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三菱 エクリプス クロス新車試乗記(第834回)

Mitsubishi Eclipse Cross

(1.5L 直4ターボ・CVT・253万2600円~)

「SUVの三菱」と
「エクリプス」が
「クロス」オーバーして
帰ってきた!

2018年04月20日

 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

久々のブランニューモデル

三菱 エクリプス クロス (2017 東京モーターショー)
三菱 エクリプス クロス (2017 東京モーターショー)

国内では2017年12月22日に受注を開始、2018年3月1日に発売された新型「エクリプス クロス」は、ミッドサイズSUVの「アウトランダー」とコンパクトSUV「RVR」の中間に位置する新型クロスオーバーSUV。同社にとっては2012年発売のアウトランダー以来となる久々のニューモデル。

 
三菱 エクリプス(1989~95年)
初代エクリプス(1989~95年)

(photo:三菱自動車)

その特徴はクーペ風のダイナミックなデザイン、新開発の1.5L 4気筒直噴ターボエンジン、電子制御4WDによる高い走行性能、先進安全装備など。

プラットフォームはRVR(2010年発売)や現行アウトランダー(2012年発売)のものをベースに大幅に改良・高剛性化したものが採用されている。

世界80ヵ国で販売するグローバルモデル

三菱 コンセプト XR-PHEV(2013 東京モーターショー)
三菱 コンセプト XR-PHEV
(2013 東京モーターショー)

生産拠点はアウトランダーと同じ岡崎製作所(愛知県岡崎市)。販売は海外が先行しており、2017年10月に欧州、11月に豪州・ニュージーランド、アセアン地域、2018年1月に北米向けの輸出がスタート。最終的に約80ヶ国で販売する予定。

 
三菱 eX コンセプト(2015 東京モーターショー)
三菱 eX コンセプト(2015 東京モーターショー)

国内の月販目標は1000台(2018年度)。3月の販売実績は4996台で、登録車の販売ランキングでは三菱では最上位の27位に入っている。

■外部リンク
三菱自動車>ニュースリリース>エクリプス クロスを発売(2018年3月1日)

 

価格帯&グレード展開

1.5Lターボで、253万2600円から

三菱 エクリプス クロス M
三菱 エクリプス クロス M
(photo:三菱自動車)

海外向けには2.2L 4気筒ディーゼルターボ+8速AT仕様も用意されるようだが、国内向けは今のところ1.5L 4気筒ガソリンターボエンジンと「INVECS-III」こと8速スポーツモード付CVT(無段変速機)のみ。駆動方式はFFと4WD(21万6000円高)がある。

グレードは3段階。ベースグレードの「M」でも赤外線レーダー&単眼カメラ方式の自動ブレーキが標準装備される。

販売主力の中間グレード「G」には、LEDヘッドライト、メッキ加飾、ヘッドアップディスプレイ、18インチアルミホイール、ミリ波レーダーによる全車速対応レーダークルーズコントロール(ACC)、電動パーキングブレーキが標準装備され、メーカーオプションで7インチメモリーナビ等のセット(35万1000円)や電動パノラマサンルーフ(12万4200円)が用意される。

 
三菱 エクリプス クロス G (photo:三菱自動車)
三菱 エクリプス クロス G
(photo:三菱自動車)

さらに最上級グレードの「G Plus Package」には、スマートフォン連携ディスプレイオーディオ、タッチパッドコントローラー、後側方車両検知警報システム、後退時車両検知警報システムが標準装備され、オプションでロックフォードフォズゲート プレミアムサウンドシステム(10万2600円)、メモリーナビ等のセットオプション(21万6000円)、本革シート(24万8400円)などが用意される。

 

■M 253万2600円(FF)/274万8600円(4WD)
■G 270万6480円(FF)/292万2480円(4WD)
■G Plus Package  287万9280円(FF)/309万5280円(4WD)

 

パッケージング&スタイル

三菱らしいエッジ感

久しぶりに三菱らしいデザインだな、というのが第一印象。最新の三菱車共通の「ダイナミックシールド」と呼ばれる精悍なフロントまわり、鋭い目つきのLEDヘッドライト、前傾姿勢のシルエット、ビシッと入ったキャラクターライン、そして垂直に短く断ち切られたリアオーバーハングが印象的。「三菱自動車らしいシャープでダイナミックなクーペSUVとした」という言葉に誇張はない。

 

