新車試乗記 第10回 トヨタ ハリアー 3.0 Gパッケージ Toyota Harrier 3.0 G Package

 

日時: 1998年02月06日

     
     
     

    カーデータ

    ●カテゴリー : スポーツユーティリティサルーン(新造語)
    ●クラス(排気量) : 2200&3000cc
    ●キャラクター : 新しいジャンルのクルマということで、ハリアーを一言で説明するのは難しい。メーカーは、「高級セダンの乗り心地」「RVの使い勝手の良さ」「スポーティな走り」を融合した都会派レジャービークルといっている。米国ではレクサスブランドで売られ、ライバルはグランドチェロキーやメルセデスMクラスに値する高級SUV。強いて日本でライバルを上げればルネッサやオデッセイプレステージだが、ちょっと無理がある。簡単にはウインダムをベースに四駆風のボディをかぶせ、車高を高くしたと思えばよい。
    ●コンセプト : 高級サルーンの基本性能とスポーツユーティリティの機動性・機能性を融合させた… つまり高級車と呼べる静粛性や質感、大人5人が快適に移動できる広い移動空間を確保しつつも高い悪路走破性をもつ。オンロード重視の高級車でいざとなればオフロードでも走れるってのが狙い。高級車寄りのオフロード車でなく、オフロード車寄りの高級車ということ。
    ●注目度 : ハイラックスサーフやパジェロに疲れた人は気にしている。しかし、ハリアーのポジションがわからない人たちには、変な四駆と思われる。
    ●特筆装備 : 今までにSUVにはなかったデザインと乗用車的高級感。左右対称の非常に斬新なデザインのインパネやシフトマチック。ラゲッジルームは驚くほど広大ではないが、シートバックを倒すとクッション部が自動的に前下方へスライドし、フラットな荷室になるのは良いアイディア(荷室奥行きは900mm、シートバックを倒すと1500mm)。
    ●燃費 : 5・8型インフォメーションディスプレイの燃費計は5.4Km/リットルを表示。10・15モードは9.4Km/リットル。
    ●価格・販売 : エンジンは2.2リットル直4と3.0リットルV6の2タイプ、FFと4WDの設定がある。それそれにスポーティな装備のSパッケージ、豪華装備のGパッケージが用意される。239万5000円から用意され最上級グレードが318万5000円。ちなみにオプションのGPSナビが26万円、本革シート(Gパッケージのみ)が16万円。フル装備の2WD試乗車は330万円。結構なお値段。販売店はトヨペット店(大阪地区はトヨタ店)とビスタ店。

    スタイル

    ウインダムのSUV仕立てのような、パーソナル感覚の強いデザイン。新しいジャンルということで、新しいデザインを提案したかったのだろうが、ちょっとアクの強い顔つきは好き嫌いが分かれる。ヘッドライトやテールランプを間近で見てみると、もの凄く凝ったデザインということに気付いた。さらに眺めていたら、あのベンツMクラスとそっくり?

    パッケージング

    フラットフロアで室内幅1500mm、室内高1205mm、高級サルーンの空間+余裕のヘッドクリアランスな訳だから文句なし。ウォークスルーは、フラットな床を確保しているのだがセンターボックスが装備されているので無理。でもこの巨体なコンソールボックスは3段式となっていて使いやすそう。インパネシフトを採用しサイドウォークスルーが可能となっているが、平均的日本人だとシートをいちいち下げないと無理なのは三菱同様。

    内装(質感)

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    斬新なデザインのインパネは、写真で真っ正面から見ると使い勝手には疑問を持つと思うが、いざシートに座ってみると操作パネルが若干スラントしているので抜群に使いやすい。センターデフロスターを両際に配置してディスプレイ設置したのはマル。未来的なインパネでありながら、オヤジウケする高級感もアピールしてるのは立派。

    シート・ステアリング・シフト感触

    シートはオプションのベージュ本革だったため高級感はさらに際立つが、手垢や汚れが怖くなる。冬場は尻が冷たい。アリストでお馴染みのステアマチック(全車標準)は最初嬉しくなってしまうが、すぐ飽きる。トルクがあって4速なのでシフトの楽しみは少ないし、表でダウン、裏でアップは感覚的に使いにくい。ポルシェ式の上下動の方が理にかなっている。ただこれが全車についているのはすばらしい。やがてすべてのクルマがこうなるだろう。

    動力性能(加速・高速巡航)

    3.0リットル試乗車は低速トルクがたっぷり、そして静かで全く不満なし。しかし、トラクションコントロールONでも、発進時にフル加速すると軽い
    ホイールスピンをする。別にパワーがありすぎというわけでななく、タイヤがオールラウンドタイプを履いていたからだと思われる。雨の日はちょっと怖いかも。
     2.2リットル車には乗ってないが、1.6トン以上(4WDはさらに100Kgアップ)もあるボディに大人5人以上乗ることを考えると、140PS/19.5kgmではエスティマ並のパワーにすぎず、パワー不足と思われる。

    ハンドリング・フットワーク

    オフロード四駆とは全く違う安定感あるコーナリングだが、限界は高くないし、とばす気になれない。細目のタイヤのせいもあるが、踏ん張りは今一つ。

    乗り心地

    イイです。

    騒音

    さすがに高級車、静か。でもアイドリング時のエンジン音が聞こえる。あと高回転でのノイズもちょっと気になるが総じて静か。高速でも風切り音の方
    が気になるくらい。

    安全性

    GOAボディ、デュアルエアバッグ、ABSなどの基本的な安全装備はもちろん全車に標準装備。運転席&助手席に点灯式シートベルト非着用警告灯も装備されている。でも高級車をうたうならサイドエアバッグも標準装備するといいと思う。

    環境対策

    SUVでありながら、大自然をぶち壊しながらの過酷なオフロードは走れない。すばらしい。3個のセンサーと三元触媒でCO、HC、NOxは70%以上
    削減。冷媒をラージクラス乗用車に比べ約20%削減。

    ここがイイ

    これまで高級車では味わえなかった、高いアイポイントの開放的な運転フィーリングや時にオフロードでも走れること。また荷物も乗るし、何にでも使えて、しかも十分高級でと、クルマとしては最も合理的で、新しい形態のクルマの時代を予感させること。

    ここがダメ

    高級車なのにブランドネームが知られていないために、ハリアーの格付けやコンセプトがわからない人の前では、自慢できない。さらにハリアーの格付けを説明すると、自慢をしているようで嫌われる。みんなに認知されるまでには時間がかかりそう。フロントグリルにはトヨタマークがないし。

    総合評価

    photo_2.jpg

    これもまたトヨタのジャンルぶち壊し・将来のシェア独占作戦の戦略車種。本質的にはルネッサあたりにも似ているパッケージや機能性優先の質実剛健なクルマだが、それを高級車というオブラートでくるんでしまって、なんだかよくわからなくした上で、高級志向の消費者(高級車を買う消費者ではなく、買うなら高級車がイイという心理の消費者)に売るという見事な作戦。人々は知らず知らずのうちに新コンセプトカーを買ってしまう。こうしてクルマが新形態へと移行して行くならそれはそれで良しとしよう。

    お勧め度(バリューフォーマネー)

    トヨタ車らしく価格だけのバリューは十分感じられるはず。オールラウンドなクルマなので、これ一台ですべて済ませたい人にはお勧めできる。今買えば所有期間中にやってくる21世紀でも古くさくならずに乗っていられること間違いなし。

     

     

     
       
       
       
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