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シトロエン C3新車試乗記(第821回)

CITROËN C3

(1.2L直3ターボ・6速AT・216万円~)

シトロエンの新たな一手は
またしても愛すべき
ヘンなクルマだった!

2017年08月25日

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キャラクター&開発コンセプト

3代目は超個性派クロスオーバーSUV風に

新型シトロエン C3の画像
新型シトロエン C3

欧州では2016年、日本では2017年7月7日に発売された3代目「C3」は、過去2世代のC3からイメージを一新し、クロスオーバーSUV風のスタイリングで登場した。フロントデザインは現行C4ピカソ風で、ボディサイドにはC4カクタス(日本では昨年から今年にかけて限定販売のみ)のような衝撃吸収モール「エアバンプ」を採用。さらに2トーンのボディカラーをまとうなど、大胆なデザインを採用している。

 
新型シトロエン C3のコネクテッドカム画像
シトロエン・コネクテッドカム

また、フロントウインドウ内側(ルームミラー裏)には写真や動画を撮影できるオンボードカメラ兼ドライビング・レコーダーの「シトロエン・コネクテッドカム」を搭載し、スマートフォンと連携してSNS等でシェアできる機能を世界で初めて採用している。

また、往年のシトロエンを彷彿させる座り心地のシートなど、快適性にこだわったインテリアもポイントだ。

 
新型シトロエン C3のフロントシート画像

新型C3では、近年シトロエンが掲げる3つのコアバリュー「Optimistic:なにより楽しく」「Human:人を中心に」「Smart:スマートな技術」をテーマに開発されたという。同じPSAグループのプジョー、シトロエンから分離独立した新ブランドのDSを向こうにして、シトロエンブランドの今後を示すモデルになる。

【C3とは?】初代は2002年にデビュー

初代シトロエン C3の画像
初代シトロエン C3

C3は2002年に登場。比較的スポーティなキャラクターだった前身のサクソ(Saxo)と異なり、初代C3は往年の2CVを思わせる個性的なスタイリングや快適性を前面に打ち出したモデルだった。

2003年には分解・脱着式のルーフシステムを備えた2ドアのカブリオレモデル「C3 プルリエル」を追加している。

 
シトロエン C3プリュリエルの画像
シトロエン C3 プリュリエル

2009年に登場した2代目は、兄弟車である新シリーズの「DS3」と同時デビュー。C3の方はルーフ部分まで拡大された巨大なフロントウインドウを特徴とする4ドアハッチバックとなり、DS3については個性的なデザインやカラーリングの3ドアモデルとされた。

 
2代目シトロエン C3の画像
2代目シトロエン C3

C3はこの2世代で世界累計350万台以上を販売。シトロエンによれば、欧州販売では全シトロエンの5台に1台を占める基幹車種になっているという。

■過去の関連試乗記
シトロエン DS3 シック(2010年7月掲載)
2代目シトロエン C3(2010年5月掲載)
シトロエン C3 プルリエル(2005年8月掲載)
初代シトロエン C3(2002年11月掲載)

 

価格帯&グレード展開

デビューエディションは226万円

新型シトロエン C3 シャイン デビューエディションの画像
C3 シャイン デビューエディション

日本向け第一便は、限定200台の「C3 シャイン デビューエディション」(226万円)。コネクテッドカムのほか、バックソナー、バックカメラ、17インチタイヤ&ホイール等を標準装備したモデルで、ボディカラーはブランバンキーズ、アーモンドグリーン、サーブル(砂色)の3色。ただし、このデビューエディションにはアクティブセーフティブレーキ(いわゆる自動ブレーキ)は装備されない。

カタログモデルは216万円~239万円

新型シトロエン C3 シャイン(アーモンドグリーン)の画像
C3 シャイン(アーモンドグリーン)

