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新車試乗記 第197回 トヨタ ハイラックス スポーツピックアップ Toyota Hilux

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日時: 2001年11月17日

 

キャラクター&開発コンセプト

海外市場を狙ったレクリエーション・トラック

荷台をもつトラックながら、パーソナルユースをメインに置いているトヨタのRV(?)がハイラックス・スポーツピックアップだ。もともと小型の商用トラック「ハイラックス」として、広い用途で使われてきた歴史のあるクルマで、現行型は97年9月にフルモデルチェンジを受けた6代目。01年9月のマイナーチェンジでは高級感を演出するなど内外装の一新を図ったという。

エンジンはガソリンが2.7リッターと2リッターの2つの他、3リッターのディーゼルが用意される。トランスミッションは5MTと4AT。駆動方式は4WDが中心だが、一部に2WDも用意される。登録は「自家用普通貨物車」の1ナンバー扱い。メインとなる市場はピックアップの人気が非常に高いアメリカとオーストラリアで、特にアメリカでは税金面で優遇されるため、若者から圧倒的な支持を得ている。

価格帯&グレード展開

廉価版は167.1万円だが、売れ筋の中心は意外に高く250万円前後

ハイラックス・スポーツピックアップのボディタイプはまず「ダブルキャブ」と「エクストラキャブ」の2つに分類される。ダブルキャブとは「キャビンが2つ」という意味で、後席を設置したモデルのこと。同車ではドアを後席にも設け、乗車定員を5名としているのが特徴だ。一方、エクストラキャブとはシングルキャブをエクステンド(延長)したモデルのこと。シングルとダブルの中間的な存在となり、狭いながらも2名乗車が可能の後席を備える。なお、乗車定員2名のシングルキャブは、ビジネスユースの「ハイラックス」のみの設定でスポーツピップアップにはない。

また、ボディタイプのもう1つの分け方としてオーバーフェンダーで幅を広げた「ワイドボディ」(全幅1790mm)と「標準ボディ」(全幅1700mm)とがある。

エンジンはガソリンが2.7リッターと2.0リッターの2種類。ディーゼルが3.0リッター1種類となる。トランスミッションはガソリン車が全車4AT、ディーゼル車は5MTのみの設定。駆動方式は標準ボディモデルのみ2WDとなるほか、全車4WDとなる。

価格は段違いで安い167.1万円(2.0リッターガソリン、標準ボディ)から始まるが、その他のグレードは232.8万円(3.0リッターディーゼル)、240.8万円(2.7リッターガソリン)、254.8万円(2.7リッターガソリン、ダブルキャブ)とおおむね200万円台真ん中辺りの構成となる。

三菱・ストラーダ、マツダ・プロシードマービーなき今となっては、国内で唯一直接のライバルとなるのが日産のダットサンピックアップ。価格は174.7万円(2WD、2.4リッターガソリン、4AT)から、274.4万円(4WD、ダブルキャブ、3.2リッターディーゼル、4AT)。グレード設定はこちらの方が充実しており、特にマニュアル・トランスミッションを選択しやすいのが日産らしい。

パッケージング&スタイル

これもデコトラ(デコレーショントラック)の一種?

試乗したダブルキャブのボディサイズは、全長5035×全幅1790mm×全高1775mm。ホイールベースは3085mm。アメリカでは小柄なサイズに属するものの、日本ではやはりデカイという印象は否めない。特に全長はライバルの日産ダットサンよりも100mm以上長く、全幅においても90mm分はオーバーフェンダーの装着によるものだから、居住空間に対してのメリットはない。オーバーフェンダー非装着の全幅1700mmの標準ボディもあるが、こちらも結局のところ最小回転半径が6.1mもある(エクストラキャブは6.6m!)。最大級のRV、ランクル100でさえ5.9mだから、いかに小回りが利かないか理解できるだろう。タイヤの切れ角を大きくするなどで、なんとか6m以内に抑えて欲しいものだ。

とはいえ、この大らかさ加減がピックアップトラックの真骨頂であるのも確か。オーバーフェンダーやメッキバンパーは押し出し感が強く、遊び心もあって、商用車イメージがつきまとわない。先ごろのマイチェンによってスポーティー、高級感という雰囲気がさらにプラスされ、本場アメリカのピックアップらしいワイルドさが上手く表現されている。こうなるとローダウン仕様といった、もっと趣味に転じたモデルがあっても面白いと思う。あまり売れるとは思えないが、今のトヨタならそのくらいはできるはず。

