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マツダ CX-8(3/3)新車試乗記(第830回)

Mazda CX-8 XD L Package

2018年02月02日

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ここがイイ

エンジンもシャシーも文句なし

試乗して感じたのは、とにかくエンジンもシャシーもすごく良くなっていること。これは誰でも乗ればすぐに分かる部分だろう。本文にある通り、エンジンは全域でトルクフルになったし、音も静か。乗り心地もいいし、ゆったり乗れる。これだけ静かで、トルクフルで、燃費もいいとなると、もはやV6のガソリンエンジンには手が伸びない。

こうなると、ボディの長さが気になる人を除けば、どうしても5より8を選びたくなってしまう。マツダはCX-8の販売好調の要因に、購入者の声として「車の大きさを感じさせない」「乗り心地のよさや静粛性は想像以上」などを挙げているが、まさにその通り。また、マツダが想定していた以上に「若いカップルやファミリー」にも売れているのも、要するにクルマの出来がいいからだろう。

スタイリングもフロントのロングノーズ感とリアの長さのバランスが合い、綺麗にまとまっている。すごく個性的だったり、スタイリッシュだったりはしはないが、さり気なく乗るにはこれくらいがいいだろう。

先進安全装備については現行CX-5と大差ないが、ACCの設定上限速度がさりげなく180km/hになってたりして、確実にアップデートされている。

ここがダメ

現行CX-5の立場

CX-8については特になしだが、このエンジンや乗り心地、静粛性は、昨年フルモデルチェンジしたばかりのCX-5にも欲しかったところ。フロアパンから異なる上級モデルとはいえ、CX-5との価格差は同等グレード同士なら50万円程度。車幅は同じだし、ユーザーとしてはそこをどう考えるか。少なくともエンジンに関しては今後、年次改良でこの最新バージョンにアップデートされるのでは。その際にはACCの設定上限速度の解禁もお願いしたく。

※冒頭でも追加で付記したように、マツダは2月8日に現行CX-5の「商品改良」を発表、改良型を3月8日に発売する予定。

■外部リンク
マツダ>CX-5を商品改良(2018年2月8日)

総合評価

好調マツダのすべてがここにある

たくさんのクルマに試乗してきたせいか、これはよくできているなあというのは、数100m走るだけで分かる。いや、そんなにたくさん試乗していなくても、おそらく誰だって、その場で何台かを乗り比べれば、その中からクルマのよさを感じとることはできるはずだ。とにかくCX-8はそういうクルマだった。むろんエンジニアの誰もが、そういうクルマを作りたいと苦労しているはず。しかし、様々な要因で出来上がったクルマすべてがそうなるわけではない。CX-8はなぜそうなったか。一つ言えるとすれば、マツダというメーカーの最高峰に位置するクルマゆえだろう。マツダが持てる全てを注ぎ込んだクルマということだ。

CX-8こそが the マツダだ。ここ10年ほど、いいクルマを連発してきたマツダのすべてがここにある。そして価格は高いが、その分、いい物が作れるということも、もちろんある。それにしても400万円を越えるマツダ車が、初期受注で1万台を超える時代がくると、かつて誰が想像できただろうか。

輸入車だったら5割増し?

CX-8はそんなマツダの国内フラッグシップだが、それがSUVだということは、時代を感じさせると同時に、マツダにとってはむしろ幸いだろう。レクサスが苦しんでいるように、高級セダン市場は欧州車を中心とする伝統的なブランド車の独壇場だ。しかしSUVなら、伝統ブランドとも対等に戦える。そこにマツダのすべてを注ぎこんで、高級ブランド車よりリーズナブルな価格をつけられるのだから、勝負になるということ。このCX-8の内容で高級ブランド車だったら、売値は5割増しになるかも。輸入車ゆえのコスト差はあるにせよ、ボディサイズや性能面では同クラス車と言ってもいいボルボ XC60との価格差はかなりのもの。そう考えるとマツダ車としては高く感じる価格も、けして高くはないわけだ。

また大型SUVなら多人数乗車にも対応できる。日常的な使用なら、クルマの多くは2人乗りで十分だ。4人乗ることが年に何回あるか考えてみて欲しい。とはいえ年に何回かは確実にあるし、事情によってはそれがずいぶん多いこともあるだろう。それゆえ4人乗り、5人乗りは必要条件ということになる。話はちょっとズレるが、クルマが所有ではなく、必要に応じてレンタル・シェアされる時代となった場合、シェア車両は2人乗りがすごく多くなるように思う。そして必要に応じて多人数が乗れるクルマを借りる。であれば、未来のクルマ社会はそんな2人乗りEVが主流の時代ということになりそうだ。

最高峰モデルをダウンサイジング


(photo:Mazda)

