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マツダ CX-5 XD プロアクティブ新車試乗記(第817回)

Mazda CX-5 XD Proactive

(2.2L 直4ディーゼルターボ・6AT)

広島から世界に挑む!
大ヒットディーゼルSUVの
2代目に試乗!

2017年06月23日

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キャラクター&開発コンセプト

5年ぶりのフルモデルチェンジで「深化・熟成」

初代マツダ CX-5(前期型)の広報画像
初代マツダ CX-5(2012年)

マツダの新世代商品群の第1弾として2012年2月に発売されたクロスオーバーSUV「CX-5」が5年ぶりにフルモデルチェンジして2代目となり、2016年12月15日に国内で正式発表、2017年2月2日に発売された。

初代CX-5は、マツダのグローバル販売の1/4を占める基幹車種のひとつ。その後デビューした現行アテンザ(海外名マツダ6)、アクセラ(マツダ3)、デミオ(マツダ2)、CX-3といった新世代商品群の先鋒として、マツダ好調の鏑矢となったモデルだ。

 
初代マツダ CX-5  (2015年マイナーチェンジモデル)の広報画像
初代マツダ CX-5 (2015年マイナーチェンジモデル)

新世代商品群として初のフルモデルチェンジとなった新型CX-5は、マツダによれば「ドライバーだけでなく同乗者も含めた『すべてのお客さまを笑顔にするSUV』」をキーワードに、「『走る歓び』を深化させた」モデルだという。

ただしプラットフォームやパワートレインは、改良しつつも基本的にはキャリーオーバー。また、装備面でも先代のマイナーチェンジモデル(2015年1月発売の最終モデル)で採用されていたものが多い。よって新型の見どころは、刷新された内外装デザイン、アッパーボディ、静粛性などの快適性向上、先進安全装備の改良など。好評だった先代からの「深化・熟成」が全体のテーマだ。

 
新型(2代目)マツダ CX-5の広報画像
新型(2代目)マツダ CX-5

デザインについては、従来の「魂動デザイン」をさらに進化させたもの。操縦性については、アクセラ、アテンザ、デミオ等で採用している「G-ベクタリング コントロール(G-Vectoring Control)」をCX-5で初採用。先進安全装備については、マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)の追従機能を従来の30km/h以上から、全車速対応(0km/h~)としている。

月販目標は2400台。広島に加えて防府でも生産予定

宇品第2工場にてラインオフする新型CX-5の量産第1号車の画像
宇品第2工場にてラインオフする新型CX-5の量産第1号車

生産はマツダ本社の宇品第2工場(広島市)で2016年11月にスタート。国内の月販目標は2400台で、受注台数は正式発表から約1ヶ月半経った1月31日時点で9055台、発売から約1ヶ月の3月5日時点で1万6639台と好調だ。

一方、直近の販売実績は、2017年2月:4121台、3月:9669台、4月:2235台、5月:2279台と、4月から極端に減っている。これは同月から輸出が本格的に始まり、国内への供給が減ったからだ。こうした供給不足に対応するため、2017年11月からは防府工場(山口県防府市)でも生産が始まる。

このようにマツダにとっては目下、グローバルでのSUV需要に対応できる生産体制づくりが急務。CX-3(2015年2月発売、月販目標3000台)についても、本社工場に加えて、2015年12月からは防府工場でも生産されている。

なお、マツダによると、6月12日時点でCX-5を注文した場合の工場出荷めどは8月下旬以降とのこと。

■外部リンク
マツダ公式サイト>CX-5工場出荷目処のご案内

2017年中には3列シートの「CX-8」も

2017年内に発売予定のCX-8の画像
2017年内に発売予定のCX-8

マツダはCX-5、CX-3に続くクロスオーバーSUVとして、国内向けでは初の3列シートSUV「マツダ CX-8」を2017年中に国内で発売すると4月に発表した。CX-8のボディサイズは全長4900mm×全幅1840mm×全高1730mm、ホイールベース2930mm、乗車定員は6名ないし7名。エンジンはCX-5と同じスカイアクティブD 2.2(2.2Lディーゼルターボ)と発表されている。


■過去の参考記事
新車試乗記>マツダ CX-3 XD(2015年5月掲載)
新車試乗記>マツダ CX-5 XD(2012年5月掲載)

 

価格帯&グレード展開

ガソリンは246万2000円~、ディーゼルは277万5600円~

17インチタイヤを履くCX-5標準グレードの画像
17インチタイヤを履く標準グレード

エンジンは2.0Lガソリン(20S)、2.5Lガソリン(25S)、2.2Lディーゼルターボ(XD)の3種類で、変速機は6速ATのみ。電子制御多板クラッチ式の4WD(i-ACTIV AWD)は22万6800円高。

