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レクサス LC500h新車試乗記(第815回)

Lexus LC500h

(3.5L V6ハイブリッド・1350万円~)

「おもてなし」から「カッコよさ」へ。
並みいる欧州勢に挑戦する
レクサスの旗艦クーペに試乗!

2017年05月26日

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キャラクター&開発コンセプト

1300万円超の旗艦クーペ

レクサス LCの画像
レクサス LC

2012年にデトロイトショーでコンセプトモデル「LF-LC」を発表し、2016年3月にジュネーブモーターショーで市販バージョンを発表、そして2017年3月16日に日本で発売された「レクサス LC」は、レクサスにおける2ドアクーペの新型フラッグシップモデル。

「LC」はLuxury Coupeを意味するが、社内的には「Lexus Challenge」という意味もあるという。新型LCは1991年から2010年まで2世代が販売された「レクサス SC」(Sport Coupeの意、日本では3・4代目ソアラとして販売)以来の高級2ドアモデルになるが、クラス的にはSCのさらに上、レクサスとトヨタにとって初の高級ラージクラスクーペモデルだ。

ライバルはBMW 6シリーズクーペ、メルセデス・ベンツ Sクラスクーペ、ポルシェ 911、マセラティ グラントゥーリズモなどになる。

新開発FRプラットフォーム「GA-L」や新開発ハイブリッドシステムを採用

レクサス LC500hの画像
レクサス LC500h

新型LCの特徴は、「LF-LC」を原型とした外観デザイン、今後レクサスのFRモデルに採用される新開発「GA-L(グローバル・アーキテクチャー・フォー・ラグジュアリー・ビークル)プラットフォーム」、ハイブリッド車のLC500hに搭載される新開発「マルチステージハイブリッドシステム」、5.0L V8エンジン車に採用されたアイシンAW製10速AT「Direct Shift-10AT」など。

また、熟練工による「匠の技」や最新の生産技術に支えられた「ものづくり」の新境地も見どころ。生産技術としてはCFRP製造技術RTM(樹脂注入成形法)や、アルミと鉄といった異種材同士を締結するセルフピアッシングリベット(アルミダイキャスト製サスペンションタワーと高張力鋼板ボディの接合など)が採用されている。

元町工場に専用組立ラインを新設

トヨタ自動車 元町工場 LC専用ファイナルアッセンブリラインの画像
トヨタ自動車 元町工場 LC専用ファイナルアッセンブリライン

生産拠点はトヨタ自動車の元町工場(豊田市)だが、従来の車両工場とは大きく異なるLC専用ファイナルアッセンブリラインを新設。作業性や品質を上げるために床面や天井を白で統一したり、一人一人の作業工程をタブレット端末で確認可能にするなど、最先端の生産システムが導入されている。

月販目標は国内だけで50台だが、発売から1ヶ月で早くも約1800台(LC500hが約800台、LC500が約1000台)を受注したという。すでに約3年分の受注だが、増産体制を組むため実際の納期はもっと短くなる模様だ。

海外向けの月販目標は500台で、米国や欧州などで順次発売される。

 
レクサス LC500の画像。
レクサス LC500 (ネープルスイエローコントラストレイヤリング)

■外部リンク
トヨタ自動車>ニュース>LEXUS、新型「LC」を発売(2017年3月)
トヨタ自動車>ニュース>新型車LC 受注状況について(2017年4月)

■過去の参考記事
新車試乗記>レクサス SC430(2005年9月掲載)

 

価格帯&グレード展開

V6ハイブリッドの「500h」とV8エンジンの「500」

レクサスLC500hとLC500の画像
LC500h(左)とLC500

新型LCは全車FRの2WDで、大きく分けてハイブリッド車の「LC500h」とV8エンジン車の「LC500」の2モデル構成。

LC500hは、GS450hに搭載されている3.5L V型6気筒エンジン「2GR-FXE」の改良発展版である「8GR-FXS」(299ps、356Nm)とモーター(180ps、300Nm)を搭載。エンジンとモーターを合わせたシステム出力は359psだ。トランスミッションは、電気式無段変速機と4速ミッションを組み合わせて10段変速とした新開発「マルチステージハイブリッドトランスミッション」になる。

