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アウディ Q2 1.0 TFSI sport新車試乗記(第820回)

Audi Q2 1.0 TFSI sport

(1.0L直3ターボ・7速DCT・364万円)

アウディ最小SUVで
ダウンサイジング新時代と
クルマのスマホ化を体感する! 

2017年08月04日

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キャラクター&開発コンセプト

アウディ最小SUV


アウディ Q2(2017)

欧州では2016年秋に発売、日本では2017年4月26日に発表、6月13日に発売された新型車「Q2」は、アウディで最もコンパクトなSUV。

全長4200mmのボディサイズは、これまでアウディのSUVで最小だったQ3(日本では2012年発売)より一回り小さく、また、A3よりも短い。プラットフォームは現行ゴルフ(7)やA3と同じMQBである。これまでのアウディにはなかった新しいデザイン要素「ポリゴン(多角形)」を採用したエクステリアデザインも特徴的だ。

 

アウディ Q2 1st edition (2017年)

日本仕様のエンジンには、A1やA3に採用されているシリンダーオンデマンド(シリンダー休止機構)付の1.4 TFSI(4気筒ターボ)に加えて、A1に採用されている1.0 TFSI(3気筒ターボ)のハイチューン版を採用。また、最新のインフォテイメントシステム「MMIナビゲーション」やスマートフォンとの連携機能「Audi スマートフォンインターフェイス)」が採用されている。

 

■過去の関連記事
新車試乗記>アウディ A3 スポーツバック 1.4 TFSI(2013年11月掲載)
新車試乗記>アウディ Q3 2.0 TFSI クワトロ(2012年7月掲載)

 

価格帯&グレード展開

3気筒が299万円~。4気筒が405万円~


アウディ Q2 1.0 TFSI sport

海外にはパワフルな2.0 TFSIや、ディーゼルの1.6 TDIや2.0 TDIもあるが、日本仕様のカタログモデルは、3気筒ターボの1.0 TFSI エンジン(116ps、200Nm)を搭載した「1.0 TFSI」と、それにアダプティブクルーズコントロール(ACC)、LEDヘッドランプ、215/55R17タイヤ&17インチアルミホイール等を装備した「1.0 TFSI sport」、そして4気筒ターボでシリンダー休止システム「cod(cylinder on demand )」を備えた1.4 TFSI エンジン(150ps、250Nm)を搭載した「1.4 TFSI sport」の計3モデル。

 

オプションの「アウディバーチャルコックピット」(5万円)を装着するには「ナビゲーションパッケージ」(35万円)が必要

オプションとしては、ナビゲーションパッケージ(MMIナビゲーション、8スピーカー、アウディスマートフォンインターフェイス)が35万円、それに追加する形でフル液晶・多目的メーターの「アウディバーチャルコックピット」が5万円、セーフティパッケージ(アクティブレーンアシスト、トラフィックジャムアシスト、サイドアシスト、リヤクロストラフィックアシスト、ハイビームアシスト、プレセンスベーシック)が13万円、オートマチックテールゲートが7万円で用意される。

海外にはクワトロ=4WDもあるが、日本向けは今のところ全車FFで、トランスミッションは7速SトロニックことDCT(デュアルクラッチトランスミッション)になる。

■Q2 1.0 TFSI  299万円
■Q2 1.0 TFSI sport  364万円 ※試乗車
■Q2 1.4 TFSI cod sport  405万円

ほぼフルオプションの1st edition


Q2 1st editionのボディカラーは、専用色のデイトナグレー パールエフェクト(写真)、ベガスイエロー、マコウブルー クリスタルエフェクト、タンゴレッド メタリック、グレイシアホワイト マットの計5色

すでにほぼ完売とのことだが、Q2の日本発売を記念した280台限定車「1st edition(ファーストエディション)」(490万円)も導入された。

1st editionは、ほぼフルオプションに近い仕様で、通常ではオプションのセーフティパッケージ、ナビゲーションパッケージ、アウディバーチャルコックピット、S lineパッケージ(S line バンパー、スポーツサスペンション、18インチアルミホイール&215/50R18タイヤ)、10色のLEDで室内を演出する「アンビエントライティング」、オートマチックテールゲート等を標準装備としたもの。

 