ボディカラーは全8色。試乗車は売れ線のパールホワイト(3万2400円高)だが、印象的なのが、これまた三菱らしい「レッドダイヤモンド」(7万5600円高)という新規開発色。赤と言えばマツダのソウルレッドプレミアムメタリックが真っ先に頭に浮かんでしまう昨今だが、「赤と言えばうちだ」と言わんばかりの鮮やかさが自慢。

サイズはセグメントのど真ん中

ボディサイズは全長4405mm×全幅1805mm×全高1685mmと、コンパクトSUVクラスのど真ん中。ホイールベースはRVRやアウトランダーと同じ2670mmだ。

このクラスの場合、全高については立体駐車場に収まる低めのタイプ(1550mm以下。Q2、CX-3、C-HR、GLA、XVなど)と、SUVらしい高めのタイプ(ヴェゼル、ティグアン、CX-5、フォレスターなど)に分かれるが、エクリプス クロスは後者になる。クーペ風のスタイリングの割に、背は高めだ。

最小回転半径は5.4mと、このクラスでは標準的なレベル。最低地上高は175mmで、「SUV」にしては低めだが、都市型SUVとしては標準的なところ。

 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転
半径(m)
アウディ Q2(2017~) 4200~4205 1795 1530 2595 5.1
マツダ CX-3 (2015~) 4275 1765 1550 2570 5.3
ホンダ ヴェゼル (2013~) 4295 1770 1605 2610 5.3
三菱 RVR (2010~) 4295~4365 1770 1615~1630 2670 5.3
トヨタ C-HR (2016~) 4360 1795 1550~1565 2640 5.2
アウディ Q3 (2012~) 4385~4400 1830 1595~1615 2605 5.7
三菱 エクリプス クロス(2018~) 4405 1805 1685 2670 5.4
メルセデス・ベンツ GLA(2017~) 4430~4460 1805 1500~1505 2700 5.7
スバル XV(2017~) 4465 1800 1550 2670 5.4
VW ティグアン(2017~) 4500 1840 1675 2675 5.4
マツダ CX-5(2017~) 4545 1840 1690 2700 5.5
スバル フォレスター(2012~2018) 4595 1795 1695 2640 5.3
三菱 アウトランダー PHEV(2013~) 4655~4695 1800 1680~1710 2670 5.3
 

インテリア&ラゲッジスペース

HUDを三菱で初採用

立体的なシルバー加飾が施されたインパネは、ダッシュボード中央上部にディスプレイスペースを、運転席正面にアナログ式2眼メーターを配置するなど、構成はオーソドクス。

「G」以上には電動昇降式のHUD(ヘッドアップディスプレイ)が標準装備される。HUDは意外にも今回が三菱初とのこと。

なお、電動パーキングブレーキと全車速対応ACCは「G」以上の装備で、「M」ではハンドブレーキになる。

スマートフォン連携ディスプレイオーディオと「タッチパッドコントローラー」を採用

最上級グレードの「G Plus Package」には、7インチディスプレイを備えたスマートフォン連携ディスプレイオーディオ「SDA」と「タッチパッドコントローラー」が標準装備される。これにはナビ機能は内蔵されていないため、ナビゲーションを車載ディスプレイで行う場合はUSBケーブルでスマートフォンと車両を接続し、「Apple CarPlay」もしくは「Android Auto」を起動して、スマートフォン内の地図アプリ(Apple標準マップ もしくは Googleマップ)を利用することになる。ただしタッチパッド自体は今のところAndroid Autoに未対応だ。

 

一方で、独立した車載ナビが欲しいというニーズにも対応するため、「G」以上にはメーカーオプションで7インチメモリーナビ、地デジ、マルチアラウンドモニター等のセットを用意する。これはGだと35万1000円、G Plus Packageでも21万6000円もする。

 

アルパイン製のエクリプスクロス専用「ビッグX 11」

さらに販売店オプションでは、7.7インチディスプレイのクラリオン製メモリーナビ(16万7270円)を用意。旧富士通テン(2017年からデンソーテン)の「イクリプス」ナビじゃないのがちょっと残念。

また、フローティングタイプの11インチディスプレイを備えるアルパイン製「ビッグX 11」シリーズにも、エクリプスクロス専用モデル(本体27万円)が用意されている。