9月からデリバリーが始まるカタログモデルは「C3 フィール」(216万円)と「C3 シャイン」(239万円)。こちらのボディカラーは、オレンジやブルーも加わって全7色と豊富で、アクティブセーフティブレーキ(後で詳述)も標準装備される。

 
新型シトロエン C3のパノラミックガラスルーフ画像
シャインにオプションで用意されるパノラミックガラスルーフ

また、上級グレードのシャインには、バイトーンルーフやコネクテッドカムといった新型C3らしい装備のほか、16インチタイヤ&アルミホイールも標準装備。さらにオプションでパノラミックガラスルーフ(手動サンシェード付)も装着できる。

■C3 Shine Debut Edition 226万円(限定200台)
・標準装備:バックソナー、バックカメラ、ブラインドスポットモニター、コネクテッドカム、17インチアルミホイール、革巻ステアリング、スマートキー&エンジンスタートボタン

■C3 Feel 216万円
標準装備:アクティブセーフティブレーキ、バックソナー、15インチタイヤ&スチールホイール

■C3 Shine 239万円
・標準装備:アクティブセーフティブレーキ、バックソナー、バックカメラ、ブラインドスポットモニター、コネクテッドカム、16インチアルミホイール、バイトーンルーフ、革巻ステアリング、スマートキー&エンジンスタートボタン
・オプション:パノラミックガラスルーフ

 

ボディカラーは7色、ルーフは3色

新型シトロエン C3の画像

新型C3をより個性的に見せるのが「バイトーン」と呼ばれる2トーンの塗り分け。ボディカラー全7色に対して、ルーフカラーは白(ブラン オパール)、黒(ノアール オニキス)、赤(ルージュ アデン)の3色が用意されている。ブルーのボディカラーに赤ルーフ、みたいな相性の悪い組み合わせはないが、カタログモデルであれば、おおむね自由に組み合わせることができる。

 

パッケージング&スタイル

SUV風の超個性的デザイン

新型シトロエン C3のフロント73画像

欧州では2014年に発売されていたC4カクタスほどヘンではないが、それでも「いったいこれは何なのか」と思わせる斬新なデザインが、新型C3のまずはツカミ。シトロエン言うところの「何にも似ていない」フロントエンドは、あえて言えば現行C4ピカソ風で、上下分割のヘッドライトやデイタイムランニングランプを備えたものだ。

 
新型シトロエン C3のリア73画像

切り詰められたリアオーバーハングの下部は、SUV風のプロテクターで覆われ、足元は大径タイヤ(試乗車の場合は205/50R17)が引き締めている。ホイールハウス内には、ほとんど余裕がないほどだ。

ボディサイドにはC4カクタスのようにエアバンプが備わる。エアバンプは、6つの空気入りカプセルを備えたポリウレタン製で、多少接触してもキズを防ぐというもの。紫外線や経年劣化にも強いという。指で押すとプニプニと凹む。

 
新型シトロエン C3の真横画像

ボディサイズは全長3995mm×全幅1750mm×全高1495mm、ホイールベース2535mm。いわゆる欧州Bセグメントでは平均的なサイズだが、最低地上高は160mmとやや高めで、全高もそれに伴って高め。しかし、実車を前にしての印象は、クロスオーバー「SUV」にしては背が低く、サイズ「感」もコンパクトで、「変わったデザインのコンパクトカー」という印象だ。

 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転
半径(m)
VW ポロ(6R後期型、2014~) 3995 1685 1460~1470 2470 4.9
新型シトロエン C3(2017~) 3995 1750 1495 2535 5.5
トヨタ アクア クロスオーバー (2017~) 4060 1715 1500 2550 4.8~5.4
日産 ジューク (2010~) 4135 1765 1565 2530 5.3
アウディ Q2(2017~) 4200~4205 1795 1530 2595 5.1
マツダ CX-3 (2015~) 4275 1765 1550 2570 5.3
ホンダ ヴェゼル (2013~) 4295 1770 1605 2610 5.3
トヨタ C-HR (2016~) 4360 1795 1550~1565 2640 5.2
 