LEDヘッドライト、7インチWVGAセンターディスプレイ&コマンダーコントロール、6エアバッグ等は全車標準。また、中間グレードの「プロアクティブ」は「マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)」、「アダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)」、「アクティブ・ドライビング・ディスプレイ」を標準装備、最上級グレードの「Lパッケージ」は本革シートなどを標準装備する。

ガソリン車とディーゼル車の価格差は31万3200円。だが、実際のところディーゼルはエコカー減税(取得税および重量税)、グリーン税制(新車登録翌年度の自動車税)、クリーンディーゼル補助金などで優遇されるため、その差はずっと小さくなる。さらに燃料費はガソリンより軽油の方が安いため、走れば走るほどディーゼルの方が経済的には有利だ。

売れているのはプロアクティブとLパッケージ

新型CX-5「Lパッケージ」のパーフォレーションレザー内装(ピュアホワイト)
「Lパッケージ」のパーフォレーションレザー内装はピュアホワイト(写真)とブラック

グレード別の受注構成比は、先進安全装備を備えた「プロアクティブ」46%、「L Package」49%で、合わせて95%を占める。

ボディカラー別では新開発の「ソウルレッドクリスタルメタリック」が31%、「マシーングレープレミアムメタリック」が17%など。

ちなみに下取り車で多いのはSUVが46%、ミニバンが20%の順で、うち先代CX-5の下取りは39%だという。年代別では「30代、40代を中心に20代から60代以上まで幅広い」とのこと。

価格は以下の通り。

■2.0Lガソリン(SKYACTIV-G 2.0)・FF
最高出力:114kW(155ps)
最大トルク:196Nm(20.0kgm)
JC08モード燃費:16.0km/L
・20S 246万2400円
・20S Proactive 268万9200円

■2.5Lガソリン(SKYACTIV-G 2.5)・FF
最高出力:140kW(190ps)
最大トルク:251Nm(25.6kgm)
JC08モード燃費:14.8km/L
・25S L Package 298万6200円

■2.5Lガソリン(SKYACTIV-G 2.5)・4WD
最高出力:135kW(184ps)
最大トルク:245Nm(25.0kgm)
JC08モード燃費:14.6km/L
・25S 268万9200円
・25S Proactive 291万6000円
・25S L Package 321万3000円


■2.2Lディーゼル(SKYACTIV-D 2.2)・FF/4WD
最高出力:129kW(175ps)
最大トルク:420Nm(42.8kgm)
JC08モード燃費:18.0km/L(FF)/17.2~17.6km/L(4WD)
・XD 277万5600円(FF)/300万2400円(4WD)
・XD Proactive 300万2400円(FF)/ 322万9200円(4WD)
・XD L Package 329万9400円(FF)/ 352万6200円(4WD)

 

パッケージング&スタイル

デザイン言語がぜんぜん違う

2代目マツダCX-5の前73画像

新型のテーマは先代の「深化・熟成」。「魂動デザイン」を継承しつつ、「洗練された力強さ」をキーワードに「成熟した骨格」や「品格のあるフォルム」を目指したという。要は力強さや質感の向上といったところか。

とはいえ、先代では「生命力と躍動感」とか「獲物に飛びかかろうとするチーター」といった風に生き物がテーマだったが、新型では鋭いLEDヘッドライトや直線的なキャラクラーラインなどによってメタルな感じが強くなった。デザイン言語というやつが全然違う感じ。

19インチを上位グレードに標準装備

2代目マツダCX-5の後ろ73画像

ボディサイズは先代とほとんど同じで(カッコ内は先代比)、全長4545mm(+5)×全幅1840mm(同)×全高1690mm(-15)、ホイールベース2700mm(同)。ライバル車でボディサイズが近いのは、VWティグアン、スバル フォレスター、レクサス NXといったところだ。

前後トレッドは先代より約10mm拡大され、先代同様に上級グレードは19インチの大径タイヤ(225/55R19)を標準で履く。ただし上級グレードでも、オプションで225/65R17タイヤに“インチダウン”が可能だ。

 
2代目マツダCX-5の真横画像

ボディカラーは全8色で、従来の赤(ソウルレッドプレミアムメタリック)をさらに改良した新規開発色「ソウルレッドクリスタルメタリック」(オプションで7万5600円高)や、ロードスターRFなど他車種でも採用されている「マシーングレープレミアムメタリック」(5万4000円高)、「スノーフレイクホワイトパールマイカ」(3万2400円高)などを用意している。