室内スペースはアウトランダー並み

ドライビングポジションはアウトランダーとほぼ同じらしいが、座ってみて感じたのは、どちらかと言えば大柄な人向けで、ペダルに足を合わせるとシートを前側に、かつ低めにセットする必要があること。もちろん、ステアリングのチルト/テレスコやシートリフターの調整によって、適切な姿勢をとることができる。

 

クーペスタイルの割に後席の乗降性は悪くなく、室内も意外に広い。それもそのはず、2670mmのホイールベースはアウトランダーとも同じだ。背もたれはリアのエクストラウインドウと共に後方視界を確保するべく低めで、その分だけ人が座る時にはヘッドレストを上に延ばす格好になる。

 

リアシートには200mmの前後ロングスライド機構と9段階のリクライニング機構も備わる。ただし、一番前に寄せた状態だと後席フットルームがほぼなくなってしまうが。

 

試乗車には電動パノラマサンルーフ(12万4200円)も装備されていた。フロント側は電動でシェイドの開閉とチルト&アウタースライディングが可能で、リア側は後席側天井のスイッチでシェイドを電動開閉できるタイプ。

荷室容量は341~448Lで可変

荷室容量はリアシートを後端にした状態で341Lと、いわゆるCセグメント(VWゴルフなど)並み。一番前に寄せると448Lで、その状態だと後席背もたれの後ろ側に幅200mmの空洞が生じる。

 

後席の背もたれを倒した時は、フロアが少し少し斜めになってしまうが、奥行きは約1.6mになり、身長170cm程度でも斜めに寝れば、なんとか足を伸ばすことができる。フロア高が高めなので、荷室高は700~800mm程度だ。

 

床下には樹脂製アンダーボックスがあり(ネジで固定されている)、標準装備のパンク修理キットが収まる。オプションで応急スペアタイヤ(1万0800円)に変更することも可能で、初期受注の2割ほどはスペアタイヤを選択しているようだ。

 

基本性能&ドライブフィール

1.5L直噴ターボを搭載

試乗したのは最上級グレード「G プラス パッケージ」の4WD(309万5280円)。

新開発の1.5Lガソリンターボは、直噴(シリンダー内直接噴射)と吸気ポート噴射を組み合わせた、トヨタ言うところのD-4S的な燃料噴射システムを備えたもので、ほかに吸・排気バルブタイミング可変機構「MIVEC」や、電動ウエストゲートなどの最新技術が盛り込まれた意欲作。

日本向けはレギュラーガソリン仕様ながら、最高出力150ps、最大トルクは従来型の2.4L自然吸気エンジンをしのぐ240Nmを発揮する。いずれはアウトランダーやデリカ D:5の2.0L/2.4L 自然吸気ガソリンエンジンもこれに置き換えられるとの話もあるダウンサイジングユニットだ。

車重はFFで1460~1480kg、試乗車(4WDのサンルーフ付)で1580kgだが、パワーは十分という印象。1500rpm以下でも力強く粘る。

 

トランスミッションはCVT(無段変速機)で、パドルシフトで操作する8速スポーツモード付「INVECS-III」を全車に採用。また、ロックアップ感や変速時の段付き感を強めた「ステップアップシフト制御」を採用して、「CVT特有の回転が先行するような吹け上がり感を低減し、ダイレクトで力強い加速感を実現」したとする。確かにそんな感じ。

剛性感は文句なしだが


ルームミラーからの後方視界は抜群に良好

印象的なのはボディ剛性感の高さ。もともとこのクラスの三菱車は、ギャランフォルティスや初代アウトランダーあたりでもガシッとした剛性感が印象的だったが、エクリプス クロスでは3点式ストラットタワーバーや構造用接着剤の採用で、さらに高剛性化したとのこと。リアにはアウトランダーやRVR同様にマルチリンクサスペンションが奢られてる。

一方で意外だったのはワインディングでの操縦性。コーナーで素早く、特に減速しながらステアリングを切り込むと、接地感がフワッと一瞬抜けるような感じがあってドキッとする。これは悪路での走破性や乗り心地とのトレードオフかもしれないし、アウトランダーよりクイックなステアリングレシオや、試乗車の場合は電動パノラマサンルーフ(カタログ値で30kg増)の影響かもしれない。

ACCは135km/hまで設定可能


ACC使用時のヘッドアップディスプレイ(photo:三菱自動車)

100km/h巡行時のエンジン回転数は、1800~1900rpmくらい。エンジン自体は静かで、ロードノイズは特定の路面でなぜか急にうるさくなることがあったが、総じて静粛性は高い、と感じた。直進安定性もまずまず。