インテリア&ラゲッジスペース

昔のムードを現代風に再現

新型シトロエン C3のインパネ画像

水平基調のダッシュボードは、7インチの大型タッチディスプレイを中央に備えながらも、どこか懐かしい感じがするもの。試乗車(デビューエディション)の場合はレザー調のブラウンで、カタログモデルでは赤やシルバーでダッシュボードを縁取っているのがオシャレだ。また、C4カクタス同様に旅行カバンのストラップをモチーフにしたインナードアハンドルは、見た目がユニークなだけでなく、手触りや使い勝手もなかなか良い。

シトロエンに言わせると、新型C3のインテリアは「長くシトロエンの代名詞であり続けてきた快適性というキーワードを現代風にアップデート」したもの。「滲み出る居心地の良さは格別」だそうだが、確かにBセグの量産コンパクトカーとは思えない独特の癒し感がある。

 

空調操作パネルやCDプレーヤーを廃止

新型シトロエン C3の7インチタッチディスプレイ画像

真夏という季節柄、エアコンの設定温度を下げようと思ってスイッチを探すと、、、ない。それもそのはず、新型C3に空調スイッチは一切なく、その操作系はタッチパネル内に格納されてしまっている。

今やこれに近い例は珍しくないが、温度調整スイッチまで完全に無くしてしまった例はおそらく初では。恐るべし、シトロエン。全車オートエアコンが標準装備なので操作する頻度は少ないと思うが、少々不便なのは確かだ。

 
新型シトロエン C3の7インチタッチディスプレイ画像

オーディオはAM・FMラジオのほか、スマートフォンなどとのUSBポートもしくはBluetooth接続機能のみ。CDプレーヤーも装備されない。ま、いっか、と思えるかどうかで世代がばれそうだ。

ナビゲーションシステムはオプションで、非装着の場合は、タッチパネルで地図を選んでも画面はブラックアウトしたままになる。ここはAndorid AutoやApple CarPlayに対応して欲しかったところだが、今のところ非対応なのは残念なところだ。

「あの座り心地」を再現

新型シトロエン C3のフロントシート画像
デビューエディションのみ、シートはヘリンボーンのツイード風ファブリックとブラウンのテックレザー(合皮)のコンビ

インテリアで特筆すべきは、シートの座り心地。昔のシトロエン、特に1980年代から90年代にかけてのBXあたりを彷彿させるフワッと柔らかなクッションの座り心地は、高品質なシート地やインナーフォームを使うことで「再現」したもの。路面からの振動吸収性に優れるほか、サポート性もちゃんと備えている。プレス向け資料には「まるで繭に包まれているよう」とあるが、あながち大げさではない。

ドライビングポジションの自由度も高い。ステアリング位置はチルト(上下)とテレスコ(伸縮)が可能で、しかも調整幅が大きい。もちろんシートリフターも標準で備わる。背もたれの角度調整(リクライニング)はダイアル式で、微妙な調整ができるのはメリットだが、回すのにかなり力が要るのは改善して欲しい点だ。

 
新型シトロエン C3のリアシート画像

フンワリした座り心地はリアシートでも味わえる。後席の室内空間はBセグメント相応で、特別広くはないが、座り心地がいい分、下手なCセグメントカーの後席より寛げる気も。シート作りについては、日本車やドイツ車とはまったく違う価値観で作られていることが分かる。

世界初「シトロエン・コネクテッドカム」

新型シトロエン C3のコネクテッドカム画像

自動車メーカーとしては世界初という装備が「シトロエン・コネクテッドカム」。フロントウィンドウの内側に、207万画素フルHDセンサー、画角120度のデジタルカメラを装備し、車両前方の風景を写真もしくは動画としてドライビングレコーダーのように常時記録。さらにスマートフォンのアプリと連携させることで、ソーシャル・メディアに投稿もできる、というものだ。