 
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転
半径(m)
マツダ CX-3 (2015~) 4275 1765 1550 2570 5.3
ホンダ ヴェゼル (2013~) 4295 1770 1605 2610 5.3
トヨタ C-HR (2016~) 4360 1795 1550~1565 2640 5.2
メルセデス・ベンツ GLA(2017~) 4430~4460 1805 1500~1505 2700 5.7
VW ティグアン(2017~) 4500 1840 1675 2675 5.4
初代マツダ CX-5(2012~2017) 4540 1840 1705 2700 5.5
新型マツダ CX-5(2017~) 4545 1840 1690 2700 5.5
スバル フォレスター(2012~) 4595 1795 1695 2640 5.3
レクサス NX(2014~) 4630 1845 1645 2660 5.3~5.7
日産 エクストレイル (2013~) 4640~4670 1820 1715 2705 5.6
トヨタ ハリアー(2013~) 4720 1835 1690 2660 5.3~5.7
 

インテリア&ラゲッジスペース

インパネ一新、質感大幅アップ

2代目マツダCX-5のインパネ画像
インテリアカラーはレザーが2種類で(ピュアホワイトとブラック)、写真のファブリックはブラックのみ

インテリアに関しては「仕立ての良い質感」をキーワードに、デザインを一新。インパネやドアトリムはエクステリアと呼応して水平基調になっている。

質感の高さは一目瞭然で、ソフトな触り心地のダッシュボード、操作感のいいスイッチやダイアル類、複数のマテリアルを組み合わせたドアの内張りなど、仕上げは入念。3眼メーターの右端には高精細4.6インチTFTカラー液晶のマルチインフォメーションディスプレイが配置されるほか、瞬間燃費計や燃料計の指針が昔の機械式メーターみたいにカクカク動くのが面白い。また、Boseサウンドシステム装着車の場合は、Aピラーに設けられたツィータースピーカーがアクセントになっている。なお、電動パーキングブレーキは先代の最終型から採用されていた。

 
2代目マツダCX-5のセンターコンソール、メーターの画像

マツダがこだわる「ヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)」については、ダッシュボードの中央上部に、タブレットPCのような7インチWVGAセンターディスプレイを標準装備。最近増えてきた8インチ以上のディスプレイと比べると小さめだが、これはこれでそんなに不満はない。

また、「プロアクティブ」と「Lパッケージ」には、フロントガラスに情報を投影するタイプの新型ヘッドアップディスプレイ(HUD)「アクティブ・ドライビング・ディスプレイ」が装備される。他のマツダ車では電動格納式スクリーンに投影するタイプのHUDが採用されているが、今後はおそらくこのタイプに変わっていくのだろう。

 
2代目マツダCX-5のマツダコネクト画像

そして先代途中から採用されたマツダコネクトも、バージョンアップの結果か、スムーズに操作できるようになった。コントローラーの横に配されたショートカットボタンやオーディオのボリューム調整つまみが便利。

自然なドラポジ。シートも新開発

2代目マツダCX-5のフロントシート画像

マツダゆえドライビングポジションにも、ぬかりはない。アクセルペダルには引き続きオルガン式を採用。シフトノブは先代モデルより約60mm上方に設置し、ステアリングホイールからの持ち替えがすばやくできるようにしたという。

新開発のシートは座り心地やホールド感、縫製などにこだわったもの。シートバックには体圧を分散できるサスペンションマットを使って「体幹」をしっかり支え、座面には人間が不快に感じる振動だけをカットするという高減衰ウレタン素材を採用したという。効果については言われてみれば、そうかなぁと感じるレベルではあるが。ファブリックシートの場合は、センター部分が通気性のいいメッシュ風の生地になっている。

 

リアシートも全面改良

2代目マツダCX-5のリアシート画像

リアシートも全面的に新設計された。座面には前席と同じ高減衰ウレタン素材を使うほか、背もたれの傾き角度を先代モデルから2度拡大して24度とし、さらにリクライニング機構を採用して28度まで寝かせられるようにした。広さや座り心地は申し分なく、乗り降りもしやすい。

3分割リアシートは継続。座面の沈み込み機能は廃止

2代目マツダCX-5のトランク画像

荷室に関しては、微妙にパッケージングや装備が変更された。先代から引き継がれたのは、リアゲートと連動してトノカバーも上がる「カラクリトノカバー」、そして3分割(40:20:40)の可倒式シート、その背もたれを荷室側のリモコンレバー(計3つ)で引いて倒せる機構など。

一方、新型で廃止されたのは、背もたれが倒れるのと連動して後席の座面が沈み込む「カラクリフォールド」。よって後席使用時の荷室容量は、先代の500L(サブトランク10L分を含む)から、505L(サブトランク30L分を含む)へと変化し、つまり床上部分の容量は若干減った様子。それでもゴルフバックなら4つ収納できるという。

