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ヒュンダイ TB 1.3GL新車試乗記(第253回)

Hyndai TB 1.3GL

(1.3リッター 99.8万円)


2003年01月24日

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キャラクター&開発コンセプト

「クリック」はゲットできず「Think Basic」

2002年10月2日に発売された「TB(ティー・ビー)」はヒュンダイが世界をターゲットとして開発したコンパクトカー。欧州名「ゲッツ(GETZ)」、韓国名「クリック(CLICK)」。ヒュンダイとしては日本名も「クリック」としたかったようだが、どちらの名前もすでに商標登録済みのため、開発コード「TB」が名前となった。TBとは「Think Basic」の意。快適性と実用性をコンパクトなボディに凝縮する、というメッセージがこめられる。

ヨーロッパやアジアで年間30万台以上の販売目標が掲げられるが、日本市場での目標は300台/月に留まる。発売2週間での受注は400台と、立ち上がりは好調なようだ。

世界(日本を除く)で好調のヒュンダイ

ヒュンダイの創業は'67年。'76年発売の「ポニー」以来、急成長を遂げている。例の経済危機により'98年はやや足踏みしたが輸出は好調を維持。北米('00年は約41万台を輸出)やヨーロッパ(同じく約26万台)では、日本メーカーに匹敵するシェアを確保する。ここ数年は武器である低価格に加えて、デザインとクオリティの向上が著しい。ヒュンダイにとって、お隣りの日本は最後の攻略市場となりそうだ。

<価格帯&グレード展開

主力は99.8万円。10~15万円ほどお買い得

グレードは3種類。集中ドアロックやキーレスが省かれる標準モデルの1.3GL(89.8万円)、販売主力の1.3GLコンフォート(99.8万円)、そしてトップモデルの1.3GLS(109.8万円)。ヒュンダイは世界中で「リーズナブルな価格」を重要なセールスポイントとしていて、TBも日本製ライバル車に比べて10~15万円ほど安く設定する。

例えば同装備の1.0リッターヴィッツと比べると10万円ほど安い。1.3リッターならさらに差が付く。フィットと比べても15万円ほど安い。やはり、このクラスで100万円を切る価格は魅力的だ。カラーは7色を用意。グレード的に真ん中のモデルでも装備は十分。

ちなみに海外では他に1.1リッター(62ps)、1.5リッター(101ps)、1.6リッター(104ps)のガソリンモデルや3ドア、5速マニュアル車がある。

パッケージング&スタイル

キャラそのもの。シンプルで機能的なデザイン

ぱっと見た目、平凡なTB。しかしよく見るとリアやサイドのデザインはシンプルでクリーン。無駄な線がなく、けれんみが一切ない。試乗するとこれがTBのキャラクターそのものであることがよく分かり好印象。ここまで筋が通っていると、立派な個性か。女性にこびた感じがしないのもイイ。全長3810mm×全幅1665mm×全高1495mm、ホイールベース2455mmは、ほぼフィットと同じ。

ダントツの視界とシート

室内も機能性のカタマリ。この抜群の視界の良さは誰が乗っても認めるざるを得ないところだ。分厚いクッションとガッシリしたフレームのシートは完全にヨーロッパ車風。後席シートも手抜き無し。5つ揃った大型ヘッドレストを見ただけでも気合いの入り方がよく分かる。座面が高くて後席頭上にあまり余裕はないが、十分だろう。

プラスチックで何が悪い

国産車で死語となりつつある「プラスチッキー」という言葉がしっくりくる? 内装だが、そもそも現在の国産コンパクトカーがちょっとやり過ぎでは? 今時珍しい質実剛健さは、「オシャレなインテリア」化が著しい国産車にはない魅力か。日本仕様右ハンドルのウインカーはちゃんと右側。多くの欧州車同様インパネにシフトインジケーターがないのはちょっと不便(レバー脇のインジケーターは明るくて見やすい)。速度計は200km/hまで刻まれる。

荷室もまずまず。後席背もたれは6:4分割可倒式で、座面ごと前に跳ね上げればフラットで使いやすそうな987リットルの荷室が出現する。ライバルが欧州車だけあって、このあたりはちゃんとしている。

基本性能&ドライブフィール

ちょっと懐かしいダイレクト感

同じ1.3リッターの小型車に乗り慣れてる人なら、TBの元気なエンジンに驚くはず。馬力は82psと普通、ボディは1070kgと重めなのに、加速感はちょっと昔のクルマみたいにダイレクトでリニア。気になるのは加速時のエンジン音。不快と言うよりは「威勢がいい」という音だが、もう少し静かな方が良いと思う。高いギアリングもあって巡航時はそれがウソのように静かだ。

欧州車そのものの高速安定性

高速道路を走ると、動力性能の良さは歴然。100km/h巡航は2200回転と、このクラスとしては信じられない低さ。そこからアクセルを踏み込むと、滑らかに3速にシフトダウンしてグングン加速。最高速は試せなかったが、メーター読みで160km/hオーバーは確実。ヒュンダイ本国公式サイトには同仕様で最高速161km/hとある。直進性は完全に欧州車で、飛ばせば飛ばすほど快適。ヨーロッパでのシェアが納得できる。

ボディもガッシリしておりドイツ車みたいだ。衝突安全性も欧州テストで★4つの最高レベル。乗り心地も固めで、路面の段差もよく伝える。が、決して不快ではない。先代ポロやドイツ車寄りになったシトロエンC3にも少し似ている。重めながらパワステの操舵感もまったく問題ない。

燃費もヨーロッパ車並み?