 
新型シトロエン C3のコネクテッドカムのアプリ、ダウンロード画像
無料アプリ「シトロエン・コネクテッドカム」をダウンロードしたところ

実際の操作手順は、まず事前の準備として、手持ちのスマートフォン(AndroidもしくはiPhone)に無料アプリ「シトロエン・コネクテッドカム」をダウンロード&インストールしておく必要がある。

撮影自体は、ルームミラー付け根にある本体のボタンを押して撮影(押し続ければ20~60秒の動画も撮影できる)、データはGPSセンサーの位置情報と共に、自動的に16GBの内蔵メモリーに保存される。

 
新型シトロエン C3のコネクテッドカム画像
スマートフォンのアプリで、内蔵メモリーのデータにアクセスしているところ

それをSNSでシェアする場合は、まずスマートフォンのアプリを起動して、車両のコネクテッドカムとWi-Fiで接続する(最初に設定する時は、これがなかなか上手くいかない)。接続に成功すれば、内蔵メモリーのデータにアクセス可能になり、Facebookなどのソーシャル・ネットワーク等でシェアしたり、メール等に添付して送信もできる、という流れだ。

ちなみに静止画は1920 x 1080ピクセルのjpgデータで、データサイズは1枚あたり1.0MBだった。動画のフレームレートは30fpsである。

 
新型シトロエン C3のコネクテッドカム画像

もちろん、ドライビングレコーダーとしての機能も備えており、撮影は常時行われている。内蔵メモリーがいっぱいになったら、古いものから消去される仕組みだが、事故などで衝撃を感知した場合には自動的に記録モードになり、衝撃の前30秒と後60秒の動画を記録・保存する。

また、コネクテッドカムにはGPSセンサーが内蔵されており、スマートフォンのアプリを使ってその位置情報を取得すれば、車から離れている時も車両の位置を知ることができるという。

 
新型シトロエン C3のコネクテッドカム画像
コネクテッドカムで撮影した画像(リサイズしてあるが、縦横比は変更なし)

使ってみて気になったのは、スマホ側の4G回線を使ってSNS等でシェアする時には、コネクテッドカムとスマートフォンのWi-Fi接続を切断しないといけないこと。当然ながら、運転中にワンタッチで画像をSNSに投稿できる、というものではない。

とはいえ、走行中でも簡単にドライバーが見ている景色を撮影できる点や、ドライビングレコーダーとしての機能、そしてメーカー純正でアプリが用意されている点は画期的だと言える。

トランク容量はクラス相応の300L

新型シトロエン C3のトランク画像

トランク容量はクラス相応の300Lで、Cセグ(おおむね350~380Lくらい)ほどの余裕はないが、日常的な買い物にはちょうどいいサイズでは。リアゲートもサイズが小ぶりで、開閉しやすくて好ましい。

 
新型シトロエン C3のトランク画像

後席の背もたれは60:40の2分割で倒せるが、フラットには畳めない。このあたりは今風であり、大荷物の積載性よりも後席の座り心地を優先したもの、と言える。

 
新型シトロエン C3のスペアタイヤ画像

床下には185/65R15サイズのスペアタイヤとスチールホイールが搭載されている。この辺はテンパーやパンク修理キットではなく、フルサイズのスペアタイヤを好むフランスのお国柄だろう。一回しか使えないパンク修理キットよりも経済的だ。

 

基本性能&ドライブフィール

1.2L 3気筒ターボと6速ATを搭載

新型シトロエン C3のエンジン画像

試乗車は、初期デリバリー車の「シャイン デビューエディション」(226万円)。カタログモデルとは異なり、アクティブセーフティブレーキはないが、タイヤ&ホイールは大径17インチで、内装もブラウンレザー調素材をあしらった専用仕立てになる。

