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ホンダ ステップワゴン スパーダ 24T新車試乗記(第285回)

Honda StepWGN Spada 24T

(2.4リッター・5AT・238万円)

2003年09月20日

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キャラクター&開発コンセプト

2.4リッター&5速AT車や新グレード「スパーダ」を追加

2003年6月6日に発売された今回のステップワゴンは、01年にフルモデルチェンジして登場した2代目のマイナーチェンジ版。変更内容は5ナンバー枠を破る2.4リッターエンジンの追加。さらに新グレード「スパーダ」はボディ幅を30mmアップの1725mmとして、迫力を加えている。2列目ベンチシートや電動スライドドアの設定のほか、内装の質感向上、機能充実も著しい。

目立つのは全車に施されたフロントのデザイン変更で、薄型の4灯式ヘッドライトで一気に精悍な顔つきに。2.4リッター車はヘッドライトのロービームに「ミニバン初」のAFS(ステアリング舵角に応じてロービーム照射軸を可変)を装備する。
ちなみにSPADAはイタリア語で「剣」の意。88年に発売された250ccバイクの名称の再利用だ。

「ミニバンのホンダ」の立役者

初代ステップワゴンは1996年5月発売され、5ナンバーの8人乗り3列シートミニバンとして爆発的にヒットした。ファミリーカーとしてはもちろん、若者のカスタムベース車としても人気を博し、「ミニバンのホンダ」の地位を固めたモデルでもある。小型車(シビック)のFFシャシーに大きな箱型ボディを載せるのは当時としては思い切った設計だったはずだが、結果としてオデッセイともども各メーカーから多くのフォロアーを生んだ。

価格帯&グレード展開

ノア/ヴォクシーとガチンコ勝負

マイナーチェンジで見直されたグレード体系は、「B」(189万円~)、「G」(198万円~)、「24L」(228万円~)、「スパーダS」(211万円~)、今回試乗した「スパーダ24T」(238万円~)の4種類。全車8人乗りであることに変わりはないが、今回から伝統?のバタフライシート(2列目左端の補助席)に加えて、3人掛けベンチシートがオプション設定(3万円)された。4WDは25万円アップ。

ライバルのノア/ヴォクシーは189~263万円(4WD含む)。こちらは(今のところ)全車2.0リッター・4速ATだ。

パッケージング&スタイル

ファミリー向けの標準車に対して、ちょっとワルなスパーダ

サイズは全長4680mm×全幅1725mm×全高1845mmと幅を除いて従来モデル(と2.0リッター車)と大差ない。幅にしても、ホイールアーチに「モール」(とホンダは呼ぶ)が付いただけで、実質的な取り回しはそのまま。ただし最小回転半径は2.4リッター車だけ0.2メートル大きい5.5メートルとなる。ワンサイズ大きい205幅のタイヤを履くためだ。

スパーダはステップワゴンのファミリーっぽさを払拭した内外装が特徴。フロントは専用メッシュグリルとエアロバンパー、リアはスポイラーや専用のリアコンビランプで武装。言わばメーカー純正のドレスアップ仕様。もしくはホンダ版「ハイウェイスター」といった感じだ。CMソングも「オブラディ・オブラダ」なふんわり優しい雰囲気に対して、シャープな「レッツ・ダンス」。といっても共に昔の曲で、おじさん層の取り込み策ではありそうだ。

2列目にベンチシート仕様をオプション設定

内装も外観に準じたクールな仕様。ベージュとウッドのほんわかムードの通常モデルでに対してブラックで統一。シート地は肌触りがいいトリコット。これはこれで若い人からそう若くない人まで支持されそうな手堅い雰囲気だ。前席はバックレストのサポートが意外にしっかりしていて座り心地が良い。

バスの補助席のように畳んで跳ね上げることができるバタフライシート(全車標準)は、畳んだ状態だと3列目へのアクセスが簡単なのが最大のメリットだ。試乗車は今回オプション設定されたベンチシートを装備していた。背もたれ側面のレバー操作で自動的にクッション部がチップアップ → 前にスライドする「ワンモーションウォークイン機構」を採用して3列目シートへ乗降性を確保する。どちらを選ぶかは基本的にはユーザー次第だ。

主力グレードで電動スライドドア(片側)を標準装備

「G」グレード以上に標準装備される電動スライドドアはもちろん便利だ。他メーカーのミニバンではオプションであることが多いので、こうした細かいお買い得感が購入の決め手になるかもしれない。スライドドアの窓は今回からパワーウインドウになったこともグッドニュースだ。

