。ちなみにハマーH2(2008年モデルのタイプG)は全長5180×全幅2180×全高2070mm。さすがに大きく見えるわけだ。

デザインは見ての通りハマーそのもので、カタログにある通り、まさに「H2の約90%の大きさ」。建設機械のようなゴツイ牽引フックが前後に計4つ備わり、トレーラーヒッチも全車標準となる。

トーチカのような眺め

ゴツイ外観とは違って、インテリアは文化的。樹脂パーツの質感もまずまずで、よく出来た今時のアメリカンSUVの世界だ。特徴的なのは天地の極端に狭いフロントウインドウが、手が届きそうなほど近くで直立していること。Aピラーも短く、太い。サイドウインドウも小さく、全体にトーチカ(コンクリート製の防御陣地)のような眺めだ。広々という印象はないが、不思議と閉塞感はない。

小柄な人でも大丈夫

2008年からの右ハンドル仕様では、やはり左足の置き場が多少狭いが、特に支障はない。アメリカンSUVにありがちなペダルまでの遠さもなく、小柄な女性でも運転できそうだ。シートの座面高が前後独立で調整できて、しかも調整幅が十分にある。ステアリング調整は角度のみだが、大きな不満はなかった。なお、写真のパイピング付フルレザーシートは上級グレードのもの。同じく上級グレードに標準のHDDナビは、最新GM車でほぼ共通の仕様と思われる富士通テン製のタッチパネル式ワンセグ対応タイプ。オプションで地デジチューナーやバックモニターも追加できる。

左前方カメラをルーフに設置、モニターはバックミラーに内蔵

もう一つ2008年モデルのウリが、車両の左前方の死角をカバーするモニターカメラ。同種のモニターカメラは一部の国産車、トヨタ車、アウディQ7、ダッジ・ナイトロ等にもあるが、H3のものはかなりユニークだ。例えばカメラは左Aピラー頭頂部(ルーフの先端)という高い位置にあり、映像には前フェンダーを中心に周囲の道路までが映る。これは街中だけでなく、オフロード走行でも便利そうだ。

液晶モニターはルームミラー(自動防眩+外気温表示・デジタルコンパス付き)内蔵式で、センターコンソールのスイッチを押すと「カシャッ!」と電動で右側に飛び出す。もちろんモニターを出したまま走行できる。

居心地のいい後席、樹脂で覆われた荷室

ドアが小さいので「狭いかな」と思うリアシートだが、実際には空間、シートサイズ、座面高、フットルームなど十分。サイドウインドウも小さいのが幸いしてか全開するし、狭いところでドアが開け閉めしやすいのは意外な発見。上級の2グレードは大型サンルーフ付で、当然サイドエアバッグも備わる。

60:40の分割可倒は、座面をいったん前にずらす変則的なダブルフォールディングだが、操作はアメ車らしくカンタン。床下収納スペースはなく、荷室フロアはパディングされた分厚い樹脂で覆われている。荷室からのノイズ侵入が気にならないのは、ここの遮音・防振処理が効いていそうだ。やたらに分厚い横開き式リアゲートの中には、布でくるまれたジャッキが入っていた。

基本性能&ドライブフィール

2000回転も回せば十分

試乗したのは「ラグジュアリー」の4AT・右ハンドル仕様(599万4000円)。全車共通の3.7リッター直列5気筒「ボルテック(Voltec)」エンジン(245ps、33.5kgm)はトレイルブレーザー用の直6から、1シリンダー削ったもの。このモジュラーユニットは近年GMが新規で開発したもので、DOHC・4バルブヘッドを持つオールアルミ製。見た目は意外にコンパクトだ。

トレイルブレイザーの直6はなかなかスポーティでパワフルだが、この直5は1気筒少ない分、やはりスムーズさやパワー感も薄まっている。印象としては「V6のOHV」のような感じ。逆にトルク感は十分で、「車重は2トン弱かな?」と思わせるが、実際には2220kgだ。街中では2000回転くらいで全て用を足してしまい、それ以上回す意味はほとんどない。その意味ではアメ車っぽいともいえる。トルコンのスリップ感は大きめだが、ATが4速なのは気にならなかった。

ハマーであることを忘れる易しい運転感覚

後方視界こそ良くないが(リアウインドウが小さい上に、スペアタイヤが視界をさえぎる)、小回りがよく効くのと、例のモニターの助けもあり、街中では「ハマー」なのを忘れそうなくらい運転しやすい。それ以上に忘れそうなのが、ラダーフレーム+前トーションバー+後リーフリジッドという足回り。形式としては古典的だが、設計は新しい。二昔前のラダーフレームSUVのようなユサユサ感、ゴトゴト感はなく、板バネ感もまったくない。このあたりのチューニングはアメ車が最も得意とするところと思われる。

