キャラクター&開発コンセプト
リース販売でスタート。2010年4月から個人にも発売
三菱は2009年6月5日、電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」の量産型を正式に発表。7月下旬から国内の法人、官公庁、自治体向けにデリバリーを開始した。販売形式は基本的にメンテナンスリースという、車両費用、税金、保険費用、整備費用の一部を月々で払う形になるが、すでに9月の時点で2009年度内に予定していた1400台は完売している。
個人向けへの販売は2010年4月からで、2010年度の国内販売予定は5000台。ちなみに中部三菱自動車販売によると、愛知、岐阜、石川エリアでの2009年12月末までの登録・納車予定は計86台で、さらに2010年3月末までの予定(受注済み)は44台、そして2010年度(4月以降)の仮予約受付け台数は現時点で64台(自治体3台、一般企業51台、個人10台)だという。
三菱自動車自体は2020年までに総生産台数の20%以上をEVとする目標だ。i-MiEVは排出ガスのまったくない「ゼロエミッション車」であり、三菱によれば発電時のCO2排出を含めてもそのCO2排出量はガソリン車である「 i 」の約1/3だという。
ちなみにi-MiEVという名称は「Mitsubishi innovative Electric Vehicle」の略。市販化にあたり、車名表記が従来の「i MiEV」から、ハイフン付きの「i-MiEV」に変更されている。
2010年から海外でも販売開始
三菱は2010年から始まる海外への本格出荷に向けて、すでに北米、ニュージーランド、豪州、英国、モナコ公国などで実用テストやプロモーションを実施中。欧州向けの左ハンドル車も2010年度から投入予定だ。
またPSA(プジョー・シトロエングループ)には、2010年末から販売するプジョー・ブランドとシトロエン・ブランドのEV用にi-MiEVを供給することが決まっている。開発時間の短さやコスト低減の点でも、外観等の改変は最小限のはずだ。
価格帯&グレード展開
購入補助をフルに受ければ月々5万7855円×60回
車両価格は大手メーカーの軽自動車としては、史上最高額と思われる459万9000円。予備知識がないと「は?」と聞き返しかねないほど高額だが、電気自動車であるi-MiEVの場合、2009年度については139万円を上限に購入補助が政府から得られる。またいわゆるエコカー減税により、購入時の自動車取得税と自動車重量税もハイブリッド車同様、100%免除される(こちらは現時点では2012年春まで施行予定)。
139万円の購入補助をフルに受けた場合の概算リース料(5年間、月間走行1000km)は、月々5万7855円×60回。これは基本メンテナンス込みの価格で、スタッドレスを除くタイヤ交換、補器用バッテリー交換、点検、車検(1回分)等が無償となる。
【i-MiEV】 459万9000円 ★今週の試乗車
パッケージング&スタイル
MiEV独自の意匠はLEDヘッドライトや専用色くらい
ボディサイズはガソリン車の「 i 」と、ほぼ同じ全長3395mm×全幅1475mm×全高1610mm。MiEVの車高が10mm高いのは、200kgほど増えた車重に対応してサスペンションストロークを伸ばしたからか。タイヤはサイズも銘柄もガソリン車と同じだ。
MiEVならではの外観上の特徴は、ハロゲンに対して50%ほど消費電力が少ないというLEDヘッドライト(軽自動車初)やLEDリアコンビランプくらい。アルミホイールすら、ガソリン車と共用する。EVだからと言って、スタイリングに特別なところは少ない。ただし外装色は3種類のモノトーンのほか、MiEV専用色として、2トーンが2種類、専用デカールタイプが3種類用意される。
回転計はパワーメーターに、燃料計はバッテリー残量計に変更
一見インパネもガソリン車とあんまり変わらないが、まったく違うのはメーターだ。ガソリン車のアナログ回転計は、i-MiEVでは「Charge(減速時の回生=充電)」「Eco」「Power」を針で示す「パワーメーター」に変身。このあたりはプリウスなどのパワーメーターと同じだ。
また、よく見ると燃料計は給油リグの絵がコンセントになっていて、つまり「駆動用バッテリー残量計」となっている。
そして右上の距離計には、航続可能距離も表示される。航続距離が限定的なi-MiEVの場合には、これが非常に重要な情報になる。写真はほぼ満充電で「←64km」となっているが、これは直近の走り方だと64kmしか走れないことを意味する。ただしエコ運転していれば徐々に上がってくるか、あるいは減りが遅くなる。
冷暖房はひかえめに
空調パネルのデザインもガソリン車と一緒。ただし当然ながら作動原理はまったく異なる。冷房用のコンプレッサーはもちろん電動、暖房には電熱による温水循環式ヒーターを使うため、つまり電気をかなり消費する。クルマのボディは住居と違って、ほとんど断熱性がなく、しかも夏は直射日光の影響をモロに受けるから、冷暖房能力はそうとうに強力である必要がある。
シフトレバーもちょっと違う
シフトレバーもガソリン車の「D-3-2」ではなく、「D-Eco-B」。Ecoはもちろんエコ運転。「B」はDレンジと同等の力強い走りのまま、回生ブレーキを最も強く働かせるモードだ。
なお試乗車に装着されているメモリーナビ(パイオニアの楽ナビLITE)は販売店オプションだが、インパネ最上段という配置も含めて、なかなか使いやすい。純正のi-MiEV用メモリナビ「三菱マルチエンターテイメントシステム(MMES)」だと、SDカードによるアップデートで、充電場所の情報提供も予定しているという。いずれにしろメモリー式なのは、省電力のためだ。
インテリア空間はガソリン車と同じ
室内の広さ自体は、普通の「 i 」とほとんど同じ。相変わらずステアリングがチルト(上下)やテレスコ(前後)できないのは残念だが、ドライビングポジションはまずまず不満なく決まる。シートの座り心地は良好で、視界もよい。
リアシートもクッションこそ薄めだが、座り心地は悪くない。実際に大人男性の4名乗車を試してみたが、空間的にはドア側への余裕こそ最小限でも、前後方向は足が組めるほど広く、十分に快適だった。
なお、ガソリン車の場合、燃料タンクはフィットのように前席シート下にあるが、MiEVではフロントシート下からリアシート下までの床下が駆動用バッテリーの搭載スペースとなる。
荷室はメンテナンスリッドまで同じ
荷室の眺めは、ガソリン車とまったく同じ。床下に原動機を積む関係で、フロア高そのものは高めだが、普段の買い物には不足はないだろう。背もたれをパタンと倒せば、ほぼフラットなフロアが広がる。
なおガソリン車同様、スペアタイヤは搭載されず、パンク修理キットになる。
床下にはインシュレーターの下に、やはりガソリン車と同じように、蝶ネジで留まった黒いメンテナンスカバーが現れる。ここを開けると、左側に車載充電器(家庭用AC200V/ AC100V用)とDC/DCコンバーター(補器用バッテリー充電および電装品のため12Vに降圧する)、右側にインバーター(駆動バッテリーの直流電流をモーター駆動用の交流に変換するのが主な役目)がある。モーターはもっと下の方で、車体底から見ることができる。