しかし元々の設計上、致し方ないのは承知の上で、やはり片側スライドドアは不便だ。子供が飛び出さなくて安全というのは、もはや他メーカーが揃って両側スライドドア化を進める今、理由にならない。そもそもホンダ最大のミニバンであるラグレイトは両側電動スライドドアだ。

「G」グレード以上に標準装備されたクールボックス(2列目横)は500mlのペットボトル4本と350mlの缶4本が同時に入るという大容量で、ほとんど小型冷蔵庫並み。あくまでもエアコンの冷風を使ったものなので、アイスクリームなどを入れて忘れてしまわないように。キーレスのリモコン操作や運転席のスイッチで開閉できるパワーテールゲートもオプション設定された(8万円)。

座り心地のよい2・3列目

最近多くなったスタイリッシュなミニバンは、3列目シートを緊急用として割り切るか「最大限努力しました」という感じのものが多いが、ステップワゴンのものはボクシーな形を生かして空間もシートの造りも十分だ。ただし場所がボディ後端なので、走行中の「乗り心地」はあまり期待すべきではないだろう。そういう意味でベストはやはり2列目。3列目もそうだが座面高があるのが特徴で、椅子のように座ることが出来る。今回のベンチシートは回転対座などのシートアレンジを捨てた分、平板な感じがなく、座り心地は良かった。

基本性能&ドライブフィール

静粛性と燃費に優れる2.4リッターエンジン

試乗したスパーダの2.4Tは、アコードやエレメントなどと基本設計は同じ2.4リッター4気筒の「DOHC i-VTEC」。低速重視の設定で、22.4kgmの最大トルクを3600rpmという低い回転から発生する。アクセルを踏み込んだ瞬間は、たしかに2.0リッターより力強い。162psのパワーで1600kgのボディを難なく加速させる。ただし2.0リッター(160ps、19.5kgm)でも十分にパワフルなので、回してしまうと大差ない感じがした。この2.4リッターはどちらかと言うと積極的に低回転を使い、静粛性と燃費を稼ぐもののようだ。

エンジンが唸らない

ステップワゴン初搭載となる5速ATもそういう走りに合った設定で、アクセルを戻すと2000回転以下にすかさず回転を落とす。そこから踏み込むと、細かいギアを生かしてスムーズに加速。つまりエンジンが唸らなくなった。しかも今回の試乗車は遮音が行き届いており、回してもうるさいと感じることはなかった。

しかしシフトゲートには「1-2-D」(それとオーバードライブ解除ボタン)しかなく、もちろんマニュアルモードもないので、知らないと5速ATであることは分からない。ちょっともったいないが、実用面で特に問題はない。

良い乗り心地。トルクステアあり

どちらかと言うと固めと言えるかもしれないが、乗り心地は悪くない。ゴツゴツ感もなく、クルマのカタチからすれば上下動はよく抑えられている。ロールやピッチングも同様に背の高さを考慮すれば納得できるレベルか。試乗車が装着していたブリヂストンの「レグノ」の性能も味方したかもしれない。

気になったのは、先代に比べてそうとう抑えられたものの、加速時にトルクステアが出る点。問題とするほどではないが、ちょっとばかりシャシーの古さを感じさせる。トラクションコントロールやVSAといった車両安定装置は装備されていない。雨の日やタイヤが減ってきた時のことを考えると、やや心もとない。

AFSと言っても千差万別

2.4リッター車に装備されるAFS(アダプティブ・フロントライティング・システム)は、コーナリングや右左折時に、ステアリング操作に応じてロービームの照射軸の方向を変えるもの。ライトの基本構造はディスチャージドヘッドランプの光をマルチリフレクターで反射させるという、やや変則タイプ。照射軸を変える仕組みは、リフレクターの一部(まつげのように一部だけ別体になっている)をステアリングに連動させてモーターで動かすという、わりと単純なものだ。

実際に使ってみた感じは、速度が低い場合や近いところを照らす時に便利という印象だった。停止状態でもステアリングに連動してコーナー内側を照らす機能を持つ一方(ただし一定の速度以上で走行した後)、保安基準(対向車などへの幻惑)の問題もあって横を照らす照度は低めだ。ディスチャージドヘッドランプそのものを電子制御で緻密に動かすハリアーのAFSとは、構造や考え方はまったく異なる。ステップワゴンのものは仕組みが単純な分、コストが安くて作動状況が分かりやすい。

ここがイイ

実燃費はわからないが、カタログ上の燃費は2リッターでも2.4リッターでも大差ない。こうなると、多人数乗車を前提とした場合、2.4リッターの余力は大きな味方となる。また高速道路の巡航でも、排気量は大きいに越したことはない。スパーダは180㎞/hの高速巡航も可能な動力性能を持ち、中間加速もずいぶん余力が出ている。長距離を走るならおすすめだ。静粛性もずいぶんよくなっている。