さすがにワインディングではステアリングを切ってからの反応が2テンポくらい遅いが、揺り戻しやオツリがないことに感心した。巨体を普通に操れ、変な挙動が出ないので、飛ばせないながらも一貫して安心感がある。

市販SUVとしては最強レベルの走破性

悪路走破性については試していないので、簡単にスペックにのみ触れておく。走破アングルはアプローチ:37.5度、ブレイクオーバー:23.5度、デパーチャー:35.5度と十分。最低地上高は220mmだが(デフケースやサスペンションなどが出っ張っている)、サイドシルなどボディ自体はもっと高い位置にある。電子制御センターデフ(基本トルク配分は前40:後60)を使ったフルタイム4WDはセンターコンソール正面のボタンで、以下の3モード(「アドベンチャー」では4モード)が選択できる。

■「4H」(通常時の駆動力配分は前40:後60)
■「4H センターデフロック」(駆動力配分を前50:後50に固定)
■「4L センターデフロック」(上に加えて副変速機で2.640:1に超低速化)
■「4L センターデフロック&リアデフロック」 ※「アドベンチャー」のみ(副変速比4.030:1に超々低速化、リアデフもロック)

ESPも当然備わり、スペック的には市販SUVで最も強力な部類。渡河性能は水深407mm(32km/h以下)、もしくは610mm(8km/h以下)とされている。あくまで推測だが、車重が3トン前後あるH2より、状況によってはH3の方が走破性は高そうだ。

レギュラー仕様。実燃費は6km/L弱くらいか

100km/h巡航時の回転数は約2100回転で、この速度域なら直進安定性も十分。風切り音は多少大きいが、快適性も保たれる。ただし飛ばしても無理がないのは130km/h巡航くらい(一番気になるのは風切り音)。最高速は海外のサイトhttp://www.forbesautos.com/ で、「速度リミッターにより98mile/h(約158km/h)」(06年モデル)という記述を見つけたが、まあそんなところだろう。

参考までに試乗燃費は、210km走行し約39リッターを消費。約5.4km/Lだったが、撮影等を除けば6km/L弱といったところ(車載燃費計は未装備)。燃費の上下は少ない印象だった。ガソリン高騰の昨今、レギュラー仕様は嬉しいところ。ちなみにタンク容量は88リッターで、ここはH2(121リッター)の「約70%の大きさ」だ。

ここがイイ

どこから見てもハマーなこと。ミリタリーテイストゆえの強烈な存在感にあふれまくっている。様々な先入観を省いて素直に眺めることができたとすれば、カッコいいと思う人は多いはず。

パイピングがオシャレな電動シートは座り心地も悪くない。こんなサイズのクルマなのに、小柄な人でもシートポジションが決まるのは素晴らしい。太くて、小さめのステアリングも感触がよく、右ハンドルでも左足がそう狭くないのもいいところ。また車幅が広いだけに交差点での右折時には、前方視界の面で右ハンドルの恩恵が大きい。なお12V電源がフロントに2つ並んでいる(一つは通常シガーライター)のも便利だ。

燃費は想像以上にいい方だろう。さらにレギュラーガソリン仕様(プレミアムガソリンに比べてお財布的には5、6%の燃費向上と同じ効果)ゆえ、このクルマに乗ろうという意志のある人なら許せる範囲なのでは。ボディの迫力を見るにつけ、たぶん大方の人がリッター3kmとかを想像するはずだから。

ここがダメ

内装はアメリカ車としては標準的なものだが、価格を考えると、やはりもう少し質感をあげたいところ。軍用車テイストなら逆にもっとラフでもいいが、かなり乗用車的内装で、またシートもかなりいいだけに、ちょっと惜しい。助手席エアバッグ展開用の樹脂の明確な切れ込みも最近の新車では珍しい。

後席のシートバック角度が変えられないのは人によっては辛いかも。例のフェンダーミラーをつけないために開発されたカメラやモニターも、実際には官僚制度の弊害であり、なくてはならないものとは思えない。こんなものより、ボディ後端がつかみにくいこのクルマにはリアビューカメラこそ全車標準とすべきだと思う。

フューエルキャップがいまだ鍵式。しかもメインキーとは別の、小さな鍵を使う。なかなか面倒だ。防犯対策だとは思うが、それにしても。

総合評価

女性でも無理なく乗れる

久々に街乗り四駆という言葉を思い出してしまった。本格的な悪路走破性を持っているが、このクルマをオフロードで楽しむという人は、こと日本においては皆無だろう。カタログには道なき道を行くワイルドな写真が満載されているが、日本国内ではなかなかそういう場所はないし、それを楽しむには車両価格が高すぎる。それより、でかいメッキホイールをつけて、ちょっぴり優越感に浸りながら街を流す、という使用パターンだろう。昔の四駆と違い、乗り心地も素晴らしくよくなっており、街乗りで快適そのものだ。