積載能力よりも快適な居住性を重視したパッケージング

ピックアップの最大の特徴であるオープンの荷室のメリットは、積載物についた汚れが室内に侵入せず、立ったままの姿勢で背の高いバイクなどを積み降ろしできる点だ。ハイラックス・スポーツピックアップ(ダブルキャブ)の荷台サイズは長さ1355mm×幅1450mm×高さ400mm。ちなみにダットサン・ダブルキャブは1395mm×1390mm×435mmと、面積自体はほぼ同じ。しかし最大積載量は決定的に異なる。ダットサンが500kgなのに対して、ハイラックスはその半分の250kg。「なんだ、それだけ」と文句をつけたくなるわけだが、実際、RVユースの場合、バイクなどの重量物を積んでも、せいぜい200kg程度。ワークユースでもなければ500kgの荷物を積むことはまず考えられない。それに最大積載量を500kgにまで上げてしまうと、今度はそれに耐えうるだけの固い足回りが必要となる。結果的に乗り心地が悪くなるわけだ。そのような観点で判断すれば、日常ユースで適しているのはハイラックスの方といえるのかもしれない。

ま、それでも所詮、荷台は野ざらし状態の荷物置き場には変わりなく、雨の多い日本での利用価値は低い。もちろん荷台の屋根代わりのなるトノカバーも用意されているものの、だったら最初からSUVを買えばいいわけで、ジェットスキーやマウンテンバイクを趣味にする人以外にとって、まさに無用の長物。そこにアメリカで爆発的に売れても、日本では全く売れない原因のひとつがあるというわけだ。

室内装備は充実。コラムシフトの設定があってもいいと思うのだが

インパネのデザインはサーフに似ているがオリジナル。シフトレバーは全車フロア式。パーキングブレーキはインパネの下端部から生えた棒状のレバーを手間に引いたり、さらに引いて回転を加えると解除するタイプ。トラックでよく見かけるあれだ。質感はペキペキとしており、乗用RVと比べてしまうとさすがに見劣りする。メーターの文字盤にはブルーグラデーション、シートはファブリック地のバケットタイプ。このクルマの場合、中途半端に洒落っ気を出すより、実用本位に振った方がいいだろう。例えば日産エクストレイルのように、シートに防水・撥水加工を施すとか。その他、ガングリップのシフトレバーの位置が遠すぎることが気になった。

最低地上高は215mmと本格的なSUV並。ゆえに乗降性は悪い。女性を乗せる機会が多い人は、サイドステップが必須だ。後席に乗りこんでみると、トラックの派生車としては非常に広いことに驚く。全長が長く、荷室が短い、というパッケージングのためだ。同時にサーフより300mm以上も長いロングホイールベースの恩恵でもある。しかし、後席の背後が「荷台とのしきり+バックガラス」となっているために、リクライニングは不可。椅子に座ったような格好を強いられる。とはいえ昔の直立背もたれと比べればかなり傾斜があり、長時間乗車に耐えるものだ。

基本性能&ドライブフィール

意外にパワフル、意外に静か

エンジンはガソリン仕様が2リッター直4(11馬力、17.0kgm)と2.7リッター直4(145馬力、24.0kgm)、ディーゼルが3リッター直4(91馬力、19.5kgm)の全3タイプ。ミッションは2リッターが4速AT、2.7リッターが電子制御式の4速AT、3リッターが5速MT。市場のニーズを考えれば、個人ユースの売れ筋は2.7リッターモデルということになる。

足回りは前がダブルウィッシュボーン式トーションバー、後ろが半楕円リーフスプリング(いわゆる板バネ)。かなり古典的なメカニズムは、トラックの派生車ということを如実に物語っている。この類のクルマは、耐久性が求められるだけに、シンプルな構造(しかも低コスト)の板バネが適しているわけだが、250kgの積載重量のこのクルマにもはや板バネは不要だろう。コイルバネにすれば、RVの資質はもっと高まるはずだ。

騒々しく荒々しい走りは、やっぱり“働くクルマ”