「G」以上には最新のミリ波レーダーを採用した全車速対応ACCが標準装備される。アウトランダーのACCは停止から約2秒でブレーキが解除されるタイプだったが、これは電動パーキングブレーキの採用に伴い、それ以上の停止保持も行う。また、新東名などの制限速度引き上げに対応するべく、135km/hまで設定可能になった。

新しモノ好きにとっては物足りないのが、車線逸脱を防いだり車線中央を維持するための操舵支援機能が備わらない点だが(車線逸脱警報システムは備わる)、とりあえず実用上は不満はない。

 

全車標準のオートマチックハイビーム(AHB)も試してみた。これはハイ/ローを単純に切り替えるだけのタイプだが、少なくともG以上に装備されるLEDヘッドランプは、ロービームのままでも「見たいところを照らしてくれる」絶妙なもので、まったく不満がなかった。AHBをオンにための操作も、ライトスイッチレバーの先端を押すだけ、と分かりやすい。複数のLEDを使って照射範囲をバリアブルに可変するタイプも素晴らしいが、機能としてはこれで十分だ。

悪路重視の電子制御4WDシステム

三菱が「S-AWC(スーパーオールホイールコントロール)」、車両運動統合制御システムと呼ぶ4WDシステムは、電子制御多板クラッチで後輪へのトルク配分を必要に応じて行うほか、左右輪の駆動力配分をブレーキ制御でコントロールするAYC(アクティブ ヨー コントロール)を備えたもの。

さらに、路面状況に応じて走行モードを選べるドライブモードセレクターも装備。通常時の「オート」、雪道用の「スノー」、後輪へのトルク配分率を最も増やす悪路用「グラベル(未舗装路)」の3つが備わる。4WDはFFの21万6000円高だが、単純なビスカスカップリング式でもそれくらいするから、内容を考えれば割安だ。

 

最低地上高はパッケージングの項でも触れたように、クロスオーバーSUVとしてはごく標準的な175mm。「SUVの三菱」というイメージからすると、200mmくらいあっても良さそうだが(ちなみにパジェロの最低地上高は225mm)、都市型SUVとしては十分だろう。

ちなみにアプローチアングルは20.3度(パジェロは36.5度)、ディーパーチャーアングルは30.8度(同25度)。これもクロスオーバーSUVとしては標準的な数値と言える。

レギュラー仕様で試乗燃費は9.3km/L~。JC08モード燃費は14.0~15.0km/L

今回は4WD車で約230km試乗。参考ながら試乗燃費は、一般道や高速道路を走った区間(約60km)が9.3km/L、一般道を大人しく走った区間(約30km×3回)が10.5km/L、10.7km/L、信号がほとんどない区間で12.0km/Lだった。

JC08モード燃費は、FFが15.0km/L、4WDが14.0km/L。直噴ターボだけに指定燃料はハイオクと思いきや、日本仕様はレギュラーでOKだ。

燃料タンク容量はFFで63L、4WDで60Lと、クラス相応の容量を確保している。

ここがイイ

デザイン。後方視界。先進安全装備

デザインは好き嫌いが分かれると思うが、すごく頑張っているのでは。このクラスはC-HR、ヴェゼル、CX-3、輸入車でもアウディ Q2、ボルボ XC40など、個性的で「カッコいい」モデルが目白押しだが、エクリプスクロスはそれらに負けず個性的だし、三菱のDNAも感じさせる。また、上下ダブルのリアウインドウによる後方視界は抜群。同様にリアにエクストラウインドウを持つプリウスよりも、よく見えると感じた。

135km/hまで設定できるACC、歩行者対応の自動ブレーキ、リアのミリ波レーダーによる後退時車両検知警報システム。オートハイビームなど、上級グレードには先進安全装備が(操舵支援機能こそないが)一通り備わっている。

ここがダメ

万人向けではないスマートフォン連携ディスプレイオーディオ。必要が感じられないヘッドアップディスプレイ

Apple Car Play および Android Auto対応の「スマートフォン連携ディスプレイオーディオ」は、現時点では一般的にはお勧めしにくい。これ自体にナビ機能はないため、スマートフォンのナビアプリを利用することになるが、いちいちUSBでつなぐ必要がある。また、CD/DVDプレーヤーや地デジTVチューナーはないので、もしスマホ等がなければ、できるのはAM/FMラジオを聞くくらい。また、iPhoneの場合はGoogleマップではなくApple標準マップしか使えないし、Androidの場合はGoogleマップを使えるが、タッチパッドコントローラーが非対応になる(いずれにしろタッチパッドコントローラーで出来ることは限定的だが)。というわけで、オーディオ・ナビに関してはメーカーオプションの7インチナビか、ディーラーオプションの7.7インチナビ、あるいはアルパインの11インチナビ「BIG X」あたりを選んだ方が無難なように思える。それなりに高価だが。