 
2代目マツダCX-5のトランク床下画像

カラクリフォールドはなくなったが、背もたれはほぼフラットに倒れる。そうすれば大人男性(170cmくらい)がギリギリ足を伸ばして寝ることができる。

床下はサブトランクになるが、Boseサウンドシステム装着車の場合はサブウーファーがそこを占拠する。荷室容量は減るものの低音はさすがで、車内で音楽を聞くのが好きなら損はない装備だ。

スペアタイヤの設定はなく、全車パンク修理キットを搭載する。

スピンドルダンパー式の電動リアゲートを採用

2代目マツダCX-5のスピンドルダンパー式パワーリフトゲート画像

荷室におけるもう一つのトピックは、ダンパーステーの内部にモーターを内蔵したスピンドルダンパー式のパワーリフトゲートが採用されたこと。太いステーがないので見た目がすっきりしているし、おそらく先代からの設計変更も少なくて済んだはず。ボタンを押してから開き始めるまでのタイミングがやや遅く感じられたが、あれば便利な装備。

 

基本性能&ドライブフィール

ディーゼルの静粛性は大差なし

2代目マツダCX-5のエンジン画像

試乗したのはクリーンディーゼル車の「XD」で、先進安全装備を備えた中間グレード「プロアクティブ」。試乗車は電子制御多板クラッチ式の4WDで、価格はオプション込みで346万6800円。

運転席に乗り込んでの第一印象は、全幅が1840mmあり、視点も高いせいか「大きいなぁ」。ただし慣れてくると、最小回転半径が5.5mと割と小回りが効くせいもあり、駐車時を除けばボディの大きさはほとんど気にならなくなる。曲がり切れなくて切り返す、なんてことはまずない。

 
2代目マツダCX-5のエンジン画像

最高出力175ps/4500rpm、最大トルク420Nm (42.8kgm)/2000rpmというスペックは、先代と一緒。圧縮比は従来通り14.0とディーゼルとしては極めて低く、ガソリンエンジンに近いのが特徴だ(CX-5の2.0L直噴および2.5L直噴ガソリンエンジンの圧縮比は共に13.0)。

新型では新たに「ナチュラル・サウンド・スムーザー」や「ナチュラル・サウンド・周波数コントロール」を採用。前者はディーゼル特有の「カラカラカラ」というノック音を低減するため、ピストンピンの中にダイナミックダンパーを組み込んだもの。後者は燃料噴射のタイミングを緻密に制御することで燃焼圧力をコントロールし、ノック音の発生そのものを抑制するものになる。

 

とりあえずエンジンを始動。まずはエンジン音だが、車外で聞くそれはけっこう大きめ。それに対して車内は、入念な遮音・吸音対策のおかげで割と静かだが、やはりディーゼル特有の音は残っている。先代より静かになったという新型だが、実感としては大差ないなぁというのが、申し訳ないが正直なところだ。

出足のもたつきがなくなった

2代目マツダCX-5の画像

一方、明らかに良くなったと思うのは出足の加速感。ほぼ全回転域でパワーの上乗せやスムーズさの向上を行った、というのがマツダの主張だが、確かに先代(初期モデル)で感じた発進直後のもたつきがなくなった。

車重はFF車で1600kg、試乗した4WD車では1680kgに及ぶ(先代の20kg増し)。パワーウエイトレシオは9.1~9.6kg/psだが、トルクが420Nmもあるので、アクセルをドカッと踏んだ時の反応は俊敏。ガソリン車のようにキックダウンせずとも、すぐに加速体制に入る。

 
2代目マツダCX-5のエンジン性能曲線画像

そして3000rpmくらいからさらに鋭く加速し、レッドゾーンが始まる5000rpmまでスムーズに回り切る。この時の加速とサウンドはなかなか気持ちいい。小気味よく3速で回し切ったあたりで100km/hに到達する。

逆にのんびり加速する場合は80km/hあたりで、ようやく6速トップに入る。この時の回転数は約1500rpmで、100km/h巡行は2000rpm弱。あれ? 先代の試乗記では100km/h巡行時のエンジン回転数を約1800rpmと書いているのだが、、、、実は新型から一部モデルの最終減速比が変更されており、先代XDでは全車4.090だったものを、新型では4WDの19インチタイヤ装着車などに限り4.411にローギアード化しているのだった。加速性能に配慮したのだろうか。