試乗したのはダブルキャブの2.7リッターのガソリン仕様。足回りはゴツゴツした固めのセッティングとなっているものの、不快な突き上げはかつてのピックアップよりは少ない。恐らく最大積載量を控え目の250kgに抑えたことが有効に働いているのだろう。

逆に振動・騒音対策はお世辞にも誉められるレベルではない。アイドリング時から振動がブルブルとお尻に伝わってくる。エンジン音もガーガーうるさい。クルマの性格上、ファイナル比をローギアードにしてあるため、走る出すとさらにその騒々しさが増す。正直、「これってディーゼル?」と勘違いしてしまたほどだ。

以前、これとまるっきり同じエンジンを搭載したサーフにも試乗したことはあるが、今回ほど荒々しくはなかった。エンジンマウントの違い、バランサーシャフトの有無(サーフは有)などが大きく関係しているのだろう。室内の快適性がRVにも求められるようになっている現在、この振動・騒音レベルはもう少し抑えて欲しいところだ。

動力性能はアイドリング付近の低速トルクが太く、出だしは豪快、満足できる内容だ。この低速トルクはオフロードにトライするときや、フル乗車・フル積載のときに有効な武器となるはず。また、ボディ後半に屋根がない分ボディが軽量にできることも忘れてならないポイント。車重は1660kgと、サーフのそれよりも100kg近く軽く、思っている以上に軽快なフットワークを披露する。

ロック・トゥ・ロックは3.6回転と、一般的な乗用車と比べて範囲は広い。路面のざらつきを直接的に感じさせるフィーリングといい、中立付近に若干曖昧さが残ってパワステといい、ラフロードの走破性を重点に置いたセッティングだ。最新のSUVと比べてしまうと、確かに旧世代のSUVみたいに荒々しいところばかりが目立つものの、直進時やコーナリング時の安定感は必要十分だ。高速では150km/h巡航ができてしまうほど。法定速度なら快適に走れる。

ここがイイ

10年以上前にハイラックスのピックアップに乗ったことがあるが、あれはもう明らかにトラックだった。それに比べれば何とRVになっていることか。確かにサーフと比べればやかましい、振動が多い、走らないということは間違いないが、それでもトラックという感覚からはほど遠い、たいへん「楽な乗り物」になっている。これでもう少し小さければ、毎日使ってもいい、と思えたほど。

ここがダメ

助手席エアバッグは38,000円のオプション、ステレオもオプション、運転席のスポットライトも便利だな、と思ったらこれもオプション、もちろんアルミはオプション、リアのでかいメッキバンパーもオプション(ついでにツートン塗装もオプション)と、試乗車のオプションはあわせて約20万円にもなっている。「何でもついててあたりまえと思ったら大間違いだ」としかられた気分。さすがトラック。

総合評価

1ナンバー商用車に乗用車から乗り換えると、確か任意保険の割引が引き継げなかったはず。その一点をとっても、このクルマがマニアックなものであることがわかる。とはいえ、毎日、そこらにぶつけながら乗っても気にならないクルマと言う意味で、トラックはいい。さすがに250万円もするこのWピックをいきなりボコボコにして使う人はいないと思うが、3年も走ればそこら中に傷がついて「いい雰囲気」になってくるだろう。そういうラフな扱いが許され、なおかつカッコイイ(と思う)のはトラックゆえの恩恵だ。それこそがクルマを手足のごとく使うということだろう。

そんな意味では、もう少し小さく安い、日本向けのトラックがあってもいいのではないだろうか。かつてサニートラックという名車? があって、けっこう人気が出たものだが、あれが復活すればそこそこ市場はあるだろう。bBのオープンデッキもいっそ2シーターにしてしまえばかつてのステップバン的雰囲気となって、もっと売れると思う。

若者がアメリカナイズされてきて、ボロいクルマを好むようになっている現在、ハイラックススポーツピックの豪華さはちょっと逆行気味かも。ハードウェアとしてはよく走って快適なのだから、あとはシンプルで安いという方向へコンセプトを逆転させるべきだろう。そうすればそこそこ売れると思う。ただ10・15モード燃費で8.3km/リットルというのは若者でなくてもかなりきつい。現状ではお金持ちのセカンドカーにしかならないかも。そこはちょっと問題だ。

公式サイトhttp://toyota.jp

 
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