AFSの仕組みは簡単だが、大変効果的。ワインディングでコーナーの先を照らしてくれるのは新鮮だし(といっても奥の方までは光が届かないが)、右左折での死角がずいぶん減る。試乗車には無かったがフロントサイドカメラシステム(トヨタで言うブラインドコーナーモニターもオプションで用意されており、見えないところをなくすこうした努力は評価できる。

同様にバックモニター付きのカーナビは必需品だろう。8インチの画面がダッシュセンターに収まるインパネは、今見てもいい設計だと思う。このナビはボイス対応となり、ちょっぴり未来的な操作感がある。子供は喜びそうだ。

それから他メーカーのエンジンも含めて最近は珍しくないが、このステップワゴンのエンジンもカムがチェーン駆動なのでタイミングベルト交換がいらない。メンテナンスなしで、ロングライフで乗れるようになったのはうれしい。

ここがダメ

ちょっとシャシーの古さを感じるトルクステアは、旧ステップワゴン同様で、ホンダらしくて元気でよろしい、と思うのは、かつてのワンダーシビックを知る人だけかも。デイズ所有の旧ステップワゴン(後期型)もそうだが、出だしの動きが妙に元気。ミニバンは大トルクでゆったりと動きだして欲しいのだが。

同様に、コーナリング時のロールや不安定さは最新設計のミニバンにはとても及ばない。それでいてVSAもない。特にスパーダは走りを謳うモデルゆえ、パワーと足回りのアンバランスは気になるところ。

それから、やはり両側スライドドアでないのは辛い。おかげで、大型のクールボックスがセカンドシート脇にあるとしても、だ。デイズの旧ステップワゴンやエスティマ・エミーナも片側スライドドアだが、試乗車で両側スライドドアに乗ると、その便利さに「やっぱりこれが普通だな」と思ってしまう。

総合評価

まず何が気に入ったかというと、スライドドアの窓が全開できるようになったこと。窓ガラスの後部1/5ほどがピラーではめ殺しになったが、残りは完全に下にスライドしてドア内に収まる。後部座席の人にとってこれはかなりうれしいことだ。それからスライドドアの電動化は乗り降りだけでなく換気にも有効。運転席から操作すれば、サンルーフがなくても夏場に乗り込んだとき、しっかり換気できる。

シートアレンジでは、不評だったセカンドシートが大型化したのがいい。補助席の折りたたみも簡単になったようだ。15年以上前に登場したであろうこのタイプのシートはもはやステップワゴンにしかなく、貴重。運転席・助手席回転シートも健在で、セカンドシート背面をテーブル代わりにしたレストランモードや、3列フルフラットも健在。このアレンジができるのはステップワゴンの最も大きなメリットだ。

これに対して試乗車の2列目ベンチシートは、実に凡庸。アレンジより乗り心地という人向けに用意されており、それなりに需要はあるとは思うが。セカンドシートのワンモーションウォークイン機構の操作性も悪くないが、こうするのであれば運転席からのリモコン電動化として、プレサージュのように自動折りたたみができるようにしてもらいたいところ。

売れているノア/ヴォクシーは旧ステップワゴンのコピーだと以前書いたが、では本家ステップワゴンはというと、今一歩先へ行けず、もがいているように見える。ヒット車(初代)の次世代はキープコンセプト、というホンダの法則からいけば、現行2代目はどこまでマイナーチェンジしても偉大な初代を超えられないだろう。安全性、走行性、ユーティリティーなど、初代とは比較にならない向上をみせている現行ステップワゴンも、旧ステップワゴンオーナーから見れば、どうしても買い換えたいと思わせるだけの決定的な魅力には欠けているように思う。今回は旧モデルオーナーゆえのかなり私的な意見になったが、「親の欲目」だけではないと思うのだ。

試乗車スペック
・ホンダ ステップワゴン スパーダ 24T
(2.4リッター・5AT・238万円)

●形式:UA-RF7●全長4680mm×全幅1725mm×全高1845mm●ホイールベース:2805mm●車重(車検証記載値):1600kg(F:900+R:700)●エンジン型式:K24A●2354cc・DOHC・4バルブ・直列4気筒・横置●162ps(119kW)/6000rpm、22.4kgm (220Nm)/3600rpm●使用燃料:レギュラーガソリン●10・15モード燃費:11.2km/L●駆動方式:前輪駆動●タイヤ:205/55R16(ブリヂストン製 REGNO ER33)●価格:238万円(試乗車:280万円 ※オプション:リアカメラ付きDVDナビ 28万円、電動ダブルサンルーフ 14万円) ●車両協力:本田技研工業株式会社

 
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