燃費は計測できなかったが、10・15モードは14.0km/L。フィットの23km/Lと比べると見劣りするが、ご存知の通り国産車の多くは「10・15モード燃費スペシャル」となっており、ヒュンダイは「実際の走行ではそれほど差はない」と訴える。ま、多少悪くてもこの走りっぷりなら許せる、と思う。ちなみにVWのポロは13.4km/L。ルノー・ルーテシアは12.4km/Lだから、TBはまだ優秀な方だ。

ここがイイ

圧倒的にハイギアードな変速プログラムながら、低速域のトルク感が犠牲になっていないこと。街中も不満なく走れ、中間加速も不足なし。でありながら高速は150㎞/hで巡航したくなるほど。こういった味付けは、コンパクトカーユーザーが高速で高速巡航をしない日本の実状からすると、国産車では考えられないもの。TBが輸入車ゆえにできたものだ。

Aピラーが太すぎず、全体に優れた視界もイイ。リアシート真ん中にちゃんと3点式ベルトがある(天井にある)のもイイ。その他、正直たいした不満がみつからなかったほど全体の完成度は高かった。以前乗ったヒュンダイクーペもかなり高く評価したが、韓国車(というかヒュンダイ車)恐るべし、との印象は強い。

ここがダメ

内装のチープさに代表される、パッと見の印象の悪さは残念。仕上がりはしっかりしていてプラスチックにバリもないのだが、国産車のあざとい?内装と比べると、いかにもベーシックしている。

またTBという車名も残念。bBと音の印象は近いし、あまりにインパクトがない。いっそ、シンクベーシックという車名にならなかったものか。その方が分かりやすいし、シンクパッドという有名な商品もあるから、便乗も可能だろう。それともこれも商標で引っかかった? そこがちょっとおしい。

総合評価

「まじめまじめまじめ」は今や三菱の専売コピーとなった感があるが、<小型車についてまじめに考えました(Think Basic)>というTBもそうとう「まじめまじめまじめ」なクルマだ。一見あまりに地味なボディ(よく見るとリアスタイルなどはなかなかカッコいい)や、どうしてもホンダの類似品にみえてしまうHのロゴマーク(韓国の人から見ればホンダが似ているということになるが)、日本における韓国車のイメージ(戦略的な安い価格設定ゆえ、安物に見られがちというジレンマ)など、それらを心理的に乗り越えて実用車としてとらえられる人なら、これはもう相当なお買い得品だ。

とはいえ、ドイツ車ならドイツ車の、フランス車ならフランス車の、イタ車ならイタ車の味というものは、最近ずいぶん薄まってきてはいるもののまだ確かに存在している。しかしTBにはそれらしき味は感じられない。韓国車の味というものがあるのかどうか、まだそんなにたくさんの韓国車に乗っているわけではないから、どうにもよく分からないのだが、ことTBに関しては欧州車風であることは確かなものの、何処かの国風ではないように感じられた。

日本の場合、クルマがブランド品なのは間違いないから、たとえコンパクトカーといっても消費者は欧州車に少しプライオリティをおくし、日本車でもイメージ優先、スタイル優先で売れ行きが決まる。TBはそのレースに加わりにくいことを自覚するがゆえ、現在の控えめな販売目標台数となっているのかも。まあ、国産車より安いわけだから、日本で売られる欧州車よりは圧倒的に安い。それでいて欧州車レベルにあるクルマなのだから「経済観念の発達した人向け無国籍欧州車」なんて形容してみたいところだ。

試乗車スペック
ヒュンダイ TB 1.3GL コンフォート(2WD・4AT)

●形式:LA-TB13●全長3810mm×全幅1665mm×全高1495mm●ホイールベース:2455mm●車重:1070kg(F:ー+R:ー)●エンジン型式:G4EA●1341cc・SOHC直列4気筒3バルブ・横置●82PS(60kw)/5500rpm、11.9kgm(117Nm)/3000rpm●10・15モード燃費:14.0km/L●タイヤ:175/65R14(HANKOOK CENTUM K702)●価格:99.8万円(試乗車:99.8万円)

公式サイトhttp://www.hyundai-motor.co.jp/

 
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