パッケージング&スタイル

アウディらしからぬポップなデザイン

「ポリゴン(多角形)」がモチーフの外観は、けれん味のない上品なデザインが売りだった従来アウディとはかなり印象が異なる。特徴的なのは、あちこちのエッジ、8角形のシングルフレームグリル、同じく多角形のヘッドライト、「ブレード」と呼ばれるアイスシルバー(試乗車のように外板色がグレイシアホワイトの場合はマットチタングレー)のCピラー、短いオーバーハング、リアバンパーのボディプロテクション風ディフューザーといったところ。「ポップ」とか「斬新」といった言葉が似あうデザインだ。

ゴルフ7やA3より短い

ボディサイズは全長4200mm(S line パッケージ装着車は4205mm)×全幅1795mm×全高1530mm(MMI非装着車は1500mm)、ホイールベース2595mmで、2012年にデビューしたQ3より一回り小さく、日産ジュークに近い大きさ。なお、プラットフォームは現行のゴルフやA3と同じMQBだが、ホイールベースはそれより60mm延長されている。

 

このコンパクトさ、特に全高の低さは、機械式駐車場が多い都市部では大きなメリット。また、最小回転半径も、Q3では5.7mもあるが、Q2ではA3と同じ5.1mしかなく、クラス最小レベル。小回りは得意だ。

最低地上高はA3やゴルフより45mm~50mm高い180mm。SUVとしてはそこそこだが、オーバーハングも短いため、アゴをクルマ止めや縁石にぶつける心配はほとんどない(フロントのパーキングセンサーが少々過敏でピーピー鳴るが)。このあたりも昨今SUVが人気を集めている一因だろう。

 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転
半径(m)
VW クロスポロ (2010~) 4000 1710 1490 2470 4.9
トヨタ アクア X-URBAN (2014~) 4030 1695 1490 2550 5.4
日産 ジューク (2010~) 4135 1765 1565 2530 5.3
アウディ Q2(2017~) 4200~4205 1795 1530 2595 5.1
VW ゴルフ 7.5(2017~) 4265 1800 1480 2635 5.2
マツダ CX-3 (2015~) 4275 1765 1550 2570 5.3
ホンダ ヴェゼル (2013~) 4295 1770 1605 2610 5.3
アウディ A3(2013~) 4325 1785 1435~1465 2635 5.1
トヨタ C-HR (2016~) 4360 1795 1550~1565 2640 5.2
アウディ Q3 (2012~) 4385~4400 1830 1595~1615 2605 5.7
 

インテリア&ラゲッジスペース

オプションでMMIナビとバーチャルコックピットを用意

インパネはA3がベースで、4つ並んだ丸型の空調吹き出し口、空調操作パネル、シフトレバーやMMIコントローラーがあるセンターコンソールなどの眺めは、ほぼほぼA3と同じだ。さすがアウディ、値段相応に質感も高い。

 

試乗車(1.0 TFSI sport)には、オプションで35万円もするMMIナビゲーションと8.3インチディスプレイ(1024×480ピクセル)、そしてMMIナビに追加する形で5万円でオプション設定されている12.3インチ(1440×540ピクセル)のフル液晶メーター「アウディバーチャルコックピット」が装備されていた。合わせて40万円もするオプションだが、Q2の大きな特徴になっている。

“使える”「オンライン検索」

MMIナビゲーションには、データ通信モジュールとSIMカード(4G回線)が内蔵されており、手持ちの携帯電話等につながなくても、Googleの検索エンジンを使ったオンライン検索や、オンライン情報の取得が可能だ。

例えば、目的地を設定する場合、最近できたばかりの施設やマイナーな場所を探す場合には、通常の車載データーベースから探すのではなく、コントローラーで「オンライン検索」を選択するか、音声操作で「オンライン検索」と唱えれば、インターネット(Google)による検索モードに入る。

 

「オンライン検索」で「名古屋駅」を検索したところ

BMWの最新インフォテイメントシステムのように自然発話(「○○に行きたい」といった文章になったもの)を認識することは出来ないが、施設名などの「単語」を聞き取る力は高い。

気になったのは、検索ワードを認識してから検索結果を出すまでに、数秒待たされる点だったが、一連の操作は走行中でも可能なので、実際にはそれほど気にならないだろう。なかなか便利に使えそうだ。

 

左手の指で「な」と書いたところ。こんな字でも瞬時に読み取ってくれた

また、MMIコントローラーのダイアル上面に、左手(運転手の場合)の指で「な」と書けば、すぐに「な」で始まる検索結果(例えば名古屋駅)を出してくれる。これの認識性能もけっこう高く、字が下手くそでもけっこう大丈夫である。