静粛性や乗り心地もブラッシュアップ

2代目マツダCX-5のロードノイズ改善先代モデル比較画像

ボディ剛性のアップやサスペンション等の改良によって、乗り心地は良くなり、ロードノイズも大幅に減り、特に粗い路面での低周波ロードノイズを低減した、というのがマツダの主張。確かに新型の乗り心地はフラットで、凸路でも突き上げはマイルド。上下動もほぼ一発で止めてくれる。ロードノイズも十分に静かだと思った。ボディ剛性については、最新のCAE解析によって補強したほか、Aピラーやサイドシルなどに超高張力鋼板を採用し、先代に対してねじり剛性を15.5%高めたという。

高速走行時の高周波タイヤ騒音や風切り音についても対策し、走行時の騒音を先代モデル比で約20km/h低いレベルに抑えた、という。ただ、劇的に変わった、という感じがしないのは、やはりプラットフォームが先代ベースだからか。

「Gベクタリング コントロール」も標準装備

2代目マツダCX-5の画像

ワインディングも走ってみた。ハンドリングはかつてのマツダ車のようにテールハッピー気味にグイグイ曲がるのではなく、先代同様に穏やかに、しかし確実に曲がってくれるタイプ。トルクが分厚いのでエンジンをぶん回す必要はなく、涼しい顔でハイペースをキープできる。そもそも試乗車は4WDだったが、乾いたアスファルトの上ではほとんど4WDという感じはしなかった。それをはっきり意識するのは、たぶんオフロードに行った時か、雪の日くらいだろう。

電動パワーステアリングはコラム式だが、ステアリングマウントをリジッドマウント化してステアリング剛性を確保したとのこと。サペンションは従来通り、フロントがマクファーソンストラット、リアがマルチリンクだが、こちらも先代最終モデルで大幅改良されており、今回はそれをさらに改良した、という感じだ。

 
2代目マツダCX-5のGベクタリングコントロールのイメージ画像
Gベクタリング コントロールのイメージ

すでにアクセラ、アテンザ、デミオに搭載されている「Gベクタリング コントロール(G-Vectoring Control)」も、今回からCX-5に採用された(全車標準)。これは、ドライバーのステアリング操作に応じて、エンジンの駆動トルクを微妙に制御して4輪の接地荷重をコントロールし、より曲がりやすくしたり、安定させたりする、というもの

その効果のほどは、意識して乗れば「これがそうかも」などと思える一方で、乗っているうちにその存在を忘れてしまう、というレベルでもある。結果としてハンドリングは、急激なGの立ち上がりがなく、スムーズな走りが特徴といったところ。コンセプトは同乗者に優しい操縦性だから、狙い通りだろう。

 
2代目マツダCX-5の19インチタイヤ&ホイール画像

なお、ペースを上げた時に少し気になったのは、約1.7トンの車重や225/55R19の巨大なタイヤに対してブレーキがちょっと弱いかな、ということ。とはいえタッチはいいし、踏めば効くし、ブレーキダストもほとんど出ないので、これはこれでいいのかも。

レーダークルーズ(MRCC)が全車速対応になった

2代目マツダCX-5のMRCCイメージ画像

先代の最終モデルにも、ミリ波レーダーや単眼カメラを使った先進安全装備「i-ACTIVSENSE」は一通り装備されていたが、新型ではそれらの性能向上が図られた。

例えばマツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)は、設定速度域が先代の30km/h~100km/h(実際には115km/h)から、新型では0km/h(停止)~100km/h(実際には115km/h)の全車速対応にバージョンアップされた。同時期にデビューしたレクサス LCのように、これまでの慣習を破る0~180km/h対応ではないものの、使い勝手はだんぜん良くなった。

また、今回から歩行者の検知が可能になった自動ブレーキシステム「アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート(アドバンストSCBS)」や、AT誤発進抑制制御、レーン・キープ・アシストも先代最終型に続いて装備。CX-5にとっては大きな武器になっている。

積極的にステアリングを操舵する「レーン・キープ・アシスト」

2代目マツダCX-5のi-ACTIVESENSEイメージ画像
i-ACTIVSENSEのイメージ

今回の試乗で最も印象的だったのは先代の途中から採用されている「レーン・キープ・アシスト(LKA)」が強力だったこと。これは、カメラで走行車線を読み取り、車線をまたぎかけると電動パワーステアリングを自動操舵し、車線逸脱を防ごうとするほか、車線中央維持機能も備えたもの。高速コーナーでもステアリングに手を軽く添えているだけでスムーズに車線の中央をトレースしてくれる。

もちろん、ステアリングから手を離してしまうとアクティブ・ドライビング・ディスプレイに「ハンドルを握ってください」と警告が出て、動作が中断してしまう。また、曲率の深いコーナーでは人間がステアリングを切る必要がある。とはいえ、アシストの操舵トルクや積極性は、ドイツ御三家の最新モデル並みに強力と感じた。