一方のLC500は、RC Fなどとほぼ同じ5.0L V8「2UR-GSE」エンジン(477ps、540Nm)を搭載。ミッションはアイシンAW製の新開発10速ATとなる。

ハイブリッド車の方が50万円高いが、基本的には同等グレードとして設定されている。先進性やハイブリッド技術、優れた燃費性能をとるなら500hを、今や貴重な自然吸気V8エンジンのパワフルな走りや刺激的なサウンドをとるなら500を、ということになる。

 
レクサス LCの内装(オーカー)の画像
内装色は計4種類。写真は新規開発色のオーカー

さらに装備・仕様の違う3グレードが用意される。Lパッケージは高級感を重視したもので、ガラスパノラマルーフなどを標準装備(それ以外はCFRPルーフが標準)。Sパッケージはスポーティ仕様で、アルカンターラ表皮のスポーツシート、電動格納式のアクティブリアウイング、21インチタイヤ&ホイール(フロント245/40RF21、リア275/35RF21)、VGRS(ギア比可変ステアリング)、トルセンLSDなどが標準装備される(他は20インチが標準)。

ボディカラーは、新色のイエロー(ネープルスイエローコントラストレイヤリング)など全11色。内装色はブリージーブルー(Lパッケージのみ)、オーカー、ダークローズ、ブラックの4色。価格は以下の通り。

■LC500h  1350万円
■LC500h “L package”  1350万円 ※試乗車
■LC500h “S package”  1450万円

■LC500  1300万円
■LC500 “L package”  1300万円 
■LC500 “S package”  1400万円

 

パッケージング&スタイル

文句なしのカッコ良さ


試乗車のボディカラーはレクサス車の定番色、ホワイトノーヴァガラスフレーク。

レクサスの2ドアクーペと言えば、過去にはSCやスーパースポーツのLFAがあり、現在はRCがラインナップされているが、新型LCは今までのレクサスとは一線を画したカッコよさや美しさを備えるに至った。ボディ側面はコークボトルのように深く絞り込まれているが、真横から見た時のプロポーションは水平基調が強く、いずれも見ごたえ十分。そしてプレスライン、チリ合わせ、ライト類の作りなど、どこを見てもスキがない。写真より実車を見た時の方が感動的だ。

 

この低いボンネット高を実現するため、フロントサスペンションにはアッパーアームを高く配置した「ハイマウント式マルチリンク」を採用。同時に歩行者衝突時の安全確保のため、ボンネットの四隅を支点にしてポップアップする4点式ポップアップフード(レクサスでは初)を採用している。

なお、このクラスではオールアルミボディやアルミと鉄のハイブリッドボディが多いが、LCのボディは基本的にスチール製で、ボンネット、フロントフェンダー、ドア、フロントのサスペンションタワー等がアルミ製になっている。

ホイールベースは2870mm

レクサスLC500hの画像

「LF-LC」に限りなく近いデザインが可能になったのは、新開発GA-Lプラットフォームがあればこそ。ボディサイズは全長こそ4770mmと短めだが、全幅は堂々の1920mm。ホイールベースは2870mmと長めで、ゆえにオーバーハングは極めて短い。最低地上高が140mmもあるのは、このロングホイールベースゆえに腹打ちを防ぐためか。最小回転半径はコンパクトカー並みの5.4mで、幅にさえ慣れれば取り回しは悪くない。

 
レクサスLC500h、真横からの画像

アウタードアハンドルはジャガー F-TYPEと同様のポップアップ式で(ジャガーではデプロイアブルドアハンドルと呼ぶ)、ドアハンドルの一部を押すとカシャッと飛び出る仕組み。ドアロックすれば格納されるほか、走行中やしばらく放っておいた時には自動的に格納される。