もちろん、スマートフォンのApple CarPlay もしくは Android Autoにも「アウディスマートフォンインターフェイス」で対応。先回のゴルフ7.5試乗記などで紹介したように、スマートフォンと車両をUSBケーブルで接続すれば、Appleの場合はiPhone内の音楽やiPhone標準マップを、Androidの場合はGoogle Play MusicやGoogle Mapを車両側のディスプレイや操作系で利用できる(映像を映すことはできないが)。

もちろん、車載SIMによるWi-Fiホットスポット機能もあるので、手持ちのタブレット端末やPCをインターネットに接続することもできる。

前席はA3やゴルフよりタイト

運転席に座って思うのは、明らかにゴルフやA3よりも室内空間、特に室内幅がタイトなこと。助手席ドアが近くに感じられ、足もとも狭く感じられるが、ゆえに良い意味でクルマがとてもコンパクトに感じられる。また、ヒップポイントも高めなので、乗降性や視界も良好。このあたり、女性には好感が持たれるだろう。

試乗車の1.0 TFSI sportにはスポーツシートが標準。肉厚なクッションでホールド性や座り心地は悪くないが、リクライニングはVW車にも多い手動ダイアル式になるので、仮眠時は面倒である。

 

後席は、ゴルフやA3より60mm長いホイールベースや、増えた室内高、高まった視点などで、より広々している。後席のクッションも肉厚かつ立体的で、後席らしからぬホールド性を見せる。基本的にはキチッとアップライトに座るタイプだ。

 

荷室は405Lの大容量

荷室にもアウディらしいクリーンな高級感がある。リアオーバーハングが短い割に荷室容量も405L(後席使用時)と大きく、A3の340Lやゴルフ7の380Lを上回る。この広さの一因はスペアタイヤを積まず、パンク修理キットで済ませているからだろう。フロアボードの高さは2段階で変更できる。

 

さらに後席の60:40・2分割可倒式シートバックを倒せば、最大1050Lに拡大できる。フロアボードを上段にすれば、リアゲート敷居からフロアまで、ほぼツライチにすることも可能だ。

なお、荷室床下にはジャッキやパンク修理キットなどの工具、そして荷室側壁には救急用品(オレンジ色の袋)と安全反射ベスト(黒の袋)が搭載されていた。こういうところはいかにもドイツ車だ。

 

基本性能&ドライブフィール

1リッターとは思えないほどパワフル


1.0 TFSI 3気筒ターボエンジン

試乗したのは1.0L 3気筒ターボエンジン(116ps)を搭載する1.0 TFSI sport(364万円)。オプション込みで413万円という仕様。

このエンジンは、VWグループの小排気量4気筒エンジン「EA211型」(1.2 TSI や1.4 TSIなど)をベースに、1気筒減らして3気筒にしたモジュールユニット。ボアは4気筒版と共通の74.5mmで、ストロークだけが異なる。

走り出した瞬間、「うわっ、パワーあるなあ、これ」と思う。アクセルを踏むやいなや即座に分厚いトルクが立ち上がり、試乗車で車重1310kgのボディをグワッーと一気に加速させる。排気量999ccにして、最高出力は116ps、最大トルクは200Nm(20.4kgm)。小粒にして、なかなかのハイチューンエンジンだ。

 

車重は1310kgで、先回試乗したゴルフ7(7.5)と同じくらいだが、体感上は、ゴルフ7の1.2 TSI(105ps、175Nm)より明らかにトルクフルで、1.4 TSI ハイライン(140ps、250Nm)に迫る感じ。ターボラグもほとんどない。

そして3気筒を思わせる振動もなく、アイドリング時の静粛性も4気筒エンジンに遜色ない。技術が進むと、こんなこともできるのか。

冷静に言えば、新型スイフトの1.0L 3気筒ターボも、3年前に乗ったフォード(フィエスタ)の1.0L 3気筒ターボも、走りっぷりは非常に良く、今の基準がこうなのだとは思うが、それにしても小排気量4気筒エンジンの立つ瀬をなくすエンジンではある。

電動パワステは「アウディドライブセレクト」で大きく変わる

1.0 TFSI sport や1.4 TFSI cod sportでは、エンジン、ミッション、電動パワステ、エアコン、ACCの制御モードを、auto、comfort、dynamic、efficiency(エコ)、individual(個人設定)の5パターンから選べる「アウディドライブセレクト」が標準装備されている。

この中で、特に影響が大きいのが、ギア比が可変する「プログレッシブステアリング」を採用した電動パワーステアリング。操舵力はcomfortでちょうどいいくらいで、autoだとけっこう重く、dynamicだとかなり重くなる(BMWやMINIほどではないが)。ふだんはcomfortで十分だろう。