 
新型シトロエン C3のエンジン画像

日本向けエンジンは、プジョー 208や308にも採用されている1.2L(1199cc)直列3気筒ターボ「PureTech(ピュアテック)」。もともとはNAエンジンだったものを直噴ターボ化したもので、3年連続で「エンジン・オブ・ザ・イヤー」( 1.0~1.4Lカテゴリー)を受賞している定評あるユニットだ。

新型C3では最高出力110ps/5500rpm、最大トルク205Nm (20.9kgm)/1500rpmを発揮するが、これは新型スズキ スイフト RStの1.0L 3気筒ターボ(102ps、150Nm)より断然パワフルで、先週取り上げたアウディ Q2の1.0L 3気筒ターボ(116ps、200Nm)に匹敵するものである。

トランスミッションは今やこのクラスの欧州車で定番とも言えるアイシンAW製の横置6速トルコンAT(EAT6)である。以前のものよりかなり改良されており、伝達効率が向上しているほか、当然ながらアイドリングストップ機能にも対応している。

思い通りに走る。静粛性も高い

新型シトロエン C3の画像

センターコンソールの左端にあるスタートボタン(最初は探す)を押してエンジンを始動。アイドリング時の振動はほぼ皆無で、音も静かなので、タコメーターを見なければアイドリングストップ中かと思うほど。アウディの1.0L エンジンもそうだが、特有の振動が出やすい3気筒で、これはすごい。気になるのは、アイドリングストップでエンジンが止まる寸前にブルブルッと振動が出てしまうことくらいだ。

アクセルを踏み込んだ直後だけはモワッと曖昧だが、2000rpmを超えればトルクバンドに入り、気持ちよく6000rpm手前まで吹け上がる。車重は試乗車で1180kgと軽いので、205Nmという2Lエンジン並みのトルクは十分。ボディを一定の力で前方に押し出すように、力強く加速させる。静粛性も高い。スペックを知らなければ、3気筒エンジンだと気づかないだろう。

 
新型シトロエン C3の画像

Made in Japanの6速ATもソツなく変速し、まったく不満を感じさせない。この改良型のアイシンAW製6ATはフリクション感が以前のものに比べて大幅に減っていて「これならDCTじゃなくてもいいか」と思わせる。CVTより、もちろんいい。

また、おそらく3気筒特有の振動や、低回転域でのターボラグの発生を防ぐためだろう、低めのギアを多用して、エンジン回転数を2000rpm以上に留めるあたり、燃費のためにエンジン回転数を低く抑えようとする日本車とは真逆のセッティング。100km/h巡行時の回転数は、6速トップで2050rpmくらいだが、その6速には90km/hを超えないと入らない(アイシン製6AT搭載車のメーターにはたいてい使用中ギアの表示が付いている)。とはいえ、エンジン音はまったくもって静かなので、だからどうということはない。

乗り心地よく、操縦性もまずまず

新型シトロエン C3の画像

プラットフォームはプジョー・シトロエンの従来型「PF1」を新型C3用に改良したもの。サスペンションはこのクラスではごく一般的なもので、フロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビームだが、ボディサイズの割に乗り心地はフラットで、凹凸路でもドタバタ感や底付き感がない。また、乗り心地の良さには、衝撃吸収性に優れたシートもかなり貢献しているようだ。その点も含めて、シトロエンの味はちゃんとある。

ハンドリングに関しては、Bセグの標準という感じ。全体的には穏やかな反応に終始するし、
その気になればワインディングをハイペースで駆け回れるが、トリッキーなステアリング操作を行うと、リアの接地「感」を失う瞬間はあるし、特によく曲がるわけではない。それでも意外に路面追従性はいいのか、ESPの介入はほとんど感じなかった。