 
レクサス LC500のドアハンドル画像
ジャガー Fタイプのようなポップアップ式のドアハンドル
LC500の空力ボディ画像
フロントバンパーおよびリアフェンダーのサイドグリルに入った風がホイールアーチに抜けることで整流を行い、空気抵抗を低減
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転
半径(m)
ポルシェ 911 カレラ(991型後期、2016~) 4505 1835 1295 2450
メルセデス・ベンツ SLクラス (2012~) 4640 1875 1305 2585 5.5
BMW i8 (2014~) 4690 1940 1300 2800 5.8
レクサス RC F(2014~) 4705 1850 1390 2730 5.4
アストンマーティン DB11(2016~) 4739 1940 1279 2805
レクサス LC (2017~) 4770 1920 1345 2870 5.4
ベントレー コンチネンタル GT (2011~) 4820 1945 1410 2745 5.65
BMW 6シリーズクーペ (2011~) 4895 1895 1370 2855 5.3~5.5
マセラティ グラントゥーリズモ (2007~) 4885~4935 1915 1345~1355 2940 5.25~5.35
メルセデス・ベンツ Sクラス クーペ (2014~) 5025~5045 1900~1915 1420~1425 2945 5.3~5.6
 

インテリア&ラゲッジスペース

クオリティの高さに言葉を失う

レクサスLC500hのインパネ画像

エクステリアが素晴らしいクルマは、インテリアも素晴らしい。日本車のデザイン力や高級感に懐疑的な人も、この内装を見ると考えを改めねばと思うだろう。

特に内装クオリティは「うーむ」と唸って言葉を失いそうになるレベル。試乗車の内装は「ブリージーブルー」という少々奇抜なコーディネイトだったが、オーカー(黄土色)という内装の実車を見た時には特にそう感じた。これまでのレクサスと比べて次元が違う、というのが正直なところ。レザーやアルカンターラのステッチはすべて手作業らしいが、このクオリティの実現には作業者の養成を含めて、そうとうな尽力があったと思われる。

 
レクサスLC500hのシフトレバーやリモートタッチの画像

また「所作が美しく見えるようなデザインとした」というステアリングホイールやマグネシウム製のパドルシフト、オブジェのように美しいインナードアハンドルといったものの操作感もよい。このほか、LFAやIS同様にベゼルが横方向に電動スライドする可動式メーターや、タッチパッドを使った新型「リモートタッチ」も採用されている。

 
レクサス LC500hのフロントシート画像
オプションの「ブリージーブルー」内装

コックピットまわりは「ドライバーとクルマの一体感を醸成する」と主張されるように、タイト感を重視したもの。シートのホールド性やペダル配置も良好で、体がぴたりと収まる。

そして好印象だったのが、クーペにしては乗降性が悪くないこと。乗り降りする時の、頭とルーフのクリアランスもまずまずあるし、ドアは思ったほど重く大きくないし、サイドシルは低めで足運びも意外にしやすい。女性でもスムーズに乗り降りできると思う。

 
レクサスLS500hのインサイドドアハンドル
インサイドドアハンドル

オプションのガラスパノラマサンルーフ
 

後席はあくまでプラス2(ヘッドルームが厳しい)

レクサス LC500hのリアシートの画像

後席はあくまでもプラス2で、基本的には手荷物置き場だ。それでもあえて人を乗せた場合、特に問題になるのはヘッドルームで、身長160cm以上だと首を横に曲げるか、お尻を前にずらして頭の位置を下げるしかない。

しかし、前席の人にシートを前に出してもらえば、そこそこフットルームはあるし、背もたれの角度は適切だし、座面長もしっかりあるから、座り心地自体は悪くない。また、前席を電動で前後スライドするワンタッチウォークインシートとするなど乗降性にもちゃんと配慮している。2ドアクーペの後席としては実用的な方だ。

荷室にはゴルフバッグ1個が入る

レクサス LC500hのトランク画像
レクサス LC500hのトランク。駆動用バッテリーがある分、奥行きが500より浅い

荷室容量は、LC500で約197L、奥行きが浅いLC500hで約172L。トランクとしてはミニマムだが、どちらも9.5インチのゴルフバッグ1個を収納できると謳っている。いずれもトランクスルー機能はない。