電子制御ダンパー等(VWで言うところのDCC)の設定はなく、サスペンションは一般的なバネ&ダンパー。乗り心地はアウディらしく引き締まったものだが、ボディ剛性が高いため、凸凹道を走っても衝撃をしっかり受け止めて、いなす。試乗車のタイヤは17インチのミシュラン プライマシー3(ドイツ製)でグリップはそこそこだったが、ロードノイズ等は特に気にならなかった。

リアサスはトレーリングアーム

一方、ワインディングで負荷をかけると、アンダーもしくはオーバーステアが出そうな局面でガツン!とESPのブレーキ制御が入り、強制的に車速を落とされる。これは半年前に乗ったVWのティグアンと同じだ。もちろん、丁寧な操作を心がければESPに邪魔されずハイぺースで走ることができる。

ちなみに、フロントサスペンションは、A3と同形式のマクファーソンストラット(鋳造アルミ製ピボットベアリング付)だが、リアはA3やゴルフ TSI ハイラインと同じ4リンク(マルチリンク)ではなく、ゴルフの下位グレード(トレンドラインやコンフォートライン)と同形式のトレーリングアーム(トーションビーム)である。ちょっと意外だったが、ゴルフのハイラインとコンフォートラインを乗り比べても、「常用域での」違いが分かりにくかったように、要するにこのクラスならトーションビームでもやれる、ということなのだろう。

一部の運転支援システムはオプション

試乗車には、ACC(アダプティブクルーズコントロール)や自動ブレーキのアウディ プレセンス フロントが装備されていた。ACCは基本的にはゴルフ7などと同じもので、停車まで行う全車速対応。試乗したQ2 1.0 TFSIの場合は200km/hまで設定可能だった(ちなみにゴルフ7.5のTSIハイラインは210km/hまで設定可能)。ACCで停止中にアイドリングストップし、先行車が発進するとエンジンを始動して合図するところもVWと同じだ。

Q2にはさらにオプションの「セーフティパッケージ」(13万円)として、アウディサイドアシスト、アウディアクティブレーンアシスト、トラフィックジャムアシスト、リヤクロストラフィックアシスト、アウディプレセンスベーシック、ハイビームアシストなども装備できる。ただし、このあたりはゴルフ7.5のハイラインだと標準装備なのだが……。試乗車には装備されていなかった。

100km/h巡行時のエンジン回転数は約2200rpm。さすがアウディ、1Lの3気筒でも静粛性は高く、乗り心地もフラット。ま、このあたりも値段相応とは言えるが。1.0TFSIの最高速(発表値)は190km/hとのこと。

ただ、高速域ではcomfortモードでもパワステの反応が妙にクイック。慣れれば特に支障ないと思うが、高速道路の運転に不慣れな人は気になるのでは。

試乗燃費は11.1~12.5km/L。JC08モード燃費は19.8km/L(1.0 TFSI)

今回は約240kmを試乗。参考ながら試乗燃費はいつもの一般道と高速道路を走った区間(約80km)が11.1km/L(前週試乗したゴルフ 7.5 1.4 TSIとほぼ同じ)。また、一般道を走った区間(約30km×3回)の平均は12.5km/Lだった。印象としては、排気量の割に伸びそうで伸びないが、走りっぷりがいいので許せる、という感じだ。

JC08モード燃費は、試乗した1.0 TFSIが19.8km/L、1.4 TFSIが17.9km/L。使用燃料は全車ハイオクで、燃料タンク容量は50Lだ。

ここがイイ

パワフルな1.0 TFSI。適度なサイズ。視認性や操作性に優れたMMIナビ

この3気筒ターボエンジンは、とても1.0Lとは思えないほどパワフルでトルクフル。そして3気筒とは思えないほど回転も滑らかで、振動も小さく、静粛性も高い。そして小排気量ターボとは思えないほどターボラグも小さい。ポロやゴルフ、ザ・ビートルに採用されている1.2L 直4ターボよりもトルクフルで、ターボラグは明らかに少ないと感じた。1~1.5Lクラスの今後の主流は3気筒ターボかと思わせる。

全長と全幅はゴルフより小さいくらいで、とにかく取り回しがいい。見晴らしがいいこともあって、感覚的にはゴルフより気楽に乗り回せる。それでいてアウディだから、内外装の質感も高いし、静粛性や快適性も高い。装備も良い。燃費も街乗りなら実質11~13km/L台で、ゴルフやA3とはっきり言って変わらない。出先で駐車する場合も、立体駐車場から路地裏のコインパーキングまで、どこでもOK。まさに「小さな高級車」。