話を戻して、現代でより多人数が乗れるクルマは、と考えると、それはそれで子育て世代を中心に高いニーズが存在する。そして時には3世代で乗ることを考えると、ミニバンがよく売れるのは当然のことと思う。しかしミニバンはミニバン。好きなクルマに乗りたくても渋々ミニバンに甘んじている人は少なくないはず。ここに多人数が乗れるSUVの入る余地がある。国内向けの日本車には今のところ数えるほどしかないが、おそらく今後はもっと各社から出てくるのではないか。シェア時代ではない現代では、大は小を兼ねるから。

ただその場合、ミニバンよりスペース効率は悪いから、ボディは大型化することになる。北米なら全長5m超、全幅1.9mでもそう苦にならないだろうが、日本では4.9m、1.85mくらいが限界だ。特に都会の駐車事情では1.85mを越えると物理的にとたんに厳しくなる。逆に言えば、全幅がその程度に収まっていて、取り回しがよければ、日本でもほぼ大丈夫。CX-8はまさにそんなクルマで取り回しも悪くない。タワーパーキングもこれなら入るところが多いと思う。そしてフル乗車時の居住性も悪くない。

要するにマツダは海外市場での最高峰であるCX-9を日本向けにダウンサイジングして、日本での最高峰車CX-8にしたということ。かつてトヨタが北米向けに開発した初代エスティマをダウンサイジングして、5ナンバー枠(1700mm未満)に収まるエミーナ/ルシーダを出したが、現代においては、それが1850mmくらいになったということだろう。

日本のイヤーカーにするならこれ

そんなCX-8で、もう一つ素晴らしいのが先進安全装備だ。ACCの設定上限速度が180km/hになっていることも含めて、低速域から高速域までかなり自動運転に近い感覚で走ることができる。安全性能にコストを掛けるという点では、今やメーカーとユーザーはウインウインの関係が構築できている。ということで、マツダに限らず普段はあまりメリットを感じることがないヘッドアップディスプレイまで、なんだか違和感なく普通に使いこなせたことを報告しておきたい。映り込みなどの違和感がなければ、あの位置で情報が得られることは素晴らしいことだと思えた。

 

ディーゼルエンジンのできの良さ、そこからくる経済性、そして最新の衝突安全・運転支援装備を含めて、日本でのイヤーカーにするならボルボXC60より、CX-8だと思った。COTYで細かく点を稼いで選ばれたXC60と違い、これなら10点を配点する人は多いのではと思う。9月に受注が始まっているのに、発売日を年末ぎりぎりにしたのは、COTYにはCX-5だけをエントリーさせたいという配慮もあったのかな、なんて思ったりした。

 

試乗車スペック
マツダ CX-8 XD L Package
(2.2L直4ディーゼル・6AT・FF・395万8200円)

●初年度登録:2017年11月
●形式:3DA-KG2P
●全長4900mm×全幅1840mm×全高1730mm
●ホイールベース:2930mm
●最低地上高:200mm
●最小回転半径:5.8m
●車重(車検証記載値):1830kg(1070+760)
●乗車定員:6名

●エンジン型式:SH-VPTS
●排気量:2188cc
●エンジン種類:直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴・ターボ・ディーゼル・横置
●ボア×ストローク:86.0×94.2mm
●圧縮比:14.4
●最高出力:140kW(190ps)/4500rpm
●最大トルク:450Nm (45.9kgm)/2000rpm
●カムシャフト駆動:タイミングチェーン
●アイドリングストップ機能:有り
●使用燃料:軽油
●燃料タンク容量:72L

●トランスミッション:6速AT
●JC08モード燃費:17.6km/L(4WDは17.0km/L)
●WLTCモード燃費:15.8km/L(4WDは15.4km/L)
市街地モード(WLTC-L):12.7km/L(4WDは12.5km/L)
郊外モード(WLTC-M):15.7km/L(4WDは15.3km/L)
高速道路モード(WLTC-H):18.0km/L(4WDは17.5km/L)

●駆動方式:FF(前輪駆動)
●サスペンション形式(前):マクファーソンストラット+コイルスプリング
●サスペンション型式(後):マルチリンク+コイルスプリング
●タイヤ:225/55R19 ( Toyo Proxes R46 )

●車両本体価格:395万8200円(メーカーオプション含まず)
●試乗車価格(概算):411万4800円(オプション込み)
※オプション合計(概算):15万6600円
※オプション内訳:CD/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナー(フルセグ) 3万2400円、Boseサウンドシステム+10スピーカー 8万1000円、360度ビュー・モニター+フロントパーキングセンサー 4万3200円

●ボディカラー:ジェットブラックマイカ
●試乗距離:約250km

●試乗日:2018年1月
●車両協力:東海マツダ販売株式会社

 
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