トランクの床下には補器類用のバッテリーやヒューズボックスが収まっている

 
レクサス LC500hのトランク画像
 

基本性能&ドライブフィール

ハイブリッドのLC500hに試乗

RC Fでおなじみの477psを発揮する5.0L V8「2UR-GSE」エンジンや新開発の10速ATを搭載した「LC500」にも興味津々だったが、今回試乗したのは新開発「マルチステージハイブリッドシステム」を備えた「LC500h」。車両本体価格は1350万円で、試乗車は21インチタイヤ&ホイールやマークレビンソンなどのオプション込みで1411万1280円だ。

 

500hのパワートレインは、GS450h等に採用されているV6ハイブリッドの発展型と言えるもの。GS450hのトランスミッションは動力分割機構による電気式無段変速機だが、今回は動力分割機構の後ろに遊星ギアによる4段ギアを追加し(1速3.538、2速1.888、3速1.000、4速0.650)、疑似的な段を含めて10段の変速制御を実現。低速域から高速域まで、エンジンやモーターの効率のいいところを引き出せるようになった。また、駆動用バッテリーも従来のニッケル水素から、リチウムイオンに変更されている。

10段変速で「リズミカルな変速」を実現

V型6気筒エンジンは、GS450hに搭載されている「2GR-FXE」の改良発展版である「8GR-FXS」。最高出力は299ps/6600rpmで、GS450h(295ps/6000rpm)から4ps向上。最大トルクは356Nm(36.3kgm)のままだが、その発生回転数は4500rpmから5100rpmに引き上げられ、やや高回転型とされている。

モーターにはGS450hの「1KM」に代えて「2NM」を採用。モーター単体の最高出力は450hの200psから180psにダウンしているが、最大トルクは逆に275Nm (28.0kgm)から300Nm(30.6kgm)にアップしている。

 

そしてエンジンとモーターを合わせたシステム出力は、GS450hの348psから若干上乗せされて359psに向上。しかし車重はGS450hが1860kgのところ、LC500hでは2000~2020kgと、140~160kgも重いので、パワーウエイトレシオも5.3kg/psから5.6kgにダウンしている。

しかし「10段変速によるリズミカルな変速」や低速域から高速域まで全体的に駆動力が増したことで「ハイブリッドのイメージを一新」する走りを実現した、というのがレクサスの主張だ。

約60km/hから本領発揮

というのも、メーカーによれば、従来のハイブリッドシステムでエンジンの最高出力を使用できる車速領域は約120km/h以上だったそうで(え、そうだったの?という感じ)、それがマルチステージハイブリッドシステムでは有段ギヤを追加したことで、最高出力をガソリン車と同等の約60km/hから使用可能になったのだという。

さらにプレスリリースは「従来のハイブリッド車で加速時にエンジン回転数が先に上昇し、加速感が後から発生するタイムラグを解消。ダイレクト感に富み、伸びのある加速感を実現」したと謳う。1速のギヤ比は実現できる中で最も低い4.701に設定。そして10段変速はすべてステップ比の小さいクロースレシオにしたという。

1速で60km/h、3速で100km/hに到達

さて、実際はどうかというと、スタート発進でアクセルを床まで踏み込んでも、発進そのものは相変わらずジェントル。トラクションコントロールをオフにしても(トヨタ車の常で、50km/h以上では自動的にオンに復帰する)、ホイールスピンは一切しない。ちなみに停止中はシフトレバーをニュートラルにしていてもブリッピング(空ぶかし)は一切できない。このあたりはハイブリッド車だなぁと思うところだ。

しかしいったんタイヤが転がり出せば、その後の加速は俊敏だ。マニュアルモードでは、「コーーーーン!」という小気味のいい、しかしかなり人工的なサウンドと共に、1速でぶん回せば約60km/h、2速で回しきって約80km/h、そして3速でほぼ100km/hに届く。なのでワインディングでは2速、3速を使うことで、いや確かに「リズミカルな」加速と走りが楽しめる。車重は少々重いものの、これだけ走れば動力性能に不満はない。むしろ日本の公道でも気持ちよくエンジンを回して走ることができる。

 

走行モードの切り替えスイッチは、メーターフードの左側。ひねって「Sport S+」「Sport S」「Comfort」「Eco」を選択する

ちなみに0-100km/h加速は、LC500hが4.7秒、LC500が4.4秒。高速域ではV8モデルの方が速いようだが、スタートダッシュは電気モーターを備える500hの方が得意らしい。