また、逸脱防止用の警告を、アラーム音(往々にしてうるさい)だけでなく、ステアリング振動で行ってくれるのも好ましいと思った。

ただ、意図的な設定だと思うが、左側の車線にはほとんど反応しない。また、作動しない時はぜんぜん作動しないので、過信は禁物だ。

「アクティブ・ドライビング・ディスプレイ」は高速巡行時に便利

2代目マツダCX-5のアクティブ・ドライビング・ディスプレイ画像
2代目マツダCX-5の「アクティブ・ドライビング・ディスプレイ」

一般的にはヘッドアップディスプレイ(HUD)と呼ばれる「アクティブ・ドライビング・ディスプレイ」は、マツダが自社モデルに積極的に採用しているもの。アテンザ、アクセラ、デミオなどでは専用スクリーンをダッシュボード上に設けるタイプだが、新型CX-5ではフロントガラスに情報を投影するタイプを新採用した(プロアクティブ以上に標準装備)。

表示内容は速度、ナビの道案内、ACCの作動状況などで、また今回から新たに制限速度、進入禁止、一時停止の交通標識をカメラで読み取って表示する「交通標識認識システム」が採用された。

実際のところ、昼間の一般道ではあまりアクティブ・ドライビング・ディスプレイの恩恵を感じなかったが、夜間の高速道路では視認性が高く、とても便利だった。

アダプティブ・LED・ヘッドライトをさらに改良

2代目マツダCX-5のアダプティブ・LED・ヘッドライト画像

もう一つ、いいなと思ったのは、改良型の「アダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)」。これは、単眼カメラで得た先行車・対向車の位置情報や車速などに応じて、個々のLEDを点灯・消灯・減光することで、ハイ/ロービームの切り替えなど照射範囲の変更を無段階で行うもの。

 
2代目マツダCX-5のアダプティブ・LED・ヘッドライトのイメージ画像

同様のものは先代最終型ですでに採用されていたが、新型ではLEDブロックを従来の4分割から12分割に変更し、より適切に照射範囲をコントロールできるようになった。基本的には、先行車や対向車に迷惑をかけず、より遠方を照らすグレアフリー(防眩)ハイビーム機能などが目的だ。

 
2代目マツダCX-5のアダプティブ・LED・ヘッドライトのイメージ画像

なお、複数のLEDを使った同様の仕組みのものは他社にもあり、アウディの場合はマトリックスLEDテクノロジー、メルセデス・ベンツではアダプティブハイビームアシスト・プラス、トヨタ(プリウスPHV)ではアダプティブハイビームシステム(AHS)などと呼ばれる。今後はさらに採用車種が増えていくだろう。

試乗燃費は11.3~18.2km/L。JC08モード燃費は17.2~18.0km/L(XD)

2代目マツダCX-5、給油中の画像

今回は約360kmを試乗。参考ながら、試乗燃費はいつもの一般道と高速道路を走った区間(約80km)が11.3km/L。また、一般道を大人しく走った区間(約30km×3回)が12.3km/L(比較的流れが悪い状況)、12.6km/L、14.0km/L(比較的流れのいい状況)。高速道路をほぼ100km/hで巡行した区間(約90km、アップダウンあり)が18.2km/L。360kmトータル(撮影区間を含む)での燃費は11.5km/Lだった。

印象としては、市街地や飛ばした場合は11km/L台に落ち込みがちだが、信号の少ない郊外の一般道や高速道路で巡行すればモード燃費並み。また、試乗車がFFであれば、もうちょっと良かったと思う。

 
2代目マツダCX-5、フューエルリッドの画像

XDのJC08モード燃費は、FF車で18.0km/L、4WD車で17.2~17.6km/L。なお、先代はFF車で18.4~18.6km/L、4WD車で18.0km/Lだったから、燃費性能については新旧で大差なしというか、実は少し悪くなっている(あくまでモード燃費上だが)。燃料タンク容量は先代と変わらず、FF車が56L、4WD車が58Lである。

なお、試乗時点での燃料実勢価格(全国平均)は、ハイオクが133円、レギュラーが123円、軽油が99円。つまり軽油はハイオクより25%ほど安く、レギュラーより20%ほど安い。つまりざっくり言えば、トータルでの燃料費はガソリン車より3~4割くらい節約できる、と考えていいだろう。