この先で触れるが、アウディバーチャルコックピットによる“ツインディスプレイ”や、音声操作でオンライン検索が簡単にできるMMIナビゲーション。この種のものでは現時点で最も“使える”ものの一つだと思う。

ここがダメ

見た目やサイズの割に高価

などなど、イイところを列挙したが、車両価格がフルオプションで400万円台、場合によっては500万円に迫るとなると、さすがに「小さな高級車」でも驚く。また、ゴルフに標準装備されている運転支援装備の一部がオプションになるところにも、割高感は否めない。

総合評価

人は世に連れ、クルマも世に連れ

まずはこのクルマ、そのスタイリングを是とするか、否とするか。品の良かったシングルフレームグリルは、最近ちょっと角が立ってきたが、ここに至ってついに「カクカク」になった。そして大きい。かつてシングルフレームグリルになった時には、なんだか大きすぎるぞと思ったものだが、昨今は世界中でグリルの大きさを競い合っている。特にレクサスなど、フロント面積の大半がグリルだ(苦笑)。フォルクスワーゲンはワッペングリルでそこに参入したが、早めに撤退して、今は大衆車らしく分をわきまえたスッキリしたフロント周りになっており、個人的には好ましく思っている。アウディは高級ブランドゆえ致し方ないかもしれないが、さて、さて。

 

そのグリルをふくめたポリゴン(多角形)のデザインワークは、少々オモチャっぽく見えてしまい、これが世界の若者にウケるデザインワークなのか、と自問自答するしかない。カッコイイと言う人も確かに多いから、そういうことなのだろう。フロントまわりはさておき、全体のスタイリングはエッジが立ったことでシャープな印象となった。アウディも変わっていく。人は世に連れ、クルマも世に連れなのだなと最近つくづく思う。

そしてやはりこのクルマもSUVだ。シティカーの主流はもはやFFのSUVということ。車高も立体駐車場に収まるレベルだ。気がつけば世の中、右も左もSUVばかり。売れるクルマはSUV。それを嘆くのは、もはやオッサンの戯言なのだろう。Q2だって最低地上高が上がってなかったらハッチバックに見えなくもない。今やカッコよさは、車高を下げるのではなく上げることなのだ。

ツインディスプレイは理想的

さて、アウディというと、これまでもカーナビ系の話をよく書いてきた。そして今回も重要な進化があった。それが「オンライン検索」だ。

が、その話の前に基本的な部分で、アウディバーチャルコックピットとメインディスプレイによるツインディスプレイを賞賛したい。最近はインパネをナビ画面ありきでデザインすることが多いが、アウディはバーチャルコクピットで、多くの情報をメータークラスター内のディスプレイに表示しようと考えているようだ。また、ダッシュボード中央にも、今や伝統的とも言えるリモコン、MMIコントローラーで遠隔操作できる8.3インチのディスプレイが用意されている。これはデザイン的には後付感があるものだが、位置が高くて見やすい。これと連携する12.3インチのバーチャルコクピットとのツインディスプレイは、本当に理想的なインターフェイスだと思う。

「オンライン検索」という呪文

さて、本文でも触れた「オンライン検索」という機能、最初は気付かず乗っていたため、音声検索してもなかなか思ったように目的地設定ができなかったが、MMIコントローラーで「オンライン検索」を選ぶか、もしくは音声操作で「オンライン検索」という呪文(音声コマンド)を唱えると、そこからはGoogleの検索エンジンへつながり、簡単に目的地を設定できた。施設名、電話番号、住所、どれを話してもOK。Google検索のように「ここから、どこどこまで行きたい」といった自然発話による「AIとの対話」的な楽しみはないが、あくまで目的地の検索目的で使うなら、これで十分だ。

これはMMIがSIMを内蔵して、常時通信しているから出来ること。情報通信をクルマ側にやらせることで、Bluetooth接続したスマホは音声通話という役目に徹することが出来る。またUSB接続することでAndroid AutoやApple CarPlayも使える。こうしたことで、これはもう、現在最も進んだナビの一つだと言えるだろう。しかもツインディスプレイだ。ACCで半「自動運転」させながら、バーチャルコクピットをながめ、音声でオンライン検索をすると、ついに「未来キター!」という気分に浸れる。