とはいえ、ちょっと物足りなさを感じるのは、エンジンを6600rpmから始まるレッドゾーン手前までブン回しても、その「コーーーン!」と車内に響くサウンドが人工的で、なおかつ一本調子で変わらないところ。SモードやSモード+を選ぶと、音はさらにスポーティに変化するが、印象そのものはそんなに大きく変わらない。

一方で、LC500には、今どき貴重な自然吸気のV8エンジンと新開発の10速AT「Direct Shift-10AT」が搭載される。今回は試乗できなかったが、同じエンジンで8速ATのRC Fよりもステップ比が小さい分、エンジンの美味しいところを引き出しやすそうだ。

「より鋭く、より優雅」を確かに実現

パワートレインの話が先行したが、LC500hの真骨頂は、新開発GA-Lプラットフォームのシャシー性能だろう。ロングホイールベース、ワイドトレッド、段差を乗り越える時にもミシリと言わないボディ剛性、超スムーズで超フラットな乗り心地、高い静粛性など、ドイツ勢の最新ライバル車に負けないレベルで仕上げてきている。

1300万円オーバーなのだから当たり前、とも言えるが、いやいや作るのは簡単ではなかったはず。タイヤは20インチ仕様、21インチ仕様のいずれも、ミシュラン パイロットスーパースポーツのランフラットだが、かつてのランフラットにあった生硬さはまったくない。

ワインディングでハンドリングを試してみても、FRらしい潤沢なフロントの接地感を感じながら、シャープな動きを緊張感なく楽しむことができる。開発テーマは「より鋭く、より優雅」だそうだが、LC500hでも、それは確かに実現できていると思う。いいクルマだ。

 

それは前述したようなディメンションに加えて、フロントミッドシップ、新開発の前後マルチリンクサスペンション、軽量なCFRP製やアルミ製パーツを適所に使った設計が功を奏しているからだろう。車重はV8モデルで1940kg以上、ハイブリッド車で2000kg以上と、ライバル車と比べてかなり重めだが、パワーが十分にあり、またハンドリングがいいせいもあって、ボディの重さを感じることはほとんどない。

ちなみにトルセンLSDやギア比可変ステアリングのVGRSが装備されるのは、500hでも、V8の500でも、“S package” のみで、試乗車には付いていなかった。おそらく後輪で路面を蹴る感じは、トルセンLSD装備車の方が濃厚に味わえると思われる。

レーダークルーズの上限設定速度が180km/hに

レクサス LC500のカラーヘッドアップディスプレイ画像
オプションのカラーヘッドアップディスプレイ

100km/h巡行時のエンジン回転数は1000rpmくらいだが、条件さえ合えばエンジンが止まり、針が0rpmを指したまま、しばらく……数分という単位で……EV走行してくれる。

高速域の乗り心地は、徹底的にスムーズというより、路面のインフォメーションを適度に伝えるスポーティなもの。このあたり、いい意味でバネサスの古典的アナログ感があって好ましく感じられたが、人によっては「高級クーペらしくない」と思うかも。ま、そのあたりからも、「これまでのトヨタ/レクサス車とは違うぞ」感が伝わってくる。

当然ながらTSSP(トヨタ セーフティセンスP)、もとい「レクサス セーフティ システム+」は全車標準装備。歩行者検知機能付の自動ブレーキ、全車速追従機能付レーダークルーズコントロール、操舵アシスト付の「レーンキーピングアシスト(LKA)」、「オートマチックハイビーム(AHB)」など、欲しい先進安全装備はおおむねすべて備えている。まぁこのクラスなら今や当たり前だが。

 

クルーズコントロールの操作インターフェイスも、従来のレバータイプからステアリングスイッチに変更された

驚いたのは、レーダークルーズコントロールの設定上限速度が180km/hになっていたことだ。これまで日本車のクルーズコントロールの上限設定速度はおおむね110km/h台だったが、先ごろ警察庁が高速道路の最高速度を引き上げる方針を出したことを受けて、レクサスでは100km/h+αの設定上限速度を撤廃したという。これはもちろんトヨタ/レクサスで初で、おそらく国内向けの日本車では初だろう。