ヘッドアップディスプレイは電動の透明ボードに投影するタイプで、最近主流になりつつあるフロントウインドウ投影タイプ(見やすいし、わずらわしくない)を思うと、ちょっと今さら感が。表示される情報も走行速度とACCの設定状態くらいで、どちらかと言えばメーター内の表示の方が見やすい。そうなるとイグニッションのオン/オフに応じて電動昇降するのも仰々しく思える。

総合評価

後発ならではの強みは

三菱自動車で、燃費不正問題が発覚したのが2016年4月のこと。その後すぐに日産の傘下に入ることになり、早2年がたった。エクリプス クロスの場合、2013年の東京モーターショーには直接的な原型ではないそうだが、それっぽいコンセプトカーが出ていたわけで、騒動の間も粛々と開発が進んでいたであろうクルマだ。いや、あるいは紆余曲折の末、やっといま出せた、ということかもしれない。騒動がなければ、もう少し早く投入されたようにも思う。トヨタがC-HRを発売したのは2016年12月だったが、エクリプス クロスも本来は2017年早々に国内投入したかったのでは。現に、海外へは2017年10月から輸出できている。

C-HRがバカ売れしているように、このクラスのカッコイイSUVは、国内市場ではトレンドになっている。このクルマもそこへ一刻も早く投入されるべきだったが、ちょっと出遅れ気味となったのは惜しいところ。その意味では、後発の強みを発揮したいところだ。

 

まず、スタイリングはライバルと比べて見劣りしない。コンセプトカーのままとは言えないが、かなりその雰囲気を残していて魅力的だ。見渡せば世界中、こういったSUVばっかりという状況になってしまったが、これなら埋没はしないだろう。SUVは現代のクーペといってもいいから、デザインがいいのはとてもいいところだ。

エンジンも1.5L ダウンサイジングターボという点で、国産車としてはまずまず先行している。CVTとのマッチングもいい。これだけ気持ちよく「エンジン」を感じながら走れるのであれば、燃費もまあ妥当なところ。ハイブリッド車のようなフィーリングではなく、あくまでガソリン車として気持ちよく走るのがこのクルマの良いところだから、足回りを含めて試乗でしっかり確認してもらいたい。燃費がどうしても気になる人は、投入を検討中だというクリーンディーゼルやPHEV(プラグインハイブリッド)を「待つ」という手もあるのだし。また、強調されるべきは三菱らしい四駆性能だろう。オンロード試乗だけでは分からないが、悪路走破性を必要とする人にとって、そのメリットは何物にも代え難いと思う。

新東名に対応したACC

今年になって投入されたことの一番のメリットは、ACCが新東名に対応したことだろう。設定上限が135km/hになったことで、実用性が大きく高まっている。国産車の設定速度引き上げに関しては、昨年以降の新型車やマイナーチェンジ車の多くが対応している。これまで試乗したレクサス LC(180km/h)、トヨタ カムリ(180km/h)、ヴェルファイア(180km/h)、スバル レヴォーグ(実質135km/h)、マツダ CX-8(180km/h)のほか、ホンダのオデッセイハイブリッドも11月の改良で上限が135km/hになっているようだ。C-HRやヴェゼルはまだ対応していないようだから、そこはエクリプス クロスの大きなアドバンテージだろう。

ただ、ACCによる追従走行に関しては、先行車の停止にともなって減速・停止する動きが感覚的にやや遅く感じられた。このあたりのチューニングは、乗る人の好みとのマッチングが難しいところかも。また、ACCの作動状態を表示するのが重要な役目となるヘッドアップディスプレイも、フロントガラスの外を見ている状態から目のピントを少し調整しないといけなかった(それはメーターパネルを見るのとあまり大差ない)。ここはさらなる改良を求めたいところだ。

タッチパッドよりスマホ置き場


いちおうUSB端子の下にスマートフォンは置けるのだが
(photo:三菱自動車)