ここがイイ

高まった完成度。全車速対応になったMRCC、ヘッドアップディスプレイなどの最新装備

2代目マツダCX-5の画像

燃費よし、走りよし、安全装備よし、内装クオリティよし、と「道具」としての完成度が高いこと。ハードウエア的には先代最終モデルのさらなるブラッシュアップ版である。先進安全装備もレーダークルーズコントロールが全車速対応になるなど、確実に進化した。今のところ、新型購入ユーザーの、実に39%が先代からの乗り替えとのことだが、確かにマイナーチェンジ前の先代の前期・中期型(2012~2014年モデル)から乗り換える意義は、特に安全装備の充実という点で大きい。

改良型の「アダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)」も優秀で、ほとんど手動操作なしにハイビームを最大限使って走ることができる。ヘッドライトの照射範囲が先行車や対向車、車速に応じてバリアブルに変化していくのが面白く、頼もしかった。

今まで他社のものも含めて便利だと思ったことがなかったヘッドアップディスプレイだが、フロントウインドウに情報を投影するタイプの「アクティブ・ドライビング・ディスプレイ」は、表示が鮮明でなかなか良かった。特にACCで高速道路をクルーズする時に便利。

オプションのBoseサウンドシステム(10スピーカー)は、いかにもBoseらしい音。ディーゼルの音はそこそこするが、音楽を流せばそれもほとんど聞こえなくなる。その意味でXDとは相性のいい装備だ。

ここがダメ

先代からの進化は見た目ほど大きくない

プラットフォームやパワートレインは基本的にキャリーオーバーなので、動力性能や燃費性能、シャシー性能などの基本性能は、それほど変わったという感じがしなかった。特に先代後期モデル(2015~2016年モデル)の先進安全装備搭載グレードとの差は、見た目を除くと少ない。それだけ先代最終型の完成度が高かった、ということでもある。

ディーゼルのノック音は皆無ではなく、静粛性はやはりガソリン車に譲ること。新型への期待が大きかっただけに、ちょっと物足りなさを感じてしまった。また、無いものねだりになるが、もし8速AT(アイシンAWあたりの)があれば、加速性能、静粛性、燃費性能を底上げできたと思う。

先進安全装備はほぼ完備しているのに、「先行車発進お知らせ機能」がないこと(レーダークルーズコントロール作動中、先行車の続いて停車した場合に限り、先行車発進報知機能が作動する)。マツダのことだから信号待ちの間も運転に集中せよ、ということだと思うが、ププッ!と後ろからクラクションを鳴らされる可能性を思うと、ちょっと残念。

総合評価

「マツダ天国」の立役者

初代マツダCX-5(2012年)の画像
初代CX-5(2012年)

5年前、初代のデビュー当時のことは鮮明に覚えている。ちょっと興奮したものだ。ボディサイズの大きさを感じさせないスタイリッシュな外観や、画期的なクリーンディーゼル。元気のいいマツダを象徴する一台で、昔からのマツダのちょっとダサいイメージを一転させ、日本国内でマツダをある種のプレミアムブランドと言ってもいいほどに高めたクルマだ。実際、知人が何人か買ったし、このあとのCX-3あたりで、マツダブランドは「カッコイイ」という認識にまで変化した。かつての言い回しの対極にある「マツダ天国」の立役者が初代だったと思う。

 

クリーンディーゼルに関して当時は、数年後にどういう印象になるか分からないと書いたが、それは杞憂だったようだ。となると当時、知人にCX-5のガソリン車を勧めたのは失敗だったかもしれない。今の新型ならディーゼルエンジンの方を間違いなくお勧めしたい。クルマを走らせた時に気持ちいいと感じる要素の一つは「トルク」であり、その点でやっぱり最新のディーゼルエンジンは優れている。経済性を考えても、知人に買い替えを勧めていい時期かもしれない。そのあたりこそ今回のフルモデルチェンジのキモだろう。

先進安全装備も買い替えの理由

2代目マツダCX-5の画像

CX-5は年々改良され、3年経った2015年にビッグマイナーチェンジして更に良くなった。そして同じ2015年には、よりコンパクトなCX-3も登場し、ゆえに新しいCX-5はそれより大きく、上級というイメージをはっきりさせることになったと思う。

そもそも日本では好評だった初代のスタイリングも、世界市場においては少し大人しすぎたのかもしれない。昨今は押し出しの強さがないと世界市場で戦うのは厳しい。その意味で新型はグリルデザインもより人目を引くものになったし、質感も高まって、まるで別のクラスのようになった。これが今回、外観を大きく変えた理由の一つだろう。

外観とともに各部をブラッシュアップし、内装のデザインと質を上げ、新型のヘッドアップディスプレイも採用し、先進安全装備をより充実させた。フルモデルチェンジでしかできない、一クラス上への進化を遂げたことは間違いない。デビュー初年度に初代を買った人はそろそろ5年だが、クルマ自体は気に入っていても、特に衝突安全系の最新装備は買い替えの大きな理由となるはずだ。