カタログモデルは自動ブレーキ標準装備

新型シトロエン C3の車両設定ディスプレイ画像

安全装備については、9月からデリバリーが始まるカタログモデル全車に、単眼カメラをセンサーにした自動ブレーキ「アクティブセーフティブレーキ」が備わる。同システムは約5~80km/hで走行中、前方の車両や障害物を検知するほか、約60km/h以下では歩行者も検知してドライバーに警告。さらに、自動ブレーキで最大約25km/h減速させる。ミリ波レーダー式やステレオカメラ方式に比べると性能は限定的だが、もちろん付いているのに越したことはない。

 
新型シトロエン C3のクルーズコントロール画像
クルーズコントロール&スピードリミッターの操作レバー

試乗したデビューエディションには、アクティブセーフティブレーキはなかったが、スピードリミットインフォメーション(制限速度の標識を読み取り、クルーズコントロールやスピードリミッターと連動可能)、レーンデパーチャーウォーニング(走行中にウィンカー操作なしに車線をはみ出そうとすると警告)、ブラインドスポットモニター(車両斜め後方の死角に入った車両を超音波センサーで検知し、ドアミラー上のランプで警告)は装備されていた、はずだが、試乗中はほとんどその作動を体感しなかった。システムはオンだったはずだが、うーん、なぜだろう。

試乗中、実際に便利だと思ったのは、昔ながらのものだが、クルーズコントロール。スピードリミッターと同じレバーで操作するため、最初はうまく操作できなかったが、やはり便利。高速巡行が得意なパワーユニットの長所を活かせる装備だ。

試乗燃費は10.7~11.9km/L。JC08モード燃費は18.7km/L

新型シトロエン C3のガソリン給油時画像

今回は約220kmを試乗。参考ながら試乗燃費は、いつもの一般道と高速道路を走った区間(約80km)が11.1km/L。また、一般道を普通に走った区間(約30kmを3回)が10.7km/L、10.8km/L、11.9km/Lだった。JC08モード燃費は全車18.7km/Lと良好だが、実燃費はその7割程度という感じ。ただし、走りは燃費相応にパワフルなので、まぁ許せるところではある。

使用燃料はハイオクで、燃料タンク容量はBセグで標準的な45Lだ。

ここがイイ

手頃なサイズと価格。不満のない走り、快適性

新型シトロエン C3の画像

全幅1750mmの3ナンバー幅だが、見ても乗っても5ナンバーくらいに感じられて、取り回しはヴィッツあたりと大差ない印象。最小回転半径は5.5mほどあって、実のところ小回りはちょっと苦手なのだが、上級グレードにはバックカメラとバックソナーも標準装備されるし、すぐに慣れるレベル。立体駐車場もたいていのところはOKだろう。

走りもなかなかいい。今どきの1L 3気筒ターボは、パワー、トルク、静かさで、2Lクラスは大げさにしても、確実に1.5~1.8Lエンジンに匹敵する。また、アイシンAW製6ATがこのクラスのフランス車に当たり前のように搭載されるなんて、悪名高き?「AL4」がフランス車の定番だった時代から思うと、まさに夢のようだ。

乗り心地もC4やC4ピカソほどではないが角がなくてシトロエンらしく、伝統の座り心地を継承しているシートについてもダブルシェブロンの矜持が感じられて強く支持したい。

そして、この個性的なデザイン、カラーリング、走りなどを全部ひっくるめて、車両価格は上級グレードでも239万円。これはもう買うしかないでしょ。

ここがダメ

アイドリングストップする際の振動。使い勝手がイマイチのコネクテッドカム

新型シトロエン C3の画像

パワートレインで唯一気になったのは、アイドリングストップする際、エンジンが止まる寸前に、ブルルッという震えるように振動が出てしまうこと。気になる場合は、メインディスプレイの車両設定画面で「スタート&スタート」(アイドリングストップ機能)をOFFにすればいいが、イグニッションオフ後に再始動した時には再びONに戻ってしまう。