安価なクルマ専用の通信ナビでいい

しかしまあ、そのための出費は40万円と小さくはない。幸いというか、なんというか、ベース車両が超高級車ではないだけにトータル400万円超で未来が楽しめるわけだが、それにしてもたいした金額だ。若い子たちは「クルマってなんて高い商品なのだろう」と思ってしまうだろう。そして多くの若者がこの「未来」に接することはなかなかできそうもない。若者のクルマ離れを嘆くのであれば、こうしたシステムを載せたクルマをなんとか100万円台で出す必要があるのではと思う。まあそれはアウディブランドの役目ではないが。

また、MMIはSIMによってGoogleにつながることで、最先端の「スマホのようなナビ」になっているわけだが、スマホと同時に音声検索してみると、その検索スピードの差には、ちょっとがっかりしないでもない。スマホでは一瞬で検索されるが、MMIのオンライン検索では一呼吸待ってからでないと結果が出てこないからだ。さらにそこから目的地を選択するのにも、もう一つ操作が必要になる。これは操作の確実性にもつながっているので、悪いことではないが、最新スマホの速さや操作性に慣れていると気になるだろう。「これならスマホで十分じゃん」と言われかねない。そこが今後の課題だ。

 

現在の車載ナビゲーションシステム(カーナビ)は、インターネットにつながっていなくても使用できるのが前提だが、今こそ、そこはスパッと諦めて、安価で速い通信オンリーのカーナビを作ってもいいように思われる。カーナビの検索部分はもはやGoogleなどでいい。そういう、よりクルマに特化した通信ナビ、それはもうクルマ用のスマホ、もっといえばクルマのスマホ化だ。その前段階として、SIMを自ら持つ「使えるナビ」として登場した今回の最新MMIを高く評価したい。やっとここまで来たかという感じだ。

そうしたクルマ専用のスマホなんてものは、ファーウェイあたりが明日にでも出しそうな気がするが、そうなるとクルマの世界もスマホ同様、中国メーカーの時代となってしまうのだろうか。トヨタとマツダがいよいよ資本提携というニュースも流れているが、となれば、クルマはそれぞれ独自で作ってもいいので、通信の部分だけはトヨタグループ共通のものを早く確立してほしいものだ。マツダをグループ化できれば、また世界一の販売台数に躍り出ると思うので、その数の力をなんとか活かして欲しい。毎度毎度でもうしわけないが、ガンバレニッポンである。

 

試乗車スペック
アウディ Q2 1.0 TFSI sport
(1.4L直4ターボ・7速DCT・364万円)

●初年度登録:2017年6月
●形式:ABA-GACHZ
●全長4200mm×全幅1795mm×全高1530mm
※MMIナビゲーション非装着車は全高1500m
●ホイールベース:2595mm
●最低地上高:180mm
●最小回転半径:5.1m
●車重(車検証記載値):1310kg(780+530)
●乗車定員:5名

●エンジン型式:CHZ
●排気量:999cc
●エンジン種類:直列3気筒DOHC・4バルブ・直噴・ターボ・横置
●ボア×ストローク:74.5×76.4mm
●圧縮比:10.3
●最高出力:85kW(116ps)/5000-5500rpm
●最大トルク:200Nm (20.4kgm)/2000-3500rpm
●カムシャフト駆動:-
●アイドリングストップ機能:有り
●使用燃料:プレミアムガソリン
●燃料タンク容量:50L

●トランスミッション:7速Sトロニック(DCT)
●JC08モード燃費:19.8km/L

●駆動方式:FF(前輪駆動)
●サスペンション形式(前):マクファーソンストラット+コイルスプリング
●サスペンション型式(後):トレーリングアーム(トーションビーム)+コイルスプリング
●タイヤ:215/55R17 (Michelin Primacy 3 ※Made in Germany)

●車両本体価格:364万円(メーカーオプション含まず)
●試乗車価格(概算):413万円(メーカーオプション込み)
※オプション合計(概算):49万円
※オプション内訳:オプションカラー(グレイシアホワイトメタリック) 6万円、ブレード マットチタングレー 3万円、バーチャルコックピット 5万円、ナビゲーションパッケージ(MMI ナビゲーションシステム、8スピーカー、スマートフォンインターフェイス) 35万円

●ボディカラー:グレイシアホワイトメタリック
●試乗距離:240km

●試乗日:2017年7月
●車両協力:Audi 名古屋中央(ヤナセ オートモーティブ株式会社)

 
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アウディ 名古屋中央

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