さて、最上級グレードに標準装備されるスマートフォン連携ディスプレイオーディオは、まだまだ一般的には扱いが難しいという点で「ここがダメ」としてしまった。しかし、若い人を中心にこれを待っていた、と大歓迎されて「ここがいい」に変わるものとも言える。特にAndroidスマホを使っている人なら、日常的にGoogleマップのナビを利用していると思われるので、それがほぼそのまま7インチディスプレイに表示されるのは便利この上ないと感じるはず。いつものように「OK Google」で何でも調べられ、どこへでも行ける。オーディオもGoogle Playミュージックを利用していれば、全く不満なく楽しめる。となればタッチパッドコントローラーはなくてもいいので、その代わりにスマホ置き場(固定式)と無接点充電機能、さらにUSBケーブルを標準装備してもらいたいところだ。

 

もはや月間何十ギガもの通信プランがテレビCMで宣伝される時代ゆえ、高価なカーナビでなく、Googleマップを車載ディスプレイに表示できるスマートフォン連携ディスプレイオーディオこそ欲しい、という人はけして少なくないはずだ。価格もメーカーオプションでナビを選ぶより安い。その点で最上級グレードの「G Plus Package」は、後側方および後退時の車両検知警報システムなども標準装備することを考えると、お買い得とも言える。その意味で、標準装備は大英断だと思うのだが。不満があるとしたら、地デジTVチューナーがないことだろう。リアエンターテイメントシステム(後席用ディスプレイ)も対応してなさそうだ。世界基準ではこれでいいのかもしれないが、日本で売るならそこは充実させて欲しかったところ。

 

エクリプスクロスは愛知県の岡崎工場で作られるという。岡崎界隈には3次受け、4次受けの中小企業が多く存在している。そうした企業にとって、久々の新型車投入は朗報だろう。とはいえ多くの中小企業では今後、事業継承が大きな課題になると言われている。中小企業の多くは時代の波と経営者の高齢化で、存続の危機に瀕している。それは日本のものづくりの危機でもある。ますます不透明さを増す世界情勢の中、法人も個人も難しい舵取りをせねばならない。日産ですらがルノーとの関係がどうなるのかよく分からない中、三菱自動車は今後どうなっていくのだろうか。

 

試乗車スペック
三菱 エクリプス クロス G Plus Package
(1.5Lターボ・CVT・4WD・309万5280円)

●初年度登録:2018年3月
●形式:DBA-GK1W
●全長4405mm×全幅1805mm×全高1685mm
●ホイールベース:2670mm
●最低地上高:175mm
●最小回転半径:5.4m
●車重(車検証記載値):1580kg(930+650)※4WD・サンルーフ装着車
●乗車定員:5名

●エンジン型式:4B40
●排気量:1498cc
●エンジン種類:直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴+ポート噴射・ターボ・横置
●ボア×ストローク:75.0×84.8mm
●圧縮比:10.0
●最高出力:110kW(150ps)/5500rpm
●最大トルク:240Nm (24.5kgm)/2000-3500rpm
●カムシャフト駆動:タイミングチェーン
●アイドリングストップ機能:有り
●使用燃料:レギュラーガソリン
●燃料タンク容量:60L

●トランスミッション:CVT(無段変速機)
●JC08モード燃費:14.0km/L(FFは15.0km/L)

●駆動方式:4WD(電子制御多板クラッチ式4WD)
●サスペンション形式(前):マクファーソンストラット+コイルスプリング
●サスペンション型式(後):マルチリンク+コイルスプリング
●タイヤ:225/55R18 ( Toyo Proxes R44 )

●車両本体価格:309万5280円(メーカーオプション含まず)
●試乗車価格(概算):351万8120円(オプション込み)
※オプション合計(概算):42万2840円
※オプション内訳:電動パノラマサンルーフ(チルト&スライド・セーフティ機構付) 12万4200円、オプション塗装(ホワイトパール) 3万2400円、【以下はディーラーオプション】フロントバンパーガーニッシュ 3万3804円、リアバンパーガーニッシュ 3万8469円、サイドエクステンション 7万5492円、コーナーエクステンション フロント 5万2855円、同リア 3万5575円、フロアマット 3万0045円、


●ボディカラー:ホワイトパール
●試乗距離:約230km
●試乗日:2018年4月
●車両協力:西尾張三菱自動車販売株式会社

 
 
 
 
 

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