なのでレーダークルーズコントロールを180km/hに設定した場合、先行車がいなくなれば当然ながら自車は180km/hまで加速しようとするので注意されたし。

なお、海外向けの最高速はLC500hで250km/h、LC500で270km/hと発表されているが、日本仕様ではこれまで通り180km/h超(188km/h)で速度リミッターが作動するようだ。

試乗燃費は8.0~12.5km/L。JC08モード燃費は15.8km/L

今回は3日間で約270kmほど試乗。参考ながら試乗燃費は、いつもの一般道と高速道路を走った区間(約80km)が8.5km/L、一般道をECOモードで大人しく走った区間(約30km)が12.5km/L。270km/hトータルでの燃費(撮影のための移動を含む)は8.0km/Lだった。いまひとつと感じるかもしれないが、高速道路を80~100km/h巡行するだけなら15km/L台も可能だ。

 

過去一ヶ月の燃費履歴は、この通り10km/L前後だった

JC08モード燃費はLC500hで15.8km/L、LC500だとその約半分の7.8km/L。いずれも指定燃料はハイオクで、タンクは82Lの大容量である。500hなら無給油で少なくとも600km、高速巡行だけなら1000km以上走ることも可能だろう。

ここがイイ

デザイン。価格にふさわしい品質感や快適性。取り回しが意外にいいこと

好みは人それぞれだが、LCのデザインは誰もがカッコいいと思うものだろう。

ステージを選ばない、走りの完成度。欧州車のような濃い味はないが、スムーズで静かで快適でスポーティで、ひとことで言えば洗練されていて、それは確かにレクサスっぽくもある。それでいて、従来のレクサス車よりハンドリングはナチュラルで、欧州車に遜色ない。さらにハイブリッドなら燃費もそこそこいいし、小回りも効くし、総じて実用性は高い。

改良されたリモートタッチ。誰もが使いやすいと太鼓判を押せるレベルではないが、現行のトヨタブランド車だと、車載ナビはすっかりお手上げ状態で、ほとんどのモデルがディーラーオプションでタッチパネルタイプを用意するくらいに甘んじている。それに対して、さすがにレクサスは海外で欧州車と戦わなければならないだけに、この辺についても工夫を凝らしている。

ここがダメ

500hの人工的なエンジンサウンド、リモートタッチの操作性

ハイブリッド車である500hの車内で聞くエンジンサウンドは、音の成分のほとんどが人工的と言えるもので、「Sport S+」などを選べばクォーンと吠えてはくれるものの、盛り上がりや抑揚に欠け、爽快感が得られない。V6独特のドロドロした音はふさわしくないのは分かるが、かと言って演出しすぎるのも不自然だ、ということで、この辺に落ち着いたのだと思うが、どうせ音を作るならV10やV12みたいな快音にしてしまうのもありだったのでは。

リモートタッチについては前述のように確かに改良されたが、操作性は依然いま一つ。これは日本仕様の場合、左手で操作するせいもあるが。機械オンチやデジタルディバイドの人でもストレスなく使えるようにするには音声操作などを抜本的に改良しなくては。

エクステリアデザインがカッコいいだけに、アウタードアハンドルだけジャガー F-TYPE(2012年に初公開、2013年に発売)とそっくりになってしまったのは残念。真似たつもりはないだろうが、特徴的な部分だけにそう見えてしまうのは否めないと思う。

細かい話だが、LCの「オートマチックハイビーム(AHB)」はハイとローを単純に切り替えるもので、最新のバリアブルに可変するタイプではない。おそらく3灯LEDのヘッドランプデザインにこだわったためだと思うが、実用性を考えればバリアブルの方が良かった。

総合評価

輸入車ユーザーも気にせずにいられない

レクサスブランドのクルマでこんなことを書くのは場違いかもしれないが、このところトヨタの新型車、特に一部のモデルではデザイン力が見事に光るようになってきた。シエンタ、プリウス、C-HRあたりだが、これらは驚くほど斬新だ。そのシエンタやC-HRがヒットしていることで分かるように、人を惹きつけるのはなによりまずデザインだろう。トヨタ車がそれを実現し始めたというのは「もっといいクルマ」作りが着実に進んでいる証か。この点は今後も大いに期待できそうだ。