また、本文でも触れたが、温度調整も含めてエアコン操作がタッチパネルだけなのは面食らう部分。オートエアコンが意外に賢いので、ほとんど触る必要はないのだが。

 
新型シトロエン C3の画像

また、標準装備の7インチタッチスクリーンに地図を表示させるには、オプションのナビゲーションシステムを装備しなくてはいけないが、ここはぜひともAndorid AutoやApple CarPlayに対応して欲しかった。ここにスマホのナビ(Googleマップなど)を映すことができたら、どれほど素晴らしいことか。車載オーディオやハンズフリー電話はスマホをBluetoothで接続することでストレスなく使えるだけに、なおさら無念。

 
新型シトロエン C3の画像

売り物のコネクテッドカムは、撮影そのものは簡単だが、スマホの4G回線で画像をシェアする際に、コネクテッドカムとスマホとのWi-Fi接続をいったん切らなければいけないのが不便だと感じた。

あと、細かいところでは、全車標準のハロゲンヘッドライトが暗く感じること。本当に点灯しているのかどうか分からず、思わずオン・オフを繰り返してしまうことがあった。ただ、オートライトが標準なのは無灯火走行を防ぐ意味でもいいところ。

本文でも触れたが、フロントシートのリクライニング調整は、VWなどにも多いダイアルを回して行うタイプだが、回すのにけっこう力が必要。手の力が弱い女性は、ちょっと大変かも。

総合評価

「僕らのシトロエン」

新型シトロエン C3の画像

先代C3はシトロエンの「ヘン」なところをほとんど持っていなかった。グローバル化、メーカーのグループ化の中で、部品も共通にせざるを得ないし、欧州車はシトロエンですらがみんなドイツ車みたいになっちゃうんだな、と当時ちょっとがっかりしたものだ。ただ唯一ゼニスフロントウィンドウがヘンさを主張していて、まさに世界でシトロエンだけという個性を残していた。あれは素晴らしかった。しかし肝心の乗り心地は「僕らのシトロエン」ではなかったのだ。

シトロエンのヘンはDSラインに移ってしまうのだろうな、と当時、漠然とした失望を感じていたのだが、それでも後に出たミニバンのピカソはやっぱりちょっとヘンで、シトロエンらしさを取り戻していた。そしてC4カクタスに至っては、見た目からして完全にヘンで溜飲が下がったものだが、日本では長いこと並行輸入のみで、最近になっても限定販売のみと、手に入れにくいので評価しづらかった。

 
シトロエン C4カクタスの画像
シトロエン C4 カクタス

しかしついに今回、お手頃価格で誰もが買えるC3がヘンになって戻ってきてくれた。サイズはアクア クロスオーバーに近いわけで、これは昨今流行りの、最低地上高を上げた小さなハッチバック車ではあるが、何しろデザインがヘン。強烈な個性がどうにも素晴らしい。フロントグリルはスリットをなくしてカクタスのようにしてほしかったところだが、まあ十分にヘンなので許したい。

ヘンではあるが妙にカッコイイのも事実。昨今流行りのクロスオーバースタイルは、そうするとなんでもカッコよさが増すのだが(アクアが典型的な例)、C3は樹脂製のエアバンプがさらなるカッコよさの原因になっている。エアバンプがなかったら割に凡庸なイメージだから、いかにエアバンプが効いているか。昨今デザイナーがやりすぎて失敗することが多いボディサイドのプレスラインの代わりになっている。試しにアクアクロスオーバーの写真にエアバンプを合成してみるとずいぶんかっこよくなったw。こういう独創的なことをやれるのがシトロエンの伝統というものだ。

運転席でもっとヘンさが欲しい

新型シトロエン C3のフロントシート画像

伝統と言えばシトロエンらしいシートもいい。シトロエンと言えばシートだ。個人的には、かつてBXを買ったのはそのシートに惹かれてと言える。まあBXほどではないが、これはあのシトロエンの伝統とも言えるふんわり系極楽シートだと思う。試乗したデビューエディションは内装に革があしらわれて上質感もあるし、このインテリアだけで欲しいなあと思ってしまう。こうなるとやはりゼニスウインドウがあったらなと思わずにはいられない。運転席に座ってしまうと、さほど個性は感じないからだ。シトロエンのイメージを覆してよく走る、という点もまた普通のクルマっぽく思えるところかも。ということで、運転席で何かもっとシトロエンらしいヘンさが欲しかった。