もう2年近く日本でも売られているから、街中でかなりの台数を見かけるようになった。時に若い奥さん風の人が乗っていることもあり、旦那のクルマに無理に乗らせられてかわいそう、と思っていたが、試乗してみてその乗りやすさには驚いた。これなら女性でも無理なく乗れる。確かに幅こそ広いが、その広さはオーバーフェンダーがかなりの部分を占めているわけだし、最小回転半径が小さくて小回りがきくから、縦列駐車や車庫入れ以外ではそう気を遣うことなく乗り回せる。前述の通り小柄な人でもドライビングポジションは決まるし。今年から導入された右ハンドルでは街中での使い勝手が向上しているが、これだけの幅のものを路肩へ駐車する場合などは、従来からある左ハンドルの方がいっぱいまで寄せやすい。ここはちょっと悩ましいところだ。モニターカメラ画像に慣れればいいのかもしれないが。

再び、兵器の機能美について

以前にも書いたような気がするが、こういった「軍用」を思わせるアイテムには独特のカッコよさがある。兵器の機能美は多くの人を惑わすもの。銃や刀剣、鎧などが美術品として認識されるように。H3はなんちゃって軍用車ではあるが、それでも兵器テイストがたっぷりある分、他のオフロード車より優位にある。その点は日本のSUVではまったく対抗できないところだ。さらに「軍用」の持つ強さ感が、クルマにそうした価値を求める人には魅力的だろう。おまけに価格もそう高くはない。H3とメルセデスCLSの2台は、費用対「はったり」効果の高いクルマの双璧だ。

GMはハマーブランドを買って、第3弾であるこのクルマをヒット車に仕立て上げた。H1といえばトヨタのメガクルーザーがライバル視されたものだが、メガクルーザーが国内販売ラインナップから消えてすでに久しい。メガクルーザーも軍用車(自衛隊が軍だとすれば)の民生版ゆえ、相当にカッコよかった。トヨタもあのテイストを引き継いで「メガクルーザー3」をプラドベースあたりで作ればかなり売れるはずなのだが、やはり日本では、それをやっちゃあお終い、なのだろうか。人の心にある、この軍事モノへの密かな憧憬は人の性なのか? いやそれとも後天的な学習の結果か? いずれにしてもそれがある限り、人類は平和を勝ち取ることはできないかもしれない。

それゆえなのか、街中のハマーは攻撃的に(というか傍若無人に)見えることが多い。それが乗る人によるのか、このクルマに乗るとそうなるのか、あるいは傍から見て単にそう見えるだけなのか。銃を悪用する人がいけないのか、銃があるからいけないのかという問題にも通じる、まさに「アメリカ的製品」だ。銃同様、現にある以上、オーナーになった人は扱いに注意する必要がある(私的には、乗っていて「それはなかなか難しい」と思えたりするのだけれど)。

試乗車スペック
ハマー H3 Luxury
(3.7リッター直5・4AT・599万4000円)

●初年度登録:2007年12月●形式:ABA-T345F ●全長4705mm×全幅1995mm×全高1920mm ●ホイールベース:2840mm ●最小回転半径:5.7m ●車重(車検証記載値):2220kg( -+- ) ●乗車定員:5名 ●エンジン型式:3J ● 3653cc・直列5気筒・DOHC・4バルブ・縦置 ● 245ps(180kW)/5600rpm、33.5kgm (328Nm)/4600rpm ●カム駆動:- ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/88L ●10・15モード燃費:6.4km/L ●駆動方式:フルタイム4WD ●サスペンション形式:前 ダブルウイッシュボーン+トーションバー/後 リーフリジッド ●タイヤ:265/75R16( Goodyear Wrangler RT/S M+S )●試乗車価格:621万4710円( 含むオプション:フロントバンパーエンブレム 2万2050円、フロントバンパーグリル 3万1500円、クロームフューエルドア 4万5150円、ボディサイドデカール 2万5200円、スペアタイアカバーレター 1万5750円、リアガーニッシュデカール 1万4700円、ドアエッジモールディング 6825円、ヒッチカバー 9135円、フロアマット 5万0400円 )●試乗距離:約200km ●試乗日:2008年1月 ●車両協力:ハマー名古屋

GMアジア・パシフィック・ジャパン>ハマーH3 http://www.hummer-japan.com/

 
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