LCも、これはもう誰もがスゴイ、カッコいいというデザインになっている。そこまで褒めないまでも、ひどくけなすような人はまずいないだろう。派手さと上品さがうまく融合しており、オリジナリティもある。例えば欧州の高級車は伝統があるだけに、昨今、デザイン的には自由度が少ないように思う。ポルシェがまったくポルシェ的でない形のクルマは出せないだろう。その点レクサスは幸いにも自由度が高い。自由にカッコいい造形ができる。その結実がLCだろう。

全体に醸し出される独特の存在感をオーラなどと表現するが、LCにも1000万円を超えるクルマとしてのそれが十分に感じられる。実際、日本車としては稀有な例だ。日産GT-Rにはガンダムチックなオーラがあったが、LCには高級車、高価なクルマとしてのオーラがちゃんとある。トヨタが作ったクルマだが、こうなると高級輸入車ユーザーも気にせずにはいられないだろう。

最新なのに、なぜかちょっと古臭い

電気式無段変速機に4段ギアを追加した「マルチステージハイブリッドシステム」は、ジェントルでありながら十二分に速いという新感覚の走りで、ハイブリッドユニットの持つ懐の深さと発展性を実感させてくれる。燃費一辺倒ではない方向なら、ハイブリッド車もまだまだ面白くなるということか。

そして何より、まるでコンパクトスポーツを操っているように軽快で、かつオンザレール感のある身のこなしが楽しい。それでいて素晴らしく快適な乗り心地、そして優れた燃費性能と、すべてが高ポイントでまとまっているあたり、さすがにトヨタのプロダクトらしいところだ。

LCはおそらく豊田章男社長の肝いりで開発されてきたはずだが、自動車メーカーとしてのトヨタは、市販スーパースポーツのLFAを出し、さらにLCのような高級クーペを通常ラインナップに加えたことで、真に世界の上級自動車メーカーとして列挙されるところまで来たと思う。販売台数で世界一を争うトヨタだが、LCによって名実ともに、この業界のトップグループにふさわしい属性を有する会社になったのではないか。「もっといいクルマづくり」を標榜してきた豊田章男体制ゆえできたこと、と評価できる。ブレない豊田社長路線の賜物だ。

 

ただ、LCがクルマの最先端かというと、そうでもないあたりには一抹の物足りなさがある。走りの面でダントツではないし、パワートレインやIT技術にもアッと驚かせるような画期的なものは特にない。かつての日本の技術立国イメージであれば、モーターで走る自動運転スーパースポーツみたいなものこそ、こうした製品としてふさわしい。LCはそういったものとは対極をなす、昔からの高級クーペカテゴリーのクルマで、それがついに日本車にも登場した、ということなのだと思う。その意味では、最新のクルマなのに、なぜかちょっと古臭く感じてしまった。

これに関しては、分かりやすいIT性能がうたわれてないことが一つの要因かも。ナビはタッチパッド式になった新型リモートタッチで操作するもので、タッチパッド上ではピンチイン・ピンチアウトができるのだが、スマホのようにディスプレイ画面を直接触って操作する時の直感性が感じられないし、音声操作による検索も思うようにいかない。「ピッと鳴ったらお話ください」ではなく、「オッケーLC、どこどこへ行ってくれ」と言えば、すかさず検索して目的地を設定してくれる、そんなインターフェイスこそ、このカッコいい未来的デザインのクーペには欲しかった。もちろんエンジンなどなく、燃料電池だったりしたらもっといい。1960年代に見ていた夢は、カタチにおいてはかなり実現しているが、中身はまだまだに思えるのだ。

次なる性能に必要なこと

名古屋インターから3車線の無料高速道路に乗り、「オッケーLC、自動運転で霞が関まで」と言えば、そのまま120km/hオーバーの流れにのって東京まで自動で走ってくれる。途中、御殿場インターで降りて箱根で走りを楽しみ、水素を補給して再び自動運転へ。そんなことは21世紀になって20年近くたてば、さすがに実現していると思っていたのだが。いや、カッコいいLCは確かに現実になったし、120km/hオーバーでの追従走行もハードウエア的にはできるようになった。しかし肝心の法整備がまだだ。