 
新型シトロエン C3のインパネ画像

操作系のヘンさもシトロエンのウリだが、デジタルな部分にそれが出てしまったのは残念なところ。つまりディスプレイでいろいろできるのは悪くないが、一つのディスプレイですべてやるのは無理がある、ということだ。操作用ディスプレイとは別に、地図などの情報ディスプレイを設けたツインディスプレイは絶対に必要だと思う。画面の切り替えが面倒で仕方なかったし、さらにナビまで加わると、一画面ではたいへんだと思う。また、走行中にブラインドタッチできないので危険ですらある。ヘンなアナログスイッチが欲しい。

デジタル物といえばコネクティッドカムは高く評価したいところ。要するに通信型のドライブレコーダーだが、今後のクルマには当然標準装備となっていくものだろう。それをいち早く装着したのは評価したい。使い勝手は本文に書いたとおりで、お世辞にも素晴らしいとはいい難いが、標準化を先取りしているという点で、先進のシトロエンという伝統通りというところか。

「ヘン」なオヤジの行き場所は

 
新型シトロエン C3の画像

と、ここまでほめておいて、今ひとつ欲しくならないのは、ボディカラーの問題ではなく、その佇まいがあまりにポップだからかもしれない。若いおしゃれな男女、センスのいい中高年なら乗りこなせるかもしれないが、これはかなり乗る人を選ぶクルマだろう。SUVタイプは好きではない、という人もちょっとためらうところかも。それでも、シトロエンらしいゆったりした乗り味を味わってしまうと、心が揺れるのも事実。DSラインの、過剰とも言える豪華路線には馴染めないし、C3のポップ路線にも馴染みにくい「ヘン」なオヤジはどこへ行けばいいのだろうか。次期C4あたりにその答えがあったりするとうれしいのだが。

 

試乗車スペック
シトロエン C3 SHINE DEBUT EDITION
(1.2L直3ターボ・6速AT・226万円)

●初年度登録:2017年7月
●形式:ABA-B6HN01
●全長3995mm×全幅1750mm×全高1495mm
●ホイールベース:2535mm
●最低地上高:160mm
●最小回転半径:5.5m
●車重(車検証記載値):1180kg(760+420)
●乗車定員:5名

●エンジン型式:HN01
●排気量:1199cc
●エンジン種類:直列3気筒DOHC・4バルブ・直噴・ターボ・横置
●ボア×ストローク:75.0×90.5mm
●圧縮比:10.5
●最高出力:81kW(110ps)/5500rpm
●最大トルク:205Nm (20.9kgm)/1500rpm
●カムシャフト駆動:-
●アイドリングストップ機能:有り
●使用燃料:プレミアムガソリン
●燃料タンク容量:45L

●トランスミッション:6速AT(アイシンAW製)
●JC08モード燃費:18.7km/L

●駆動方式:FF(前輪駆動)
●サスペンション形式(前):マクファーソンストラット+コイルスプリング
●サスペンション型式(後):トーションビーム+コイルスプリング
●タイヤ:205/50R17 (GoodYear EfficientGrip ※Made in Slovenia)

●車両本体価格:226万円(メーカーオプション含まず)
●試乗車価格(概算):-円(メーカーオプション込み)
※オプション合計(概算):-円
※オプション内訳:- -円

●ボディカラー:アーモンドグリーン
●試乗距離:約220km

●試乗日:2017年8月
●車両協力:シトロエン名古屋中央(渡辺自動車)

 
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渡辺自動車

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