デザインは世界基準だが

2代目マツダCX-5の画像

一方で、ちょっと気になるのは、初代が持っていた、どことなくカジュアルな雰囲気は失われてしまったこと。初代のデザインのままでこの性能なら、と思う人も少なくないのではないか。言い方を変えれば、昨今のマツダ車で採用されている統一感のあるデザインワークが、日本人的な感性に合っているのかどうか、ということだ。マツダのように全車種に統一したデザインを入れ込むメーカーの場合、市場の好みに合わせてデザインするといった対応が難しいので、そのあたりが日本市場でどう影響するのだろう。中小メーカーはプレミアムブランドへ変わっていくしか生き残る術はないのは確かで、その過程にあると思われるマツダには、まずは世界市場が重要。それは分かるが、日本人としてはちょっと取り残され感を禁じ得ない。

 
マツダ CX-9(2016年、北米仕様車)の画像
マツダ CX-9(2016年、北米仕様車)

そしてもう一つは2017年度中に発売するというCX-8の存在だ。CX-5のロングバージョンとも言われ、3列シートを備えるこのクルマは、ビアンテを生産終了するという噂があるマツダにとって、国内では重要なモデルになるだろう。昨年フルモデルチェンジした海外向け3列シート大型SUVである新型CX-9や、来るべき新型車CX-8との整合性をとるためにも、やはりフルモデルチェンジは必要ということになるわけだ。

そうした事情を鑑みると、特にAピラーを後退させたスタイルは、昨今のマツダ車におけるデザイントレンドであると同時に、全長の長いCX-8などのスタイリングをバランスよくデザインするには必然的なものかもしれない。

ACCの設定速度は忖度?

2代目マツダCX-5の画像

世界基準といえばACC、マツダいうところのMRCCの速度設定だ。今年発売されたレクサスLCはついに日本仕様でも180km/hまでの速度設定を可能にした。トヨタの公式見解は、新東名高速道路の一部で制限速度が120km/hへ引き上がられる話が出ているから、というものだが、輸入車は以前から、車種によっては200km/hまで設定可能な海外仕様のまま売られている。

しかし今回の日本向け新型CX-5は相変わらず115km/hまで。これまでの自主規制枠を維持した。まさに日本の役人、あるいは日本の社会への忖度というものだと思われるが、デザインは世界基準なのに、機能の一部を日本向けに制限するというのは、なんだか腑に落ちないなあと感じてしまう。まあ、こんなことを書くのも空気を読む力が足りないからかもしれない。モーターデイズの空力性能をもうちょっと高めないとまずい、のか?

 

試乗車スペック
マツダ CX-5 XD プロアクティブ 4WD
(2.2L 直4ディーゼルターボ・6AT・4WD・322万9200円)

●初年度登録:2017年1月
●形式:LDA-KF2P
●全長4545mm×全幅1840mm×全高1690mm
●ホイールベース:2700mm
●最低地上高:210mm
●最小回転半径:5.5m
●車重(車検証記載値):1680kg(1020+660)
●乗車定員:5名

●エンジン型式:SH-VPTS
●排気量:2188cc
●エンジン種類:直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴・ターボ・ディーゼル・横置
●ボア×ストローク:86.0×94.2mm
●圧縮比:14.0
●最高出力:129kW(175ps)/4500rpm
●最大トルク:420Nm (42.8kgm)/2000rpm
●カムシャフト駆動:タイミングチェーン
●アイドリングストップ機能:有り
●使用燃料:軽油
●燃料タンク容量:58L(4WD車の場合。FF車は56L)

●トランスミッション:6速AT

●JC08モード燃費:17.2km/L(19インチタイヤ装着車の場合)
※FF車は18.0km/L、4WD車は17.2~17.6km/L

●駆動方式:4WD(電子制御多板クラッチ式4WD)
●サスペンション形式(前):マクファーソンストラット+コイルスプリング
●サスペンション型式(後):マルチリンク+コイルスプリング
●タイヤ:225/55R19 (Toyo Proxes R46)
※225/65R17の設定もあり

●車両本体価格:322万9200円
●試乗車価格:346万6800円
※オプション合計:23万7600円
※オプション内訳:ドライビング・ポジション・サポート・パッケージ(運転席10wayパワーシート、前席シートヒーター、ステアリングヒーター等) 6万4800円、CD/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナー 3万2400円、Boseサウンドシステム+10スピーカー 8万6400円、パワーリフトゲート 5万4000円

●ボディカラー:ジェットブラックマイカ
●試乗距離:約360km

●試乗日:2017年6月
●車両協力:東海マツダ販売株式会社

 
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東海マツダ販売株式会社

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