最近、量産型の電気自動車(EV)を持たないトヨタの不安を煽る論調の記事が多いが、それは杞憂に思える。急速充電インフラさえ整えば、一般的なEVを作って売ることはそう困難な話ではないと思うからだ。EVはまだマニアックなクルマゆえ、トヨタは製品化を急いでいないのだろう。インフラに関してはプリウスPHVでその布石をうっている。むろんテスラを超える超高性能EVを他に先駆けて作るのはいまだ困難を極めるが、その開発競争の真の勝者はまだ見えないのも事実。バックヤードでは苛烈な競争が繰り広げられているはずだ。

 

それより不安なのは、より良いハイブリッド車やガソリン車を作っても、今の法規制の中では商品の魅力をどうにもアピールしづらいということだろう。例えば、今回のLCで設定速度の上限が引き上げられたクルーズコントロール機能。ずっと指摘してように日本では実態にそぐわない自主規制によって、これまではこの装備の魅力をほとんど打ち出すことができなかった。欧米では当たり前の性能が、21世紀の日本では普通にアピールできなかったのだ。

クルマという商品は、ただ「走る」という基本性能においては、もう十二分な成熟商品となっている。自動運転を含め、次なる性能を打ち出すには規制緩和が必要だ。これまでの20年間は燃費性能という、規制の対象にならない性能のアピールでクルマは生き延びてきた。そしてハイブリッド車で先行したトヨタは、特にその恩恵を受けてきた。しかし今後はコネクテッドカーなど、法律とのすり合わせが必要な性能を前面に打ち出すしかない。それをうまくできるか。それがEVの話などより大きな不安に思える。

 

試乗車スペック
レクサス LC500h “L package”
(3.5L V6ハイブリッド・1350万円)

●初年度登録:2017年2月
●形式:DAA-GWZ100-ACVBB
●全長4770mm×全幅1920mm×全高1345mm
●ホイールベース:2870mm
●最低地上高:140mm
●最小回転半径:5.4m
●車重(車検証記載値):2020kg(1060+960)
●乗車定員:4名

●エンジン型式:8GR-FXS
●排気量:3456cc
●エンジン種類:V型6気筒DOHC・4バルブ・直噴+ポート噴射(D-4S)・縦置
●ボア×ストローク:94.0×83.0mm
●圧縮比:13.0
●最高出力:220kW(299ps)/6600rpm
●最大トルク:356Nm (36.3kgm)/5100rpm
●カムシャフト駆動:タイミングチェーン
●使用燃料:プレミアムガソリン
●燃料タンク容量:82L

●モーター形式:2NM
●モーター種類:交流同期電動機
●最高出力:132kW(180ps)
●最大トルク:300Nm(30.6kgm)

●駆動用バッテリー種類:リチウムイオン電池
●トランスミッション:マルチステージハイブリッドトランスミッション(電気式無段変速機+4段ギア)

●システム最高出力:264kW(359ps)
●JC08モード燃費:15.8km/L

●駆動方式:後輪駆動(FR)
●サスペンション形式(前):マルチリンク+コイルスプリング
●サスペンション型式(後):マルチリンク+コイルスプリング
●タイヤ:前 245/40RF21、後 275/35RF21
 (Michelin Pirot Super Sport ZP) ※ランフラット

●車両本体価格:1350万円
●試乗車価格:1411万1280円
※オプション合計:61万1280円
※オプション内訳:フロント245/40RF21、リア275/35RF21ランフラットタイヤ & 鍛造アルミホイール (ポリッシュ仕上げ&ブラック塗装) 16万2000円、インテリアカラー:ブリージーブルー 10万8000円、カラーヘッドアップディスプレイ 8万6400円、ステアリングヒーター+寒冷地仕様 3万5640円、マークレビンソン”リファレンスサラウンドサウンドシステム 21万9240円

●ボディカラー:ホワイトノーヴァガラスフレーク
●試乗距離:約270km

●試乗日:2017年5月
●車両協力:トヨタ自動車株式会社

 
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